2021年6月2日 衆院厚生労働委員会 ILO105号条約法案を可決 国家公務員の政治活動禁止という違憲状態容認するものとして宮本徹は反対

提出資料 出典:人事院資料
提出資料 出典:2005年5月自治労連弁護団意見書
提出資料 出典:国家公務員法、人事院規則より抜粋
提出資料 出典:1948年11月11日衆議院本会議録第8号
提出資料 出典:厚生労働省
提出資料 出典:厚生労働省

 国際労働機関(ILO)第105号条約(強制労働廃止)締結のための関係法律整備法案が3日の衆院本会議で自民、公明、立憲民主など各党の賛成で可決されました。日本共産党は反対しました。
 日本共産党の宮本徹議員は2日の衆院厚生労働委員会で、現行の国家公務員法の政治活動の禁止(102条)、争議権の禁止(98条)には一切ふれずに罰則規定のみを懲役刑から禁錮刑に改める法案は、現実の違憲状態を容認するものだと批判。現行法の禁止規定と罰則は憲法21条の言論・表現の自由、憲法28条の労働基本権を踏みにじり、米軍統治下の1948年にGHQ(連合国軍総司令部)がマッカーサー書簡で押し付けたものだと指摘。「占領政策のあしき遺産を放置し続けるのか」と批判しました。
 また、最高裁が2012年、堀越事件で社会保険庁職員が休日に自宅付近のアパートの集合ポストに「赤旗」号外を投函(とうかん)した行為を国公法違反として刑罰の対象とすることは憲法21条違反だとした高裁判決の結論を維持し、無罪判決を出したと指摘。「不当な警察の捜査と立件につながった国公法102条と人事院規則を撤廃すべきだ」と主張しました。法案提出者の中川正春議員は「現行法の個別の規定の当否に立ちいることはしない」としか答えませんでした。
 宮本氏は「違憲の国公法規定を撤廃し、憲法で保障された政治活動の自由と労働基本権を回復するべきだ」と強調しました。

以上2021年6月6日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年6月2日 第204回衆院厚生労働委員会議事録≫

○とかしき委員長 これより質疑に入ります。質疑の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。本法案は、現行の国家公務員法の百二条、政治活動の禁止、九十八条の争議権の制限規定をそのままにして、それらの罰則を懲役刑から禁錮刑にするものであります。政治活動やストライキの禁止規定は、憲法の二十一条の表現の自由、憲法二十八条の労働基本権を踏みにじるもので、これらの規定をそのままにすること自体が許されません。ILO百五号条約は、民主主義社会における基本的権利として公務員の政治活動の自由や労働基本権を保障しようというものであって、こういうこそくなやり方は条約の精神にもとると考えます。まず一点目の質問ですが、ILO百五号条約を批准しているG7及びOECD諸国で、公務員の職務外での政治活動を禁止している国、刑事罰を科している国は何か国あるのか、国名を挙げてください。
○井内政府参考人 お答えいたします。お尋ねの公務員の職務外での政治活動を法律で禁止している国については、網羅的に把握しているわけではありませんが、アメリカでは、連邦公務員について、勤務時間外における一定の政治活動を法律で禁止しているものと承知しております。また、公務員の政治活動の制限違反に対して刑事罰を科している国についても、網羅的に把握しているわけではありませんが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四か国においては、国家公務員法制上、刑事罰は定められていないものと承知しております。なお、二〇一七年に行った別の調査によれば、上記の四か国のほか、カナダ、オーストラリアの二か国においても、少なくとも懲役刑、禁錮刑等の自由刑は定められていないとの結果を得ております。
