2021年2月26日 衆院予算委員会第四分科会 給付制奨学金の対象拡大を

 宮本徹議員は2月26日に行われた衆院予算分科会で、給付制奨学金など修学支援新制度について対象拡大を求めるなど、学生支援の拡充を求めました。コロナ禍で大学生の退学が広がり、アルバイトができず、食事を1日1回に切り詰めている実態がおきていると指摘し、学生緊急給付金の再支給を求めました。萩生田光一文科相は、「調査をふまえつつ必要な対応をしてまいりたい」と答弁しました。
 宮本氏は授業料を減免し、奨学金を給付する修学支援新制度について、初年度の2020年利用者は予算想定の半分強にとどまったと指摘。法律が規定する4年後の見直しを待たずに収入基準の引き上げや3浪以上の多浪生、多子世帯などの対象拡大を求めました。
 萩生田文科相は、「4年後の見直しを見据えつつ、本制度の効果の検証などを継続にすすめる。予算を計上しているので、一人でも多くの皆さんに使ってもらい、しっかり学んでもらうことに使っていきたい。」と述べました。
 また宮本氏は、奨学金の予約採用の通知が未だに届かない高校生がいると指摘。マイナンバー関係書類の手続きの簡素化などで、遅くとも12月中に支給決定することを求めました。萩生田文科相は「子どもたちが安心できるよう書類の簡素化に努めたい」と応じました。

以上2021年3月4日付赤旗日刊紙より抜粋 

≪2021年2月26日 第204回衆院予算委員会第四分科会 議事録≫

○村井主査 これにて深澤陽一君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本分科員 日本共産党の宮本徹です。まず、奨学金制度の改善についてお伺いいたします。先日、進路担当の先生から、採用決定の通知がいまだに届かない生徒が何人もいるというお話を伺いました。上級学校からは採用決定通知の写しの提出を求められると。早いところは十二月に求められるということなんですね。大学、専門学校の側は、その通知を基に、差額を計算して授業料等幾らというのを求めるわけです。ですから、この通知の決定が遅れると、本人もお金をどれだけ用意する必要があるのかというのが分からないということになります。少なくとも十二月中には支給決定ができるようにすべきだと思うんですね。遅れの多くは、書類不備の解消に時間がかかるということのようなんですね。先生によると、前年度までは高校が窓口で書類不備に対応してきたけれども、今年度からは基本は高校を通さないやり取りになったと。聞くと、そもそも、奨学金申請の際、書類作成が家庭で難しいケースもあって、先生がサポートして作っているというケースもあるわけですよね。ですから、書類不備のケースも、しっかり、やはり高校の先生のサポートを得ることも含めて手だてを尽くすべきだと思います。それからあと、マイナンバー関係書類の不備というケースもかなりあるそうなんですが、マイナンバーを提出できない生計維持者の署名欄には提出できない理由というのを記入するということになっているんですけれども、この理由が記載されていないと不備だというので、これが時間がかかる一因になっているというのを職員の方に伺いました。ただ、マイナンバーを提出できない理由の記載の有無というのは、手続にとっては非本質的な部分ですから、この理由の記載がなくとも手続を進めればいいんじゃないかというふうに思います。是非、早く通知ができるように改善を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。〔主査退席、神山主査代理着席〕
○萩生田国務大臣 日本学生支援機構の給付型奨学金及び貸与型奨学金については、進学を希望する高校三年生を対象に予約採用を実施をしております。昨年実施した予約採用の選考結果については、昨年十月以降、順次通知を行っておりますが、書類不備等により手続に時間を要しているものも事実であります。審査の迅速化に向けては、本年度から、申込者が直接機構へ書類等を送付することも可能にするなど、改善を図ったところでございます。今、先生からは、高校の先生の非常に温かいお言葉を紹介いただきました。先生が見てあげることで書類の不備をチェックできるんじゃないかというお話だったんですけれども、他方、それが先生方に大変負担をかけているということもありましたので、直接機構に持っていくという仕組みもつくったという経緯もありまして、これは、サポートしていただける先生がいらっしゃるんだとすれば、それは逆に甘えさせていただいて、そういうチェックをしていただくことは大いに私もいいことじゃないかなと思います。いずれにしましても、子供たちが安心して進学できるように、引き続き、書類の簡素化、これに努めてまいりたいと思いますし、またあわせて、審査方法等の改善をしっかりやって、選考結果の早期通知に努めてまいりたいと思います。
