2021年5月26日 衆院厚生労働委員会 最賃今こそ引き上げ 宮本氏、コロナ禍の支援要求

 日本共産党の宮本徹議員は5月26日の衆院厚生労働委員会で、コロナ禍で進んだ格差の是正と経済の好循環のために、中小企業支援とセットで最低賃金を1500円以上に引き上げるべきだと求めました。
 宮本氏は、英国、ドイツなど世界各国ではコロナ禍でも最賃引き上げに踏み出しているのに、日本はわずかしか上がっていないと告発。コロナ禍で打撃を受けた業種に最低賃金近傍で働く人が多いと指摘し、「貧困に陥る国民の生活を支えるためにも、大幅な最賃引上げが必要ではないか」と迫りました。田村憲久厚労相は「各種助成金を使ってもらい、上げられる環境をつくり、早く加重平均1000円を実現したい」と答えました。
 宮本氏はさらに、最賃引き上げには中小企業への直接支援が必要だとして、賃金への直接助成や社会保険料の減免をすべきではないかと主張しました。
 田村厚労相は「持続可能性を考えると難しい」と答弁。宮本氏は「持続可能性を考えるなら、最賃引き上げこそ経済の好循環につながる」と強調し、全労連の調査では全国各地の最低生計費は変わらないとして、全国一律制とし、1500円以上をめざすべきだと主張しました。

以上2021年6月19日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年5月26日 第204回衆院厚生労働委員会第22号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。今日は育児・介護休業法の改正案でございます。男性の育休取得率が七・四八%、少し上がったとはいえ、余りに低い状態なわけです。この数字の裏には、育児は女性がやるんだという、性別役割分担論がある。やはり男性も育児、介護などの家族的責任をしっかり、ひとしく負っていくというようにしていかなければならないと思います。大臣も、今日も反省の弁もありましたけれども、私自身も反省しなきゃいけないところが多々あるなと思いながら、質問させていただきます。そして、やはり男性の育休を当たり前のように取るようにしようと思ったら、相当なことをやらなきゃいけないなというふうに思うんですね。まず、事実だけお伺いしますけれども、男性が育児休業制度を利用しなかった理由で最も多いのは何ですか。
〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。私どもの方で令和二年度に委託の調査研究を行っておりまして、その中で、男性正社員が育児休業制度を利用しなかった理由として挙げられているもののうち最も多いのが、収入を減らしたくなかったからということで、四一・四%となっております。次いで、育休を取りづらい職場の雰囲気であったり、業務の都合があるというようなことでございます。
○宮本委員 一番多いのは、収入を減らしたくないということなわけですよね。資料でそれはおつけをしております。資料二枚目には、実際、現状、男性がどの程度育休の取得期間があるのか、取っているのかということなんですけれども、二週間までというので大半ということになっているわけですよね。ですから、そもそも育休を取らないし、取っても短い。ここにはいろいろな理由がありますけれども、やはり収入を減らしたくないという要因が大きく働いているわけであります。そのことを考えると、やはり今回の法案だけでは足りないと私は思います。育休を取ったからといって収入が減らない、このための策が必要なのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 先ほど来お話しさせていただいておりますけれども、給付の水準を引き上げてきたわけでございまして、そういう意味では、世界においても決して低い給付率ではないわけであります。あわせて、社会保険料等々の免除等々対応いたしておりますので、そういう意味では、人によってそれぞれ違うからなかなか言いづらいところはあるんですけれども、平均的に休む前の八割ぐらいの所得は確保できるというような水準の育児休業給付であろうというふうに思います。一方で、今委員おっしゃられたような御意見があるのも承知いたしております。それは、より高ければ高い方が働く方々もいいのは当たり前だと思いますが、一方で、これは労政審で労使共に、保険料等々にも跳ね返ってまいりますので、そこは慎重に検討すべきだという御意見もいただいております。
○宮本委員 先ほど立憲の早稲田さんからも、韓国の例も紹介をされました。韓国は、父親が育休を取った場合という制度も、ボーナス的な制度もつくりまして、三か月間一〇〇%賃金保障というのをやって男性の育休取得がぐっと上がったというのがあるわけですね。私どもの党も、公約としては、当面三か月は男女とも育児休業の賃金保障一〇〇%というのをずっと掲げてきているわけであります。今日、資料をお配りしておりますけれども、資料の四ページ目、自民党の政調の資料もつけました。こう書いていますね。「育児休業の取得前と後で経済状況が変わらないよう、男女ともに実質手取り十割となる水準まで引き上げるべく、育児休業給付について制度の在り方について検討すべきである。」と。共産党から自民党まで言っているじゃないですか。これは大臣がやはり本気になってやれば、できないはずじゃないと思いますよ。いかがですか。
