2021年3月31日衆院厚生労働委員会 医療従事者のワクチン接種 副反応での休みに、労災を適用可に

提出資料① 世田谷区ホームページ
提出資料② 沖縄県立中部病院感染症内科「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症対策の考え方」 その1
提出資料➂ 沖縄県立中部病院感染症内科「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症対策の考え方」 その2
提出資料④ 厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き」

 新型コロナウイルスワクチン接種を受けた人の一部に出る発熱・頭痛・倦怠感などの副反応をめぐり、田村憲久厚労相は31日の衆院厚労委員会で、先行接種した医療従事者が副反応で仕事を一定期間休んだ場合、「労災適用になるとの判断だ」と答えました。日本共産党の宮本徹議員への答弁。
 宮本氏は、特に2回目の接種後の発熱や頭痛などが報告されている一方、医療現場では人手不足で休めないことや、有給休暇の消化を促される例があるほか、非正規雇用労働者は病気休暇が無給になると指摘。国の責任で接種後の特別休暇制度を有給で設けるよう求めたほか、副反応で一定期間休む場合の労災適用を求める声も示しました。
 田村厚労相は「業務を続けるために接種する。労災適用になるという判断だ」と明言。‶業務の一環だから”と強制的に接種させるものではないとの考えも示しました。
 また田村厚労相は、「〝有給でいいでしょ”というのは限りなく問題がある」「実態を確認させてほしい」と答弁しました。
 宮本氏は、厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」が感染拡大局面にもかかわらず、3月17日以降開かれずにきた問題をただすとともに、厚労省職員23人が深夜まで宴会を開いた遠因に菅義偉首相を先頭に「必死さ、真剣さが見えていないことがある」と厳しく批判しました。

以上2021年4月1日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年3月31日 第204回衆院厚生労働委員会7号 議事録≫

○とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。ちょっと通告の順番を変えまして、先に、まずワクチンについてお伺いします。ファイザー製のワクチン、とりわけ二回目は、発熱、頭痛、倦怠感がかなりの比率で出ております。その接種後の対応についてちょっと今日はお話ししたいんですけれども、国立病院機構の病院を幾つか紹介します。A病院。一回目の接種で休んだのは二人、病休で休んだ方と年休で休んだという方がいらっしゃる。B病院。一人が、三十八度台の発熱が出て、二日間、これは年休で休んだ。ほかにも発熱者はいたけれども、解熱剤を使用して休まずに頑張った。C病院。ある病棟では、二回目接種後、八割の職員が発熱した。一回目接種時は翌日が休みとなるよう配慮されていたけれども、二回目はその配慮はなかった。代わりがいない、病気ではないと使命感で勤務している。それから、部署によっては、翌日熱が出ても仕事に出てこいという部署もあるということであります。D病院。ここは解熱剤の配付もなかったということですが、市販薬や自分の手持ちの薬を飲んで勤務している、熱を出しているのに休めないという状況があるということなんです。幾つか問題があると思うんですけれども、一つは、人手不足もあって、熱があっても休めない。しかも、熱があった場合、普通、一般社会ではコロナの可能性も疑うわけですけれども、ワクチン接種後だからその副反応だろうということで、コロナかどうかの検査もやらないまま、そのまま熱があっても働いているという状況であります。二つ目は、国立病院機構の場合、病休があるわけですけれども、年休取得促進というのがずっと言われていますから、上司から、年休でいいでしょう、こう言われるということで、自らの年次休暇が充てられていっている。もう一つ、三つ目の問題としては、非常勤職員の場合は病休というのが無給なんですね。無給であります。ですから、やはりこれは、改めて、非正規の人も含めて、ワクチン接種の特別休暇制度、これは有給でしっかり国の責任で設けていく必要があるというふうに思いますし、もちろん年休を充てろというのはおかしな話ですし、非正規と正規の差別もおかしいわけですけれども、こうしたところをしっかり対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 熱が出ても休めないというのが、熱が何度なのか、一応基準は三十七度五分以上を発熱という話で統計を取っていたというふうに思うんですけれども、余りの高熱ですと業務にも支障を来すので、そこに関してはよく健康管理をしていただかなきゃならないと思います。