2022年11月29日(午後) 衆院予算委員会 締めくくり質疑 洗脳下 寄付勧誘禁止を 救済新法 宮本徹氏が要求

 日本共産党の宮本徹議員は29日の衆院予算委員会で、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済のための新法について、マインドコントロール(洗脳)下の寄付の勧誘を禁止する規定とするよう求めました。
 政府の法律案は、法人等に対する「配慮義務」として、寄付の勧誘にあたって「自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにする」ことを盛り込んでいます。
 宮本氏は、配慮義務は強制力もなく、寄付の取り消しの対象にもならないと指摘。損害賠償請求の手助けになるといっても、民事裁判で何年もかかると述べました。また、配慮義務に規定されている内容は、この間の民事裁判で不法行為や違法の判決が重ねられてきた中身だとして「被害防止のためにも速やかな救済のためにも、『配慮義務』ではなく、『禁止行為』にすべきだ」と迫りました。
 河野太郎消費者担当相は、禁止行為とする場合は行政措置や刑事罰の適用にもつながるとして「現行の法体系に照らせば要件の明確性が必要となる」などと答弁。宮本氏は、刑事罰にできないという立場に立つとしても取り消しの対象にする判断はできると述べ、全国霊感商法対策弁護士連絡会などの提案を盛り込むよう求めました。

以上2022年11月30日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年11月29日午後 第210回衆院予算委員会第8号 議事録≫

○根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。統一協会の被害防止新法についてお伺いをいたします。今、霊感商法対策弁護士連絡会の皆さんが政府の法案に対しての修文、修正を求める記者会見をやっているというお話を伺っております。政府は新たに、法人等に対する配慮義務で、寄附の勧誘に当たって、自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにすることなどを設けました。しかし、この配慮義務には強制力はありません。取消しの対象にもなっておりません。損害賠償請求の手助けになるといっても、民事裁判で何年も何年もかかるということになります。被害防止のためにも、迅速な救済のためにも、配慮義務ではなくて禁止行為にすべきではありませんか。
○河野国務大臣 政府として、将来に向けて不当な寄附の勧誘による被害を繰り返さないために、被害救済、再発防止のための寄附適正化の仕組みを構築するべく準備をしているところでございます。新法案では、現行の日本の法体系の中で許される限り、最大限、禁止行為や取消権の対象とする方向で検討しております。具体的には、社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘行為を禁止するとともに、不適切な勧誘行為を受け、困惑した中で行われた寄附の意思表示には瑕疵があることから、寄附者を保護するため取消しを認めるという考え方に基づいて条文の整理を行っているところでございます。さらに、寄附の勧誘に当たっての配慮義務を規定するという二段構成を取ることを検討しておりまして、これにより、配慮義務に反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求が容易となり、更に実効性が高まるものと考えております。これらに加えて、子や配偶者などが、扶養債権に基づき、寄附者本人の取消権を代位行使できるようにすること、法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備等を支援する、こうしたことについて規定していきたいと思っております。こうした方針で、与野党の御議論も参考に、しっかりと、こうした将来の被害を防ぐ、あるいは救済ができるような、実効性のあるものにしていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 聞いたことに一切答えていないんですけれども、配慮義務ではなくて禁止行為にすべきではありませんかということを聞いているわけですよね。現行の法体系の中でぎりぎりということをおっしゃいますけれども、配慮義務の中身というのは、この間の民事裁判で、いずれも不法行為、違法だと判決が重ねられてきた中身であります。これは禁止行為にするのが自然ですし、そうすれば取消権の対象にもなり、速やかな救済につながる、そして被害の拡大防止にもつながるんじゃないですか。これは是非、禁止行為にしてください。
○根本委員長 国務大臣河野太郎君、簡潔にお願いします。
○河野国務大臣 禁止行為の対象とする場合、行政措置や刑事罰の適用にもつながるものであることから、現行の日本の法体系に照らせば要件の明確性が必要となります。他方、不適当な寄附のありようは様々なものが想定され、一概に要件を規定することができません。このため、禁止行為と配慮規定の二段構成を取ることで実効性を高めるというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 仮に刑事罰にし難いという立場に立っても、取消しの対象にするという判断は私はできると思いますよ。総理、全国弁連の皆さんが今日、様々、記者会見で新たな提案をしていますので、それを盛り込む検討を是非していただきたいと思います。よろしくお願いします。最後、総理、一言。
○根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので。
○岸田内閣総理大臣 これは、実際の裁判を考えた場合に、配慮義務を規定するということによって、配慮義務に反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為の認定、そしてそれに基づく損害賠償請求、これが容易になります。これは実効性を高めることになると考えます。そういった意味で、この配慮義務、先ほど、禁止行為の対象とする場合、行政措置や刑事罰の適用につながるものであるから、現行の日本の法体系に照らせば要件の明確性が必要になると河野大臣からも答弁させていただきました。こういったこともあるからして、配慮義務を規定するということにしたわけですが、このことの意味は決して小さくないということを申し上げております。
○根本委員長 宮本徹君、もう申合せの時間が過ぎております。
○宮本(徹)委員 時間になりましたので、終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

