2022年11月29日 衆院本会議 2次補正予算案衆院通過 暮らし守る施策不十分 宮本徹氏 反対討論

 2022年度第2次補正予算案が29日の衆院本会議で、自民、公明、国民民主の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。日本共産党の宮本徹議員は反対討論で、「最も緊要である物価高騰から暮らしを守る施策は全く不十分である一方、緊急性がない多額の予備費や基金、軍事費などを計上している」と批判しました。
 宮本氏は、補正予算に多額の軍事費を計上し、次年度の歳出化予算を前倒しして盛り込むことは、「財政法で規定された補正予算の趣旨を踏みにじるやり方」と主張。しかも、盛り込まれている軍事費の多くが辺野古新基地建設や馬毛島基地建設などの米軍再編に伴う経費だと厳しく批判しました。
 宮本氏は、5兆円もの巨額の予備費にも言及。コロナ禍以降、巨額の予備費の計上が繰り返され、内閣が国会の審議を回避する手段となっているとも指摘し、「財政民主主義を踏みにじるものだ」と批判しました。
 物価高騰対策についても「極めて不十分」と批判。最低賃金の再改定を行うとともに、中小企業等への社会保険料減免の支援で全国一律の最賃1500円の速やかな実現、また国が責任を負う介護・障害者福祉・保育などケア労働者の賃金引き上げを要求しました。
さらに、宮本氏は物価高騰対策に逆行する国民負担増として、(1)介護保険の負担増(2)インボイス制度の中止(3)大軍拡と増税の中止―の三つの断念を政府に求めました。

以上2022年11月30日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年11月29日 第210回衆院本会議第12号 議事録≫

○議長(細田博之君) 令和四年度一般会計補正予算(第2号)、令和四年度特別会計補正予算(特第2号)、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長根本匠君。

○根本匠君 ただいま議題となりました令和四年度一般会計補正予算(第2号)外一案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。まず、補正予算二案の概要について申し上げます。一般会計補正予算については、十月二十八日に閣議決定された物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策に基づき、物価高騰、賃上げへの取組、円安を生かした地域の稼ぐ力の回復、強化、新しい資本主義の加速、防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全、安心の確保、今後への備えとして、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費及び新たに創設するウクライナ情勢経済緊急対応予備費に必要な経費の追加等を行う一方、歳入において、租税及び印紙収入の増収を見込むとともに、前年度剰余金の受入れや公債金の増額等を行うこととしております。これらの結果、令和四年度一般会計予算の総額は、歳入歳出共に第一次補正後予算から二十八兆九千二百二十二億円増加し、百三十九兆二千百九十六億円となります。特別会計予算については、交付税及び譲与税配付金特別会計、エネルギー対策特別会計など十一特別会計において、所要の補正を行うこととしております。なお、財政投融資計画については、総合経済対策を踏まえ、一兆二百十億円を追加しております。この補正予算二案は、去る十一月二十一日本委員会に付託され、翌二十二日鈴木財務大臣から趣旨の説明を聴取し、二十五日から質疑に入り、基本的質疑、集中審議、締めくくり質疑を行い、本日、質疑を終局いたしましたところ、立憲民主党・無所属及び日本維新の会の共同提案により、また、国民民主党・無所属クラブ、れいわ新選組のそれぞれから、令和四年度補正予算二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、趣旨の説明がありました。次いで、補正予算二案及び各動議について討論、採決を行いました結果、各動議はいずれも否決され、令和四年度補正予算二案は賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)

