2022年11月1日 衆院厚生労働委員会参考人質疑 感染症法等改正案 医療機関へ罰則危惧

 衆院厚生労働委員会は1日、感染拡大時に病床確保や医療が提供できない医療機関に罰則を設ける感染症法等改定案について参考人質疑を行いました。日本共産党の宮本徹議員は、コロナ禍でひっ迫した医療機関の実態や罰則の是非などを質問しました。
 佐々木悦子医労連中央執行委員長は陳述で、大阪府や沖縄県からの医療従事者の派遣要請に応えた病院で医療縮小や長時間労働などの影響があったと語りました。
 佐々木氏は「派遣元の人員体制も余力がなかったので、夜間の人員体制が減ったり、夜勤を免除される育児短時間勤務中の看護師が夜勤を求められた」などと実態を語りました。
 宮本氏は、都道府県と協定を結んだ特定機能病院などが医療供給義務に従わない場合に承認を取り消す罰則について質問。佐々木氏は「感染拡大期に人員不足では、医療提供の拡大に応えられない。医療機関側の事情がどこまで考慮されるのか。その担保が不明で、重大な危惧を感じている」と指摘しました。
 宮本氏は、インフルエンザとコロナの同時流行に備えて、抗原検査キットの事前配布を提案しました。国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫氏は「(事前配布は)あるべきだと思う。弱者など検査キットが届かない人がいることを前提にいかに届けるのかを考える必要がある」と答えました。

以上2022年11月2日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年11月1日 第210回衆院厚生労働委員会第4号 議事録≫

○三ッ林委員長 これより会議を開きます。内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案並びに早稲田ゆき君外八名提出、国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。本日は、各案審査のため、参考人として、国立感染症研究所長脇田隆字君、沖縄県保健医療部部長糸数公君、一般社団法人日本医療法人協会会長加納繁照君、国立研究開発法人国立国際医療研究センター国際感染症センター長大曲貴夫君、日本医療労働組合連合会中央執行委員長佐々木悦子君、以上五名の方々に御出席をいただいております。この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に、議事の順序について申し上げます。最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。それでは、まず脇田参考人にお願いいたします。

○脇田参考人 本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。新型コロナウイルス感染症流行が始まりまして、これまでほぼ七回にわたる感染拡大があり、また、異なる変異株による流行で、重症度それから感染伝播力、これが変化してまいりました。今年の初めからは、オミクロン株の流行によりまして、感染伝播力が強く、また、潜伏期間、世代時間の短縮によって感染拡大の速度が非常に速くなり、急速な感染拡大となりました。一方で、ウイルスそのものの重症度は従来株よりも下がり、また、ワクチン接種、治療の進歩によっても重症度が下がってまいりました。 しかし、重症度だけではオミクロン株流行のインパクトは評価ができません。感染者数の圧倒的な増加によって、死亡者数はこれまでの波と比べて最大となりました。今後、この新型コロナウイルス感染症にどう対応していくのか、また、新たな感染症の流行にどう準備をしていくのかが問われていると思います。さて、これまでの三年弱の流行における経験と教訓がありました。当初の新型コロナウイルス感染症の流行において、一般に想定されていた新型インフルエンザとは異なり、ワクチンも治療薬もない新たな感染症であったため、指定医療機関中心に勧告入院を継続しました。そのため、指定医療機関と協力医療機関の対応能力を超える感染者は、宿泊療養、自宅療養の対応が必要になりました。また、二〇〇三年のSARSとは異なり、新型コロナウイルス感染症は、発症前から感染性があり、発症者を全て隔離するだけでは蔓延防止は困難という対応の難しい感染症です。これまで、保健所中心の積極的疫学調査、クラスター対策、検査による陽性者の同定と隔離が行われてきました。今回の感染症法の改正においては多くのポイントがあると思いますが、幾つかの論点について、私の考えを述べたいと思います。まず、医療提供体制でありますが、医療の先生方がいらっしゃいますので多くは述べないところですけれども、流行の規模に応じて柔軟に拡張できる体制は、医療が必要な感染者を取りこぼさないために何より重要であります。ただ一方で、私が強調したいのは、流行初期に、重点医療機関において、診療体制の確保とともに、未知の感染症の調査研究を進めることが重要です。新たな感染症流行においては、最初の数百例、ファースト・フュー・ハンドレッドといいますが、迅速に解析をすることが求められます。医療機関の医師は診療で手いっぱいになりがちですが、初期から感染症制御のための知見を得るためには、臨時に人員を投入してでも調査研究できる体制を確保することが必要です。また、多数の軽症者、無症状者が発生するような場合には、宿泊療養、自宅療養で医療が提供できる体制の構築が重要ですけれども、特にオミクロン株になってからは、脆弱な高齢者の医療が課題となりました。入院できず、宿泊療養も困難な高齢者が、自宅や施設で安心して介護を受けながら療養できる体制も重要と考えます。次に、検査体制です。我が国の感染症検査体制は、地方衛生研究所、それから国立感染症研究所のネットワークにより維持をされています。新規感染症発生時には、主として感染研が検査法を開発、地衛研に配布、技術研修を実施、そして地衛研も検査法を検証して担当します。感染研もそれを補完するという形になっております。検査ニーズの拡大の必要があればコマーシャルラボへ拡大、移行することになります。この流れを流行拡大時にもスムーズに進めることが重要です。この検査体制において、地方衛生研究所の役割が何より重要です。地衛研は八十五か所の自治体に設置をされていますが、設置根拠が事務次官通達の設置要領に基づくなど、法令上の位置づけが明確ではないとされています。また、病原体検査、環境検査、食品衛生、地方感染症情報センター機能など、様々な機能を担っていますが、予算と定員は削減されてきたという声も多く聞きます。職員は、必ずしも感染症業務に固定されているわけではなく、多くの地衛研では他業務とのローテーションがあります。地衛研の間で可能な検査についても差があります。地衛研の検査能力を維持向上するために、地衛研の組織の位置づけを明確化し、予算配分、定員配置を強化して、必要な体制を整備する必要があります。また、検査だけではなく、感染症の専門人材育成のために、地衛研の調査研究能力を平時から強化、維持することが必要です。