2021年9月15日衆院厚生労働委員会閉中審査 抗体カクテル療法の早期治療体制。エアロゾル感染の明記と対策、診療報酬等の特例措置継続

提出資料 出典:2021年9月11日「緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の延長を受けた緊急提言」全国知事会から宮本徹事務所で抜粋
提出資料 出典:2021年8月18日「最新の知見に基づいた感染症対策を求める科学者の緊急声明」

日本共産党の宮本徹議員は15日、衆院厚生労働委員会で、今年9月末までとなっている新型コロナ対応の診療報酬、介護報酬、障害者福祉報酬の特例措置を10月以降も継続するよう求めました。宮本氏は、与党議員も含め特例措置の継続を衆院厚労委で求めていることを指摘。伊藤渉財務副大臣は「当委員会で各委員から指摘されていることを踏まえ、しっかり対応する」と答えました。
宮本氏はまた、感染者の口や鼻から出て空気中に浮遊するウイルスを含んだ微粒子「エアロゾル」を介した感染が主要な感染経路であることが世界の共通認識になっているにもかかわらず、厚労省Q&Aや加藤勝信官房長官の記者会見でいまだ飛沫(ひまつ)感染・接触感染が主な感染経路としているとして、「感染対策の誤解を与えるので直すべきだ」と強調。政府が科学的知見を広く集め、換気をはじめとしたエアロゾル感染対策の徹底を進めるよう迫りました。
田村憲久厚労相は「私も同じ問題意識で、換気は重要だと思っている。誤解を招かない表現の仕方を検討したい」と答弁。政府分科会の尾身茂会長も「新しい科学エビデンス(証拠)が出てくれば(古い認識を)直すのが当たり前だ」と答えました。

以上2021年9月16日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年9月15日 衆院厚生労働委員会閉中審査 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。今日は伊藤財務副大臣に来ていただきました。私からも、新型コロナ対応でこの間加算をしてきた診療報酬、それから介護の報酬、障害福祉サービスの報酬、これは、九月末までとなっているわけですけれども、十月以降も継続すべきであるということを強く求めたいというふうに思います。今日は朝から、自民党さんからも公明党さんからも立憲民主さんからも、同じ問いが出ています。この委員会の総意と言ってもいいんじゃないですか。(発言する者あり)そうだという声も上がっておりますけれども。それを、しっかりと財務省として受け止めていただきたいと思うんですよね。御党からも出たわけですよ。今ちょっと、伊佐さん、質問された方、席を外されていますけれども。もう第六波がある、見えているわけですよ。感染対策、これからもしっかりやっていかなきゃいけないと、尾身会長からも、田村大臣からも、この間、累次の答弁があるわけです。そういう中で、これだけが打ち切られていくというのはあり得ない。しっかり受け止めていただけますか。
○伊藤副大臣 御指摘の、新型コロナ患者に対応しない医療機関も含めた診療報酬等の特例措置につきましては、昨年末の財務、厚生労働間の大臣合意におきまして、一つは、九月末に、一般診療等について廃止、小児の外来診療について縮小することを基本の想定としつつ、感染状況や地域医療の実態等を踏まえ、必要に応じ柔軟に対応するとしております。財務省としましては、新型コロナウイルス患者の診療、治療に対する支援につきまして更に充実していくことは重要であると考えておりますが、いずれにせよ、大臣合意に沿って厚生労働省と対応を協議してまいりたいと思います。今先生おっしゃっていただいたとおり、本日も当委員会において各委員の皆様方から御指摘いただいておりますことはしっかり認識をした上で、対応してまいりたいと考えております。
○宮本委員 与党から野党まで、自民党から共産党まで出ているということをしっかり受け止めるという答弁があったので、しっかり麻生大臣には伝えていただきたいと思いますし、田村大臣も、自民党から共産党までこうやってやっているわけですから、一歩も引かずに頑張っていただきたい。一言決意をお願いします。
○田村国務大臣 自民党から共産党までって、ちょっとよく意味が分からないんですけれども。それぞれ、今日、そこの質問席に立たれた政党からそういうような要請といいますかお考えを示されたということは非常に重いというふうに思っております。いずれにいたしましても、しっかりと、それぞれの医療機関、介護施設、また福祉施設、障害福祉施設、こういうところが、感染の管理といいますか、要するに感染を広げないような対応ができるための対応という形でやってきておりますので、そのような対応が取れるように、しっかり財務省と検討してまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 よろしくお願いします。二点目ですけれども、抗体カクテル療法についてお伺いいたします。早い方が効果があるというのははっきりしているわけですけれども、医療現場のお話を聞いていますと、かなり早く症状が進行する方がいて間に合わないというケースが結構起きているということを伺います。そういう点でいえば、本当に早期検査、そして早期治療というのを徹底して更に前に進めていかなければならないと思います。その点で、一つは、早期の検査を受けようというのを国民の皆さんにしっかり呼びかける。