2023年3月22日 衆院厚生労働委員会 学童指導員処遇改善を 宮本徹氏「なり手不足深刻」

配付資料 出典:神奈川県商工団体連合会提供資料
配付資料 出典:厚生労働省提出資料

 日本共産党の宮本徹議員は22日、衆院厚生労働委員会で、学童保育指導員の処遇問題を取り上げ、専門性の高い指導員は非正規の不安定雇用をやめ常勤を増やし、賃金を上げるべきだと主張しました。
 宮本氏は、学童保育指導員のなり手不足が深刻な状況にあり、新年度まで1週間だが、19人の職員が確保できていない自治体もあると指摘。「学童スタッフの75%が非正規で1年契約などの不安定雇用で低賃金だ。学童の待機児童解消という点で、人材確保が重要だ」として、政府の認識をただしました。
 加藤勝信厚生労働相は「人材確保は非常に大事。子どもとの安定継続的なかかわりが重要で長期的に安定した形態の雇用が求められる。他方で、職員の雇用形態や賃金水準をどのように定めるかは、各市町村が判断するものだ」と答弁しました。
 宮本氏は、学童クラブが設置されている自治体のうち放課後児童支援等処遇改善事業の実施自治体はわずか23%で、公設公営でみると昨年始まった9000円の処遇改善策への申請自治体は345自治体で42%しかないと指摘。「その他の処遇改善も含めて、処遇改善事業がしっかり活用されるような改善が必要だ」と主張しました。
 加藤厚労相は「さらに働きかけを進める。制度内容を周知するよう自治体に促す」と答えました。宮本氏は「夏休み等は1日保育が続き、常勤が2人以上は必要」として、常勤増を求めました。

以上しんぶん赤旗ホームページ2023年3月24日配信記事から抜粋

≪2023年3月22日 第211国会衆院厚生労働委員会第4号議事録≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、Colaboの件についてお伺いします。三月二十日、東京都が、Colaboに委託しております若年被害女性等支援事業について、今日のバスカフェから実施方法の変更、事実上の中止を求めました。Colaboの事業に対して執拗な妨害がこの間行われておりますが、東京都の対応というのは妨害者に対して成功体験を与えるものだと厳しい批判の声が上がっております。東京地裁は、十四日、妨害していた四十代男性について、Colaboへの接近や妨害活動を禁止する仮処分を決めております。その効力というのは新宿区役所から半径六百メートル。Colaboにほかのことでやってくれと言っても、逆に、接近、この効力がある外で活動しろみたいな話になってしまうわけですよね。私は、この事業の実施に責任を負っているのは東京都ですから、その東京都が、妨害行為をやめさせるのではなくて妨害行為に屈して、Colaboの方に歌舞伎町でのアウトリーチ支援、これを事実上中止を求めるというのは、支援が必要な人に支援が届かなくなる極めて重大な問題だと思いますが、大臣の認識を伺います。
○加藤国務大臣 御指摘の若年被害者女性等支援事業は、様々な困難、問題を抱えながら、行政機関等に支援を求めることが難しい状況にある若年女性に対し、公的機関と民間団体が密接に連携し、アウトリーチ支援等を始めとする個々のケースに応じた支援を行う大変重要な事業であります。また、どのような事業であれ、暴言や威力等の妨害行為等によって支援が必要な方に支援が届かなくなるようなことは、あってはならないと考えております。一方、この事業、今委員からもお話があったように、実施主体は東京都であります。東京都からは、支援を必要とする女性の安全確保は最重要課題である中で、現場において様々な妨害行為がなされているため、団体に具体的安全策を求めたものの、現時点においては、支援を必要とする若年女性が安心して利用できる環境が整わず、効果的な支援活動を実施することは難しいことから、女性の安全確保を優先し、必要な支援を確実に行うための別の効果的な実施方法の検討を求める判断に至ったと聞いております。いずれにしても、困難、問題を抱える若年女性の支援が安全かつ適切に行われるよう、厚労省としても、東京都を始め関連機関と連携をしていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 これは事業に対しての妨害なんですよね。安全策を取れと求めるんじゃなくて、妨害している側に対して、東京都が、妨害するなと、こういうことをやる必要が本来あるんじゃないですか。三月一日四十八人、三月八日も三十七人、支援を必要としている方々への取組というのが行われているわけですよね。私、本当に、今回、こういうことを放置して、妨害者に屈して、やらないというようなことを東京都が先頭になってやるようなことになったら、これはほかの事業にも影響してきますよ、ほかの事業にも、ほかの地域にも。私、これは本当に、東京都任せではなくて、どうしたらいいのかというのは厚労省として真剣に考えなきゃいけない話だと思いますよ。大臣、そう思いませんか、これ。屈しているんですよ、事実上、今の東京都の対応というのは。