○宮本委員 アメリカで一部政治活動の、一部の人にはあるという話ですけれども、今日は人事院の資料をお配りしておりますけれども、基本的には、アメリカも含めて、政治活動は原則は自由なんですよね。勤務中は駄目ですが、勤務外は基本的に自由と。ただ、捜査機関職員や部課長級、これは一部制限規定があるということで、基本的に、普通の公務員の皆さんは、どこの国でも、まともな民主国家なら政治活動というのは原則自由であります。ましてや、政治活動に刑事罰を科している国はないわけであります。そこで、もう一点お伺いしたいと思いますが、国公法百二条一項の「人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」に違反し省庁等から人事院に通知された件数は、この三十年間で何件あるのか。また、百二条一項の「人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」への違反として起訴された事案はこの三十年で何件あるのか、答えてください。
○練合政府参考人 お答えします。私の方からは、人事院に対する通知についてお答えします。人事院において保存する文書で確認した範囲内では、国家公務員法及び人事院規則一四―七に定める政治的行為の禁止又は制限に違反する行為又は事実があったとして各省各庁の長及び行政執行法人の長から人事院に対して通知されたものはありません。
○保坂政府参考人 起訴件数についてのお尋ねでございますが、お尋ねの国家公務員法違反のうち、百二条一項に違反する罪の起訴件数につきましては、個別の罪ごとには統計として把握していないためお答えは困難でございますが、国家公務員法違反全体での起訴件数、起訴人員につきましては、令和二年から……(宮本委員「いや、全体は要らない。百二条だけでいいです、百二条一項」と呼ぶ)よろしいですか。個別の罪ごとには統計として把握しておりません。
○宮本委員 把握していないというのも驚きなんですが。まず、人事院の規則では、各省庁から人事院にまず通知されることになっているわけですけれども、一件もないわけですね。起訴された事案は法務省はつかんでもいないというわけですが、私の知り得る限りでは、堀越事件と世田谷国公事件の二件なのではないかと思います。これは人事院に通知もなく、警察が政治弾圧として行った事件であります。堀越事件、資料二枚目からお配りしておりますけれども、社会保険庁職員の堀越さんが、二〇〇四年、国公法違反で逮捕、起訴された事件であります。起訴事実は、二〇〇三年九月、堀越さんが休日に自宅付近のアパートの集合ポストにしんぶん赤旗の号外を投函した行為であります。この半年前の四月から、警視庁公安部が大規模な尾行、監視、ビデオによる盗撮などプライバシーの監視を行っていました。連日十名前後でビデオを四から六台回し、自動車を三、四台使う。あるいは、二十九日連続監視の記録もあります。堀越氏の飲食や観劇、買物などプライベートな行動を分単位で克明に記録を取り、一覧表を作成。その一覧表には、そば屋、うどん屋、牛丼屋、居酒屋などでの飲食が記載され、カラオケに行ったこと、歯医者に通院していること、銀行のATMでの出入金などに至ることまで克明に記録されていたわけでございます。それで、堀越事件で人権じゅうりんの捜査、不当逮捕、起訴。根拠とされたのは国公法百二条、人事院規則一四―七であります。資料の四ページ目から五ページ目に国公法と人事院規則をつけておりますけれども、国公法百二条は、禁止する政治行為を人事院規則に委任をしております。人事院規則一四―七、禁止行為がずらっとありますが、六項の七号、政党その他の政治団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること、堀越さんはこれを根拠に逮捕されました。しかし、最高裁は、人事院規則一四―七第六項第七号に文言上該当する行為であっても、堀越さんの行為は休日に市民として行った政治活動で、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれがないものとして無罪にいたしました。最高裁は、禁止される政治的行為の内容を文言どおりではなく限定的に解釈をいたしました。そして、堀越さんが勤務時間外に職務と関係なく行ったビラ配布行為を処罰の対象とすることは憲法二十一条一項、三十一条に違反し、無罪とするとした高裁判決の結論を維持したわけでございます。そこで、法案提出者に伺いますが、この最高裁判決を踏まえるならば、不当な警察の捜査と立件につながった百二条一項そして人事院規則一四―七そのものを改めるべきなのではありませんか。
