2021年8月5日衆院厚生労働委員会閉中審査 守れる命が守れない 入院制限方針 宮本氏が撤回迫る

提出資料 出典:厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第5.1版」
提出資料 出典:内閣官房ホームページ
提出資料 出典:Ministry of Health(Goverment of Singapore)ホームページ

「これでは守れるはずの命が守れなくなる」―。日本共産党の宮本徹議員は4日の衆院厚生労働委員会で、政府が新型コロナウイルス患者の入院を制限し、重症患者や重症化リスクのある患者以外は自宅療養を基本とするよう方針転換したことを批判し、政府方針の撤回を迫りました。
宮本氏は「新型コロナの特徴は、症状の悪化が急激に進むことだ」として、1人暮らしの自宅療養では、症状が一気に悪化して、連絡もできずに命を落とすケースが生まれると指摘。田村憲久厚労相は質問にまともに答えず、「在宅で対応できる方々に、在宅をお願いしたいといっている」などの答弁を繰り返しました。
宮本氏は「(医療側は)いくら健康観察や訪問診療の体制を強めたとしても、急激な症状悪化は把握しきれない」として、「自宅療養の問題点を認識すべきだ」と厳しく批判しました。
また、宮本氏は、新型コロナでは適切なタイミングで適切な医療をしてこそ重症化を止められるにもかかわらず、「自宅療養が基本では、治療のスタートが遅くなり、重症者が増える」と指摘。これに対しても田村厚労相は、まともに答弁できませんでした。
宮本氏は、臨時の医療機関の設置や、宿泊療養ホテルに医師・看護師を増強するなど、「24時間の看護、診療、健康観察できる体制の拡充を目指す姿勢こそ示すべきだ」と迫りました。

以上2021年8月5日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年8月4日 衆院厚生労働委員会閉中審査 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。政府は、新型コロナの患者について、これまでの原則入院から、重症患者や重症化リスクの特に高い方以外は自宅療養を基本と、方針がひっくり返ったわけであります。これでは本当に命が守れなくなりますよ。皆さんも資料でお配りされておりますけれども、軽症でも、リスク因子のある患者は急速に病状が進行することもあるから入院の対象となる。中等症1は、SpO2九五以下ですね、呼吸困難、肺炎所見がある、入院の上で慎重な観察が必要と。これがこれまでの私たちの国の医学上の診療方針だったわけですよ。もし、肺炎だ、あるいは呼吸困難がある中で自宅で療養ということになったら、本当に患者は自分の命が守れるのか不安になりますよ。この間、多くの方が自宅で亡くなられておりますけれども、新型コロナの特徴というのは、急激に症状が悪化するわけであります。独り暮らしで、一気に症状が悪くなって、連絡もできずに命を落とす、こういうことも起きてしまうんじゃないですか。大臣、聞いていますか。自宅療養が基本では、自宅で亡くなる方が相次ぐんじゃないですか。
○田村国務大臣 自宅におられる方が悪化したときに病院に入れないと、亡くなられる機会といいますかおそれが出てくるわけですね。ですから、このコロナというのは、言われるとおり急激に悪化するおそれがあります。そのときに病床が空いていなければ病院に入れない、結果的には悪化していって重症化してしまう。こうならないためにはどうすべきなのか。しかし、平時であれば病床は空いております。今は東京もまだ三千ぐらいは多分確保病床はあると思います。一方で、今の感染状況は、昨日も一週間の移動平均で多分二〇〇%近い伸びになっています、前週と比べて。今、尾身会長がおっしゃられたとおり、これは収まるでありますとか減るという見込みが立てばいいんですが、残念ながら、今の足下の数字は二、三週間前の数字でありますので、しかも人流が一定程度減っているときにも増えているということを考えると、なかなか過去の結果はこれから先変えられないということを考えれば、急速にまだ伸びる可能性がある。となれば、在宅で対応せざるを得ない方が増えてきます。そのときに、より悪い方が病院に入れなかったら、やはり健康を守れませんよね。ですから、そういう意味で、早めに我々としては方針をお示しをさせていただいて、そしてその上で、各自治体、東京の場合は東京都と話合いをさせていただきながら、どういう方々を病床から軽い方々として在宅で対応いただくのか、そのときにはどのような体制で対応いただくのかということを話合いをさせていただいているわけでありまして、委員がおっしゃられるとおり、在宅で悪くなった方々の命を救うためにはどうしていくべきなのかということを検討した中において、特に若い方々が今多いですから、感染者が。そういう方々も含めて、比較的在宅でも対応できる方々には在宅でお願いをしたいということを申し上げているわけであります。
○宮本委員 自宅療養の問題点を、ちゃんと大臣、認識した方がいいと思うんですけれども。一日一回健康観察をやっている。なかなかできなくなってきていますよ、それも。ですけれども、その間に一気に症状が進行して悪化してしまうという例が、この間、たくさん繰り返してきているわけじゃないですか。それで亡くなった方がたくさんいるわけですよ。ですから、今の自宅療養が基本というやり方、幾ら健康観察あるいは訪問診療の体制を強めたとしても、急激な症状の悪化というのは把握し切れないですよ。そういう認識はありますか。
