2021年5月12日 衆院厚生労働委員会 2週待機水際強化を インド型めぐり

提出資料 WHOホームページ

 日本共産党の宮本徹議員は12日の衆院厚生労働委員会で、世界保健機関(WHO)が懸念を示した新型コロナウイルスのインド変異株の問題を取り上げ、入国者数を減らす規制強化や、入国者の宿泊施設での待機を2週間とするなど水際対策の強化を求めました。
 宮本氏がインド変異株の感染状況をただすと、厚労省の正林督章健康局長は49の国と地域に広がっていると答弁。宮本氏はインド・パキスタン・ネパール3ヶ国からの入国者に対する現在の6日間待機では「検査回数を増やしても、すり抜けが起きるのではないか」とただしました。
 政府対策分科会の尾身茂会長は「2週間何もなければ安全だ。6日間だと、14日間に比べれば当然すり抜ける可能性は高くなる」と答弁。宮本氏は、新たな変異株をできるだけ流入させない対策が必要だと強調し、「ホテルをさらに確保して14日間待機にすべきだ」と求めました。
 「簡単に増やせない」と言う田村憲久厚労相に、宮本氏は東京五輪の対応に追われるホテルが出てきているためだと強調しました。
 さらに宮本氏は、検査を避ける人が少なくない背景として、陽性になった場合や濃厚接触者の自宅待機中の所得保障の問題を指摘。尾身会長は「何らかの支援を考えてほしい」と答えました。


以上2021年5月13日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年5月12日 第204回衆院厚生労働委員会第18号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
〔委員長退席、門委員長代理着席〕
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、尾身会長に……。
○門委員長代理 では、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○門委員長代理 速記を起こしてください。宮本徹君。
○宮本委員 今日は、尾身会長にお忙しい中お越しいただいて、ありがとうございます。まず初めに、緊急事態宣言、今日から延長ということでございますけれども、全国の感染状況の評価についてお伺いしたいと思うんですけれども、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が出ていない地域でも、病床使用率を見たらステージ4、あるいは新規感染者の数を見たらステージ4のところはかなり増えてきているように見えます。やはり、ハンマーを急いで打つ必要がある地域も出てきているのかというふうにも見ているんですけれども、岡山からは重点措置してほしいという声が上がったみたいなんですけれども、今の状況をどう御覧なさっているのか、お伺いしたいと思います。
○尾身参考人 全国的にまず見ますと、今はちょうど上昇圧力と下方圧力が、ある意味じゃ均衡が取れてしまって、いわゆる実効再生産数が全国では一の周辺を行ったり来たりというのが全国的な状況で、その中で、全国一律ということじゃなくて、今委員おっしゃるように、多くの県で感染が増加していると同時に、一部の県では感染が下火になっているということで、そういう二極化しているというふうに思います。そういう中で、実は、今、均衡ということを申し上げましたけれども、上に行く圧力というのは、やはり変異株の問題があると思います。それから、下に行く圧力というのは、一応、今、プロセスとして人流が下がっているということがある。それから、今、五月、六月というのは、去年のことも含めて世界的に見ると、これははっきりした理由は分かりませんけれども、私たちの今のところの判断は、五月、六月というのは比較的気候がいいですよね。家の中にいることが比較的少なくて、外にいて換気もいいということ、まあ気候ですよね、気候の原因もあって、あとは緊急事態宣言の、この二つが下げる。ところが、変異株のことがある。こういうことで、今、そういうふうに一進一退の状況で、東京については全国と一緒で、これは実効再生産数がちょうど一のところで、これからどうなるかということですけれども、大阪は、これはここのところに来て一応はピークアウトをする方にもう行っていると思います。あとはいろんな県で、個別のことはいろいろあると思いますけれども、そんなところが今の状況だと思います。
○宮本委員 その中でハンマーを急いで打たなきゃいけないような県というのは、専門家の皆さんの目から見て、岡山以外あるのかないのか。どうなんでしょう。
○尾身参考人 個別のことはともかく、今委員がおっしゃった岡山だとか、あるいは群馬だとか、幾つかの県ではまだ何も出ていないところがありますけれども、重点措置なんかを打った方がいいと我々が思うところも実はありまして、これからまた、政府の方ともいろいろ協議をしたいと思っております。