コロナで、ゲノムサーベイランス、変異株スクリーニングなど先進技術の導入が必要で、業務の専門性が高いことも明らかとなりました。保健所についてです。今回のパンデミックで保健所機能の重要性が再認識されましたが、保健所職員は、感染者の入院、宿泊療養、自宅療養の調整や、感染者の健康観察、陽性者の搬送、検体の輸送などに多くのリソースを割くことになりました。本来は、蔓延防止のために、積極的疫学調査、濃厚接触者の行動制限、情報収集などの業務に専念できる体制が必要と考えます。そのためには、保健師が本来するべき業務とそれ以外を整理して、また、感染者急増に対応できる、本庁あるいは大学等の外部からの応援体制の確保も重要と考えます。調査研究体制についてです。従来、感染症研究は、様々なイノベーションを生み出してきました。古くは、細菌感染症に対する血清療法の開発、ポリオウイルス研究における細胞培養技術、レトロウイルス研究における逆転写酵素の発見など、ノーベル賞になった研究も多くございます。平時においては、病原体研究も重要ですが、関連する横断的な研究、例えば感染症疫学、病原体ゲノム、ヒトゲノム解析、数理モデル解析、構造生物学、治療薬開発、感染症免疫学、ワクチン開発、オミックス解析など、感染症に関わる研究領域を含めて学際的な研究を進める必要があります。先ほど述べましたとおり、有事にはまず重点医療機関などにおいて新たな感染症を調査研究、最初の数百例の研究体制を確保することが重要です。また、そこから病原体研究、横断的な研究領域の研究者が迅速に研究を進められる体制が重要と考えます。また、流行対策に必要な研究をどこで誰が行っているのか、研究費を出している部局だけが知っているのではなく、感染症対策に関わる専門家との情報の共有が重要と考えます。また、検査で得られる臨床検体を研究に活用できる仕組み、平時から感染症研究をより強化する仕組みが重要です。診療に当たる医療機関における臨床研究を振興すること、地衛研の感染症研究能力、保健所の疫学調査能力の強化が我が国の感染症対応能力向上には重要です。次に、サーベイランス体制です。サーベイランスは、感染の状況を複合的、多重的な情報源から分析していくべきものであります。我が国では、診断時の発生届に依存してまいりました。このため、発生時の届出の状況は分かりますが、その後の重症化等の推移が分からないなどの問題がありました。複数の手法による重層的なサーベイランスを構築するための議論と研究を進めるべきと考えています。また、国と自治体の間、あるいは自治体同士の間で必要なデータのタイムリーな共有ができる体制整備が必要です。サーベイランスの専門人材、疫学専門家を育成して、地域に配置することも必要です。ワクチンについてであります。今回、ワクチンを迅速に開発して臨床に導入することが感染症対策として重要であることが再度認識されました。現在の自治体による接種券の発行に依存するのではなく、マイナンバーカードなどをワクチン接種に活用して、より迅速な接種体制を構築できないかという議論があります。また、予防接種に関する審議会では、今回のパンデミック以前から、予防接種施策の見直しに関する議論がありました。この議論を再開する必要があると思います。様々な論点がありましたが、予防接種に係る費用の効率化、コミュニケーションの強化、接種記録、研究開発などについての議論がありました。今回、ワクチン忌避の問題も再度認識されました。コミュニケーションの強化によりワクチンの正しい情報を提供して、国民がワクチン接種を適切に判断できるようにすることが必要と考えます。また、接種記録についても、接種記録の電子化とレセプト情報の連結が議論されていました。さらに、副反応データベースの連結によって、ワクチンの有効性と安全性の調査研究がより迅速に進むことが期待されます。また、このデータベースを広くアカデミアが利用して研究が可能となる体制も重要と考えています。ワクチンの研究開発も重要であります。重点感染症のワクチン開発はAMEDのSCARDAが行いますが、そのほかの定期接種化が必要なワクチン開発も進める必要があります。また、予防接種に関して感染症研究所が行う調査研究を強化するための体制整備も必要と考えます。今後、新型コロナウイルス感染症への対応、また、新たな感染症の流行への準備などのために、感染者の診療体制、検査体制、情報収集体制、研究開発体制、予防接種の体制などを強化することが必要で、そのために人材育成が何より重要と考えております。私の意見はこれまでであります。ありがとうございました。(拍手)

○三ッ林委員長 ありがとうございました。次に、糸数参考人にお願いいたします。

○糸数参考人 おはようございます。沖縄県保健医療部の糸数と申します。地方自治体で新型コロナ対策に関わってきた立場から意見を述べさせていただきますが、お手元に資料を配付しておりますので、資料に沿って説明をさせていただきます。まず、表紙をめくっていただきますと、これまでの沖縄県の経緯でございます。沖縄県では、令和二年の二月十四日に最初の陽性者が確認されました。その三日後から、県としてのブリーフィングを毎日実施いたしました。次に、四月になりまして県のコロナ本部を設置したのですが、沖縄県では、当初から県の災害医療コーディネーターの先生方に本部に常駐していただき、広域的なリアルタイム入院調整をOCASというシステムを使って行っております。OCASについては後ほど説明をさせていただきます。その年の八月には、第二波の本格的な流行があり、本部機能を拡充することを余儀なくされました。具体的には、自宅療養者の健康観察のためのコールセンターの設置、それから、療養型病院でも施設内療養がありましたので、福祉施設を支援するセクション、そして、このときは全国の自治体及び自衛隊の方から看護師派遣の支援を受けましたので、その確保と調整のセクションなどを新設いたしました。令和三年になりますと、冬休み、ゴールデンウィーク、夏休みといった人の動きが活発になると感染も拡大するということを繰り返し、特にデルタ株による第五波では、これまでで最多の重症患者、一日三十九例が発生しました。令和四年になりますと、年末年始からオミクロン株が一気に感染拡大したため、成人式を控えた一月九日に蔓延防止等重点措置を発令いたしました。このときは、高齢者施設内で医療提供をするための支援を県の医師会に県として要請を行ったり、それから、救急外来に軽症患者が殺到しましたので、抗原キットの自己検査によって医療機関を受診せずに登録する仕組みをつくりました。最後に、BA・5による第七波では過去最多の陽性者が発生し、医療フェーズで緊急フェーズというのを初めて発動しまして、医療非常事態宣言を出して、一般医療を制限しながら対応に当たったという経緯でございます。十月二十八日現在の陽性者数の累計は、県人口の約三四%に当たる五十万人余りと、三人に一人が感染したというふうなこととなっております。ページをめくっていただきますと、次はグラフとなっていまして、令和三年の七月、デルタ株以降の年代別の陽性者の推移でございます。