○宮本分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それから、奨学金制度、もう一点ですけれども、この修学支援の新制度ができてから、予約採用の申込期間が夏までになったんですよね。しかし、現実には、夏以降、秋の段階になってから進路を就職から進学に変更するというケースも少なくないという話を伺っております。是非、秋以降の申込みもできるようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。 〔神山主査代理退席、主査着席〕
○萩生田国務大臣 進学を希望する高校三年生を対象とした奨学金の予約採用については、できる限り早期に採用候補者決定通知を出す必要があるため、学校における手続及び日本学生支援機構における審査期間等を考慮して、夏までを申請期間としているのは事実です。一方で、今先生御指摘のように、秋以降に、やはり進学をしてみようという意欲を持つ学生さんがいらっしゃることも大いに歓迎でございまして、予約採用に申請できなかった生徒については、進学後に申請することができるようになっております。進学後に申請し認定を受けた場合の支援額は、予約採用のときと全く変わりません。令和三年度予算案においては、奨学金に対する問合せ対応の充実を含めた経費を計上しており、引き続き、奨学金の申請を行う生徒一人一人に丁寧な対応ができるように、相談体制の充実に努めてまいりたいと思います。
○宮本分科員 大臣、それは当然、在学といいますか、進学後も申請できるんですけれども、問題は、もう説明しなくても分かりますけれども、決定が夏になっちゃうわけですね。ですから、初めのお金をどうするかという問題が当然出てくるわけでございますので、是非ここは更に踏み込んで検討していただきたいと思います。次に、修学支援新制度ができて一年ということで、いろいろお話を伺いたいと思いますが、まずは、大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思うんですけれども。コロナを理由としての退学が一千三百六十七人ということであります。結果として支援がやはり不十分だった、こういう認識はあるでしょうか。
○萩生田国務大臣 今年の学生の皆さん、特別な環境の中で大変苦労されたことは否めないと思います。確かに、コロナを理由に退学を決定をされた学生さんがいることは極めて残念でありますが、他方、全体の退学数などを見ますと、前年度より抑えめで今まで推移しています。これは、昨年、先生方の御支援もいただいて、様々な学生支援のパッケージを行った結果が一定の功を奏しているのではないかと思います。残念なのは、経済的な理由で退学をするというお子さんには、もちろん万全の体制で何とかバックアップをしたいというメニューを作ってまいりましたけれども、今、我々報告を受けていますのは、要するに、自分が描いていた大学生活とは余りにも違い過ぎる、そのことで残念ながら修学の意欲を失ってしまったという学生さんが少し増えている、このことを大変危惧しているところでございまして、新年度を迎えますので、更なるサポート体制をしっかりやりながら、また、学生の皆さん一人一人に寄り添いながら、できる限り修学を続けてもらえるような環境を、大学の皆さんとも連携を取って、やっていきたいと思います。議会の中で提案をいただいたチェックシートも作らせていただいて、退学の書類が来たら、事務的に終わるんじゃなくて、どうしたのかということを聞いてあげて、理由が何なのか、どうすれば続けられるのかということもやり取りをしていただいているのは例年とは違うところだと思いますので、こういう体制を強化したいと思いますし、また、仮に、退学まで行かないで一時的に休学を希望する学生さんも一定ございます。ところが、休学するのに私立などは休学期間中のお金を積めというようなルールもあるやに聞いておりますので、こういった点も、この機会に全国的にしっかり調査をして対応を考えていきたい、こう思っておるところでございます。
○宮本分科員 遠隔授業が中心で、対面授業は本当に少なくて、いろいろなことで悩んでいるというのは私も多くの学生さんからお話を伺いますので、そうした点も含めて、新年度から大いに改善していただきたいと思います。同時に、経済的な面でいっても、やはりアルバイトがなかなかないというのが引き続き続いている状況なわけですよね。ですから、食事を一日一回というケースなんかもあるのは大臣も御存じだと思います。給付金というのは、もう一度、大臣、是非考えませんか。
○萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響で、経済的に困難な学生が修学、進学を諦めることがないよう、しっかりと支えることが重要だと思っております。学びの継続のための学生支援緊急給付金につきましては、学校が推薦すべきと判断した全ての学生約四十二万人に支給が終わったところでございます。このほか、学生の“学びの支援”緊急パッケージを昨年十二月に改定し、無利子奨学金の充実や休学する学生への対応などの追加の支援策を盛り込みました。なお、追加の措置については、改定したパッケージの実施状況や追加で実施している中途退学者に係る調査などを踏まえつつ、必要な対応をしてまいりたいと思います。予算的にまだございますので、更なる募集もここでさせていただいて、必要な学生さんには支援策を講じていきたい、こう考えております。
○宮本分科員 新年度もアルバイトがそんなにたくさん急に増えるというのも見込めるわけではないですので、引き続き経済的な支援に努めていただきたいと思います。修学支援新制度ですけれども、二〇二〇年度の予算は五十一・四万人で組んだわけですけれども、採用者は前期で二十五・七万人、後期はそれにプラスアルファ程度なわけです。この制度について、初年度の評価、そして利用者が予算の想定の半分強にとどまった理由について、大臣、どう分析されているでしょうか。
○萩生田国務大臣 高等教育の修学支援新制度については、今年度から開始したところですが、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、家計が急変した学生への支援を行うなど、学生の学びの継続に一定程度寄与したものと考えております。新制度の令和二年度予算については、希望者が全員支援を受けられる体制を整えておくため十分な予算を準備していたところであり、利用者が極端に少ないとは考えておりません。新制度は、家庭の経済状況によって進学を諦めることがないよう、真に支援が必要な世帯の学生を支援するものであり、中学校や高等学校の進路指導等の充実により徐々に利用者が増加していくものと考えております。一方で、周知不足により利用者が想定より下回っていることも考えられる、これは謙虚に受け止めなきゃならないと思います。これまでの政府広報や各学校に対する周知などを一層充実させるとともに、受験生にダイレクトにその中身が届くように、SNSなどの若い世代の利用頻度の高い媒体を活用した新たな広報の導入などによって、支援を必要とする学生等に情報が行き渡るように努めてまいりたいと思います。
○宮本分科員 もう一点お伺いしますけれども、申請した人数は、予約採用の枠で三十六・七万人、在学採用の枠で前期で九・一万人、四十五万人いるということですから、二十万人が審査ではねられたという計算になるわけですね。これは、審査が通らなかった主な理由と理由ごとの人数というのは紹介していただけるでしょうか。
○伯井政府参考人 高等教育の修学支援新制度について、令和元年度に実施した事前申込みの申請件数が三十六・七万人、令和二年四月以降の申請件数、在学採用の申請件数が九・一万人で、合計四十五・八万人の申請がありました。このうち令和二年度前期までの採用件数は二十五・七万人でございまして、先生御指摘のように、採用されなかったのは約二十万人でございました。これは、新制度の募集というのは貸与型奨学金と併せて実施しているため、多くの学生が、貸与型奨学金と併せて申請する方々が多いということでございます。新制度は真に支援が必要な所得の世帯を対象としておりまして、審査が通らなかった主な理由というのは、日本学生支援機構によりますと、家庭の経済状況に関する所得要件を満たさなかったというものが大半というふうに伺っております。
○宮本分科員 初めから所得要件からいって無理だという人は給付制奨学金には申し込んでいないと思うんですよね。自分も何とかこの所得なら対象になるんじゃないかという人たちが相当多かったということが裏返して言えるんじゃないかなというふうに思います。新年度の予算を見ますと、五十・四万人で予算を組んでいるわけですけれども、恐らく、大臣もそう思っていると思いますけれども、予算は大きく余ると思うんですね、今の所得基準だとか対象者でいけば。やはり、消費税を増税して確保をした財源ですので、これはしっかり使っていくというのが大事だと思います。やはり対象を是非拡大していただきたい。収入基準の引上げと、そして多浪生ですね。医学部、芸術学部などは三浪以上が多いということにもなっているわけです。それから多子世帯ですね。経済的にも大変厳しい。この制度、四年後に見直しというのはたてつけであるわけですけれども、四年後の見直しを待たずに、予算がこういう状況ですから、早急に対象を拡大する検討をする必要があるんじゃないかと思いますが、是非大臣の政治判断をお願いしたいと思います。