○宮本委員 分かりました。必要な対策はやはり早急に機敏にというのが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。 その上で、上昇圧力は変異株だというお話がありましたけれども、N501Yの変異株についてお伺いしたいんですけれども、従来の株に対しての戦略というのは、五人のうち四人はうつさない、そういう下で、クラスター対策というのは極めて重要だというのが、元々の当初の戦略の出発点だったと思うんですけれども、このN501Yで感染力が高まっているというのは、これは、一人がうつす人が増えているという現象なのか、それとも、うつす人も増えているのか、どちらなんでしょうか。
○尾身参考人 委員の御指摘は非常に重要な問題と思います。それで、従来から、大体、五人感染してもほかにクラスターを起こすような人は一人だという、この事実は今でも我々は変わっていないと思います。それで、変わっているのは、実は感染力が強くなっているということで、あとはクラスターが巨大化というようなこともありますけれども、これはウイルスの感染が強くなっているということはありますけれども、むしろ、巨大化するかどうかというのは、ウイルスの影響と同時に、あるいはそれよりも多くて、対策の遅れ、あるいは対策が迅速にできたということで変わると思うので、先ほどの委員の五人に一人というところは、今でも変わっていないと思います。
○宮本委員 なるほど、分かりました。そういう点でいえば、スーパースプレッダーイベントができるだけ起きないようにする対策というのが引き続き大事になるということですね。分かりました。それで、あわせて、これは前からずっと尾身先生ともやり取りをし、ここでもずっと申し上げてきていることですけれども、WHOも新型コロナの感染経路のアップデートを行いまして、エアロゾル感染、短距離のもの、長距離のものというものを位置づけました。長距離のエアロゾル感染ということを考えましたら、換気というのが極めて大事ということになるわけですけれども、この間、先生の提案もあって、飲食店の認証制度を全国に広げようというので、政府からも通知が出ました。それを見ていて感じることは、非常に換気が行き届いているのは大事なことだと思うんですけれども、最低限の基準は示してあるわけですよね。機械式換気でできるところはそれはいいんですけれども、それがない場合は、窓開けの場合は、三十分に一度の定期的な二方向と書いているんですけれども、果たして、三十分間、換気が悪い空間が狭い空間であった場合、じゃ、それで大丈夫だというエビデンスがあるのかないのかというのは、私はなかなか、必ずしも三十分に一度でいいというお墨つきを与えるようなエビデンスはないんじゃないかというふうにも感じているんですけれども。やはり基本は、もちろん最低基準を示すのも大事なんですけれども、できるだけ、換気量が大きければ大きいほど、この長距離のエアロゾル感染、先生方の言うマイクロ飛沫感染のリスクは下がるわけですから、その最大限の換気対策を行っていくというのが、やはり飲食店に対しても、これは介護施設や医療機関についてもそうだと思うんですけれども、その点が大事なのではないかというふうに思うんですが、この点、先生の御見解をお伺いしたいと思います。
○尾身参考人 委員おっしゃるように、今、接触感染というよりもマイクロ飛沫感染というのが、ここに来て私は間違いなく感染の伝播の要素としては重要になってきていると思います。そういう意味では、飲食店なんかの換気というのが、非常に十分で、定性的に絶対こうすればいいというのはなかなか難しいと思いますが、そういう中で、我々は、できれば、それほど高くないのでこれは政府にも是非、それほどの予算を使わなくても大丈夫なので、CO2のモニターを各店に、一か所じゃなくて数か所、できれば余裕があれば置いていただいて。我々もCO2のモニターを実際に会議場なんかに置いてくると、やはり、ちょっと時間がたってくるとすぐに上がるんですよね。一応、今のところははっきりしたコロナ対策上の明確なエビデンスはないんですが、産業医学なんかで一応一〇〇〇ppmというのが一つの参考の数値になっているので、取りあえず、まずこれを使って少しやってみて、それで評価をして、また変える必要があれば変えるということで、私はCO2モニターというのを是非普及していただいて、それについては政府も是非応援していただければと思います。