第六波のオミクロン株の際に、最初に、この赤い二十代が急激な拡大を見せたというのが特徴的ですけれども、その後の流行では、十代、十歳未満から流行が始まっているようにも見えます。ちなみに、一番ピークになっています今年八月の一か月間の陽性者数の数は約十一万五千人、デルタ株、令和三年の八月一か月間の陽性者数は一万七千八百人、そして、先ほど述べました第二波、令和二年の八月の一か月の数は千七百人余りと、年を追うごとに桁違いに増えてきているという状況でございます。次のページもグラフとなりますけれども、これは、医療機関でコロナあるいはその他の理由で休業しているスタッフの人数の推移となります。これも、横軸は同じく令和三年七月から現在までとなっていますが、今年の一月にスパイクが見られ、一旦下がりますが、前のページの感染状況と同じように、休業するスタッフの数もかなり増えたという状況が見て取れると思います。次のページを御覧ください。少し図になっていますが、これは、沖縄県における感染拡大のイメージ図のようなものでございます。図の上の方を見ていただくと、移入例という文字が右の方にあると思います。沖縄県は離島でございますので、感染ゼロがしばらく続いた後は、必ず外から持ち込まれて感染が拡大します。それは、帰省客、観光客、そして、オミクロンの場合は米軍基地内からの持込みというふうなことが考えられます。そのウイルスは、飲食、接待の場で主にやはり広がります。飲食店が多い、酒を飲む時間が長い、あるいは模合という集団飲酒が定着していることなどがそれに影響しているのではないかと考えています。その後、ウイルスは家庭や職場、学校というところに持ち込まれ、一番下の介護施設、医療機関に入り込み、その中でハイリスクと言われる高齢者が重症化したり、亡くなったりするということをこれまでも繰り返しておりましたが、第六波以降では、学校で感染した子供がまたおうちに持ち帰って感染がつながるというふうな、そこで感染がぐるぐる回っているというふうなところが続いていたと考えています。左側の列に書いていますのは、沖縄県民の生活環境、ライフスタイルで、感染拡大に影響したと思われる項目を記してございます。それから、同じ、右側の外側の矢印は、ワクチン接種率が低いためにこの感染の拡大が加速したのではないかというふうな可能性を示しております。今年に入って、沖縄県の専門家会議の医療関係者から次のような意見がありました。現在、コロナに関しては二つの世界がある、一般社会では、行動制限や感染の封じ込めもなくなり、ウィズコロナという名の下に自由になりつつあるが、医療と介護だけは相変わらずゼロコロナを目指して、一例出たら積極的に患者を探す、封じ込めを行っている、もちろん飲み会もできない、自分たちはこの両方の世界を行き来して仕事を行っているので、そのギャップに心が折れそうになっており、この二年半の間で一番今がきついと思うのはそういう姿を見ているからであるというふうなことが非常に印象的でございましたので、この図の中にも、その境目に線を引いて、今、ゼロコロナとウィズコロナが同時に行われているということを示しております。次のページをお願いします。ここからは、沖縄県の特徴的な取組の御紹介をさせていただきます。これは、県の対策本部で最も大きなスクリーンに毎日投影しているOCASというシステムでございます。災害医療コーディネーターの米盛医師が中心となって開発をいたしました。仕組みとしましては、クラウド上、グーグルドライブの中にスプレッドシートを置きまして、各医療機関からリアルタイムで入力をしてもらうというふうな仕組みとなっています。重症度別の入院患者数、新規受入れ可能数、非コロナ病棟の患者数、そして、先ほどのスタッフの休業者数など、様々な項目を入力、御協力いただいておりまして、それを基に入院調整を行っております。特徴としましては、高い汎用性。これは、スマホからでも入力、閲覧が可能ということでございます。それから、導入が迅速である。お金もかからないで、そのままアクセスできる。複数の機関からの同時入力も可能で、何よりも、医療機関が日々の正確な情報をきっちり入力していただくということで、透明性のある情報提供につながっており、これを県全体で共有しながら対応に当たっているという状況でございます。現在、第八波のインフルエンザ同時流行が懸念されておりますけれども、沖縄県では、このOCASというシステムに新たにインフルエンザ入院患者数をこの冬は入力してもらおうということで、ちょうど今日から、十一月一日から入力を依頼するということで医療機関に今説明をしている、こういう状況でございます。次のページを御覧ください。これは、私たちはRADECOと呼んでおりますが、抗原キット配送の仕組みということで、今年の五月に、特に小児の患者が増加が続きまして、救急外来に子供たちが殺到したということがありました。下線にありますように、有症状の小中高校生のいる世帯に抗原キットを直接配布するという事業を開始いたしました。配布するキットは、本人の分だけではなく同居家族の分、そして、複数回できるような形で多めに配送していますが、この仕組みは、実は東京都の方が先に行っているというのを、東京都の方に来ていただいて、支援を受けてつくったものでございます。沖縄県の場合は、これで陽性となった場合に、受診をせずにオンラインで登録する仕組みが既にありましたので、医療機関を受診することなく発生届を出すということが可能となりました。自宅で検査して、学校現場での感染拡大それから医療逼迫の回避につながったものと考えております。最後のスライドを御覧ください。新型コロナ対策は、感染症対応と災害医療対応の二つの側面を持ち、感染状況に応じて、両者を組み合わせてバランスよく対策を行うことが重要と考えています。今、自治体の方では、県のコロナ本部が解散をした後のことを考えて、この機能をどうやって引き継ぐか、特に災害医療に関するところを保健所でできるのかというふうなことなどを議論しているという状況です。病床確保については、あらかじめ医療機関に約束した数を確保してもらっているんですけれども、実際には、院内感染でスタッフが休んでいるとか、あるいは非コロナ病棟がかなり逼迫していて受入れが難しいというふうな各病院の事情がございますので、沖縄県は、この情報も全てOCASで対応しながら、それぞれ可能な病床、ベッドを確保してもらうというふうな形で、柔軟な入院調整の仕組みをつくり上げております。三つ目ですけれども、救急を含む外来の逼迫解消に抗原キットは一定の役割は果たしているというふうに考えているんですけれども、そもそも、コロナ医療に参加する医師、かかりつけ医、外来の診療の先生方を更に増やして、ほぼ全ての医療機関で診療する体制をつくることが本来あるべき姿ではないかと考えます。最後に、コロナ対策、今のコロナ対策の今後の見通しを示すために、先ほど言いましたように、私たちがウィズコロナと呼んでいるのは具体的にはどういうふうな社会なのかというのを、住民や、先ほどありました医療、介護の従事者とも共有することが必要ではないかと考えています。インフルエンザのように、ある程度の流行は許容するのか、あるいは、今の、医療、介護だけゼロコロナというのがしばらく続くのか等についての議論は、今後の出口戦略のために必要であると考えている次第です。以上となります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○三ッ林委員長 ありがとうございました。次に、加納参考人にお願いいたします。

