2020年11月18日(水) 衆院厚生労働委員会 ワクチン関連法案可決 有効性、安全性確認の第三相試験の実施、接種開始前に努力義務の適用を外すことを求める

 ワクチン接種費を全額国が負担し、健康被害が生じた場合は国が補償する新型コロナウイルスワクチン接種関連法案が18日、衆院厚生労働委員会で全会一致で可決されました。
 日本共産党の宮本徹議員は法案採決に先立つ質疑で、免疫には人種差があり海外の承認薬を国内で使い重大な副作用が過去に起きたことを示し、「『第三相試験』(検証的臨床試験)を行うべきだ」と主張。前日の参考人質疑でも同様の声が上がったことにふれ、実施を迫りました。
 田村憲久厚労相は「(第三相試験を)欧米並みにやろうとなれば、ワクチン接種時期がかなり遅れる」と答え、実施については明言しませんでした。
 同法案では、ワクチン接種の努力義務について例外的に適用しないことも可能になっています。宮本氏は、接種は自己判断が尊重されるとしたうえで「第三相試験をやらないもとで、努力義務はなじまない」と批判。接種が始まる前に努力義務を外すことも法律上は可能かとただしたのに対し、田村厚労相は「求められている効果・効能等を比較考慮し、(努力義務を)外すことはあり得る」と答えました。
 宮本氏が後遺症についてただしたのに対し、正林督章(としあき)健康局長は「8月から実態の把握や原因究明の調査研究をしている」と表明。来年4月以降、報告書を提出すると答えました。

以上2020年11月19日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2020年11月18日 第203回衆院厚生労働委員会第5号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。大臣、東京の本日の新しい感染確認者数は四百九十三人ということで、過去最多ということが今速報で流れている状況であります。きょう朝から議論になっておりますけれども、GoTo事業のあり方も含めて、東京は警戒レベルを一番最高まで上げる検討をするということも流れておりますけれども、GoTo事業のあり方も含めて、至急やはり専門家の皆さんの意見を聞いていただくしかないと思うんですよ。先ほどの川内さんとのやりとりでははっきりしなかったんですけれども、北海道もそうですし、東京もこういう事態だということで、至急、専門家の皆さんの意見を聞いて、GoTo事業の見直しも含めて検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕
○田村国務大臣 先ほども申し上げておりますけれども、GoTo事業のことは常に会議の中で検討させていただいておりますので、その中で専門家の方々のいろいろな御意見が出てくるということになれば、それを踏まえた上で検討させていただきたいというふうに思います。
○宮本委員 ですから、常にやっていると思うんですけれども、こういう最高の感染状況に東京もなってきているということなわけですよ。前回も私、議論させていただきましたけれども、飲食の場で感染が広がっている、五つの場面に注意しましょう、しかし、それがなかなか伝わっていないと。伝わっていないと言いながら、GoToイートは、税金を出してどんどん食べに行きましょうというのは、どう考えても政治が出すメッセージとしてとんちんかんなんですよ。ここはすぱっと、感染拡大防止、今何が必要なのか、そのためにGoToも一旦見直す、繰り延べる、みんなで一旦終息方向に向かいましょうというのをぜひ政治としてメッセージを発していただきたいですし、厚労大臣としてしっかり役割を果たしていただきたいということを申し上げまして、ワクチンの質問に入ります。それで、昨日、参考人質疑がありました。午前も紹介がありましたけれども、その場で岡部参考人から、コロナの分科会のメンバーであり、政府の内閣参与でもある岡部先生は、やはり第三相試験を基本的にはやるべきだという意見をおっしゃっておられました。大変重たい意見だと思いますので、大臣の受けとめをお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 PMDAの今回の評価のあり方というものは、先ほど来、理事長も来られておりましたので、お話が出ていたと思います。安全性に関しては、国内でも臨床試験をやる中において確認をしていく。それから、有効性に関しましては、もちろん一定の安全性もそうなんでしょうけれども、海外でやっているもの、これにおいて、例えば発症予防効果でありますとか重症化予防効果、こういうものをしっかり確認しながら、免疫原性が一貫しているということを確認した上で最終的には評価をしていくということでございますので、一定の臨床試験はやりますから、その中においても安全性というものは確認していくということになると思います。
