2022年5月18日衆院厚労委員会 シルバー人材センター負担増 インボイスで年1500万円 

 政府が来年10月の開始を狙うインボイス(適格請求書)制度で、シルバー人材センターの新たな消費税負担が全国で年間約200億円、1センター当たり約1500万円にものぼることが明らかになりました。18日の衆院厚生労働委員会で後藤茂之厚労相が、日本共産党の宮本徹議員の質問に答えました。
 宮本氏は、シルバー人材センター関係者から、インボイス制度の適用除外などの特例か、追加的な財政支援がないと事業運営が困難になるとの切実な声があがっていることを紹介し、政府の対応をただしました。
 後藤厚労相は、「センターに限って税制上の特例を設けることは公平性の観点から課題がある」「どのような支援が可能か検討したい」などと答弁。
 宮本氏は「大臣の考えていることではシルバー人材センターの運営は困難になる」と批判。「インボイス制度は中止しかない」と訴えました。

以上2022年5月25日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年5月18日 第208回衆院厚生労働委員会第20号 議事録該当部分抜粋≫

○橋本委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。大臣、先日、地元のシルバー人材センターから、インボイスのことで相談がございました。三千万円ぐらい新たな負担が増える、もうとてもじゃないけれども運営ができない、特例をつくってほしいという話だったんですね。このインボイス制度がスタートすれば、消費税の仕入れ税額控除にインボイスが必要になります。しかし、センターの会員は、平均年四十万円程度の収入で、消費税の免税事業者であり、インボイスは発行できない。そうすると、センターは、消費税の仕入れ税額控除ができなくなり、納税すべき消費税が大きく増えるということになります。厚労省は、対策として、自治体に対しては発注価格を引き上げるように通知を出しておりますが、七割は民間からの仕事なんですね。民間の発注者が発注額を引き上げてくれる保証というのは全くないわけでございます。なおかつ、シルバー人材センターは収支相償が原則ですから、消費税を支払う財源というのは、どこかにたまっているわけでもないという状況でございます。昨日も財金でうちの同僚議員がやった議事録を資料二枚目からつけておりますけれども、全国のシルバー人材センターに新たに発生する消費税の額は、昨日の厚労省の答弁では二百億円、物すごい額です。二百億円といったら、一センター当たりの消費税の新たな負担というのは幾らになりますか。
○後藤国務大臣 令和二年度のシルバー人材センター事業の統計年報によれば、請負、委託の契約金額のうち配分金の額が二千二百十億円となっております。したがって、当該配分金について一定の仮定であらあらの計算をした場合は、今先生からも指摘があったように、消費税相当額はシルバー人材センター全体で二百億円前後、これは、千三百センターありますけれども、一センター当たり千五百万円前後の数字となるということでございます。ただし、これは、インボイス制度の導入に伴いまして、各センターがどのような価格設定をするかなどの影響を受けることや、また、経過措置の六年間において、各センターがどのような対応や対策を行っていくかによりまして消費税額は左右されることになりますから、具体的な数字をお示しすることは困難であるという前提のものでございます。
○宮本(徹)委員 一千五百万円なんですね、一センター、大きいところも小さいところも。大きなところはかなりの額になるんじゃないかと思います。そこで、全国シルバー人材センター事業協会が政府への要望書を準備していると聞いております。聞きましたら、要望書の案は自民党の議連で既に配られております。拝見させていただきましたが、シルバー人材センターに対するインボイス制度の適用を除外すること、所得税非課税範囲程度の少額所得事業者については、インボイスの発行を免除し、仕入れ税額控除についても帳簿等で行うことができるようにすること、こうした特例がなければ、シルバーは追加的な財政支援を継続的に受けなければ、事業運営は困難になる、こう書いてあるわけでございます。大臣、大臣は、シルバーについてはインボイスの特例をお求めになるということなんでしょうか。あるいは、毎年シルバー人材センターに新たに発生する消費税を肩代わりするだけの財政的な支援を、シルバー人材センターに行うということでしょうか。どちらでしょう。