○加納参考人 日本医療法人協会の加納でございます。この度は、このような貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。また、コロナ禍におきまして病院等に非常に多くの支援をいただきましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。それでは早速説明に入らせていただきますが、お手元の資料の、こういうリーフを見ていただければと思っております。それでは、説明に入らせていただきます。まず、二ページ目、これは私が主張しております、二・三・四、八・七・六の法則についてでございます。公立・公的病院を称して公的としまして、公的は、病院数の二割、病床数の三割、救急搬送受入れ数の四割を占め、それに対し、民間は、病院数の八割、病床数の七割、救急搬送受入れ数の六割を占めているということで、公的と民間を比較し、分かりやすく表現したものになっております。日本の民間病院が医療を主体的に担っているということがこれで分かるかなと思っております。救急搬送の割合が、公的に対して、病院数、病床数に比較して比率が低いのは、効率が悪いわけではなく、この八割、七割の中には精神科や慢性期専門の病院が入っているからであります。急性期のベッド数で比較しますとちょうど四対六になり、これもトータルとしましたら民間主体ということで御理解いただきたいと思います。三ページは、その根拠となる数字でございます。四ページは、救急搬送を都道府県別にした総務省からの資料を基に作成した資料でございます。それを基に、五ページは、左は民間の救急搬送受入れ割合が五〇%を超える民間優位の二十の都道府県で、右が公的優位な二十七の県であります。左の二十の都道府県は日本の総人口の三分の二を占めており、片や、右の二十七の県は総人口の三分の一であります。人口密度の低いところでは、今の診療報酬では急性期医療の維持は難しく、税金を投入した公的病院が地域医療を守っていかなければなりません。一方、大都市圏は、民間病院主体で地域医療を守っているということがよく分かっていただけるかと思います。六ページは、今申し上げたことを日本地図で表現させていただいております。七ページは、各都道府県における今後の高齢化状況と、医療提供体制の実態でございます。御参考までに御覧になっていただきたいと思っております。八ページですが、公的病院と民間病院の違いを示したものであります。民間にできない政策医療をするということで、総務省から毎年八千数百億円以上の税金による繰入金が投入されております。平均的にしますと、一日当たり、一ベッド一万三千円の補助を受けていることになります。もちろん、感染症は政策医療の一つであります。さらに、公的と民間と全く異なるのが、税金に関してでございます。固定資産税を含め、完全にオール非課税が公的病院でございます。一方、一般の民間病院の多くは、株式会社と同様の額で税金を払っておるわけでございます。こういった公と民との違いがあるということを御認識いただきたいと思っております。九ページから十二ページは、私の病院がある人口数全国第三位の大阪府の、コロナ禍でコロナ入院患者を受け入れた実際の数を設置主体別で示したものであります。直近では、民間が六五%の入院患者を受け入れております。十ページを見ていただくと、第三波以降は民間主体で受入れが行われていることが分かっていただけるかと思います。十三ページで、大阪の第一波から第七波までの状況を数字でまとめております。十四ページですが、これは欧米との比較です。縦軸は対数ですので、日本はさざ波状態であったことが分かります。欧米は、急性期医療を集約化し過ぎて、第一波で、急性期大規模病院を中心にコロナ患者また一般の救急等の急性期患者が集中し、それらの病院を中心に感染爆発を起こしたと考えております。一方、日本では、ある意味、役割分担ができていたと考えております。十五ページは、コロナ禍の救急搬送がどのようになっていたかを示す、千葉市消防局が作成したグラフです。左の数と折れ線グラフが出動件数、右の数と棒グラフがコロナ陽性者の搬送数です。第五波の多いときでも、コロナ患者の搬送は、全搬送患者の一割を少し超したぐらいで、ほとんど数%で推移しております。コロナ禍を通して、不要不急でないコロナ以外の救急患者が、コロナ患者の十倍近くあったということが分かります。その患者層を日本の医療はほぼ完全に対応してきたと考えております。十六ページは、国内におけるECMOの治療状況です。コロナ禍の二年半近くで、千二百数十人がコロナ治療の中でECMOの治療を行いました。助かった人は八百人超えです。ECMOなしではコロナ対応が病院ではできないようなイメージをマスコミ等で与えられておりましたが、決してそうでなく、日本は、この数ですと、十分に既存の救命センター、大学病院等で対応できていたと考えております。十七ページですが、現在審議されている感染症改正案の概要です。感染症対応の医療機関として、公立・公的医療機関等、特定機能病院、地域医療支援病院に協定締結を義務化し、その他の医療機関に関しましては、実施に協力するものとするとされております。また、初期対応を行う協定締結医療機関には、流行前と同水準の医療の確保を可能とする措置、いわゆる財政的な措置を導入するということで検討が進められております。十八ページですが、新型コロナ感染症への対応から学んだことのまとめでございます。一つ目は、大都会においては、多くの民間中小病院が主体的に受入れを行ってきたという実態であります。二つ目は、ECMO治療の実績から考えますと、ECMO治療を行う病院は充足しており、決して大規模病院を更に増やす必要はないということでございます。今後、新興感染症のパンデミックのときには、今回の新型コロナウイルス感染症対応の実績をしっかりと検証し、現実的な対応を考えなければならないと考えております。十九ページに進みます。これは、病院団体合同で、一昨年、第一波直後に会員病院の経営状況を調査した結果でございます。これを見ていただくと、もちろん受入れ病院の方が大きく落ち込んでおりますが、コロナ患者入院受入れの有無にかかわらず、前年比大きく損益が悪化し、全病院への支援策は必須だということが分かっていただけるかと思います。二十ページ、二十一ページでございます。これは、独立行政福祉医療機構、WAMが毎年調査、公表している資料でございます。対象病院はほぼ民間病院であります。急性期の一般病院では、ふだん一%前後ある医業利益率が、マイナス一・一と赤字に転落しております、令和二年度の数字でございますが。補助金が全額入った次のページの経常利益率では、ここしばらくの例年の利益率、約二%近くの一・九%に回復していることが分かるかと思います。