2019年3月2日 衆院本会議 消費税増税反対討論

≪2019年3月2日 第198回衆院本会議第9号 議事録≫

○議長(大島理森君) 宮本徹君。
〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、所得税法改正案に断固反対の討論を行います。(拍手)本法案に反対する最大の理由は、ことし十月からの消費税増税を強行しようという点にあります。今国会、これまでの質疑を通じて、この消費税増税はやってはならないことがいよいよはっきりしました。こんな深刻な消費不況のもとで増税していいのか。家計調査ベースでもGDPベースでも、消費税は、八%増税の打撃を回復するに至っておりません。この指摘に、総理も、家計消費について、水面上に顔を出していないと、増税前を回復していないことを認めました。ならば、消費不況に追い打ちをかける消費税増税など絶対にやってはならないではありませんか。消費税の最大の問題は、低所得者ほど負担が重い逆進性です。総理も逆進性を認めました。一部税率を八%に据え置いても、今回の増税で逆進性が一層強まることは明らかであります。政府は、消費増税の際に低所得者対策をとると言います。しかし、住民税非課税世帯でない低所得者の高齢者世帯には何か対策があるのか。茂木大臣は、大学の学費の軽減や給付型奨学金を挙げました。これが高齢者のみの世帯に恩恵が及ぶ対策なのでしょうか。年収二百から三百万円の単身の勤労者への対策があるか。茂木大臣は、マンション購入の際の税制措置を挙げました。食費も住居費も切り詰めている、収入の少ない単身勤労者で、一体マンションが購入できる方がどれだけいるんですか。全く支離滅裂な説明ではありませんか。政府の対策では、逆進性を持つ消費税増税の矛盾は解消しないことは明らかであります。政府は、住民税非課税世帯への対策はあると言います。しかし、住民税を非課税としている世帯に重い負担となる消費税増税を重ねることは、生計費非課税の原則に真っ向から反しております。富をふやし続ける富裕層、内部留保を積み上げ続ける大企業を優遇している不公平税制こそ改めるべきであります。総理肝いりの増税対策として、五%ポイント還元が打ち出されました。中小・小規模事業者を支援するためと言います。しかし、キャッシュレス決済を導入すれば、事業者は、手数料も維持費もかかり、利益が削られます。それを補うだけの売上げはふえるのか。政府は、キャッシュレスを導入したから必ずふえることを保証できるという話ではないと正直に答弁しました。一方、キャッシュレス決済導入を避ければ、ポイント還元策によって売上げが落ち込むでしょう。これのどこが小規模事業者支援なのか。零細業者いじめではありませんか。天下の愚策、ポイント還元はやめるべきであります。さらに、複数税率とセットで導入されるインボイス制度は重大です。政府は、百六十一万の免税事業者が課税事業者に転換し、新たに発生する消費税の負担は、一事業者平均十五万四千円との見込みを明らかにしました。その試算の根拠は、一事業者当たり、売上げは約五百五十万、利益は約百五十万円です。ここに十五万円を超す消費税は極めて大きな負担であります。今でも多くの事業者が消費税を価格に転嫁できずに苦しんでおります。日本商工会議所の調査では、消費税増税分を価格に転嫁できる見込みと答えた小規模事業者は五割程度。消費税が価格に転嫁できなければ、事業者はどうやって消費税を納めるのか。何度聞いても、政府は、価格に転嫁できるように取り組みたいと繰り返すだけでした。インボイス制度の導入は、利益がわずかな事業者に、身銭を切って消費税納税を強いることになります。小規模事業者を苦境、廃業に追い込むインボイス制度の導入は撤回すべきであります。最後に、重い消費税増税を国民に求めながら、トランプ政権言いなりに米国製兵器を爆買いし、大軍拡を進めていることは、断じて許されるものではありません。消費税増税は中止し、応能負担の税制改革に踏み出すことを強く求め、反対討論とします。(拍手)