○田村国務大臣 何か、それを検討していたときに私も党の方にいたような気もしますが。これは、要は財源が必要な話でございまして、しかも、いっときだけという話じゃなくて、恒常的にこれからずっと必要であるということでありますから、安定財源を確保しなければできない話であります。私自身、先ほども申し上げましたが、前回、前の大臣のときに六七%まで引き上げるときも、本当に御理解をそれぞれ労使共にいただきながらの引上げだったわけでございまして、なかなかそれは、実際問題、保険料の中から支払っていただくということになれば、そこでの御理解を十分にいただかないことには難しいということは御理解いただきたいというふうに思います。
○宮本委員 当然、労使の理解を得るための努力をしなきゃいけないわけです。しなきゃいけないわけですけれども、やはりそこに臨む姿勢ですよね。元々こんなのは無理だよと思って臨むのか、いや、これは日本社会のジェンダー平等の実現にとって必要なんだ、田村大臣自身の反省も込めて、これはやらなきゃいけない課題なんだということで臨むかどうかということだと思いますし、当面、例えば一般財源、一般会計から、公的な税金の財源を使って、一定の期間一〇〇%賃金保障の制度をつくるという選択肢だってあると思うんですよね。そういうことも含めて検討すべきじゃありませんか。
○田村国務大臣 なかなか難しいのは、今、雇用保険の財政も非常に厳しい状況であります。一時的に国の方で見ればいいという話でありますが、いろいろなものを今国民の皆さんに御負担をお願いする法律を出していたりなんかして、衆議院でも御可決をいただきましたけれども、そういう状況の中で、なかなか当面といっても、それはいつまでの当面になるか分からない話ですね。例えば半年だけやりますという話では、逆のメッセージになりますね、やめたときに。ですから、そういうことも含めて、これは労使に御理解いただかなきゃいけない話なので、まずは、今般のように、ほかにもいろいろな、男性が育児休業を取らない理由があられますので、そこの中の、今委員がおっしゃっている部分以外の部分をしっかりと手当てをさせていただきながら、育児休業の取得を増やしてまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 税財源で確保をするというやり方も、それは当然、何らかの増税策ですね。私たちはいつも、バイデン政権を見習えということを最近言っていますけれども、そういうことも含めて、税財源を確保してやっていくという手だてだってあるわけですから、そこは本気になって是非取り組んでいただきたいと思います。今日、配付資料の五ページ目に、在アイスランド日本大使館の、アイスランドの話が書いてあって、面白いのでつけておきましたけれども、アイスランドは、御存じのとおり、ジェンダー平等の世界の最も進んだ国ですけれども、昔からそうだったわけですけれども、この三段落目に、こう言っているんですよね。長くジェンダー問題に関わってきた女性運動家の方の御意見を伺うと、男女平等が肌で感じられるようになったのは、二〇〇〇年に育児休暇法が改定され、父親にも最低三か月間の育児休暇取得が義務づけられてからのことでした。その次の段落で具体的にどんな制度かと書いてありまして、その次ですけれども、実際にこの育児休暇を取得した男性に話を聞いてみると、当国でも育児は女性がするものとの考え方が長く根強かったが、実際に体験してみて、初めて育児の喜びを知ることができたといった声が多いのも事実ですということです。基本は、育休というのは権利ですから、義務という論だと私はちょっと違うかなという思いもあるんですけれども、ただ、やはり男性が育児にしっかり参加する、育休を取って育児に参加するというところから更にジェンダー平等が進んでいったんだというこのアイスランドの経験というのは、私たちは本当にしっかり学んでいかなきゃいけないというふうに思います。その上で、もう一点お伺いしますけれども、男性の育休取得が進まない原因の一つに、先ほど収入のお話をしましたけれども、その裏には、やはり男女の賃金格差の問題というもの、これもあると思います。育休を取る際、世帯収入をできるだけ減らさない、そのために収入が少ない側が育休を取る、多くの場合は女性の側になっているということなんだというのもあると思います。今日、資料の三ページ目につけておきましたが、JILPTの報告なんですけれども、この真ん中にありますように、男性の育休の取得期間が長くなるほど、配偶者の年収の平均は高くなっているわけですね。ですから、配偶者の年収が一定あれば男性も育休を長く取りやすいというのがこのデータからも言えると思うんですよね。ですから、男性の育休取得が進まない原因の一つに、男女の賃金格差、もっと言えば女性の低賃金があるんだ、こういう認識は大臣はお持ちですか。
