10月26日 厚生労働委員会 保険証廃止の撤回を

 宮本徹議員は26日の衆院厚生労働委員会で、政府が健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化させると表明している問題を取り上げ、撤回を強く迫りました。
 宮本氏は、岸田文雄首相が表明した「資格証明書でない制度」に関わって、“紙の保険証”を一定期間持ち続けられるようにすることや24年秋以降は紙の保険証発行を有料とする案が取り沙汰されている点について、政府の認識をただしました。加藤勝信厚労相は「現時点で具体的なものを念頭に置いているものではない」と繰り返しました。
 加藤氏は、宮本氏の追及に「原理原則は、保険料を払っている方がきっちりと保険医療を受けることができる、これをしっかり担保していくことが大事」と答弁。宮本氏は「その原理原則からいけば、経過措置的な制度ではなく恒常的な制度になり、新たな新保険証なるものを手にするときに有料になるというのはありえないと言うべきだ」と強調しました。
 宮本氏は「何も決まってないまま、今の紙の保険証は廃止するというのは無責任で、国民に不安しか与えない」「今ある保険証の制度をそのまま使うと言えばいいだけの話だ」と批判しました。

以上2022年10月30日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年10月26日 第210国会衆院厚生労働委員会第2号 該当議事録抜粋≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、紙の保険証の廃止問題についてお伺いいたします。大臣の考えるマイナ保険証のデメリットは何ですか。
○加藤国務大臣 これまでも申し上げているように、マイナンバーカードで受診していただくことで、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていくことが可能になるなど、カードと健康保険証の一体化は様々なメリットがあるというふうに考えており、それを踏まえて、多くの皆さんにそのメリットを共有していただく、そういった思いから、令和六年秋に保険証廃止を目指すこととしたところであります。もちろん、保険証とマイナンバーカードということになると、例えば紛失したときの対応等、基本的には大体一緒だと思いますけれども、あと、やはりシステムとの絡みもありますから、その辺はいろいろあろうかと思います。
○宮本(徹)委員 紛失の際のことをおっしゃいましたけれども、紛失の際一つ取っても、紙の保険証なら保険者によっては行けばその日のうちに再発行してもらえますけれども、マイナンバーカードだと一か月はかかるということになるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 まず、マイナンバーカードを紛失したら、当然、資格情報照会を行うことができなくなりますが、同じことは健康保険証を紛失しても起きてくるということであります。ただ、再発行の手続等それぞれ制度が違っておりますので、デジタル庁、総務省を中心に、新規取得、紛失等の際にカードが手元にないことで不便が生じないよう、速やかな交付方法の検討を行っていただいていると承知をしているところであります。
○宮本(徹)委員 不便が生じないように検討しているといったって、何にも答えがないわけですよね。現に一か月以上マイナンバーカードはかかるわけですね。さらに、マイナンバーカードの更新は十年に一度ということになっています。未成年は五年に一度の更新ということですね。電子証明書の更新も五年に一度と。全部、区役所だとか市役所だとか、役場に行ってやらなければならないということになっています。マイナンバーカードの更新率、先日国会の質疑を聞いていましたら、十月十九日時点で六九%だというんですよね。未成年の方は五年に一度の更新の時期がやってきているけれども、六九%だと。これはマイナンバーカードが大変不便だということを示している数字だと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 今御指摘のあった、マイナンバーカードの有効期限を迎えた方が令和三年度の数字で約二十二万六千あり、このうち、本年十月時点で十五万六千人、割合で六九%の方がマイナンバーカードの交付を申請しているということで、残りの三一%、不便というか、まさにまだそのメリットが十分に共有できていない、こういった側面があって、当初の段階では入ったけれどもということもあったのではないかなと。そういった意味においては、まさに今いろいろな施策を進めることによって、このメリットを皆さんにしっかりと理解をしてもらうということであります。それから、先ほど更新時の話もありましたけれども、例えば私どもは、今大臣になると健康保険証が変わってくるんですね。それごとに家族も含めていろいろ変わって、なかなか大変になるわけでありますが、今回、こうしたマイナンバーカードと一体化すれば、一々新しい発行所の発行を待つことなくやっていける、こういったメリットもあるんだろうと思います。