○宮本委員 そのCO2モニターは大変大事だと思うんですけれども、一〇〇〇ppmがいいかどうかというのは、私は去年も、八〇〇ppmじゃないかとかいろんなことも言ったことがありますけれども、なかなかそこはまだ科学的なエビデンスはないとは思うんですけれども。最大限換気、換気量は大きければ大きいほどいいんだというのを、やはりここをしっかりと伝えていく。いや、内閣府の事務連絡を見たら、これなら大丈夫だというエビデンスですみたいに書いてあるわけですよね。そういう安心感を与えるものよりも、もっと、可能な限り、これは最低基準であって、できればできるだけのことを換気についてはやった方がいいんだというのを、やはり、認証制度でお店を回るときにしっかりとアドバイスをして回る。具体的に計測も、もちろんCO2モニターの計測も大事だと思いますし、考え方を伝えていくというのは大事だと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○尾身参考人 私は、これからワクチンが、高齢者を中心に、基礎疾患なんかの方に行くというものが今の日本の感染対策、そこが行くまでの数か月が非常に重要な時期だと思うんです。幸いなことに、この数か月は、六、七、八はそんなに寒いわけではないですね、北海道で。そういう意味では冬と違う。冬の場合には、特に北海道では換気をするということの難しさがありますけれども、この時期非常に重要なので、私は、換気というものをやろうと思ったらどこでも、ちょっと外から見て、そういう意味では少し難しいところもあるかもしれませんけれども、できるだけ換気をした方がいいというのは間違いないと思います。
○宮本委員 ありがとうございます。是非それぞれのところでの換気の更なる対策をお願いしたいと思います。あわせて、次に、入国規制、水際対策についてお伺いをしたいと思います。今日も様々議論がありました。まず、これは厚労省に確認したいんですけれども、インドでの変異株がWHOで懸念される変異株というふうになったわけですけれども、このインド変異株が確認されている国というのは今何か国になっていますか。
○正林政府参考人 お答えします。インドで最初に検出された変異株、Bの1・617について、五月十一日のWHOの報告によると、四十九の国と地域で報告があるとされております。
○宮本委員 四十九の国まで増えてきているんですね。今日、配付資料で、先ほど正林局長がおっしゃったものも配っておりますが、これは毎週ですかね、WHOが発表しているレポートで、更に五か国増えて四十九か国になりましたということを書いていまして、二ページ目のところに地図も出ています。今、日本は、インド、パキスタン、ネパール、三か国について六日間待機ということで、これまでよりは強めるということになったわけですけれども、一方で、尾身会長は今日の答弁でも、理想は二週間だということを入国規制についてはおっしゃっていますし、あと、先月だったかと思いますけれども、ここでの、国会での御答弁では、水際対策についてはそもそも入国者数自体を減らしていく必要があるというのが公衆衛生の考え方だというふうにもおっしゃっておられました。そこでお伺いしたいんですけれども、この六日間待機では検査の回数を一回増やすということなんですけれども、やはり検査というのは必ずすり抜けがありますので、六日間待機ではやはり一定のすり抜けというのは起きてしまうのではないのかと思うんですけれども、その点、いかがお考えでしょうか。
○尾身参考人 これはもう公衆衛生の常識ですけれども、三日よりは六日の方がいいです。六日よりも二週間となると、これは、今委員おっしゃったように、完全に入国を止めることが一番簡単ですよね。もし入れるのであれば、理想的には十四日というのは、潜伏期間等々の理由があって、二週間何もなければ安全だということで、六日間だと一定程度の効果はあると思いますけれども、十四日に比べればすり抜ける確率というのは当然高くなるので、そういう意味で、理想的には十四日というのがよろしいんじゃないかということであります。
○宮本委員 すり抜けが一定程度は六日だと起きてしまうというお話なわけですよね。入国者の待機施設が確保できないんだというような御答弁、この間あるわけですけれども、聞きましたら、今、ホテル六千四百室、入国者の待機施設として確保しているということなんですけれども、これを増やせない理由というのは私はないと思うんですよね、二週間待機していただくということを考えた場合に。今、どこだって、宿泊療養というのは都道府県も一生懸命確保してやっていますけれども、本当にワクチンの作戦を今進めていく、そして、これは、効きが悪い新たな変異株が国内で広がるということになったら、ある意味振出しにこの作戦が戻ってしまうということになるわけですから、そういう点では、本当に、この二週間しっかりと、できるだけ流入させない、安全な対策を取るというのは、今一番考えなきゃいけないことの一つではないかと私は思っております。 そういう点で、これは大臣、やはり尾身会長が、理想だと、公衆衛生の立場からいったらこれなら安全だと言えるレベルにするために、ちゃんとホテルの部屋を更に確保して、十四日間待機にすべきじゃありませんかね。
〔門委員長代理退席、委員長着席〕
