調布飛行場小型機事故で抜本策要求

宮本徹議員は4日の衆院国土交通委員会で、東京・調布飛行場での小型機墜落事故を取り上げ、抜本的な安全対策を検討するよう求めました。
宮本氏は、地元自治体との協定で遊覧飛行が禁止されているにもかかわらず、協定違反が常態化していることを国が把握していたかとただしました。
国交省の田村明比古航空局長は「確認できていない」と述べ国が遊覧飛行を把握していなかったことを認めたうえで、「(協定違反が)常態化していたかも含め調査していきたい」と答えました。太田昭宏国交相は「適切な運用が図られるよう必要な対応をする」と表明しました。
さらに、宮本氏は「パイロット個人の自覚まかせ、技量まかせでない組織的な安全対策も必要だ」として、離陸前に第三者がチェックする仕組みを提案しました。田村航空局長は「第三者によるチェックを含め、事故の原因の解明の進捗(しんちょく)を踏まえて検討したい」と述べました。
宮本氏は、管制官の廃止以降も定期便の着陸回数は増加していると指摘。管制官の再配置を求めるとともに、「住宅密集地にある同飛行場の危険性は明らかだ」として、定期便の代替空港を確保し、移転を検討するよう求めました。

以上 2015年8月10日付あかはた日刊紙より抜粋

≪第189回国土交通委員会第18号 2015年8月4日議事録≫

○今村委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。調布での墜落事故と安全対策について質問いたします。一昨日、調布で住民の方にお話を伺ってまいりました。事故機が墜落した家からちょうど家一軒分挟んだ距離にあるお宅に行ってきたんですけれども、その方はこうおっしゃっていました。遊覧飛行だったのではと言われているが、遊びのために住民が巻き添えに遭うのは理不尽だ、個人の遊びだけはやめてほしいと。そして、不時着する場所もない住宅密集地に飛行場があることがおかしい、こうもおっしゃっていました。あってはならない事故が今回起きてしまったわけですけれども、太田大臣は、今回の事故の国の責任についてどう考えているでしょうか。
○太田国務大臣 二十六日の午前十一時ごろに、個人機が調布飛行場の南側にある住宅地に墜落するという航空事故が発生をいたしました。搭乗者二名、住民の方一名の計三名が死亡し、搭乗者三名、住民の方二名の計五名が負傷されるという事態になりまして、亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、負傷された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。直ちに国交省としては現地に職員やあるいは運輸安全委員会を派遣して、そして事故原因等々について今調査をしているところでございます。この国の責任ということについて御質問でありますが、一般論としまして、航空の安全確保の担当官庁というのは国交省でありまして、その責務に基づいて、原因の究明、再発防止の徹底をやっていく必要がある、このように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 原因の究明、再発防止のために全力を尽くすということですが、とにかく空の安全を守るのは国交省そして国交大臣の責任、これは明確だと思うんですね。ですから、本当に、何が足りなくて今回事故が防げなかったのか、絶対に事故を繰り返さないためには何が必要なのか、深い反省と知恵を尽くした安全対策の抜本的な強化が求められると思っております。調布飛行場の運用については、地元自治体との協定で、遊覧飛行は禁止されていたわけです。ところが、遊覧飛行は日常的に行われて、この協定違反が常態化していたと報道されております。四年前には調布市議会でも議論になっているわけですね。住民から、無許可の体験飛行に抗議し、協定遵守に関する意見書送付を求める陳情が出されて、調布市議会で全会一致で趣旨採択もされているわけであります。体験飛行の様子を動画でインターネットで投稿されているというのもあります。今回の事故後の報道では、エアロテック社に料金を払ってあの事故機で遊覧飛行をしたという証言まで出ているわけです。今回の飛行は慣熟飛行だと届けられているけれども、事実上の遊覧飛行だったのではないかという指摘が出ているわけです。ちょっとお伺いしたいんですけれども、調布飛行場では、こういうように協定に違反して遊覧飛行が日常的に行われていた、こういう事実は把握されていたんでしょうか。
