2022年3月4日 衆院厚生労働委員会 高齢者施設の対策を.換気、N95検査は週2回以上について尾身会長「理想的」

配付資料1 出典:WHOホームページ
配付資料2 東北大学准教授本堂毅ら「新型コロナウイルス感染様式(感染経路)勉強会」配布資料
配付資料3 出典:2021年7月16日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部(地域支援班)・老健局・公益社団法人日本医師会主催 第3回ウエブセミナー「高齢者施設等における感染者発生時の対応~福祉と保健医療の関係者の相互理解と連携によって地域を強くする~」研修会資料1から抜粋
配付資料4 出典:東京新聞
配付資料5 出典:2022年2月17日第5回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会 資料1 改善基準告示の見直しの方向性について(バス)

 宮本徹議員は4日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染症の高止まり状況が続くもと、高齢者施設等での頻回検査数の引き上げやエアロゾル(空気中を漂う微粒子)感染対策を重視した対策をとるよう求めました。
 宮本氏は感染力が強いとされるオミクロン株の別系統BA.2への置きかわりが進むもと、高齢者施設等の対策がますます重要だと指摘。「職員の頻回検査を現在の『できるだけ週1回』から週2回に引き上げる必要がある」と求めました。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「現場に余裕があれば週2回やるのが理想的」と答弁しました。一方、後藤茂之厚労相は「週1回が現実的で合理的」の述べるだけ。宮本氏は「合理性はない。クラスターが起きれば命の問題だ」と重ねて検討を迫りました。
 宮本氏はエアロゾル感染対策を重視して関連施設での二次感染を防いできた宮城県の医師の声を紹介。換気対策の徹底や高性能なN95マスクの配布などを提起し、「高齢者施設での対策は命を守ることに直結する。エアロゾル感染対策を位置付けたガイドラインをつくり支援を。そのためにこの間の知見を集める必要がある」と求めました。
 尾身氏は換気などのエアロゾル感染対策の強化がこれまで以上に必要だと述べました。

以上2022年3月8日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年3月4日 第208回衆院厚生労働委員会第3号 議事録≫

○橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日も分科会の前に、お忙しいところ、尾身会長に来ていただきまして、ありがとうございます。尾身会長に、まず二点お伺いいたします。アドバイザリーボードで資料が出ておりました。東京でいえば、四月一日にはBA・2株に七四%が置き換わる、こういう予測が示されておりました。一方、東京でいえば、感染者数は高い人数で下げ止まり、リバウンドの懸念もある状況で、しかも、これから年度の替わり目で、歓送迎会の時期も迎えるわけです。こういう中でのBA・2への置き換わりというのはどのような影響が出るのか、この点、お伺いしたいと思います。もう一点は、アドバイザリーボードの西浦先生の資料では、週を追うごとに、第六波で亡くなる方の予測が増え続けております。この原因はどこにあるとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○尾身参考人 BA・2の置き換わりの意味ですけれども、これは既に、まだ割合は非常に少ないですけれども、少しずつBA・2の割合が増えているということもございます。それから、この前も申し上げたように、これから入学式や卒業式、いわゆる恒例行事等が始まりますので、私は、感染が、高止まりだけでなくて、少し上昇するということも十分考えておく必要があると思います。それから、委員の二つ目の御質問は西浦さんの。これは西浦さんに聞いていただければと思いますが、私の理解は二つの要素があって、一つは、そもそも今回の場合は、高齢者施設で特に持病のある方が感染を契機に状態が悪くなる、そういう方が多かったということと同時に、それは一回目の調査でも分かっていましたけれども、最近になって、西浦さんのは、それに加えて、感染が当然かなり高いことがあって、それが続いて、それから重症者等々が遅れて来る、その遅れて来たものが実は遷延しているということです。高くなって、すぐにまた波が来て、そのまま、下がるんじゃなくて高止まりしているところがあることが今回分かったので、その分が、前回のデータに比べて少し高くなっているというふうに私は理解しております。