○田村国務大臣 今委員から六千四百室という話がございましたが、運用を考えると二割ぐらい空けておかないと、人の出入りがあって、そこがまた、クリーニングもしたりしなきゃいけないものでありますから、二割ぐらい減ると五千ちょっとだというふうに実働は考えておりますが、我々はずっと増やしてきております。問題は、やはり外国人の方々、余りこういう言い方をするとまた偏見になるものでありますから言いづらいんですけれども、各地域地域で、やはりコロナの疑いがあるかも分からない、ですから待機をいただくということになると、地域住民の方々にもいろんなやはり思いがあられるわけでありまして、ましてや、一定規模の大きさがないとちゃんとした管理ができないわけですから、十室、二十室というわけにもいかないわけでありまして。すると、やはり限られてくるわけであります。そんな中で、当初、千幾つだったものを、二千に上げ、三千に上げ、四千に上げ、五千に上げ、今六千四百まで増やしてきており、さらに、今もいろんなところには当たらせていただいておりますけれども、なかなかうまくいかないところもあるということで、これからも不断に確保の努力はしてまいりますけれども、なかなかそう簡単にはこれを増やせないという実情もあるということは御理解をいただきたいと思いますし、一方、やはり、我が国に帰ってこられる日本人の方々も多くおられるということで、そういう方々に対して人道上の問題等々もあるという中で、なかなか、我々としても、これに関しては、対応として全員十四日間ということには今のところいっていないという現状である。ですから、先ほど来お話ししておりますとおり、一定期間、特に危険のあるところは、危険という言い方がいいかどうか分かりませんが、おそれのあるところ、こういうところは六日間にさせていただいて、その上で、自宅待機の強化をさせていただいておるということであります。
○宮本委員 ホテルの確保は大変なんだというお話なんですけれども、私は、その一つの要因というのがオリンピックじゃないかという気もしなくもないんですね、オリンピック。例えば、東京で今、宿泊療養のホテルを借りていますよね。ある一つのホテル、五月末でその契約が切れて、今度はオリンピックのためのホテルになっていくんですよね。そういうことも一方であるわけです、これは宿泊療養施設の話ですけれども。やはり、それぞれ、オリンピックで押さえられているホテルというのもあるわけですよね。これはやはり、本当に水際対策をしっかりやるという点でも、オリンピックについての判断というのもしっかりすれば、十四日間しっかりと、公衆衛生の立場からいえば安全だという対策が取れるようになるのではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○田村国務大臣 主に、羽田は確かに東京ですから、あと成田、関空でありますとか、そういう意味からすると、オリンピックの宿泊施設等々、また、オリンピックでどれだけちょっとホテルが押さえられるか、我々、即座には分かりませんけれども、そういう問題というよりかは、もう以前からそういうことを、去年の十一月ぐらいからずっとこういうことをやりながら広げてきているわけでありまして、なかなかこれが劇的に、十倍、二十倍、三十倍という形では広がらない。徐々に関係者の方々に御理解をいただきながら広げてきておるということでございますので、決して、オリンピックどうのこうので、これが劇的に増えるというような話ではないというふうに我々は理解いたしております。
○宮本委員 そうはいっても、オリンピック用には物すごい数のホテルが今押さえられているわけですよね。しかも、空港周辺だけじゃないですからね、今。空港からかなり乗って、待機するホテルまで行っている方がいらっしゃいますからね。そういうホテルも今押さえてやっているわけじゃないですか。ですから、それはやはり本当に広くやって、しっかり確保していく。それが難しいんだったら、本当に、入国の数自体をもう少し減らす必要があると尾身会長が言ってきたとおり、更にどう減らしていくのか、こういうことも考えなきゃいけないということだと思うんですよね。いずれにしても、本当に、ワクチンの接種の作戦の成否の一つじゃないですか。ワクチンの効きが悪い変異株が広がるということになったら、これは大変なことなわけですから、そこはよく政府部内でも検討していただきたいというふうに思います。この問題は引き続きやりますけれども、次の問題をお伺いします。これも尾身会長にお伺いしたいんですけれども、国民の多くの皆さんの協力を得ていくという上では、科学的な知見の共有と併せて、徹底した十分な補償というのがいろんな感染症対策では大事なのかなと思っております。 ただ、今回、緊急事態宣言の延長に際して東京都の取った対応について、かなりの異論というか、納得ができないという声が上がっているんですよね。一方では、劇場だとかあるいは大相撲だとか、こういうのについては今日からやっていいですよ、人数制限の下でやっていいですよと。その一方で、映画館や美術館は休業要請が継続ということになりまして、これは、国立の施設、当初、国立博物館だとかも本当は今日から開きたいと言っていたんですけれども、東京都からの要請を受けてやはりやめますというふうになったわけですけれども、今回のこの東京都の対応を私もどうやって理解しようかと思っても、なかなか科学的に理解できないではないかというふうに思っているんですけれども、これは科学的に見たらどうなんですかね。説明がつくんでしょうか。