○萩生田国務大臣 昨年四月から開始した高等教育の修学支援新制度は、真に支援が必要な所得者世帯の子供たちを対象に給付型奨学金と授業料等の減免による支援を実施するものであり、まずは本制度を着実に実施することが重要であると考えております。今ほど御答弁申し上げましたけれども、やはり初年度だったので周知が徹底できていなかった、あるいはアナウンスが受験生に届いていなかったということもございますので、まだ潜在的な希望者というのはきっといるんだと思います。他方、書類の不備は、これは厳格にルールを出していますので、一人一人の理由は若干違うかもしれませんが、せっかく新制度なので借りることを前提に給付型も申し込んでおこうかという学生さんがいらっしゃったのも、学校の現場の話なんかを聞くと実態としてはあるようなので、まずはスタートの一年だったので、そこは御理解いただきたいと思います。その上で、法律の附則に規定された四年後の見直しを見据えつつ、本制度の効果の検証などを継続的に進めてまいりたいと思います。今お話がありましたように、これはせっかく予算を計上させていただいておりますので、一人でも多くの皆さんに使っていただいて、しっかり学んでいただくということに使っていきたい、その気持ちに変わりはございません。
○宮本分科員 ですので、四年後を待つのは本当にもったいない、これをそのまま国庫に今年も大量に返すことになるわけですから。恐らく、進学率八割というので全部予算を組んであるわけですけれども、なかなかそこまでたどり着くのにはやはり一定の期間がかかると思います。周知の問題だけじゃなくて、やはり家庭環境の問題とかいろいろな問題が進学率というのは影響します。その一方で、十八歳人口自体がこれからどんどん減っていくということも考えると、基準を更に、今の予算の範囲でも拡大していっても十分堪え得る。足りなくなったらそのときはまた新たな財源を考えるということもあると思いますけれども、今の予算でもかなりのことができると思いますので、是非そこは検討をお願いしたいと思います。続きまして、奨学金の延滞金についてです。これは最近相談があった話ですけれども、高校で百八万円、大学中退まで四十万八千円、無利子奨学金を借りた、大震災の後に夫の収入がなくなったのを契機に、高校分は四年、大学分も数年延滞し、またその後、今は返し続けているということなんですけれども。これまで返した延滞金の額でいうと二十五万七千円、残る延滞金は十三万六千円。百五十万弱借りて延滞金が四十万近いという話なんですよね。JASSOの調査を見ましても、延滞金の理由というのは、収入が減ったというのが六七・一%、支出が増えたが三九・五%ということなわけですよね。ですから、多くの人は経済的事情で、悪意があって踏み倒そうと思っているわけではなくて、経済的事情で返済ができないわけですよね。そういう方には、本来、もう徹底的に猶予を使っていただくというのが筋だと思いますし、猶予の要件が当てはまらないんだったら当てはまるように猶予の要件を緩和するということが必要なのであって、経済的に返せない人に延滞金をどんどんかぶせていくというのは、本来の奨学金の在り方からいって大変問題があるのではないかと思っております。更に言えば、過去の人を、どういう人が借りているかというのを見たら、今なら高校の無償化の当然対象になるような人だったり、あるいは大学でいえば給付制奨学金の対象になる人だったり、あるいは所得連動型の返還方式、今始まっていますけれども、そういう人なら少しずつ返せた人が、そうした制度がない時代の延滞金で苦しんでいるということがあるわけですね。ですから、私は、この延滞金というのは廃止、残債も帳消しにしたらいいというふうに思います。過去の人との公平性ということをよく言われるわけですけれども、今の制度の恩恵を受けている人との公平性、こちらをより重視して、制度の改善に踏み出していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、様々な事情で卒業後厳しい経済状況に置かれて奨学金の返還が困難な方々がいらっしゃるというのはそのとおりでございます。そこに対してはきめ細かな対応が必要ということで、これまでも、返還期限を猶予する年数制限の延長であったり、減額返還制度における期間の延長など、返還者の立場に立って制度の充実を図ってきたところでございます。他方、学生支援機構奨学金の遅延損害金、延滞金につきましては、期日どおりに返還するよう促すことであったり、あるいは期日どおりに返還している者との公平性ということから課していることに鑑みますと、これを廃止するというのはなかなか困難であるということは御理解いただきたいと考えております。一方、従前は、延滞金に係る賦課金を五%と設定していたところですが、民法における法定利率に合わせて、令和二年四月から三%に引下げというのを行ったところでございます。いずれにいたしましても、奨学金の返還に際しましては、長期にわたって延滞に陥らないということが重要でございます。延滞初期段階での返還促進や、あるいは返還困難時の救済措置の案内等によりまして延滞の防止、解消に努めていくということも必要であるというふうに考えておりまして、引き続きそのような対応を取っていきたいと考えております。
