2021年3月24日衆院厚生労働委員会参考人質疑 「医師不足13万人」病床削減推進法案 参考人に質問 医師不足解消を求める声

衆院厚生労働委員会は24日、病床削減推進法案の参考人質疑を行いました。同法案は病床削減した病院に給付金を配る事業が盛り込まれ、財源は全額消費税増税分でまかなうものです。
陳述した医療制度研究会の本田宏副理事長は、新型コロナで医療崩壊に陥った原因について、OECD8経済協力開発機構)平均と比べて13万人の医師が不足していることがあると強調。「医師が崩壊すると経済が崩壊することがわかった。医療は命の安全保障だけでなく、経済の安全保障でもある」と述べました。
城西大学の伊関友伸教授は、436の公立・公的病院の病床削減を求める「再検証要請については凍結すべき」と述べました。
質問に立った日本共産党の宮本徹議員は、地域医療構想と436の公立・公的病院の再編・統合リストについて、コロナの経験をふまえての意見を各参考人に求めました。
伊関氏は、自治体病院について「感染者が増えた時に対応できるのは、診療報酬だけでなく地方財源を組み合わせることができる自治体病院だ」と指摘。遠藤久夫学習院大学教授は「ある程度医療制度に余力をもたせることは必要なことだ」と話しました。
日本医療法人協会の加納繁照会長は「(コロナ患者を)公立病院が受けるシステムは非常に大事だ」と強調。本田氏は「地域医療構想は、ベッド数を減らし医師不足を軽く見せようとしている」と指摘しました。
宮本氏が医師不足について質問すると、加納氏は「一貫して医師不足だ」として、「医師が13万人不足しているというのは病院現場として実感している。需給の再検討が必要だ」と述べました。

以上2021年3月25日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年3月24日 第204回衆院厚生労働委員会第6号 議事録≫

○とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。午前中に引き続き、内閣提出、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案及び中島克仁君外七名提出、新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案の両案を議題といたします。本日は、両案審査のため、参考人として、公益社団法人日本医師会副会長今村聡君、城西大学経営学部教授伊関友伸君、学習院大学経済学部教授遠藤久夫君、NPO法人医療制度研究会副理事長本田宏君、一般社団法人日本医療法人協会会長加納繁照君、以上の五名の方々に御出席をいただいております。この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。次に、議事の順序について申し上げます。最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十二分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。それでは、まず今村参考人にお願いいたします。
○今村参考人 日本医師会で副会長を務めております今村聡と申します。この度は、大変貴重な機会にお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。今回の法律案に対する日本医師会の考え方について述べさせていただきますので、資料を御覧になりながら聞いていただければと思います。ページは右下に振ってありますので、それを御参考にいただければと思います。まず、ページをめくっていただいて、一ページでございます。医師の働き方改革、医療法についてです。医療法の改正で、医師の働き方を地域医療とのバランスを見ながら改革していくことになった点は評価できる点だと思っております。医師の厳しい勤務環境の改善、日本医師会ももう十年以上にわたって勤務医の健康支援ということで委員会を設けておりましたけれども、勤務環境の改善は長年の課題であって、医師の労働時間短縮への取組や健康確保策の推進は非常に重要な施策だと考えております。一方、二〇二四年四月施行というスケジュールがあることで拙速に進めていくということは、地域医療の混乱を招きかねない。特に、現在のコロナ禍において、現場が医師の働き方改革に取り組める状況であるのかどうかということを、足下をしっかりと確認しながら進めていただくことが重要だと思っております。医師の労働時間短縮計画を調査する評価機能と、臨床従事六年目以降の医師の高度技能の認定を取り扱う特定高度技能の審査組織というものは、地域医療の確保や医療の質の維持と進歩にとって大変重要なものでございます。持続的、安定的に業務が遂行できるように体制整備を進めていく必要があると思っております。働き方の新制度を早期に幅広く浸透させる必要があると思っております。ここ四年、こういう議論をずっとしてまいりましたけれども、まだまだ、なかなか医療現場に十分浸透しているというふうには思えません。特に、大学病院と基幹病院に対しては、派遣医師の引揚げで地域医療に影響が出ないように、早期に詳細に周知を図っていただきたいというふうに考えております。二ページ目、医療関係職種の業務範囲の見直しについてでございます。タスクシフト・シェアについては、新たな職種の創設ということではなくて、既に認められている業務の着実な実施が基本だと思います。また、タスクシフト・シェアを受ける側の医療関係職種に対する支援というものも非常に重要な要素でございます。今回の法改正による業務の拡大については、医療安全の観点から、相当程度の教育そして研修体制とメディカルコントロールが必須であります。あわせて、需給の見通しに基づく養成の視点も重要だと思います。医師養成課程の見直しにつきましては、いわゆるスチューデントドクターに関する制度創設などの今回の改正概要は、日本医師会としても長年提唱してきたものでございます。医療安全と国民の医療への信頼を守るために、CBT、OSCEの不断の改善と診療参加型臨床実習の充実を求めたいと思います。ページをめくっていただきまして、三ページ、地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編支援でございます。病床機能再編支援事業の対象地域、医療機関の選定や執行に当たりましては、それが当事者だけではなく、地域の関係者間の十分な協議と合意に基づいて行われることが実際の運用においても担保されることを求めたいと思います。都道府県行政や病床機能再編支援補助金申請者は、交付条件を満たしている場合であっても、地域医療構想調整会議や医療審議会等の場において十分かつ丁寧な説明を行い、関係者の理解を得るよう努めることを求めたいと思います。四ページです。新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけです。平時から有事に備え、新興・再興感染症の感染拡大や災害等にも強い医療提供体制を構築すべきだと思います。日本医師会として、医療計画におけるいわゆる五疾病五事業に新興・再興感染症対策を速やかに追加することを求めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で強く認識されたとおり、新興・再興感染症による医療崩壊を防ぐためには、感染症法上の予防計画だけではなく、感染症への対応と通常の医療が両立し得る医療提供体制を整備していくことが肝要だと考えております。本規定の施行日、この案は、次期医療計画に合わせて二〇二四年四月一日でありますが、現行の厚生労働省基本方針等への追加により、施行に先立って必要な医療提供体制を構築していくことが必要だと考えております。ページをめくっていただきまして、五ページです。外来医療機能の明確化と連携でございます。都道府県が、地域の医療機関の中から、医療資源を重点的に活用する外来を、地域で基幹的に担う医療機関として明確化することとなります。その際に、地域における協議の場において、各医療機関の自主的な取組等の進捗状況を共有し、また、地域における必要な調整を行うことを十分に担保していただきたいと思います。また、上記の機能を担う医療機関は、紹介外来だけではなく、状態が落ち着いたら逆紹介によって再診患者を地域に戻す役割も担うべきだと考えます。その促進策は、地域の関係者にとっても納得が得られるものとすべきであります。外来機能報告の対象となる有床診療所は、地域に密着した医療施設として限られたマンパワーで現在運営をされております。そのため、外来機能報告の有床診療所への適用に当たりましては、時期、報告事項等の設定や丁寧な説明について特に配慮を求めたいと考えております。最後に、改正法案と今後の対応について意見を申し上げたいと思います。六ページです。各地の医療現場は、本当に、日本を、地域を見ますと様々な状況にあります。公か民か、あるいは施設の大小や機能にかかわらず、新型コロナウイルス感染症への対応に大変な尽力をしております。今回の制度改正は、そうした現場の苦労に報い、支えとなるものでなければならないと考えます。大規模な制度改革は想定外の問題を生じやすい、また、硬直的な制度運用がなされれば現場に不安や混乱を招きかねません。今回の医療法等改正法の施行に際しては、政省令、告示、そして関係通知等による具体的な制度設計を含め、地域の実情に応じ、かつ柔軟に運用されることを求めたいと思います。また、国や地方公共団体に対しまして、地域の不安惹起や混乱の発生を未然に防ぐためにも、現場に対して丁寧かつ詳細な説明を求めたいと思います。今回の医療法改正による制度改革を確実に進めていくためには様々な財政的な支援も必要でございますので、この点をお願いして、私からの意見とさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○とかしき委員長 ありがとうございました。次に、伊関参考人にお願いいたします。
○伊関参考人 城西大学経営学部教授の伊関友伸と申します。これから参考人としての意見陳述をさせていただきます。まず、資料は、要旨をお手元にお配りしております。まず、私の経歴と研究内容について説明させていただきます。元埼玉県庁の事務職員を十七年しておりました。県立精神医療センターなど、自治体病院で勤務した経験もございます。大学教員として勤務後は、地域医療に関する研究を行っております。二〇〇六年に夕張市の医療再生に取り組んで以来、全国で自治体病院とか公的病院を中心とした地域医療再生の仕事だとか研究をさせていただいております。最近では、自治体病院、公的病院の統合再編について複数例関わらせていただいております。その上で、今回の法案についての意見を陳述させていただきます。地域医療の研究者としては、今回の内閣提出第一七号、良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案は、医師の長時間労働等の状況に鑑み、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するため、医師の労働時間の短縮、健康確保のための制度の創設、各医療関係職種の業務範囲の見直し等の措置を講ずるほか、新型コロナウイルスの蔓延を踏まえ、都道府県の医療計画に感染症の項目を盛り込むほか、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に関する支援の仕組みの強化の措置などを行った積極的な法改正であると、全体としては評価しております。医療法改正の、医師の労働時間の短縮及び健康確保のための制度の創設等に関する事項については、二〇二四年の医師への労働時間の上限規制導入に向けて、病院現場で医療を継続するため、特定地域医療提供機関、連携型特定地域医療提供機関、技能向上集中研修機関、特定高度技能研修機関の制度が創設されたと理解しております。病院現場の実情を踏まえた現実的な対応として、評価をしております。特に、医師数が少ない過疎地の医療機関では、機械的な医師への労働時間の上限規制の導入は地域医療の崩壊を招きかねないと心配をしておりました。特定地域医療提供機関の、地域において当該病院及び診療所以外で提供することが困難な医療、及び、連携型特定医療提供機関の医師の派遣、これは、いわゆる医科大学からの医師派遣が対象と思われますが、制度の創設は、過疎地の医療機関にとって現在の医療を継続する上で妥当な措置と考えます。と言いつつ、過酷な医師の長時間勤務の現状を考えると、医師の長時間労働の抑制を行う様々な取組が国、都道府県、医科大学、地域の医療機関等で行われることを期待しております。医療法第三十条の四第二項の医療計画の記載事項の見直しに関する事項の改正について意見を述べます。新型コロナウイルスの蔓延を踏まえ、都道府県が医療機関において定めるものとされている事項として新興感染症を入れることにつきましては、当然の措置であると考えます。その上で、都道府県の医療計画において感染症の記載をする場合は、既存の感染症指定医療機関の在り方についての議論が必要となります。国におかれましては、新型コロナウイルスの蔓延を踏まえた新たな感染症指定医療機関の指定の在り方についての指針が示されることが必要と考えます。医師法の一部改正の臨床実習に関する事項において、共用試験に合格した医学生を、臨床実習において、医師の指導監督の下に、医師として具現すべき知識及び技能の修得のために医業をすることができることについて意見を述べます。単なる知識だけではなくて、早い時期から現場の医療を実践できることは、医師としてのキャリアデザインとして意義があると考えます。