○尾身参考人 いわゆる集客をする映画館とかそれから美術館という話と、それからイベントですよね、こういうふうに国は二つのカテゴリーに分けていたと思いますけれども、これは、国と東京都がどう考えるかということよりも、我々専門家がどう考えたということをちょっとお話しできれば。私は、東京都がどう考えてやったか、ちょっとそこまでは認識していませんので。実は、今回、国の方から、デパート等を閉める、映画館とかということについて諮問があって、基本的には我々は、それほど多くの議論はしませんでしたけれども、これについては合意をいたしました。その理由は、心は、ゴールデンウィークというこの特別な期間には、例えば映画館とか美術館、あるいは演劇場に行く機会がふだんのときよりは当然多いですよね、これは休みだから。今回の緊急事態宣言については、急所をつくというよりも、様々な理由で、もうこれは何度も申し上げたので繰り返しませんけれども、もうこれは飲食店だけを閉めても駄目なので、人流を抑えて、人の接触という意味で、必ずしもそういうところで感染が、まあ演劇場なんかは起きていたし、あるいはショッピングモールでも幾つか起きたことはもうはっきり分かっているんですけれども、そこが主たるクラスターの原因でないということは十分おっしゃるとおりなんですけれども、人流を抑えて人の接触を避けないと、ここの今のこの現状を改善することは無理だというのを、我々もそう思ったので、ゴールデンウィーク中はしっかりと、大変、我々一個人としては申し訳ないですよね、そんなにクラスターが毎日どんどん起きているわけでない店を、百貨店とかそういうところも閉めなくちゃいけない。そこは、だけれども、このゴールデン期間中に何とかして今の現状を打開するためには、その方法しかここまで来てなかったということで、合意をしました。ところが、今度はゴールデンウィークが明けると、ここはやはり違う状況になりますよね。そういう、休みだから映画館に行くというよりも、むしろ職場に戻るわけですから、そういう意味では私どもも、テレワークの徹底ということは国にも申し上げたし、国もそう考えていたので、そういう意味では、ある程度緩めるといいますか、その二つのカテゴリーというのは、それについては政府からそういう諮問があったので、緩める方ですね、再延長になったときのことですけれども、我々は、その考えは基本的には了として、分かりましたということで。その後の、東京都と、東京都が更に厳しい対策を取って、国とあれが、ちょっと意見が違って、最終的にはこういう今のことになっていると思いますけれども、これについて私はどう思うかと言われても、ここは、国としてそういう大きな方針を出して、ただ、各都道府県によって、都知事あるいは各知事が地方の自分の地域のことを一番分かっているので、それの判断を下したということで、より強い対策を東京都は打ちたかったということで、私はそういうふうに認識をしております。
○宮本委員 都道府県ごとにより強い対策を取ること自体は私もあり得ることだと思うんですけれども、ですけれども、強い対策、やはり人流を止めるんだということで、説明がつく止め方ならそれはみんな理解すると思うんですけれども、いや、大相撲や野球はいいですよ、だけれども美術館と映画館は駄目ですよと、これは、ちょっと本当に、なかなか説明がつかないのかなと。やはり、説明がつくことをやらないと、みんなが気持ちを一つにして、この感染症対策、それこそ本当に高齢者のワクチン接種が終わるまでみんなで力を合わせようという、こういう機運は生まれないのかなと思っていますので、これは更によく、本当に関係者も含めて議論していただきたいなというふうに思っております。それから、次の問題をお伺いしますけれども、今回、軽症の人について簡易の抗原検査のキットを使ってやるという新しい方針が出て、それは大変いいことだと思います。ただ、一方ですけれども、少々症状があっても検査を受けない、ためらう人がかなりいるわけですよね。それは様々な不利益があるというのは、これはもう私も去年からずっと議論しているわけですし、専門家の中でも議論になってきていることだと思うんですけれども、例えば、今、コロナの陽性になっても傷病手当というのが出ない方々がいるわけですよね。国民健康保険に入っている自営業やフリーランスの方なんかは傷病手当が出ない、こういう不利益がありますし、あるいは、濃厚接触者の場合は自宅待機に当たっても何の所得保障もないということもあります。自分が陽性になったら家族全体濃厚接触者で、みんなが何もできなくなるわけですけれども、その辺に対しての所得保障的なものもない。ですから、やはり、本当にみんなが検査を受けられるようにするにはそういうところを改善する必要があるんじゃないかというのを、私はずっと田村大臣に申し上げ、総理にも申し上げているんですけれども、なかなか変わらないんですけれども、その辺りについて尾身会長はどう思われているでしょうかね。
