2020年12月2日衆院厚生労働委員会 特別障害者手当の周知徹底、コロナ患者の転院の支援、補助金対象の都道府県格差解消、エアロゾル感染と空調、換気

提出資料① 出典:Heating, ventilation and air-conditioning systems in the context of COVID-19: first update., 10 November 2020., Stockholm: European Centre for Disease Prevention and Control.  黄色マーカーは宮本徹事務所加筆。
提出資料② 出典:Heating, ventilation and air-conditioning systems in the context of COVID-19: first update., 10 November 2020., Stockholm: European Centre for Disease Prevention and Control.  黄色マーカーは宮本徹事務所加筆。
提出資料③ 出典:Heating, ventilation and air-conditioning systems in the context of COVID-19: first update., 10 November 2020., Stockholm: European Centre for Disease Prevention and Control.  黄色マーカーは宮本徹事務所加筆。 
提出資料④ 出典:REHVA COVID-19 guidance document., 17 November 2020., Belgium: Federation of European Heating, Ventilation and Air Conditioning Associations.
提出資料⑤ 出典:REHVA COVID-19 guidance document., 17 November 2020., Belgium: Federation of European Heating, Ventilation and Air Conditioning Associations. 黄色マーカーは宮本徹事務所加筆。
提出資料⑥ 出典:REHVA COVID-19 guidance document., 17 November 2020., Belgium: Federation of European Heating, Ventilation and Air Conditioning Associations.

 日本共産党の宮本徹議員は2日の衆院厚生労働委員会で、「特別障害者手当」の周知徹底を求めました。同手当は、精神や身体に著しく重い障害があり常時特別な介護が必要な人(在宅で20歳以上。所得制限あり)に月2万7350円を3カ月ずつ支給する国の制度です。
 宮本氏は、要介護4・5の高齢者も該当するケースもあるとして「周知不足で自治体によっては受給できない例もある」と批判。「自治体の障害者福祉や介護保険の窓口、ケアマネージャーを通じて周知徹底するべきだ」と求めました。
 田村憲久厚労相は「周知は重要」としたうえで「障害者手帳がないともらえないと勘違いしている人も多い。実際は国が示す障害程度認定基準に従い、医師の診断書で判断する」として「これからも周知する」と答えました。

以上2020年12月3日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2020年12月2日 第203回衆院厚生労働委員会第8号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、相談があった案件からです。特別障害者手当月額二万七千三百五十円、支給要件は、精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の二十歳以上の者ということで、障害者手帳の有無は問わないものなんですね。要介護度四や五の方でも該当するケースもあるということなんですが、自治体によっては、周知が不十分で受給できていない例があるということを聞いております。それぞれの自治体で、障害者福祉の窓口はもちろんのこと、介護保険を含む関係窓口あるいはケアマネなどを通じて住民にしっかり周知されるよう国としても周知の徹底を図っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○田村国務大臣 おっしゃられますとおり、特別障害者手当制度、周知することは大変重要だというふうに考えております。委員もおっしゃられたとおり、介護保険の窓口等々でもいろいろと周知をいただいてはおるわけでありますが、自治体は広報誌やホームページ等々ではやっていただいておるようであります。厚生労働省も、自治体に周知していただくようにということで徹底を図っているわけでありますが、なかなか、障害者手帳がないともらえないというふうに御勘違いをされている方々も多いようで、私の記憶では、何度となく厚労委員会でもこの議論があったというふうに思います。実際は、国が示す障害程度の認定基準、これに従って、各医師の診断書という形で判断をすることとなっておりますが、しっかりこれからも、周知するように、我々としても努力してまいりたいというふうに思います。