≪2022年11月29日午後 第210回衆院予算委員会第8号 補正予算委員会討論・採決部分議事録抜粋≫

○根本委員長 以上をもちまして令和四年度補正予算両案に対する質疑は終局いたしました。ただいままでに、立憲民主党・無所属、日本維新の会の二派共同による、渡辺創君外一名から、また国民民主党・無所属クラブの斎藤アレックス君から、またれいわ新選組の櫛渕万里君から、それぞれ、令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。渡辺創君。

○渡辺(創)委員 立憲民主党・無所属の渡辺創です。私は、立憲民主党・無所属及び日本維新の会を代表し、ただいま議題となりました令和四年度第二次補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。まず、編成替えを求める理由を申し述べます。令和四年度第二次補正予算においては、長期化する新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響など、国民生活を取り巻く厳しい経済状況を踏まえ、特に若者や子育て世代に対し、より具体的で効果的な対策を講じる必要があると考えますが、政府における対策は全く不十分です。したがって、我々は、若者、子育て世代への支援を抜本的に拡充するため、令和四年度第二次補正予算の編成替えを提案いたします。次に、編成替えの概要を御説明いたします。
第一に、安心して妊娠、出産できる環境を整えるため、出産費用の実質無償化を図ります。
第二に、養育費の不払いが子供の健全な成長を阻害することのないように、養育費の立替え払い制度を導入します。
第三に、児童手当の特例給付に係る所得制限によって特例給付を受けられない世帯に対して、相当額を給付することで、所得制限の実質的な撤廃を図ります。
第四に、家計の経済的負担の軽減を図るため、公立の義務教育段階の子供の給食費を無償化します。
第五に、奨学金の返済について、当面支払いを猶予し、有利子奨学金については利子を減免します。同時に、修学に必要な最低限度の生活費も確保できるよう、給付型奨学金や授業料減免の制度を拡充します。
これらの財源は、財政民主主義の趣旨に反して過大に積み上げられた新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費やウクライナ情勢経済緊急対応予備費、補正予算の緊要性の要件を満たさない支出の削減、並びに、それでもなお不足する分については特例公債の追加発行で手当てします。
以上が、立憲民主党・無所属及び日本維新の会の編成替えの動議の概要であります。委員各位に本動議への賛成を強くお願いして、趣旨の説明といたします。(拍手)