○議長(細田博之君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。森山浩行君。

○森山浩行君 立憲民主党・無所属の森山浩行です。(拍手)七月の安倍元総理銃撃事件の後、旧統一教会に関連する深刻な被害が次々に明るみに出る中、立憲民主党は、早くから被害救済対策本部を立ち上げました。カルト宗教対策には、目の前の被害救済や法人の解散命令請求、今後、国民の財産を守るための反カルト法制定などの段階があります。まずは、被害の実態を把握するため、弁護士連絡会や、続々と勇気を持って声を上げられた、いわゆるマインドコントロールを受けた信者の御家族、宗教二世の方々など被害者およそ二十人の皆様からお話をお伺いしました。その中では、学生時代にアルバイトでためた貯金や奨学金を親が寄附してしまった、キャッシュカードで勝手に借金をされて献金された、自己破産に追い込まれた、高額献金により家庭が崩壊したなど、献金地獄とも言える、純粋な信心による行動とは思い難い高額寄附の被害や被害者の悲鳴をお聞きしてまいりました。私たち立憲民主党は、日本維新の会と共に悪質献金被害救済法案を提出しています。いわゆるマインドコントロール下における悪質な勧誘行為による寄附被害、これこそ救済、予防策を講ずるべき対象であると与野党協議で重ねて訴え、問題意識は与党の皆さんとも共有してまいりました。しかし、現時点では、新法には十分な実効性があるとは言えない部分があります。岸田総理のあと一歩のリーダーシップで、与野党協力により、きちんと実効性のある被害救済、防止策を実現できると強く期待しております。さて、私は、会派を代表して、令和四年度補正予算案に反対の立場から討論をいたします。今回の補正予算では、長期化するコロナ禍や物価高騰の影響など、国民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、特に若者や子育て世代に対し、具体的で効果的な施策を講じる必要がありますが、政府案における対策は余りに不十分です。加えて、財政法二十九条に定める緊要性が担保されているか、疑わしいと言わざるを得ません。例えば、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に係る経費は本補正予算で一兆五千三百四十一億円計上されています。令和二年度第三次補正予算で一兆九千六百五十六億円、令和三年度補正予算では一兆五千二百十億円が計上されるなど、何と、これまで全額が補正予算で計上されています。長期的計画に基づき毎年必要となる経費でありますから、当初予算で計上すべきであり、補正予算での計上は妥当ではありません。さらに、予備費は過大な額に膨らんでいます。本補正予算では、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費の新設に一兆円を計上した上で、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費を三兆七千四百億円積み増しました。その結果、今年度の予備費は、一般予備費を含めて、本補正予算案も合わせると十一兆七千六百億円に達し、大規模な予備費の計上は財政民主主義に反します。こうした認識に基づいて、我々立憲民主党は、政府予算の足らざるを補い、無駄を削る組替え動議を日本維新の会と共同で提出いたしました。
我々の提出した組替え動議は、第一に、安心して妊娠、出産できる環境を整えるため、出産費用の実質無償化を図るものです。
第二に、養育費の不払いが子供の健全な成長を阻害することのないよう、養育費の立替え払いを導入します。
第三に、児童手当の特例給付に係る所得制限によって特例給付を受けられない世帯に対して相当額を給付することで、所得制限の実質的な撤廃を図るものです。
第四に、家計の経済的負担の軽減を図るため、公立の義務教育段階の子供の給食費を無償化するものです。
第五に、奨学金の返済について当面支払いを猶予し、有利子奨学金については利子を減免するものです。同時に、修学に必要な最低限度の生活費も確保できるよう、給付型奨学金や授業料減免の制度を拡充するものです。
これらの財源は、財政民主主義に反して過大に積み上げられた各種の予備費、補正予算の緊要性の要件を満たさない支出の削除、並びに、それでもなお不足する分については特例公債の追加発行で手当てするものとしています。
しかしながら、与党側はこの提案に一顧だにせず、組替え動議は否決されてしまいました。三年近いコロナ禍と厳しい物価高騰という未曽有の事態を乗り越えるためには、与野党が胸襟を開いて議論すべきですが、政府・与党にその姿勢が見られないことは大変残念です。そもそも、本補正予算案の基盤となった政府の経済対策は、与党内の議論で増額要求が相次ぎ、一夜にして四兆円もの額が積み上げられたと報じられており、余りにずさんで軽い判断だと言わざるを得ません。一か月で三人もの大臣が辞任し、さらに、国会で連日、大臣の資質問題を問わざるを得ない状況であり、下がり続ける内閣支持率の回復目当てに、額ありきで、一夜漬けで、密室で積み上げられた本補正予算案は、到底、国民全体の切実な声に応え得るものではありません。以上の理由から本補正予算案に反対するものとし、会派を代表しての討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

