2022年5月18日衆院厚生労働委員会 障害者に十分な情報を 

配付資料 出典:厚生労働省提出資料 
配付資料 出典:衆議院インターネット審議中継、2022年5月17日財務金融委員会田村貴昭質疑
配付資料 出典:厚生労働省提出資料 
配付資料 出典:厚生労働省提出資料
配付資料 出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「日常生活用具給付等事業の実態把握 報告書」 『厚生労働省 令和2年度障害者総合福祉推進事業』(2021年3月)より宮本徹事務所で抜粋
配付資料 出典:特別区議会議長会「令和4年度国の施策及び予算に関する要望」(令和3年8月2日)から抜粋 
配付資料 出典:ワイデックスがお届けする難聴と補聴器の総合サイト「みみから。」ホームページより抜粋

 日常生活や災害時に障害者が十分な情報を得られるよう支援する「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション法」が19日の衆院本会議で全会一致で可決・成立しました。日本共産党など超党派の議員が法案をまとめたもので、先に参院を通過しています。
 日本共産党の宮本徹議員は18日の衆院厚生労働委員会で、日常生活用具給付等事業について、視覚障害者のデジタル図書再生機の修理に2万円かかったが、修理費は対象外といわれた例を紹介。修理費も支援対象にすべきだと求めました。
 厚労省の田原克志障害保健福祉部長は修理費は対象外だとして、「壊れないよう使ってほしい」などと答弁。宮本氏は「壊れたら自分でやってくれでは法律に魂が入らない」と批判し、重ねて修理費用への支援を求めました。
 宮本氏は同事業の対象品目の自治体格差が大きいと指摘し、積極的に取り組む自治体の例を広めるよう提案。後藤茂之厚労相は「ニーズに応じた適切な給付が行われるよう周知することなど検討したい」と述べました。
 また宮本氏は、法案の策定過程で全日本難聴者・中途失聴者団体連合会から障害者に限らず高齢難聴なども含めるよう要望が出たと紹介。「法成立を機に加齢性難聴の対策も進めるのが重要だ」と指摘し、補聴器への国の支援を求めました。

以上2022年5月19日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年5月18日 第208回衆院厚生労働委員会第20号 議事録≫

○橋本委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。大臣、先日、地元のシルバー人材センターから、インボイスのことで相談がございました。三千万円ぐらい新たな負担が増える、もうとてもじゃないけれども運営ができない、特例をつくってほしいという話だったんですね。このインボイス制度がスタートすれば、消費税の仕入れ税額控除にインボイスが必要になります。しかし、センターの会員は、平均年四十万円程度の収入で、消費税の免税事業者であり、インボイスは発行できない。そうすると、センターは、消費税の仕入れ税額控除ができなくなり、納税すべき消費税が大きく増えるということになります。厚労省は、対策として、自治体に対しては発注価格を引き上げるように通知を出しておりますが、七割は民間からの仕事なんですね。民間の発注者が発注額を引き上げてくれる保証というのは全くないわけでございます。なおかつ、シルバー人材センターは収支相償が原則ですから、消費税を支払う財源というのは、どこかにたまっているわけでもないという状況でございます。昨日も財金でうちの同僚議員がやった議事録を資料二枚目からつけておりますけれども、全国のシルバー人材センターに新たに発生する消費税の額は、昨日の厚労省の答弁では二百億円、物すごい額です。二百億円といったら、一センター当たりの消費税の新たな負担というのは幾らになりますか。
○後藤国務大臣 令和二年度のシルバー人材センター事業の統計年報によれば、請負、委託の契約金額のうち配分金の額が二千二百十億円となっております。したがって、当該配分金について一定の仮定であらあらの計算をした場合は、今先生からも指摘があったように、消費税相当額はシルバー人材センター全体で二百億円前後、これは、千三百センターありますけれども、一センター当たり千五百万円前後の数字となるということでございます。ただし、これは、インボイス制度の導入に伴いまして、各センターがどのような価格設定をするかなどの影響を受けることや、また、経過措置の六年間において、各センターがどのような対応や対策を行っていくかによりまして消費税額は左右されることになりますから、具体的な数字をお示しすることは困難であるという前提のものでございます。
○宮本(徹)委員 一千五百万円なんですね、一センター、大きいところも小さいところも。大きなところはかなりの額になるんじゃないかと思います。そこで、全国シルバー人材センター事業協会が政府への要望書を準備していると聞いております。聞きましたら、要望書の案は自民党の議連で既に配られております。拝見させていただきましたが、シルバー人材センターに対するインボイス制度の適用を除外すること、所得税非課税範囲程度の少額所得事業者については、インボイスの発行を免除し、仕入れ税額控除についても帳簿等で行うことができるようにすること、こうした特例がなければ、シルバーは追加的な財政支援を継続的に受けなければ、事業運営は困難になる、こう書いてあるわけでございます。大臣、大臣は、シルバーについてはインボイスの特例をお求めになるということなんでしょうか。あるいは、毎年シルバー人材センターに新たに発生する消費税を肩代わりするだけの財政的な支援を、シルバー人材センターに行うということでしょうか。どちらでしょう。