○根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

○斎藤(ア)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提案の令和四年度第二次補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。今年の二月二十四日に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵攻や記録的な円安などは、世界経済に大きな影響を与えました。特に、原材料価格やエネルギーコスト、物流コストの高騰に伴う物価高は、国民生活にとって喫緊の課題であります。政府は、こうした現在の状況を鑑み、消費者負担を可及的速やかに軽減するための所要の予算措置を講じるべきであります。長期にわたり停滞する我が国経済を動かすには、経済政策を積極財政に転換し、人づくりに積極的に投資して給料が上がる経済を実現しなければなりません。よって、国民民主党・無所属クラブは、我が国の構造的な問題、ウクライナ侵攻による経済の疲弊、ガソリン等の物価高、高騰に対し、真に国民生活を支える内容に令和四年度補正予算を替えるため、予算の編成替え動議を提案いたします。次に、編成替えの概要を御説明いたします。
第一に、物価高騰から家計を守るため、インフレ手当として国民に一律十万円の現金給付を行います。なお、迅速な給付のために一律で十万円を給付した上で、一定以上の高所得者に対しては確定申告時に所得税によって課税する所得連動型給付金とします。
第二に、ガソリン、軽油の大幅な値下げを実現します。実現のために、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除し、ガソリン価格が三か月連続で百六十円を超えたらガソリン税を一リットル当たり二十五・一円、軽油引取税を一リットル当たり十七・一円減税する仕組みを復活させます。
第三に、電気代の値下げを実現します。実現のために、電気料金に現在上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収を停止します。
第四に、ガス代値下げを実現します。LPガスは重要なエネルギーインフラになっているにもかかわらず、都市ガス使用世帯に比べ、負担が大きくなっています。LPガス使用世帯に対して負担軽減策を講じる必要があります。
以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替え案の概要であります。委員の皆様におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成していただくことをお願いして、提案理由説明といたします。

○根本委員長 次に、櫛渕万里君。

○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。私は、会派を代表し、令和四年度第二次補正予算案を撤回のうえ組替えを求める動議について、その趣旨を説明いたします。政府は、二十五年続く不況に、コロナ災害、戦争による物価高という三重苦にある国民の危機的な状況をまるで認識できておらず、組替えで国民生活を守ることが必要だと考えます。財政法の趣旨を踏まえ、真に緊要な項目に限定するため、政府提案の二十九・六兆円を全額削除した上で、歳入減八兆円と歳出増の五十五・四兆円、総額六十四・一兆円の組替え動議を提出いたします。以下が、概要となります。
まずは、歳入減の八兆円についてです。
一つ目は、消費税ゼロ。十二月以降に消費税ゼロとする場合に失われる歳入七・二兆円を計上します。半数を超える人がゆとりがなくなってきたと答えていますが、国民負担を軽減して不安を解消するため、一番の政策が消費税ゼロです。
二つ目は、ガソリン税ゼロ。税率を暫定的にゼロにする場合、失われる歳入〇・八兆円。予算を編成する財務省自身が販売価格に全額が反映されていないとする原油元売への補助金では不十分です。
次に、追加歳出の合計五十五・四兆円についてです。
一番目は、国民に季節ごと一律十万円の給付のうち、冬と春の分である合計二十五兆円の歳出を計上いたします。このまま物価高が続いては年が越せない、こうした国民の悲痛な叫びに応えます。
二番目は、国民健康保険料や後期高齢者医療制度、介護保険料など毎月の社会保険料の負担について、今年度の四か月分を引き下げる四・一兆円です。健康保険料を気にして病院に行けず、体を壊す。そんな本末転倒があってはなりません。
三番目、日本学生支援機構の貸与型奨学金の債務免除にかかる費用全額九・六兆円。巨額の借金を抱えたまま社会に出ることが、結婚や子育てなどのその後の人生に大きな影響を与えていることを見逃してはなりません。
四番目、大学院卒業までの教育費の完全無償化に三・八兆円。幼児教育から大学院まで、お金の心配なしに学べる社会を実現する。これが本当の人への投資です。
五番目は、介護士、保育士の月給十万円の賃上げです。これに一・二兆円。政府の九千円アップでは全く不十分です。構造的賃上げを目指すならば、公定価格で引き上げることのできる介護や保育の分野からまずは行うべきです。
六番目、農業従事者への直接支援に〇・七兆円。所得補償や就農支援、農産物の国による買上げ、備蓄、低所得者への食料支援に活用します。ウクライナでの戦争の教訓は、食料確保の重要性。今回の措置は、自給率を五〇%まで引き上げる第一歩です。
七番目、コロナ第八波に備える対策に四・四兆円です。医療機関への減収補填と医療従事者三十万人の臨時雇用とボーナス三十万円支給により、医療体制を強化します。感染者が増えるたびに救急医療が崩壊寸前になる。これまでの繰り返しを二度と起こしてはなりません。
八番目は、生活困窮者向けコロナ特例貸付けの返済免除に一・四兆円。来年一月から返済が始まる緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付けを受ける三百三十五万人の返済を免除します。困った人に借金させる仕組みが元々おかしいんです。
九番目は、実質無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資の利払い免除に〇・二兆円。地域において経済はもちろん文化の担い手でもある中小企業、零細企業等を対象に、ゼロゼロ融資の利子、利払いを免除します。
十番目は、水道光熱費の支払い免除に四・七兆円です。
そして、最後の十一番目は、医療、雇用、年金、子育て、介護の国民負担増の回復に〇・三兆円。医療の高齢者二割負担、雇用保険料率の変更、マイナス〇・四%の年金改定、児童手当特別給付の廃止、介護保険の利用者負担二割化など、メジロ押しだった国民負担増を元に戻すことが必要です。以上、かかる財源は全て国債発行で賄います。将来にツケを残すのかという意見もありますが、明らかに間違いです。日本は、コストプッシュインフレではあるものの、相変わらず需要不足、供給超過の状態で、国債は安定しています。今やるべきは、需要を増やし、まずは非常事態にある国民生活を救うことです。今こそ、積極財政による国民負担を軽減するための諸施策について各党の賛同を求め、組替え動議の趣旨説明を終わります。

