精神医療の危機で集会 コロナ禍背景に市民団体が共催

 精神科病院で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、陽性になった入院患者が適切な医療を受けられないなどの問題が起きています。そうした問題の背景にある精神医療を問い直す院内集会が20日、参院議員会館で行われました。
 看護師でNPO法人大阪精神医療人権センター理事の有我譲慶(ありが・じょうけい)さんが、コロナ禍のなかで浮かび上がる精神医療の問題について報告。有我さんの調査によると、精神科病院のコロナ感染率は、第4波までで、国内感染率の3・6倍で死亡率は6・9倍でした。
 感染が広がりやすい理由として、精神科病院の7割以上が閉鎖病棟で、個室が少なく密集・密接・密閉を回避しづらいと述べ「職員を通じて感染が持ち込まれ、いっきに広がる」と指摘しました。また、「精神科特例」で医師・看護師の配置が一般科より少なく、防護服や感染症対策の訓練も不十分だと強調しました。
 東京都内の精神科病院に入院し、クラスターに巻き込まれた50代男性の体験が読み上げられました。そのなかで、4人部屋にいた全員が感染し、男性は肺炎になり酸素吸入されるなか、「死ぬかもしれない。死にたくないと思った」との心境が紹介されました。
 集会は、「地域でくらすための東京ネットワーク」と「病棟移換型居住系施設について考える会」が共催。日本共産党の倉林明子参院議員、宮本徹衆院議員など、野党国会議員が参加しました。

以上2022年4月21日付赤旗日刊紙より抜粋