○中川議員 委員御指摘の最高裁判決の評価や、また国家公務員の規定や人事院規則の当否については、実はこれは各党各会派において様々な御意見ないしお立場があるんだということを承知をしております。今これをまとめるのはなかなか困難な状況にあります。その一方で、日本が国際社会で果たしていくべき役割や昨今の国際情勢を踏まえて、強制労働の廃止に関する条約を批准していくということが我が国にとって実は急務であるというふうに認識をしておって、今回、各会派でその認識というのは共有ができているというふうに思うんです。そのために、提案者としては、委員御指摘の規定を含めた現行法の個別の規定の当否に立ち入るということまではしないで、同条約に抵触する可能性のある懲役刑を禁錮刑に改める、そのことによってこの批准というのが可能になるということでありますので、今回、この法律案を提出をしたという次第であります。御理解をいただければありがたいと思います。
○宮本委員 理解できません。各党各会派で、是非、この最高裁の判決を踏まえて、本当にこれを放置していいのかというのを真剣に考えていただきたいと思います。職務と関係のない勤務時間外の純然たる市民的、政治的な活動を、人事院規則に丸投げして禁止の対象として、その違反に刑罰を科す、この現行法制の矛盾が誰の目にも明らかになったのがこの堀越事件の判決だと思います。その上で、そもそも、なぜ、どのような経過で国家公務員の政治活動を禁止し、公務員の労働基本権を不当に制限する規定が法改正で設けられたのか。一九四八年の第三国会での国公法改正の提案理由の説明のうち、経過が分かる部分について調査室の方から読み上げてほしいと思います。
○吉川専門員 先生の御意向は、第三回国会、一九四八年十一月十日の衆議院本会議において、国家公務員法の一部を改正する法律案についての吉田首相による趣旨説明に引き続いて行われた、政府委員である浅井清臨時人事委員長による補足説明かと思います。該当部分を読み上げさせていただきます。「この改正法律案を政府において起草いたして、このたび国会に提出いたしました重要な動機は、申すまでもなく」「去る七月二十二日のマツカーサー元帥の書簡でございます。」、少し飛びまして、この書簡を受取りました政府は、同書簡の趣旨に基き、とりあえず、去る七月三十一日附をもつて臨時措置に関する政令を制定施行いたしまして、公務員の交渉権を制限いたし、争議行為を禁止いたしますとともに、国家公務員法により設置せられましたる臨時人事委員会をして、爾後公務員の利益を保護する責任を有する機関とする等の臨時の措置を講じたのでございますが、それと同時に、国家公務員法につきましては、これをマツカーサー元帥の書簡の指示するところに即応せしむるよう改正をいたしますために、政府は、同書簡に基く司令部の助言によりまして、この法律案の起草を行つて来た次第でございます。従いまして、このたびの改正法案は、あくまでも書簡の精神と内容とに基いて起草せられたものでございまして、このことは、あらためて申し上げる必要もないと存じます。以上でございます。
○宮本委員 ありがとうございます。今読み上げていただいたとおりでありますが、資料の六ページ目から八ページ目にその前後の議事録も含めて載せております。国公法より早く制定されました労基法は、国家公務員も含めてこれは全面的に適用されることになっておりました。一九四七年に成立し、四八年の七月一日から施行された国公法も、制定時の国会答弁で、国家公務員にも他の労働者と同じ角度において、労働基準法が適用せられ、そうして労働基準法の精神が行われる、その意味において国家公務員について特別の規定を置きませんと説明していたわけでございます。それを一変させたのが先ほど紹介してもらったマッカーサー書簡と政令二〇一号です。占領軍は前年の二・一ゼネスト以来、官公労組などの労働運動の高揚を占領政策の阻害とみなし、国家公務員の争議行為等を禁止し、日本政府に施行直後の国公法の改正を押しつけました。この改正法は、一部閣僚でさえ知らない間に準備され、また、国会の審議でも、GHQ側の意向を伝える場合の速記中止を度々挟む中で、僅か三週間余りで強行成立いたしました。国公法の政治活動の刑事罰というのは、GHQが押しつけたあしき遺産と言わなければなりません。法案提出者にお伺いいたしますが、国公法の政治活動の禁止と罰則が占領下の下でGHQに押しつけられたものだという認識はありますか。