○尾身参考人 委員御指摘の補償という問題ですよね。今は、濃厚接触者のことを一つ例に挙げたと思いますけれども。私は、実は去年から、飲食店の時短営業というのが始まるときから、我々メンバーは、政府の方と、いわゆる補償というものをしたらどうかという話は随分しました。それは、今、恐らく感染者あるいは濃厚接触者にも多分委員の考えは同じだと思うので、私どももこれはかなり真剣に政府の方と議論して、政府の方の説明は、これは、全世界的に見ても、経済的な支援をする協力金のようなものをすることはあっても、いわゆる所得保障というものをする国は少ないので、日本でも、気持ちは分かるけれども、それは今の法体系等々のあれではできないんだという明快な答えが出てきて。そういう中で、我々は、その後は余り補償、補償ということは言わず、むしろ経済支援ということをやってくださいというのは、そういう背景というか議論がかなりあった上のことで。補償というものは、恐らく今の政府の中ではそういうことはする仕組みになっていないし、できないので、その代わりにむしろ、病床では、いろんな傷病手当だとか、保険だとか、協力金だとか、支援金だとかということで、何とかいろんなダメージを少しでも軽減しようというふうになっているんだと私は理解しております。
○宮本委員 それで、補償じゃなくて経済支援を、生活支援をということだと思うんですけれども、そこで穴が空いているわけですよね、健康保険の今の仕組みでいうと。サラリーマンの皆さんが入っている健保組合だったら当然傷病手当があるわけですけれども、国民健康保険は元々なかったんですけれども、傷病手当がなくて、今回、一部だけコロナ特例をつくりました。ですけれども、そこの中で、なぜか自営業者やフリーランスの皆さんというのは傷病手当というのがないままずっと来ているわけですよね。ですから、そういうところもしっかりつくらなきゃいけないんじゃないか。あるいは、濃厚接触者の方についても、ニュージーランドなんかでいえば、待機に当たっての一定の生活支援をしているわけですよね。これは、補償という言葉があれだったら生活支援という言葉でもいいんですけれども。やはりそういうことをしっかりやらないと、なかなか症状があっても検査を受けないという人がいる状態が変わらないのかなと思うんですけれども、そういう問題提起なんですよ。
○尾身参考人 先ほど申し上げましたように、補償金にするのか支援金にするかというのも、我々も意見を出して政府がそういうことにしたので、これ以上私から申し上げることはありませんが。先ほど委員が抗原検査のことをおっしゃった。私は、実は抗原検査をやって、大きなクラスターを、これは高齢者施設とか医療機関じゃなくて、実は職場のクラスターが増えていますから、職場にもできればやって、健康アプリなんかも使ってやっていただきたいと思うんですけれども。そこに、一つの乗り越えるべき課題は、今、特にフリーランスとか非正規の職員というか、非正規の働いている方を持っておられるところは、多分小さい企業が多いと思うんですけれども、そういうところで仮に検査をして、もしポジティブになったときに、その個人も仕事を失うという懸念があるし、小さな会社自体も、仕事がうまくいかないということで、なかなか検査をしていただくというインセンティブ、むしろやりたがらない方のインセンティブが働くので、ここについては補償金ということはなかなか国は難しいということですので、何らかの仕組みというか支援というのは考えていただければというふうに思います。
○宮本委員 ありがとうございます。いずれにしても、会社に対しても個人に対しても、検査を受けて陽性や濃厚接触者になった場合にはやはり支援というのを本当にしっかりしていかないと、なかなか受検というのが進まないのかなと思いますので、是非専門家の皆さんからも、私たちも当然政府に対して野党として求めていきますけれども、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。尾身会長、お忙しいところ、ありがとうございました。あと、今日は雇用の問題について幾つか質問通告をさせていただいております。ちょっと時間がないので全部できないかも分からないんですけれども。今年二月から、休業支援金の対象が大企業の非正規にも一部拡大されるということになりましたが、ある大手飲食チェーン店では、人事担当の方が、勤務開始時刻が十八時以降の労働者しか対象にならない、時短は対象外だといって、支給要件に存在しない勝手な要件をつくり上げて、申請に協力しないというちょっと悪質な対応を取っているわけですよね。やはりこうした対応は許されないということを周知するとともに、申請に協力するよう、この企業に対してしっかり指導していただきたいと思いますが、これはいかがでしょうか。