○後藤国務大臣 インボイス制度の導入目的は、複数税率制度の下で適正な課税を確保するためと承知をしています。シルバー人材センター事業における取引は、ほとんどが消費税の課税対象である、課税取引であると想定されまして、発注者及び受注者が明確であるという点も含めて、他の取引と比べて特に特別な措置を講ずるような特殊性があるともなかなか言い難いというふうに考えます。シルバー人材センターから、インボイス制度の導入に当たり、安定的な事業運営が可能となる措置について要望があるということは私も承知しております。一方で、シルバー人材センターにおける取引の態様が特殊とは言えない中でシルバー人材センターに限って税制上の特例を設けることは、消費税制度やインボイス制度における公平性の観点から多くの課題があると認識をしています。厚生労働省としては、シルバー人材センターがインボイス制度の段階的施行を含む様々な環境変化に柔軟に対応しながら、受注量の増加や運営の効率化などを通じて、安定的な事業経営を継続し、地域における役割を一層発揮していただけるように、経営基盤の強化を図るための必要な支援を引き続き講じていきたいと考えています。インボイス制度の円滑な移行を図る観点から、合計で十年の経過措置が設けられていることを踏まえまして、今後も、シルバー人材センター事業への影響や実務的な対応等の実情を把握しまして、どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 今の大臣の答弁は、特例は難しいと。何か所管大臣としては大変冷たい答弁だなというふうに感じますけれども。特例を設けないとなると、先ほどのシルバー人材センターの要望書からいえば、毎年シルバーに発生する消費税を肩代わりするだけの継続的な財政支援がないと運営は困難になると言っているんですよね。なぜなら、先ほど大臣は仕事の受注量を増やすということをおっしゃいましたけれども、仕事の受注量を増やしても増やしても、全部消費税がかかるんですよ。仕事を幾ら増やしたって、これは解決策には余りならないと思いますよ、はっきり言って。委員長は何かくすくす笑っていらっしゃいますけれども。これは本当にインボイス制度の根本的な矛盾なんですよね。今まで免税事業者だった皆さんがインボイスを発行できなければ取引には参加できなくなるということですから。じゃ、課税事業者に、シルバーの会員の皆さんになってもらうわけにも、一人一人に対してはいかない。これは大変なことだと思うんですよね。ですから、本当にこのままだと、今の大臣が考えていることでは、はっきり言ってシルバーの事業運営は困難になってしまう、こういう認識はお持ちですか、大臣。
○後藤国務大臣 私は、税制の制度がなかなか難しいだろうというふうに申し上げましたけれども、だから何もしなくていいと言ったわけでは決してないので。インボイス制度の段階的施行を含む様々な環境変化に柔軟に対応しながら、これは受注量の増加自身が経営の構造の変化につながりますし、運営の効率化を図る、あるいは、委託の費用の問題とかもありますし、安定的な事業運営を継続しまして、地域における役割を一層発揮していただけるように、経営基盤の強化を図るための必要な支援をしっかりしていきたいと申し上げているわけでありまして、シルバーセンターの地域における活動、非常に意味のある活動をしていただいていると思いますので、そうした活動が滞ることは、当然、選択肢の外であるというふうに考えております。どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 シルバーの活動が滞るようなことはあってはならないというのは、そのとおりだと思うんですけれども、それをインボイス制度の下でやろうと思ったら、事実上、厚労省が消費税分を肩代わりするぐらいの財政支援をしない限りはなかなか厳しい。これは仕組み上そうなってしまうわけですよね。だけれども、そこまでの財政的な支援をやるという話がなかなか聞こえてこないわけですよ、大臣からは。財務省、今日、岡本さんにも来ていただきましたけれども、シルバー人材センターについて、ちょっとこの間どういう調査をしたのかとお伺いしたいんですよね。というのは、所得税法改正の際に、百七十一条の二という附則がございます。ここでは、消費税の軽減税率制度導入三年以内をめどに、適格請求書等保存方式の導入に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとするとあるわけですよね。ですから、シルバー人材センターについて、事業者取引にインボイスがどう影響するのか、これをどう検証されたんですか。