○議長(細田博之君) 堀井学君。

○堀井学君 自由民主党の堀井学です。私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となっております、令和四年度一般会計補正予算及び令和四年度特別会計補正予算、以上二案に対しまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)新型コロナ、世界的な物価高騰、そして緊迫の度合いを増す安全保障環境など、我々を取り巻く環境は日々厳しさを増しています。この難局を乗り越え、国民生活や事業活動を守り抜いていく。世界的な景気後退の懸念も高まっている中で、まずは足下の不安を解消するため、大胆かつ迅速な対策を講じることが急務であります。同時に、中長期的な視点に立って、日本経済の持続的な発展を実現していくために、成長に向けた投資と改革にも果断に挑戦していかなければなりません。こうした問題意識に応えるものとして、今回、政府が策定した総合経済対策や、その裏づけとなる補正予算は、質と量の両面から必要十分な内容を備えていると考えます。以下、本補正予算案に賛成する主な理由を申し述べます。
第一に、本補正予算においては、足下の喫緊の課題である物価高から国民の生活を守るため、電気料金、ガス料金の負担軽減策について、前例のない思い切った支援措置を講じています。同時に、足下の物価高に負けない賃上げの実現、さらに、リスキリングなど生産性を高めるための人への投資、労働移動の円滑化、この三つの課題を一体的に改革していくための施策が盛り込まれています。
第二に、円安への対応についても、エネルギー、食料品の価格高騰など、円安を通じて悪影響を受ける方々への支援にとどまらず、これを攻めの投資の好機と捉え、インバウンド観光の復活や農林水産物の輸出拡大、中小企業の海外進出を後押しするとともに、企業の国内投資回帰を促し、サプライチェーンを強靱化するなど、円安を生かした果敢な取組を力強く前へ推し進める予算となっています。
第三に、未来に向けて日本経済の持続的な成長を図るため、新しい資本主義の旗印の下で、大胆な投資を促す予算となっています。具体的には、コロナ禍で対応の遅れが顕在化したデジタルトランスフォーメーション、地球規模の対応が必要なグリーントランスフォーメーション、日本社会や経済にダイナミズムをもたらすイノベーションやスタートアップ、これらの分野に重点的に投資を行うことで、新たな経済成長と国民生活の向上の実現につながる予算であると考えています。
第四に、いまだ収束の見通しが見えない新型コロナから国民の命と暮らしを守りつつ、社会経済活動との両立を図っていくため、医療提供体制の確保やワクチン接種体制の整備等に必要な予算が盛り込まれています。さらに、激甚化する災害から国民を守るため、防災・減災、国土強靱化の推進に必要な施策を盛り込むなど、国民の安全、安心を確保するための予算となっています。
以上、本補正予算に賛成する理由を申し述べました。議員各位の皆様の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