○田村国務大臣 そういう御意見があることも十分承知いたしております。言うなれば、男女の賃金格差というものを見ていくと、一つは勤続年数でありますとか、それから管理職の比率でありますとか、そういうところが違ってきておる。賃金テーブルは今同じ中で働いておられる方々が大分増えてきておるわけでありまして、そうすると、そういうところを改善していかなきゃならない。改正女性活躍推進法で、事業主の行動計画の中において、これの策定義務の中での対象拡大でありますとか、それから公表等々、こういうものを義務化の中においていろいろと今進めておるわけでありますけれども、結果的に、男女の差というものを考えたときに、やはり働き方改革というのも一つ大きな私は問題だったんだと思います。つまり、男性の長い働き方じゃないとキャリアが形成できないということになれば、当然、両立しながら女性がキャリアを積めないというところがありますから、だからこそ、働き方改革で、男性ももっと短く働く。こういう中において、もちろん、家事や育児に参画をすることも当然でありますけれども、それだけじゃなくて、女性がそれによって、両立してもキャリア形成ができる。これによって管理職比率も上がってくるし、勤続年数も上がってくる。となれば、当然のごとく賃金格差も減ってくるということでございますので、実はそういう狙いもあっての働き方改革であったということも御理解をいただきたい。まだこれは道半ばでございますから、まだ十分に改善できていないわけでありますが。いずれにいたしましても、おっしゃられるとおり、男女の賃金格差というもの、これがなくなってくれば、男性も取りやすい環境というものが、これは夫婦世帯という見方ではありますけれども、こういう形になってくるであろうというふうに我々も思っております。
○宮本委員 そうなんですよね。もちろん、大臣おっしゃるとおり、長時間労働の是正というのも当然必要な課題になりますけれども、やはり男女の賃金格差を放置せずに、これを徹底的に正していかなきゃいけない。とりわけ、日本は世界の中でも男女の賃金格差が大きい、先進国の中では極めて大きい国ですから、それを正すための手だても取らなきゃいけないという点で、しっかり取り組んでいただきたいと思います。あわせて、今日は最低賃金についてもお伺いしたいと思います。コロナ禍の下で、仕事が減り、シフトが減り、多くの方が苦しんでおりますが、その中では、最低賃金の低さが苦しみの一因になっている方々も少なくなくいらっしゃいます。やはり、最低賃金が家計補助労働を想定して低く抑えられてきたことの矛盾がコロナ禍の中であらわになっているというふうに思います。今日は資料をつけておりますが、資料の八ページ目、九ページ目に、先日の経済財政諮問会議で民間委員が提出したものをつけておりますが、世界はコロナ禍の中でも着実に最低賃金を上げ続けております。イギリスは昨年六・二%、今年二・二%、ドイツも昨年一・七%、今年一・六%、韓国も昨年二・八七%、今年一・五%、日本は昨年〇・一%だけというのが、八ページ、九ページ、資料を見ていただいてのとおりであります。大臣、なぜコロナ禍の下でも各国は最低賃金を上げているんですか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。コロナ禍における最低賃金の引上げについてでございますが、本年におきます諸外国の最低賃金引上げは、委員御指摘のとおりの引上げになっているものでございます。一定程度引き上げている部分はございますけれども、その引上げの幅は例年より抑制的ではないかというふうに考えてございます。今御紹介いただきましたとおり、例えばイギリスについて言えば、昨年六・六%上げてございますが、今年は二・二%ということでございます。ただ、イギリスの昨年の引上げにつきましては、一昨年の十月段階で決定したものがそのまま昨年の引上げになったということでございますので、そういう意味で申し上げますと、コロナ禍になって決定したものということについて言えば、昨年よりもかなり低い水準になっているという状況でございます。諸外国におきます最低賃金の引上げの理由につきましては、改定の方法でございますとか決定基準も異なりますので、一概に申し上げることはできませんけれども、例えば、イギリス、フランス、ドイツなどにおきましては、物価や賃金の上昇の動向を踏まえつつ、雇用への影響にも配慮しながら最低賃金を引き上げているものと承知しているところでございます。
〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 〇・一%しか上げていない国が、ほかの国もそんなに、コロナ禍ではいつもどおり上げていないんだみたいな言い方は余りしない方がいいと思うんですよね。欧州各国の最低賃金引上げ率の平均、加重平均で見て二・五%、二〇二一年、上げているわけですね。二〇二〇、二〇二一と上げ続けてきているわけでございます。やはり、コロナ禍の下でも所得分配をしっかりしていかなきゃいけない、もっと言えば、コロナ禍の下でも所得分配は強化しなきゃいけないんだという問題意識もあって、各国、最低賃金は上げているんだというふうに思います。それから、資料の十ページ目ですけれども、最低賃金と生活保護、貧困線との関係というのが出ております。最低賃金の月収換算、厚労省は月百七十三・八時間を基本に計算してきておりますが、平均的な所定内労働時間百五十・五時間で計算すると、生活保護水準や貧困線に近い水準になっているわけでございます。とりわけ、コロナ禍で打撃を受けた小売、宿泊、飲食サービス業などは、まさに最低賃金近傍で働く人も多いわけでございます。大臣、コロナ禍で、本当に貧困で大変苦労されている国民の生活を支えるためにも、やはり大幅な最低賃金の引上げを今年やっていく必要があると思いますけれども、いかがですか。
○田村国務大臣 昨年も最低賃金を引き上げて、コロナ禍で、特に最低賃金近くで働いてみえられる方々の業種が非常に影響を受けた、そういう年でありました。まあ、今なお受けていると言った方がいいのかも分かりませんが、そんな中での決定であったということであります。今年、どうであるか。これは、やはり事業主が十分に引上げに堪えられるだけの利益を上げていかなきゃいけない、生産性を上げなきゃならないということで、付加価値をつくっていかなきゃならないということでございますので。そういう意味では、そこを支援していかなきゃなりませんから、厚生労働省は業務改善助成金というのがございますが、ほかにも、中小企業庁等々でもいろいろな助成金、補助金があります。ものづくり補助金でありますとか、あと持続化補助金、それからIT補助金、いろいろなものがございます。そういうものを使いながら、また、いろいろな法律等々で対応しながら、上げられる環境をしっかりとつくっていって、なるべく早く全国加重平均千円というものを実現するというのは我々も目標として挙げておりますので、それがまずは実現できるように努力してまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 こういう中でやはり最低賃金を引き上げようと思ったら、中小企業への支援というのは、これまでどおりじゃないものを私は考えていく必要があるというふうに思います。先ほどいろいろな助成金があるというお話をされましたけれども、最賃引上げのための支援策で業務改善助成金というのがありますけれども、これも、東京商工リサーチの調査では、この助成金を利用していると答えた企業は僅か〇・六%、今後利用したいと答えた企業は一五・九%なんですね。これは生産性向上のための設備投資が要件となっている、そうすると、そもそも赤字の企業は投資する元手もないことになりますので、なかなか使えない制度になっているわけですよね。私は、もっと直接的な賃上げに当たっての支援を中小企業に対してはやるというのを、そこにやはり踏み切っていく必要があると思いますよ。フランスなんかは、それこそ日本円にすれば二兆円を超える単位で、中小企業の社会保険料の負担の軽減というのを予算を組んでいるわけであります。そうやって最低賃金引上げを応援している。あるいは、韓国なんかは賃金の直接助成もたしかやっていたと思いますけれども。やはり日本も、賃金の直接助成をしていく、あるいは社会保険料の大胆な軽減をするだとか、最低賃金引上げに当たってこれまでにない支援を行っていく、こういう決意を固めて、まあ、私たちは千円と言わず千五百円ということを言っていますけれども、そこに向かっていく必要があるんじゃないかと思いますが、その点、いかがですか。
○田村国務大臣 まず、賃金の補助を国が出すとなると、ずっとその分を出し続けるんですかね。やめたら下がっちゃうという話になっちゃうので、どうするのかちょっとよく分からないんですが。持続可能性を考えた場合、やはり事業者が付加価値をしっかりと確保いただいて、その中から賃金の上昇分を出していただくということが重要なんだろうと思います。そのために、生産性を上げるということで、先ほどの業務改善助成金というような形で我が省も補助しておりますが、それ以外にも、ものづくり補助金やいろいろな形で、生産性を上げて付加価値を増やしていただこうということをしようとしているわけであります。社会保険料も、これは基本的には労使でお支払いいただくものであって、一時的に例えば国が出したからといって、これも同じですよね、結局、国が賃金をそのまま補填するのと同じでありますので。やはり、持続可能性という意味からすると、ちょっとこれは難しい部分があるのではないかというふうに思いますから、我々は、持続可能性が維持できる方法でしっかりと賃金を上げられる環境をつくってまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 日本の経済社会の持続可能性ということを考えた場合に、やはり経済の好循環をつくるしかないと思うんですよね。経済の好循環ということを考えた場合に、日本のGDPの大半を占めているのは個人消費、そして、非正規雇用がこれだけ増えている、最低賃金によって給料が左右される方もかなりの方に上るというのが今の現状なわけですから、私は、持続可能性ということを考えた場合にも、やはり最低賃金を引き上げる、ここにしっかりもっと直接的に支援を行うというのは、日本社会の持続可能性、持続的な発展にとっても、よほどいい好循環が生まれると思いますよ。