○岡本副大臣 お答えいたします。現在、宮本委員御指摘をいただきました平成二十八年の法改正の附則に従いまして、御指摘の検証の過程におきまして、厚労省を通じて、シルバー人材センターがインボイス制度への移行に当たって、センターの皆様が安定的な事業運営について懸念をされている旨を把握をいたしました。こうしたことも踏まえまして、インボイス制度への移行に当たっては、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備を図ることとしておりまして、こうした取組の中で、厚労省から、シルバー人材センターの受注額の約三割を占める地方自治体の皆様に対して、適正な価格設定の要請が行われたところであります。先ほど委員御指摘をいただきましたように、七割弱は民間が発注元となっておりますので、この民間の皆様に対しましても適正な価格設定をしていただけることを期待をしております。こうしたことに加えまして、インボイス制度への移行後も、厚労省において、シルバー人材センターが安定的な事業運営が継続できるよう、令和四年度予算における補助金等の増額など必要な支援も行っております。今後に関しましても、厚労省において、シルバー人材センターの全国団体とも協議を行いながら、対応を検討していくというふうに承知をしておりまして、シルバー人材センターが安定的な事業運営を継続できるように、引き続き厚労省と連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 民間の発注も引き上げてもらうことを期待しているという答弁ですけれども、願望じゃないですか、それは。残念ながら、なかなかこれは説明がつかないんですよね。今まで消費税分ももらっているというたてつけになっているわけですね、発注のときに、シルバー人材センターが仕事を請け負うときに。ですから、インボイス制度が導入されるので、消費税を納入するために消費税分を乗せてくださいという説明ができないんですよ。だから困っているんですよ。なのに、何か民間に発注額を引き上げてもらえることを期待しますと。これじゃ本当に私は無責任だと思いますよ、正直。このままだと本当に運営が困難になる、はっきりしていると思いますよ、私は。私は本当に、厚労大臣が、シルバー人材センターに発生する消費税額は肩代わりするだけの財政支援をやりますと言うんだったら別ですけれども、そうじゃないんだったら、インボイス制度は中止するしかないんじゃないですか。そういう立場に立って大臣は、私は財務省に働きかけるべきだと思いますよ。いかがですか、大臣。
○後藤国務大臣 国民や法人、国内における法人、やはり国の税制を守る中で活動をするということも、それも重要なことであります。インボイス制度の導入自身は、税の公平性確保のために、賛成でない方もおられるかもしれませんが、税制の執行の公平を図るために、国全体として必要である、それを導入するのに準備が必要だということで、経過期間を取っているわけであります。ですから、そういう全体の枠の中で、実際に今行われているシルバー人材センターの活動がどのようにしっかりと成り立っていけるか。その体制づくりの支援は、先ほども、幾つか出口はあるわけでありますけれども、消費税分を丸ごと厚生労働省が出すと言わないとシルバー人材センターの事業が成り立たないというのは少し極論なのではないかというふうに思います。知恵を出しながら、シルバー人材センターがどうやったら活動をしっかりと続けていけるかということをしっかりと検討していくということだと思います。
○宮本(徹)委員 私、極論を言っているわけじゃないんですよ。自民党の議連で配られた要望書、これは予定では自民党の議連の会長さんの名前も連ねて出される予定ですけれども、そこでも、追加的な財政支援を継続的に受けなければ事業運営は困難になると書いているわけですよね。今出しているような金額では全く足りない。べらぼうな、この二百億円という消費税が発生するわけですよ。もちろん、公的なところは、もうちょっと減るのかも分からないですけれども、ということなんですよね。それから、先ほど大臣、インボイスは税の公平な執行に不可欠だということをおっしゃいましたけれども、もう複数税率が導入されて何年もたっています。インボイスがなくても世の中は回っているんですよね。インボイスがなくても税務行政もちゃんとできています。私、予算の分科会で、どんな不公平がどれだけ起きているのかと聞きましたら、どれだけ起きているのかというのは把握していないというのが財務省の答弁でしたよ。これは全然、今本当にインボイスをやらなきゃいけない理由というのは、現瞬間の日本社会に私はないと思いますよ。そこを本当に真剣に政府内で考えていただきたいと思います。シルバー人材センターの話、厚労省だからやっていますけれども、個人タクシーの業界は個人タクシーの業界で、どうしようかというのを、免税事業者と課税事業者、乗るときに人が分かるように車の上に何かつけようかみたいな、ばかげた話まで起きているわけですよ。本当に社会にいろいろな面でこのインボイス制度は混乱をもたらすと思いますので、ここは政府内で本当に真剣に、このまま突入するわけにいかないんじゃないかということで、再検討していただきたい、こういうことを強く申し上げておきたいと思います。そのことができる規定が法律の附則にはあります。それは、岡本さんよく御存じの、うなずいていらっしゃいます、よく御存じのことだと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。岡本さん、ここで退席して結構でございます。
○橋本委員長 財務副大臣、退席して結構です。