それから、有休か病休か。病休という制度があって、病気のときにそれを選べば有給で休めるというのが、有給休暇を法定消化しなきゃいけないというような問題があって、それを消化させるために取らせているということであれば、これは、五日間は要するに本人が計画的に取らなきゃいけない話でありますので、今日発熱したから五日のうちの一つというわけにはいかないんだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、有休でいいでしょうというのは限りなく問題があるだろうな、怪しいなというふうに思います。どちらにしますというのはあるのかも分かりませんが、そこは、もう有休でいいでしょうというのは疑義があるであろうなというふうに思います。それから、非正規の方々に関して、これは多分、今言われているのは、病院の持っている病休で、給料が出る制度に対象にならないというお話なんだというふうに思いますけれども、これに関しても、合理的に正規と非正規でどういう違いがあるのかということはしっかり説明しなければならないんだろうというふうに思います。いずれにいたしましても、ちょっと私も今お話をお聞きしてどういう話なのかよく分かりませんので、実際、実態をちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。
○宮本委員 国立病院機構は厚労省の所管ですので、よろしくお願いしたいと思います。同時に、社会全体、恐らくほかの病院でもいろいろなそういう似たような問題は起きていると思いますので、しっかり周知していただきたいですし、基本はやはり特別休暇制度をつくってほしいというのを、病院には、病院で今接種が始まっているわけですから、社会全体に呼びかけていますけれども、そこにも徹底をお願いしたいと思います。あわせて、もし仮に副反応で長く休む場合、副反応で一定期間休む場合には労災の適用をしてほしいという声、こういうのを、これは国立病院機構に限った話じゃないですけれども、伺っております。労災と傷病手当では、労災の方が補償が高いわけですね。一方、ワクチンは任意接種ですから、業務ではないという扱いに医療機関でも基本的になっているわけですね、任意接種ですから。業務の場合は当然労災が適用し得るということになるんですけれども、ただ、今回、医療従事者が打っているのは、ワクチンという国家的事業をやるために、事実上の業務に近い形で打たれている方も多いというのが現状だと思うんですよね。ですから、これは柔軟に労災を適用できるようにするというのが大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 労災の適用になるかどうかということでありますが、これはなかなか理解の仕方が難しいんだと思いますけれども、業務によるものということであるならば、これは労働災害になるということであります。医療関係者の場合はなぜ優先接種かというのは、これは、やはりリスクの高い方々と接する機会が多いということであって、そういう意味で、何かあったときにも、自分が重症化せずに、その後業務が続けられるようにというような、まあ、いっときは休まなきゃいけないんだと思いますけれども、そういうような意味合いで優先接種になっているわけであります。そういう意味では、業務を続けるために接種をするということでございますから、これは労災適用になるという我々は判断です。ただし、それをもってして強制的にワクチンを打たせる、つまり、業務の一環なんだから打たなきゃ駄目よというのは、これはまた本人の判断で打っていただくということでございますから、そこは丁寧に説明をしていく必要があるというふうに考えております。