そして、医療機関の側も、もう本当に、症状があった人にはどんどん検査をしていただく、こういう文化をしっかりつくっていく必要があるというふうに思います。それから二つ目ですけれども、感染拡大期は、検査結果が戻ってくるまでに一日半とか二日かかっているというような状況があるわけですね。ですから、検査能力を冬に向けてもっと向上していかなきゃいけないと思いますし、あとは、重症化リスクが高い人に早く検査結果が伝わるようなことも、民間の検査機関なんかとも相談して、つくっていく必要があるんじゃないか。それから三つ目に、検査、診断が出ればすぐに抗体カクテルの治療につないでいくという点でいえば、病診連携が自治体ごとの単位で見ればかなり進み始めてきておりますが、居住地以外の診療所で検査、診断、職場の近くのところで検査、診断してという場合は、その居住地の保健所にいろいろ報告が行くというので、抗体カクテルにつなぐまでに、保健所、保健所をまたいで時間がかかるという状況があるわけですよね。ですから、この抗体カクテル療法ができる病院の情報をやはり広域で共有していくということも非常に大事だというふうに思います。それから、先ほどあった往診ですね。これについても速やかに検討が、もう一か月以上、ある意味、現場から出続けている要望ですから、検討して結果を出していただきたいと思います。いかがですか。
○田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、重症化リスクの高い方で比較的症状の軽い方、酸素投与なんかをされておられないような方に対してこれを使っていこうということで、当初は入院患者でございましたが、今、外来、宿泊施設等々でもスタートしております。そういう意味では、おっしゃられているとおり、なるべく早くということでございます。診療・検査医療機関等々で抗原検査キットなんかも使っていただいて検査をやっていただきたい、こういうこともお願いをさせていただいております。ならば、かなり速いスピードで検査結果が出るということでございます。あわせて、今、九月の二日に事務連絡を出させていただいたんですが、診ていただいた医療機関で、その後の健康観察でありますとか、場合によっては往診等々も対応いただく、こういうようなお願いもさせていただく。もちろん、結果は、報告としてちゃんと保健所に報告はしていただかなきゃならないんですが、今委員がおっしゃられたように、いろいろな形で、医療機関と保健所の間でなかなか連絡が取れずに、結果的にその後の治療が遅れるというようなことも指摘をされておりますので、先ほど申し上げたようなことも九月の二日に事務連絡を出させていただいて、言われるとおり、なるべく早く必要な方にロナプリーブを使っていただける、そういう環境を整えてまいりたいというふうに考えております。
○宮本委員 ですから、自治体の中では、それぞれの医師会がちゃんと、この地域での抗体カクテルができる病院はここですよとつなぐのはもうかなり始まっているんですよ。問題は、またいでいる。東京なんかでいえば、多摩から都心に通って、都心のところで検査を受けたその結果は、当然、都心の保健所に伝えられて、それが多摩の保健所に来てということになるわけですよね。そうすると時間がかかるので、もっと広域にちゃんとつながる仕組みをしっかり指示を出してほしいということを申し上げているんです。
○田村国務大臣 様々な対応があるんだというふうに思います。今、ロナプリーブ等々を登録いただいている医療機関は三千八百ぐらいあると思うんですが、それぞれリスト化を今進めておりますので、医療機関等々で検査していただいて陽性と分かった場合に、そういう外来での投与をしていただいて、その後、もちろん、行き帰りに関しては感染拡大をしないように気をつけていただかなきゃならぬわけでありますが、そういうこともできるような体制を今整えつつございます。今委員がおっしゃられた点、非常に自治体を渡っていろいろな移動がある場合に重要になってこようと思いますので、しっかりと我々も、そういう問題点があるということを踏まえた上で検討を更に進めて、体制を整えてまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 よろしくお願いしたいと思います。あと、初めに申し上げた早期の検査の呼びかけというのは、今日、先ほど来、警察の数の発表もありますけれども、検査も受けられずに亡くなっている方もたくさんいるというのが今の現状ですので、そういう点では、本当に、症状があったらすぐ検査を受けようというのを本当に徹底して呼びかけていくというのが大事だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。それから、ちょっとこれは来週、閉会中審査があるかないか分からないから申し上げておきたいんですけれども、この新型コロナの感染経路について、エアロゾル感染が極めて重要だということを私は昨年から申し上げ続けてきました。尾身会長からも、マイクロ飛沫感染というのは非常に大事だということが申し上げられてきましたが、しかし、厚生労働省は、いまだに公的には、主に飛沫感染及び接触感染という新型コロナのQアンドAを書き改めようとしないわけですね。そして、先日、加藤官房長官の記者会見でも、問われて、主に飛沫感染及び接触感染だというふうになると。これは、感染対策の誤解を与えるので、直してほしいんですね。前、正林局長だったときに、いや、今直すために検討しているんだよという話を随分前に聞いたんですけれども、直らないままなんですね。これは、正しい感染対策を社会全体で共有する上で本当に不可欠だと思いますよ。やはり、接触よりもエアロゾル感染、マイクロ飛沫感染が下ということになっちゃうと、相変わらず、学校なんかでも、手洗いの回数を増やしましょうとか、こんな話が、もちろん換気もやっていますけれどもね。どこに本当に今中心を置かなきゃいけないのか。今日は、長妻さんからCO2モニターの提示もあって、私、本当に感銘を受けました。一年間いろいろ言ってきて、こうやっていろいろな方々からも取り上げていただけるというのは本当にうれしい思いですけれども、そこは是非直していただきたいんですけれども、いかがですかね、大臣。