○西村(智)議員 国家公務員法の御指摘の規定の制定過程について、先ほど答弁されたような経緯があるということは承知をいたしております。その上で、委員御指摘の規定に対する御意見ないしお立場については、各党各会派において様々なものがあると承知をいたしております。これは、この議論をする中でも本当にいろいろであったと思います。その上で、今回は強制労働の廃止に関する条約を締結することが、基本ILO八条約の締結ということでございますので、我が国にとっての急務であるということを各会派の共通認識ができまして、これを踏まえて、提案者といたしましては、現行法の規定の当否に立ち入ることなく、同条約に抵触するとの指摘を受ける可能性のある法律の規定を改正することとしたものでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○宮本委員 この経過を法案提出者も承知しているということでございます。承知しているならば、私たちやはり立法府は、本当にこの占領軍のあしき遺産を放置し続けていいのか、ここを考えなければならないと思います。憲法に照らして、公務員制度はどうあるべきなのか、国家公務員の政治活動を罰則で禁止することが許されるのか、立法府として真剣に議論していかなければならないと思います。次に、公務員の労働基本権についてお伺いいたします。国公法の諸規定は、日本も批准済みの八十七号条約と九十八号条約、公務員の労働基本権を保障したものでございますが、これと矛盾いたします。二〇〇二年以降、ILOの結社の自由委員会からはどのような勧告がなされていますか。
○井内政府参考人 二〇一八年六月に公表された第三百八十六次結社の自由委員会報告書について、御質問の関係を抜粋して読み上げさせていただきます。(a)委員会は、再度、政府に対し、遅滞なく、かつ従前の勧告に従い、次のことを目的として、関係する社会的パートナーとの意義のある議論を行うよう促す。(1)公務員への労働基本権の付与。中略、(5)結社の自由の原則に従い、国家の名のもとに権限を行使しない公務員へのストライキ権の確保、及びストライキ権を正当に行使する職員団体の構成員と職員に対して重い民事上又は刑事上の罰則が科されないことの確保。中略、委員会は、必要な改正法が遅滞なく制定されることを期待するとともに、政府に対し、進展について情報の提供を続けるよう求める。以下、省略します。以上です。
○宮本委員 ILOが勧告をしている中身というのは、私が言っていることと同じなわけですよ。ILOの条約に参加しようというのに、ILOの勧告には一方では従わないというのが今度の法案なわけですよね。やはり、ILOの勧告に誠実に応えて、刑罰規定そのものを私は撤廃すべきだと思います。最後にお伺いいたしますが、今、法制審で、刑法改正によって懲役刑と禁錮刑を同一にして新自由刑を創設しようとする動きがあります。もし、新自由刑が創設された後、条約に批准するために国公法を改正をするとなると、新自由刑の規定そのものを削除しなければならなくなる、こういう指摘もあるわけです。そこで、お伺いしますが、新自由刑の創設の前に懲役を禁錮にして条約批准をしてしまおう、こういう意図があるんでしょうか。
○穴見議員 お答えします。委員御指摘の新自由刑については、昨年の法制審の答申において、懲役及び禁錮を新自由刑として単一化するなどの要綱骨子が示されております。現在、政府において、その答申に基づき検討を進めているところであると承知をしておりますが、その詳細な制度設計や法改正のスケジュールについてはいまだ明らかでない部分もございます。条約締結と新自由刑の法改正のスケジュールとの前後関係は定かではありませんけれども、強制労働の廃止に関する条約の締結が我が国にとって急務であることに鑑みて、同条約の締結のために必要となる法改正の作業を進めるべきものと判断をいたしました。今後、政府が新自由刑の法改正の検討を行うに当たっては、本法案の趣旨を十分に尊重いただけるものと認識しております。以上です。