○田中政府参考人 一般論としてお答えさせていただきますけれども、厚生労働省としては、これまでも、休業支援金、給付金の内容について、対象となり得る労働者への周知や休業の事実の証明などについて、事業主の皆様に協力を要請しているところでございますけれども、御指摘のように不当に申請を阻害する事業主がいらっしゃるのであれば、これは誠に遺憾です。事業主がそのような対応を取っている場合でも、労働者からコールセンターに問い合わせていただければ、正確な情報をお伝えできるとともに、事業主に協力いただけない場合であっても、その旨を記載の上、労働者が申請することが可能でありますので、こうしたこともしっかり周知したいと思います。いずれにしても、制度内容の正確な周知を行うとともに、事業主に対しても、随時、必要な協力を要請してまいりたいと考えております。
○宮本委員 個別の名前を今日は出していないですけれども、労働局の方には本人からも言っているみたいですので、後で個別の会社の名前もお伝えしますので、しっかり対策をお願いします。それからあと、休業支援金なんですけれども、これは労災保険加入が支給要件となっているため、事業者が労災保険に任意加入しない場合は、職権での加入手続が必要になります。そうしたケースで、申請から支給まで半年から八か月ぐらいかかる例が相次いでいます。私たちのところに相談に来ただけでも三件ぐらいあるんですね、物すごい時間がかかっているのが。労働者性を確認するという趣旨からすれば、労災の職権加入は後で行うこととして、労働者性が確認できた時点で迅速に支給して労働者を救済すべきだと思いますが、いかがですか。
○田中政府参考人 休業支援金・給付金につきましては、事業所の実在確認や、その事業所で働く方の労働者性を確認するため、支給に当たっての最低限の要件として労働保険、労災保険の手続が取られていることを確認しておりまして、こうした確認なしに支給決定を行うことは困難と考えております。労働保険の手続がされていない申請を受け付けた場合には、労働局において、事業主に対し趣旨説明を行った上で、まずは、事業主が労働者を雇用していると自ら判断した場合には労働保険に加入するよう勧奨を行うとともに、それでもなお労働保険の加入手続を行わない事業主については、事実確認を行った上で、職権による労働保険関係の成立手続を行いまして支給手続を行っているところであります。引き続き、可能な限り迅速な対応に努めてまいりたいと考えております。
○宮本委員 可能な限り迅速というふうにおっしゃいますけれども、ちょっとかなり時間がかかっているんですよね。もっと急いでやらないと、半年とか八か月とかたったら、本当にその間の生活というのは大変になるわけですから、しっかりお願いしたいというふうに思います。それから、あと、大手のイベント会社、シミズオクトさんですけれども、非正規労働者を日々雇用ということで、実態は継続的な雇用であるにもかかわらず、雇用保険に加入させずに休業手当不払いを正当化するということがあって、私たちも相談に乗ってまいりました。ある非正規労働者の方がハローワークに確認請求した結果、雇用保険加入になったわけですけれども、この方によると、同じように加入資格がある労働者は多数いるけれども、ハローワークは、当事者から請求しないと調査すらしないというふうに言っているらしいんですよね。やはり、こういうシミズオクトさんのような例については、雇用保険法第九条に基づいて、厚労大臣の職権で調査を行って、要件に該当する労働者は雇用保険にしっかり加入させるべきだと考えますが、いかがですか。
○田中政府参考人 一般論として御答弁申し上げますが、雇用保険法におきましては、原則として、事業主は、その雇用する労働者が被保険者となったことを届け出る義務がございますが、これが行われないと、労働者が失業等給付を受けられないといった事態を招くため、その権利の保護を図る観点から、直接労働者本人から厚生労働大臣宛てに確認の請求を行うことを可能としております。さらに、一部の労働者から確認の請求があり、その方について確認を行う中で、当該事業主に雇用されるほかの労働者についても被保険者資格があると認められるときは、ハローワークにおいて事業主に対して届出を指導し、これに応じないときは職権により確認することとしております。いずれにしても、事業主が適正な届出を行っていただくことが最も重要でありますが、委員御指摘のような事案についても、職権の行使を含めて、雇用保険制度を適正に運営してまいりたいと考えております。