○田村政府参考人 調布飛行場の運営に当たって、東京都と調布市、三鷹市、府中市との間で、遊覧飛行等のための使用を認めない、それから、年間総離着陸回数は二万三千回程度を上限とするというようなこと等を内容とする協定書が締結されていることは承知をしております。同飛行場の運用について、従来から、周辺住民との協議を踏まえて、設置管理者である東京都により、その使用方法等が規程類として定められているということでありますので、国交省として、それらの規程類に基づいて適切な管理がなされているかというようなことを立入検査における書類確認や報告徴収において確認しておりますけれども、これまでの検査では、協定等の違反の事実があったということは確認できておりません。現在、当該事実の確認を含めて調査を進めているところでありまして、その調査結果を踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 都から上がってきた報告を見て、それでどうかというのを見ていたという話なわけですけれども、実際、ぱっと今インターネットで検索しても、過去にどんどんやられていたということはよくわかるわけですね、これは。「飛行機をチャーターし、さあゴルフ旅へ。」こういうのが、私なんかがぱっと検索しただけでも出てくるわけですよね。ですから、相当常態化してこういうことが行われていた。市議会だって陳情が採択されるということなわけですね。ですから、都から情報が上がってくるのを待つということじゃなくて、やはり積極的に、空の安全を守るためには国が乗り出していく。それぞれ、いろいろな自治体で、各空港で、住民の安全を守るための地元ルールというのはあると思うんですよ。そういうものをやはり積極的に国として乗り出して把握する、そういう姿勢が必要だったんじゃないでしょうか。大臣、どう思われますか。
○田村政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、都の設置管理する調布飛行場について、その設置管理が適切に行われているかということは、国がもちろん定期的に検査をするということであります。今回の事案を受けまして、今御指摘のような事態というものが常態化していたのかということも含めて、調査をしていきたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 調査するということですけれども、これは全国的にいろいろなルールがあると思いますので、調布飛行場以外も含めて徹底した調査をやって、地元のルールだから地元の自治体任せということになってはならないということを強く申し述べておきたいと思います。そして、大型機よりも小型機は事故率が高い、中でも自家用飛行機は事故率が高いわけです。住宅密集地にある調布飛行場の特殊性から考えても、自家用機の離発着の禁止を国としても管理者である都に対して働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 調布飛行場の運用につきましては、従来から、周辺住民との協議を踏まえて、設置管理者である東京都によりましてその使用方法等が定められています。東京都としては、現在行われている運輸安全委員会による事故調査の結果を踏まえ、再発防止策の徹底を含め、安全対策の強化を図る方針である、このように聞いています。国交省としましては、そうした使用方法も含めまして、今後も、安全対策を徹底した上で適切な運用が図られるよう、東京都とも十分な連携をしながら必要な対応をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 だから、適切な使用方法といった場合、絶対事故を起こさないというのが一番適切な方法なわけですよ。とりわけ、これは住宅密集地にあるわけですよね。不時着する場所もないわけですよ、南側に限って言えば。全くないですよ、全部住宅密集地の上を飛んでいくということになっているわけですから。そういうことを考えたら、住民を巻き込むような事故を絶対起こさないということを考えたら、これはやはり自家用機はだめという方向で国としても決断をぜひしていただきたいということを強く言っておきたいと思います。その上で、小型機の安全対策の強化についてお伺いしたいと思います。運輸安全委員会の資料では、小型機の事故は八割が人的要因で起きております。パイロットの個人の自覚任せ、技量任せでない、組織的な安全対策が必要になっていると思います。今回の事故でいえば、エンジンの試運転がちゃんと行われていなかったのではないのか、気温が高い中、過積載になっていたのではないのか、こういうことをいろいろ言われているわけですよね。先ほど高木委員とのやりとりの中では、航空局長は、安全に出発するのは機長としてはイロハのイだというお話もありました。