○宮本(徹)委員 雇用先が変わった場合のメリットだけ強調されるわけですけれども、雇用先がずっと同じ方でも、マイナンバーカードになれば、五年に一回は電子証明書は更新、そしてカード自体は十年に一回更新と、手続しなければいけないと。毎回役所まで行かなきゃいけないわけですよ。今、私たち国保ですけれども、これは二年に一度自動的に送られてくるわけですよね。それが、毎回毎回役所まで行かなければならないというのは、大変不便をかけることになる。こういう認識はございますか。
○加藤国務大臣 たしか五年とか、たしか十年とか、更新があるんだろうというふうに承知をしておりますが、そういったことについても、今おっしゃるように、一回一回市役所等に行かなければならない、その辺をどういうふうにしていくのか、これについては、先ほど申し上げたように、デジタル庁、総務省中心に、速やかな交付の方法、これを検討してもらっているというふうに承知をしています。
○宮本(徹)委員 それから、先ほどもやり取りありましたけれども、報道では、紙の保険証を一定期間、持ち続けられるようにする方向で検討している、ただし、マイナ保険証への移行を促進するために、二〇二四年秋以降は紙の保険証発行は有料とする案などが取り沙汰されていると出ているわけですね。総理がおっしゃっていた資格証明書でない制度というのは、これは期限を区切った経過措置的な制度ということなんですか、恒常的な制度ということなんですか。
○加藤国務大臣 まさに総理は今ある資格証明書の制度のことをおっしゃったんだろうというふうに思いますけれども、現在、何らかの事情により手元にマイナンバーカードがない方が必要な保険診療等を受ける際の手続について、先ほども御答弁させていただきましたが様々なケースが考えられますので、そうした一つ一つ、それに対する具体的な制度設計、実務上の運営も含めて丁寧に検討していくということで、現時点で、こういう形、ああいう形と具体的なものを念頭に置いているものではございません。
○宮本(徹)委員 いや、ああいう形、こういう形ということではなくても、マイナンバーカードは、取得は義務じゃないわけですから、取得しない方がいる、その方には、保険料を納めていたらちゃんと医療を保障するということをおっしゃっているわけですから、そうすると、それは経過措置的な制度ではなくて、恒常的な制度を設けるということに必然的になると思うんですけれども、そうじゃないんですか。
○加藤国務大臣 まさにそれはどういう形を取るのか、それから、その方が手元にないという事情もいろいろあろうかと思いますので、その辺もよく検証しながら、対応を丁寧に検討していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 だけれども、恒常的な制度だと言えないこと自体が、大変総理の答弁と、あるいは大臣がこれまでに述べていることと矛盾すると思いますよ。それから、保険証の発行が有料になると。有料なんということを考えているんですか。
○加藤国務大臣 ですから、具体的な中身については今検討しているということなので、先ほど申し上げた、こうだああだということは申し上げられないということを申し上げたところであります。
○宮本(徹)委員 こうだああだと、まだ決まっていなくても、最低限、国民の医療をちゃんと保険料を納めている人には保障するという立場からすれば、原理原則的なことは言えるはずなんですよ、恒常的な制度としてちゃんとつくっていきますと。保険料を納めた人に新たな保険証を手にするために自己負担を求めるなんて、あり得ない話じゃないですか。それぐらい否定してくださいよ。
○加藤国務大臣 ですから、原理原則は、先般も申し上げたように、保険料を払っている方はきっちりと保険医療を受けることができる、これをしっかり担保していくことが大事だ、これが原理原則だと思います。
○宮本(徹)委員 その原理原則からいけば、経過措置的な制度でなくて、恒常的な制度になり、なおかつ、新たな新保険証なるものを手にするときに有料になるというのはあり得ないということをここでおっしゃっていただくというのが、本来大臣がしなきゃいけない答弁なんじゃないかというふうに思います。その上で、ああだこうだ言えないということをさっきから繰り返していますけれども、今の紙の健康保険証の制度と新しい新保険証の制度というのは、一体どこが違うんですか。