二十二ページでございますが、これは、公認会計士の石井孝宜先生が作成された実調の資料を引用させていただいております。この資料では、二つの大きなことがお分かりになっていただけると思っております。一つは、コロナ関連の補助金で損益が持ち直しているということ。もう一つは、公立・公的病院等の方が、医療法人に比べて、医業損益率が悪いにもかかわらず、コロナの関連の補助金によって経常利益率がはるかに高い率となっていることでございます。従前からの多額の繰入金を投入されていることに加え、更にコロナ補助金が投入された結果、かつてない利益を計上いたしました。公的へのコロナ補助金が適正な水準であったかどうかということは検討すべきだと考えております。最後の二十三ページです。福祉医療機構の調査から、今回の補助金等の支援金は、民間病院にとっては本当に適切な水準であったと言えます。この水準を考慮し、次回以降の補助金等の支援金設定を要望いたします。また、流行初期段階から遅滞なく、速やかなる支払いをお願いしたいと思っております。当院では、二〇〇九年の新型インフルエンザの補助金により、陰圧装置六台、人工呼吸器、PPE等の備蓄を行っておりました。今回の新型コロナにおいては、大阪府では、民間病院ですが、多くの公的病院よりもいち早く対応できたと自負しております。備蓄の重要性を是非とも御理解いただき、民間病院にも平時から補助金の支援体制を再構築し、継続していただくよう要望させていただきたいと思っております。以上、私からの説明とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○三ッ林委員長 ありがとうございました。次に、大曲参考人にお願いいたします。

○大曲参考人 国際医療研究センターの大曲と申します。本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。私は、現場で感染症の診療をする医師でありまして、同時に、研究開発にも関わっております。コロナには二〇二〇年の一月から対応してまいりました。そこで、現場で感じたところの所感ということで本日はお伝えをしたいと思います。まず一点目なんですが、今回つくづく感じたのは、やはり感染症は、ほかの健康危機、災害と同じように、明確に危機管理の対象としていただきたいというところであります。本当に、パンデミックの社会と医療に及ぼす影響は広域災害そのものだなというのが我々の実感であります。ただ、現実には、感染症は災害と同じようには位置づけられていないというのが現場で感じるところです。端的には、医療体制が、感染症のときには、災害向けのときのようには機動的に導入されないといいますか、という点があると思います。新型コロナに関しましては、特措法ですとか、あるいは感染症法、あるいは医療法を通じて対応はなされました。ただ、現実に何が行われたかといいますと、公衆衛生対応がやはり先に来ます。要は、これまでの考え方で、まずは隔離をする、封じ込めをするということが先に来まして、医療対応というのは実は余り具体的には落とし込まれていなかったと思っています。そこが、医療対応が機動的に行われなかった、行えなかった理由の一つではないかと思っております。今回、感染症法の改正の議論の中で、感染症法に基づくいわゆる基本指針と、そしてそれを都道府県ごとに落とし込んだ予防計画があるのと、それだけではなくて、医療法に基づく基本方針、そして都道府県レベルの医療計画があるわけなんですが、これらの両方がうまく運用されることで、公衆衛生対応が中心ではなくて、医療対応も同時に、災害対応と同じようにいずれも遅滞なく行われるようになる、そのようになることを我々としては望んでおります。二点目は、実際の医療の確保であります。感染症有事に医療をどう確保するかという点でございます。特にパンデミックの初期でありますが、入院医療を支える医療機関の数、それとベッドの数が非常に少なかったという状況がありまして、感染症指定医療機関等に患者が集中したという現実がございました。我々は東京で第一波を経験しましたけれども、我々の病院の集中治療室のベッドは全てCOVID―19の患者さんに埋め尽くされたという状況がありました。もう皆さん、人工呼吸をつけているわけです。そういう経験というのは、我々はしたことはないわけです。ただ一方で、ほかの医療機関を見ますと、医療資源はある、人もいる、しかし、現実には患者さんが入院できないという状況がありまして、やはりじくじたる思いがあったことを強く覚えております。やはり感染症指定医療機関のみで患者さんを受け入れていくことは不可能であって、ほかの医療機関もパンデミックの最初の段階から医療体制に組み込んでいくことが必須であると痛感をいたしました。ですので、それができるように指揮命令系統を整理をしていただいて、それとともに、病院がちゃんと参加できるように地方自治体と医療機関の間で協定を結んでいただく、そういう議論が今ございますが、それは必要であると感じています。また一方で、当初、医療機関の受入れが進まなかった背景には、それは感染へのおそれ等もあるのだとは思うんですが、現実には、収入の減少が十分に起こり得る予見性が高かったわけですので、その保証がない中でなかなか乗り出せなかったという医療機関の事情があったと思います。そこに対する手当ては是非お願いをしたいと思います。また、もう一つは、感染の早期から、診療する場所、あるいは患者さんの移動、これに関して、是非、柔軟性を持たせていただきたいというところを痛感しました。特にパンデミックの初期は、患者さんを動かすことに非常に大きな制約がありました。ですので、自宅にいらっしゃる患者さんに病院に来ていただいて診るといった対応は極めて難しくて、現実にはできなかったということがあります。隔離は大変大事なのですが、今回のパンデミックで我々が学んだのは、まずは医療だ、ちゃんと患者さんを助けることが先に来るべきでありまして、そこができるような体制は必要だと思っています。また、医療体制の整備に関しましては、私は感染症指定医療機関の人間なので、あえて申し上げたいのですが、感染症指定医療機関で、いわゆる封じ込めをするだけではなくて、研究対応能力の強化ということも御検討いただきたいと思います。なぜならば、患者さんがまず入るのは感染症指定医療機関だからなんですね。感染症、特に未知の感染症の発生後に、いかに迅速に研究開発を行って、ワクチンや治療薬やそして診断薬を社会に送り込めるか、これがその後の社会としての対応の成否を決すると思っています。これはもう実感であります。実際、今、G7で百日ミッションという計画も進められています。ただ、これを実際に達成しようとしますと、患者さんからいただいた情報と検体を直結で研究に活用する必要があります。そのためには、診療の最前線にある指定医療機関の研究機能の強化が私は必須だと思っています。また、日本における感染症に対応するための研究体制そのものも、やはり一度見直す必要があるだろう。従来は保健医療という中での枠組みで考えられていたんだと思うんですが、やはりもう感染症は危機だというのはコンセンサスだと思いますので、その危機管理の観点から枠組みを御検討いただきたいと思っております。