○田村国務大臣 先ほども言いました、東京の病床使用率、五〇%を超えてまいりました。これが八割、九割まで上がってから対応したのでは遅いと思います。要は、悪くなったときに対応できるような体制がなければ、病院に入って悪くならない方もおられると思います。一方で、在宅、自宅でおられて悪くなる方もおられる。悪くなった方がそのときにしっかりと診てもらい、治療してもらえる体制をつくらないと、あの春先のようなことが起こるであろうという中において、我々としては、特に感染状況、年齢的には四十歳、三十歳代以下が七割という形でございますので、そういう中において今般の対応を検討し、お願いをさせていただいておるということで、まさに委員がおっしゃられるとおり、自宅で待機、療養されている方々の悪化というものに対して即座に対応できるような体制を組んでまいりたいという思いの中で、今般のお願いをさせていただいております。
○宮本委員 それはちょっと、話がかみ合っていないんですよ、答弁が。コロナの場合は症状は急激に悪化する、だから中等症1でも入院して慎重に観察しましょうということになっているわけですよ。それが、自宅、基本というふうにした場合は、その体制が、二十四時間の見守り体制なんというのはできないわけですから。だから、初めに今日、長妻さんも冒頭におっしゃられましたよ。臨時の医療施設をつくる、あるいは、宿泊療養施設を、もっと医療体制を強化して、そこで診る。ちゃんと二十四時間、看護と診療ができる体制をつくっていくというのが基本じゃないですか。そこをやらずに、自宅……(発言する者あり)何を言っているんですか。皆さんの方針ではそうじゃないですか。重症患者や重症化リスクの特に高い方以外は自宅療養を基本となっているんですよ。これが基本というのは違うでしょうと。(発言する者あり)
○とかしき委員長 不規則発言はお慎みください。
○宮本委員 そこが、全く認識が違うと思いますよ。もう一点お伺いしますけれども、適切なタイミングで適切な治療をしてこそ、重症化というのは止めることができるわけですよね。中等症2になると、急速に更に症状が悪化する。中等症1から中等症2になった場合、更に急速に悪化する。その重症化を止めるために、できるだけ早いタイミングで、中等症2になった場合は、中等症2の場合はステロイドを投与する。これは診療の手引にも書いています。ですけれども、自宅療養が原則ということになったら、治療のスタートがどうしても遅くなってしまうわけですよ。そうすると、必要なタイミングで必要な医療が受けられなくなって重症者が増えていく、こういうことになるんじゃないですか。
○田村国務大臣 まず、誤解があるので、私も誤解があるものは解いていかなきゃいけないと思っておりますけれども。中等症1ならばみんな在宅ということではございません。中等症1であっても、リスクの高い方々は、これは入院という形であります。今委員がおっしゃられたように、急激に悪くなる可能性のある方々、この方々は、中等症1であっても、これは入院をしていただくということであります。軽症者まで含めて、コロナという疾病の、まだよく様態が、ある程度分かってきましたけれども、歴史の浅い疾病でございますので、本当は余裕があれば軽症から皆さん入っていただければ、これはいいと思います。ただ、病床は無尽蔵に増えません。昨年の九月と比べて、東京だけで倍以上病床を増やしていただいております。大変な御努力をいただいております。しかしながら、世界各国を見ても、やはり無尽蔵じゃないんです、病床は。そうなったときに、それ以上の感染拡大の兆候が今まさに見えてきています。いや、もう兆候どころじゃないと思います、始まっていると思います。そんな中において、そうなった場合にどうするんだということを考えると、まずは、より悪くなられる方々がしっかりと治療をいただく、可能性の高い方々が治療をいただくということに我々としては力を注いでいかないと、これは、助けられる命が助からなくなってしまうという、以前から委員からおっしゃられておられることが対応できないということでございますので、そういうような今回お願いをさせていただいております。間違いのないように、悪化する可能性の高い方々は、この方々は中等症1であったとしてもそのまま入院をいただくということでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
○宮本委員 中等症1の方で、どの方が悪化するのか悪化しないのかなんというのは判別つかないですよ。中等症1の方で基礎疾患がない若い方だって、中等症2に進行していくという例は幾らでもあるじゃないですか。そういう話を医療現場から田村大臣も聞いていますよね。そんなの区別つかないんですよ。だから、ちゃんとそういう方は、自宅じゃなくて、二十四時間、看護と診療の体制の下に置かなきゃいけないということを私は申し上げているわけです。それで、私の質問に答えていないんですけれども、自宅療養が原則になったら、どうしても治療のスタートが遅れてしまうんじゃないかと。本当だったらステロイドをすぐに、入院していたらば投与できる方が、タイミングが遅れちゃうんじゃないか。こういう問題点、感じていないですか。
