2021年3月24日衆院厚生労働委員会 436公的公立病院の再編統合・病床削減を迫る厚労省リストの撤回要求

提出資料① 令和2年8月31日 第35回厚生労働省医師需給分科会
提出資料② 令和2年8月31日 第35回厚生労働省医師需給分科会
提出資料➂ 令和2年8月31日 第35回厚生労働省医師需給分科会

 日本共産党の宮本徹議員は24日の衆院厚生労働委員会で、「病床削減推進法案」をめぐって、新型コロナウイルス患者が入院できず命を落とすなどの教訓から、病床削減を進める地域医療構想や公立・公的病院の整理縮小は「間違いだったとはっきりした」と批判しました。
 政府は436の公立・公的病院に再編統合や病床削減の検討を迫り、法案には基金を通じて病床削減を加速させる措置を盛り込んでいます。宮本氏は、436病院にはコロナ患者を率先して受け入れた病院が多いと指摘。「危機において感染症医療に特化する担い手になるのが公立・公的病院。合理化ではなく、不採算でも病床は多めに持つべき」だとの保健所長の声を突きつけ、再編を求める436病院のリストの撤回を求めました。
 「参考として出した」と弁解した田村憲久厚労相に、宮本氏は「コロナ(拡大9の直前に通知を出して、各病院の病床削減を迫っている」と批判。田村厚労相が「コロナの状況を勘案して(検討結果を)出すようにお願いしている」と答えたのに対しても、「勘案する前に出したリストはまったく間違いだ。撤回するしかない」と厳しく迫りました。
 さらに宮本氏は、法案が「過労死ライン」の2倍の年1860時間の時間外労働を医師に認めているとして、「長時間労働を合法化し、容認する方向になる」と批判。「2035年までに年1860時間の特例は是正する。ずっと強要するわけではない」と答えた田村厚労相に、「働き方改革を進めるために医師を増やすべきだ」と強く求めました。

以上2021年3月25日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年3月24日 第204回衆院厚生労働委員会第6号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。長妻議員の続きを質問させていただきますが、今回のコロナで本当に多くの方が入院できずに命を落とすということになりました。やはり、この間、政府が進めてきた地域医療構想、公的・公立病院の整理縮小というのは間違いだったということが、私ははっきりしたと思いますよ。今、再編統合、病床削減の検討を政府が迫っている四百三十六の公的・公立病院、コロナ患者を率先して受け入れてきた病院もたくさんあります。東京では、例えば済生会向島病院。私は地域の保健所長さんにお話を伺いましたので、大臣、聞いてください。重点医療機関として、都立墨東病院と済生会向島病院が採算度外視で受けていただける。済生会向島病院は、病棟は二つしかないのに一つをコロナ病棟にして、早い時期から救急、疑い患者も含めて受け入れてくれた。済生会を目指して医療圏から救急車が走っていく。民間医療機関が受け入れにくい介護度の高い方を積極的に受けて、文句一つ言わず、職員一人一人が使命感を持ってやってくれている。これにほかの病院も見習って受入れが広がった。リーダーになってくれている。これまでは、公的病院は民間と重複があれば減らすということを政府は目的にしてきたが、公的・公立病院の合理化ではなく、医療需要が物すごく高まった危機において感染症医療に特化していただく担い手になるのが公的・公立病院だ。ある程度不採算でも病床は多めに持っていただかないと、いざというときに稼働できない。こういう話を聞きました。大臣もこういうお話を聞かれているんじゃないんですか。
○田村国務大臣 今、新型コロナウイルス感染症対応をいただいていますので、次に向かっての地域医療構想、これに関しては、いつまでにと、それは二〇二五年が最終年でありますから、それまでにはお作りをいただかなきゃならないんですが、例えば今年度中に、来年度中にというようなことをお願いをいたしているわけではなくて、コロナとの状況を勘案して、それも踏まえた上でお作りをいただきたいとは申し上げております。同時に、地域医療構想というのは平時の状況がどうであるかということ、つまり、そこの医療機関が経営していかなきゃなりませんので、余剰病床、余剰人員を抱えますと、当然のごとく、ニーズがないのに、これは経営ができなくなるわけでありまして、そういうことも踏まえてお作りをいただくということを二次医療圏ごとにお話合いをいただいておりますが。一方で、こういうような感染症の大拡大、こういうこと自体、やはり想定しなきゃいけない、コロナの後もこういうことは起こるかも分かりませんので。そこで今般も、この法律の中に書いてありますけれども、まさに地域医療計画の中において新たな、五事業に一つつけ加えて、そういうような状況も踏まえた上で、二〇二四年、第八次の医療計画に向かって、こういうパンデミックの状況もその病床の中でどう対応するか、これは役割分担、機能の分担・連携、連携・分化というような話でありますけれども、そういうものもしっかりお考えをいただきたいということでお出しをしておりますが、ただ、今のコロナに関してはそれでは間に合いませんので、五月までに、いや、五月までにもパンデミックが起こるかも分からないから、四月中にも、ダブルトラックで、拡大した場合の対応もしっかりとお願いをいたしたいということで、今都道府県と議論をさせていただいているところであります。
