国会報告:統一協会と政治家との癒着の一掃を

 私は衆院東京20区(東村山市・東大和市・武蔵村山市・清瀬市・東久留米市)をまわって国会報告を続けています。政治の熱い焦点になっているのが、旧統一協会と政治家との癒着の問題です。この部分のスピーチ大要を紹介します。

日本共産党が旧統一協会問題追及チームを結成
私も事務局長として参加しています

 こんにちは。日本共産党の衆院議員、宮本徹です。国会報告をさせていただきたいと思います。「宮本徹国会報告」も配布させていただいておりますので、ぜひ、手に取ってお読みいただけたら幸いです。
 いま、メディアのニュースを独占しているのが、旧統一協会(世界平和統一家庭連合)と政治の癒着の問題です。日本共産党は、小池晃書記局長(参院議員)を責任者に「旧統一協会問題追及チーム」を発足させ、私は事務局長として活動しています。チームの目的は(1)旧統一協会の霊感商法、自己破産、家庭崩壊に追い込むような高額献金、違法勧誘などの被害を根絶し、救済を図ること(2)政治家が旧統一協会系の催しに参加したり賛同メッセージを送ったりするなど「広告塔」となり、旧統一協会から選挙の支援を受けるという、政界との癒着を清算すること(3)この癒着によって。旧統一協会に有利なように行政が歪められていないかの究明(名称変更問題など)―に取り組みます。
 (注)統一協会のもともとの名前は、世界基督教統一神霊協会といいました。現在は、世界平和統一家庭連合に名称変更をしているため、「旧統一協会」と呼んでいます。この記事では、以下の行から「統一協会」と表記して話を進めます。名称変更の問題については、この記事の後半で扱っています。

学生時代からこの問題に取り組んできました
脱会活動の支援をしたこともあります

 私は、学生時代から統一協会の問題に取り組んでまいりました。大学生のときに、統一協会の学生組織が正体を隠して学生を勧誘し、サークルなどという形で孤立している学生を引き込んでいき、ビデオセンターや合宿などで洗脳・マインドコントロールしていくこということが起きていました。全国でもマインドコントロールされた学生らが霊感商法などにに携わさせられ、被害者が加害者になっていくことが続いておりました。
 30年も前になりますけれども、当時、お子さんが統一協会に洗脳されてしまったご両親の相談にのって、脱会活動のご支援をしたこともございます。

装いは宗教法人ですが
実態はまったく違います

 この統一協会は、全国霊感商法対策弁護士連絡会のみなさんの言葉でいえば、「戦後最大の消費者被害が放置され続けている」ということになっているわけであります。宗教法人の装いをもっておりますけれども、実際の中身はそれとはまったく違うものだといわざるを得ません。
 そもそも、統一協会の創立者、文鮮明の「教義」自体が「万物復帰」と言って、すべてのものを神の側、メシア(救世主)である文鮮明のものにする、というのが中身なのです。この「教義」にもとづいて、経済活動としてさまざまな霊感商法、インチキ募金などをやり、それがだんだんやりづらくなってくると、信者に対して高額な献金を求め続けることを続けてきました。これが半世紀近くにわたって今日まで続いているわけです。

さまざまな悪徳商法が立件されてきました
統一協会本部には捜査が及ばず被害が拡大

 日本ではこれまで、さまざまな悪徳商法によってたくさんの被害がありました。豊田商事、安愚楽牧場、ジャパンライフなどの事件がありました。しかし、多くの消費者被害というのは、だいたい数年で、消費者庁が行政処分をおこなったり、警察が立件をおこなうなどして、取り締まられてきました。なぜかこの統一協会に関してだけは、半世紀にわたって、警察の捜査が統一協会本部に及ばずに、被害の拡大が続いてきたのです。

安倍晋三元首相の暗殺事件を機に
統一協会による政界工作が焦点に

 その背景に何があったのか。それは、統一協会による政界工作が功を奏して、霊感商法などを続ける、違法行為を重ねることができたのではないのか。このことがいま、安倍晋三元首相の暗殺事件を機に改めて大問題になっているわけです。
 私たち日本共産党は、統一協会=勝共連合の問題は、国会でも取り組み、半世紀前から追及してまいりました。今回、「旧統一協会問題追及チーム」を発足させ、情報収集をしながら、政府に対して、この問題の究明に必要な資料の請求などをおこなっているところです。真相の解明につながるような情報がございましたら、「追及チーム」までお寄せいただけたらと思います。
 あわせて是非、みなさんにお願いしたいことは、今度こそ政治家が統一協会との関係を清算していくために、みなさんが応援している、あるいは一票を投じている政党・政治家に対して働きかけていただきたい、ということです。

オウム真理教のあとは統一協会といわれていましたが
霊感商法事件で警察は協会本部を強制捜査しませんでした

 この統一協会の社会的犯罪行為について、多くのみなさんが、「なんでちゃんと取り締まらないのか」という思いをお持ちのことだと思います。オウム真理教の事件があったあと、次の捜査の対象は統一協会だ、といわれておりました。実際、2007年から2010年にかけて、相次いで統一協会の信者が逮捕されて、13件が立件されて裁判になるということがありました。
 ところが、最大の事件であった2009年の霊感商法「新生事件」においても、警察は統一協会本部に対して強制捜査をおこないませんでした。その過程で、政治家の圧力があったのではないのか、このことが当時から、指摘されてきたわけです。政治家の圧力によって、統一協会に対して、警察の捜査で甘い対応がおこなわれてきたということであれば、本当に深刻な問題だと思います。政治と統一協会との癒着の闇を徹底追及していかなければならないと思います。

