2023年2月13日 衆院予算委員会 強制不妊手術問題 解決急ぎ責任果たせ

配付資料 出典:優生保護法弁護団ホームページより宮本徹事務所抜粋(上段)、首相官邸ホームページより宮本徹事務所抜粋(下段)
配付資料 出典:文部科学省提出資料より宮本徹事務所抜粋
配付資料 出典:2022年10月26日衆議院厚生労働委員会会議録より宮本徹事務所抜粋

 日本共産党の宮本徹議員は13日の衆院予算委員会で、旧優生保護法による強制不妊手術について取り上げ、「原告が亡くなっていく中で速やかな全面解決に向けて、政府が責任を果たすべきだ」と迫りました。
 宮本氏は、大阪高裁が昨年2月、東京高裁が3月にそれぞれ、強制不妊手術を違憲だとして国の賠償責任を認めた判決を出し、松野博一官房長官も「判決を重く受け止め、一時金支給法について国会と相談し対応を検討したい」と述べたにもかかわらず、「1年で何も進んでいない」と指摘。「全面解決に向けて、一刻も早く官邸が責任を持ってイニシアチブを発揮すべきではないか」とただしました。
 松野官房長官は「政府としては、国会の議論を注視していきたい」と答弁。宮本氏は、非人道的な人権侵害を行った責任が国会にも政府にもあり、責任をどう果たすのかが問われているとして「全面解決のための指示を出すために、首相と相談してほしい」と訴えました。松野官房長官は「政府としては、国会の議論に可能な限り協力する」と繰り返すのみでした。
 宮本氏は、与野党議員にも解決に向け、責任を果たすよう呼びかけました。