○宮本委員 ありがとうございます。一般論と言いながらも、事実上この件についてしっかり対応していただくというお話でしたので、職権の行使をしっかりやっていただきたいというふうに思います。それから、あと、こういう相談もあるんですね。都内のある製造業で働くパートの方が、一日六時間の労働契約だったのが、今回、コロナの時短で四時間労働になって、月九万円から月六万円に収入が減ったということなんですね。ただ、そのときに、平均賃金の六割の解釈を示した一九五二年の通達があるんですけれども、それによると、六万円払っている場合は、二時間の時短分については休業手当支払い義務がないということになっているそうであります。一方で、休業支援金は、一日四時間以上働いた場合は、その日が休業とならずに支給対象にならない。ですから、休業手当も出なければ休業支援金の対象にもならないということになっているわけですよね。私は、そもそも、この一九五二年の通達を見直すべきだというふうに思います。それと、あわせて、休業支援金についても、雇調金だったら、六時間の契約が二時間減って四時間になっても、これは当然、雇調金を使って休業手当を払うことはできるわけですね、雇調金の場合は時短についても使えるわけですけれども。よくここの場でも、休業支援金と雇用調整助成金はパラレルなんだというお話が皆さんからありました。そのパラレル論で、前に進むこともあれば、なかなか後ろに進まないこともありましたけれども。休業支援金と雇用調整助成金はパラレルというなら、少なくとも、休業支援金はこうしたケースにでも支給できるように改善しないと救われないですよね、この方は月九万円の収入が六万円に減ったにもかかわらず。これをどうにか改善していただけないでしょうかね。
○田村国務大臣 これは休業手当の話と雇調金の話で、雇調金は、言われるとおり、時間的に時短で休んでいる部分に関して、そこの部分に対して出る、雇用調整助成金は。ただ、これも、企業にしてみれば、今、補助率が十分の十ですから、そこまで、じゃ、全部対応しようかということになるわけでありますが、これは補助率が違う場合には、当然、持ち出しがあるとなると企業もいろんな形で企業行動は変わってくる可能性はあると思います。基本的に、この休業手当の支払いに関しては、いつもの話でありますけれども、暦日数で割るものでありますから、今委員がおっしゃったみたいなことが起こるわけでありまして、結果的に、日々六千円、時給千円で、例えば六時間働いて六千円もらっているものがあったとしても、全体でこれが十二万円だとすると、三か月の平均で見ると、暦日で割りますから九十日で割りますので、結果的に、出てくるお金というものが当然のごとく変わってくるわけでありまして。すると、この出てきたお金、四千円というものに対して、残り二時間分、何とかならないかという話だと思うんですが、これは四千円に対して六割でありますから、四、六、二十四、二千四百円。二千四百円よりも四千円の方が大きいものでありますから、そういう意味では、これは十分に休業手当分をクリアしているということになりますので。結果的に、休業手当というものは、時短で出てきておる、以前よりも働いている時間が減っている部分に対してというよりかは、全体の中で生活を保障するという意味からして、もらっておられる給料のうちの六割をクリアしているかどうかというようなところの話でございますので、結果的にはこれは暦日を使うものでありますから、こういう形になるということでありますので、これは御理解をいただきたいというふうに思います。
○宮本委員 いやいや、それは理解いただきたいといっても理解できないですよね。だって、休業支援金は八割の賃金保障を実際はしているわけですから。これは、働いている時間が違う、四時間じゃなくて三時間で働いている日がもうちょっと多いというケースだったら、これはちゃんと休業支援金の対象になって出るわけですよね。ですから、これはちゃんと改善してもらわないと、本人は納得できないというふうに思いますよ。それで、もう時間が来たから、もう一問あったんですけれども、これは指摘だけに終わらせていただきますけれども、雇調金の特例、休業支援金の特例、今日大島さんからもお話がありましたけれども、これを縮小したら大変なリストラが私は起きると思いますよ。ちょっと前に聞いた話ですけれども、資本金一千億円近い阪急阪神ホールディングスの株式会社のグループ企業である阪神阪急ホテルズが、非正規労働者二百十九人を雇い止めしたということで、あした労働組合が記者会見の発表もしているわけですよね。こういう形で、今でも、先の雇調金が見えないという中で、こういう話がどんどん出てきているわけですよ。これは絶対に、雇調金は、少なくとも、コロナが終息していく、もうワクチンの作戦を今やっているわけですから、七月末まで高齢者が打っていけば、かなり感染者、とりわけ重症者については抑えていける事態になるわけですから、そこまではしっかり雇調金を私は維持していかなきゃいけないと思いますよ。
○とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので。
○宮本委員 そのことをしっかり受け止めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。