私も僻地の病院を数多く訪問させていただいておりますけれども、医学生さんが実習、研修をされる姿を拝見したことがあります。医学生さんにとっても貴重な経験だなということを常々感じております。放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法及び救命救急士法の一部改正について意見を述べます。チーム医療の実現、医師の働き方改革の視点から、医療技術職や救急救命士の業務の拡大を行うことについては評価をするものです。特に、新型コロナウイルスの今回の蔓延に対する病院の対応として、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などの医療技術職の皆さんの活躍は目をみはるものでした。是非この流れを続けていっていただきたいなというふうに思っています。最後に、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の一部改正について意見を述べます。まず、意見の前提として、私は、自治体病院や公的病院の統合再編が必要な場合があるという立場に立ちます。反対ではありません。統合再編して病院の規模を大きくして研修体制を充実させ、医師や看護師の集まる病院、救急などの対応力を強化することは必要であると考えます。麻生内閣のときのリーマン・ショックの経済対策で地域医療再生基金というのがございました。これはその後の民主党政権のときにも拡充されております。全国に地域医療再生基金の交付を受けて統合再編した成功事例が多数存在します。私が関わった例でも、兵庫県の加古川中央市民病院、石川県の加賀市医療センター、茨城県の茨城県西部メディカルセンターなどがございます。また、どの病院も勤務する医師が増加し、医療提供能力が向上しております。今回、新型コロナウイルスの対応も、数多く患者を受けたのは四百床から五百床程度の病床の多い病院でした。病床が多く、医師やスタッフが多数在籍した病院では、多くの患者を受けることができたのは事実だと思います。新型コロナウイルスの経験を踏まえれば、都市部の自治体の病院で統合再編することは合理的と考えています。ただし、中規模の病院を統合して拠点病院をつくれば終わりではなく、周辺病院との機能強化、連携強化が必要と考えます。当然、民間病院も今回の医療でちゃんと貢献されております。本当に頑張っておられたと思います。そういう連携をちゃんとしていくことが物すごく重要だと思っております。その一方、二〇一九年九月二十六日の地域医療に関するワーキンググループに示された、二〇二五年の地域医療構想を踏まえた具体的対応方針の再検証要請、四百二十四機関、後に四百三十六機関については、全国一律で急性期病院の診療実績下位三三%で線を引いたため、僻地の中小病院が数多く対象とされたことなど、問題が多いと考えています。そもそも、地域医療構想の議論に感染症に関しては議論がなされていません。厚生労働省の調べでも、再検証要請四百三十六機関のうち二百五十機関が新型コロナウイルスの患者受入れ可能機関であり、うち百九十一機関が実際に患者を受け入れたとされています。現在、厚生労働省が進めている重点支援区域という制度がありますけれども、これは、再検証要請の一律の強制改革方式ではなくて、手挙げ方式になっており、病院や地方自治体の実情に合わせており、一定の評価ができます。新型コロナウイルスの蔓延を踏まえて、再検証要請については凍結をし、新たに新興感染症を踏まえた地域医療構想の議論を進めるべきと考えます。その上で、法案についての意見について、第四条第二項の都道府県計画においておおむね定める事項として、地域医療構想の達成に向けた医療機関の運営の支援に関する事業に関する事項を追加することについては、明文が示されることは意義があると思います。さらに、事業について全額負担するということは評価するものです。ただし、無駄遣いがないようにすることは重要だと考えております。第十一条の二の再編計画の認定については、再編統合については当然再編計画が必要と考えます。ただし、三の認定の基準について、一から三の基準については同意いたしますが、実際の統合再編の事例では、現場で働く職員や地域住民の意見が反映されずに、一方的に行政が統合再編を進めていく場合があります。職員や地域住民の意見を反映して再編計画が策定されることを要件とするべきと考えます。最後に、衆法第一号、新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案についての意見を述べます。医療従事者等に給付金の支給を行うことは評価できるものです。特に保育所だとか学童保育従事者等に拡大することを評価します。さらに、病院について言うなら、病院はいろいろな委託業者さんとか直接雇用にない方が数多く勤務しています。一応、十日以上の勤務という基準はあります。支給漏れがないように是非御配慮いただければなというふうに思います。以上で終わります。(拍手)
○とかしき委員長 ありがとうございました。次に、遠藤参考人にお願いいたします。
○遠藤参考人 学習院大学の遠藤でございます。本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。 私は、現在、厚生労働省の医師の働き方改革の推進に関する検討会と医療計画の見直し等に関する検討会という、今回の法律改正と関連をする検討会の座長をしておりますので、本日は、各検討会における議論の簡単な経緯及び最後にはこの改正法案についての私の意見を述べさせていただきたいと思います。まず、医師の働き方改革でございますが、もう既にかなり御議論がありましたけれども、私どもが行っております医師の働き方改革の推進に関する検討会というのは何かと申しますと、その前の検討会、医師の働き方改革に関する検討会というのがありまして、そこで基本的な方針が決まりまして、それを実際に実行するためにどのような細部の手続が必要かということを検討した検討会でございます。これは十一回にわたりまして行われました。かなり細かなところの議論も行ったわけであります。基本的にこの方針は、医師の労働時間の短縮あるいは医師の健康確保という問題と、地域の医療体制をどう維持するかという問題、そのバランスをどう取るかというところが基本方針なわけでありますが、この具体的な仕組みについて様々な議論をしたわけでございます。具体的には、地域医療を守るための、医師の長時間労働を一定程度認めるいわゆる特例水準というものがあるわけでありますが、その指定の仕組みをどうするかとか、第三者の評価の在り方をどうするかとか、あるいは、医師の健康を守るための健康確保措置としての面接指導の具体的な方法であるとか、インターバル規制の在り方はどうあるべきかとか、かなり細かな話をさせていただいたということであります。委員の中には、かなり多方のステークホルダーズの委員が入っておられまして、非常に現場の意見、あるいは少し大所高所からの意見等々が、随分議論されました。できるだけ、これは医療現場で円滑に運用されないことには話になりませんので、特に私としましては、医師である委員もおられましたので、そういう現場のことをよく御存じの方の意見を丁寧に聞くなど努めたつもりでございます。また、地域医療との関係でいえば、現在の地域医療は副業とか兼業を行う医師によって支えられているという現状がございますので、医師を派遣する大学病院等におきましては時間短縮、時短を進めていただくわけでありますけれども、今、地域に副業、兼業をしなければ地域医療が支えられないということで、やむを得ずこの水準を超えた時間外労働が必要となる場合もありますので、それに対しては連携B水準という特例の措置をつくるというような形で、そういう対応をさせていただいたわけであります。労働時間の短縮につきましては、委員の間でも様々な意見がございました。もっと厳しくするべきだという意見と、逆に余りにも厳し過ぎるというような御意見もありましたけれども、様々な検討を経まして、結果的に、医師の労働時間の短縮と地域医療の体制の両立を図るという制度案にまとまったと私どもは考えております。しかし、現在の勤務医の長時間労働という慣行は長い時間をかけて形成されてきたものでありますので、また医療システム自体がこのことを前提につくられているという面もありますから、これを実際に実行させるためには医療現場において正しく理解されなければなりません。医師そのものが自らの働き方を改善していこうという強い意識を持つことができる環境が整備されないと、なかなか進まないということもあります。そういうこともありますので、そのことも報告書には書かせていただいたわけであります。政府におきましては、この改革の趣旨であるとか内容を丁寧に現場に伝えていってほしいと思うわけであります。また、新型コロナウイルス感染症が流行している中、医師の働き方改革を進めていくことについての御意見、様々な御意見があることも承知しておりますが、その上で、検討会としましては、感染症の蔓延時であっても、医師の健康確保と地域医療提供体制の確保の両立を果たせるような社会の実現を目指して、医師の働き方改革を引き続き推進していくべきであるという基本方針は変わらないだろうということで、そのように取りまとめをしております。次に、医療計画の見直しに関する検討会でございます。ここでは二つのことを議論しておるわけでありますが、これは、新型コロナウイルスの感染症を踏まえた医療計画、地域医療構想の在り方というテーマで、そのテーマで昨年の十月以降検討を続けてきて、報告書を作っております。今般の新型ウイルスの感染症の拡大につきましては、我が国の医療提供体制に様々な影響を及ぼしまして、様々な課題があることも浮き彫りにしたわけであります。これは御承知でございましょうけれども、病床、人材の、局所的ではありますけれども、不足が発生しました。また、感染症対応に対する医療機関の役割分担であるとか連携であるとか、このような体制が未整備である。また、マスクなどの感染防護具であるとか人工呼吸器などの医療用物資の不足、こういった、ほかにもいろいろあるわけでありますけれども、そういう問題が浮き彫りになりましたので、その対応をしていかなければならないということであったわけでありますけれども、その中でどのように対応するかということで、今後は医療計画の中で新興感染症の対応をしていこう、そういう流れで対応させていただきました。元々、先ほどもお話ありましたけれども、これは厚生科学審議会の感染症部会において感染予防の視点から様々な対策が取られていたわけでありますけれども、今回の感染が一般病院等々にまで拡大をしていくものですから、医療計画の中でも議論しなければならないということになりまして、これで、一つの新しい事業として感染症対策というものを医療計画の中に、取り組むことにしたわけであります。感染症対策として医療計画に対する内容については、実はまだ細かくは決まっておりません。これは第八次から始まることでありますので、まだ細かくは決めておりませんけれども、引き続き様々なこれから感染症対策を検証していくことになると思いますので、そういった知見も踏まえて引き続き検討していくこととなっております。ただ、検討会におきましては、一応大きな枠組みだけはつくっております。それは、平時からの取組とそれから感染時拡大の取組と二つに分けまして、それぞれについて必要であろうと思われるような事柄は例示としては書いてございます。例えば、平時からの取組の例としましては、感染拡大に対応可能な医療機関、病床等の確保、あるいは感染拡大時を想定した専門人材の確保、あるいは医療機関における感染防護具などの備蓄、その他幾つかありますけれども、そういうような、ある意味当然の話でありますけれども、そういう内容が書かれております。今後、これはまた検討されていくことになると思います。一方で、実は、医療計画の中に地域医療構想というものが入っておりまして、地域医療構想と新型コロナウイルス感染症の拡大との関係ということについても議論は行われました。結論から申し上げますと、大変大きな感染症の拡大であったわけですけれども、一方で、地域医療構想を進めなければいけなかった理由というのは、我が国の人口構成の大きな変化ですね。都市部を中心にこれから急速に後期高齢者が増える、地方は急速に人口減少が起きる、この二つの大きな流れの中で医療提供体制をどう変えていくのかということが基本であったわけでありますので、その前提は基本的には崩れていないという考え方で、その意味から、地域医療構想につきましては各地で今後も進められていくということが重要である、こういう視点は変わりないということであります。したがいまして、少し整理をさせていただきますと、今後の感染症対策につきましては医療計画の中で議論をしていくという形になります。と同時に、地域医療構想は、そのような感染症対策の下で粛々と進めていっていただきたい、こういうような考え方にのっとったまとめをさせていただいているわけであります。ただ、そうはいいましても、この地域医療構想のスケジュールといいますか工程のようなものがあるわけですけれども、これは現在、地域医療構想の検討会議も、恐らく各地域によっては余り進んでいないわけですね。これは、コロナ対応が精いっぱいということでありますので。こういうこともあるものですから、この工程やスケジュールをどう考えるかということで、余り、感染拡大が大きい中で、工程を明確にするべきではないというような御意見もございます。そこで、検討会としましては、新型コロナウイルス感染症への対応状況に配慮しつつ、都道府県等とも協議を行い、この冬の感染状況を見ながら、改めて具体的な工程の設定について検討することが適当であるというふうにまとめております。そういう意味で、スケジュール、工程については柔軟性を持たせているということであります。最後に、外来機能のことでございます。外来機能の明確化、連携につきましても、先ほど申し上げました医療計画の見直し等に関する検討会では議論をしておるわけであります。これまで、入院医療につきましては議論や取組が進んでおります。また、入院の機能をどのように分けるかとかいうような議論も随分されてきたわけですが、一方で、外来についてはそれをやっていなかったということでございます。外来の医療につきましても、地域でデータに基づいて協議する枠組みということはそれなりに重要であろうし、あるいは地域住民に外来の機能を知らしめるという仕組みも非常に重要であろうということでありまして、しかも、最近は、外来といいましても、外来化学療法に代表されるように、非常に高度で専門性の高い医療も外来で受けることができるようになっておるものですから、地域における医療提供体制を協議する上で、入院医療だけではなくて、外来医療、特に高度で専門的な機能を持つ外来医療も併せて議論をするということは合理性があるのではないか、このように考えまして、外来機能の報告について検討をしたわけであります。入院医療の報告制度というのは既にあるわけでありますけれども、同様に、外来機能に関する報告制度、これが創設されまして、報告されたデータに基づいて、地域での外来機能の明確化あるいは連携といったような協議が行われる素材ができれば、非常に意味のあることだ、このように考えております。以上、これまでの検討会の流れを簡潔に申し上げましたけれども、今回の改正法案につきましては、これまでの検討会の議論の結果が反映されたものだというふうに私は認識しておりまして、評価すべき内容だと考えております。以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○とかしき委員長 ありがとうございました。次に、本田参考人にお願いいたします。