○宮本委員 大臣がおっしゃるように、コロナの後もまたパンデミックが起こる可能性はあるわけですよ。そのときに誰が受けるんですか。それは公的・公立病院抜きには考えられないわけじゃないですか。なぜこの四百三十六のリストをいまだに撤回しないのか、これは全く理解できないんですよね。撤回しちゃいけない理由はどこかにあるんですか。ないですよね。
○田村国務大臣 これはデータに基づいて参考としてお渡しをしておりますので、これを基に、コロナ等々の状況を踏まえながら、これからのパンデミックが起こったときにどうするんだということも踏まえて、しかし一方で、医療経営はしていただかなきゃなりませんから、病院の経営は。そのときのこともお考えをいただかなきゃならないので、これは普通の状況に戻ったときにどういう状況になるかという意味でお示しをさせていただいているわけでありまして、それを参考に各地域でお作りをいただくということになろうというふうに思います。
○宮本委員 地域にただデータを渡しているという話じゃないんですよ。この公的・公立病院の四百三十六というのは再検証を求める医療機関になって、再検証を求める通知もコロナの直前に出していますよね。一つ一つの医療機関に対して、迫るリストなんですよ、これは、病床削減を。当該医療機関でなければ担うことができない機能に重点化が図られているかについて分析を行ったと。だから、この点について、ちゃんとダウンサイジングについて検討してくださいというのを各病院に対して迫っているわけですよ。ただデータを出しているという話じゃないじゃないですか。ですから、こういうダウンサイジングを求めているリスト自体は撤回すべきじゃないですかということを申し上げているんですよ。
○田村国務大臣 それぞれ、高度急性期、一般急性期、それから回復期、それから慢性期等々、いろいろな病床の種類があるわけでありまして、今般、まさに代替能力があれば、それは民間がそこをしっかり担っていただいて、代替できない部分を担っていただくというような基本的な考え方はありますが、高度急性期の病床に関しては、常態でいくと、普通の状況、つまり、こういう感染症のパンデミックが起こらなければこれぐらいのニーズですよという下でお出しをしております。しかし、コロナ等々が起こった場合、重症者患者をどうするんだというような御議論もありますから、それも踏まえて、今、地域医療計画をいろいろと考えていただいております。ただ、確保したときに、余りにも確保すると、今度は、通常時には、当然そこは急性期の病床としての十分な定数を確保できないということになりますから、そういうことも踏まえながら、どういうふうに御判断をその地域でいただくかということを今調整会議で御議論をください、ただし、期限に関しては、いつまでということではなくて、二〇二五年までにはお出しをいただくということになっておりますけれども、コロナの状況を見ながら、コロナの状況も勘案して、その上でお出しをくださいということをお願いいたしております。
○宮本委員 ですから、コロナの状況を勘案して地域で考えてくださいと言うんだったら、コロナの状況を勘案する前に出した病床削減のリストというのは全く間違いじゃないですか。撤回するしかないですよ、本当に。まだ審議、何回もありますから、これは引き続きやりますので、撤回するまで終わらないと思いますよ、この審議は。続いて、今日たくさん通告していて、とても終わらない気になってきましたけれども、医師の働き方の問題についてお伺いします。B水準、C水準等は、時間外労働を千八百六十時間まで認めるということであります。年千八百六十時間超の時間外労働が可能な三六協定を現在結んでいる特定病院の数及び年九百六十時間超の時間外労働が可能な三六協定を結んでいる特定病院の数、ちょっと教えていただけますか。
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。三六協定は、各医療機関の時間外労働の実態を踏まえ、労使で十分に協議していただくことが必要でございまして、平成三十年二月、医師の働き方改革に関する検討会において取りまとめました医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組においても、三六協定の自己点検を盛り込みまして、適切な締結を呼びかけてきたところでございまして、お尋ねの年千八百六十時間超の時間外労働が可能な三六協定を締結している病院及び年九百六十時間超の時間外労働が可能な病院の数については把握をしておりませんけれども、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターによる調査によりますと、令和二年十二月末の時点において、回答のあった病院のうち約八五%に当たる約四千八百病院で三六協定が適正に取り扱われていたと承知をいたしております。なお、三六協定の取扱いにつきまして是正が必要な病院に対しましては、都道府県医療勤務環境改善支援センターにおいて継続的にフォローアップ対応を実施をいたしておりまして、厚生労働省といたしましても、引き続き医療機関に対しまして三六協定の適切な締結について働きかけてまいりたいと考えております。