○宮本委員 介護保険のところでやっている自治体もあるかもわからないですけれども、やっていないところも、そこで伝われば伝わっていくわけですから、しっかり、全ての自治体で取り組まれるようお願いしたいと思います。それから、コロナの患者を受け入れている病院から伺った話ですが、コロナの影響で、救急患者の受入れの減、通常診療の縮小、面会制限の長期化によるベッド回転率の悪化、産婦人科減収など、減収要因はたくさんあるわけであります。さらに、近隣で介護施設でクラスターが発生して、認知症の方のコロナ患者を受け入れる。そうすると、医療も看護も、通常とは違う物すごいマンパワーが求められる状況というのがあるというふうに聞きました。こういう点についても財政的な支援をぜひしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。入院した認知症患者につきましては、診療報酬におきまして、認知症ケアチームによる取組、あるいは専任の医師又は看護師による取組、あるいは研修を受けた病棟看護師による取組など、医療機関単位で定められた施設基準を満たしまして質の高いケアを行った場合に、認知症ケア加算による評価を行っております。また、委員御案内のとおり、認知症患者を含めまして、新型コロナウイルス感染症患者の受入れを行う医療機関につきましては、ICU等と同等な人員を確保した病床につきましては、通常よりも簡易な報告により該当する入院料を算定できる特例的な緩和措置を講じた上で、重症の新型コロナウイルス感染症患者につきまして、特定集中治療室管理料等を通常の三倍に引き上げております。また、入院管理が必要な患者につきましては、救急医療管理加算の三倍相当の加算、呼吸管理を要する患者につきましては、救急医療管理加算の五倍相当の算定を可能といたしております。こういった措置によりまして、認知症のコロナ患者を受け入れました医療機関におきましては、認知症ケア加算とこういったコロナに関する診療報酬上の特例の評価の双方の評価を行っております。認知症患者を含めまして、新型コロナウイルス感染症に対し必要な対応が行われた場合に適切な評価を行うことは重要であるというふうに考えておりまして、引き続き、現場の実情の把握を努め、適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本委員 さらなる対応をお願いしたいと思います。それから、あと、感染対策のかかり増し経費についていろいろ、お金を出す補助金があると思うんですけれども、こういう話もあったんですね。医療用の空気清浄機を買おうと思ったけれども、注文しても手に入らないということで、HEPAフィルターつきの一般の空気清浄機を購入したけれども、これは都道府県の方で対象にならないと言われたと。厚労省に確認したら、これは対象だという話なんですね。そういう話が、都道府県ごとによって違う話がいっぱい聞こえてくるわけですよね。ですから、厚労省としてちゃんと明確に、そういうものも対象になるというのを都道府県にしっかり示していただきたいと思いますが、いかがですか。
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。御指摘の医療機関、薬局等における感染拡大防止等支援事業、これは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と収束が反復をする中で、それぞれの機能、規模に応じた地域における役割分担のもとで必要な医療提供を継続することが求められる医療機関、薬局などにおいて、院内等で感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供することができるように、感染拡大防止等の支援を行うという目的のもとで行っております。こうした補助の目的に合致する限り、感染拡大防止対策に要する費用そのものにとどまらず、院内等で感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について幅広く対象となるということを、パンフレットでもその旨周知をいたしております。今回お尋ねの件でございますけれども、医療用か一般用かどうかで補助の対象の適否を設けるということではなくて、幅広く認めるものというふうにいたしております。いずれにいたしましても、国としての考え方について、これは事業実施主体は都道府県でございますので、御理解いただけるよう、必要に応じて都道府県に対して引き続き助言を行ってまいりたいと考えております。