○本田参考人 NPO法人医療制度研究会の本田と申します。今日は、大変貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございました。実は、私、二十年近く日本の医師不足と医療崩壊の問題を訴えてまいりまして、やはり国民の方に日本の医療の現実を知ってもらわなくちゃいけないと思って、もう千五百回以上講演しているんですよ、全国で。ところが、変わらない。今回も、世界一、欧米より比べて少ない患者数なのに、日本の医療が崩壊した、瓦解した。何でなんでしょうか。私は、正しい診断がついていないと思います、医者的に言えば。なぜ日本の医療が崩壊したのか。そのことを今日お話ししたいと思います。実は、私は忘れられない一日があります。二〇〇八年四月十二日。医療現場の危機打開と再建を目指す国会議員、超党派の国会議員、その場面にいらした方もここにいらっしゃいますね。二〇〇八年四月十二日、私は、これで日本の医療崩壊がよくなるに違いない、再建されるんじゃないかと思っていました。ところが、残念ながら、今回は医療崩壊です。二〇一五年には「本当の医療崩壊はこれからやってくる!」、あと、今年の二月には「日本の医療崩壊をくい止める 日本を安心して生きられる国にするために」と、実は医療崩壊と書いた本を四冊出しているんですね。だけれども、止まらなかった。今日は、なぜ止まらなかったのかということをここでお話ししたいと思います。今日は、十六枚の図を持っていますので、私、ページと図の番号、間違えて言うかもしれません。私が言う数字はこの図の番号でございますので、これを御覧ください。まず、そういうふうなことで、日本の、今回の働き方改革含めて、医師数その他がどうなのかということで、二番目の方で、医師数と、あとはタスクシフトについて主にお話をしたいと思います。それでは、まず三番目の図でございます、二ページ目ですね。まず、医師も余り知らないんですけれども、世界で医学部定員を決めている国というのは少ないんですよ。先生方、御存じでしょうか。日本、カナダ、イギリス及びニュージーランドです。ということは、逆に言えば、医師不足を引き起こしちゃいけないということですね。国が決めているんですから。ところが、何でこんな医師不足なのかということです。その下の図、四番目を御覧ください。国会議員の先生方の中にも、日本は医学部定員を二〇〇八年に増やしたはずだから、OECD並みに医師が増えているはずだと思っていらっしゃる方も多いと思います。この四番目の図を御覧ください。二〇一八年で、今、世界の、OECD平均と比べて、日本は何と十三万人不足しているんですよ。十三万人。これが医師不足の原因なんですね。この詳細は、またちょっと図を御覧いただきたいんですけれども、十三万人不足している日本で二〇二三年度から医学部定員削減するということになったんですよ。私がなぜこのようにハイテンションで話しているかということは御理解いただけると思います。五番目の図を御覧ください。これは、私が十年前に毎日新聞に書いた、「私の社会保障論」という連載をしていたときに書いた記事です。十年前に既に、日本の感染症学会は、日本には本来は感染症専門医が三千人から四千人必要だと。ところが、千人ぐらいしかいなかったんですね、十年前。去年の一月は千五百人ですよ、皆さん。三千人から四千人必要なのが、千五百人なんですよ。ですから、感染症指定医療機関でも感染症専門医がいないという、びっくりするような状況が日本では起きているんですね。だけれども、このことがほとんどメディアで報道されていないんですよ。ベッドが足りないだけじゃないんです、専門医がいないんです。その下、御覧ください、六番目。これは集中治療医。新型コロナで重症患者さんにはECMO、人工肺の治療をされている、皆さん御存じだと思います。そういう重症者を診る人も、日本では集中治療医学会によれば二千六百五十人足りないんですね。それはそうです、十三万人足りないんですから。ところが、ここで特筆すべきは、ドイツは集中治療医が八千人いるんですよ、皆さん。日本は千八百五十人しかいないんです。ドイツ並みに必要だとすると、一万人足りないんですよ、日本は。それはそうです、十三万人足りないんですから。これは、感染症だけじゃない、集中治療医だけじゃない、救急その他全て足りないんですね。だから、医師の働き方改革で守れないんですよ。守れるわけありません、十三万人足りないんですから。ちょっとしつこいですけれども、今日はせっかくの機会ですから、ちゃんとお話ししたいと思います。次、七番目、御覧ください。その私の懸念が、ここに当たっています。日本の働き方改革に出たデータ、日本の二十万人の勤務医の調査で、何と四割、八万人が過労死ライン以上なんですよ、皆さん。そのうちの一割、二万人が過労死ラインの倍超えているんです、二倍超えているんですよ。これが日本の現実で、二三年度から医学部定員削減するんですよ、大丈夫なんですかと私は聞きたい、誰も答えてくれないけれども。今日は、そういう意味ではやりがいがあるんですね。やはり国会議員の先生がこれを知らないんじゃどうしようもないわけですから、まあ、御存じだとは思いますけれども。その下、八番目の図を御覧ください。これはよく言う全国各地域当たりの人口当たり医師数です。日本は、先ほど言いましたけれども、しつこいですけれども、十三万人足りないんですが、日本で一番多い徳島も、京都も高知もOECDの平均に達していないんです、皆さん御存じですか。一番多い県でもOECDの平均、日本は世界一の高齢社会ですよね。OECDより多くて罰は当たらないんですよ。それより十三万人足りないんですよ。そして、この首都三県を御覧ください、首都三県。東京はまだいいですけれども、医師が少ないでしょう。だから首都三県が、緊急事態宣言、解除できないんですね。ちなみに、今日はスライドを用意していませんけれども、首都三県は、医師だけじゃない、ベッド数も看護師も少ないです。一極集中でそうなっちゃったんです。だから緊急事態条項、解除できなくて、経済がどうするんだと。ベッドだけ用意しても、皆さん、ベッドは自動的に治療してくれないんですよ。医師か看護師がいなければ無理なんです。そうですよね。ちょっと妙なテンションになって申し訳ありません。せっかくの国会審議が、申し訳ありません。九番目、御覧ください。ところが、日本は、済みません、前の八番目で、日本の医師数がOECD並みに要るとすると、四十六万人ぐらい必要なんですね。よろしいですか。ところが、次の図を御覧ください。厚労省の医療従事者の需給検討会ですと、OECD並みに今要るとすると四十六万人なのに、不思議なことに、三十六万から三十七万人で需給が満たすということになっているんですよ。これはおかしいでしょう。四十六万人なのに、三十六から三十七万人。何でか。それは十番目、御覧ください。済みません。ちょっと今日は真面目にやる予定だったんですけれども、いつも一般の方を相手に話しているものですから、本当はもっと駄じゃれを入れたりして楽しくやっているんですけれども、ちょっと今日はかなり真面目にやっています。十番目、御覧ください。十番目、これは私、びっくりしたんですけれども、これは世界の医師数のデータです。一番下の赤い線、日本の人口当たり医師数。上の赤い線、加重平均、世界の国々の。その上に一つ星がありますね、横に赤い線は入っていませんけれども、これは単純平均です。OECDはずっと単純平均を使ってきたんです。単純平均というのは、その脇にちょっと解説が書いてありますけれども、各国の人口当たり医師数を足して、その国の数で割るのが単純ね。加重平均というのは、世界の国の人口と世界の国の医師数で出すんですよ。医療体制が違うところでそんな出し方をして意味があると思いますか、皆さん。加重平均。だから、私はこんなのはおかしいと、講演会ではオレンジジュース平均と言っているんですけれども。いいですね、済みません。やはり駄目でした。言わない方がよかった。加重平均。十一番目、御覧ください。十一番目、これが今日の肝です、スライド。十一番目のスライドの上、これは世界の人口当たり医師数。よろしいですか。OECD、日本は低いです、びりの方ですね。その人口当たり医師数の伸びを見てください。これもびりでしょう、日本。その下、この十一番目の下の図が今日私が一番強調したいところですよ。これは世界の人口当たり医学部卒業生数、世界最低。そして、右を見てください、伸びていないでしょう。一年、ある年のOECDの数だけ見て、十年後にそこに追いつくかといっても意味ないでしょう、世界は増やしているんだから。医療が進歩すれば医者は必要なんですよ、皆さん。だから、世界でも医学部卒業生数が増えていない日本で二三年度から医学部定員削減するんですよ。それで医師の働き方なんか、できるわけないでしょう。そして、十二番目。「医師不足を放置すると?」、これが私、長年訴えたいことです。まず、1感染症や大災害時の医療崩壊、そして経済崩壊。皆さん、今回、医療が崩壊すると経済が崩壊するということはもう分かったわけですね。医療は命の安全保障だけじゃなくて、経済の安全保障でもあるんです。ここをちゃんとしておかないと、国の安全保障を考えるんだったら医療もちゃんとしないと、駄目よ、駄目駄目というやつなんです。済みません。だんだん普通の調子が出てまいりました。申し訳ありません、ちょっと真面目にやります。十三番目。じゃ、どうしたらいいのだ。タスクシフトをしっかりする。これはちょっと時間が、もうそろそろ時間があれですからあれですけれども、フィジシャンアシスタントとか、この上の十三番目は、アメリカではいろいろな職種がいるということです、日本と違って。十四番目を御覧ください。私はフィジシャンアシスタント導入を訴えているんですけれども、この十四番目の下のグラフを御覧ください。アメリカでは、日本にいないような、医師と一緒に働くようなフィジシャンアシスタントがいて、何とこの十年で八万人から十二万人になっています。今、日本はタスクシフトをいろいろな多職種とか特定看護師さんでお願いしようとしているけれども、皆さん、日本は看護師さんも少ないんですから、その少ない看護師さんにこの多職種連携をやるのは、無理よ、無理です。十五番目、御覧ください。これは、そのタスクシフトでどんなことをやっているか。最後です。この最後のスライドが、是非御覧いただきたい。これはOECDの医師数ですね。ここに星印で、今言ったフィジシャンアシスタントを導入している国を並べておきました。ドイツ、オーストラリア、オランダ、ニュージーランド、イスラエル、アイルランド、イギリス、カナダ、アメリカ。ドイツは、OECDの中で、G7で一番医師数が多い国が、十年前にフィジシャンアシスタントを導入しています。日本はまだ導入していません。これで、医学部定員削減して実効性あるタスクシフトの人数を増やさなかったら駄目でしょう。本当に皆さん、なぜ加重平均を使って、医師数を、医師不足を矮小化しているのか、何の目的なのか、是非皆さん検証してほしい。日本の一番の問題は、問題が起きたときにしっかり検証しないからですよ。もう一回、何回でも同じ過ちを繰り返すんですね。ということで、今日も私も講演の駄じゃれの過ちを繰り返してしまいましたけれども、取りあえずこれで終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○とかしき委員長 ありがとうございました。次に、加納参考人にお願いいたします。