○宮本分科員 いや、ですから、延滞の防止、解消といっても、延滞しそうになったときにちゃんとした丁寧な相談ができていないから、こんな延滞金が積み重なっちゃっているわけですよ。はっきり言って、その丁寧さが欠けたことがこういう事態につながっているわけですよね。それを本人にかぶせ続けているというのは、私は大変問題だと思いますよ。大臣は答えたくないのだなと思いましたけれども、ここは是非、もう一つ踏み込んで検討していただきたいと思います。次に、就学援助についてお伺いします。この間、東京でいえば、世田谷区が二〇一九年から、七百六十万円までの世帯に給食費のみの就学援助というのを作って、大変歓迎されております。一方で、自治体間の財政力によって就学援助というのはかなりの差があるのが事実であります。是非、準要保護世帯も含めて、やはり一〇〇%の国庫補助を行って、就学援助の市区町村での格差をなくしていく、進んだ水準に合わせていく必要があると思うんですね。やはり、憲法の、義務教育は無償だ、この考え方にのっとれば、就学援助の対象拡大に国として積極的な責任を果たす必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。就学援助制度は、学校教育法第十九条の規定に基づきまして、義務教育段階において、経済的理由により就学が困難な児童生徒の保護者に対して市町村が必要な援助を行うものでございます。準要保護者への就学援助につきましては、要保護者に準じて支援が必要と市町村が認める者への支援でございまして、国から地方への税財源の移譲がなされましたいわゆる三位一体の改革によりまして、平成十七年度からは地方単独事業として整理をされまして、地域の実情に応じて実施をされているところでございます。文部科学省といたしましては、家庭の経済状況にかかわらず安心して教育を受けることができますよう、教育費負担の軽減や支援の充実を図ることが重要と考えておりまして、私どもとして、毎年度、各市町村におきますこの就学援助の実施状況を調査をいたしまして公表をすること、これを通しまして支援の充実を促してまいりたいと考えております。
○宮本分科員 公表を毎年されて、大変な調査をされているのは知っているわけですけれども、これは自治体のやはり財政力の問題というのがあるわけですから、生活保護だったら、これは当然、全部国が義務的経費として出しているわけですけれども、就学援助も同様に本来していくというのが義務教育段階での支援の在り方なのではないかと申し上げておきたいと思います。もう一点、高校の入学時にも、制服、教科書等のかなりの出費があります。一方で、高校の給付制奨学金の対象の収入基準は住民税非課税世帯ということになっています。ですから、小中学校の就学援助よりも低いわけですね、基準が。少なくとも高校入学時にも小中学校で就学援助を受けてきた世帯を経済的に支援する、こういう制度も是非欲しいという声をよく伺いますので、是非検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。高校段階におきまして、制服や教科書等の購入など、特に入学時に必要な教育費につきましては、住民税非課税世帯を対象として高校生等奨学給付金による支援を行っていることは議員御指摘のとおりでございます。これに加えまして、各都道府県におきましては、国から移管をされた財源を活用いたしまして高校生を対象とした奨学金事業が実施をされておりますが、こちらにつきましては、中間所得層も含めて幅広い対象とするなど、域内の実情に応じた支援が行われているところでございます。文部科学省としては、国と都道府県による支援が相まって教育費負担の軽減が図られることが重要と考えておりまして、今後とも、都道府県と連携をして教育費支援の充実に努めてまいります。
○宮本分科員 都道府県でそれぞれどういう制度があるのかというのは皆さんも御承知のことだと思いますけれども、入学に合わせてちゃんとした制度はあまねくあるのかといったら、そういうことではないわけですよね。だから国としてということを申し上げているわけですので、これは都道府県任せではなく、是非考えていただきたいと思います。次に、特別支援学校の問題についてお伺いします。設置基準がいよいよ作られるということになりました。全教、全日本教職員組合の障害児教育部の皆さんが、こういう、今日持ってきましたが、特別支援学校設置基準案というのを作っております。これは十二条あるんですけれども、是非、教育環境の向上に資する設置基準とするために現場の先生の意見をよく聞いて作ってほしいというふうに思います。大臣、こういうのを、組合の先生方が作っているのを御覧になられたことはありますか。あります。この案の中にも、一つだけ今日は紹介したいんですけれども、「児童生徒の健康・安全のため、家庭から学校までの通学時間が、一時間以内となるような位置に学校を設置しなければならない。」