○宮本(徹)委員 ということは、いよいよ高齢者施設での対策というのはますます大事になっているということだと思います。その上で、高齢者施設での対策ではワクチンの三回目の接種が当然重要なわけですけれども、あわせて、施設にウイルスを持ち込まないという点での職員の皆さんへの頻回検査、これもいよいよ大事になっていると思います。これは、もう一年以上前から、先生とは議論してきましたけれども。世代時間がオミクロン株は短くなっている。これを踏まえると、現状のできるだけ週一回という今の求めている頻度では不十分ではないかと私は思うんですね。週二回以上、まあ確かに、職員や施設の皆さんに御協力をお願いするのは負担も大きいとは思いますけれども、高齢者施設等でのクラスターを防ぐ上では、やはりもっと検査の頻度を引き上げる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○尾身参考人 これは、頻度については、委員おっしゃるように、現場がその余裕があればなるべく頻回に、週一回より週二回ということをやることが理想的で、求められると思います。その上で申し上げるのは、高齢者施設は、検査で従業員の人を頻回に検査するということも重要ですけれども、実は、それ以外に三つ、私は必要だと思っています。一つは、早期の介入。何か感染者が疑われたら二十四時間以内に介入した地域はかなりよく収まっているということ。それから、クラスターの予防という意味で、今度は予防の方ですけれども、発熱なんかした職員がいたら必ず休んでもらう。ただし、休むことを可能にする事業者あるいは自治体の支援というようなことが重要だと思います。それから、もう当然のことながら、ワクチン接種の促進。この三つも、検査と同時に一緒にやる必要があると思っております。
○宮本(徹)委員 尾身会長から、現場の余裕があればという話がありましたけれども、週二回できれば理想だというお話でありました。大臣、今、尾身会長からも、やはり週二回できれば理想だというお話がありました。ニューヨーク州なんかは、それこそ一番初めの、日本でいえば第一波の段階から、介護施設、高齢者施設は週二回検査をやっていたんですよね。やはり、ここは本当に重症化リスクが高いところですから、本当に検査能力を投入してしっかりやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 PCR検査を行う場合には、検査分析機関からの容器の受取や検体の回収、検査分析機関での分析等を毎週行うことについて、それぞれの施設が検査分析機関等と調整することなどを考えますと、週一回程度の実施が、現状の体制や状況から考えると現実的かつ合理的なのではないかというふうに、現状については認識をいたしております。
○宮本(徹)委員 尾身会長は、週二回が理想だというふうにおっしゃいました。私は、本当にこれだけの事態が起きているにもかかわらず、なぜそういうところに踏み込まないのかなと。是非相談していただきたいと思うんですよ、事業者の団体の皆さんとも。クラスターが起きた、その対策の方が、本当に大変な事態になるわけですから、命の問題になっているわけですから、そこは是非相談していただきたいと思いますが、いかがですか。
○後藤国務大臣 高齢者施設等でしっかりと感染防止をしていく必要があることについては、これはもう委員の御指摘と全く同感であります。そういう意味では、今、全体像のいろいろな、全体、パッケージの中でも、高齢者施設に対する療養、医療の提供体制を集中させるとか、人的に人を集めるだとか、また、ワクチンも、これもしゃにむに一件一件当たりながら早くに三回目の接種をするということもやっておりまして、いろいろなこと、やれるだけのことをやらなければならない、そういう認識を共感しつつ、今お尋ねの、具体的なお尋ねでありますので、検査等については週一回程度の実施が、今は、高齢者施設等の現実等も考えながら、現実的かつ合理的なことなのではないかというふうに申し上げさせていただいております。
○宮本(徹)委員 合理的ではないですよ。オミクロン株は世代時間が短いわけですから、そういう点での合理性はないということははっきり申し上げておきたいと思います。今はということをおっしゃいましたけれども、是非更に検討していただきたいと思います。その上で、尾身会長からは早期の介入が大事だというお話がありましたけれども、どういう観点の感染対策で介入するのかということがもう一つあります。資料をお配りしております。三ページ目に、これは、宮城県の清山会のいずみの杜診療所の山崎先生の、厚労省のウェブセミナーでやったときに使った資料なんですけれども、応援派遣に際しては、介護施設がエアロゾル感染のリスクが高いことへの十分な配慮が求められるということで、口腔ケア、むせ込みなどエアロゾル発生の場面が多い、マスクができないなどなど書いてあります。山崎先生の法人では、当初からエアロゾル感染対策を重視していて、先生の関わっている法人というのは五十、施設があるそうですけれども、この間、職員などの感染は十二回確認されておりますが、多くは一次感染で済んでいるわけです。他施設に応援を出すという際も、N95を着けてレッドゾーンに入っていくので、レッドゾーンに入った職員百九十人、一人も感染していないということです。一方で、他の法人の施設にクラスターで応援に行くと、そこで飛沫、接触感染対策が重視で指導されるということなんですね。資料の一番下にぺら一枚でつけたやつ、これも同じ厚労省の学習会で配られた資料ですけれども、十四施設で、ゾーニング前の陽性が七十人、ゾーニング後も感染拡大が続いて、八日目以降でも二十六人の感染者が、職員、利用者で出ていると。ゾーニング、分けても出続ける、これは飛沫、接触感染対策重視だからじゃないかというのが山崎先生の問題提起だったわけです。