○加納参考人 日本医療法人協会の加納でございます。この度は、このような貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。また、コロナ禍におきまして、病院等に非常に多くの支援をいただきましたこと、改めて厚く御礼申し上げたいと思います。また、医療従事者に対するワクチンの接種に関しましても、着実に進めていただいております。重ねて御礼申し上げたいと思います。私も、三月八日に第一回の接種をしていただきました。感謝申し上げます。それでは、説明に入らさせていただきたいと思います。本田参考人のようにちょっと軽快にやりたいんですが、私の立場というのは医療法人協会ということで、民間病院の立場で発言をさせていただきます。昨今、少し民間病院に関していろんな批判があったかと思いますが、それは間違いであるということを是非とも認識していただくための話と、今回の法案が通ればそれがどういう状況を招く危険があるかということを少し述べさせていただきたいと思います。それでは、説明に入ります。私の主張であります二ページを御覧になっていただきたいと思います。二・三・四、八・七・六の法則についてです。これは、日本の医療を分かりやすく理解していただくためにつくった、私の説明用の造語でございます。公的は病院数の二割、病床数の三割、救急搬送受入れ数の四割を占めております。それに対して、民間は病院数の八割、病床数の七割、救急搬送の六割を占めているということでございます。さらに、診療所を考えますと、診療所はほぼ十割近くは民間でございます。まさしく日本の医療というものは民間で成り立っているということがこれで分かっていただけるかと思います。ただし、これを見ますと、公的は二割、三割の割に救急が四割やっているやないか、公的の方がしっかりやっているんじゃないかということを誤解されるかと思いますが、実は、この民間のうちの八割、七割の中には慢性期や精神科の専門病院が入っております。ちょうど急性期のベッド数で比較しますと、公と民がちょうど四対六、ベッド数とほぼ救急搬送数の受入れは比例しますので、このとおりだと認識していただきたいと思います。次に、三ページを見ていただきたいと思います。民間と公的の優位を都道府県別に比べたものでございます。これをどう見るかということですが、これは実は、救急搬送受入れ数の割合が民間で何%受けているかということを示しております。五〇%以上受け入れているところが民間優位の都道府県とさせていただいております。二十一の都道府県でございます。逆に、公的が頑張っているところが二十六の県でございます。これを見ていただくと分かると思いますが、実は、民間優位の都道府県、埼玉、福岡、東京、大阪などにおきましては、民間が七割から八割、救急車の受入れのシェアを取っております。民間優位の都道府県の人口が実は日本の人口の三分の二、総人口の六六%を占めていることが分かっていただけるかと思います。逆に、公的優位なところは人口の三分の一、総人口の三四%でございます。これを見ていただくと、ほとんどの大都市は民間が優位で頑張っているということが分かるかと思います。御出席の先生方の御出身の都道府県を見ていただければ、どちらであるかということも認識していただけるかと思っております。また、コロナの発生の状況を見て、色分けを実はさせていただいております。緊急事態宣言の十一の都道府県のうち九つは、この民間優位なところでありました。救急搬送受入れの民間が七割から八割近くを占めているところがほとんどでございました。このことは非常に重要なことでございます。コロナがはやったところが、実は民間が優位であったというところであります。これが実は幸いしております。実は、医療崩壊、日本は起こったのかということですが、いわゆる欧米で起こったような医療崩壊は起こっておりません。その大きな要因になります。二十ページの資料でまず見ていただきますと、これは大阪府下のデータです。当初はすぐに、私の病院はすぐにコロナ対応をしたわけでありますが、ほとんどの多くの民間病院はコロナの受入れができませんでした。それは、コロナの受入れができなかった理由としまして、当然のことですが、三月、四月といった状況では、マスク、消毒薬すらない、防護服の代わりにポリ袋で防護服を作った、そういう時期でありました。それでコロナの患者さんを受け入れていれば、たちまち欧米で起こったごとく、院内感染、クラスター発生、医療崩壊、感染拡大が実際に起こったと思っております。民間病院の多くは、その時点ではコロナの受入れができなくて、一般の救急の受入れに専従した病院が多かったと私は認識しております。コロナ禍において、例えば大阪ですと、昨年の四月の大阪市内の救急搬送は一万五千件でした。一昨年の搬送数は二万件ですので二五%減っていたわけですが、一万五千台の救急車の搬送受入れに関しましては、問題なく受入れができていたわけであります。そのうちコロナの患者さんといいますと、約一割にも実は満たないわけであります。ということは、残りの一万三千数百件の救急車に関しましては、コロナ以外のふだんの救急搬送患者だったわけであります。さらに、大阪ですと、通常、救急車の民間救急病院の受入れは七三%となっておりますが、大阪市内の公立病院は、コロナの受入れを始めると同時に救急をストップしました。恐らく、二〇二〇年度の民間比率は更に上がり、八割から九割近く民間で受入れをしたと推測されております。そのことが、実は急性期医療の崩壊を防ぎ、地域医療を守ったという実態であります。このような形に、先ほど見ていただいたように、コロナに感染した地域で、大阪以外でもそれぞれの民間病院が活躍し、そのことで、ふだんの一般救急患者さんの受入れが維持されたということであります。そういう意味では、日本の医療崩壊、急性期の医療崩壊というのが現実的になかったということであります。ただし、第一波、第二波に関しましては、このように大きな民間バッシングが起こらなかったんですが、第三波に関しましては、季節的な影響もありまして大きな波になりました、重症者も増える状況になりましたし。しかし、コロナ禍において日本で起こったのは実際の医療崩壊というものではなく、海外で起こった医療崩壊というものではなく、重症者等のコロナ受入れ病床の逼迫ということでありました。これに関しましては、先ほど見ていただいた二十ページにありますように、民間病院の割合は、四月からPPEがそろい、先生方の御努力で支援金が交付されるようになり、見ていただいたとおり、直線的に四月から上昇しているかと思います。民間病院は、経営がやはり自分でやらなきゃいけないということもありまして、判断が済み次第、協力できる病院はしっかりと協力していったという表れだと思っております。しかしながら、コロナ重症患者さんの病床利用がやはり九割近くまで上昇したことから、医療崩壊が叫ばれたのではないかと理解しております。 繰り返しになりますが、日本は最後まで医療崩壊はしなかったということを繰り返して申し上げたいと思います。実は、欧米の急性期というものは過度に集約され、いわゆる巨艦主義、でかい病院、大きい病院が急性期を担うということになっております。そこにコロナの患者さんが入ってきたわけですから、たちまち、瞬時に医療現場が感染の原因となり、感染が拡大し、日本より発生率、丸ごと急性期の病院が崩壊したわけですから、いきなり大きな感染が広まった結果として、一桁、二桁感染数も増えたかと考えております。そういう意味では、今回、民間病院は、コロナを診る病院、またこれは公立病院も含めて、コロナを診る病院とコロナを診なかった病院も含めてしっかりと地域医療を守ったからこそ、医療崩壊は実際には起こらなかったということを認識していただきたいと思っております。これが実は、私はファクターXじゃないかと思っております。これと、介護施設の面会謝絶を含めてやったのが、日本で医療崩壊を大きく招かなかった大きな原因だと思っております。次に、今後の必要な医療であります。集約化した方がよい医療と、先ほども申しましたように、欧米は、集約化し過ぎて、巨艦主義、戦艦大和級の病院でないと駄目だという理論につながりました。巨大化した病院しか急性期を担えなくしたために、コロナで一気に潰れたわけであります。五ページを見ていただきたいと思います。実は、本来、集約化した方がよい医療と、分散化した方がよい医療があります。これはやはり、区別して扱うことによって、巨大な病院を都道府県内に幾つも造るというようなことを避けていただきたいと思っております。集約化した方がよい医療というものは何かといいますと、小児、周産期、三次救急、それにがん治療の方が入るかと思っております。全てのがんじゃないんですが、多くのがんは、集約化した形での手術、がん手術の集約化というのは必要かとは思います。ただし、がんも、いわゆる化学療法等で継続的に診なきゃいけない場合はそういう必要はないわけでありますが。それとは別に、今後の増えていく我々の日本の医療の一番の問題は高齢者医療だと認識しております。高齢者医療というものは、骨折、脳卒中、心不全というものが主なものでありますが、これは実は二次救急で全て診れます。いわゆる民間の二次救急で十分こなせているわけであります。そういう意味で、今後、人口密度の高い大都会においては、点でなくて面で二次救急はしっかり受けていくということが大事だと思っておりますし、逆に、地方においては、どうしても、集約化した点で受けるという体制づくり、オンリーワンになってしまいますが、そういうこともあり得るかと思っております。そういった形の地域での体制の区別をしなきゃいけないということが必要かと思っております。実は、これは私の勝手な言葉でつくっています輪廻転床。実は、これからの高齢者の方が病気になりまして、転床のショウは実はベッドでございます、いわゆる、治療して、リハビリをして、在宅に戻る、これの繰り返しを輪廻転床とさせていただいております。人生百年時代、これから何回か輪廻転床を繰り返していただいて、人生を楽しく全うしていただくのが我々の役目じゃないかなと思っております。そういう意味で、我々の役目としまして、二次救急というものをしっかりと守っていくということが大事だと思っておりますし、そこに図を足していただいていますが、今後高齢者が増えるところは実は民間病院が救急を支えているところでありますので、そういった形で我々はしっかりとやっていきたいと思っております。今後、その二次救急を守るに当たって、七ページを今度御覧になっていただきたいと思います。これも大阪の例であります。重立った救急病院がこの中に記載されているわけでありますが、実は、そこに明記されていますように、当直の体制、四割近くは大学からの、等の副業によるものでございます。今回、先ほどから話が出ています連携Bというものがつくられております。連携Bというのは、大学等から供給をシステム的にできるようなという形でつくられたと私どもは認識しております。以前の議論中は、先生方のお手元にあるほかの資料だと思うんですが、公式の資料では、今、連携BとBが同じ緑色になっているんですが、我々協議しているときは、ずっと、A水準という濃いブルーと近い淡いブルーで書かれていたんですが、どういう訳か、法案化の時点で途端に、Bと連携Bが同じ色になって表現されております。私はそれは非常に問題だと思っておりまして、連携Bは、今後、先ほどから申しました、大都会において守っている民間病院の礎である大学からの労働力の供給という面では、今後、連携Bを主体にしっかりと守っていただくことこそ、今後の高齢者医療を維持していく大事な礎だと考えております。その点を踏まえて、今後の法案の中で、そういった意味での連携Bの取扱いに関して、先生方、是非とも御理解いただいて、御協力をお願いしまして、私からの説明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○とかしき委員長 ありがとうございました。以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○とかしき委員長 これより参考人に対する質疑を行います。質疑の申出がありますので、順次これを許します。繁本護君。
○繁本委員 ありがとうございます。自由民主党の繁本護でございます。今日は、参考人の先生方には、お忙しい中、厚生労働委員会に出てきていただきまして、貴重な御意見を賜りました。本当にありがとうございます。感謝申し上げます。また、コロナ禍において、それぞれのお立場で、この終息に向けて、今後の医療体制に向けて御尽力いただいていることにも敬意と感謝をまずもって申し上げたいと思います。今日は十分しかありません。限られた時間でございますので、全ての先生方に御質問は当たらないかと思いますが、この点はまずもって御了承いただきたいと思います。コロナ禍における今回の法改正の議論でありますから、平時における地域の医療体制、医療計画と、そして有事におけるそれと、両方議論していかないといけないわけでありますが、このタイミングでの法案審議でありますから、論点がたくさんある中ですが、やはり感染症対策を中心に順次質問していきたいと思います。新興感染症が発生して、それに対応するべく、今回、医療計画の中に一つ新たな事項が盛り込まれたわけでありますが、今回、一年間の経験をずっと振り返って、見ておりましたら、やはり、コロナ対応をしていただいている医療機関とそうでない医療機関と、それぞれに御尽力いただいて、御発言もございました。実際、人が足りているか、病床が足りているか、医療機器が足りているか、あと患者はどうなっているかと、様々な状況が時々刻々と変わっていく中で、対応病院と非対応病院との間でいろいろ混乱があった一年でもあったかと思うんですね。それを、そうさせないために、今回、新たな計画事項として新興感染症が起きたときの備えをやっていこうと思うわけでありますが、今回の計画作りにおいては、単に、感染者が出てきた、そしてそれがまた広がっていった、それに対してきちっとやっていこうということだけではなくて、もちろん、通常で、コロナ禍なかりせば、しっかりと病院に通うことのできたコロナではない医療に対しても、良質かつすばらしい医療サービスを提供していかなくてはいけないわけでありますが、実際、この一年、かなりの受診抑制が起きたんですよね。したがいまして、感染症への対応をするとともに、平時であるかのように有事においてもしっかりと医療サービスを受けてもらうための、救急医療もそうだし、急性期もそうだし、そして慢性期も回復期も、全ての医療をなるべく平準化していくためには、感染症に対応している病院とそうでない病院との間で医療資源の融通、あるいは患者さんの融通みたいなものがあればいいよねということは誰しもが分かってはるんです。ところが、現実はそうならなかった。それはそうです、初めてのことですから。世界的なパンデミックでありますからね、そうならなかった。もう一つは、今日、午前中の審議の中で安藤高夫先生が明らかにしていただいたんですが、受診抑制が起きた結果、我が国で、四月から十二月の間で一・三兆円の医療機関における収入減が実際起きたわけですよ。これは今、病院、医療界全体の経営も圧迫していて、感染症対応もありますが、経営面で、医療崩壊とまでは言いませんが、経営面ですごく医療機関がそれぞれの立場で厳しい状況にあるわけですね。したがいまして、これからパンデミックを考えたときの医療計画を考えるときには、経営もしっかり考えながら、医療資源と患者さんをお互い融通させていかなあかん、こういうことが大事かと思うんですが、この点について、やはり課題もたくさんあると思いますので、今日開陳できなかった部分も含めて、今村先生と、民間病院の経営に、その観点から、加納先生に御所見をお伺いしたいと思います。