○根本委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。これより討論に入ります。令和四年度補正予算両案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。討論の申出がありますので、順次これを許します。鰐淵洋子君。

○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。ただいま議題となりました令和四年度第二次補正予算案につきまして、与党を代表して、賛成の立場から討論いたします。賛成理由の第一は、物価高における国民生活を守り抜く予算である点です。これから暖房需要が高まる冬にかけて、エネルギー価格の高騰が家計を直撃します。そこで、ガソリン等の燃油価格を抑制する補助金を来年一月以降も継続するとともに、我が党の強い主張を受け、電気代に加えてガス代の負担軽減策も盛り込まれ、総額約六・三兆円を超える予算が計上されました。電気、都市ガス料金については、単価を一律に引き下げる簡素な仕組みで、請求書等には抑制効果が記載されます。間接的に支援を講じるLPガスについても、ホームページ等で価格抑制効果が発信されることとなり、国民の皆様が負担軽減を実感できる制度設計が進められています。第二に、子育て支援が一層強化される点です。子育て、教育を国家戦略に。公明党の強い主張を踏まえ、妊娠から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う事業を創設することとし、出産・子育て応援交付金が計上されました。実施主体となる地方の負担分について、地方交付税を増額して対応する点も高く評価しております。この制度は、孤立や不安を抱く妊産婦や子育て家庭に寄り添い、支えていく、恒久的な制度としてスタートさせるものでございます。公明党は、全国三千人の議員ネットワークを生かし、各地の実情、当事者のニーズに応じた制度づくりに総力を挙げてまいります。第三に、日本経済再生に向け、新しい成長と分配の好循環を実現する予算である点です。持続的、構造的な賃上げの実現が日本経済再生の鍵となります。そこで、本補正予算案には、リスキリングから転職まで一気通貫で支援を受けられる仕組みの整備や、中小企業の賃上げ、GX、DXなどの成長分野への前向きな投資を促すため、事業再構築補助金、生産性革命推進事業など、一兆円を超える中小企業支援策が計上されています。そのほか、園児の送迎用バスの安全装置改修支援、感染症対策、不測の事態に備えた予備費の十分な積み増しなど、国民生活の安心と安全に万全を期す予算となっております。以上、本補正予算案を早期成立させ、一日も早く国民の皆様に安心と希望をお届けできるよう、各委員の皆様の御賛同を求め、私の賛成討論といたします。なお、野党提出の三本の編成替え動議につきましては、見解を異にするため、反対することを申し述べておきます。(拍手)