○宮本委員 それはもうずっとその答弁は聞かせていただいているわけですけれども、そういう政府の答弁があるもとで、昨日、岡部先生も、やはり第三相試験は基本としてやるべきだろう、人数だとか期限だとかを決めてやるべきだということをおっしゃっているわけですね。さらに、きのうの参考人質疑で宮坂先生からはこういう話があったんですね。過去に海外データのみで第三相試験を行わずに新薬をスピード認可して痛い目に遭ったことがある、抗リウマチ薬のアラバ、二〇〇三年に第三相試験なしに承認、日本の登録患者五千三百二十名中、二十五名が間質性肺炎で死亡した、海外ではほとんど間質性肺炎の報告はなかった、薬の量が外国人に合う量と日本人に合う量は違ったんだという話だったわけですよね。ワクチンで第三相試験をやらずにこのまま接種を始めて、こうした間違いが起きない、こうした大変な事態が起きないという保証はないんじゃないですか。
○田村国務大臣 何度も申し上げますけれども、日米欧で薬事規制当局でいろいろと議論をする中において一定の考え方というものをPMDAも用いるということでございまして、それが先ほど申し上げていることであります。一方、きょう、午前中、健康局長でしたか、申し上げたと思いますけれども、薬事承認された後、接種が始まる中で、医療機関の関係者等々を打っていくという一応優先順位がありますけれども、そういう中において副作用報告等々があれば、それに対してはしっかり我々は評価をして対応していくということになるわけであります。
○宮本委員 ですから、打ち始めていろいろな被害が出たら取り返しがつかないじゃないですかという話だと思うんですよね。もし、第三相試験を行わずに、実は、このワクチンは欧米の人には合ったかもわからないけれども、どうも日本人には違う作用が働いてしまった、重大な健康被害が相次ぐような事態になったら誰が責任をとるんですか。責任は誰もとれないんじゃないですか。
○正林政府参考人 予防接種法に基づいて接種が開始されて、結果として健康被害が発生した場合は、法に基づき健康被害救済制度が適用されると思います。
○宮本委員 健康被害救済制度があるから第三相試験はやらなくていいんだというのは、それはちょっと暴論じゃないですか。やはりできる限りの安全性、有効性を確認しなきゃいけないという責任が私はあるというふうに思います。それで、朝からの議論を聞いていますと、第三相試験を海外ではやっているんだ、日本人の第一相、第二相と比較したら、人種差も含めて有効性、安全性は確認できるんだという答弁がされているわけですけれども、本当にそうなんですかね。もしそんなことができるんだったら、世界じゅうどこでも第三相試験は要らないということになっちゃうわけですよ。世界じゅうと言わないですけれどもね。海外の薬については要らないという議論にもなっちゃうわけですよね。私はそうじゃないと思うんです。ファイザーでいえば、日本人は百六十人、第一相、第二相の試験ということが言われておりますが、百六十人程度で、免疫原性だとか、副反応と有害事象の頻度と内容が同程度なのか調べるということを言っておりますけれども、百六十人程度の第一相、第二相と海外の第三相を比較するというのは、統計学上これで十分な数なんですか。
○鎌田政府参考人 百六十というのはファイザーを前提とされているので、個別の医薬品についてのお答えにはなりませんけれども、繰り返しで恐縮でございますが、先ほど来申し上げていますように、新型コロナワクチンの評価の考え方におきましては、日本のように感染症患者の発症率の低い国におきましては、ワクチンの評価につきまして、海外での大規模な臨床試験での効果、そして、海外の臨床試験と国内臨床試験との間の免疫原性が一貫しているかということを総合的に勘案するということとしておりまして、それを見て、可能な限りのデータ、そして最新の科学的知見で御指摘の点について承認審査していくということになります。