という文言を書いてあるんですね。やはり、長時間の通学で体調を崩して、登校後、救急搬送される事態というのも起きているわけであります。そして、通学の負担が大きいために登校回数を減らしている生徒というのもあります。ですから、この設置基準に通学時間の上限をしっかり設けて、学校をしっかりつくってほしい、さらには、バスも、スクールバスも増車してほしいということなんですよね。今、一時間以上もスクールバスに乗って登校する状況というのは東京の中でもあります。やはり、子供の成長にとっても、これは改善すべき事態だと思いますので、是非この点のしっかりとした対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 現在、文部科学省では、中教審の答申などを踏まえて、特別支援学校設置基準の策定に向けた検討を進めております。設置基準は学級の編制や学校に備えるべき施設及び設備等を示したものであり、既に定めのある小学校等の設置基準には通学方法や通学時間についての定めがないのは、先生御指摘のとおりです。通学環境については、特別支援学校における学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために施設の計画、設計における留意事項を示した特別支援学校施設整備指針において、幼児児童生徒の居住分布、心身の発達、障害の状態や特性などを考慮し、通学方法との関連に留意しつつ、幼児児童生徒が疲労を感じない程度の通学距離、又は通学時間を設定できるように校地を設定することが望ましいと規定しており、文科省としては、各学校設置者にこれを踏まえた施設に係る計画策定を求めているところでございます。また、特別支援学校のスクールバスについては、安全上の観点から換気が行われにくいなど三つの密が重なるおそれが高く、加えて、医療的ケア児など罹患すると重症化するリスクの高い幼児児童生徒が乗車している場合もあるため、令和二年度補正予算において、感染症対策のため、スクールバスの増便等に係る経費への支援として七十三億円を計上しているところでございます。いずれにしましても、障害を持つお子さんが一時間以上バスの中にとどまるということが、心身共に理想とするスタイルではないということは私も同感しますので、今申し上げたような手続を踏みながら、充実を目指していきたいと思います。
○宮本分科員 しっかり改善を図っていただきたいと思います。あと、時間が迫ってきました、もう一点ですけれども、特別支援学校卒業後の青年・成人期の障害者の余暇活動、学ぶ場の支援についてお伺いします。自治体主催で行われていた障害のある成人向けの生涯学習の取組が、コロナ禍の下、自治体によってはずっと中止になっております。当事者の交流の場であり、父母のレスパイトの場にもなっていたわけですね。再開に向けた後押し、支援が求められております。是非、この点、答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
○義本政府参考人 お答えいたします。障害の有無にかかわらず、誰もが共に学び、生きる共生社会を実現していくことは、御指摘のとおり重要でございます。文科省におきましては、平成三十年度から、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業というのを実施しておりまして、障害者の各ライフステージにおける効果的、具体的な学習プログラムの実例等を紹介しまして横展開を図るなど、障害者の学びの推進を図っているところでございます。これらの事業の実際の取組におきましても、委員の御指摘のとおり、コロナ禍でございますので、コロナ禍においても、障害者の学びの場の継続や充実に向けまして、検温、消毒、マスク着用、換気、看護師の配置など、感染防止に配慮しながら対面活動を実施する自治体の取組がございましたりとか、あるいは、リモート学習における在宅学習支援やオンラインによる情報提供、居場所づくり等を実施する民間の団体の事例等も報告されているところでございます。また、令和三年度予算におきましても、地方自治体におきますよりきめ細かな支援につきましての実践研究を行うとともに、コロナ禍における障害者の生涯学習の実態に関する調査研究の取組などを進めまして、地方自治体への情報提供等の支援を推進しているところでございます。今後とも、これらの取組を推進するとともに、障害のある方が生涯を通じて学校卒業後も学び続けられるよう、しっかり取り組んでいきたいと存じます。
○宮本分科員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
○村井主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。