○根本委員長 次に、渡辺創君。

○渡辺(創)委員 立憲民主党・無所属の渡辺創です。私は、会派を代表して、令和四年度第二次補正予算二案については反対、また、立憲民主党・無所属、日本維新の会提出の組替え動議については賛成、国民民主党・無所属クラブ及びれいわ新選組提出の組替え動議には反対の立場から討論いたします。今回の予算審議は、旧統一教会との関係が特に深い山際元経済再生担当大臣、仕事は死刑の判こを押す地味な役職などと発言した葉梨元法務大臣、政治資金規正法違反及び公職選挙法違反の疑いがある寺田元総務大臣と、三大臣が立て続けに辞任する前代未聞の事態が続く中、行われました。いまだ在職中の秋葉復興大臣もまた、政治資金規正法違反及び公職選挙法違反、旧統一教会との関わりなどの疑いが残されています。これら重要閣僚を任命した岸田総理の任命責任は重いと言わざるを得ません。予算の内容としても、国民生活を取り巻く厳しい経済状況を踏まえ、具体的で効果的な施策を講じる必要がありますが、政府案は不十分です。特に、子育て世帯や低所得世帯に対する給付は、対象が狭く、額も不十分です。また、予算の緊要性について、本補正予算には疑念を拭えない経費が含まれます。例えば、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に係る経費は、これまで全額が補正予算で計上されていますが、長期的計画に基づいて毎年必要となる経費は当初予算で計上するべきであり、補正予算での計上は妥当ではありません。加えて、基金の造成、積み増しに八・九兆円もの予算が計上されていますが、本来、中長期的な課題に対応することを旨とする基金事業に、かような額が計上されることは妥当ではありません。さらに、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費の新設に一兆円を計上した上で、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費を三兆七千四百億円積み増すなど、予備費は五兆円規模となっています。かような大規模な予備費の計上は、財政民主主義の趣旨を没却しかねません。以上の認識に基づき、令和四年度第二次補正予算二案については反対、立憲民主党・無所属、日本維新の会提出の組替え動議については、政府予算の足らざるを補い、無駄を削る内容となっていることから賛成、国民民主党・無所属クラブ及びれいわ新選組提出の組替え動議には反対することを申し上げ、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○根本委員長 次に、掘井健智君。

○掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。会派を代表して、令和四年度第二次補正予算案に対して反対、また、野党提出の編成替え動議に対して賛成の立場から討論をいたします。補正案に反対する第一の理由は、本当に必要な支出は一部にとどまり、その多くは、年度内に執行されない、不要不急の事業や支出だということであります。そもそも、補正予算は、財政法二十九条で、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限られております。しかし、今回の補正案では、基金の新設や増額に関わる支出が五十事業もあって、合計で八兆九千億円、補正総額の三割も占めております。複数年度にわたって支出されるこの基金は、今一番必要とされる、喫緊の課題である円安対策また物価高対策には何の役にも立っておりません。成長分野や人材育成のために必要だというのならば、しっかりと当初予算として計上すべきであります。加えて、予備費の計上が四兆円もあって、財政民主主義の観点から望ましいものとは言えません。反対する第二の理由は、数少ない緊急対策の中でも、そのやり方に的外れなものが目立つということであります。例えば、ガスや電気の小売事業者に補助金を出すことになっておりますが、価格高騰で困っている消費者を直接支援するものとなってはおりません。事業コストも高くなることが見込まれ、果たして実際どこまで消費者に恩恵が行き届くのか不透明であります。こうした補助金中心の支出は、既得権益を税金で保護し、政権の支持率アップや選挙目当てのばらまきのために補正予算を利用しているとの批判を免れることはできません。本当に効果的な物価対策、また生活者支援を行うのであれば、消費税を始めとする減税を行い、国民の可処分所得を増やす施策こそ決断すべきであります。そして、第三の理由は、成長戦略が抜け落ちており、次世代への投資が不十分な点であります。日本維新の会は、雇用の流動化を促す労働市場改革、そして新規参入を促す規制改革、DX促進、教育の無償化などに向けた抜本的な構造改革をパッケージで提案しております。また、組替え動議では、政府案に著しく欠けている次の世代への投資、出産費用の実質無償化、そして児童手当の所得制限の実質的撤廃、給食の無償化などを盛り込んでおりました。今、国民や我が国にとって本当に必要な財政支出と次世代への投資を大胆に行い、併せて成長戦略を描いていく。そのために、我が党が提出している総合経済対策の実現と、そして補正予算の組替えが必要であると強く申し上げ、私から、第二次補正予算案に対する反対、そして野党提出の編成替え動議に対する賛成の討論といたします。(拍手)

○根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

○斎藤(ア)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提案の令和四年度第二次補正予算二案に賛成、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論を行います。日本は、四半世紀にわたり賃金が上がらない中、ロシアのウクライナ侵略の影響と記録的な円安の影響で急激な物価高が進行しており、物価高対策は国民生活と国内経済のコロナ禍からの回復を促進する上で緊急に行わなければならないものです。まず、物価高騰から家計を守るため、インフレ手当として国民に一律十万円の現金給付を行うべきです。加えて、ガソリン、軽油、電気代、ガス代の大幅な値下げを、全国規模で、できるだけ多くの消費者を対象に、分かりやすく、そして無駄な経費がかからない形で実現することが必要です。そのためには、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除し、ガソリン減税を実現するとともに、現在電気料金に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収を停止し、そして、LPガス使用世帯に対して負担軽減策を講じる必要があります。国民民主党提出の編成替え動議は、以上申し上げた大きな柱に沿って、物価高対策と現状の需給ギャップを埋める対策を行い、コロナ禍からの回復途上にある経済と国民生活の改善を強く推し進めるものとなっており、委員の皆様には是非とも御賛同いただくことをお願い申し上げます。政府提出の令和四年度第二次補正予算二案については、財政法第二十九条の規定により、法律上又は契約上の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合に限り認められているところ、緊要性があるとはとても考えられない基金、ファンドの組成や積み増しがメジロ押しになっていることに加え、使途が定まっていない予備費が依然として多額に計上されているなど、問題も多く存在しています。政府には、国民民主党を含めて野党から指摘されたこれらの問題点に関して、真摯にそれを受け止めることを求めます。一方で、国民民主党が他党に先駆けて提案してきた電気料金の引下げ策が本補正予算には一定の規模感を持って盛り込まれているなど、本補正予算の成立による物価高対策の前進は、広く国民生活に恩恵が行き渡り、コロナ禍からの消費と経済、そして国民生活の回復を推し進めることが期待できます。したがって、物価高対策を更に前に進めていくことを今後一層強く政府に求めていくためにも、我が党の編成替え動議が否決された場合でも、本補正予算案には賛成させていただきます。国民民主党は、対決より解決、あくまで政策本位で行動してまいります。今後も、改革中道の立場から、国民のための政策を積極的に提案し、与野党問わず、是々非々で議論を行い、問題解決を目指していくことを国民の皆様にお誓いし、私の討論といたします。(拍手)