○後藤国務大臣 インボイス制度の導入目的は、複数税率制度の下で適正な課税を確保するためと承知をしています。シルバー人材センター事業における取引は、ほとんどが消費税の課税対象である、課税取引であると想定されまして、発注者及び受注者が明確であるという点も含めて、他の取引と比べて特に特別な措置を講ずるような特殊性があるともなかなか言い難いというふうに考えます。シルバー人材センターから、インボイス制度の導入に当たり、安定的な事業運営が可能となる措置について要望があるということは私も承知しております。一方で、シルバー人材センターにおける取引の態様が特殊とは言えない中でシルバー人材センターに限って税制上の特例を設けることは、消費税制度やインボイス制度における公平性の観点から多くの課題があると認識をしています。厚生労働省としては、シルバー人材センターがインボイス制度の段階的施行を含む様々な環境変化に柔軟に対応しながら、受注量の増加や運営の効率化などを通じて、安定的な事業経営を継続し、地域における役割を一層発揮していただけるように、経営基盤の強化を図るための必要な支援を引き続き講じていきたいと考えています。インボイス制度の円滑な移行を図る観点から、合計で十年の経過措置が設けられていることを踏まえまして、今後も、シルバー人材センター事業への影響や実務的な対応等の実情を把握しまして、どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 今の大臣の答弁は、特例は難しいと。何か所管大臣としては大変冷たい答弁だなというふうに感じますけれども。特例を設けないとなると、先ほどのシルバー人材センターの要望書からいえば、毎年シルバーに発生する消費税を肩代わりするだけの継続的な財政支援がないと運営は困難になると言っているんですよね。なぜなら、先ほど大臣は仕事の受注量を増やすということをおっしゃいましたけれども、仕事の受注量を増やしても増やしても、全部消費税がかかるんですよ。仕事を幾ら増やしたって、これは解決策には余りならないと思いますよ、はっきり言って。委員長は何かくすくす笑っていらっしゃいますけれども。これは本当にインボイス制度の根本的な矛盾なんですよね。今まで免税事業者だった皆さんがインボイスを発行できなければ取引には参加できなくなるということですから。じゃ、課税事業者に、シルバーの会員の皆さんになってもらうわけにも、一人一人に対してはいかない。これは大変なことだと思うんですよね。ですから、本当にこのままだと、今の大臣が考えていることでは、はっきり言ってシルバーの事業運営は困難になってしまう、こういう認識はお持ちですか、大臣。
○後藤国務大臣 私は、税制の制度がなかなか難しいだろうというふうに申し上げましたけれども、だから何もしなくていいと言ったわけでは決してないので。インボイス制度の段階的施行を含む様々な環境変化に柔軟に対応しながら、これは受注量の増加自身が経営の構造の変化につながりますし、運営の効率化を図る、あるいは、委託の費用の問題とかもありますし、安定的な事業運営を継続しまして、地域における役割を一層発揮していただけるように、経営基盤の強化を図るための必要な支援をしっかりしていきたいと申し上げているわけでありまして、シルバーセンターの地域における活動、非常に意味のある活動をしていただいていると思いますので、そうした活動が滞ることは、当然、選択肢の外であるというふうに考えております。どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 シルバーの活動が滞るようなことはあってはならないというのは、そのとおりだと思うんですけれども、それをインボイス制度の下でやろうと思ったら、事実上、厚労省が消費税分を肩代わりするぐらいの財政支援をしない限りはなかなか厳しい。これは仕組み上そうなってしまうわけですよね。だけれども、そこまでの財政的な支援をやるという話がなかなか聞こえてこないわけですよ、大臣からは。財務省、今日、岡本さんにも来ていただきましたけれども、シルバー人材センターについて、ちょっとこの間どういう調査をしたのかとお伺いしたいんですよね。というのは、所得税法改正の際に、百七十一条の二という附則がございます。ここでは、消費税の軽減税率制度導入三年以内をめどに、適格請求書等保存方式の導入に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとするとあるわけですよね。ですから、シルバー人材センターについて、事業者取引にインボイスがどう影響するのか、これをどう検証されたんですか。