○今村参考人 御質問、ありがとうございました。まずは、日本医師会も、安心して国民の方に受診していただけるように、当初は本当に医療機関側も、マスクも手袋もアルコールもPPEもない状況の中で発熱患者を診るというような状況がございましたし、患者さんにも不安がありましたけれども、先生から御指摘のように時々刻々と状況は変わって、そういう物資も十分にあるということで、安心して医療機関を受診していただける体制ということで、安心マークというようなものも発行させていただいて、患者さんに安心を与えるということを努力してまいりました。それから、オンライン診療も、従来は平時の医療ということで挙げられておりましたけれども、対面でもなく、一定の医療、安全と信頼の下に行えるオンライン診療については進めていくというような取組をされたということはございます。そうはいいつつ、安藤先生のお話、午前中、聞いておりませんけれども、四月から十二月までの間は相当に受診抑制、これも診療科によって相当に差があったということもございますけれども、皆様方、先生方のお力で様々な補助金や診療報酬の改正をしていただいて、これは、流行の二波、三波、四波と、その時期にもよってまた随分変わるわけですけれども、それはかなりの部分補填をしていただいたというふうには思います。診療報酬は、御存じのとおり、その行為を行えば自動的にお金が入ってくるものでありますけれども、補助金については大変に申請が大変で、私も実際に、いろんな発熱外来等の診療を行うに当たって、本当に四つも五つもITを活用していろんな申請をしなきゃいけない、それも、なおかつ、支払いというか振り込みも非常に遅れるような状況にございますので、そういった簡素化とか手続の簡便化、あるいは、自治体のお金と国のお金みたいな話になりますと、なかなかスムーズに医療機関にお金が来ないということもありますので、こういったものについては、全額国庫からスムーズに補助金をいただけるような仕組みをつくっていただくと、安心して医療機関が経営ができるかというふうに思っておりますので、是非ともその点もお願い申し上げたいというふうに思っております。お答えになったかどうかちょっと分かりませんけれども、よろしくお願いします。
○加納参考人 御質問、ありがとうございます。我々三病協として、この度のコロナ禍で四回公表させていただきました。やはり、一度目は、五月の十八日に出させていただいた四月の我々の病院団体における集計における状況では、コロナを受けた病院が非常に厳しい状態、二〇%近いダウンから始まり、それぞれ、コロナを受けていない病院までのマイナスの状況を提示させていただきました。それを今まで四回提示させていただきましたが、まだまだやはり厳しい状況が続いております。先ほど今村参考人がおっしゃいましたように、支援金というものが今随時入ってきております。冒頭にちょっとお礼を申し上げたのは、コロナを受けた病院、特に重点医療機関等には空床補償等でしっかりと支援金を今補給していただいております。この点に関しましては、三病協で出たデータでもかなり改善はしていますけれども、まだマイナスの状況が続いているというデータを出させていただいているかと思います。今後の補助金の執行状況によっては好転するのかということを期待しておりますが、これは是非とも検証していただいて、コロナを診た病院がまずマイナスではいけないということ、私、ちょうど菅総理に御面談いただいたときにもそういうお言葉をいただきましたけれども、そういう形で、しっかりと、コロナを受けた病院に対する対応は是非ともお願いしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、コロナを受けなかった病院も、必死でコロナの院内感染を防ぎながら入院患者さんを守り、職員を守りながら医療に携わって、救急医療を守って、地域医療を守ったということも是非とも評価していただいて、その点に関するまた支援金等の考慮を是非ともお願いしたいと思います。その点に関しましては、少し、皆さん方、やはり、コロナを受けた病院に対する評価は非常にしていただいているんですが、コロナを受けなかった病院も、先ほど申しましたように、日本を守れたのは、そういった皆さん方、公も民も必死になって頑張った、そういう姿で我々日本の医療崩壊を招かずに済んだと思っておりますので、是非ともそこの点に関しましても、支援金の方、また御考慮いただければと思っております。
○繁本委員 ありがとうございます。コロナがかなりの負荷をかけている中で補助金申請が乗っかれば働き方改革の逆行ですから、ちゃんとしないといけないと思います。あと、もう時間が来たのでこれで終わらないといけませんので、まだまだ聞きたいことはたくさんあったんですが、これで質問を終わります。ありがとうございました。
○とかしき委員長 次に、中島克仁君。
○中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。本日は、五人の参考人に御出席をいただきました。大変お忙しい中御出席をいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。また、それぞれの立場での陳述、大変参考になりました。今後の法案審議に生かしていきたいと思います。短い時間でございますので、全ての参考人の皆様に御質問できないことを御容赦を願いたいと思います。私からは、この改正案の中身は、医師の働き方、また地域の医療体制の在り方等、かなり多岐にわたる内容でありまして、ポイントを絞って、地域の医療体制の部分につきまして御質問させていただきたいと思います。まず、伊関参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。法案について本当に丁寧にお答えいただいていたわけでありますが、お答えいただいた中での地域医療構想、地域の医療体制についての部分につきまして、新型コロナウイルスの蔓延を踏まえて、再検証要請、これは一昨年九月、リストアップ、リスト化された四百二十四、後に四百三十六病院、機関ということになりますが、これにつきましては凍結をし、また、新たに新興感染症を踏まえた地域医療構想の議論を進めるべきとおっしゃっておられました。非常に全体の中でボリュームが少なかったので、一度、リスト化された四百三十六機関についてはある意味白紙化して、その上で改めて議論を進めるべきということだとここにも書いてあるわけですが、この理由についてもう少し詳しく丁寧なお答えをいただければと思います。
○伊関参考人 お答えさせていただきます。確認ですけれども、私は、地域医療構想自体について否定しているわけではない。逆に、今の新興感染症、新型コロナの蔓延を考えると、病院間の連携は必要だというふうに考えています。例えば、ECMOなんかは高度急性期病院、中等症ぐらいの方は、軽症の方は地域の急性期病院、検査だとか診断等は地域の開業医の先生、この連携が今回の新型コロナで物すごく重要になった。これは、自治体だとか公的、民間を問わず、医療機関同士の連携、まさに医療界が一丸となって対応することが必要で、そのための議論のツールとしては、地域医療構想ないし地域での調整会議の役割というのは大きいと思っています。新型コロナを踏まえれば、役割は逆に高まってきているかなと思っています。ただし、この四百二十四の病院の再検証要請というのは急性期の視点で一律で基準を作りました。そうすると、本当に山奥の唯一の病院はどうしようという話なんですよね。例えば離島、利尻島だとか奥尻島の病院、再検証しなさいと言うんですけれども、その離島に一つしかないんですよ。その病院をどう見直すのかということ自体、やはり理屈にない。一方で、都市部はもうちょっと再編して感染症の対応ができるような、感染症の専門医の方が活躍するには、ある程度の病床の規模が必要です。だからこそ、都市部を対象として統合再編を検討するべきなんだけれども、そっちは、逆に言えば三分の一の基準外ですから、対象外なんですね。リストを見ていて、私も全国あちらこちらの病院に行っています。相場観があるんですよね。その相場観に全然合わなかったものなので、これは問題だというふうに思っています。僻地の病院、いっぱいあります。一生懸命少ないスタッフで頑張っておられます院長先生、看護師さん、その人たちの働く誇りを傷つける、将来の不安をかき立てるような、そういう指摘の仕方をしたので、厚労省の担当の方等のいろいろな思いはあったんだと思いますけれども、もう一回、今回の状況を踏まえて、ちゃんと新興感染症のものを踏まえて議論をし直すことが必要かと考えております。以上です。
○中島委員 ありがとうございます。地域の実情を踏まえながら、さらに、コロナの現状を踏まえてというお答えで、もう少し議論したいんですけれども、時間がございませんので、もう一問。先ほどの陳述の中で、この統合再編に関しまして、職員や地域住民の意見を反映して再編計画が策定されることを要件とするべきであると述べられておりましたが、ここについても、この理由についてもう少し詳しく御説明をいただければと思います。
○伊関参考人 特に、自治体病院、公的病院、国立病院も含めて公的性格のある病院を統合再編する場合、まさに地域に根差すというか、自治体病院はまさに地域立の病院ですので、住民の方々、職員の方々、やはり影響は大きいんですよね。いろいろな事例を見ると、行政が一方的に、職員の、働く人たちのことを考えずに統合再編を進めて、結局、大量退職したり反対運動が起きて、そのまま先へ進まなかったりすることが結構あります。結局は、情報をちゃんと公開して、住民や職員の意見をちゃんと反映して、だけれども、この地域の医療を残すためにはぎりぎり統合が必要なんだと泣いて統合するぐらいの話じゃないと、地域医療なんか残せないです。そうやってこれまで統合してきた病院は、本当に血みどろの経験をしながら、結局、統合して医師が集まる、看護師が集まる病院になって、やはり苦労したけれども一生懸命やってよかったと。ちょうど退任されますけれども、静岡県の袋井市長さん、掛川市と中東遠総合医療センターという五百床の病院をつくったんですけれども、もう大反対運動が起きました。そのときに、でも、地域にとって必要だということで統合した。この前、会議に出たときに、本当に苦労したけれども、この統合をして、病院、医療が提供できる、新型コロナの患者さんも対応できる、苦労してよかったというふうにつくづく言われていました。やはりそういう地域の関係者の努力に基づいて地域の医療というのは存続できますので、是非、地域の意見、住民の意見、職員の意見を反映させるような仕組みに、統合再編をする場合でも計画に位置づけていただければなというふうに思います。
○中島委員 ありがとうございます。地域医療構想そのもの、私もそうなんです、地域医療体制の在り方、これは将来を見据えて鋭意やはり議論して、そしてビジョンを描いていくということは全くそのとおりだと思います。しかし、一昨年九月の四二四リスト公表の際に、それぞれの地域、今日、橋本先生もいらっしゃいますけれども、あれを公表したことで、私の地元は山梨県北杜市というところで、市町村合併して、今、市立病院が二つ、その二つともリスト公表、名指しされている状況で、やはり地域の住民の方となかなか理解が進めない、そして県も指導力を発揮できない。非常に悩ましい極めて本質的なお話だった、そのように思います。時間もございませんが、本田参考人に一点お聞きさせていただきたいと思います。先ほど冒頭に、今回のコロナを踏まえて、欧米に比べて我が国は圧倒的に感染者数が少ない、一方でベッド数は逆に圧倒的に多い我が国で、なぜ医療逼迫の状況、これにさらされなければいけなかったのか。極めてこれも本質的なことでございまして、こういう状況を招いたこここそが本当に議論しなければならないことと。今日、本田参考人は働き方の部分、医師不足の部分でございましたが、医療体制の部分で、今回なぜ我が国は医療逼迫を引き起こしたのか、課題について御意見をいただければと思います。