○根本委員長 次に、宮本徹君。

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。私は、日本共産党を代表して、政府補正予算案に対する反対討論を行います。そもそも、補正予算は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出等に限って組むものであります。ところが、政府の補正予算案は、最も緊要である物価高騰から暮らしを守る施策は全く不十分、その一方、緊要性がない多額の予備費や基金、軍事費などを計上しています。国民の暮らしの実情からも、財政法に照らしても、到底認められるものではありません。補正予算に多額の軍事費を計上し、次年度以降の歳出化経費を前倒しして盛り込むというやり方は、米国製兵器爆買いを進めた安倍政権が始めたものであります。財政法で規定された補正予算の趣旨を踏みにじるやり方です。しかも、今回盛り込まれている軍事費の多くは、辺野古の新基地建設や馬毛島基地建設など、米軍再編に伴う経費です。九月の県知事選で、沖縄県民は辺野古の新基地建設にノーの審判を重ねて示しております。辺野古の新基地建設は断念し、普天間基地は無条件で閉鎖、撤去を米国に要求すべきであります。また、馬毛島への基地建設に多額の予算が計上されていることは重大であります。米軍艦載機の夜間離発着訓練が種子島住民らの住環境を悪化させることは明らかであります。認めるわけにはいきません。また、本補正予算案には、四兆七千四百億円もの巨額の予備費が計上されています。本来、予備費は、災害等の予見し難い予算の不足に充てるものです。コロナ禍以降、巨額の予備費の計上が繰り返され、内閣が国会の審議を回避する手段となっています。国民主権の我が国において、予算は国会で審議し議決するのが原則であり、本補正予算案は、財政民主主義を踏みにじるものと言わなければなりません。さらに、本補正予算案に求められた、暮らしを守る支援策は極めて不十分であります。最低賃金を再改定することを決断すべきであります。賃金支払いが厳しい中小企業等には、各国でも取り組まれている社会保険料減免、賃金助成など、踏み込んだ支援を行い、速やかに全国一律千五百円を実現していくべきであります。公的価格、公定価格で国が責任を負っている介護、障害者福祉、保育など、ケア労働者の賃金を全産業平均に向けて引き上げるべきであります。学校給食無償化、高等教育の無償化、給付型奨学金の拡充、物価に合わせた年金引上げ、消費税減税など、暮らしを守る政治の責任を果たすべきです。以上指摘し、本補正予算案に対する反対討論とします。

○根本委員長 次に、緒方林太郎君。

○緒方委員 有志の会の緒方林太郎です。一九七五年、当時の大平正芳大蔵大臣は、初の赤字国債発行に際し、万死に値すると口にしました。安易に借金に頼るとき、雪だるま式に膨らみ、ツケは将来の世代が払うとの罪の意識を持ったのだと思います。私は決して赤字国債を全て否定するものではありませんが、本委員会での議論を聞く限り、本補正予算案の背景には、あるべき科学が存在しません。岸田総理、あなたは、大平正芳総理の志から学んでいない。学んだのは、田園都市構想に流行のデジタルをくっつけた、デジタル田園都市構想という正体不明の概念を生み出したことだけです。そして、赤字国債が膨らむことへの懸念を表明する議員が減りました。これは、民主党政権末期、毎年特例公債法を立てることをやめたことが影響しています。かつて、この仕組みについて、赤字国債を発行して後世にツケを回すことへの贖罪意識を持つようにするために、この法律を通す苦労をすることが必要なのだと言われていたそうです。けだし至言です。今や、誰もそのような意識を持たなくなりました。総理大臣が補正予算について、額ありきと平気で口にするようになったのはその証左です。私は当時、与党議員として、特例公債法の複数年化の法律に嫌々ながら賛成しました。今、自分自身、あのときの賛成を後悔しています。補正予算編成時、与党幹部は、責任を取るのは自分たちだといって、予算額の膨張を懸念する官僚を抑えたと報じられました。しかし、この予備費と基金で水膨れした予算が本当に執行されるとき、岸田総理、もうあなたは総理の座にいない可能性もあります。更に言えば、二十三兆円もの国債増発の責任を取れる人などいません。あなた方が語る責任とは、ただの選挙目当てではないですか。責任を本当に取らされるのは、今まだ生まれていない世代です。今、国会で改革を訴える政党が少なくなりました。円安誘導により日本を安売りしながらポピュリズムに堕したアベノミクスから続く政策体系が崩壊したのは、誰が見ても明らかです。しかし、対する野党も実は同じレールの上に乗っているのではないか。政治とは選択のアートであり、つらい選択を国民にしっかりとお願いしていく気概を持たなくてはなりません。しかし、この委員会室でその気概を感じることはまれです。今や国会は、ポピュリズムの館になったかのようです。私は、今の弛緩した日本経済と危機意識のない政治のてんまつを想像して、夜、震えが来ることがあります。しかし、我々は国権の最高機関の一員として、後ろを向くことは許されません。亡国の予算を乗り越え、この国を再興させるとの強い決意を述べ、私の討論といたします。(拍手)

