2022年2月21日衆院予算委員会集中審議・しめ 防衛相の「排除しない」発言 安倍答弁と矛盾 海外での空爆は憲法違反

 日本共産党の宮本徹議員は21日、衆院予算委員会で、岸信夫防衛相が16日の予算委員会で敵基地攻撃の具体化として、他国の領空で空爆することも自衛の範囲として「排除しない」と答弁したことについて、「外国に出かけていって空爆を行うことは(自衛のための)必要最小限度を超える」とする安倍晋三元首相の答弁とも食い違っていると述べ、「敵基地攻撃能力が憲法違反であることは明白であり、検討自体が許されない」と追及しました。
 宮本氏は、安保法制が議論されていた当時、安倍元首相が「外国に出かけて空爆を行う、あるいは地上軍を送りせん滅戦を行うということは必要最小限度を超えるのは明確で、一般に禁止される海外派兵にあたる」(2015年7月3日、衆院安保法制特)と答弁し、他国への空爆は明白な憲法違反だとの立場を示していたことを指摘。「この解釈を引き継ぐのか」と迫りました。岸田首相は「引き継ぐ」と答弁しました。
 宮本氏は、岸防衛相が16日の予算委員会で他国の領空に入って軍事拠点を爆撃することも自衛の範囲として「排除しない」と答弁したことは安倍氏の答弁と矛盾していると述べ、答弁の撤回を求めました。岸防衛相は、安倍氏が憲法違反の対象としたのは湾岸戦争のような「大規模な」空爆のことだと強弁。宮本氏は「空爆を行えば罪のない市民に犠牲が出る。大規模であろうが、小規模であろうが憲法の枠内で認められるはずがない」と追及しました。
 「憲法・国際法の範囲内の検討」を繰り返す岸田首相に対し、宮本氏は「あたかも憲法の範囲内で空爆が許されるような態度は許されない」と厳しく批判。憲法9条を生かした平和外交の必要を主張しました。

以上2022年2月22日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年2月21日 第208回衆院予算委員会第17号 議事録 集中審議抜粋≫