以上2023年2月14日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年2月13日 第211回衆院予算委員会第10号議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、官房長官にお伺いをいたします。旧優生保護法に基づく強制不妊手術について、熊本地裁が憲法違反とし、国に賠償を命じました。国は不当にも控訴しましたが、地裁での原告勝訴は初めてであります。資料を配っておりますが、今後、二月二十四日、三月六日、三月十六日、三月二十三日、六月一日と相次いで判決を迎えます。松野官房長官は、昨年二月大阪高裁、三月東京高裁の判決を受け、記者会見で、判決について重く受け止め、一時金の水準を含め、国会と相談し、対応を検討したい、こうおっしゃいました。しかし、一年たちましたけれども、何にも進んでおりません。被害者は高齢であります。この一年の間にも亡くなられた原告の方がいらっしゃいます。解決へ一刻の猶予も私はならないと思います。松野官房長官、速やかな全面解決へ、官邸が責任を持ってイニシアチブを発揮すべきではありませんか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。旧優生保護法一時金については、令和四年六月に、超党派の優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟が開催され、厚生労働省から一時金の支給状況等について報告を行うとともに、今後の対応の在り方について検討をお願いしており、また、原告、弁護団らとの意見交換も行われたと承知しています。政府としては、国会の御議論を注視してまいりたいと考えております。また、そうした中でも、まずは一時金の支給対象者が確実に請求を行うことができるよう取り組むことが重要であると考えており、厚生労働省において、昨年七月に都道府県、十二月に都道府県及び関係団体に対して改めて積極的な周知、広報を依頼するとともに、昨年八月に都道府県、九月に関係団体に対して、医療機関、障害者施設等における旧優生保護法に関連した資料について保存期限を問わず保存を継続するよう、改めて依頼したところであります。今後とも、着実な一時金の支給に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 判決を重く受け止めといいながら、進んでいないんですよね。国会に丸投げだと駄目だと思うんですよ。国会に丸投げして、議連での会議は開かれましたけれども、自民党の中で意見がまとまらずに、全然進まない状況なんですよ。自民党の中で意見がまとまらないんだったら、それこそ官邸が責任を持ってこの問題の解決に当たるというのが判決を重く受け止めるという立場なんじゃないですか。許し難い非人道的な人権侵害を、国会も、そして政府も行った責任があるわけですよ。その責任をどう果たすのかというのが問われていると思うんですね。これからどんどん判決が出ますよ。毎回、記者会見で問われると思いますよ。是非踏み込んで、速やかな全面解決のための指示を出していただきたいと思うんですね。是非この点を総理と相談してください。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。一時金支給法に基づく一時金の水準等を含む今後の対応の在り方につきましては、一時金支給法が、超党派の議員連盟において取りまとめられ、平成三十一年四月、議員立法により全会一致で成立した経緯や、東京高裁判決、大阪高裁判決等では一時金の金額を超える認容額が示されたこと、これらを踏まえまして、政府としては、国会における御議論の結果を踏まえて対応を検討すべきものと考えています。政府としては、国会の御議論に可能な限り協力させていただくとともに、一時金を円滑かつ確実に支給することで、その責務を果たしてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 国会の議論に可能な限り協力するんじゃなくて、国会の議論が自民党の中で進まない状況になっているわけですから、総理が指示をするしかないと思うんですよね。ですから、その点を総理と是非相談してくださいと申し上げているわけですよ、この点。もうペーパーは読まなくていいですから、総理とも相談する、この一言、いただけませんか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。先ほど答弁をさせていただきましたとおり、この一連の経緯に関しまして、超党派の議員連盟の先生方による取りまとめがあり、議員立法により全会一致で成立した経緯もございますので、まずは国会の御議論をお進めをいただきながら、それを踏まえて、また政府として対応させていただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 本当に、しっかりやはり政府としての責任を果たしていただきたいと思います。同時に、与野党の皆さんにも呼びかけたいと思うんですね。この法律というのは、戦後直後に議員立法で全会一致で作られた法律なんですね。そういう点でいえば、国会自身にも重い重い責任がある問題だと思っております。それを、原告の方が亡くなっていく中で、全面解決に向けて責任を果たさないというのは、私は、立法府にいる一人一人が、それでいいのかということを自問自答しなきゃいけない問題だと思います。是非皆さんにも、速やかな全面解決へ、共に責任を果たすことを心から呼びかけたいと思います。続きまして、もう一問の方に行きます。官房長官、退席していただいて結構です。研究者の雇い止め問題についてお伺いいたします。文科省の調査では、三月末に無期転換権が発生する、十年を迎える有期雇用の研究者一万二千人のうち、五千人が雇用契約が未定で、一千人が契約を結ぶ予定がないということが明らかになりました。理研では、世界初の最先端の研究を担っている四十代の研究者が、再就職先が決まらず、韓国の企業に就職することになったと報じられました。博士課程に進む人が今急減しておりますが、目の前で先輩がいなくなっていく、こういう事態を放置していたら、研究職に希望が持てるはずがありません。今の大量雇い止めの問題というのは、日本の科学研究基盤を掘り崩していると言わなければならないと思います。加藤大臣にお伺いしたいと思います。文科省のアンケート項目にありながら文科省が公表していない項目がありまして、それを資料でいただきまして、資料の三ページ目につけております。特例ルールの対象者に対して、就業規則等で更新回数の上限や通算勤続年数の上限を設けている大学、研究開発法人が四七・六%に上っているわけですね。事実上の無期転換逃れになっているんじゃないかと思います。この雇用上限の撤廃を働きかけなきゃいけないと思います。とりわけ、無期転換ルールが法律でできた後に就業規則を変えて雇用上限を設ける不利益変更をしていないのか、そして、不利益変更をした就業規則を二〇一三年に遡及適用して、この三月末で不当に雇い止めをしようとしているのか、これを調査して是正指導する必要があると思うんですが、加藤大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 まず、一般論として申し上げますと、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えているところでございます。その上で、大学や研究機関の雇用管理は、まず、各法人が法令に基づき適切に対応すべきでありまして、文部科学省から、これまで累次にわたり、労働契約法の趣旨や好事例の周知徹底が図られていると承知をしております。その上で、厚労省としては、文科省等を含む関係省庁と連携し、無期転換ルールの制度の内容、趣旨の周知等を進めるとともに、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において、これまでも啓発指導を行ってまいりましたし、今後とも啓発指導等を行っていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 これは徹底的にやっていただきたいんですよね。本当に多くの研究者の皆さんが、今大変な事態に置かれているわけでございます。今も、来年度の雇用が決まらずに、一生懸命、どうにかしてくれということで交渉を続けている方々がいらっしゃいます。文科大臣にもお伺いしますけれども、大学についても、そして研究法人についても、所管は文科省であります。さらに、国立大学法人、研究開発法人でいえば、文科大臣には適法に法人運営をさせる責任も法律上あると思います。私大も含めて、しっかり体制を取って、個別に働きかけて雇い止めをやめさせる、この責任を果たしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的でいわゆる雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らしまして望ましくないと考えております。研究者等の雇用管理につきましては、各機関におきまして法令に基づき適切に対応する必要がございます。文部科学省といたしましても、周知徹底を図るとともに、今般の調査結果を踏まえまして、改めて各機関に適切な対応を求めているところでございます。特に、昨年九月時点におきましては今後の雇用契約の見通しが未定の方が約四割である点については、各機関におきまして、状況の把握、説明、相談などに取り組んでいただくことが必要と考えております。文部科学省といたしましては、昨年九月に調査を行うとともに、昨年十一月そして今年の二月に各機関に適切な対応を求める通知を発出するなど、累次にわたりまして働きかけを行ってきておりまして、引き続きましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 通知を出しているのは知っているんですけれども、通知を見ても全然正されていないわけですよ。実は、今日の午後も、理研の雇い止めになる皆さんが院内集会を開かれているわけですよね。その中でも本当に悲痛な訴えが行われております。ですから、通知を出しておしまいにするんじゃなくて、一つ一つの大学や研究機関に対して、どうなっているんだ、法律の趣旨に基づいてちゃんと研究者の未来を守ってくれ、そして研究者の未来を守ることが日本の研究力にとっても大事なんだ、こういうことをしっかりやっていかなきゃいけないんですよ。通知を出しておしまいというんじゃなくて、ちゃんと大臣が、人も配置して、しっかり責任を果たす必要があるんじゃないですか。いかがですか。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。独立行政法人でございます理化学研究所におきましては、法人の自主性、自律性の下に運営されることが基本でございまして、労働契約法令に基づきまして、引き続き適切な人事運用を行っていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 そういう法人任せの対応をしていたら、研究者の雇い止めは止まりません。これを放置していたら、毎年毎年、十分の一の任期付の研究者に同じことが起きるんですよ。一年目にしっかり対応を取らなきゃ駄目なんですよ。その責任を果たさないと、本当に日本の研究力はこのままどんどんどんどん低下しますよ。
○根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。
○宮本(徹)委員 この問題の解決に責任を果たすこと、あわせて、この問題の根本的な解決のためには財源の確保も必要ですので、その点もしっかり責任を果たしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。