2021年5月26日衆院厚生労働委員会 育児休業10割の賃金補償を 宮本氏求める

 日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院厚生労働委員会で、育児・介護休業法改定案をめぐって、育児休業の取得を進めるため、育児休業中の賃金補償を10割とし、男女賃金格差を是正するよう要求しました。
 宮本氏は、厚生労働省の調査で男性が「育児休業制度を利用しなかった理由」で最も多いものは「収入を減らしたくないから」だと指摘。自民党政調も「男女ともに実質手取り10割になる水準にまで引き上げるべく、検討すべき」と提言していることを示し、「育児休業給付金の給付水準を3ヶ月間は実質10割に引き上げるべきではないか」と迫りました。
 田村憲久厚生労働相は「保険料に跳ね返り、労使の理解を得ることが難しい」と答弁。宮本氏は「一般会計という選択肢もある。アイスランドは、男性育休の義務化でジェンダー平等が大きく進んだ。日本も姿勢を示すべきだ」と強調しました。
 宮本氏は、世帯収入を減らさないため収入が少ない女性が育休をとるケースが多いとして、「育休取得が進まない理由に日本の男女賃金格差と女性の低賃金があるのではないか」とただしました。田村厚労相は「男女賃金格差がなくなってくれば、男性も育休をとりやくすくなる。改善していかなければならない」と答えました。

≪2021年5月26日 第204回衆院厚生労働委員会第22号 議事録該当部分抜粋≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。今日は育児・介護休業法の改正案でございます。男性の育休取得率が七・四八%、少し上がったとはいえ、余りに低い状態なわけです。この数字の裏には、育児は女性がやるんだという、性別役割分担論がある。やはり男性も育児、介護などの家族的責任をしっかり、ひとしく負っていくというようにしていかなければならないと思います。大臣も、今日も反省の弁もありましたけれども、私自身も反省しなきゃいけないところが多々あるなと思いながら、質問させていただきます。そして、やはり男性の育休を当たり前のように取るようにしようと思ったら、相当なことをやらなきゃいけないなというふうに思うんですね。まず、事実だけお伺いしますけれども、男性が育児休業制度を利用しなかった理由で最も多いのは何ですか。
〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。私どもの方で令和二年度に委託の調査研究を行っておりまして、その中で、男性正社員が育児休業制度を利用しなかった理由として挙げられているもののうち最も多いのが、収入を減らしたくなかったからということで、四一・四%となっております。次いで、育休を取りづらい職場の雰囲気であったり、業務の都合があるというようなことでございます。
○宮本委員 一番多いのは、収入を減らしたくないということなわけですよね。資料でそれはおつけをしております。資料二枚目には、実際、現状、男性がどの程度育休の取得期間があるのか、取っているのかということなんですけれども、二週間までというので大半ということになっているわけですよね。ですから、そもそも育休を取らないし、取っても短い。ここにはいろいろな理由がありますけれども、やはり収入を減らしたくないという要因が大きく働いているわけであります。そのことを考えると、やはり今回の法案だけでは足りないと私は思います。育休を取ったからといって収入が減らない、このための策が必要なのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 先ほど来お話しさせていただいておりますけれども、給付の水準を引き上げてきたわけでございまして、そういう意味では、世界においても決して低い給付率ではないわけであります。あわせて、社会保険料等々の免除等々対応いたしておりますので、そういう意味では、人によってそれぞれ違うからなかなか言いづらいところはあるんですけれども、平均的に休む前の八割ぐらいの所得は確保できるというような水準の育児休業給付であろうというふうに思います。一方で、今委員おっしゃられたような御意見があるのも承知いたしております。それは、より高ければ高い方が働く方々もいいのは当たり前だと思いますが、一方で、これは労政審で労使共に、保険料等々にも跳ね返ってまいりますので、そこは慎重に検討すべきだという御意見もいただいております。
○宮本委員 先ほど立憲の早稲田さんからも、韓国の例も紹介をされました。韓国は、父親が育休を取った場合という制度も、ボーナス的な制度もつくりまして、三か月間一〇〇%賃金保障というのをやって男性の育休取得がぐっと上がったというのがあるわけですね。私どもの党も、公約としては、当面三か月は男女とも育児休業の賃金保障一〇〇%というのをずっと掲げてきているわけであります。今日、資料をお配りしておりますけれども、資料の四ページ目、自民党の政調の資料もつけました。こう書いていますね。「育児休業の取得前と後で経済状況が変わらないよう、男女ともに実質手取り十割となる水準まで引き上げるべく、育児休業給付について制度の在り方について検討すべきである。」と。共産党から自民党まで言っているじゃないですか。これは大臣がやはり本気になってやれば、できないはずじゃないと思いますよ。いかがですか。
○田村国務大臣 何か、それを検討していたときに私も党の方にいたような気もしますが。これは、要は財源が必要な話でございまして、しかも、いっときだけという話じゃなくて、恒常的にこれからずっと必要であるということでありますから、安定財源を確保しなければできない話であります。私自身、先ほども申し上げましたが、前回、前の大臣のときに六七%まで引き上げるときも、本当に御理解をそれぞれ労使共にいただきながらの引上げだったわけでございまして、なかなかそれは、実際問題、保険料の中から支払っていただくということになれば、そこでの御理解を十分にいただかないことには難しいということは御理解いただきたいというふうに思います。
○宮本委員 当然、労使の理解を得るための努力をしなきゃいけないわけです。しなきゃいけないわけですけれども、やはりそこに臨む姿勢ですよね。元々こんなのは無理だよと思って臨むのか、いや、これは日本社会のジェンダー平等の実現にとって必要なんだ、田村大臣自身の反省も込めて、これはやらなきゃいけない課題なんだということで臨むかどうかということだと思いますし、当面、例えば一般財源、一般会計から、公的な税金の財源を使って、一定の期間一〇〇%賃金保障の制度をつくるという選択肢だってあると思うんですよね。そういうことも含めて検討すべきじゃありませんか。
○田村国務大臣 なかなか難しいのは、今、雇用保険の財政も非常に厳しい状況であります。一時的に国の方で見ればいいという話でありますが、いろいろなものを今国民の皆さんに御負担をお願いする法律を出していたりなんかして、衆議院でも御可決をいただきましたけれども、そういう状況の中で、なかなか当面といっても、それはいつまでの当面になるか分からない話ですね。例えば半年だけやりますという話では、逆のメッセージになりますね、やめたときに。ですから、そういうことも含めて、これは労使に御理解いただかなきゃいけない話なので、まずは、今般のように、ほかにもいろいろな、男性が育児休業を取らない理由があられますので、そこの中の、今委員がおっしゃっている部分以外の部分をしっかりと手当てをさせていただきながら、育児休業の取得を増やしてまいりたいというふうに思っております。