○宮本(徹)委員 続きまして、この後採決いたします障害者アクセシビリティー、コミュニケーション推進法に関わって質問をさせていただきたいと思います。まず、日常生活用具給付等事業についてお伺いをいたします。ある視覚障害者の方が、DAISY再生機の修理に二万円もかかった、だけれども、この修理費はこの事業の対象外と言われたということでございます。この事業は、基本は給付及び貸与となっていますけれども、私は、修理費も可能にすべきだというふうに思いますが、是非検討していただきたいと思います。
○田原政府参考人 お答えいたします。障害者総合支援法に基づく日常生活用具給付等事業は、障害者等の日常生活上の便宜を図るため、障害者等の自立生活や意思疎通支援等を支援するための用具を給付又は貸与するものでございます。実施主体である市町村は、必要な者に適正な用具をより低廉な価格で購入し、給付することとされておりまして、給付された用具は、給付を受けた方において管理をしていただくことになります。このため、御指摘の修理費は対象としておりませんで、用具の修理が必要になった場合は、メーカーの保証制度の活用等を検討していただくことになりますが、修理不能により用具の使用が困難となった場合は、実施主体の判断で再給付することも可能でございます。こうした取扱いについては、都道府県等の障害保健福祉関係主管課長会議の場においても周知をしておりまして、引き続き適正な運用が図られるよう周知してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 今の答弁は、今回、これから採決する法律の趣旨に反している答弁じゃないですかね。それは今まではそうだったでしょう、しかし、それで困っている方が生まれているわけですよ。メーカーに直してもらえと、でもメーカーの無料の保証期間なんて極めて限られていますよ。その期間を過ぎたらどうするんですか。修理不能になったら再給付だと言うけれども、修理可能だけれどもメーカーの無料保証期間が切れている場合はどうするんですか。障害者が自己負担できなかったらどうするんですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、給付された用具は、給付を受けた方において管理をしていただくことになりますので、壊れないように使っていただくというのが基本だと思います。修理ができなくて用具の使用が困難というふうになった場合には、実施主体の判断で再給付することが可能になるというものでございます。
○宮本(徹)委員 壊れなくなるように使っていただくというのも、ちょっと答弁としてひど過ぎるんじゃないですか。壊れないように皆さん使っていますよ、大事に。それでも壊れちゃうことはあるわけじゃないですか。それが壊れて情報を得るのに困っているのに対して、壊れないように使ってくださいという答弁はないんじゃないですか。
○橋本委員長 田原障害保健福祉部長、後半のところをしっかり答弁してください。
○田原政府参考人 お答えいたします。壊れないようにというお話も申し上げましたけれども、実際の耐用年数は五年というふうに理解しておりますので、十年も二十年も使うということではなくて、その期間しっかりと管理して使っていただくというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 ですから、その耐用年数の間に壊れて困っている方がいるから私は質問しているわけですよ。せっかく今回法律を作るのに、こんな修理費すら出せない、壊れた人は少ない障害年金からどうにかこうにか出して自分でやってくださいというのが、障害者の情報のアクセシビリティーを高めよう、こういう話なんですか。私は本当に、これでは法律を作っても魂が全く入らないということになってしまいますよ。本当に再検討していただきたいと思いますね。それから、この法案では地域差をなくしていくことも掲げられております。日常生活用具給付等事業の対象品目についても、大変自治体格差が大きくあります。障害者のコミュニケーションや、情報を得るために新しく開発されたものも積極的に対象品目にしている自治体もあれば、対象品目そのものを余り見直していないという自治体もあります。是非、積極的に取り組んでいる自治体の例が全国的に広がるような手だてを取っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○後藤国務大臣 日常生活用具給付等事業は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の一つとして、実施主体である各市町村が、その地域の特性や利用者の状況を踏まえて、柔軟な形態で効果的な事業が実施できる仕組みとしています。このため、国が告示にて用具の要件、用途のみを定めまして、市町村が具体的な品目や対象者等の制度の運用に必要な事項を定めております。したがって、御指摘の点字ディスプレーなどについて対象品目とするかどうかは、各市町村において実態を踏まえて対応されているものと認識をいたしております。なお、厚生労働省では、令和二年度の調査研究事業において、日常生活用具給付等事業の対象品目ごとに対象としている市町村の割合を調査したところでございます。