○本田参考人 ありがとうございます。先ほどもちょっと申しましたけれども、やはり、私、しっかりした検証をする最高のチャンスだと思いますね。なぜ日本が医療が崩壊というような状況になったのか。先ほど、一番最後に言う予定だったんですけれども、我々医者の中では、小医は病を医し、中医は人を医し、大医は国を医すという言葉があります。やはり先生方は大医ですよね。国を医す。先生方がやはり、本当になぜ感染者数が相対的に少ない日本で医療が崩壊したというのをしっかり検証して、今までの日本の医療の在り方自体を全体を見直す。厚生労働委員会の先生方は大医ですから、是非よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○中島委員 全ての参考人に質問できませんで、申し訳ございませんでした。ありがとうございます。
○とかしき委員長 次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 公明党の伊佐進一です。五人の参考人の皆さんには、それぞれの立場から貴重な御意見をありがとうございます。早速質問させていただきますが、まず加納参考人に伺いたいと思います。今朝、この医療法の議論をこの委員会でさせていただいたときに、政府の方の答弁では、民間で代替できないところを公立病院でやるんだ、例えば災害とか救急とかという話がありました。でも、今の加納参考人の話を伺うと、いや、代替どころか、民間が今頑張っているんだというお話でした。大阪なんかは特にそうだということでありましたが、私も地元が大阪ですので、民間の病院がいかに頑張っていただいているかというのを見ておりまして、本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。その上で、今回、五疾病五事業に感染症対策というのを盛り込んでいく、つまり、感染症への対応と通常医療の両立というのを考えていくわけですが、その中で、遠藤参考人の方からも、まだどうやって決めていくか細かくは決まっていませんという話がございました。でも、この決め方が私は非常に大事だというふうに思っております。加納参考人の方から、民間医療機関が誤解されたこともあったと。確かに、大阪の行政のやり方を見ていますと、一定の、例えば法人の在り方だけで線を引いてみたりとか、病床数だけで協力要請を出してみたりとか、何で医療機関、民間は頑張らないんだみたいな雰囲気も少しあったのは非常に残念でありましたが、だから、そういう一定の基準で客観的に切るんじゃなくて、もう少し、例えば、今回、こうして感染症対策、どういうときにどういう役割を担うかというときには丁寧な議論が必要だというふうに思いますが、思うところをお述べいただければと思います。
○加納参考人 ありがとうございます。我々民間病院が非常に頑張ったということを御理解いただけて、本当にうれしく思っております。実は、三病協という病院団体でコロナの発症すぐの頃にお願いしたことがあります、都道府県ごとに一か所コロナの専門病院をつくってくれ、それはできたら公立病院でお願いしたいと。その公立病院の拠点化した病院の患者さんに関しましては周りの民間病院がしっかりと受入れをするので、ともかく拠点病院を一か所つくって、そこからスタートしようということを申し上げました。これらの議論を、今後、六事業のときにそういう感染拠点病院をつくるかどうかということと、今回、重点医療機関には民間病院も非常にたくさん参加しております。そういった形で感染協力病院的な形のシステムをつくるか。これは非常に大事なことですし、そのシステムを維持するのにまたコストがかかります。民間病院は一切そういった補助金というものが交付されませんので、なかなか厳しい状況下でありますが、今回も、非常に協力的に、積極的に参加した病院に関しましては、そういったことなしに、医療の本髄、人を助けるという形で参加した病院も多々あったかと思います。そうはいっても、先ほどの繰り返しになりますが、いわゆる経営が成り立つようにシステム的につくっていただければ、民間病院は喜んで、医療に関しては日本の医療を守っている自負がありますので、頑張っていきたいと思っております。ありがとうございます。
○伊佐委員 ありがとうございます。次に、遠藤参考人に伺いたいと思います。地域医療構想の中で、今回、急性期、高度急性期の病床を三割削減していく必要があるというのが今朝の議論、これは維持されるんだというような議論が今朝も委員会でございました。恐らく、人口構造の変化、あるいは高齢者が増えていくので、回復期あるいはリハビリの病床がより必要になってくるという観点で、方向性は十分私も理解をしているつもりであります。具体的に様々な数字、要素を、データを入れて客観的にはじき出した数字だという認識でおりますが、ただ、やはり私は、現場を回っていますと、どうしても現場の感覚は、私は都市部に今いますので、いやいや、やはり急性期は足りませんよ、逼迫していますよという声も依然伺っています。そういう意味では、この三割削減というもののデータからはじき出したものと現場の感覚の違いをどう理解すればいいんだろうといつも悩んでおります。そこは、将来の構想だからいずれそうなるんですよという話なのか、それとも本来必要な要素が何か漏れているのか、あるいは地域地域の特殊性をもっと考えなきゃいけないのか。さっき本田参考人から医師不足という点もあるんじゃないかということをおっしゃっていただきましたが、この辺の御意見をいただければというふうに思います。
○遠藤参考人 ありがとうございます。必要病床数に合わせて現在の病床数を再編していくという話でありますが、その中で急性期の病床を減らしていくという流れではあるけれども、なかなか、急性期のニーズはそこそこあるのではないかとか、その他もろもろの理由で急性期の病床が減らない、それは一体何が原因なのかということだと思います。その中で、幾つかあるかと思いますけれども、基本的に、急性期の必要病床数、つまり、必要病床数の算定はどうやってやったかと申しますと、これは、ある時期、入院している患者さんで、一日当たりの診療報酬の点数がある水準よりも非常に高い人たちを急性期医療で入院しているとみなして、その人たちの年齢と性を、二〇二五年ではどのぐらいになるかということが予測されていますから、それで将来のそのタイプの人たちの数を出して、それを病床稼働率で割り戻したというような形で出しているわけであります。ですから、私は、個人的に言えば、あくまでも、そういう意味ではまだまだ改善をしなければいけないところはあるのだろうなというふうには思うところであります。先ほど申し上げましたように、かなり急性期的な治療を外来でやるようなことも出てきておりますし、様々な変化、技術的変化もありますし、それから地域の問題もあります。それから、そもそも急性期というものは何なのか、回復期は何なのかというところは明確にはまだなっていないわけでありますので、それらも含めて今後は議論されていかなければならないだろうというふうに思います。ただ、かなり地域医療構想が進んでも、急性期の減少という問題、急性期のシフトという問題がなかなか進んでいないということで今のような議論があるわけでありますけれども、今後、恐らくいろんな議論が進んでいくのではないかなと私は個人的には思っております。よろしゅうございましょうか。
○伊佐委員 ありがとうございます。次に、今村参考人に伺いたいと思います。本田参考人の意見にあったPA、NPについてちょっと伺いたいと思うんですが。というのは、今回のタスクシフティング、医師の業務だけれども、ほかの職種にシフトできるものはお願いしようということでありますが、ただ、これは、業務全体の効率化がされないと、単に業務のつけ替えだけで終わってしまう、つまり、そのままで移管されるだけであれば、病院全体の業務量は変わりませんので、しわ寄せする場所が替わっていくだけじゃないかというふうに思っております。そういう意味では、PAとかというのは本当に大事な取組かなと私は聞いていて思ったんですが、今村参考人の御意見をいただきたいと思います。
○今村参考人 御質問ありがとうございます。先ほど、冒頭、私の意見の中にも述べさせていただいておりますけれども、日本医師会の考え方としては、まず、今いらっしゃる方たち、いろんな様々な職種の方たちにいろいろな活動をしていただきたいということが前提であります。ただ、その際に、先生おっしゃるように、医療に対する全体の負荷量が変わらなければ、ただのつけ替えに終わるのではないかというお話も、それはそれでもっともなお話だと思います。私どもも医師の働き方改革のときに厚労省の中で意見を申し上げたのは、やはり国民の医療の受け方、つまり、医療に対する様々なニーズというんですかね、あるいは国民のディマンドというものが、本当に医療を必要としている方たちの負荷だけではなく、例えば、医師に対する説明を求めるときに、会社に勤めているから日曜日に説明しろとか、様々、個別のことを言うといろいろありますけれども、やはり上手な国民の医療の受け方ということをいろいろ御検討いただいた上で、その全体量の中でどのように配分していくか。その配分については、やはり院内のマネジメントというのが非常に重要で、今まで医療機関はそういったマネジメントを専門的に行うような人材もいらっしゃらなかったという中で、今回、厚労省の中では、いわゆる医療管理者に対するマネジメント研修を徹底して行うというようなこともあり、そういうことをしながら、やはりいろいろな全体的な役割というのを担っていただきたいということを申し上げています。もし新たな職種をつくるとなると、相当の養成の時間もかかりますので、それから、今、人口減少の中で若い人たちの人口が減っている中で、適性な方たちがどのぐらいの割合でどういう職に就くのかという、これは医療だけではない全体的な日本社会の在り方にも関わってまいりますので、まずは、今ある職種の方たちの能力をより発揮しやすい環境をつくっていただきたいということを申し上げているところです。済みません、長くなりました。ありがとうございました。
○伊佐委員 ありがとうございます。時間になりました。本当は、最後、PAについて養成をどうするかというのも本田参考人に駄じゃれを交えて回答していただきたかったんですが、時間になりましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、五人の参考人の皆様、大変お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。五人の参考人の皆さんにお伺いをいたします。今朝も大臣と議論したんですけれども、今回の新型コロナで、これまで政府が進めようとしてきた地域医療構想で病床を削減していく、あるいは、公的・公立病院、今、四百三十六のリストを出して病床削減の検討を迫っているわけですけれども、こういうやり方でいいのかという議論を朝させていただきました。やはり今後もパンデミックは繰り返されるでしょうし、そのことを考えても、医療提供体制には、やはり、平常時、通常時から一定の余力といいますか余裕というのか、そういうのがなきゃいけないんじゃないか。そして、公的・公立病院は、今回、本当に採算度外視でいち早く受け入れるということを新型コロナの患者についてやっていただいたわけですけれども、このリストを撤回をなかなか大臣はしてくれないんですよね。一回撤回してくれたらいいのに、さっき凍結という話もありましたけれども、凍結していただきたいというふうに思っているんですけれども、新型コロナのことを踏まえて、地域医療構想と公的・公立病院のリストの問題について皆さんはどうお考えなのか、五人の参考人の皆さんにお伺いしたいと思います。
○今村参考人 地域医療構想そのものについては、先ほど遠藤委員からもお話があったように、一定程度やはり進めていかなきゃいけないものだと思っていますけれども、強制的に削減するということではなくて、やはりそれぞれの地域の事情がございますので、しっかりと地域で議論していただいて、あるべき姿に収れんしていくという形が望ましいというのが日本医師会の基本的な立場であります。四百三十六の公的な病院については、あくまで一定の仮定を置いた上で挙げられているものなので、先ほど御意見ございましたように、それぞれの地域でまず議論していただいた上で、これはもう絶対に必要なものだと言えばそれで存続をされるということになるという理解をしておりますので、まずは議論していただくという一つのきっかけということで御理解いただければと私は思っております。以上です。
○伊関参考人 私の意見は何回もお話ししています。基本、感染症に対しては、やはり自治体病院は効果的だと思います。結局、財政の観点で見れば、例えば今回の新型コロナの補助金、これは、国の予算が、一次補正、二次補正、予備費の充用、だんだんだんだん、時間がかかって来るんですよね。そのときに、感染症というのはすぐぐっと患者さんが増えてきますから、そのときに対応できるのは、やはり診療報酬だけじゃなくて、地方財源を組み合わせることができる自治体病院が先駆的に行うのは、これは合理的だと考えています、感情的な問題じゃなくて。一番最初に対応するのは、ふだんから公的財源が入っている自治体病院また公的病院等が真っ先に対応する。その後、ある程度めどがついてきたら、ちゃんとしたいわゆる財政制度がついてきますので、全体に広げていくというのが予算制度と感染症の機能を考えると一番合理的であろうと思います。当然、今回の事例を見ても、自治体病院だけで全部対応できないですよね。兵庫県さんはかなり自治体病院が多くて対応できたんです。でも、三次では民間病院のお力をかりなきゃできませんでしたし、逆に民間病院が頑張っている地域もあるんですよ。全ての県を分析すると、やはり県によって全然違います。その地域性をもって議論をすることが必要だろう。その点で、今村先生が言われたような地域での議論を、調整会議等で感染症の医療機関の在り方について、病床の在り方について議論することは意義があると思っております。