○加藤国務大臣 申し上げたように、東京都として、現時点では、支援を必要とする若年女性が安心して利用できる環境が整わず、効果的な支援活動を実施することが難しいという判断をされたわけであります。委員のおっしゃることも否定するつもりはありませんが、ただ、今ここに支援をする女性がおられる、その女性に対して、よりどういう対応を取っていくべきなのか、そういう視点に立った御判断ではないかというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 東京都の立場を擁護されるわけですけれども、しかし、現に、妨害行為の中でも女性への支援は行われてきているわけですよ。必要な人に行われているわけですよ。それができなくなってしまうというのが、今、東京都が取ろうとしている態度なわけですね。これは本当に、与党の皆さんもColaboの事業を応援されている方は多いと思いますので、是非、東京都に対しての働きかけをお願いしたいと思います。それから、二つ目の問題ですけれども、年金保険料の徴収の問題についてお伺いします。私どものところにはいろんな相談が来ますけれども、納付の意思を有する滞納者に対して、分割納付や換価の猶予、あるいは納付期限の延長などを柔軟に認めてくれない、さらには、暴言だとか売掛金を差し押さえるなどの高圧的な対応、強権的な徴収、こういう話が来ます。配付資料を見ていただきたいんですけれども、これは、ある年金事務所が保険料の滞納事業者の方々に送った封筒の写しであります。たくさんの張り紙が貼ってありますけれども、人の目が描かれて、これを見ただけでもぎょっとするものになっているわけでございます。何でそんなことに現場がなっているのかということなんですけれども、いろいろあると思うんですけれども、裏面に、年金機構の行動計画というのを、二〇二一年度のものと二〇二二年度のものをつけておきました。二〇二一年度の厚生年金保険等の徴収対策に係る行動計画では、「事業所の置かれた状況に応じ、既存の納付の猶予及び換価の猶予の適用を積極的に行う。」だとか、あるいは、「個々の事業所の置かれた状況や心情に十分に配慮した迅速かつ柔軟な対応を行う。」こういう文言があったわけですけれども、二〇二二年度の行動計画からはこうした文言はなくなってしまったわけです。代わりに、「安定的な保険料収納の確保と収納率の向上を図ることを基本的な方針とする。」となったわけです。私は、こうした方針の変化が、物価高騰、コロナ禍に続いて大変な状況に事業者の皆さんがある中で、無理な徴収に至らせているのではないかというふうに思います。ここは、大臣、是非、年金機構に対して、社会保険料の滞納徴収に当たっては、こうした強権的な売掛金等の差押えはやらない、当事者に寄り添って徴収猶予等の相談に誠実に乗るよう指導を是非していただきたいと思いますし、あわせて、この計画ですよね、行動計画。二〇二三年度の行動計画には、二〇二一年度と同じように、この物価高騰なんだから、ちゃんと事業者に寄り添った、丁寧に対応してほしい、こういう中身を復活させるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○加藤国務大臣 日本年金機構と私どもの関係でありますが、その行動計画の中身一つ一つについて申し上げるという立場ではないわけでありますが、ただ、今御指摘の封書でありますけれども、これは不適切な対応と認識をしておりまして、既に、送付した年金事務所から関係事業者に謝罪するとともに、封書が回収されたというところであります。機構においても、他に同様な事例がないかという調査をしたところ、そうした事例はないとのことでありますが、今後こうしたことが起きないように対応していきたいと思っております。また、社会保険料の納付が困難である事業所への対応については、電話や文書による納付勧奨を行い、それでも納付されない場合には、事業所の経営状況や将来の見通しなど丁寧にお聞きしながら、納税の猶予などの相談に応じているということでございますし、安定的な保険料収納の確保と収納率の向上を図るというのは、これまでも日本年金機構がそういう対応をしてきたところでありますが、その中で、コロナ禍で納付の猶予ということがあり、新型コロナの影響に対応するため、令和二年一月から十二月までの分の保険料に係る特例を実施をしました。その期限後なお納付が困難な事業所については、既存の猶予の仕組みを活用して、事業所の状況に応じて柔軟に対応してきているところであり、本年度についても、コロナ禍における納付猶予特例を引き継いで、既存の猶予を活用していただいた事業所について、猶予の延長協議の期限を迎えるところも出てきているところでございますので、そうした状況に対しては、丁寧にお話を聞きながら、適切な対応をするよう日本年金機構に指導していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 その指導の中で、是非、行動計画についてもよく考えてほしい、そういう記載というのは年金事務所一つ一つの行動に影響を与えますので、お願い申し上げます。