○宮本委員 労災適用になるという答弁をいただいて、大変よかったと思います。そうじゃない話もこれまで聞いていましたので、明確な答弁をいただきました。それから、ワクチンについてもう一点だけお伺いしたいと思うんですが、ファイザーのワクチン接種後に突発性難聴が起きている例がこの間二例報告されておりますが、それ以外も、私自身が相談を受けた例でも一例ありますので、少なくとも三例は起きているということなんですね。これは海外ではどれぐらい起きているのか、あるいは、この突発性難聴になった方というのは既往症だとか何らかの傾向があるのか、これについてお伺いしたいと思います。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。まず、突発性難聴について海外で報告があるか否かでございますけれども、まず、イギリス、英国に関しましては、突発性難聴の事例といたしまして、三月十四日までに、約千二百二十万回接種した時点でございますが、七例の報告がございました。他方、突発性難聴を含めました既知の副反応全般につきましては、ワクチンに期待されるベネフィットがはるかに上回るという評価が英国ではなされているところでございます。また、アメリカそれからEUにつきましては、それぞれ安全性に関する報告書というものが出されておりますけれども、それぞれ、突発性難聴の報告件数については公表されておりませんで、突発性難聴について特段の懸念があるとの評価はされていないというふうに承知しております。また、既往症についてのお尋ねがございました。先ほど先生は三例ほど御存じであるというお話でございましたけれども、私どもの方では、三月二十一日までには二例の突発性難聴の副反応疑いの報告がございました。その既往症でございますが、それぞれ、金属アレルギーそれから薬物過敏症が報告されているところでございます。
○宮本委員 公表していない国もあるので全体はよく分からないところもあるんですけれども、もし、こういう傾向の方はこういうリスクがあるんだというのが分かるような傾向があるんだったら、できるだけそれは国民に公表しなきゃいけないことだと思いますので、ちょっと世界全体を含めていろいろな、アナフィラキシーのこととかいろいろあると思うんですけれども、しっかり情報収集をお願いしたいというふうに思います。やはり、仕事に差し障りが出ているということでどうしようかという状況が現に起きておりますので、お願いしたいというふうに思います。あと、質問を遡って後ろからやったので、後ろから行きますけれども、次に、厚労省の超過勤務問題をこの間やってきましたけれども、二月の超過勤務の状況について教えていただきたい。また、サービス残業があるんではないのかということを指摘してまいりましたが、時間外在庁時間ですね、これはどう把握するのか、こうした点についてもお伺いしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えします。最初の質問の、二月の厚生労働省職員の超過勤務の状況についてですが、本年二月の厚生労働省本省職員の超過勤務時間については、月八十時間以上百時間未満が二百八十三人、百時間以上百五十時間未満が二百五人、百五十時間以上は二十人となっております。この中で最長の超過勤務時間は二百十四時間となっております。後半の質問の方ですけれども、厚生労働省においては、主に職員のPCのログ記録に基づいて各月の時間外在庁状況については把握しておりますが、これは時間外在庁時間を正確に表していない場合があるという状況でございます。とはいえ、その状態でとどまらず、今後、時間外在庁の状況については、可能な限り正確に把握するための工夫をしていきたいと考えております。既に二十四日の理事会でこの時間外在庁時間について御議論いただいておるところでありますが、具体的な内容については理事会の方にお示ししたいと思っております。以上です。
○宮本委員 この後しっかり教えていただいて議論したいというふうに思いますが、超過勤務自体は、今、数字をお伺いしましたら、八十時間以上の過労死ラインを超える方が一月よりも増えているというわけですよね。百五十時間以上のところは数人減っていますけれども、八十時間以上全体でいえば、前回一月を聞いたのよりもかなり更に増えているということなんですよね。一つは、本当に職員を本気になって増やしていくということがどうしても必要だということを申し上げておきたいというふうに思います。それから、次の問題へ行きます。厚労省のアドバイザリーボードの件です。先日、こういう報道が毎日新聞であったわけですよね。この間、三月十七日を最後にアドバイザリーボードは開かれていないわけですが、複数の関係者によると、解除前後からの感染の広がりに危機感を覚えた座長を始め、アドバイザリーボードのメンバーが厚労省に開催を求めたが、開催には至らなかったということであります。今日はアドバイザリーボード座長の脇田所長に来ていただいておりますが、これは報道のとおりということでよろしいでしょうか。