○宮本委員 都道府県ごとによる差が本当に大きいということを聞いていますので、しっかり周知をお願いしたいというふうに思います。それからもう一点。コロナの患者の転院先を探すときに、保健所や都道府県の調整本部に頼れずに、自分たちで探さざるを得ず、大変手間がかかって現場が疲弊するという声を伺いました。医療全体が今逼迫する中で、もちろん、都道府県の調整本部だって新しい患者はどこへ入ってもらうのかと探すのは大変なんですけれども、現場の、病院から病院へというのはもっと、病院自体が大変な中で負担がかかっております。現場の病院に負担がかからないような手だてをしっかりとれるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○正林政府参考人 お答えします。厚生労働省としては、各都道府県に対して、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ調整機能を有する都道府県調整本部の設置や、患者の状態を考慮した上で搬送の是非や搬送先の選定を行う患者搬送コーディネーターの配置等を依頼しています。これらに関して、都道府県調整本部は全都道府県で設置され、四十六都道府県で二十四時間体制がとられています。患者搬送コーディネーターについては、四十四道府県で速やかに連絡がとれる体制がとられています。また、上記のほかに、患者の搬送主体の設定や、搬送先の調整ルールの設定などが行われているものと承知しています。このように、各都道府県で新型コロナウイルス感染症患者の受入れ調整等の体制整備が進められている現状を踏まえると、議員御指摘のような入院中の新型コロナウイルス感染症患者が重症化した場合の転院先の調整についても、必要に応じて、当該患者の主治医等から都道府県調整本部に連絡がされることで、円滑に転院先の選定等が行われるものと認識しております。
○宮本委員 いや、そうなっていないから、私は現場のお医者さんから言われているわけですよ。さっきの搬送コーディネーターも、四十四道府県という話がありましたけれども、都は入っていないじゃないですか、さっきの答弁でも。ですから、そういうのは本当に、全ての都道府県で現場の負担がかからずにできるように、ちょっと細やかに見ていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。次に、何度か議論している換気の問題、きょうもちょっと議論させていただきたいと思います。きょうは、空気の一部を再循環させる空調システムと感染拡大の可能性についてということでお伺いしたいと思います。この間、病院で大きなクラスターがいろいろ発生しているわけですよね。フロアをまたいで感染が広がる、あるいは違う病棟に感染が広がるということが続いているわけであります。言うまでもなく、病院や高齢者施設でクラスターが発生すれば、命の問題にすぐ直結する。ですから、どうすれば命が守れるのか、感染経路については科学的な調査が私は不可欠だと思うんですよね。そういう点で、厚労省の検討の中で、私は空調システムを通じてというのが、検討が抜け落ちているのではないのかということを考えております。きょう、配付資料をお配りしました。一ページ目から出ているのは、欧州疾病予防管理センター、ECDCですね、が空調について出した文書、十一月十日付であります。これはその抜粋ですけれども。一ページ目は、どういう例が起きているのかということが書かれております。例えば中国で、別々の部屋でワークショップに参加した人が感染した、これはセントラル空調で空気を循環させていたという例が書かれております。そして、二ページ目は、ラインを引いたところですけれども、空気が再循環される場合は、SARS―CoV―2を含むエアロゾルが拡散する可能性がありますということが書かれております。そして、資料の三ページ目のアンダーラインのところは、建物の管理者は空気の再循環の使用を可能な限り回避するためのオプションを検討する必要がありますと。これがヨーロッパの、欧州全体のCDCですね、ECDCの文書です。その次のページからが、このECDCの文書を踏まえて、欧州暖房換気空調協会連盟が出しているガイダンスです。ちょっとグラフが出ておりますけれども、これは、飛沫の大きさによって、空気の流れがあったらどれぐらい飛沫が飛ぶのかというものを示したグラフが出ております。通常、人間が居住する一般的な部屋でも、〇・〇五から〇・二メートル、一秒当たりですね、の空気速度が発生すると言われております。そうすると、この図にありますように、例えば三十マイクロメートルという飛沫であっても十メートルを超えて飛んでいく。もっと小さな飛沫はもっと長距離、長い時間飛んでいくというのが物理的にもはっきりしているわけですね。そういうものを踏まえて、提出資料五ですね、次の五ページ目のところに、ノー・ユーズ・オブ・セントラル・リサーキュレーションということが言われております。再循環させるセントラル空調は使わないことということになっているわけですね。この中の文章には、とりわけ影響を受けやすいエンドユーザーが使用する建物、老人ホームなどということまで記載をされているわけであります。日本でも、やはりセントラル空調によって空気再循環が感染を広げる可能性があることを踏まえた対応が私は必要なんじゃないかというふうに思うんですね。この間、感染経路がたどれないという例もいろいろいろいろ出ているわけですよね。私、ここで、飛沫感染なのか接触感染なのか、それともエアロゾル感染なのかというのを何度も議論させていただきましたけれども、マイクロ飛沫、エアロゾル、皆さんの定義でいうとややこしくなりますから、マイクロ飛沫という言葉を使いますが、マイクロ飛沫よりもやや大きくても、空気の流れによっては運ばれていくというのが科学的には明らかなわけですから、やはり空気の、空調を使っての再循環が、セントラル空調だった場合は、ほかの部屋まで含めて感染を広げていく可能性があるということを知らせていく。