そういう計算も是非やっていただきたいというふうに思いますし、あと、今日資料だけお配りしておりますけれども、最後の十一ページ目、全国どこでも変わらない生計費ということで、全労連の皆さんが、人間らしい最低限の生活をするのにどれぐらいのお金でできるのかというのを実際に計算して出したものがありますが、やはり、全国どこでも時給千五百円、千六百円ないと人間らしい生活ができないという結果が出ておりますので、こうしたものもしっかり踏まえて、私たちは千五百円を目指すべきだということで政府に求めていきたいと思います。ちょっと時間が残り少なくなってまいりましたので次に行きますけれども、ワクチンのことについて一点だけお伺いします。昨日、こういう話をいただきました。特養ホームに入っている百一歳の祖母が二回目のワクチン接種の後、熱が出て、三日目に入院し、その翌朝亡くなったという話でございます。もちろん因果関係は解明されておりません。二回目接種後の副反応で熱が出る方が多いというのも今回のワクチンの特徴なわけでございますが。いただいた話では、高齢者施設ではかなり高齢の方が多いので、接種に当たっては、当日の全身状況や体調などについてしっかりと念入りに確認をする、体調の優れない方は接種を見送るということについて改めて医療関係者や施設関係者に周知徹底していただきたい、こういうお話です。いかがでしょうか。
○田村国務大臣 おっしゃられますとおり、施設であろうがなかろうが、しっかりと予診をやっていただいた上で、ワクチンが接種できる状況かどうかというのを確認いただいて、もし、いろいろな状況を判断する中において接種に適していないということになれば、その日は接種を控えていただく、場合によってはまた次回へと移していただくということが必要になってくるわけであります。それはもう当然のごとく、我々も接種の手引等々でお書きをさせていただいておるわけでありますので、更に徹底をさせていただきたいというふうに思っております。
○宮本委員 しっかり再度徹底してほしいと思うんですね。やはり今、七月末までに高齢者全員接種だ、こういうかなりのキャンペーンがやられているわけですね。そういう中で、高齢者施設も、これは巡回で打ってもらっているわけですけれども、その巡回のときを逃したら、もう次は打ってもらえないんじゃないかというのも当然生まれちゃうわけですよね。そういう中で、接種ありきというふうになったらやはり事故につながりかねないというふうに思いますので、そこは本当に念入りに、しっかりお願いしたいと思います。それから、もう一問お伺いしたいと思いますが、生活困窮者向けの給付金が具体化されるという報道が昨日から流れております。我が党としても、何度も政府へ、貸付けだけではなく給付への切替えが必要なんだと申入れを行ってまいりました。野党も今年法案を出してまいりました。また、社協の現場でも、貸付け以外の支援策がいまだ打ち出されないことは、相談現場で苦しい、こういう声もたくさん上がっておりました。野党案に比べて対象はかなり狭いわけでございますが、ただ、困窮者向けの給付金を出そうというのは一歩前進だというふうに思います。ちょっと今日は時間がないので、少しお伺いしたいことは、報道を見ると、緊急小口や総合支援資金など、貸付けを目いっぱい使うことが前提になっているかのように報道が流れているんですけれども、そうでなければいいわけですけれども、やはり、貸付けにできるだけ頼らずに頑張ってきたけれども、本当に厳しい水準で頑張っている方もたくさんいらっしゃるわけですから、貸付けをどれだけ使っているかということを前提にせずに、収入の状況に応じてしっかり出す給付金にすべきだと思いますが、その点、いかがですか。
○田村国務大臣 緊急小口資金や総合支援貸付け等々、いろいろな対応をさせていっていただきました。住宅確保支援もやってまいりまして、それも令和二年度、九か月を十二か月まで延長し、更にこの六月まで。新たな貸付けに関しても、延長を、延長といいますか、期間延長をしてきたわけであります。重層的ないろいろな対策を組んでまいってきておりますので、今現状はそれをしっかりと対応するということを申し上げたいというふうに思います。なお、今日の官房長官の会見では、現在政府内で検討を急いでいるところであるわけでありますとおっしゃっておられます。
○宮本委員 これだけ報道が具体的に流れていてその答弁だと、この厚労委員会は何なんだろうなというふうにも思ってしまうわけでございます。私が言った点についてもしっかり検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
○とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○田村国務大臣 現在政府内で検討を急いでいるところであるわけであります。
○宮本委員 ちょっと話にならないですね。終わります。