2021年2月12日予算委員会 75才以上の医療費窓口負担引き上げ法案、2割負担の範囲を政権のフリーハンドにするもの

○宮本委員  七十五歳以上の窓口負担の二割負担、医療費の二割負担についてお伺いいたします。
 年金がこれから恐らく減額が続いていくであろう中、後期高齢者医療費の二割の負担増をすれば、受診抑制を招き、健康と命の問題に直結するのではないのかと思っております。
 二割負担の対象が単身者で年収二百万円、こういう線引きになったわけですけれども、二百万円で区切る根拠というのは何なんでしょうか。何を根拠に負担能力が二百万円からはあるとしているんでしょうか。

○田村国務大臣 これは、全世代型社会保障検討会議等々でも御議論をいただきながら、また、担当の審議会でも御議論をいただきながら議論をしてきたわけであります。
 機械的に、単身世帯でいいますと、年収百五十五万から二百四十万まで五つの選択肢をお示しさせていただきまして、最終的に、社会保障審議会医療保険部会等で御議論いただいて、政府・与党で協議した結果、こういう形になりました。
 なお、これは、課税所得二十八万円以上、七十五歳以上の高齢者のうちの所得上位三〇%に該当するということでございます。現役世帯の平均的な収入等々で見ると、四十年間厚生年金を納めた方の年金額というのが、月十五・六万円、百八十七万円でありますから、これよりかは高い層でございます。収入、支出を見ると、それぞれ、単身で年間十二万余裕がある、又は複数で三十六万余裕のある、複数家庭ですね、そういうような所得層であります。
 あわせて、これは国民生活基礎調査でありますけれども、これからちょっと数字を引っ張り出しましたけれども、年収二百万から三百万の年収世帯の貯蓄の分布でありますが、平均値一千六十五万円、中央値でいきますと五百五十万円であります。一方で、六十歳未満の方々、これでいきますと、平均値七百十三万円、中央値三百万円ということでございますので、現役世帯よりかは、この階層、貯蓄は、中央値、平均値とも高いということであります。

○宮本委員 十二万円単身世帯では余裕があるんだという答弁をされましたが、それは平均値ですよね。七十五歳以上の単身者世帯の収入と支出の状況というのは、確かに社会保障審議会の部会に出ている資料を私も見ましたけれども、例えば、家賃でいえば、年間住居費は十七万円ですね、住居費十七万円。家賃を払っている人も持家の人も平均するから十七万円になっているんだと思うんですけれども、家賃の人だったら、借家の人だったら、住居費年間十七万円なんてあり得ないわけですよね。そうすると、十二万円余裕があると、余裕があるという言い方もどうかと思いますけれども、年収と支出の差が十二万円あるからということをおっしゃいますけれども、平均で見るのとは一人一人は違うと思いますし、もっと言えば、医療費のかかり方というのは一人一人、とりわけ、たくさんの持病を抱えている方だとか大きな病気をした場合は、とてもじゃないけれども、平均で見るという議論をしていたら、これは全く足りなくなる、こういうことが起きるんじゃないですか。この点は更に引き続き議論したいと思います。
 最後に、一点お伺いしますけれども、窓口負担が二割になる対象について、法案では「所得の額が政令で定める額以上である場合」とあります。二割負担の範囲について、金額が法律には書いていないわけですね。結局、この法案を通すということは、時の政権に二割負担の範囲についてフリーハンドを与えることになるんじゃないか。現役世代の負担軽減という名目で、国会にも諮らずにどんどん対象が拡大されていくことになるんじゃないですか。

○金田委員長 田村厚労大臣、時間が来ましたので簡潔にお願いをいたします。

○田村国務大臣 これは全世代型という形で、若い方々がこれから負担が増えていくのをどう抑えていくかということでございましたので、先ほど、貯蓄で見ると、現役世帯の方が平均値、中央値ともこの所得階層の方々と比べれば少ないというお話もさせていただきました。そして、三年間、暫定的にですけれども、これは三千円、負担分で一月三千円で三年間は経過措置を置かせていただいております。
 なお、今の点で申し上げると、今、三割負担、これは現役並みの方々であります、現役並み所得のある方々に三割負担を七十五歳以上の方々でもしていただいておりますが、これも同じような考え方の下で対応させていただいておるということでございますので、御理解をいただければありがたいというふうに思います。(宮本委員「答えていない。委員長。質問に答えてください」と呼ぶ)

○金田委員長 厚労大臣、もう一度しっかり答えてください。

○田村国務大臣 今も三割負担、現役並みの方々三割負担、七十五歳でもしていただいています。これも同じように政令で定めておるということであります。

○宮本委員 三割負担も政令で決めているから、二割負担の範囲も政令で、時の政権でフリーハンドを握って幾らでも引き上げられるようにしよう、そういう宣言かと思いました。これは徹底的に追及したいということを申し上げまして、質問を終わります。