○加藤国務大臣 済みません、同じことを申し上げて恐縮ですが、その新しいというところがまだ具体的にお示しをできていないので、今の制度と比べるということはできないということは御理解いただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 ですから、何にも決まっていないまま、今の紙の保険証は廃止するんだと言うのは大変無責任で、国民に不安しか与えないじゃないですか。大変無責任な答弁が続いていると思いますよ。この間、野党の側から様々指摘があるとおり、新しい制度をつくる、そんなばかなことはやめて、今ある保険証の制度をそのまま使う、これを言えばいいだけの話だと思いますよ。本来、それが厚労大臣が合理的に考えれば出てくる考え方じゃないですかね。加藤大臣は聡明ですから、もう心の中ではそれしかないと思っていると思いますよ。違いますか。
○加藤国務大臣 今と同じことを続けていたのでは、ほかも含めて、まさに医療DX全般を進めていかなきゃならない、こういう流れもあるわけでありますので、そういった意味において、よりよい医療をより効率的に国民の皆さんにどう提供していくのか。もちろん、前提として、先ほど申し上げた、保険料を払った者はちゃんと保険医療を受けることができる、あるいは国民の皆さんの理解を前提とする、これは当然でありますけれども、今申し上げたような方向へしっかりリードしていく、そういった思いで取り組ませていただきたいというふうに思います。
○宮本(徹)委員 医療DXとかそういう方向性を持っているというのは、それはそれで政府の立場だということなんだと思いますけれども、それと、現行法の下で、マイナンバーカードは義務ではない、任意なんだ、この下での保険証の在り方ということを考えた場合は、どう考えたって、今マイナンバーカードを取得しない人には、新たな制度をつくるんじゃなくて、今の保険証の制度でいく、これが最も合理的だ、早くそのことを明らかにした方がいいと思います。本当に、国民から批判の声が上がり続けるだけだと思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。あわせて、マイナンバーの問題に関わって、もう一点だけお伺いしたいことがございますが、資料の十四ページ目のところに、これは以前の改革工程表からもずっと出ているんですけれども、改革工程表の五十五番で、ここの中で、マイナンバーの導入等の金融資産の把握に向けた取組を踏まえつつ、医療保険における負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方について引き続き検討ということが、これがずっと毎年のように書かれておりますが、これは、厚労省としては、将来的には全ての預金口座にマイナンバーの付番を求める方向なのか。そして、後期高齢者医療制度において、年金が国民年金しかない人に対しても、例えば五百万円の貯金があれば二割負担や三割負担、こういう負担増を求めていく制度を考えている。こういうことでよろしいんでしょうか。
○加藤国務大臣 保険者がどのように金融資産に関する情報を把握するかといった様々な課題があることから、社会保障審議会医療保険部会において、まさに、そこの文章に、預金口座へのマイナンバー付番の状況を見つつと書かせていただいているわけでありますので、そうした状況を見ながら検討を進めるということであります。
○宮本(徹)委員 厚労省としては求めないということでよろしいわけですね。
○加藤国務大臣 厚労省として求める、求めないじゃなくて、まず、その状況を見つつ、今申し上げた、医療保険の負担の在り方、それは考えていくという、その考え方を述べているわけであります。
○宮本(徹)委員 求めないとは言わず、見つつということしか言わないわけですけれども、しかし、この改革工程表を掲げている限り、どう見ても、これは、金融口座にしっかりとマイナンバーの付番を全部義務化をして、二割負担、三割負担、貯金が少しでもあれば医療費の負担増を求めていく、これが政府の目指す方向だ、こうしか見えないわけですよね。これは、私は、本当に、高齢者の生活実態からいったら、こういう僅かな貯金しかない、僅かな年金しかない方々に負担を求めるというのはやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。 ~以下略~