そして、空調の補修が必要だったらそれを補助していく。また、保健所も、感染経路を調べる際には、セントラル空調による再循環の可能性も含めて調べていく。私はこういうことも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○正林政府参考人 お答えします。新型コロナウイルス感染症について、WHOにおいては七月に、感染様式に関する科学的見解として、感染は感染者の唾液や飛沫等が主体であること、医療施設等でエアロゾルが発生する手技が行われている場合にはそれによる感染が起こり得ること、室内の密集した空間等では飛沫感染とあわせてエアロゾル感染が起こっている可能性が示唆されること、エアロゾルを発生するような手技を伴わない環境下での空気感染等については質の高い研究が必要であることを発表しているものと承知しています。マイクロ飛沫については、医学的な意味での空気感染とは異なることから、厚労省のアドバイザリーボードでマイクロ飛沫感染として紹介しています。御指摘のような空調を介して感染が広がるような現象は空気感染に特徴的なものであり、今般の新型コロナウイルス感染症について、現時点においてはこのような感染伝播を示唆する証拠は得られていないと承知しています。御指摘の点も含めて、引き続き新型コロナウイルスに関する最新の知見を収集し、効果的な対策に生かしてまいりたいと考えております。
○宮本委員 それは全く私は認識が違うと思いますよ。これは感染研のホームページに出ていますね。航空機の中での感染状況ですね。二十三列目に座っている方が感染者だったと。せきをしたと。七列目の人まで感染をしていたと。これはゲノム解析で明らかになっているわけですよね。これは十メートルぐらいは多分離れていたと思いますけれども、空気の流れで感染は広がった。そういう例はいろいろあるわけじゃないですか、中国でのレストランの話だとか。空気の流れでマイクロ飛沫はどこまで飛ぶのか。どこまで飛ぶのかというのは、それは近い方がより感染リスクは高いですけれども、空気の流れによっては遠くまで飛ぶわけですよ。そうすると、空調というシステムを通っているかどうかなんて関係ないわけですよ。空気の流れで広がっていく、届いていく。これは、感染研はこういうのを、ゲノム分析までして載せているということは、空気の流れがあれば、空調を介してだって、セントラル空調だったらすぐ隣の部屋に次に行くことだってあるわけですから、否定できないんじゃないですか。それをなぜ否定するのかが、私は全く理解できないんですよ。
○正林政府参考人 前回も御答弁申し上げましたが、我々、空気感染という言葉とマイクロ飛沫による感染と言葉を使い分けたりしています。医学的な意味で空気感染と言うときは、飛沫の水分が蒸発した非常に細かい粒子に病原体が付着することによって、長時間にわたり空気中を病原体が浮遊して、十分な距離が離れていても感染が成立する、こういう場合を空気感染と呼んでいますが、まさに空調を介してというと、一つの部屋で感染が起きて、空調を介して別の部屋にまで行くような、こういう場合というのは、いわゆる空気感染と考えています。ただ、同じ部屋の中で、有名なのは中国の、中華料理のケースですけれども、一つのテーブルで感染者がいて、空調の風下のところのテーブルに別の感染者が出現したという。これは、いわゆるエアロゾルによる、まあ、マイクロ飛沫による感染だというふうに理解して、言葉を使い分けたりしています。
○宮本委員 私の質問に全く答えていません。なぜ、同じ室内だったら遠く離れていても空気の流れでマイクロ飛沫感染を認めながら、空調を介したらマイクロ飛沫を認めないのか。全く没論理的ですよ。それは、私の言っていることはわかりますよね。同じ空気の流れで運ばれているわけですから、それを飛沫感染と呼ぶかエアロゾル感染と呼ぶかマイクロ飛沫感染と呼ぶか、そんな呼び方なんか私はどうでもいいですから。同じマイクロ飛沫が空気の流れで届いていく、同じ現象じゃないですか。もちろん、空調の中にHEPAフィルターがあったら違いますよ、捕まる。HEPAフィルターが空調の中にあったら捕まる可能性はあります、そこで。それがなければ、あるいは、空調の中に紫外線、二二二ナノメートル、前やりましたけれども、それがあったらそれでも殺菌されます。ですけれども、それらが空調の中になければ同じじゃないですか、空気の流れで届いていくのは。私、非常に論理的な話をしていると思うんですよ。お答えください。
○正林政府参考人 現段階では、空気感染までは今回のコロナウイルスでは起きていないんじゃないか、そのようなことを示唆するようなデータというのは得られていないと思います。ただ、さまざまなデータ、これから、必要にはなるかと思いますので、できるだけ最新の知見は収集していこうと思っています。
○宮本委員 時間になりましたので終わらざるを得ないんですけれども、日本が三密という概念を初めに考えて、流行語大賞もとりました。世界はそれに学びました。世界はそれに学んで、空調も含めていろんなことを、対策をとろうとしております。その一番初めに、三密の環境というところで感染が広がるという発見をした日本が、それをちゃんと突き詰めて、応用して考える必要があるんじゃないですか。そうしてこそ、本当に命を守るための感染対策が私はとれると思います。そのことを強く申し上げまして、質問を終わります。