○遠藤参考人 まず、ある程度医療制度に余力を持たせることが必要なのではないかという御発言があって、これは恐らく、地域医療構想の必要病床数を考えるときの考え方にそういうものが必要なのではないかというお話だというふうに思います。確かに、余力を持たせるということは重要なことだと思うわけであります。ただ一方で、平時において余力を持つということは、コストであったり様々な負担が当然生ずるわけであります。これは災害医療でも同じようなことが言えるわけなものですから、どこまで社会的に負担ができるかというレベルの話になるので、それはおのずから制約が出てくるだろうというふうに思っております。どちらかというと、病床の問題というよりも、医療計画の方で感染蔓延時の対応をしようということで今回は整理がされているわけでありますけれども、いずれにしましても、地元、地域の中での議論の中で感染対策も含めて地域医療構想の審議が行われるということは当然必要なことだというふうに思っております。それから、リストにつきましては、これは私の理解ではあくまでも参考というような位置づけであったというふうに理解をしているわけなのですけれども、病院をターゲットにして何でもしなければいけないというレベルのものではなくて、ある一定の計算式の下ではじき出したものであったわけでありますので、その出し方については今後検討する必要もあるのかもしれませんけれども、あくまでも私はあれは参考までにというような意味合いだったという理解をしております。以上でございます。
○本田参考人 地域医療構想に関しては、先ほど来申し上げているように、三十三万人の医師数で、OECD並みなら四十六万人要るということを抜きに話をすると、ボタンのかけ違いの議論になるんですね。皆さん、ジグソーパズルをちょっと思ってください。ジグソーパズルで、四分の一パズルがないのをあちこちあちこち移したら全部埋まると思いますか。無理ですね。百年やっても無理なんですよ、それは。ジグソーパズルで四分の一ない状態ですから。だから、私からすれば、今の地域医療構想というのは、ベッド数を減らして医師不足をちょっと軽く見せるようにしたいんじゃないかという気さえします。本当にそういうふうな気がしてしようがありません。私の友人で、北海道の士別病院の院長がいます。もう本当に過労死ラインぎりぎりで働いているんですよ。だけれども、事業管理者だからあなたは働き方改革にはなじまないと言われて、今日も先ほどすごく寂しいメールが参りました。私が、彼が過労死する前にどうにかしなくちゃいけません、皆さん。北海道で病院を見直したら、本当に行くところはないですよ。雪も降るし、JR北海道もどんどん路線縮小していますから。十三万人不足ということだけ忘れないで進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
○加納参考人 先ほど申し上げさせていただいたとおり、やはり公立病院がまず受けるというシステムは非常に大事だと思っております。それはなぜかといいますと、公立病院は潰れません。今も、潰そうとして、四百幾つかの病院があったのが、こういう議論の中でなかなか整理ができないというのが現状だと思います。経済的にも、例えば、先ほど兵庫県の例が出ましたが、県立病院と公立病院を維持するのに、大体、毎年四百数十億のお金が、税金が組み込まれております。いわゆる公立病院への繰入金というのは総務省から八千数百億円のお金が毎年出されておりまして、一ベッド一万二千円、毎日出ているようなカウントになっております。民間病院がその分もいただければ、もしかしたら堂々と経営的なものも安心していけるかなと思いますけれども、そういったいろいろな経済的な理由もしっかりと考慮していただければ、いろいろな対処の方法が考えられるんじゃないかなと思います。さっき聞いておりますと、四百二十四の病院のうちの二百の病院がやはりコロナの患者さんを公立病院で受けなかったということでありますし、それは、規模の問題か何か、いろいろな検証をしないことには最終的な整理に関しては結論が出ないんじゃないかなと、私、その件に関しましてはそう思っております。以上です。
○宮本委員 ありがとうございました。四百三十六のリストは参考だというふうに政府は説明するんですけれども、通知は出ているんですよね。一つ一つの病院、ちゃんと病床削減の検討をしてくださいという通知は出ているんですよ。それはただの参考データじゃない状態になっているんですね。あと、最後にお伺いしたいんですけれども、本田参考人がおっしゃった医師不足について、今村参考人と加納参考人に、どうお考えか、お伺いしたいと思います。
○今村参考人 医師不足という現状の現場で、やはり全国で今、医師が不足しているということは間違いない事実だと思います。ただし、医療需要の問題と、それから日本の若い人たちの人数の問題と、それから医師を養成するのに時間と費用がかかるというようなこともございますし、私どもは一定の仮定を置いて国の検討会で医師の需給というものを議論してきた。これは仮定ですので、当然、仮定が間違っていれば違った数字になるということはあると思います。したがって、足下は足下できちんと需給を確認しながら、今の偏在、これは地域や診療科の偏在をそのままにして、また、今の若い人たちのいわゆる考え方、いわゆる自由診療に行かれる先生たちが物すごく多い状況になっている中で、ただ医師を養成すれば現場の社会保険診療に関わる地域医療を担うような医師が増えてくるということも、これもなかなかはっきり見通せないということですので、しっかりとした現場のデータに基づいて折々にきちんと議論をしていって、それを修正していくということが重要だというふうに考えています。
○加納参考人 ありがとうございます。病院団体としましては、一貫してやはり医師不足は申し上げております。勤務医がやはりなかなか充足している状態ではないと我々は認識しておりまして、この先、先ほど今村参考人がおっしゃいましたけれども、もう一度需給の再検証をしていただいて、いろいろな意味で今医師の状況は変わってきております、その中でどれだけ要るのかどうか、もう一度再検討が必要じゃないかなと思っております。民間病院に医師というものを供給するためには、例えば紹介会社という形で我々は今お願いするんですけれども、年俸の二割、三割は当たり前で取っていかれます。数百万円の紹介料が要るという形になります。それが大阪でさえそういう状況でありますので、いわんや全国でということになりますと、まだまだ、医師不足というもの、先ほどおっしゃっていただいた十三万人、まさしくそれを実感しているのが我々病院現場だと認識しております。
○宮本委員 ありがとうございました。時間になりましたので、終わります。
○とかしき委員長 次に、青山雅幸君。
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。本日、大変ためになる議論、各参考人の方からお聞きして、大変ありがとうございます。時間がございませんので、早速です。まず、これは質疑というよりは、聞いていて大変共感したところでございますけれども、加納参考人のお話の中にあった、統合に適したものと統合に適していないものがある、統合に適したものとしては、産科とか、小児とか、がんとか、あるいは救命救急に関わるところ、そして、地域医療といいますか、これからの高齢者社会、老人医療については輪廻転床という言葉、これはまさに、そういうすみ分けといいますか、一律に統合再編を進めるのではなくて、その医療に合った、適したやり方をするというのは大変すばらしい考え方だなと思っております。恐縮ながら、私、弁護士をやっていまして、特に医事訴訟、医療過誤訴訟をよくやっていまして、皆様にも迷惑をかけているわけですけれども、その経験からいくと、やはり一つの問題としては、専門医とかスタッフがそろっていないところで残念ながらそういう医療事故が発生しやすい。しかも、なかなかその状況だと手を出してはいけないような治療についておやりになるものだから大変なことになる。むしろそのくらいだったら、交通機関があるわけですから、地域に非常に集約された、専門医もスタッフもそろったところが一つぼんとある、特にがんなどは慢性期でもあるわけですから、知識のある専門医の方が十分な化学療法、あるいは手術の技術を持った方がおやりになるというのが非常に合理的だなと常日頃思っているところでございましたので、大変共感をさせていただきました。ありがとうございます。その上で、次に質問の方に入るわけですけれども、少し話が変わりまして、コロナの治療に関してやはり加納先生にお伺いしたいんですけれども、先生がお作りになった、この二十の図ですね、二十ページといいますか二十の図。これを見ると、先生が大変民間病院が悪いというふうに言われたりして憤慨されている、そのお気持ち、大変分かるわけです。ただし、一方、これを見ると、十二月の終わりくらいまでは三〇%くらいの病院が受け入れていた、民間がですね。ちょうどこの頃、病床数不足が、私、実はずっと夏の頃から病床数をもっと拡大するべきだということを田村厚労大臣にずっと言っていまして、それがなかなか進まない中で、実際にも進んでおらず、そのときにちょうど医師会の団体のトップの方が、医療崩壊、医療壊滅というふうに強い言葉をお使いになって強い規制を訴えられたものですから、やはりちょっと国民的な反発があったという事情があったかと思います。私は、春先に、先生おっしゃったように、PPEとかが不足している中で、それはやれというのは無理な話だったと思うんですけれども、だんだんコロナの実態も分かり、感染防御のやり方も分かり、いろいろなことが整備された中で、なぜ増えないのかなというのを非常に疑問に思っていたんですけれども、先生のグラフが大変参考になったのは、十二月の末から期せずしてぐっと右肩上がりで上がって、三〇%だったものが、今現在一六%も上がって四六%になっているわけですね。これは、どういうことで十二月の末から急激に上がったのか。あるいは、これを全国といいますか、これからも広げるためには、どういう工夫を政策的に取ったらいいのか。是非教えていただきたいと思います。
○加納参考人 ありがとうございます。もう一つ、二十一ページですか、患者さんの実際の数の推移も図を一緒に入れ込ませていただいているかと思います。それを見ていただきますと、間違いなく第三波に合わせて民間病院も数が増えているということが御理解いただけるかと思いますし、右上がりで急に上がっておりますし、その十二月、どうのこうので、割合的にはきゅっと上がっているかもしれませんけれども、絶対数自身の数で見ていただいても、僕は十月から、やはり先生がおっしゃっていただいたように、PPEがそろい、繰入金等の支援金もある程度準備ができた段階で判断していった民間病院が参加していっていると。これは実際に入っている患者さんの絶対数の数なので、間違いない数だと私認識しております。この十一月の三十日、これは、確かに十月の末というのは、大阪は実は大きな山が先に一つ起こりましたので、その山に対応するのに足らなくなったというのが一つあったかと思いますけれども、僕は、民間病院は確かにいろいろな意味で経営的な判断をしなきゃいけないという大きなものがございます。我々民間病院ですから、企業と同じように、残念ですが、二期赤字を出せば銀行さんからきつい目で見られ、三期赤字であれば場合によっては潰れなきゃいけないという形であります。先ほどから申していますように、片や公立病院というのは、非常にちゃんとした経営的な支えがあってやっている病院であります。ですから、先ほどから申し上げましたように、公立病院がやはりしっかりと取っていただくことがあって、それから、我々、そういったしっかりとしたバックアップをしていただければ随時参加し、今回は、当初はもちろん先生おっしゃるようにPPEが不足という形で非常に厳しい状況が続きましたので、これで参加しておれば、欧米と同じように一瞬で急性期の医療分野が崩壊し、まさしく、そこから更なる拡大がもっと起こったんじゃないかなと思っております。そういう意味では、民間が判断して、ある程度制限しながらスタートしたというのが、結果的には地域医療を、状況で守ったという形であります。元々、コロナの患者さん一に対して、先ほどから言っています救急車で考えますと、その十倍は普通の、ふだんの一般の救急がございました。それに関して、やはり地域で守っている病院が多いのと、やはり中小の病院、民間病院は規模が二百床以下がほとんどですので、そういった規模でゾーニングするのには非常な手間がかかります。そういった形での遅れがあったと推測されますので、そういった考慮の中でも、やはりちゃんと右上がりで上がっていったという事実があるかなということを是非とも認識していただいて、今後は、やはり経済的なバックもしっかりと、大阪でもやっていただいていますから、そういった形で保障していただければ、我々、しっかりとした形で取組ができるんじゃないかと認識しております。