○宮本委員 だから、総合的に勘案なんという何かいろいろなときに使う適当な言葉で説明されたら、本当にみんな困っちゃいますよ。何にも説明していないですよ、総合的に勘案なんて言われちゃうと。例えば、百六十人といったら、年齢ごとで分けると二十代から八十代までですよね、ファイザーのもので見たら。年齢ごとで見たら、二十代は二十人とか、その程度ですよね。せいぜい二十人程度ぐらいですよね、二十、三十、四十と。二十人程度のしか調べない、それぞれの年代でいえば、ということになっているわけですよね。基礎疾患の有無だとかいろいろなこと、年齢による違いだとかいろいろなこと、有効性、安全性を確認する際には考えなきゃいけないことがたくさんあると思うんですけれども、百六十人でいいとは私はとても思えないんですよ。感覚としても大臣もそう思われませんか。それは、事前に各国の薬事規制当局間でそういう話になっているという話はもう何回も聞きましたけれども、それでも専門家の皆さんからは、やはり第三相試験をした方がいいんじゃないか、この百六十人で大丈夫なのかという声が上がっているわけですよ。岡部先生は与党の皆さんが推薦して来ていただいたわけですからね。そこをどうお考えなんでしょうか。
○田村国務大臣 それは、岡部先生自身が、第三相というものを十分に広範にやれる、短期間の間にということであればそういうことなんだろうと思いますが、御承知のとおり、日本の場合、感染者が欧米と比べてかなりの数少ないので、そういう意味からすると、三相試験をしっかり欧米並みにやろうということになればワクチンの接種時期というのはかなりおくれるということも予想されるわけでありまして、そういうことを総合的に判断した上で、今回のことを各欧米の薬事当局、規制当局と話す中において一つの考え方として示してきているわけであります。そこのところは、なかなか、我々としても非常に悩ましいところであることは確かでありますが、いかにしてワクチンを早く国民の皆様に安全で、そして有効なものをと考えたときに、このような一つの考え方ということでPMDAの中においてまとめていただいたということであろうと思います。
○宮本委員 残念ながら、日本の感染状況も今どんどんどんどん広がっている状況ですから、それはまだ欧米並みではないというのは当然そうですけれども、一定の規模で時間を区切ってやるというのは私は一つの選択だというふうに思います。その上で、抗体依存性感染増強、ADEについてきょうも議論になっておりましたけれども、ちょっとお伺いしますけれども、新型コロナウイルスは、再感染した例というのがいろいろ海外でも報告されておりますけれども、再感染した例、そして、再感染で重症化した例というのはどれぐらい起きているのか、そして、それは一般的に起こり得るものなのかということについてお伺いしたいと思います。
○正林政府参考人 お答えします。一般的には、感染症に罹患すると抗体を獲得し、治癒した後は短期間に再感染することは考えにくいものとされています。今般の新型コロナウイルス感染症については、感染後に抗体を獲得する可能性が高いとされている一方で、抗体の持続期間等は現在研究が進められている段階であり、再感染の詳細に関する知見は限られていると認識しています。具体的な再感染の事例については、例えば、香港大学において、新型コロナウイルスの感染の回復後に再び陽性と診断された症例が報告されていると承知しています。また、御指摘の再感染における重症化については、今般の新型コロナウイルス感染症について、再感染した際に初回感染時よりも重症化したとの報告がある一方で、それに反する報告もあり、現時点で二度目の感染で重症化するという性質は明らかになっていないと承知しています。いずれにしても、御指摘の点も踏まえ、新型コロナウイルスに関する科学的知見を収集してまいりたいと考えております。
○宮本委員 再感染して重症化した例もあるけれども、それが一般的なものかどうかまだわからないということですが、きのうの参考人質疑では、感染によって善玉の抗体ができるのか、あるいは疾病増強をもたらすような悪玉抗体ができるのかというのは、一般的には個人的な差があるというお話でした。人種差があるのかと私は聞きましたけれども、人種差についてはわからないというお話だったんですよね。百六十人の臨床試験を今ファイザーも日本でやっているということなわけですけれども、きのうのお話では、この百六十人では実際に今の日本の感染状況では感染する人はほとんどいないであろうと。なので、ADEが起きるかどうかの人種差の確認はとてもできないのではないかということなんですよね。ですから、その点は、抗体をいろいろ比較して調べるということをやっても、再感染でADEが起きやすいか起きにくいかという人種差については、この百六十人の臨床試験だけではとても答えが出ないのではないか。この点はそうですよね。