統一協会の名称変更
下村博文・文科大臣のときに認める

 この間私が追求している問題について、「ニュース23」や「報道ステーション」などでも取り上げていただきました。いま質している問題は、統一協会の名称変更にかかわって、下村博文・文科大臣の関与があったのではないか、それ以外の政治家の関与は果たしてなかったのか、という問題です。
 統一協会は、悪名が世界中に知れ渡るなかで、1990年代に世界で名称変更をスタートさせました。しかし日本の場合は、最も大きな、異常な消費者被害を出しておりましたので、文化庁の宗務課は統一協会の名称変更の相談に対して、ずっと拒否し続けてきました。ところが2015年、下村大臣のときに突然、姿勢が百八十度変わって、統一協会の名称変更を認めるに至りました。そのことが新たな被害の拡大につなったことは全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士のみなさんから厳しく指摘されています。

下村大臣は、自分は関与していないといっていますが
事前に説明を受けていたことがわかっています

 ではなぜ、名称変更が下村文科大臣のときに可能になったのか。いま明らかになっている事実は、以下のようなことです。
 本来、宗教法人の名称変更(規則変更)の最終決裁権者は、文化庁の文化部長ということになっています。私が手に入れた決裁文書でも、いちばん上の行の最終決裁権者は当時の文化部長です。しかし、この問題については、大臣にまで指示を仰いでいました。
 下村文科大臣は、この名称変更に自分は関与していないといい続けていますけれども、実際は名称変更を認証する事前に、統一協会がどういう団体でどういう問題があるところなのかも含めて、説明を受けていたことにが明らかになっています

3つの決裁文書を入手
だれの政治判断で名称変更を認めたのか

 私はこの間、3つの決裁文書を政府から入手しました。統一協会の名称変更受理の決裁文書、名称変更を認めた決裁文書、名称変更が認められたあとに登記の終了をおこなったという決裁文書の3つです。
 3つの決裁文書から、次のようなことが考えられます。
 統一協会が名称変更の申請を行い、文化庁が封書を開いて確認した、受付日が、2015年6月2日です。この申請について、法的な受理をするのは7月13日です。書類が届いてから受理するまで1カ月以上の期間がありました。この1カ月の間に、受理しないとしてきた統一協会の名称変更を受理するという政治判断をだれかが下した和kです。
 いったいぜんたい、だれが判断をして、それまで申請すら認めてこなかった統一協会の名称変更を認証したのか。そもそも、統一協会が実際に規則を変更して名称変更の申請を文化庁に出すに至る過程で、統一協会と与党政治家の間で何らかの話し合いがあったのか。そして、名称変更が認証される過程で、与党の政治家の働きかけがあったのか、あるいは官邸の政治家の働きかけがあったのか、あるいは組織内候補の方々からの働きかけがあったのか。いったいどの政治家がどう働きかけをおこなっていたのか。それはまさに究明しなければいけない核心であります。

政治家と統一協会との癒着を一掃する
そのためにも名称変更問題の徹底究明が必要です

 この問題を徹底的に究明しなければ、政治家と統一協会との癒着を一層することになりません。ぜひみなさんからも、さまざまな癒着は一掃すべきだ、社会的犯罪を繰り返してきた団体から選挙の応援を受けるのはやめるべきだ、という声を上げていただきたいと思います。
 閣僚のなかでも岸信夫・防衛大臣が統一協会のみなさんから選挙で応援を受けていて、今後も応援を受けるかもしれない、関係を清算するといっていないことはきわめて重大だと思います。捜査の指揮にあたる二之湯智・国家公安委員長が統一協会系の催しの実行委員長をつとめ、あいさもしていた。名前を貸しただけだ、とおっしゃっていますけれども、本来なら違法行為を取り締まる側の国家公安委員長が違法行為を繰り返す団体の催しの実行委員長をつとめるなんていうことは、もってのほかです。
 こうしたことについて、居直りをする政治家が一部にいるということは、きわめて由々しき問題だと思います。

統一協会の問題を放置し続けてきたことが
安倍元首相暗殺事件の大きな遠因に

 一方、多くのみなさんが批判の声を上げるなかで、自民党の茂木敏充幹事長は、統一協会との関係は厳正かつ慎重であるべきだ、といいはじめています。大臣のなかでも、こうした団体とは付き合うべきではない、と表明している方もいらっしゃいます。統一協会の問題を放置し続けてきたことが安倍元首相暗殺事件の大きな遠因となってしまったことに政治は、真剣に向き合和なければなりません。自民党はじめ各党に、統一協会との癒着を一掃していく立場に立っていただきたいと思います。

統一協会の被害根絶へ
超党派で取り組みをすすめたい

 そして、超党派の取り組みで、統一協会の被害根絶に向けて取り組みを呼びかけていきたいと思います。フランスではカルト被害を防止するための立法が、オウム真理教事件のあとにできております。なぜフランスでできて日本でできないのか。できないはずはないと思いますので、カルトの被害を防止するための新たな立法にも超党派で取り組むよう呼びかけていきたいと思っています。