○脇田政府参考人 お答えいたします。アドバイザリーボードは、厚生労働省に対して必要な助言等を行うということで、具体的な開催頻度等につきましては、直近の感染状況あるいは対策の効果の見極め等に要する時間などを総合的に考慮して、厚生労働省において決定をするということになっております。ただ、開催につきましては、座長の私から事務局の方にも打診をしながら、そのたびに開催についての可否というものについてお伺いをしているというところであります。
○宮本委員 つまり、打診はしているということなんですけれども、この毎日新聞の報道で言われているように、この間、解除前後の頃なんですかね、打診はされた、開いてほしいという打診は脇田所長の方からされたということでしょうか。
○脇田政府参考人 お答えします。アドバイザリーボードの開催につきましては、私の方から事務局にお問合せをした。開催はいつでしょうかということはお問合せをしました。
○宮本委員 開催はいつでしょうかとお問合せした際に、開催してほしいというニュアンスで問い合わせたということなんですよね。
○脇田政府参考人 もちろん感染の状況等の評価を行うものですから、そのときの状況も含めて事務局には打診をしているということです。
○宮本委員 ですから、今の状況を評価するためには開いた方がいいですよねというニュアンスだという打診ですよね。そこは確認してください。
○田村国務大臣 アドバイザリーボードから開催をしてもらうというようなものではなくて、こちらが本来、アドバイザリーボードですから、御意見をお伺いしたいということで招集して御意見いただくというのがこの組織であります。ただ、それには、要は、今の感染状況というものをいろいろとアドバイスをそれこそ所長からいただくということでございますので、今所長がおっしゃられたのは、今こういう状況ですけれども、これに関して開催をするかどうか御決定いただきたいという情報をいただいて、厚生労働省として開催日時を決定した、こういうことでございますので、ちょっと、アドバイザリーボードが開催を求めて開くというものではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○宮本委員 ただ、事実上、専門家の皆さんは、開かなきゃまずいという判断で、催促をしていたというのがこの間の経過ということなんじゃないですか。
○脇田政府参考人 お答えします。この間、緊急事態宣言が解除された後に、私の方にアドバイザリーボードのメンバーからアドバイザリーボードを開催してほしいという要望はありませんでした。
○宮本委員 脇田さんの方にはなかった。ただ、脇田さん自身は、脇田所長自身は開いたらどうかという打診はしたということなわけですよね。打診というのは、それは意向が当然入っているわけですから。打診というのはそういうことですよ。聞くというのと打診というのは違うんですよ。ちょっとほかの問題もやらなきゃいけないんですけれども、いずれにしても、私は、やはり毎日新聞がそんなガセネタで報道するなんて考えられないわけですよ、天下の新聞ですから。いろいろなところを取材して、複数の方に裏を押さえて報道しているわけですから。ですから、先ほど脇田所長が打診と言った、それは、大臣の手前そういう言い方をしているのかなと思いますけれども。いずれにしても、感染拡大局面で頻繁にやはり開催するというのがこれまでのアドバイザリーボードの姿だったと思いますし、国民にしても、私も、いつもアドバイザリーボードの資料を一生懸命見ますし、その後の脇田所長の会見、ネットで少し流れたりしますよね、そういうときも拝見させていただいたりしていますけれども、やはり国民に対してのメッセージとしてはこれは本当に大事なんですよね、専門家の皆さんが毎週毎週しっかり評価していくというのは。これはちゃんと開くように、大臣、していただけませんか。
○田村国務大臣 ちょっと誤解を招かないように御説明をいたしますけれども、脇田所長と厚生労働省とは頻繁にいろいろな情報交換というか連絡は取っているわけで、当然、厚生労働省からも今の状況等々に関して、脇田所長には、専門家の立場からどういう状況ですかというようなことは、それはお聞きをいたすわけであります。これは、しょっちゅうという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、随時そういうことはお聞きをさせていただいて、そういうものをお聞きをさせていただきながら最終的にいつアドバイザリーボードを開くかということを決めるわけでありまして、本日五時から開くということでございますので、本日十七時からアドバイザリーボードで御議論をいただいて、緊急事態宣言からもう一週間たってまいりましたので、そういう中での評価をいただきながら、次の政策に向かって我々は参考にさせていただくということであります。