○議長(細田博之君) 奥下剛光君。

○奥下剛光君 日本維新の会の奥下剛光です。私は、党を代表して、政府提出の令和四年度第二次補正予算案に対して、反対の立場から討論を行います。(拍手)この第二次補正が、現在の円安、物価高騰の経済危機から国民の暮らしとなりわいを守る対策ならば大いに結構なことですが、残念ながら、今回の経済対策はそうはなっておりません。
補正案に反対する第一の理由は、本当に必要な支出は一部にとどまり、その多くは年度内に執行されない不要不急の事業や支出だということです。二十九兆円の大型補正というのは看板だけで、その中身は、ほとんど円安にも物価高にも関係のない事業の羅列です。基金の新設や増額に関わる支出が五十事業もあり、合計で八兆九千億円、補正総額の三割を占めていますが、基金は複数年度にわたって支出されるもので、喫緊の課題である円安対策、物価高対策には即効性は全くありません。しかも、多額の基金の積み上げは、中長期に見れば、財政規律を大本から掘り崩す可能性もあります。加えて、予備費の計上が四兆円もあり、財政民主主義の観点から、望ましいものとは言えません。そもそも、補正予算の編成が認められているのは、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限られているはずです。基金の新設や積み増し、本来は本予算で組むべき支出のどこに緊要性があるのでしょうか。三十兆円を発射台にするなどと放言している方もいらっしゃるようですが、国民の血税を弄ぶ、全くもって無責任極まりないとしか言いようがありません。私が秘書時代にお仕えした宮沢喜一先生は、国民経済的視点に立って物価、賃金、所得への問題を考えることが必要であると、当時、幾度となく発言されておられました。まさに国民経済的視点が足りないと言わざるを得ません。
反対する第二の理由は、数少ない緊急対策の中でも、そのやり方に的外れなものが目立つことです。総理は、今回の補正予算で重視したのはエネルギー対策だ、給付金のような間接的な形ではなく、上昇分を目に見える形で抑制したとおっしゃられました。しかし、価格高騰で困っている消費者を直接支援するのではなく、実際には、ガスや電気の小売事業者への補助金です。これでは、事務コストも高まることが見込まれ、果たして実際どこまで消費者に恩恵が行き届くのかも不透明です。値下げを確認する方法について経済産業省はこれから検討すると言っていますが、結局、目に見えるのは多額の税金を使うということだけではありませんか。さらに、このやり方では、電気やガスを多く使えば使うほどたくさんの恩恵を受けることも危惧されます。これでは、富裕層や大企業を優遇することになり、限られた生活費の中で節約しながらやりくりしている人たちには大きな不公平です。こうした補助金中心の支出は、既得権益を税金で保護し、政権の支持率アップや選挙目当てのばらまきのために補正予算を利用しているとの批判を免れることはできません。本当に効果的な物価対策、生活者支援を行うのであれば、消費税を始めとする減税を行い、国民の可処分所得を増やす施策こそ断行すべきです。
そして、第三の理由は、成長戦略が抜け落ちており、次世代への投資が不十分な点です。政府の経済対策は、現在直面する円安、物価高騰に対して役に立たない一過性のびほう策ばかりで、将来に向けても、停滞から成長への戦略的な出口を全く示していません。これに対し、日本維新の会は、十月二十一日に、物価高騰等にかかる総合経済対策を岸田総理大臣に申入れいたしました。そこでは、雇用の流動化を促す労働市場改革、新規参入を促す規制改革、DX促進、教育の無償化などに向けた抜本的な構造改革をパッケージで提案しています。時限的な消費税の五%への減税、中小企業の社会保険料の負担の半減、地方臨時交付金の増額と、それによって授業料、給食費、出産費用を無償化することなど、これらは総額十八兆円で実現できるものです。また、日本維新の会が他党と協力して提出した組替え動議では、政府案に著しく欠けている次世代への投資、出産費用の実質無償化、児童手当の所得制限の実質的撤廃、給食費の無償化なども盛り込みました。短期的な財政支出こそ、まず子供たち、将来世代のために第一にどう使うのかという姿勢を政府は明確に示さなければなりません。加えて、大事なことは、貴重な財源をいかに効果的に使うかということです。必要なところ、効果が上がるところに最初からどんとお金を出すビッグプッシュ、一気集中投入こそが今求められています。小出し、後出しの失敗をこれ以上繰り返すべきではありません。財源についても、まず国民の負担ありきの姿勢は許せません。日本維新の会は、これまで何度も身を切る改革を主張し、自らも実践してきました。旧文通費について、日割り支給への見直しだけで終わらせることなく、さらに、領収書添付による使途公開や、未使用分の返還を義務づけるべきです。そして、議員定数削減を今こそ断行して、身を切る改革の範を国民に示すべきです。また、国民生活が逼迫する中、コロナ対応で始まった国会議員の歳費二割カットが七月末で終了したことも看過できるものではありません。無駄な支出を抑え、改革を進めてこそ、中長期的に国民の希望となる経済成長を生み出せます。今、国民や我が国にとって本当に必要な財政支出と次世代への投資を大胆に行い、併せて成長戦略を描く。そのためには我が党が提出している総合経済対策の実現こそが必要であると強く申し上げ、私からの第二次補正予算案に対する反対討論といたします。(拍手)

○議長(細田博之君) 斎藤アレックス君。

○斎藤アレックス君 国民民主党の斎藤アレックスです。私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました令和四年度第二次補正予算案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)本年の二月二十四日に突如始まったロシアのウクライナ侵略の影響と、記録的な円安の影響で、急激な物価高が進行しています。特に、原材料価格やエネルギーコスト、物流コストの高騰に伴う物価高は、国民生活にとって喫緊の課題となっています。国民民主党は、本年の夏の参議院選挙の際に、公党の中で唯一、電気料金の引下げを公約に盛り込み、その実現を政府に働きかけてきました。一部で課題があるものの、本補正予算には我々が求めてきた電気料金の引下げのための予算が盛り込まれ、来年更に高騰が予想される電気料金の値上げを抑制し、物価高に苦しむ生活者に広く恩恵がある対策となることが期待されます。政府には、引き続き、ガソリンなどの価格抑制策の実施過程で生じている、補助金が価格抑制に使われず元売会社の利益補填などに回ったり、また多額の事務経費がかかったりしているような問題が電気料金の引下げでも再現されないように、具体的な政策実行には最大限の注意を払うように求めます。同時に、本補正予算には、その審議過程にも、そして内容にも様々な問題点があることを指摘しなければなりません。来年度の本予算の審議を目前に控えたこの時期に組む予算として、緊要性があるとはとても思えない基金の創設や積み増しが膨大な金額に上るのみならず、使途が定まっていない予備費が依然として高い水準で積まれるなど、財政民主主義上問題のある財政運営となっており、政府にはその是正を強く求めていきます。今重要なのは、物価高対策と現状の需給ギャップを埋める政策を行い、コロナ禍からの回復途上にある経済と国民生活の改善を強く推し進め、長期低迷を続ける国内消費と日本経済の成長率を一気に押し上げることです。そのため、昨日の予算委員会で我が党の玉木代表が提案した、国民一人当たり十万円のインフレ手当を始め、子育て、教育支援策に係る所得制限の撤廃などの実現を引き続き求めていきます。最後に、日本経済が今抱える最大の問題の一つは、給料が上がらないことです。今必要なのは、何よりも賃上げ。給料を上げて物価高に打ちかつ、そして、労働人口がますます減少していく中でも経済社会を維持発展させていくことです。給料が上がる経済への転換、そして積年の日本社会の構造問題の解決に向けて、国民民主党は、あくまで政策本位で行動してまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(細田博之君) 宮本徹君。

○宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、補正予算案に反対の討論を行います。(拍手)そもそも、補正予算は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費等に限って組むものであります。ところが、政府の補正予算案は、最も緊要である物価高騰から暮らしを守る施策は全く不十分、その一方、緊要性がない多額の予備費や基金、軍事費などを計上しています。国民の暮らしの実情からも、財政法に照らしても、到底認められるものではありません。補正予算に多額の軍事費を計上し、次年度以降の歳出化経費を前倒しして盛り込むというやり方は、米国製兵器爆買いを進めた安倍政権が始めたものであります。財政法の趣旨を踏みにじるものです。盛り込まれている軍事費の多くは、辺野古新基地建設、馬毛島基地建設など、米軍再編経費です。九月の県知事選で、沖縄県民は辺野古の新基地建設にノーの審判を重ねて示しました。辺野古の新基地建設は断念し、普天間基地は無条件で閉鎖、撤去をアメリカに求めるべきであります。米軍艦載機の夜間離発着訓練のための馬毛島基地建設は、種子島住民らの住環境を悪化させることは明らかであります。認めることはできません。また、本補正予算案には、五兆円近い巨額の予備費が計上されています。本来、予備費は、災害等の予見し難い予算の不足に充てるものです。コロナ禍以降、巨額の予備費の計上が繰り返され、内閣が国会の審議を回避する手段となっております。国民主権の我が国において、予算は国会で審議し議決するのが原則であり、本補正予算案は財政民主主義を踏みにじるものであります。さらに、本補正予算案に求められた物価高騰対策は極めて不十分です。最低賃金を再改定し、賃金の底上げをすべきです。賃金支払いが厳しい中小企業等には社会保険料減免など踏み込んだ支援を行い、速やかに全国一律千五百円を実現すべきです。国が責任を負う介護、障害者福祉、保育などケア労働者の賃金を全産業平均に向けて引き上げるべきであります。学校給食の無償化、高等教育の無償化、給付型奨学金の拡充、物価に合わせた年金引上げ、消費税減税など、暮らしを守る政治の責任を果たすべきであります。加えて、物価高騰対策にも逆行する三つの国民負担増の断念を強く求めるものであります。
第一に、介護保険の負担増です。社会保障審議会で、介護保険利用料の二割負担の拡大などが検討されています。年収二百八十万円以上の方に二割負担が導入された二〇一五年、施設からの退所、配偶者の困窮などが起きました。何十年も保険料を納めながら、負担に耐え切れず、必要なサービスが使えないのであれば、国家的詐欺ではありませんか。高齢者の尊厳ある暮らしを守るために、負担増はやめ、介護保険の国庫負担こそ増やすべきであります。
第二に、インボイス制度の中止です。演劇、漫画、アニメ、声優のエンタメ四業界団体が行ったアンケートで、インボイスが施行されたら二割の方が廃業すると答えておられます。クリエーターの未来を奪い、業界の縮小、クオリティーの低下をもたらすと批判の声が大きく広がっております。多くの中小零細事業者が物価高で瀬戸際の状況にあります。インボイス制度は中止すべきです。
第三に、大軍拡と増税の中止です。総理が昨日指示した軍事費GDP二%、軍事費倍増は、増税で賄えば、国民一人当たり四万円、四人家族で十六万円です。国民は選挙でこのような大増税の信任を岸田政権には決して与えておりません。敵基地攻撃能力の保有は、安全保障のジレンマに陥り、軍拡競争をエスカレーションさせるだけではありませんか。岸田政権は、集団的自衛権として敵基地攻撃も可能としますが、攻撃されていない日本が他国領土を攻撃すれば、他国民も日本国民も危険にさらす戦争への道であります。外交で戦争が起きない関係づくりこそ、全力を挙げるべきです。以上、指摘し、本補正予算案に対する反対討論とします。(拍手)

○議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。