○鎌田政府参考人 まず、一般論としてお答えいたしますが、御指摘の疾患増強、ADEについては、臨床試験の結果、それから動物試験の結果を勘案して検討いたします。また、個別の開発品目については申し上げられませんが、これも一般論ですが、私どもとしては、企業が集めたデータ、治験のデータですが、それを踏まえて御指摘の点も含めて承認審査していくということになります。
○宮本委員 ですけれども、百六十人だと感染する人がほぼ出ないでしょうから、このワクチンによってADEが起きるか起きないかもわからないじゃないですか。それは企業の治験を当然集めて調べていただかなきゃいけないですけれども。ですから、このADEの問題、人種差があるかどうかもわからないと言われていることを一つとっても、私はちゃんと一定の検証的臨床試験、第三相の試験をやる必要があると思います。あわせて、先ほど田村大臣から、接種を始めるときに一万人程度の方について一定期間調査するというお話があったので、これについても少しお伺いしたいんですけれども、これは基本的には何を目的にして行うということでよろしいんでしょうか。
○正林政府参考人 午前中も御答弁申し上げましたが、これは、接種開始時に、最初に接種を行う被接種者、仮に医療従事者の方がトップグループであれば恐らく医療従事者になると思いますが、そういう方々に協力を求めて、そうした方々の同意のもとに、接種後、一定期間の健康状況を報告いただき、迅速にその結果を取りまとめて公表するということを検討しています。目的としては健康状況の報告ですので、いわばどんな副反応が出るかとか、そういったことも報告の一つになるかと思っています。
○宮本委員 先ほどの説明ですと、そうすると、予防接種を順番に打っていく際に、まずこの一万人だけ先にやるのか、それとも、全体で並行して何十万人、百万人と打つ中で一万人の人を調べるのか、どちらなんですか。
○正林政府参考人 一万人の方が先に打つという考えもありますし、同時並行的ということもあるかと思います。まだ現段階では決めておりません。これから検討していきたいと思います。
○宮本委員 基本的には私は第三相試験をやるべきという立場ですけれども、もし政府がそういうことを考えているんでしたら、私は、同時並行的じゃなくて、先にまず一万人希望者を募ってやるというやり方が当然とられるべき方法だと思いますよ、もし安全性をちゃんと確認しようというためにこういうやり方を考えられているんでしたら。一遍に打ち始めたら、健康被害がいっぱい出たら本当に大変な事態になりますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。これは一定期間調査をするということですけれども、それはどれぐらいの間隔を考えていますか。
○正林政府参考人 今はまだ検討中ですので、どのぐらいの期間かは決めておりません。
○宮本委員 それから、あと、一万人程度ということなんですけれども、この一万人の根拠というのは何なんですかね。
○正林政府参考人 午前中に一万人と申し上げましたが、まだ数字もきちんと固めたわけではありません。これからきちんと検討していきたいと思います。
○宮本委員 大変生煮えのままきょうのいろいろな報告があったのかなという感じがしますが、これは専門家の皆さんの知見も交えて改めて考えないと、何となく、与党から一万人規模でやれと初日に質問があったから、じゃ一万人で、こういうことでというので通そうとしているのかなという感じもしてしまいますので、ここはしっかりと議論は詰めていただきたいなというふうに思います。それから、PMDAの審査ですけれども、これは審査期間を短縮するということを言われているわけですね、通常なら一年ぐらいかかるけれども、迅速にやると。じゃ、この審査で省略を検討しているものは何なんでしょうか。
○鎌田政府参考人 お答え申し上げます。新型コロナワクチンについては最優先で審査をするということにしております。それで、可能な限り審査期間の短縮を考えているわけでございますが、それは、基本的には、プロセスを省略するのではなくて、品質、有効性、安全性に関して必要な確認は実施するという前提のもとに、申請前から、企業からの相談対応、その中で無駄な作業というんでしょうかをなくす、あるいはあらかじめ審査当局の考えを伝えるということでございます。それから、申請後におきましても、先ほども申し上げましたように最優先で処理をするということで、全体の作業の迅速化を図るということを考えているところでございます。