三つ目の問題です。昨年、介護事業者等への電気代、ガス代等への支援が不十分じゃないかということを取り上げさせていただきました。医療機関、介護事業者、障害福祉事業者等々、引き続きやはり大変だという声が寄せられております。例えば、都内のある特養ホームですけれども、もう本当に、自治体からの支援だけでは不足しているので、今加配で配置している職員を一人減らす、こうせざるを得ないということを決めたという話なんかも先日伺いました。追加の支援をしなければならないというふうに思いますし、さらに、賃上げ、これも含めた支援をしていかなきゃいけないと思うんですが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、本日、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の積み増しを含め、物価高克服に向けた追加策を示したところでございます。引き続き、交付金の活用を通じて、地域の実情に応じたきめ細かい支援が行き渡るよう、自治体と連携を図るとともに、次期報酬改定に向けた議論も行っていく中で、物価の動向や医療機関の収支の状況等も注視していきたいと考えておりますし、また、処遇改善については、現場で働く方の給与を恒久的に三%引き上げるための措置も講じたところでございますので、そうしたものも併せ、注視していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 追加の支援と併せて、やはり報酬も、私は、臨時の報酬改定も含めて、これだけの物価高騰の中で、社会全体では春闘、闘って賃金を上げると言っているけれども、やはり公定価格で賃金水準が左右されるところは報酬を引き上げないとその原資が出てこないわけですから、そこも是非与党も含めて検討していただきたいと思います。それから、四点目、学童の問題について私も取り上げさせていただきます。先ほど田中委員からも、学童落ちたというハッシュタグが話題になったというお話もございました。待機児は解消せず、学童は大規模化しております。一方で、指導員のなり手というのが大変深刻です。あと一週間で新年度が始まりますけれども、例えば、都内のある区では、まだあと十九人、学童の指導員、会計年度任用職員ですけれども、確保できていない。そういう自治体が都内を見ても幾つもあるわけでございます。あるいは、全国に話を聞いても、人数が増えて大規模化したので分割しようと思って場所まで確保したけれども、指導員を募集しても集まらずに分割することができなかった、こういう話も伺うわけです。ですから、学童の待機児童解消という点でも人材確保は極めて重要だ、この認識は大臣、ございますでしょうか。
○加藤国務大臣 今委員からお話がありましたように、待機児童が発生している市町村等からお話を聞きますと、支援員の確保ができずに、利用希望の増加に対応する受皿が確保できなかった、昨年度臨時的に開所していたクラブが今年度は開所できなかったなど、人手不足の状況、また、継続的な雇用が難しいといったケースがあることは私どもも承知をしているところであります。まさに人材確保は非常に大事であります。放課後児童クラブで働く方々の賃金改善の実施に対する費用補助、あるいは放課後児童支援員の就職支援等に対する費用補助等を行ってきたところでありますが、引き続き、放課後児童クラブの受皿そのものの整備と併せて、逆に、整備を進めるに当たって必要な人材の確保、これが図れるよう支援を行っていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 やはりなり手不足ということを考えた場合に、原因に処遇の問題があると思うんですね。不安定雇用にあるということと賃金の低さというのがあると思うんですね。公設公営の場合は、会計年度任用職員でやっている場合もかなり多いわけですよね。全体で見ても、学童で働いている職員の七五%が非正規だと。一年契約などが大変多いわけです。私は、これは本当にやはり安定雇用にしていかなければならないというふうに思うんですけれども、その点の認識をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 職員の体制については、放課後児童クラブ運営指針においても、「子どもとの安定的、継続的な関わりが重要であるため、放課後児童支援員の雇用に当たっては、長期的に安定した形態とすることが求められる。」としているところであります。他方、職員の雇用形態や賃金水準をどのように定めるかは運営主体である各市町村において判断いただくものでありますから、そうしたものも踏まえて適切に判断をしていただきたいと考えておりますし、先ほど申し上げたような、我々としても人材確保の観点から様々な支援策も講じているところでございますので、こういったものも活用しながら安定的な人材確保を行っていきたいと思っております。なお、放課後児童クラブ職員における常勤職員について、まだ水準は決して高くありませんが、平成二十七年の二六・八%が令和四年には三四・一%と、七・三%改善したという数字もございますので、こうしたことも踏まえながら引き続き対応していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 今日は総務省にも来ていただいていますので。