ですけれども、このイロハのイがちゃんとやられているのかどうかというのをチェックする仕組みというのはどこにもないわけですよね。安全に飛ぶことができるのかどうか、離陸前に第三者が確認する仕組みなど、個人のミスを組織的に防ぐ対策というのも考えていく必要があるんじゃないかと思っております。先ほど田村局長も、航空法で、機長は、運航に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ航空機を出発させてはならないんだ、こうあるとおっしゃいました。これを実際に担保する仕組み、法律に書いてあるだけで担保になるわけじゃないですから、国のこれまでの監督体制を改めて、この航空法七十三条の二にある規定を担保する仕組みをこの際つくる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○田村政府参考人 今御指摘のように、出発前にしっかりと点検をするというふうなことはイロハのイであるわけでございますけれども、これまでも、小型機の安全対策について、操縦士個人の技量の確保ということではなくて、ちょっと組織という意味が違いますけれども、操縦士団体等の関係団体とも連携をして、安全講習会の開催など、個人を組織で運航安全の面から支援する取り組みというものも行ってきたところでございます。今回の事故も含めまして、ことしに入って小型航空機の事故等が目立って発生しているということもありますので、去る七月二十七日には、運航者団体等に対しまして、機体の点検整備の確実な実施、それから運航にかかわる法令、手順の遵守等を通じて、運航の安全確保について万全を期すよう指示したところでございます。また、今先生御指摘のように、第三者がチェックすべきではないかというような御提案もありましたけれども、そういったことも含めまして、今後、事故原因についての調査が進んだ、その進捗を踏まえまして、さらに必要となる対策について検討をしてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 事故原因の調査が進んでという話ですけれども、事故原因の調査を踏まえるのは当然ですけれども、現段階でもこれだけ報道があるわけですよね。現に、今、出発前の点検というのはやはり機長任せになって、今回だって、試運転をしたのかどうかというのは最終的にまだ全然わからない状況なわけですよ。そういう状況でいいのかということが問われていると思いますので、国が、本当に安全に飛び立てるような仕組みをつくっていただきたいというふうに思います。さらに、組織的な安全対策という点では、調布飛行場は管制官がいなくなったという問題があります。先ほども議論がありました。管制官は、空の安全を守る上で非常に大事な役割を果たしております。管制官のいる空港では、例えば今回問題になっているエンジンの試運転、エンジンランナップコンプリート、こういうやりとりは管制官とやるということになっているわけであります。そして、一九九七年に地元三市が都と受け入れ協定を結ぶ際に、その二十七項目の条件の一つが、管制官を引き続き置き続けることというのが、そもそものこの調布飛行場を正式に開設するときの条件になっていたわけですよね。ところが、九九年に国が管制業務から撤退したいと言い始めて、二〇〇二年、二〇〇四年、二〇〇五年と、何度も管制官を撤退させてくれと言う。そのたびに、地元市も東京都も、管制官は置き続けてくれと言ってきたわけです。にもかかわらず、国は、二〇〇六年に管制官を置くのをやめた。こういうところに、私は、国の安全に対する姿勢というのがあらわれているんじゃないかと厳しく指摘しておきたいというふうに思います。それで、先ほど田村局長は、調布の飛行場は有視界方式の飛行が多いから管制官がなくても安全が保たれているんだという答弁をされておりましたけれども、調布飛行場は二年前から定期便については悪天候の際の計器飛行も行われるようになっております。そして昨年には、三宅島便の空路が羽田から調布にやってきました。それで便数もふえているわけですね。さらに、ことしの十月には羽田―大島便も廃止されて、これでまた調布でふえるんじゃないかということも言われているわけですよね。空の安全を守るために、管制官を置く必要性は調布飛行場ではますます高まっているんじゃないかと思いますが、ぜひ調布飛行場に管制官を再配置していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田村政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、空港等でどのような航空保安業務を提供するかということにつきましては、安全の確保を大前提とした上で、交通量を初めとした各空港の個別の状況に応じて判断をしているところでございます。