○宮本委員 三六協定の中身は把握していないはずはないんですけれども、全部届出があるわけですから。ある学者の方が、山口大学の三隅先生という方が、病院羅針盤という雑誌で、特定機能病院、二〇一九年四月一日時点の、八十六ですかね、について三六協定を全部調べたと。千八百六十時間超というのは八十六の病院のうち二つだったということなんですよね。そうないわけですよね、千八百六十時間超の三六協定を結んでいるところは。それ以外に、九百六十時間超で千八百六十時間までの病院が四つあったということであります。ですから、ほとんどの病院は九百六十時間以下の特定機能病院ですよ。大学病院だとかですから物すごく労働時間が長いところですけれども、それでも、多数は九百六十時間未満なんですね、三六協定は。ところが、この間、厚労省の検討会で出されている資料では、病院常勤勤務医の約四割が年九百六十時間超働いている、一割が年千八百六十時間超の時間外・休日労働ということですから、これは三六協定違反が常態化しているということなんじゃないですか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の検討会に提出いたしました資料につきましては、医師の勤務実態を把握するために労働時間等の調査を行いまして、病院常勤勤務医の約四割が九百六十時間を超えて、また、約一割が年千八百六十時間を超えて時間外・休日労働を行っているという結果が示されたものでございますが、この調査につきましては、三六協定との関係などについて問うたものではございませんので、三六協定違反の実態を把握するというものにはなってございません。労働基準監督署におきましては、三六協定に違反しているかどうかも含めまして、各種情報から、法違反が疑われる事業所に対しましては監督指導を行いまして、法違反が認められた場合につきましては必要な指導を行っているところでございます。なお、令和元年の監督指導状況を見てまいりますと、労働時間に関する法違反でございます労働基準法第三十二条違反につきまして、全業種の平均違反率が二二・四%となってございますが、病院を含みます医療保健業につきましては、これは医師以外の者を含むものでございますけれども、三三・五%となってございまして、少し高くなっているという状況でございます。いずれにいたしましても、引き続き、各種情報から、法違反が疑われる事業所に対しましては監督指導を行いまして、法違反が認められた場合につきましては必要な指導を行ってまいりたいと考えてございます。
○宮本委員 全産業の中でも医療は違法残業が大変多いというのが今の話だったとは思うんですけれども、パーセントの報告がありましたけれども、じゃ、直近の年度で医師に違法残業をさせたということで是正勧告を出した医療機関の数、教えていただけますか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。令和元年において、法定の除外事由なく、医師、あるいは、これも医師以外の労働者の方も含めてという形になりますけれども、時間外労働を行わせたこととして、病院を含みます医療保健業の事業所に対しまして是正を勧告した件数は、五百四十三事業所となってございます。
○宮本委員 ですから、現状は、三六協定というのは九百六十時間未満が多数だと。そういう下で違法残業が他の産業よりも大変医療の分野は多いということなわけですね。そういう中で、今回は千八百六十時間まではいいですよというお墨つきを与えていくということになるわけですが、例えば、この千八百六十時間まで認めるB水準の対象となる医療機関というのはどれぐらいになるんですか。
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。B水準の対象となる医療機関につきましては、地域医療の観点から必須とされる機能に関しまして、三次救急医療機関等の一定の客観的な要件を整理をしておりまして、これに該当する医療機関について、時間外労働の実態を踏まえると、合わせて約千五百程度と見込まれております。
○宮本委員 そういう千五百という数がB水準になっていくということを考えると、これから何が起こるのか、この法改正をやっていくことによって。今、九百六十時間未満で結んでいる三六協定、そういう病院も、逆に、今回の法改正で、千八百六十時間、ここまでは合法的に働いてもいいですよということで、今は違法だとされているものが、長時間残業を合法化して容認していく、こういうことになっていくんじゃないかと思うんですよね。ですから、三六協定が、逆に、どんどんどんどん、医師の働き方を守るものじゃなくて、医師の長時間労働を合法化して容認していく方向に引き上げられていく、こういうことが起きるんじゃないですか。