障害者のニーズに応じた適切な給付が行われるよう、各市町村の状況について全国会議で周知すること等について検討してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 それでは、是非、積極的な周知をお願いしたいと思います。例えば、点字ディスプレーなんかで、上限額が、給付額が自治体によって随分違うんですよね。三十八万円ぐらいまで出しているところもあれば、二十八万円止まりの自治体もありますので、そうした給付額なんかも是非、先進的なところが広がるような手だてをその際取っていただきたいと思います。それから、配付資料の四ページ目にあります意思疎通支援事業ですが、例えば、代筆、代読事業の実施率は五%台ということで、これも自治体ごとに大変大きな格差がございます。視覚障害者の皆さんが暮らしていく上で、ポストにはいろいろなものが入るわけですけれども、こうしたものを読んでいただくとかいうことも含めてニーズは様々あるわけですけれども、こうした事業をやっていないところでは、同行援護で代わりにやってくれと言われた人もいるそうですが、同行援護の場合は自宅での代読、代筆というのは受けられません。あと、訪問介護でというのもありますけれども、ただ、訪問介護は、家事サービスで時間が取られるために代筆、代読の時間が取れないというお話もございます。是非、この意思疎通支援事業の自治体格差を改善していく、財政支援も含めて、今回の法案を機に考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 意思疎通支援事業につきましては、手話通訳者、要約筆記者の派遣、点訳、代筆、代読等の実施などの様々な事業が含まれますが、事業によっては支援従事者の不足等によりまして実施率に自治体間の格差が生じているということは承知をいたしております。このため、意思疎通支援従事者の確保等に向けまして、今年度より、意思疎通支援従事者への関心を高める広報啓発等の事業や、事業の推進に資する調査研究を行うこととしております。また、意思疎通支援事業などの地域生活支援事業については、実施主体である各自治体が地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な事業実施が可能である一方で、自治体の財政状況など様々な要因により格差が生じているとの指摘があるところであります。引き続き、地域において必要な支援が進められるよう、予算の確保に努めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 この地域生活支援事業、御存じのとおり、法律上は国は二分の一以内の負担ですけれども、実際は三五%しか負担しておりませんので、思い切った引上げを求めたいと思います。また、手話言語法について質問しようと思っていましたが、今日、立憲民主党の早稲田議員からございましたので、是非これも進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。続きまして、この法案作成過程で、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会から、障害者に限らず、高齢難聴なども含めてほしいという要望が出ました。これに対して議連の中での議論は、第四条三項の「障害者でない者による情報の十分な取得」に高齢難聴も含むと理解していただきたいという説明がありました。是非、政府が障害者の情報の取得や意思疎通についての施策を策定する際には、障害認定には至らないけれども聞こえに困難がある方々の情報の十分な取得等にも資する施策としてつくっていくことが期待されると思います。この法成立を機に、加齢性難聴などの対策も是非一層進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○土生政府参考人 御指摘の加齢性の難聴者を含む難聴者の方への一般的な施策ということでございますけれども、厚労省といたしましては、まず、身体障害者手帳の交付を受けた高度難聴、重度難聴である方に対して、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度におきまして、補聴器の購入等に係る費用を支給しているところでございます。また、補聴器の安全で効果的な使用を推進するため、補聴器販売店が適切な補聴器の選定や使用の指導等を的確に行えるよう、技能向上研修等事業を実施しているほか、認知機能が低下した高齢者の方に対しまして適切に補聴器をつけていただくため、販売店従業員向けの手引も作成して、配付に努めているところでございます。引き続き、省内連携を図りながら、難聴対策に資するための取組を推進してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 資料の八ページを見ていただきたいんですけれども、補聴器は、生活の支援としても孤立対策としても大変重要ですけれども、日本は補聴器の使用率が極めて低いんですね。イギリスが四二・四%、日本は一三・五%。厚労省は、日本の補聴器の使用率が低い原因はどこにあるとお考えですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。今、補聴器の使用率についてお尋ねがございましたけれども、我が国のその使用率につきまして、厚生労働省において正確に把握した調査はございません。