三点目は、人材であります。特に、感染症有事における医療人材の派遣であります。我々、ダイヤモンド・プリンセス号の対応をいたしました。多くの職員を実際に横浜の大黒埠頭に送りました。一方で、その人員を割かれている中で、実際、入院診療を行う必要もありまして、人材の確保には非常に苦慮したことを覚えております。実際に、行政の側でもサージキャパシティーとなる人員の確保に本当に苦慮されていたということを覚えております。当時、私は、米国の保健省のチームが日本に来ておりましたので、一緒に仕事をする機会がありましたが、どうやって来ているのか聞きましたら、保健省内では緊急時の対応人材の登録制度がある、こういうときは手挙げをする、その中で人を選んで連れてくるということをおっしゃっていました。つまり、登録制度があるということでありました。CDCの職員も基本的には全員登録している、そういったことをおっしゃっておりました。日本でどうかといいますと、災害領域にはDMATがあります。ただ、感染症ではそのような仕組みはまだまだないというところであります。ですので、感染症においても、国によって定められた広域の医療人材の派遣、この仕組みがやはり必要であると思います。そこで問題となるのは、やはり所属施設あるいは個人の問題でありまして、所属する専門家には、その所属先からそもそも就職のときに、職務記述に感染症への有事対応をちゃんと組み込んでいただく、そうすれば、有事のときには、派遣元の機関ですとか派遣される専門家本人も心配なく派遣されるというところへつながると思いますので、そのような制度が必要だと思っています。また、感染症医が少ないということを大変御心配いただいておりまして、本当に申し訳ございません。ただ、少し事情がございます。感染症の診療は大きな診療報酬を生みません。ですので、医療機関としては、感染症医の雇用は極めて難しいという状況があります。ですので、専門家を増やすには、そもそも採用枠を増やすことが必要であります。保険医療の収入だけでは賄えない現実がありますので、ほかの形での支援が必要であるということも申し伝えたいと思います。もう一つは、感染症有事の情報の管理でございます。感染症法に基づく届出の電子化ですとかNDB等の既存の診療情報やワクチンのデータベースのリンクは、これで得られる情報が重要な疫学情報として国の対策に直結しますので、必須であります。一方で、このデータは、ワクチンや治療薬や診断薬の迅速な研究開発、あるいはその後のフォローアップにも必須であります。是非進めていただければと思います。リアルワールドデータとよく言われますけれども、本当にこの研究開発に必須でありまして、実際、米国ですとかイスラエルが、ワクチンを社会に投下した後に、その効果を実際にこのリアルワールドのデータを見ながら検証していて、政策をつくっているという現実を御紹介をしたいと思います。その中で、お願いが二つありまして、一つは、医療機関での入力負担の軽減を是非御検討いただきたい。端的には、医療機関には電子カルテがありますが、この情報がそのまま届出等には使えない、リンクがされていないという状況がありますので、それは進めて、リンクさせていただければと思います。あとは、二点目は、こうやって得られた、リンクされたデータをやはり迅速に利活用されることが極めて重要なので、国ですとか国家機関だけではなくて、第三者、例えば研究者ですね、でも迅速に利活用できるように是非していただければと思います。最後に、検査についてであります。都道府県の衛生研究所でのキャパシティーの拡大は極めて重要であります。ただ一方で、検査は、公衆衛生対策だけではなくて、実際には、医療体制の維持ですとか、院内や施設での感染防止対策に必須です。ですので、パンデミックの発生直後から、自治体だけでなくて医療機関でもその裁量で検査ができる、そういう体制をつくっていただければと思います。そうしないと、救急車の受入れも止まりますし、院内感染が起きても検査ができなくて広がってしまう、結果的には有事に医療が止まるということが起こりますし、実際にこれまで起こってきたことであります。実際、我々、二〇二〇年の三、四月には、検査を拡充しようとしたのですが、検査機器はあるんです、でも、実際には試薬が全部欧州に回ってしまって日本に何も来ないということで、自施設で検査がなかなかできなくて苦しんだことがありました。やはり、検査機器ですとか試薬というのは、地味ですが、戦略物資なんだなということを痛感したわけでありまして、その確保は重要であります。ですので、今後は、公衆衛生と医療の現場、両方で早期から検査が活用できるように、感染症の発生の直後から官民で連携をして、検査試薬や機器の開発、そして供給のための枠組みをつくっていただければと思っております。私からは以上でございます。(拍手)

○三ッ林委員長 ありがとうございました。次に、佐々木参考人にお願いいたします。

○佐々木参考人 日本医療労働組合連合会の中央執行委員長、佐々木悦子と申します。本日は、医療現場で働く労働者の立場で率直な意見を述べる機会をいただいていることにまず感謝いたします。ありがとうございます。時間の制約もありますので、三点に絞って意見を述べさせていただきたいと思います。まず初めに、最も伝えたい点ですが、この感染症法等の一部を改正する法律案については、医療や公衆衛生現場の人員を増やす必要があるという視点がどこにもないというところです。例えば、法案では、平時からの備えを確実に推進するためとして、様々な体制整備について触れられていますけれども、人材の養成、そして資質の向上として、医療従事者や保健所職員等の研修、訓練回数の数値目標例を出しているだけで、圧倒的な人員不足を解消するための目標はありません。感染症発生、蔓延時における広域的な医療人材派遣を行うとし、逼迫していない地域の県知事が、平時の協定においてあらかじめ県外に派遣できる医療人材をリスト化して、状況に応じて派遣人材を調整するとしていますけれども、公立・公的病院はもちろん、感染症に対応する民間の医療機関も含めて、平時からゆとりを持った人員配置ができている医療機関等は恐らくないと言っても過言ではありません。どの病院でも、三百六十五日、看護師の募集をし続けているのが現実です。コロナ禍においても、大阪や沖縄の医療機関が感染者の受入れ困難となり、他県からの医療従事者の派遣要請を行いましたが、それでも間に合わないために、沖縄などでは自衛隊の看護官の派遣要請を繰り返していたように、必要とされていた数の医療従事者派遣にはなっていなかったはずです。そして、派遣要請に応えた医療機関では、自分の病院の医療体制が厳しくなり、医療縮小や、看護師は休みも取れず、長時間労働となり、夜勤回数は夜勤協定を大きく超えるような、厳しい勤務環境にならざるを得ませんでした。内容については、フリップを御覧いただければというふうに思います。また、第六波で臨時医療施設を設けた三十二都道府県のうち二十七道府県が、使用率が一〇%以下だったというふうに聞いています。