○岡本副大臣 お答えいたします。現在、宮本委員御指摘をいただきました平成二十八年の法改正の附則に従いまして、御指摘の検証の過程におきまして、厚労省を通じて、シルバー人材センターがインボイス制度への移行に当たって、センターの皆様が安定的な事業運営について懸念をされている旨を把握をいたしました。こうしたことも踏まえまして、インボイス制度への移行に当たっては、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備を図ることとしておりまして、こうした取組の中で、厚労省から、シルバー人材センターの受注額の約三割を占める地方自治体の皆様に対して、適正な価格設定の要請が行われたところであります。先ほど委員御指摘をいただきましたように、七割弱は民間が発注元となっておりますので、この民間の皆様に対しましても適正な価格設定をしていただけることを期待をしております。こうしたことに加えまして、インボイス制度への移行後も、厚労省において、シルバー人材センターが安定的な事業運営が継続できるよう、令和四年度予算における補助金等の増額など必要な支援も行っております。今後に関しましても、厚労省において、シルバー人材センターの全国団体とも協議を行いながら、対応を検討していくというふうに承知をしておりまして、シルバー人材センターが安定的な事業運営を継続できるように、引き続き厚労省と連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 民間の発注も引き上げてもらうことを期待しているという答弁ですけれども、願望じゃないですか、それは。残念ながら、なかなかこれは説明がつかないんですよね。今まで消費税分ももらっているというたてつけになっているわけですね、発注のときに、シルバー人材センターが仕事を請け負うときに。ですから、インボイス制度が導入されるので、消費税を納入するために消費税分を乗せてくださいという説明ができないんですよ。だから困っているんですよ。なのに、何か民間に発注額を引き上げてもらえることを期待しますと。これじゃ本当に私は無責任だと思いますよ、正直。このままだと本当に運営が困難になる、はっきりしていると思いますよ、私は。私は本当に、厚労大臣が、シルバー人材センターに発生する消費税額は肩代わりするだけの財政支援をやりますと言うんだったら別ですけれども、そうじゃないんだったら、インボイス制度は中止するしかないんじゃないですか。そういう立場に立って大臣は、私は財務省に働きかけるべきだと思いますよ。いかがですか、大臣。
○後藤国務大臣 国民や法人、国内における法人、やはり国の税制を守る中で活動をするということも、それも重要なことであります。インボイス制度の導入自身は、税の公平性確保のために、賛成でない方もおられるかもしれませんが、税制の執行の公平を図るために、国全体として必要である、それを導入するのに準備が必要だということで、経過期間を取っているわけであります。ですから、そういう全体の枠の中で、実際に今行われているシルバー人材センターの活動がどのようにしっかりと成り立っていけるか。その体制づくりの支援は、先ほども、幾つか出口はあるわけでありますけれども、消費税分を丸ごと厚生労働省が出すと言わないとシルバー人材センターの事業が成り立たないというのは少し極論なのではないかというふうに思います。知恵を出しながら、シルバー人材センターがどうやったら活動をしっかりと続けていけるかということをしっかりと検討していくということだと思います。
○宮本(徹)委員 私、極論を言っているわけじゃないんですよ。自民党の議連で配られた要望書、これは予定では自民党の議連の会長さんの名前も連ねて出される予定ですけれども、そこでも、追加的な財政支援を継続的に受けなければ事業運営は困難になると書いているわけですよね。今出しているような金額では全く足りない。べらぼうな、この二百億円という消費税が発生するわけですよ。もちろん、公的なところは、もうちょっと減るのかも分からないですけれども、ということなんですよね。それから、先ほど大臣、インボイスは税の公平な執行に不可欠だということをおっしゃいましたけれども、もう複数税率が導入されて何年もたっています。インボイスがなくても世の中は回っているんですよね。インボイスがなくても税務行政もちゃんとできています。私、予算の分科会で、どんな不公平がどれだけ起きているのかと聞きましたら、どれだけ起きているのかというのは把握していないというのが財務省の答弁でしたよ。これは全然、今本当にインボイスをやらなきゃいけない理由というのは、現瞬間の日本社会に私はないと思いますよ。そこを本当に真剣に政府内で考えていただきたいと思います。シルバー人材センターの話、厚労省だからやっていますけれども、個人タクシーの業界は個人タクシーの業界で、どうしようかというのを、免税事業者と課税事業者、乗るときに人が分かるように車の上に何かつけようかみたいな、ばかげた話まで起きているわけですよ。本当に社会にいろいろな面でこのインボイス制度は混乱をもたらすと思いますので、ここは政府内で本当に真剣に、このまま突入するわけにいかないんじゃないかということで、再検討していただきたい、こういうことを強く申し上げておきたいと思います。そのことができる規定が法律の附則にはあります。それは、岡本さんよく御存じの、うなずいていらっしゃいます、よく御存じのことだと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
      [以下略]