それに類似した数字として、一定の仮定の下で、身体障害者手帳の交付対象となる聴覚障害がある方で補聴器の購入費が支給された割合を見ますと、おおむね五割程度になると考えております。厚生労働省としては、聴覚障害のために補聴器の利用が必要な方に対する補聴器の購入等に係る費用の支給を引き続き継続するとともに、補聴器を使用する場合には、補聴器の効果がきちんと得られるように、事前に専門医に相談し、認定補聴器技能者などの専門知識、技術を持った者に調整してもらう等の啓発に努めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 今の五割程度というのは、聴覚障害者に限ってのお話なわけですね。私が配っている資料は、高齢難聴の方々も含めてという、障害に至らない方も含めてということになるんですね。これが低い大きな原因の一つは、やはり公的な補助、助成が余りにも日本は自治体任せになっているということです。一部の自治体では先進的にやっていますけれども、国の制度として、ない。私は、やはり本当に、こうした補聴器の購入への助成も公的にしっかり考えていく必要がある、そのことを大臣に強く求めまして、時間になりましたので、本日の質疑は終わらせていただきます。

≪2022年5月18日 第208回衆院厚生労働委員会第20号 委員会法案採決議事録抜粋≫

○橋本委員長 次に、参議院提出、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案を議題といたします。趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長代理者理事川田龍平君。
○川田参議院議員 ただいま議題となりました障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。全ての障害者が、社会を構成する一員として、社会、経済、文化等あらゆる分野の活動に参加するためには、障害者が必要とする情報へのアクセシビリティーを向上させることやコミュニケーションの手段を充実させることが極めて重要であります。これまでも、障害者基本法や同法に基づく障害者基本計画において、情報の利用におけるバリアフリー化、情報アクセシビリティーの向上、意思疎通支援の充実といった方向性が示され、これらに基づいて各種の施策が講じられてきておりますが、より一層の推進が求められていることから、その根拠となる、障害者の情報アクセシビリティーやコミュニケーションに焦点を当てた新たな法律の制定が必要とされております。こうした状況を踏まえ、本法律案は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するため、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めること等により、当該施策を総合的に推進しようとするものであります。次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。第一に、基本理念として、障害者による情報の取得等に係る施策の推進に当たっては、障害者による情報の取得等に係る手段について、その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすることや、障害者が取得する情報について、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること等を旨として行わなければならないこととしております。第二に、国及び地方公共団体は、これらの基本理念にのっとり、障害者による情報の取得等に係る施策を策定し、及び実施する責務を有することとしております。あわせて、国及び地方公共団体は、当該施策が障害者でない者による情報の十分な取得等にも資するものであることを認識しつつ、当該施策を策定し、及び実施するものとし、当該施策を講ずるに当たっては、障害者等の意見を聞き、その意見を尊重するよう努めなければならないこととしております。第三に、国及び地方公共団体は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進を図るため、当該機器等に関し、開発及び提供に対する助成その他の支援、規格の標準化、障害者等に対する情報提供及び入手の支援その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。あわせて、国は、当該機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に資するよう、協議の場の設置その他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとすることとしております。第四に、国及び地方公共団体は、障害の種類及び程度に応じて障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、体制の整備充実、設備又は機器の設置の推進その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。第五に、国及び地方公共団体は、障害者が自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な分野において、障害者がその必要とする情報を十分に取得すること等ができるようにするため、障害者とその他の者の意思疎通の支援を行う者の確保、養成及び資質の向上その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ、御協議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

○橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。本案につきましては、質疑、討論共に申出がありませんので、直ちに採決に入ります。参議院提出、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

○橋本委員長 この際、本案に対し、牧原秀樹君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者より趣旨の説明を聴取いたします。早稲田ゆき君。
○早稲田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通への配慮に努めて開発した情報通信機器その他の機器及び情報通信技術を活用した役務を優先的に調達する制度について、検討を行うこと。
二 情報コミュニケーション・アクセシビリティの推進のため、障害者基本計画の達成状況を踏まえ、法の見直しなど必要な措置を講ずること。
三 情報コミュニケーション・アクセシビリティに関する相談窓口の設置を検討すること。
四 行政機関に提出する書類のバリアフリー化、災害時の情報保障、選挙における情報アクセシビリティの改善、資格試験など各種試験のバリアフリー化など、情報コミュニケーション・アクセシビリティのさらなる促進について財政的な措置を含め必要な検討を行うこと。
五 本法同様に四十七全都道府県と千七百四十一全市区町村の議会から制定を求める意見書が国に提出されていることを踏まえ、手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること。
以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
 〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。この際、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤厚生労働大臣。
○後藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。
○橋本委員長 お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
○橋本委員長 次回は、来る二十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

≪2022年5月19日 第208回衆院本会議第28号 法案採決部分議事録抜粋≫

○議長(細田博之君) 日程第六、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案、日程第七、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生労働委員長橋本岳君。
○橋本岳君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案について申し上げます。本案は、困難な問題を抱える女性への支援に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、女性相談支援センターの設置、女性相談支援員の配置及び女性自立支援施設の設置等について規定するほか、教育及び啓発、調査研究の推進等について定めようとするものであります。本案は、参議院提出に係るもので、去る四月十三日本委員会に付託され、昨日、参議院厚生労働委員長代理者参議院議員山本香苗君から趣旨の説明を聴取し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
次に、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案について申し上げます。本案は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び提供に対する助成、障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得できるようにするための体制の整備充実等の基本的施策を定めようとするものであります。本案は、参議院提出に係るもので、去る四月十三日本委員会に付託され、昨日、参議院厚生労働委員長代理者参議院議員川田龍平君から趣旨の説明を聴取し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)

○議長(細田博之君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。本日は、これにて散会いたします。