理由は、若年層の受入れを想定したものが多く、介助などが必要な高齢患者に対応できなかったのが要因と見られるというふうに報道されていました。結局、感染者の療養施設を急ごしらえできても、実際に対応できる医療・介護従事者がいないのですから、機能できなくて当たり前というふうに思います。DMATについても、特定の地域での災害発生時であれば、登録している医療機関や従事者がどうにか派遣要請に応えられるように努力できますが、予備的に人材を確保しているわけではありませんので、全国的な感染拡大時にはほとんど機能できないというふうに思います。保健所の体制強化についても、県と保健所設置市との連携強化や、国や県の総合調整権限等の強化、そしてIHEATの活用を打ち出していますけれども、感染者や、感染を心配する人、そして濃厚接触者への対応は、圧倒的な人員不足により実務がこなせなくなっての機能麻痺であったはずです。そのことは、医療機関側からもはっきり理解できました。保健所との連絡が取れずに不安になっている住民への対応や、保健所機能を補う意味もあって発熱外来を設けても、その発熱外来すら逼迫する状況は、そもそもの公衆衛生体制が余りにも脆弱過ぎるということを証明したのではないでしょうか。根本的に、保健所設置数の拡充や直接雇用の保健所職員数を増やすことなしに、連携や権限強化などで解決できる問題ではないというのが現場の意見です。以上、複数の観点から指摘しましたが、平時から人員不足が常態化している医療や公衆衛生体制に一定の余力を持たせた人員配置を行わない限り、伸び切ったゴムが切れてしまい、またもや医療崩壊や介護崩壊、そして保健所機能麻痺を繰り返すだけであることを強く指摘したいと思います。次に、医療機関に対する医療提供義務の強化を行う点について述べたいと思います。感染症発生、蔓延時に確実に稼働する医療提供体制を構築するため、実効的な準備体制を構築するとして、指示権等を創設し、協定の履行を確保するとしていますけれども、この点でも、人員不足の対策に手をつけないまま医療機関に病床確保の計画を立てさせ、そして、感染時にはその計画の履行を罰則つきで求める仕組みをつくったところで効果は期待できないことは、この間のコロナ禍での医療崩壊が実証しています。フリップを御覧ください。昨年十月十五日に、岸田首相が、感染力が今夏の第五波より二倍になっても対処できる医療提供体制の整備を要請するとした以降に、私たち医労連は緊急現場実態調査を実施しましたけれども、重症病床を増やせた病院は九・九%、そして中軽症病床を増やせた病院は二七・三%にとどまっています。回答を寄せた医療機関は公的病院が中心であり、そのほとんどがコロナ陽性者を既に受け入れており、第六波に備えて更なる受入れ体制拡大を要請されても、それに対応できる人員体制がなく、応じられなかったと理由を述べています。そして、公立・公的病院に対しては、感染症発生、蔓延時に担うべき医療の提供を義務づけるとして、罰則も盛り込んでいますけれども、一方で、公立・公的病院の再編統合リストは撤回せず、地域医療構想の推進とともに病院の統廃合を進めている地域は複数見られます。強力な権限をもって義務化をしながら、一方で公立・公的病院の数や病床数を減らしていくことに、私たち医療労働者も憤りを強く持ちますし、疑問を感じない地域住民はいないというふうに思います。最後に、医療機関への財政的支援に関して意見を述べたいと思います。コロナ禍で経営的に厳しい状況に追い込まれたのは、全ての医療機関です。私たちは、この三年間、常に、全ての医療機関や介護施設への財政支援を行うべきであると繰り返し国に要請してきました。コロナ陽性者を受け入れる病院は、もちろん、大変な状況の中で奮闘しました。しかし、コロナ患者を受け入れることを優先するために一般医療を縮小せざるを得ない状況が発生し、その一般医療を担った地域の医療機関はたくさんあります。また、保健所機能も麻痺をして、発熱外来にもアクセスできない方々は、受診制限されても、不安が強くて一般医療機関を受診する人たちもあります。全ての医療機関が感染者対応を余儀なくされ、感染拡大で通常医療が影響を受け、患者減ともなりました。コロナ陽性者を受け入れる医療機関だけを財政支援し、それ以外にもコロナ禍の影響を受けている医療機関を切り捨てれば、地域医療は崩壊します。この教訓に全く目を向けずに、今回の改正案でも、初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関だけに財政支援の仕組みを限定していることは、国民に必要な医療が成り立たなくなることを強く懸念しています。実際に、公的病院の中には、コロナ禍が収束して財政支援がなくなった先の経営を不安視して、今年四月の看護師の新採用者数をゼロにした病院も複数確認しています。このような状況で、次の備えどころか平時の地域医療も成り立たなくなることは、私たち医療現場から見れば非常に危機的な問題であると受け止めています。また、費用負担において、公費と保険者の負担割合を半々にすることも、感染症対策費用は国の責任で行ってきた姿勢を投げ捨て、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないとする国の責任を後景に追いやることにつながると感じます。私たち医労連は、医療・介護現場に責任を持つ労働者の立場から、今回の改正案では今後の感染拡大に対する備えにはなっていかないと考えています。抜本的な対策は、繰り返しになりますが、医療や介護、公衆衛生の現場にもっと人員を増やすことです。平時から一定の余力を持たせた体制を確保してこそ、有事の際の確かな備えになることを強調して、意見表明とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○三ッ林委員長 ありがとうございました。以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。これより参考人に対する質疑を行います。質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩崎彰久君。