調布飛行場につきましては、その離着陸回数というのはピーク時の半分以下、三分の一、四分の一というような状況に減少したということ、それから、パイロットの責任のもとに飛行する有視界飛行方式による飛行というものが圧倒的多数である、こういった状況を踏まえまして、東京都と協議の上、平成十八年より、パイロットが必要な情報を得ながらその責任において離着陸する方式として、飛行場管制業務の提供を終了したところでございます。現在の調布飛行場における交通量や運航の実態というものを見ますと、この平成十八年当時と比較しても、少しずつふえているとは申しましても、大きな変化はございません。航空保安業務の提供体制というものは、安全の確保のために十分なものとなっているというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 二〇〇六年のときとの比較のグラフを国交省につくっていただきましたけれども、これを見れば、先ほど言いましたように、それこそ管制官が必要な計器飛行が求められる定期便がぐっとふえているんですね。二千九百回から四千八百回にふえているわけですよ。こういうところもちゃんと見なきゃいけないんじゃないかと思います。そして、交通量の問題を言われましたけれども、八尾空港、先ほど高木委員への答弁にもありましたけれども、八尾空港には管制官がいますよ。八尾空港は調布よりも離発着回数は少ないです。調布の方が多いですよ。そういうことを考えても、再配置の必要性は明らかだというふうに思います。次に、調布飛行場の危険性についてお伺いしたいと思います。一九八〇年に、調布中学校の校庭に小型機が墜落したとき、グラウンドでは野球部員二十七人がバックネット付近にいて、練習を始めようというやさきでした。生徒を巻き込んだ大惨事になる寸前だったわけですね。そして、二〇〇五年、調布飛行場に着陸目前で田無高校に小型機が不時着をしました。当時、グラウンドでは八十人ほどの生徒が部活中で、一人の生徒は翼の上を飛び越えてよけた、こう報道されております。あわや大惨事だったわけです、このケースも。調布飛行場は、先ほども言いましたけれども、住宅密集地である上に不時着する場所もないわけですよね。そして、管制官がいない空港の中では図抜けて離発着回数も多いということになっております。大臣自身は、この調布飛行場の危険性についてどう認識されているでしょうか。
○太田国務大臣 空港の設置許可に当たりましては、空港の周辺に航空機の離着陸に支障となる建築物等がないこと、各空港の規模に適合した滑走路、着陸帯及び誘導路を有するものであること等によりまして、空港の安全性を確認しているところです。この調布飛行場につきましても、それらの基準により審査を行った上で、東京都からの申請により許可を行っているところです。また、運用面におきましても、適切な管理がなされているかについて、空港の管理者に対しまして定期的に立入検査を実施しているという状況でございます。国交省としましては、運航の安全の確保を含めて、引き続き、安全対策を徹底した上で適切な運用が図られるよう、東京都とも十分な連携をしながら、必要に応じて対応してまいりたい、このように考えております。
○宮本(徹)委員 設置基準を満たしたら安全だということにはならないと思うんですよね。私は、今回ちょっと調べるので専門的な論文なんかを見ましたけれども、住宅密集地にあって不時着する場所がないというのは、飛行場の場所としては最も不適切だというふうに大体何を見ても書いてありますよ。ですから、設置基準を満たしているから大丈夫ということではないと思うんですよね。誰が見ても、こういう場所に空港があるのは適切ではないということだと思います。そもそも、調布飛行場は、米軍から返還されるときに、三年以内に代替地を探すというのが国の約束でした。そして、一九八〇年の調布中学への墜落事故後、運輸省も当時、今後は選定範囲を関東一円にまで広げると言って探そうとした。当時の塩川正十郎運輸大臣も国会で、必ず移転の適地を探すと答弁していた経過があるわけですね。しかし、この約束は果たされなかったということで、この調布飛行場は存続し続けるということになったわけであります。離島の足を確保しなければいけないというのは当然ですけれども、今回の事故でも、調布飛行場の危険性というのは明らかだと思うんですよね。ですから、塩川大臣の約束の原点に立ち返って、定期便の代替空港を確保して、調布飛行場は移転する、こういう根本的な安全対策を国としても検討すべきではないかということを申し述べて、質問時間になっておりますので、質問を終わりたいと思います。