エアロゾル感染対策を本当に重視するか、接触、飛沫重視かは、高齢者施設にとっては死活問題だ、命と人権の問題だと先生はおっしゃっておられます。私の知り合いの方の施設でも、やはり、レッドゾーンに普通のサージカルマスクで入って職員や看護師さんが感染する例というのは起きているわけです。皆さんの周りでも起きていると思います。やはり、エアロゾル感染重視か、飛沫、接触感染重視かというのは、一つはマスクの質と、あともう一つは換気の対策と、ここに大きく影響するわけです。聞きましたら、今、宮城県の新型コロナウイルス感染症対策介護ワーキンググループで、高齢者施設の現場から関係機関へのメッセージというのを出そうという議論がされているそうです。その中身は、施設クラスターの発生を防ぐために有効な感染対策について、最新の知見に基づいた指針の策定や現場への支援を強く求めますというものでございます。資料の冒頭に、WHOの示している感染経路も、改めて、訳もつけて載せておきました。しっかりとエアロゾル感染対策を位置づけた有効な感染対策のガイドラインを作って支援をする、そのために、換気については、この間、様々実践されている研究者の皆さんもいますので、そういう知見もしっかり集める、こういう対策が必要じゃないかと思いますが、尾身会長の御見解をお伺いしたいと思います。
○尾身参考人 もうこれは、我々専門家の方は、二〇二〇年のたしか七月三十日のADBの頃から、このマイクロ飛沫ということが重要で、これからは、いわゆる接触感染というようなものよりも、マイクロ飛沫、今で言えばエアゾールと近いと思いますけれども、そういうことが重要性があるので、手指消毒ということはもちろん大事ですけれども、換気ということに随分注意を我々は促してきたと思います。それで、オミクロン株等々になって、換気の大事さ、単に手を洗うというようなことだけじゃなくて、この部分がますます重要だということは何度も申し上げたとおりで、そういう意味では、高齢者施設でもそうですし、あるいは飲食店、そういう場所で換気の対策を今まで以上に私はしっかりとやる必要があって、自治体等々にはそういう支援というものも、既にやっていると思いますけれども、そういうことの強化が必要だと思います。
○宮本(徹)委員 それで、大臣に提案なんですけれども、現場ではかなり、しかし、まだエアロゾル感染対策でも飛沫、接触重視のそういうこともやられている面があるわけです。それで本当に現場は困っているという話を私、先月聞いて、こういう質問をさせていただいているんですね。改めて、やはり、エアロゾル感染対策を重視する。そして、介護の現場も、レッドゾーンに入るときはやはりN95。マスクの質ですよ、職員を守る上でも、感染を広げない上でも。やはり、こういうものを配付する、こうしたことも含めてしっかり対策を取っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○後藤国務大臣 新型コロナウイルスの対策、感染経路に対する対策として、飛沫、エアロゾルの吸入、接触感染等を防いでいくということで、マスクの着用、手洗い、三密の回避や換気など、基本的な感染防止策の徹底が重要であるというふうに、エアロゾルや換気も含めて、基本的な感染防止対策として非常に重要だというふうに申し上げてきていると思います。また、医療機関における感染拡大防止策としてのフィルターつき空気清浄機や入院医療機関の簡易陰圧装置に加えて、高齢者施設においても、立地により窓があっても十分な換気が行えない場合等に換気設備の設置の支援なども行ってきているところであります。それから、今、介護施設、障害者福祉施設にもN95マスクの配付が必要ではないかというお尋ねもあったと思いますけれども、サージカルマスクなどの衛生、防護用品については、新型コロナウイルス感染症の発生当初、需要が逼迫していたことを踏まえまして、高齢者施設で感染者が発生した場合に速やかに供給されるように、厚生労働省において、令和二年度の第一次補正予算を活用して、必要な量を購入し、各都道府県に配付を行ってきております。これは、新型コロナウイルス感染症対応に当たっての標準予防策としてサージカルマスクを着用することとしていること等を踏まえたものでございまして、そういう意味で、マスク等についても十分に目配りをしていきたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 ですから、普通のサージカルで入ると感染が起きているという話を私は申し上げているわけですよ。N95じゃないと駄目ではないかと。ここをちゃんと考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。尾身会長、次の質問に移りますので、ありがとうございました。
○橋本委員長 では、尾身会長、ここで御退席いただいて。
○宮本(徹)委員 続きまして、ケア労働者の処遇改善についてお伺いいたします。桁が一つ足りないという批判が出ております。さらに、チームで仕事をしているのに対象者が限定されていて職場の分断が生まれる、こういう批判の声も出ております。しっかり受け止めていただきたいと思います。その上で、院内保育所の保育士が、保育士であるにもかかわらず九千円の処遇改善の対象になっておりません。院内保育所は三千数百あります。これは大臣の責任で九千円の処遇改善の対象にすべきじゃありませんか。