○宮本(徹)委員 ~前略~ その上で、次の質問に行きます。敵基地攻撃能力についてお伺いいたします。岸田総理は、泉健太代表への答弁で、集団的自衛権の行使としての敵基地攻撃能力の検討を否定されませんでした。その下で、先日、岸防衛大臣が長妻昭議員への答弁で、我が国の戦闘機が相手国の領空に入って爆弾を落とすことについて、検討の選択肢として排除しない、こう明言されました。極めて重大な答弁だと思います。パネルを見てほしいと思いますけれども、これは、集団的自衛権の是非が問題となった安保法制を審議した際の安倍首相の答弁でございます。「いわば外国に出かけていって空爆を行う、砲撃を加えたり空爆を加える、あるいは撃破するために地上軍を送ってせん滅戦を行うということは、これはまさに必要最小限度を超えるのは明確であり、一般に禁止されている海外派兵に当たる。」こういう答弁をされていたわけですね。岸田総理もこの場で、多分、安倍さんの隣でこの答弁を聞いていましたよね。私もその場で聞いておりました。これまでの政府の考え方からいったら、自衛隊による他国への空爆は、必要最小限度を超えており、明白な憲法違反ですよ。総理、集団的自衛権の行使として、自衛隊による他国への空爆を検討の対象にすること自体が許されないんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 急速なスピードで変化あるいは進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、これは、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。御指摘の防衛大臣の答弁については、今般の検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ行うとの前提の下、あらゆる選択肢を排除せずに行っていくとの趣旨を述べたものであると理解をしております。
○宮本(徹)委員 ですから、憲法の範囲内だったら、空爆などを行うということは検討の対象になりっこないじゃないかということを私は申し上げているわけですよ。これは憲法の範囲外だという、他国への空爆は憲法の範囲外だ、一般に禁止されている海外派兵に当たる、この答弁は当然引き継がれるわけですよね、岸田総理は。
○岸田内閣総理大臣 まず、我が国の武力の行使については、委員御指摘の平和安全法制の議論の中で新三要件に満たされたものしか許されない、これが基本であると認識をしております。その上で、なおかつ、憲法や国際法、そして日米の基本的な役割分担、こうしたものをしっかり守りながら、何ができるのか、国民の命や暮らしを守るためにどこまで対応ができるのか、これをしっかり議論していくことが基本であると認識をしております。
○宮本(徹)委員 ちょっとはっきりさせていただきたいんですよね。ここでさんざん安保法制の問題で議論したんですよ。他国に行くのはホルムズぐらいしか念頭にないんだ、それ以外はやらないんだということと併せて、外国に出かけて空爆を行う、こういうことは必要最小限度を超えるのは明確で、一般に禁止されている海外派兵に当たると。この答弁は引き継ぐのか、引き継がないのか。明言してくださいよ、はっきりと、引き継ぐと。
○岸田内閣総理大臣 政府としては引き継いでおります。そして、具体的な対応を考える上で、憲法、国際法、日米の基本的な役割、これをしっかり守ってまいります、その上で現実的な議論をしてまいります、こうしたことを申し上げております。
○宮本(徹)委員 これを引き継いだということになりますと、防衛大臣の、空爆も選択肢として検討する、検討の対象に入る、この答弁、撤回してくださいよ。
○岸国務大臣 私の答弁に関しましては、これまでも申し上げておりますとおり、今般の検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ行うという前提の下で、いわゆる選択肢を排除せず行っていくとの趣旨を述べたものでございます。ですから、これまでも申し上げているとおりだと思います。それから、御指摘の安倍元総理の答弁につきましては、自衛隊が武力の行使を目的として、かつての湾岸戦争での戦闘、すなわち大規模な空爆や砲撃を行ったり敵地に攻め入るような行為に参加することは必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるものであって憲法上認められるものではない、したがって、航空優勢や海上優勢を確保するために大規模な空爆などを行うことは新三要件を満たすものではないという考えを述べたものであります。この考えは現在も維持されておるところであります。
○宮本(徹)委員 時間になりましたから午後に続けさせていただきますけれども、今のもちょっとこの答弁と違いますよ。徹底的に議論させていただきます。終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

