2023年2月28日 衆院予算委員会 婚姻の平等訴え 首相「不当な差別ではない」

配付資料 出典:宮本徹事務所作成

日本共産党の宮本徹議員は28日の衆院予算委員会で、同性婚を認めないのは国による差別だと指摘し、岸田文雄首相の決断で一刻も早い民法改正による婚姻の平等の実現をと訴えました。首相は「同性カップルに法的な結婚を認めないことは国による不当な差別だとは考えていない」と強弁。宮本氏は「婚姻の平等を実現してほしいとの当事者の話を聞いていないのか」と厳しく指摘しました。
宮本氏は、同性婚を認めない国に2021年の札幌地裁が「差別的扱い」、22年の東京地裁も「違憲状態」との判決を出したことや、同性婚賛成の世論は7割にのぼるとの報道に言及。自民党内に賛成派も少なくはなく、首相の決断で自民党の党議拘束を外し、「同性婚成立にぜひ挑もう」と訴えました。しかし首相は、「さまざまな運用の状況を注視して議論する」と拒否。宮本氏は「国民の中の議論は熟している。熟していないのは自民党の中だ」と厳しく批判しました。
また宮本氏は、教育無償化、障害児福祉などに所得制限があることで必要なサービスを我慢せざるをえない実態を紹介。所得制限で困難に直面する当事者の声を聞くべきだと迫りました。首相は「当事者の考えや、実際にどれだけの負担が生じているのかを把握することは重要だ」と述べました。

以上2023年3月1日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年2月28日 第211国会衆院予算委員会第15号議事録≫