○宮本委員 確認ですけれども、先ほど基本的にという言い方をされたから心配なんですけれども、プロセスで有効性、安全性にかかわるものについて省略するものはないという理解でよろしいわけですね。
○鎌田政府参考人 薬事承認については、プロセスの省略ではなくて、安全性、品質、有効性に関して必要な確認をしていくという考え方でございます。
○宮本委員 じゃ、それは今までやってきたものを省略するものはないということで確認をさせていただきたいというふうに思います。次に、努力義務についてお伺いをしたいというふうに思います。今回、この努力義務は外せることにもなっているわけですけれども、接種が始まる前にも努力義務を外すことは法律上可能ですよね。
○正林政府参考人 可能です。
○宮本委員 接種が始まる前に努力義務を外すというのは、具体的にはどういうケースが想定されるんでしょうか。
○田村国務大臣 使用実績が乏しい中でございますので、接種開始時という話だと思いますけれども、このときに、予防接種の安全性、有効性、これに対しての情報量に制約が生じる等が起こった場合には努力義務を外すということはあり得ると思います。
○宮本委員 それは今までの説明以上のものを出ていないので、余り具体的ではなくて、よくわからないんですけれども、情報は初めから限られているわけですから、その論理からいえば、初めから外していればいいという話になるというふうに思います。先ほど、一万人になるかどうかわからないという話ですけれども、今の政府の考えでは、あらかじめ、あらかじめになるか同時並行かもまだわからないという話ですけれども、調査を一定規模で行うという話もされているわけですね。それは安全性を確認する、副反応だとか有害事象だとかを確認していくというお話があったわけですよね。そういうことを考えているのであれば、少なくとも、それが終わるまでは努力義務をつけるというのはなかなか筋違いなのかなというふうに思いますが、その点は大臣、どう思われますか。
〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕
○田村国務大臣 法律の前提が努力義務を課すということになっております。一方で、薬事承認をしていよいよ予防接種という段になったときに、そのときの有効性、安全性、一定程度はそれを認められておりますから薬事承認がされるわけでありますけれども、本来求めておる効果、効能等々、安全性を含めて比較考量した場合に、努力義務を外すということはあり得るんだろうと思います。それも、もちろん、全部ということもあれば、年齢別だとか、いろいろな形での努力義務を外すという形態はあろうと思います。
○宮本委員 初めの議論にちょっと戻っちゃいますけれども、やはり、人種差についての確認できる第三相試験をやらないまま、私はやるべきだと思いますが、やらないままもし政府が承認するというふうになった場合は、私は、やはりそれは努力義務というのはつけるべきではない、なじまないというふうに思います。だって、さっき言ったとおり法律上は外せるわけですから、それは大臣のえいやということで外していただいたらいいと思うんですけれども、つけなきゃいけない理由もないわけですよ。つけなきゃいけない理由はどこにも見当たらない。この間、本当に参考人の皆さんも政府の答弁者の皆さんもみんな、ワクチンの接種は何よりも自分の判断、自己判断の尊重が大事だという話もされているわけですし、ましてや、人種差についてのしっかりとした試験が今回なされない可能性が高いもとで、これは外さないと。そういう選択肢も考えておくと。今外しますと言わなくてもいいですが、そういう選択肢も考えておく、排除されていないと。まあ、排除されていないまでは言えますよね、今。排除されていないと、それだけ答弁いただけますか。
○田村国務大臣 法律は、原則努力義務という形になっております。しかし、今言われたように、例外的に外すことができるということになっています。そのときの状況等々を勘案した上で総合的に判断して、それを外せるということであります。
○宮本委員 それは法律をそのまま説明していただいている話で、もうちょっと、やはり、今回は臨床試験、一相、二相は日本人でやっているけれども、第三相はやらないままの承認になるかもわからない、そういう場合は外すことも法律上可能だというふうになっているので、そういうことを踏まえて判断したい、こういう答弁をしていただければと思います。
○田村国務大臣 何か誘導的におっしゃられるんですけれども、いずれにしても、有効性と安全性というもの、リスクとベネフィット、いろいろなものを比較考量した上で、そのときに必要であれば努力義務を外すということでございますので、委員が言われたことがそれに当たるとすれば、そのときにはあり得るということだと思います。