○青山(雅)委員 おっしゃるように、経済的バックアップ、あるいは防御着等がきちんと行き届く、そういったことは国の責任だと思いますので、是非私どももその旨政府にも提言したいと思います。ありがとうございます。時間がないものですから、あと、今村参考人にお伺いしたいんですけれども。私も、今日、午前中、実は田村厚労大臣と、働き方改革は両輪である、やはり医師の絶対数が本田先生おっしゃるように足りていないのに、幾ら法規制だけ変えていってもそれは到底不可能じゃないかというような話をさせていただきました。ちょっとびっくりしたのが、医政局長が、勤務医不足、先生は先ほどきちんと勤務医が足りないとおっしゃっていただいたのを、言葉を濁して、二度も三度も認めなかったものですから、そこで大変な時間を浪費してしまったんですけれども。その前提はまず間違いない、病院会のアンケートでも九割近い病院の方が足りないとおっしゃっているわけですから。その上で、先生は、仮定が間違っていれば変わるかもしれないけれども、やはりいろいろな諸要素を考えると、医師数を増やすことに必ずしも医師会として前向きではないかのようなお話だったと思います。しかしながら、おっしゃるように、例えば最近、がんの自由診療であるとか、いろいろなところに確かに増やしても流れていくという部分はあるかと思います。しかし、よく例えを出させていただいて恐縮なんですが、私、弁護士なんですけれども、弁護士は、あるときから、七百人前後だったのがいきなり二千人にぼんと増やされて、三倍ですね、あっという間に裁判所のない中小都市とか僻地にまで行き渡るようになったんですね。やはりそれは絶対数が増えれば、幾らそういうところにこぼれ落ちる、先生が言っているような自由診療にこぼれ落ちるところがあったとしても、充足されるのは間違いないと思うんです。その点について、ちょっと最後に御意見をお伺いしたいと思います。
○今村参考人 御質問ありがとうございました。最後のお話、トリクルダウンみたいな多分お話なんだと思うんですけれども、これは構造的にやはりいろいろな問題があると思っています。例えば、今の医学部の進学者というのは、圧倒的に都市部の進学校から行っている。高校の進路指導でも、東京大学じゃなくて医学部に行けみたいなことを勧めるような高校もある。そういう中で、ただ単に数を増やせばそれが地域に行き渡る、それも全ての診療科、今は非常に医療も細分化しておりますので、その細分化そのものが余りよくないということで、総合的に診療できるというような意味での、いろいろな診療科の今は専門医制度というのが新しく始まっているわけですけれども、そうであっても、そういった専門医の方たちをどのように全体に地域に満遍なく行き渡るようにしていくのかとか、様々な課題があります。先生も御存じのとおり、医師も一人前の医師になるためには十年以上かかります。したがって、その先の十年後の日本の地域の医療事情がどうなっているのかということも考えなければなりませんので、今の現状で不足があるから、それじゃどんどん増やせばいいんだ。例えば、人口が私のときには二百二十万人、一学年、おりました。今の医学部だったら私は受からないんじゃないかと思うぐらい、今は偏差値が高くなっている。つまり、百万人の一学年の数字で、更に我々のときの何倍も医師を養成するということが、日本全体の社会の中でそれが本当に望ましいのかどうか。もちろん、医療は社会的な共通資本として非常に重要なものではありますけれども、日本社会というのは別に医療だけでやっているわけではないので、全体的な様々な要素を見ながらやる必要がある。私は、専門職を増やすということは非常に慎重であるべきだと思っていて、先生は今、弁護士を増やして、それは正解だったというふうにおっしゃったように思いますけれども、弁護士もそうですし、あるいは薬剤師さんもそうですし、公認会計士さんもそうですし、やはり専門職が不足しているからといって単純に増やしていけばいいということではないので、きちんと足下を見ながら、きちんとそのときのエビデンスに基づいて、その折々に見直していくべき必要がある。現状としては、今はああいう厚労省の数字になっているということで、我々は申し上げているところです。ですから、絶対に増やすとかそういうことを言っているわけではないのですけれども、きちんとした、その仮定が正しいかどうかということも検証しながらやっていただきたいということを申し上げています。
○青山(雅)委員 日本医師会のトップの方が、医療は日本で最も重要な産業だと言ったとか言わないとかいう話もございます。私は、やはり重要だと思っていますし、足りなければ増やすのはやはり優先課題だと思っています。是非その点の御検討はしていただきたいと思います。本日はありがとうございました。
○とかしき委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。今日は、五人の先生方、本当にありがとうございました。この医療法、あるいは十年、二十年先を見据えた医療のことについても是非アドバイスをいただきたいところなんですが、今、国民の皆さんが一番知りたいのは、やはりこのコロナ感染対策をどうやって終息し、とりわけ病院の医療逼迫、これをどう解消するかということじゃないかなと思うので、そのことについて時間が許せば全員、五人の方からちょっと御見解を伺いたいと思うんですが、まず最初に加納参考人から伺いたいんですが。というのは、私はずっと厚労省に質問しているんですけれども、病院に対する補助金ですね。これが、非常に使い勝手が悪いんじゃないか。ようやく千九百五十万円というのが年末に出ましたけれども、それでも、この間調べたらまだ半分しか使われていないんですね、余っているんです。これはやはり、専門家からも、コロナ患者を診るのに結構特化してしまっていて、でも、コロナ患者一人診るのに三、四床空けなきゃいけない、そういうような、赤字補填とか減収補填とかいう言い方もありますけれども、そういうことにもっと使えるようにしたら、もっと民間でも進むんだけれどもなという意見。あるいは、お医者さんとか看護師さんのやはり数が、絶対数が足りないのは問題なんですけれども、しかし、それでも、コロナ患者を診てくれる方には例えば二倍給料を払うとか、スウェーデンなんかそうしていると聞いたんですけれども、そういう予算の使い方をすれば、私は民間病院ももっと引き受けていただけるのかなと思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。
○加納参考人 ありがとうございます。確かに、民間病院で、私ども実は四月からコロナを受けております。最初は三床で受けまして、最終的に十九床、さらに、一月になり、要請があり、一床増やして二十床まで増やしました。最大十八名の方が入られましたし、中等症、軽症でありますが、第三波はほとんどが中等症以上で、それも高齢の方が入ってこられます。そういった形で入院なさってくるわけですし、本当に急変なさいました。当院でも何人かの方が亡くなっておりますし、また、重症病院の方からも患者さんが、いわゆるみとりで預かってくれという形で、当院でもみとりをさせていただいたことがあります。そういった形での対応でありましたが、そういう、患者さんが多い時期と、また少ない時期と、そこを病棟単位でやりますと、その病棟の看護師さん、もう本当に医療従事者というのはすばらしくて、患者さんがいればしっかりとどんなことがあっても対応するということで対応できるんですが、実は、こういうふうに少し減ってきますと空いてくる、そういうふうな間断がどうしてもあるわけなんですね。そこらをやはり、その病棟だけじゃなくて、その病棟を支えるには、先ほども言いましたように、病院全体で支えなきゃいけなくて、コロナを診る看護師さんだけじゃなくて、コロナを診るに当たっては病院全体で動かなきゃいけない。だから、コロナを診ない職員と、コロナを診る職員との差をつけるかどうかとか、いろいろな微妙な問題がありますし、逆に、減ってくるとまたちょっと、そちらの方がどうなのかなという、これは非常に難しいんですが、民間病院で職員を維持するという面とかけ合わせながら、一生懸命、今、民間病院は対応しなきゃいけないということなんです。これが、先ほどから言いますが、公立病院になりますと、やはり公務員であります。公務員でありますし、実は、民間病院と公務員の看護師さんとの給与差も、やはり、多分年俸で百万単位で違うかなということで我々は認識しております。そういう意味では、先ほどから申しましたように、まずは公立病院でしっかりと受ける病院をつくって、それから我々が受ける体制づくりをしていただく中で、我々もいろいろな工夫をしながら、職員に納得してもらって、日本のために、地域医療のためにという形で全力を尽くしますが、やはりそういった絡みがどうしても出てきます。そういう意味で、民間病院で幾つかの、発言の中であったかと思うんですが、なかなか取組が難しいところもあります。その分は、必ず民間病院は地域医療を守っているという意味で、救急とかそういった面ではもう全力で戦ってきたと認識しております。そういった組合せがなかなか難しいということを是非とも御理解いただきたいかなと思っております。
○高井委員 ありがとうございます。同じ質問を、それでは今村参考人と本田参考人、病院経営ということも関わるので。それ以外でも、もし何か、例えばPCR検査をもっと増やすべきだとか、ワクチンをこうすべきとか、そういう提案もあったらそれでも結構でございます、何かいい解決策を。それでは、本田さんと、その後、今村さん、それぞれお願いします。
○本田参考人 ありがとうございます。言いたかったことがあるんですけれども、何で日本の病院が赤字なのか。先ほど、日本は医学部の数を国が決めていると言いましたね。診療報酬点数も国が決めているんですよ。日本の診療報酬点数は、欧米の半分ぐらいになっているんです。皆さん、胃の内視鏡を受けたことがある方はいらっしゃるでしょう。日本で胃の内視鏡は一万一千四百円、ドイツは三万八千円、アメリカは八万七千円。こんなに安くしたのはどこのどいつだと言っているんですけれども。これじゃ、元々黒字にならないんですよ。だから、民間がいいとか悪いとか、公立が悪いじゃなくて、元々黒字になりにくいわけ。だから、全国の公立・公的病院がやはり繰入金を入れないとやっていけないんですよ。安過ぎるからなんですよ。一方、日本は、診療報酬が世界の半分以下なのに、薬剤とか、結構高いものもあるんですね。これも国が決めているの。ちょっと、今日は立場上、これ以上は避けますけれども、やはり医療費をちゃんと見直ししないと駄目。公立と民間病院を分断しちゃ駄目です。よろしくお願いします。
○今村参考人 コロナ全般についてということでよろしいんでしょうかね。本当に、医師は、医療機関は、それぞれの立場で、直接コロナを診る医療機関もあれば、コロナを診る予定はなくても結果的にコロナを診ることになる場合もありますし、常に緊張感を持って診療しているということでございます。公や私を超えて、あるいは病院と診療所を超えて、やはり連携をしっかり取りながら、国民のために、コロナの対策のためにどのようにするのか。例えば、コロナの患者が増えてきますと、病院だけで重症の患者あるいは中等症の患者を診ることができなくて、ホテル療養や在宅療養をする方たちも相当増えてくるわけですし、我々は日本医師会として、会員もたくさん診療所の医師がいますので、そういった地域の中でどうやってコロナの患者さんをしっかりと見守っていくのか、そういう体制づくりも非常に重要だと思っております。そのために、国もパルスオキシメーターの機器をたくさん御用意をしていただいたり、あるいは様々なオンラインの診療を活用しながら、そういった方たちを守っていく体制をしっかりつくりたいというふうに思っていますし、財源的には、本当に、何度もいろいろな先生がおっしゃっているように、しっかりとした病院経営が成り立つような形で、診療報酬そして支援金等も併せて守っていただけるようにお願いをしたいというふうに思っています。
○高井委員 それでは、伊関先生と遠藤先生にも、あと多分一分ずつぐらいしかないんですけれども、それぞれお答えいただけたら。コロナ対策全般について何かアドバイスがありましたら、お願いします。
○伊関参考人 コロナ対策、今のやつは、いわゆる新型コロナウイルスについては、第四波が来るかもしれないんですけれども、かなり対応策はできつつあって、あとは病床を確保して、医療者の体制をいかに整えるか。これが整ってきたかなという感じはしています。重要なのは、次の新しい新興感染症に対しての準備をどうするのかということが重要だと思っています。私は、病院の個室化、全室個室でもいいと思っています。いわゆる感染症の外来の動線の分離、やはり病床の規模は上げることは必要だろうと。次の感染症がどういうものか分かりません。ただ、確実に何かが起きてきます。そのための準備のための議論をするべきですし、それが地域医療構想でもやはり議論していくべきかなというふうには思っております。以上です。
○遠藤参考人 ありがとうございます。私自身は医療の関係者ではありませんけれども、たまたま、私的なことを申し上げますと、娘が救急医で、大学病院でまさに新型コロナの患者さんをずっと診ていたという経緯もありまして、いろいろと話は聞いておるわけですけれども。大変、私、重要だと思いますのは、今、非常にこれだけ大きな感染症が日本で起きたわけですから、この検証を大規模にきっちりやるということで、これを使って今後の医療政策に反映させていく、それも、小規模にあちこちからやるというよりも、言ってみれば国会レベルできっちりやるぐらいな、そのことは是非やらなければならないだろうと。こういう、ある意味、言葉は悪いかもしれませんけれども、大きな社会実験でもあるわけでありますので、そこを是非進めるべきだ、それが非常に重要なことだというふうに思っております。以上でございます。
○高井委員 大変有用な、有益な、貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました。ちょっと医療法とは直接関係なかったかもしれませんけれども、大変、国民が今知りたいテーマだったと思いますので、本当に感謝をいたします。今日は本当にありがとうございました。
○とかしき委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)参考人の皆様は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。