○尾身副大臣 お答えいたします。各自治体においては、多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加え、会計年度任用職員が地方行政の重要な担い手となっていると承知しております。個々の職においてどのような職員を任用するかにつきましては、対象となる職の職務の内容や責任などに応じて、任期の定めのない常勤職員や臨時、非常勤職員などの中から各自治体において、適切な制度を選択していただくべきものと考えております。総務省といたしましては、今後も適正な任用が図られるよう取り組んでまいります。
○宮本(徹)委員 本当は、政府として常勤の方が好ましいという判断を学童については持っているわけですから、総務省はやはり自治体に対してもそういう指導をちゃんとしていかなきゃいけないと思いますよ。あわせて、その賃金水準ですけれども、三つの処遇改善事業が学童の職員にはありますけれども、これは余り使われていないわけですよね。学童クラブが設置されております自治体のうち、放課後児童支援等処遇改善事業の実施自治体は二三%。二〇一七年にできたキャリアアップ処遇改善事業の実施自治体は二九・二%。また、昨年始まった九千円の処遇改善、これの申請自治体は一千百四十五自治体で七〇・三%。これも三割が申請しておりません。しかも、この処遇改善を見ますと、公設公営の学童クラブで見ると、八百十三自治体のうち自治体が申請しているのは三百四十五自治体で、四二%しかないわけですね。公設公営のところで何で利用率が低いのかということを聞きますと、他職種の会計年度任用職員との差をつけるわけにはいかないなどの理由で取得しないんだ、こういう話も聞くわけですが、これはもう本当に、非正規公務員を安く使おう、こういう発想だと思うんですね。私はこういう発想も変えてもらわなきゃいけないと思います。あとは、その他の処遇改善も含めて、全体使われない一つの理由が、やはり自治体負担が三分の一あるというのも理由になっているわけですね。ですから、今、子供予算倍増ということをおっしゃっているわけですけれども、こうした処遇改善事業がしっかり活用されるような改善が必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、この処遇改善に取り組む市町村の具体例をお示ししながら、積極的な検討をまだそうしたことを実施していない市町村に対してお願いしてきたところでありますけれども、更にそうした働きかけをしっかりとさせていただきたいと思っております。なお、補助率でありますが、今、補助率が例えば処遇改善でいえば三分の一となっていますけれども、しかし他方、残った部分、地方負担については地方交付税等での担保等も行っているところでございますので、そうした点も含めてしっかりとこの制度の内容を周知し、より活用していただけるように、そして職員の処遇改善が進むように自治体に促していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 今日、総務省に来ていただいておりますけれども、地方自治体、公設公営の方がこの処遇改善が進んでいないと。これはどう対応されますか。
○尾身副大臣 お答えいたします。放課後児童支援職員の処遇改善事業につきましては、総務省といたしましても、各自治体が本事業の趣旨を踏まえて、対象となる職員の処遇改善について適切に対応いただけるよう通知を発出するなど、事業所管省庁と協力して取り組んでまいりました。地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、民間等との均衡を考慮して定められるものであることも踏まえつつ、各自治体において、放課後児童支援員の適切な処遇が確保できるよう、引き続き、必要に応じて、事業所管省庁と協力して取り組んでまいります。
○宮本(徹)委員 通知だとかお願いだとか、それだけじゃなくて、やはり本当に、制度的な改善も含めてしっかりやっていかなきゃいけないと思いますし、そもそも、やはり、地方自治体が、正規職員は厳しい定数管理をやって、安く会計年度任用職員で多くの人に働いてもらおう、こうなっているところ自体、私は変えていかなければならないというふうに思います。是非そこは、子育て予算倍増の中でも考えていただきたい点です。とりわけ学童は、夏休みなどの長期休みは一日保育が続くわけですよね。これは、三人のうち一人が常勤でいいというのでは回らないわけですね。常勤は二人ぐらいいなきゃ無理だという話も聞きますので、常勤職員、しっかり増やすということも是非少子化対策の中で考えていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。