○根本委員長 次に、櫛渕万里君。

○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。私は、会派を代表して、政府提出の第二次補正予算案及び立憲、維新の動議、国民民主党の動議に反対、れいわ新選組提出の組替え動議に賛成の立場から討論いたします。今回の補正予算は遅過ぎます。さきの通常国会から五か月もたって、今頃ようやく出てきました。また、国民に直接届くものが少な過ぎます。二十九兆円といいますが、企業や業界中心の基金が多く、また予備費四・七兆円など、見かけだけです。本来、補正予算は、特に緊急に必要となった経費のはずです。なのに、物価高に苦しむ国民に届く支出は僅かしかありません。この点で今回の政府案を見ると、緊要でない支出が多く見られます。例えば、米軍の再編に二千九百二十四億円が計上されていることです。スーパーで一円でも安い食料を探す国民からすれば、米軍向け支出がなぜ補正予算で必要なのか、理解に苦しむでしょう。合計で五兆円近い予備費が積まれていることも問題です。国費支出と国の債務負担には国会の議決が必要という憲法八十五条に違反する疑いがあります。巨額の予備費の計上が常態化していることは、民主主義の観点から大きな疑問であると言わざるを得ません。さらに、これだけの物価高の中、当然計上されるべき事項が計上されていない。具体的には、消費税ゼロ、少なくとも減税がなされていないことは、補正予算として明らかに失格です。消費税には逆進性があって、所得の低い世帯に不利になっている元々不公平な税制です。また、過去三十年にわたって実質賃金が伸びていない大きな原因になっています。物価高が深刻化する今こそ、消費税廃止、最低でも五%減税が有効です。このように問題点が山積みする政府案と異なり、先ほど趣旨説明いたしましたれいわ新選組提出の組替え動議は、安心して年が越せるよう、冬、春に国民一律十万円給付、そして、学生が借金を抱えたまま社会に出ないための奨学金全額免除、また、公定価格で介護、保育士の十万円賃上げ、そして、中小零細企業を救うゼロゼロ融資利払い免除など、こうした国民が今緊急に必要な対策に絞っており、財政法上からも理にかなったものと自負しています。委員の方々には、特に消費税減税法案を共同提出した会派に属する皆様におかれましては、れいわ新選組提出の組替え動議に是非御賛同いただきますよう、改めてお願い申し上げます。以上を申し上げ、私の反対討論を終わります。

○根本委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。まず、櫛渕万里君提出の令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○根本委員長 起立少数。よって、櫛渕万里君提出の動議は否決されました。次に、斎藤アレックス君提出の令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○根本委員長 起立少数。よって、斎藤アレックス君提出の動議は否決されました。次に、渡辺創君外一名提出の令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○根本委員長 起立少数。よって、渡辺創君外一名提出の動議は否決されました。次に、令和四年度一般会計補正予算(第2号)、令和四年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○根本委員長 起立多数。よって、令和四年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。