○根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。総理、今国会にかかっている予算は、安全保障政策の大転換の予算であります。しかし、野党の皆さんが様々指摘されましたけれども、総理はちゃんと説明してきたでしょうか。ほとんど何も明らかになっていないんじゃないですか。明らかになったのはトマホークミサイル四百発、これぐらいじゃないですか。敵基地攻撃能力、集団的自衛権行使の際、どういうふうにやるのか、例示すら示されていないわけですよ。総理、この予算委員会で安全保障政策の大転換について説明が尽くされた、こうお考えですか。
○岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的強化、安全保障政策については、予算委員会の質疑の中で、質問を受けたことについては丁寧に説明するよう心がけてまいりました。今後とも丁寧な説明に努めてまいりたいと考えています。
○宮本(徹)委員 いや、丁寧に説明を受けたなんて思っている議員は、この中にほとんどいないですよ。与党だってそうだと思いますよ。その上で、大軍拡予算の根拠についてお伺いします。国家安全保障戦略では、二〇二七年度において、予算水準が現在の国内総生産、GDPの二%に達するよう、所要の措置を講ずるとあります。GDP比二%という数字の根拠はどこから来たんですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、防衛力の抜本的強化の内容の積み上げと併せて、これらを補完する取組として、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費、これを積み上げました。この積み上げの考え方が大前提であります。一方で、NATOを始め各国は、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示しており、我が国としても、国際社会の中で、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、GDP比で見ることは指標として一定の意味があると考えております。このため、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、そのための予算水準が現在のGDP比二%に達するよう所要の措置を講ずることにした、これが二%に対する考え方であります。
○宮本(徹)委員 積み上げで出したら、何ぼという具体的な数字になるわけですよね。それに対して、GDP、経済力に見合ったという言い方を今されましたけれども、だったら、別に今の一%でもいいわけですよね。二%という数字がどこから出てきたのか。これは元々、アメリカがNATO諸国に対して二%を求めて、二〇二〇年度に、アメリカのエスパー国防長官がNATO以外の同盟国に対しても二%の防衛力の整備を求めた。その後に、自民党の選挙公約にも二〇二一年から、GDP二%、これが入ったわけですよね。数字を積み上げた、積み上げたということを言っていますけれども、実際には、アメリカがGDP二%というのを求めてきて、その要望に応えた、規模ありき、こういう予算になっているんじゃないんですか。
○岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的強化については、現状で国民の命や暮らしを十分守れるのかどうかという現実的なシミュレーションを行いました。そして、率直に言って現状は十分ではないという認識に基づいて、拡充を考えたということであります。そのために積み上げを行い、一方で、世界各国が、今の不透明な国際情勢の中で、国際社会の平和と安定を守るために自ら責任を果たし、そして自らの防衛力を強化するということを考えた場合に、GDP比で考える、GDP比を一つの指標として考えている。こうした国際社会の状況を考えますときに、日本も、自らの責任を果たし、国際社会の平和と安定に貢献をしていく、こういった姿勢を示すという点において、GDP比で自らの防衛力を考えるということも意味があるということを考え、こうしたことを併せて、二〇二七年度にGDP比二%に達するよう所要の措置を講ずることとした、これがGDP比の考え方の基本であると思っています。
○宮本(徹)委員 世界各国とおっしゃいますけれども、二%というのは、アメリカの同盟国の世界の話なんですよね。中国と南シナ海で領有権争いをしているフィリピンの軍事費はGDP一・〇四%ですよ。マレーシアは一・〇六%ですよ。永世中立国のスイスはGDP比〇・七一%、オーストリアはGDP比〇・八%。別に、二%以外の国は幾らだってありますよ。アメリカの中国包囲網の肩代わりとしての大軍拡にすぎないということを厳しく指摘しておきたいと思います。次に、子育て予算についてお伺いいたします。総理は子育て予算倍増とおっしゃるわけですけれども、倍増の基準も中身も分からずじまい。私は、とても採決できる状況じゃないと思うんですよね。私は、基本的質疑で、教育の無償化、障害児福祉、子育て支援、所得制限の撤廃を求めてまいりました。どの所得制限も大変深刻な問題があります。この週末も、子供を大学に進学させることができなかったというお話も聞きました。それから、障害児福祉、医療の所得制限では、放課後デイサービスの必要な利用日数を我慢したり、必要な補装具の買換えを我慢したり、きょうだい児が進学を我慢したり、こういう深刻な実態があります。あるいは、高校の給付型奨学金の対象は住民税非課税世帯となっているわけですけれども、小学校で就学援助を利用していた多くの人が、よりお金のかかる高校で支援がなくなってしまう、こういう問題があります。私立高校の無償化の所得制限を超える世帯からは、私立高校という選択肢はない、公立高校の受験も、学力から見て確実に受かるところを受験して、第一志望のところにチャレンジできない、こういう声も聞いています。総理からこの様々な所得制限撤廃について確たる答弁がないわけですけれども、事態の深刻さを総理自身が是非把握していただきたいと思うんですよね。それぞれの所得制限で当事者がどういう困難に直面しているのか、是非、総理自身が当事者の話を聞くべきじゃありませんか。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 それぞれの所得制限、それぞれの制度において当事者の話を聞くべきであるという御指摘をいただきました。数多くの様々な制度において当事者の方々がどのように考えているか、それを把握することは重要であると考えています。障害児福祉の所得制限など御指摘がありましたが、それぞれについて、目的や支援方法に応じてそれぞれの制度に所得制限が設けられている、こうした状況の中で、実際としてどれだけの負担が生じているのか、こうしたことについて把握をしていくことは重要だと思います。先ほども別の委員への答弁の中で申し上げたように、障害児支援に係る福祉サービスについては、きめ細かい配慮を行うことによって、利用者の九割は負担率が平均二%程度となっている、こういった現実もあります。この辺も踏まえて、どう対応していくのか、丁寧に整理をしたいと考えます。
○宮本(徹)委員 是非、当事者の話を聞いて判断をしていただきたいと思います。その上で、最後ですけれども、同性婚、LGBT差別禁止についてお伺いしたいと思います。総理も、当事者のお話を聞いて、この間、認識を深められていることだと思います。総理、同性カップルに法的な結婚を認めないというのは、国が同性愛者を差別している、こういう認識はございますか。
○岸田内閣総理大臣 憲法第二十四条第一項は、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると規定しており、当事者双方の性別が同一である婚姻の成立、すなわち同性婚制度を認めることは想定していない、これが政府の考え方であります。したがって、少なくとも、同性カップルに公的な結婚を認めないことは、国による不当な差別であるとは考えておりません。
○宮本(徹)委員 当事者の皆さんのお話、何を聞いたんですか。婚姻の平等を実現してほしいというお話を聞いたんじゃないんですか。同性婚を実現していないことそのものが差別なんだ、こういう声を総理はお聞きになったんじゃないんですか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど憲法との関係で申し上げましたが、御指摘のように、様々な関係者の方々からお話を聞きました。そうした話を聞くについても、丁寧な議論が必要だということを強く感じました。今後とも、国民の皆さんの様々な声ですとか、国会における議論ですとか、さらには同性婚に関する様々な裁判の結果ですとか、さらには地方自治体におけるパートナー制度の実施の状況ですとか、そういった点もしっかり念頭に置きながら議論を行っていきたいと思っています。
○宮本(徹)委員 国民の声を聞いたりとか、自治体のパートナーシップ制度の状況を聞いたりだとか、いろいろ見ながらということをおっしゃいますけれども、国民の意見という点でいえば、総理も、この間、ここで議論になって、あるいは世論調査を見られているとおり、圧倒的にもう同性婚は認めるべきだという世論になっているわけですよね。もう決着が国民的にはついていると思いますよ。それから、自治体のパートナーシップ条例についても、人口のカバー率は六〇%まで来ている、もう多数になってきているわけですよ。そして、裁判の動向ということをおっしゃいましたけれども、これについても、この間、二〇二一年の札幌地裁の判決、これについては、同性カップルに法的効果を認めないのは差別的取扱いに当たる、憲法十四条違反と言いました。昨年十一月の東京地裁の判決でも、憲法二十四条二項に違反する状態にある、こういうことは指摘されているわけですよね。国会における状況も、自民党を除けばみんな賛成ですよ。自民党の中だって、賛成の方は少なからずいらっしゃると思いますよ。私は、総理が決断して、同性婚を認める法案を閣法として出す、そして自民党が党議拘束を外して採決すれば、サミットまでに実現できると思いますよ。是非、総理、挑もうじゃありませんか。
○岸田内閣総理大臣 同性婚制度の導入については、これは国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観とも密接に関わる問題であり、その意味で、全ての国民に幅広く関わるものであるという認識を申し上げています。だからこそ議論が必要であるということで、先ほど申し上げました様々な意見や議論や裁判や、あるいは様々な制度の導入、運用の状況、しっかり注視していきながら議論を進めていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 国民の中の議論は熟しております。
○根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。
○宮本(徹)委員 熟していないのは自民党の中です。総理の決断を求めて、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。