○田村国務大臣 この連携B、Bに関しては、二〇三五年までには、こういう千八百六十というような特例を、これを是正していくということと同時に、健康確保措置等々でありますとか、時短の計画を出さなきゃならないということでありまして、長いわけでありますけれども、それをずっと許容するわけではないということと同時に、制度としては、もう御承知のとおり、今は、今といいますか現状、この法律が施行されるまではと言った方がいいのかも分かりませんが、今は暫定措置でありますけれども、特別条項を結べば、六か月、六月にわたっては、言うなれば、上限のない中での特別条項ということがあったわけでありまして、それを今般はしっかりと上限を規制するということでございますので、以前よりかは制度的にはしっかりと、医療関係者、医師の方々の健康も考えながら、労働時間を上限を設定したということであろうと考えております。
○宮本委員 ちょっとそれは、今、現状の三六協定が例えば特定機能病院でどうかというお話をしましたけれども、千八百六十を超えて結んでいるところは、それは特定機能病院でも二つしかないわけです。それはその二つからすれば規制になるかも分からないですけれども、ほかのところからすれば、逆に、三六協定がどんどんどんどん時間を延ばす方向に変わっていくというのは、規制じゃないですよ、これは規制緩和になりかねないですよ。そこを本当に大変私は懸念しております。最後、時間がないので一点だけお伺いしたいと思いますが、医師の働き方改革を進める上でも、私は医師を増やさなきゃいけないというふうに思っていますが、ところが、二〇二三年から医学部は定員削減というのを政府は出しております。その基になっている医師の需給推計、本会議でもお伺いしましたけれども、大変そのパラメーターの設定その他がおかしいんですよね。今日、資料を配っておりますけれども、男女比率の設定について、医師の国家試験受験者の男女比は、男性六八、女性三二。これは、過去の直近九年間のデータの中央値を将来推計分はそのまま固定化して使うとなっているわけですよね、三二%を。でも、直近の医学部の女性の入学者は、この二年ぐらい見たら三七%ですよ、平均すれば。当然、医学部の不正入試も、男女差別がありまして、それが正されたというのもあります。さらに、世界的な傾向からいっても、女性の医師の比率はどんどんどんどん高まっているわけですよね。日本でも間違いなくそうなっていくというふうに思います。ところが、この低い過去の数値、しかも不正なことが行われた時代の数値を未来にわたって固定化して使う、こうやって必要な医師数を抑えていく人為的な操作がやられている。それから、もう一枚、次のページに仕事量の推計というのも出ています。これを見たら、男性、女性それぞれ出ているわけですけれども。三枚目に需給推計そのものを出していますけれども、労働時間についても、結局、需給バランスが取れますよ、二〇二九年に取れますよと言っていますけれども、その前提は、労働時間週六十時間だ、年間時間外労働九百六十時間だと。これを前提にしてやっているわけですよ。私、こういうのは前提が間違っているので、需給推計をやり直すべきだと思いますよ。長時間労働は前提にしない、女性はちゃんとジェンダー平等が進んでいく、こういう前提でやる。本会議で聞きましたけれども、本会議は、それは審議会で決めてもらったことだという話でしたけれども、大臣自身の認識は、こういう推計の数値の出し方でいいと思っているんですか。
○とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○田村国務大臣 私の勝手な推測のデータを基にやる方が問題であって、これは有識者の方々にデータをちゃんと見ていただきながら、推計されたデータでありますけれども、それを使ってやっていただいております。それも専門家の方々に見てやっていただいているわけで、そこは、私がどうだ、大臣がどう思っているからどうなんだと言われても、私は専門家じゃないんで、そこはちょっとお許しいただきたいというふうに思います。
○宮本委員 だから、そういう逃げはまずいと思いますよ。だって、男女共同参画基本計画で女性の医者を増やすって書いているじゃないですか。
○とかしき委員長 申合せの時間が経過しておりますので、よろしくお願いします。
○宮本委員 時間が来たので終わりますけれども、一点だけ、委員長にお願いします。私、これは自分でちゃんとパラメーターを変えて試算したいんですよ。だけれども、厚労省が試算するための必要な計算式を出してくれないんです。これ、出していただけるよう、お諮りをお願いします。
○とかしき委員長 理事会で検討させていただきます。
○宮本委員 終わります。ありがとうございました。
○とかしき委員長 次に、青山雅幸君。