○宮本委員 しっかりと感染拡大局面ではやはり定期的に開いて、社会全体に対してメッセージを専門家の皆さんから発出する機会をつくっていただきたい。これはメディアでも報じられますし、私たちも大変勉強になっている。国民全体が今どういう対策が必要なのかというのも非常に分かるわけですから、これは重ねて申し上げておきたいと思います。最後に、老健局の歓送迎会についてお伺いしたいと思います。本当に、今日も残念だという発言が委員会でも続いているわけですが、やはり、国民に対して今政府全体がどういうメッセージを発しなければならないのかということから考えたら、大変深刻な問題だというふうに私は考えております。国民の協力なくしてコロナの感染拡大防止はできないですし、ましてや、リバウンド、変異株が広がる中でもっと協力をお願いしなきゃいけない局面で、こういう、行動変容をお願いする側が行動変容なんてそっちのけの行動をしちゃったわけであります。今日、脇田所長がせっかく来ていただいていますので、基本的なお考えを教えていただきたいんですけれども、やはり今、総理を先頭に政府を挙げて国民に届くメッセージを発していく、これが本当にどれほど重要なことなのか、一言いただけますか。
○脇田政府参考人 お答えいたします。もちろん、総理がしっかりとメッセージを出していただくということが非常に重要だと思っております。我々としましては、専門家会議として、昨年の初めから活動してまいりまして、その際には、専門家だけで記者会見をしたりということをやってまいりました。その際に、やはり、こういった感染症危機の場合には、国民に分かりやすく、共感できるメッセージを伝えるということが非常に重要だということを実感したわけです。そして、六月二十四日の日本記者クラブで専門家会議の在り方について発表しましたけれども、その際には、やはりこういった専門家会議にはリスクコミュニケーションの専門家を入れるべきだということを提案しまして、アドバイザリーボードあるいは分科会にもそのリスクコミュニケーションの専門家に入っていただいているということでございます。
○宮本委員 今回、結局、厚労省自らがそういう政府の呼びかけが国民に響かない状況をつくり出してしまったということだと思うんですけれども、大臣は、今日の答弁を聞いていると、気の緩みだということをおっしゃいますけれども、なぜ気の緩みが起きたのか、そこには政治の責任はないのか、そこまで私たちは考えなきゃいけないと思うんですよね。私は、今の感染の局面というのは、それこそ総理が先頭に立って毎日記者会見をやって、国民に対して行動変容のお願いをする、感染の局面を伝える、それこそ本当に必死になってこれに取り組んでいる姿を見せていかなきゃいけないですし、やらなきゃいけない局面だと思うんですよね。ところが、その総理を先頭にした政府の必死さ、真剣さが見えていない、伝わっていない、政府全体に伝わっていない、こういうことが今回の事態の私は遠因となっているというふうに思いますよ。そう思われませんか。
○田村国務大臣 政治がどうのというのも委員はそうやっておっしゃられます。ただ、それ以前に、厚生労働省は、霞が関の役所の中でも先頭に立ってこの新型コロナウイルス感染症を抑えるという役割、これを担っているわけで、ある意味、今回の老人保健課という課も、これは、その先頭、まさに介護保険等々において、感染の言うならばクラスター等々が起こって命を失われる方々が多い、そういう現場を何とか感染を防ぎながらということを、言うならば見ているところでもあるわけであります。そういう意味からいたしますと、やはり、自らが主体性を持って、国民の皆様方により危機感を持っていただけるような行動、言動をしなければならなかった。それができなかったということは、私も最終責任者として深く反省をいたしております。感染を抑えるために、やはり、いろいろなもの、やり方はあります。政府としては、検査をいっぱいやる、特に介護施設等々をやる。それから、さらにはモニタリングでありますとかいろいろなことをやる。変異株に対して、水際の対策も含めて対応する。医療提供体制、感染拡大を本当はさせてはいけないんですが、そうなった場合のことを考えてしっかり対応する。ありとあらゆることをやらなきゃなりませんが、感染を防ぐためには、やはり国民の皆様方に感染リスクの高い行動というものを控えていただかなければなりません。我が国は、欧米諸国のように強制的にそれをやらせるというような法体系になっておりません。