○田村国務大臣 まずは、そういうことで、今般、ロナプリーブを自宅で療養をいただく方にも医療機関で投与をいただきながらということも踏まえた上で、今、そのモデル事業を早急に立ち上げて、これはもう時間勝負でありますから、対応できるようにということで今やっておる最中であります。あわせて、先ほど来、健康観察のみならず、往診やオンライン診療、こういうものの対応をしっかりやっていただかないと、委員が言われるように、遅れて重症化するということを避けていかなきゃなりませんから、病態の変化に対応をなるべくしていただけるような体制、これを都といろいろと今までも話合いをしながら組んできていただいておりますが、その対応状況というものも確認しながら、この今般の考え方の変更というものを御理解を各自治体にいただこうということをしているわけであります。いずれにいたしましても、それにしたって、先ほど来申し上げておりますとおり、圧倒的に感染者が増えた場合には、どうしてもマンパワー、医療人だって無尽蔵じゃございませんから、そういう対応はできないので、何とかして国民の皆様方には、この夏は県境を越える移動を避けていただいて、そして感染の拡大をしない、また、都内においても、首都圏においてもリスクの高いような行動を控えていただきたい、何とかお願いをいたしたいという思いであります。
○宮本委員 私の質問にこれも全然お答えにならなかったわけですけれども、自宅療養を原則にしたら、これは気づくのに遅れて、必要なタイミングで必要な治療というのはできなくなるのは間違いないですよ。それで、今日、新聞各紙を見ても、北区の保健所長の前田さんも大変強調されておりますけれども、やはり大事なことは、二十四時間の見守り体制、二十四時間の健康観察の体制。そして、そのためには、一番いいのは臨時の医療機関をどんどんつくることですよ。あるいは、宿泊療養ホテルの医師、看護師のマンパワーを増強して、臨時の医療機関のようにしていく。そこでリスクのある方の健康観察も行うし、あるいは抗体カクテル療法やステロイドの投与も行えるようにしていく。そういう、できるだけ二十四時間ちゃんと必要な診療と看護ができる体制をつくるというのが基本じゃないですか。そこを考えてほしいということを私は言っているんですよ。自宅療養が基本だというのは私は撤回すべきだと思いますよ。一番初めに与党の高木さんもおっしゃっていたじゃないですか。与党も野党も同じことを言っていますよ。重症患者と重症化リスクがある方以外は自宅療養が基本だというのは撤回していただいて、基本は、宿泊療養ホテルの抜本的な強化も含めて、やはり、二十四時間、診療、看護の体制をつくっていく、これを目指すんだ、ここをはっきり示してください。
○田村国務大臣 今なお東京都を含め首都圏のそれぞれの自治体には、病床の確保、これはお願いをいたしておりますし、できる限りの対応をいただいていると思います。ただ、無尽蔵でないというのは御理解いただいているものだというふうに思います。その上で、今ある病床、この病床も、例えば、今度変わった基準ですよね、基準といいますか、今度変わった考え方、この患者の方々ですら、やがては埋まっていくような感染状況だというのは委員も御理解いただいているんだろうというふうに思います。我々は、やはり、よりリスクの高い、重い方々に治療をいただかないと、失われる命というもの、これを救えないということでございますので、そういう意味での、フェーズが変わった中での対応であると。委員がおっしゃっていることを私は間違えていると申し上げるつもりもありませんし、それが、平時といいますか、今までの考え方ならそれでよかったと思うんです。ただ、今はもうそういう状況ではない、世界中がそのような認識を持つ中での感染拡大であるということを御理解をいただければ、今般の対応というものを何とか御理解いただけるのではないのかなというふうに思っております。
○宮本委員 理解はされないわけですよ、国民的にされないですよ。尾身会長だって、さっき、入院でなければ在宅、こういう二項対立じゃないでしょうということをおっしゃっていたじゃないですか、入院を増やしていくのは当然だと。同時に、二十四時間、健康観察できる宿泊療養ホテルの体制を抜本的に強めなきゃいけないということもおっしゃっているじゃないですか。ところが、今の政府は、そういう二十四時間の体制をどう拡充するのか、ここに基本を置かずに、在宅が基本なんだと。これは違うでしょうということを私たちは申し上げているということでございます。ちょっと、ほかにもたくさん質問通告していたのに、方針を撤回していただけないので、資料も配っていたのに、ほかの問題、質問できませんでしたが。通告している問題については是非ペーパーで御回答いただきたい。いや、本当ですよ。ちょこっと資料だけ、解説を一言だけしておきますけれども。羽田からの出発便で、空港で、羽田、成田だとか、あるいは関空、伊丹からの出発便、北海道、沖縄は無料検査が始まりました。でも、受けている人は四%強だけですよ。その中でも、陽性疑い患者が十七人出ている。〇・一五%ぐらいの陽性率なんですよね。実は、これはほとんどは東京関係の出発ということになっていますから、それぐらい感染が東京は広がっているということなんですね。ですから、本当に今の感染状況は深刻だということをこれからもはっきりしていると思いますし、やらなきゃいけないことというのは非常に明確だと思いますので、その対策を強く求めて、質問を終わります。