○後藤国務大臣 今般の保育士等の処遇改善は、公的価格の在り方を見直すとの閣議決定に基づき実施しているわけでございます。御指摘の院内保育所については、認可を受けた保育所として運営されていることもあると承知しておりまして、その場合には今般の処遇改善の対象となります。しかし、一方で、多くの院内保育所が認可外保育施設として運営されている場合が多いと認識しております。認可外保育施設については、原則、各施設の判断で利用料を設定する、公的価格の仕組みが適用されていないということから、今般の処遇改善の対象とはしていないところであります。認可外保育施設に対しては、認可施設への移行に対する支援のほか、地方公共団体の判断によりまして、新型コロナ対応の一環として、認可外保育施設職員に対して一時的な金銭給付を行った場合には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充てて対応することが可能でありまして、こうした支援も御活用をいただきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 九千円の処遇改善を保育士に行いますと。医労連の皆さんが院内保育所の賃金を調べたら、普通の認可保育園の賃金よりも低いわけですよね。そういう皆さんをなぜ外すのか。今回だって、地域の保育園に預けている方が、保育園は閉まった、医療従事者は院内保育園で預かってくださいという通知まで出しているわけじゃないですか、厚労省は。それだけ院内保育所にお世話になっておきながら、なぜそこは九千円の対象にしないのか。これは、本当、私、はっきり言って、縦割りの問題点だと思っていますよ。何か委員長もこうやっていますけれどもね。委員長も一言言ってくださいよ。やはり院内保育所は、ほかの認可外保育施設と違って、厚労省のそれこそ医政局がちゃんと措置を取ってやろうと判断したらできるはずなわけですよね。大臣の判断で、私は、これは特別な仕組みはできると思いますよ。そういう検討を是非していただけませんか。
○後藤国務大臣 委員長のアクションがどういう意味かよく分かりませんが、少なくとも私、制度的なたてつけのことについて申し上げさせていただきました。認可外保育所にしてあるということは、要件等についても、また地域枠を持たなくてもいいとか、いろいろな事情で院内の保育所が事業所内保育所になっているんだろうと思います。そういうことも含めて、今回が、どういう枠組みの中で、公定価格、公的な価格の仕組みの中で処遇改善をしていくという枠組みでやらせていただいたことだということで、先生のおっしゃっているお気持ちは理解するところでありますけれども、制度的な運用として御理解をいただきたいというふうに思っておりますし、少しでも、先ほど申し上げたように、御存じない方もいると思うので、支援を御活用いただくような、そういうことについては我々も努力して取り組んでいきたいというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 委員長も私の考えに共感しているみたいですから、是非与党の皆さんからも、三千数百ある院内保育所が、同じ保育士であるにもかかわらず九千円の処遇改善の対象じゃないというのは余りにも理不尽だと思いますので、与党からも声を上げていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。もう一点、月四千円の看護師らの処遇改善についてお伺いしますが、民間病院、公的病院、公立病院それぞれ、申請をしない予定、あるいはちゅうちょしている病院があります。その理由について把握しているか、どう対応されるのか、お伺いしたいと思います。
○後藤国務大臣 看護職員等の処遇改善の補助金、二月から九月に関しましては四月から申請受付が始まることから、現時点で申請に関する状況を把握はしておりませんけれども、医療機関等からの問合せに対応するため設置したコールセンターでは、申請に当たって課題となる事項に関する御相談もいただいているということは情報としてしっかり捕捉しております。具体的には、民間、公的、公立いずれの医療機関からも、補助金終了後の十月以降における処遇改善の財源が課題との御相談をいただいておりまして、厚生労働省からは、十月以降、診療報酬において収入を三%、月額平均一万二千円相当引き上げるための仕組みを創設するということについて御説明をいたしております。また、今般の補助金が今年度中に賃上げを開始することを要件としている中で、公立病院からは、条例改正など議会での議決を要するため間に合わない可能性がある旨の御相談も多数いただいております。厚生労働省からは、年度内に条例改正案等を議会に提出した場合には要件を満たしたものと扱うということで、柔軟な運用を行っている旨も説明しているところでございます。そして、こうした現場から寄せられている御質問、問題点等につきましては、ホームページを通じて、QアンドAの形で周知を図っていくということで取組をさせております。また、今般の補助金については、二月、三月分については、支給が間に合わない可能性も考慮しまして、これは一時金等による支給も可能であるということも御通知させていただいております。四月以降については、賃上げ効果の継続に資するように補助額の三分の二以上をベースアップに充てることを支給要件とすることは、これは是非御協力をいただきたいというふうに思っております。いずれにしても、ちょっとでも、収入の引上げに向けてちゅうちょや、理解が進まないことで早期の引上げ等ができないということにならないように、今般の補助金の円滑な執行に努めてまいりたいと思っております。