○宮本委員 私は、これは法律上外せるものですから、本当に外していただきたいということを繰り返し申し上げておきたいと思います。それから、ワクチン接種の優先順位にかかわってちょっとお伺いしたいこともあるんですけれども、今回は医療従事者と高齢者からということが今のところ示されているわけでありますけれども、高齢者については、当然、重症化リスクということが考えられているからだと思うんですね。それと同時に、今回、新型コロナは全身症状が出る、そのことによって後遺症がかなりの方に出ているということが報道されているわけであります。もし、今、後遺症の研究がどこまで進んでいるのかは私もわからないんですけれども、こういう傾向の方には若い人でも後遺症が出やすいだとか、そういうことがわかるようになったら、ワクチンの接種順位というのは、重症化リスクと同時に後遺症のリスク、こういうのも検討していく課題になるのかなと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○正林政府参考人 新型コロナウイルス感染症から回復された方のうち、一定の割合で何らかの症状が持続している方がいるという報告がされているのは承知しているところです。ただし、新型コロナウイルス感染症からの回復後に見られる症状については、いまだ新型コロナウイルス感染症との関連の有無が明らかになっていない点も多く、まずはその実態を明らかにしていくことが重要と考えております。現在、厚生労働科学研究において、本年八月から、その実態の把握や原因の究明に関する調査研究を実施しているところであり、こうした研究によって知見を集積してまいりたいと考えております。
○宮本委員 八月から始めているその調査というのは、いつごろに中間的なまとめのようなものが出るんでしょうか。
○正林政府参考人 研究費は、通常、年度で閉じますので、三月に一応研究事業が終わって報告は翌月とかそれ以降に上がってきますが、今のところ、中間報告をいただくということまでは予定はしておりません。
○宮本委員 中間報告は予定していないということですけれども、重症化リスクの方と違う人たちが後遺症のリスクがあるということにもしなれば、この間テレビを見ていましたら、後遺症が出ている人の平均年齢が四十四歳だという報道もあったわけですね。若い人でももし何らかの要素があってそういう後遺症が残る傾向というのがわかれば当然ワクチンの順位というのも上げなきゃいけないのかなというふうに思いますので、研究結果を待ちたいというふうに思います。残り時間が短くなりましたけれども、あと、損失補償契約についてお伺いします。きのうの参考人質疑の中で、損失補償契約について、事前の十分な安全性の検証に対する企業の動機づけを著しく弱めるのではないのか、こういう懸念の声が出ました。また、データ偽装等に適用しないこと、可能な限りの情報開示と説明責任を果たすことが必要というような意見も出たわけですけれども、こうした意見について厚労省としてはどう考えているのかということをお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 新型コロナウイルス感染症という初めての疾病に向かってのワクチンということで、世界でまだ、幾つかの国はできたと言っている国もあられますけれども、実際問題、我が国が供給いただくような段階には来ていないわけで、世界じゅう、やはりとり合いというか逼迫している状況です。やはり、短期間で大量に供給をいただかなきゃならぬというような制約がある中で、一定程度の損失補償契約というものを結ばないと、なかなかワクチンというものを供給をしていただきづらくなるというような状況がある中でございますので、いろいろなお考え方はあろうと思いますけれども、我々としては、今般、ワクチン供給メーカーとそのようなものを結ばせていただいておる。中身に関しては、もう委員も御承知のとおり、これから我が国が他のワクチン等々を購入したりする中において制約がかかってまいりますので、それは申し上げられませんが、国民の皆様方の理解の得られる範囲というものを考えながら我々としては交渉に当たらせていただいておるということであります。
○宮本委員 時間になりましたので終わりますけれども、しっかり説明責任が果たせる契約にしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。