○宮本委員 資料の十ページ目、最後につけておりますけれども、公務員の政治的行為に対する制裁としての自由刑が設けられているかということを考えた場合に、百五号条約を締結している国では、これを見たらどこもないわけですよね。ですから、そういう点でいえば、前後関係はないんだという先ほどの答弁ですけれども、新自由刑の前にという思いが少しでもあるのであれば、それは大変やましいというふうに思うわけでございます。質問は以上でございますけれども、今は、科学技術の進歩と、そして民主主義の成熟の下で、誰もがSNSなんかを使って政治的な発信ができる時代になっております。国家公務員も匿名でツイートをし、政党を応援するものもあれば内閣を批判するものもあります。言論の自由であります。ところが、本法案では、こうしたツイートすら禁錮刑に処せられかねない危険があるわけでございます。ILO条約批准というのであれば、やるべきは、憲法で保障された政治活動の自由と労働基本権を回復する法改正だということを申し上げまして、質問を終わります。
○とかしき委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

≪2021年6月2日 第204回衆院厚生労働委員会 法案採決部分議事録抜粋≫

○とかしき委員長 これより討論に入ります。討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。強制労働の廃止に関する条約百五号の締結のための関係法律の整備に関する法律案に対する反対討論を行います。本法案の重大な問題は、現行国家公務員法百二条の公務員の政治活動の禁止や九十八条の争議行為の制限規定そのものに一切手を触れないことであります。百十条の刑罰規定が百二条や九十八条の違反に罰則を科していることが問われなければなりません。そもそも、百二条と九十八条の規定は、憲法二十一条の言論、表現の自由、二十八条の労働基本権に反して、米軍占領下の一九四八年の国公法全面改悪によって持ち込まれたものであります。GHQがマッカーサー書簡と政令二〇一号で日本政府に押しつけた、占領政策の亡霊ともいうべき違憲の規定が存在していることこそが問題なのであります。国家公務員の政治的行為を一律全面に禁止し、労働基本権を不当に制限している現行規定を撤廃することに一切触れずに、刑罰規定の軽減のみを図る本法案は、国家公務員の政治活動の自由の禁止や争議権の制限という現実の違憲状態を容認するものと言わなければなりません。最高裁は、一九七四年の猿払判決以来、国公法の規定を全面的に合憲としてきましたが、二〇一二年の堀越事件判決において、国家公務員が、勤務時間外に職務と関係なく行ったビラ配布行為を処罰の対象とすることは憲法二十一条一項、三十一条に違反するとした高裁判決の結論を維持し、無罪判決を下しました。第二、第三の堀越事件を根絶するためには、不当な捜査の根拠とされた、国公法百二条と人事院規則の政治的行為を禁止する規定を撤廃するしかありません。提案者は、刑罰規定百十条について、懲役刑を禁錮刑にすれば条約は批准可能だと言いますが、ILOは、国公法の政治活動禁止規定や労働基本権の制約そのものに対して、八十七号、九十八号条約違反である旨、再三再四、勧告しています。条約違反、憲法違反の現実をそのままにして、刑罰の軽減によって矛盾を糊塗するやり方は、問題の根本的解決を遠ざけるものでしかありません。今求められているのは、国公法百二条、九十八条の政治活動禁止、争議行為制限の規定を撤廃し、国家公務員の政治活動の自由と労働基本権を回復することです。このことを強く指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
○とかしき委員長 以上で討論は終局いたしました。
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○とかしき委員長 これより採決に入ります。馳浩君外七名提出、強制労働の廃止に関する条約(第百五号)の締結のための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
 〔賛成者起立〕
○とかしき委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○とかしき委員長 次回は、来る四日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。