○宮本(徹)委員 理由はちゃんと把握されているとは思うんですけれども、十月以降が分からないという問題もあって、やらないというふうに言っているような公的病院も既に出ているんですよね。間に合わないという問題もあります。だから、一つは、申請期限、私は是非延ばしていただきたいと思います。三月末までとなっていますけれども、これは要望ですから、是非延ばしていただきたい。それからもう一つ、労働者の皆さんが使ってくれと言っても使ってくれない病院があるというのは本当に困っていますので、こういうのは是非厚労省から個別に、相談があったら働きかけてほしい、使ってくれと。そのことも求めておきたいと思います。その上で、最後の項目に行きますが、資料も配付しておりますが、今、労政審で議論がされております自動車運転者の改善基準告示の見直しについて伺います。昨年十月八日、厚労省が事務局として、一日の休息時間について、原則十一時間、こういう当初案を出しましたが、その後、使用者側の反発を受けて、これを緩めるものを追加案、修正案として出しているわけでございます。原則十一時間とした当初の根拠は何なのか。そして、追加案、修正案には当初の案を上回る根拠があるのか。この点をお伺いしたいと思います。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。自動車運転者につきましては、令和六年四月から時間外労働の上限規制が適用になります。その意味で、現在、労働政策審議会におきまして、具体的には三つの作業部会を設けまして、御指摘の改善基準告示の見直しの議論を行っていただいているところでございます。このうち、一日の休息時間につきましては、私どもといたしましても、昨年九月に脳・心臓疾患の労災認定基準を改定してございますけれども、長時間の過重業務の判断に当たって、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね十一時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討して、評価することとされたことも念頭に置いて議論をしているところでございます。また、諸外国の動向、EUの状況なども見ながらやってございます。そういう中で、御指摘のように、昨年十月に開催されました労働政策審議会のタクシーとバスの作業部会におきましては、現行では八時間以上とされてございます一日の休息時間につきまして、一定の例外を設けた上で、原則十一時間以上とする案を議論のたたき台としてお示しさせていただいてございます。先生から私どもの資料を配付資料としてお配りいただいてございますが、この中におきましても、五ページになりますけれども、勤務終了後、原則十一時間としつつ、これによらない場合の下限時間、回数等について別途設けるというふうに定められているところでございます。お配りいただいた資料、バスのものをお配りいただいてございますけれども、タクシーのものにつきましてはもう少し具体的に書いてございまして、EU指令と並ぶものではございますけれども、週三日は九時間以上ということ、原則十一時間という形のものをお示ししているという状況でございます。こうした案をお示ししたところでございますけれども、作業部会におきまして様々な意見を委員からもいただいたという状況でございます。そうした中で、私どもとして、二月の作業部会におきましては、休息時間を十一時間以上与えるように努め、九時間を下回らないということとしているものでございまして、これによりまして、十一時間以上の休息時間の確保を目指すことが期待される内容になっているというふうに理解しているものでございます。
○宮本(徹)委員 当初の十一時間というのには医学上の根拠があったわけですね。命を守り、安全を守る根拠があったわけですが、その後、九時間に後退したものについては、言われたからそうなったんだという以上のものがないわけでございます。本当に、これでは命を守れないですよ。公益委員の方からは、運転手を守るのは国民の安全を守るということ、こういう指摘もありました。大臣、この改善基準告示の見直しでやはり一番大事なのは、命を守ること、運転手の命を守ることが国民の安全を守ることなんだ、こういう認識を持って臨まなきゃいけないんじゃないですか。
○橋本委員長 後藤厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○後藤国務大臣 御指摘のように、自動車運転手の過重労働を未然に防ぐことは、労働者自身の健康の確保のみならず、国民の安全確保の観点からも非常に重要であるというように私も認識しております。
○宮本(徹)委員 そういう認識があるのでしたら、使用者側に言われて後退したような方向で決めるのではなくて、ここで大臣も含めて、衆議院の附帯決議にあるように、過労死は許さないんだという方向でしっかりと改善基準告示の見直しを行うことを求めて、質問を終わります。