御本人の意思において、それは、お店に対しては、今回、法律改正で一定の制約をかけることができますが、それぞれの個人の行動はそれができないわけで、となれば、やはり欧米以上にそれに対しての御理解と御納得と御共感をいただかなきゃならないんです。それで初めてそのような行動をしていただける。しかし、今回のことは、まさにその納得と共感ということを根底から覆すようなそういう行動であったわけでありまして、許されないことは事実であります。これは、政治という話がございましたが、私は政治家であると同時に厚生労働省のトップである大臣でありますから、深く私も反省をして、この厚生労働省というものが二度とこのようなことがないように、しっかりとリーダーシップを取って対応させていただきたいというふうに考えております。
○宮本委員 大臣の責任も重大なわけですけれども、職員も国民の一人であって、やはり職員自身も納得と共感を持って行動変容の先頭に立ってもらわなきゃいけない。もちろん、公務員として、厚生労働省の職員としての自覚というのも大事ですけれども、その自覚のベースというのは何なのかというのは幾つかあると思いますけれども、その一つはやはり、政府全体、総理先頭の必死さですよ。その必死さが、私は、職員全体に伝わらない程度のものになっているというふうに言わざるを得ないと思いますよ。さっきも言いましたが、アドバイザリーボードだってこんな局面の中で開かれない。ニュージーランドのジャシンダさんなんかは、本当にロックダウンのとき毎日記者会見をやっていましたよね。そういう必死さがなかなか国民にも職員にも伝わり切っていないんじゃないかというふうに思います。更に言えば、昨年は総理のステーキ会食もあったわけですよ。そういう政治の姿勢というのも、必死さというのも是非考えなきゃいけない事件だと思います。それから、もう一点、職員への教育指導はどうだったのか。公務員としての、厚生労働省職員としての倫理という問題もありますけれども、同時に、科学的認識についてどういう教育が厚労省内でやられているのかなというのもお伺いしたいというふうに思うんですけれども、基本的な感染リスクを高める要素は何なのかだとか、あるいはコロナ分科会の提言だとか、あるいは尾身会長の記者会見だとか、こういうものというのは、厚労省の職員の中ではちゃんと共有されるということになっているんですかね。
○山田政府参考人 お答えいたします。今、例示で挙げられました分科会の提言だとか、尾身会長の会見等も含めてという情報収集については、各自の職責に応じて職員が情報収集しているというふうに認識しております。一般的に、省内全体に対しては、マスクの着用だとか手洗い、三密の回避など、基本的な感染防止策を周知徹底するとともに、職員が新型コロナウイルスに感染した場合に備え、各自の健康状態の確認、体調不良時の対応等についてルールを定め、周知徹底しております。また、業務後の大人数での会食や飲み会を避けるということも指示しております。加えて、こうした感染防止策やルールについて、周知メールですとかパソコン上のポップアップ表示などによって日々の周知啓発を行い、職員の感染防止を図っているところでございます。
○宮本委員 各自の職責というお話がありましたけれども、それぞれ任せという話じゃないですか。私は、本当に心配なのは、今日、時間がないから質問にたどり着けなかったですけれども、今日、高齢者施設のエアロゾル感染対策の沖縄県の病院の資料も配っていますけれども、やはり、この高山先生を中心にまとめたものなんかは、割と尾身会長なんかが言われている認識に沿った対策が打たれているなと思いますけれども、その後ろにつけている厚労省の介護施設の対策なんかを見ても、私が去年、大分換気の問題を議論した割には、なかなか分科会の水準になっていないんですよ、はっきり言って。この介護施設の手引の対策もやはり老健局ですよね。だから、私は、実は、足下で、本当に科学的な、この感染症にどう戦っていくのかということの基本的な教育といいますか、科学的知見を全体のものにする、そういうところが足りていないというのも今回の背景にあると思いますよ。ホームページもなかなか直らないですし、飛沫感染と接触感染が主というところから。この間、尾身先生も言っている、尾身さん流で言うマイクロ飛沫感染、私はエアロゾル感染と……
○とかしき委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。
○宮本委員 これがなかなかちゃんと位置づかない。私は、そういうところも、本当に、しっかり専門家の皆さんに全体で団結してやっていくというところが足りないというのも申し上げておきたい。時間になりましたので、終わります。