≪2022年2月21日 第208回衆院予算委員会第17号 議事録 〆総抜粋≫

○根本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。午前中の続きでございます。岸防衛大臣が、予算委員会の分科会で、敵基地攻撃能力の保有の検討の対象として、自衛隊が他国の領空に侵入しての空爆について排除しない、集団的自衛権についても、そのことについて検討の対象にすると答弁されました。それに対して、岸田総理は、安倍元首相の答弁である、いわば外国に出かけていって空爆を行うことは、これはまさに必要最小限度を超えるのは明確だ、この答弁を引き継ぐというふうにおっしゃいました。それに対して、岸防衛大臣は、かつての湾岸戦争での大規模な空爆のようなものは必要最小限度の自衛の措置を超えるということを言っていて、安倍元首相が言われた言葉と岸防衛大臣が言われた言葉は違うんじゃないですか。
○岸国務大臣 午前中に私から答弁をさせていただいたとおり、私の答弁は、これまで申し上げていますとおり、国家安保戦略を策定していく中で、憲法と国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持していくという前提の下で、あらゆる選択肢を排除せずに行っていくとの趣旨から述べたものであります。安倍元総理の答弁としては、自衛隊が武力の行使を目的として、かつての湾岸戦争での戦闘、すなわち大規模な空爆や砲撃を加えたり敵地に攻め入るような行為をすることは、に参加することは必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるものであって憲法上も認められるものではない、したがって、航空優勢や海上優勢を確保するために大規模な空爆などを行うことは新三要件を満たすものではないとの考えを述べたものであります。新三要件を満たすかどうかというのは必要だと思います。
○宮本(徹)委員 全く同じ答弁を繰り返されて、時間潰しみたいなことはやめていただきたいんですけれども、明確に、言っていることは、安倍元首相の答弁と先ほどの岸防衛大臣の答弁は違うじゃないですか。違うじゃないですか。安倍首相は、大規模ななんというものはつけていないですよ。それで、更に言えば、一般的に空爆というのは、当然、他国のレーダー網を無力化して行うわけですよ。そのことによって、罪のない市民が亡くなるわけですよ。こんなことが、憲法の範囲内で、大規模でなければいいというような言い方で認められるはずがないじゃないですか。他国の領域に侵入しての空爆、これは大規模であろうが小規模であろうが、憲法上認められないんじゃないですか、総理。違いますか。
○岸田内閣総理大臣 防衛大臣の発言は、国民の命や暮らしを守るためにあらゆる選択肢を排除せずに議論するべきであるという趣旨で発言されたものだと認識をしています。その際に、憲法、国際法、さらには日米の基本的な役割分担、これがしっかりと守られるということ、これは当然のことであります。それを前提として議論を行っていく、これが政府の基本的な方針であります。
○宮本(徹)委員 ですから、憲法の枠内ということを考えた場合に、他国の領空に自衛隊が侵入をして空爆を行う、無実の市民の方々もそのことによって犠牲になる、これはどう考えたって、憲法違反の武力行使そのものじゃないですか。憲法の枠内での検討というんだったら、こうした他国の領空に侵入しての空爆など、これは検討の対象になり得ないと明言していただければいいんですよ。なぜそのことを明言しないんですか。
○岸田内閣総理大臣 我が国の武力行使に当たっては、新三要件の下に行使されなければならない、これは当然のことであります。そして、それに合致するかどうか、具体的なケースについては、それぞれのケースを当てはめて判断しなければなりません。いずれにしても、憲法、国際法、日米の基本的な役割、これはしっかり守らなければならない。それを守りながら、政府として、国民の命や暮らしを守るために何をしなければいけないか、これを議論していくというのが政府の方針であります。
○宮本(徹)委員 ですから、憲法の枠内でいえば、自衛隊が他国の領空に侵入をして空爆を行う、こんなことは憲法違反でできないはずだと私は申し上げているわけです。そのことを防衛大臣は、でも検討すると言っているから、それは総理として、そういうのは検討の対象外だとなぜ明言できないんですか。
○岸田内閣総理大臣 武力の行使の三要件につきましては、それぞれのケース、具体的に当てはめて判断しなければならない課題だと思います。いずれにせよ、憲法、国際法、日米の基本的な役割、これはしっかり守られなければならないと認識をしています。
○宮本(徹)委員 この間、憲法上持てない兵器として、戦略爆撃機は持てない、攻撃型空母は持てない、こういう答弁を国会で重ねられてきました。その背景には、当然、他国に侵入して空爆を行うというのは憲法違反だ、この当たり前の常識があったからだと思うんですね。だったら、防衛大臣が言っているような、他国の領域に侵入しての空爆、敵基地攻撃能力の保有としてそういうことをやるというのは検討の対象外だ、憲法違反だからそれは検討しませんと明言してください。
○岸田内閣総理大臣 新三要件に該当するかは、具体的な事案をそのケース、ケースに応じてしっかりと当てはめた上で判断しなければなりません。その上で、憲法、国際法、そして日米の基本的な役割は守られなければならないと考えます。
○宮本(徹)委員 あたかも憲法の範囲内で空爆が許されるかのような態度は、許されないですよ。そのことを厳しく、強く指摘申し上げたいと思います。台湾有事は日本有事だとか、本当にとんでもないことがこの間議論されておりますけれども、憲法九条を生かした平和外交こそ必要だということを申し上げて、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。