○佐原政府参考人 お答えいたします。新型コロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染及び接触感染でありまして、政府としては、これまで得られた科学的知見に基づき、五マイクロ未満の水分を含んだ粒子であるマイクロ飛沫による感染、いわゆるエアロゾル感染についても必要な対策をお示ししているところでございます。例えば、アドバイザリーボードにおいても、室内の密集した……(宮本委員「そうじゃない。そこを言っているんじゃなくて、主にというところが間違っているんじゃないですかと言っているんです。主には何なんですか」と呼ぶ)はい。現在では、エアロゾル感染も明記しまして、これまでの知見を記載しているところでございます。
○宮本委員 いや、だから、主になんです。主には何なのかというところを、直っていないじゃないですかということを申し上げているわけですよ。
○田村国務大臣 飛沫感染の中にマイクロ飛沫、エアロゾルというものは基本的に入っているという認識ですが、委員おっしゃられるとおり、ちょっと国民の皆様方に誤解を招くおそれがあると思います。ちょっとこれは検討させてください。言われるとおり、私も同じ問題意識で、特にデルタ株になって、かなりそういうものに、以前よりもウイルス量が多く含まれるがために感染力が増しているのではないかとおっしゃられる、そういう研究もあるわけでございますので、非常に換気は重要だというふうに思っております。誤解を招かないような表現の仕方、ちょっと検討させていただきたいというふうに思います。
○宮本委員 いわゆる飛沫感染というのにはやはり入らないです、エアロゾル感染とかマイクロ飛沫は入らない。それは、尾身さんだって区別して今までずっとここでお話しされてきていますので。飛沫は落ちるんですよ。落ちるから距離が大事という。まあ、いいです、それは。その上で、最後、ちょっと時間がないからあれなんですが、尾身理事長にもお伺いしたいというふうに思います。行動制限の緩和、冬に向かうので慎重に進める必要があるというのは先ほど答弁がありました。また、ワクチン・検査パッケージの検査費用も支援が必要じゃないか、これも先ほど答弁がありましたので、もう一問、三問目のところだけお伺いしますけれども、年末年始、忘年会、新年会、感染リスクが高い行事が社会的に増えていくわけですよね。飲食の場での対策というのは一層必要になります。今、第三者の認証制度というのは各県でつくられているわけですけれども、全国知事会からは、国としての明確な認定基準を示してほしいと。科学的な根拠がある、自治体ばらばらじゃなくて、全国的な基準を設けてほしいという話があるんですね。そこで、改めて換気対策についての知見を広く集めてほしいと思うんです。換気の基準。先ほど長妻さんから、アメリカのCDCは八〇〇という話もありました。それから、換気の方法、CO2モニターの活用、あるいは煙などを使ってくまなく換気が行われているかのチェック、そして換気設備への支援、こうした科学的な裏づけを持った換気対策を是非分科会としても打ち出していっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○尾身参考人 マイクロ飛沫の感染がより重要になっていることは間違いないと思いますので、私のお願いは、厚生省の方も、そのことを、科学エビデンスが新しいのが出てくれば直すのは当たり前ですから、それはやっていただければと思います。それから、基準の方は、これは今一〇〇〇となっていますけれども、これは、先ほど長妻委員の方のCO2モニターなんかでいろいろやると、そこでだんだんと経験が蓄積できますから、それをもって、日本ではどうなのかというのをだんだんと検討して決めればいいと思います。そのためにはCO2モニターがいろいろなところに設置されないとなかなか難しいので、エビデンス、実証実験的なことをやって日本のレベルというものを決めていったらいいんじゃないかと思います。
○宮本委員 しっかり知見を重ねて、あと、モニターを設置すると同時に、モニターを設置しても、広いスペースだと、換気ができている場所、できていない場所って必ず起きちゃうんですね、飲食店の形にもよってですけれども。そういうのが、ちゃんと換気がどうやればできるのか、そういう細やかなところが、私は、これから二年、三年この戦いが続くというお話が尾身会長からもありましたけれども、非常に大事になってくるということを申し上げまして、厚生労働委員会、次がなければもう終わりですので……(発言する者あり)ありますか。あるということで、じゃ、引き続き質問していきたいと思いますけれども、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。