○塩崎委員 おはようございます。衆議院議員の塩崎彰久でございます。まずは、本日、五名の参考人の先生方、御多忙の中、この委員会に御出席をくださいまして、そして、専門的な見地から貴重な御意見を賜りましたことを心から御礼申し上げたいと思います。今日という日は、私にとっては特別な一日でございます。というのも、まさに一年前、昨晩になりますけれども、初めて国政の場に送り出していただきまして、議員として活動をスタートしたのが一年前でございます。あの頃は、コロナの第五波がようやく一段落をしてきて、平静を取り戻してきた時期でございました。二年前のこの時期、では、何をしていたかというと、私は、当時弁護士として、資料でもお配りをしております新型コロナ対応・民間臨時調査会、こちらの共同主査として、政府の第一波、第二波、こちらの対応について独立した立場から検証をさせていただいておりました。この検証報告書の中で、我々は、「同じ危機は、二度と同じようには起きない。しかし、形を変えて、危機は必ずまたやってくる。学ぶことを学ぶ責任が、私たちにはある。」という結論を出させていただきました。残念ながら、予言は実際に現実のものとなってしまったわけでございますが、今日は先生方のお話を基に、我々はこの二年半で何を学んだのか、そして何を学ぶべきなのか、こういったことについてお話を伺ってまいりたいと思います。まず最初に、脇田先生にお伺いしたいと思います。有事への備えということでございますが、先ほど、脇田先生のお話の中でも、パンデミックに対する人員体制、こうしたものについて予算や人員が削減されてきてしまった、そういうお話がございました。我々の報告書の中でも、まさにこの備えの弱さということを指摘させていただいております。実は、二〇〇九年の新型インフルエンザが流行したときに、その対策の総括会議の中では、国立感染研、保健所、地方衛生研、こういったところの人員体制の強化、これが明確に方針としてうたわれておりました。しかし、開けてみれば、この人員体制は予算制約の中で徐々に削減されてきてしまう、そして約束されていたPCR検査体制などの物資の備え、こうしたものもままならない状況でございました。なぜこんなことが起きてしまったのか。厚労省の方に聞くと、喉元を過ぎれば熱さを忘れてしまった、こういう証言をいただきました。そこで、脇田先生にお伺いしたいと思います。今回、改正法の中では、この備えについての数値目標の設定など、こうした備えをしっかりやっていくことがうたわれておりますけれども、改めて、またこういう同じように熱さを我々が忘れてしまうということがないのか、この予算をしっかり確保していくためにはどういったことを留意していかなければいけないのか、御意見を伺えればと思います。
○脇田参考人 お答えしたいと思います。新型インフルエンザの総括会議は二〇〇九年にありまして、そこには、先生おっしゃるとおり、明確に、感染症研究所、地方衛生研究所そして保健所の人員確保、予算確保、そこはしっかりと書かれているということであります。我々も、当時私は感染研の一部門の部長をやっておりましたけれども、その後もやはり人員削減、予算削減という中で、もちろん、公的な機関でありますので、事務の効率化でありますとか業務の効率化はしっかりやっていかなければいけない。ただ、方向性としては、いかにしてそういった有事に備えていくかということは常に念頭に置いて業務をやってきたということであります。ただ、やはり、そういった有事、どういったものが今後本当に来る可能性があるのか。もう二十一世紀ですね。これは感染症の世紀になるんじゃないかということが言われております。ですから、我々は、今は国際的な状況にもありますので、常に新たな感染症に備えておく、そういった備えが必要ということになりますので、そういった見地から、平時においてはどのような機能が必要なのか、そしていざ有事になったときにどういった機能をそこに上乗せしていかなければいけないのか。我々がよく言っているのは、サージキャパシティーという言葉がございます。当然、自衛隊等であれば、平時は何もないわけですから訓練等をしているということなんですけれども、我々の研究所においては、ただ訓練をしているだけというわけにはまいりませんので、そういったときにどういった在り方ができるのかというのを常に考えています。そのときにやはり重要だと我々考えているのは、先ほども少し述べたんですけれども、我々、病原体の研究をやっています。それぞれの病原体に対しては、ほんの数人のグループをつくってやっているわけですけれども、どの感染症が来るかは分かりません。そういったときに、やはり横断的な研究部門の充実化を図るということで、どんな病原体、感染症が来ても対応ができるような、横断的な研究部門の人はそこへすぐに対応することができるという形で対応していく。つまり、組織の在り方も効率的に備えていくということが必要だと考えております。済みません、予算をどのように確保するかというのはなかなか難しい問題で、私からなかなか申し上げることはないんですけれども、そういったことは考えておるというところであります。
○塩崎委員 脇田先生、どうもありがとうございました。まさに今から十年たったときに、今我々は喉がひりひりするような熱さを感じているわけでございますが、また忘れてしまったねということがないように、しっかりと予算も含めて体制整備、これを忘れないようにしていかなければいけないというふうに改めて思います。今、脇田先生からも調査研究体制のお話がございました。大曲先生にお話を伺いたいと思います。感染症有事、特に初期においては、未知の病原体についてその実態を把握するための調査研究、これは非常に最初の封じ込めのために大事だということでございます。ただ一方で、先生のお話の中でもありましたが、今の日本の制度ですと、臨床の現場とそして調査研究の現場が分かれている、なかなか有機的に、一体的に患者さんの情報が研究の方に回っていかない、こういった現状があるというふうに考えております。こうした点について、今回、地方衛生研究所、この機能については、機能を法定化するということになって、まだその法的位置づけ自体についてははっきりとしないという形で法改正が進むわけでございますが、臨床と研究のよりよい連携の在り方について、大曲先生の御経験などから踏まえて、今の日本の組織体制の在り方、何か見直すべき点があるのか、どういったところに留意をしていけばもっとそこを効率的にやることができるのか、御意見を伺えればと思います。
○大曲参考人 ありがとうございます。お答えいたします。議員がおっしゃった点、本当に大事だと思っています。端的には、診療の場と研究の場を、同じ場であってもいいですし、ダイレクトにつなぐようなルートをつくるということが非常に大事だと思います。ただ、一つあるのは、先ほど申し上げたように、最前線の診療の場は感染症指定医療機関でありまして、そこでは、診療に関する手当てというのはこれまで行われてきましたけれども、研究開発を行うための、例えば人員の整備ですとか、あるいは設備の整備ですとかといったところは行われてこなかったというところはあります。そこに今回は御着目いただきたい。実際、動きはもう始めておりまして、例えばオミクロンが入ってきたときも、感染研の先生方とうちのNCGMのチームで組んで、一か月で知見を出して、それは実際、政策にも反映されています。それができないわけではないけれども、ほかの指定医療機関までそこはいっているかというと、そこまではまだいっておりませんので、是非そうした点の強化を御検討いただきたいのが一点。あとは、やはりその連携という話を申し上げましたけれども、臨床現場とそして研究をされる先生方と、もうちょっと言えば、そこの先にある出口のところでお薬等を出していく企業ですね、ふだんからやはりつなげておく、プラットフォームといったものをつくっておくことも非常に重要ではないかと思います。あと、やはりデータを非常に取りやすくする体制をつくる、検体を取りやすくする体制、検体は患者さんからいただくものなんですが、それをいただきやすくする体制をつくるということと、それを第三者も含めて迅速に利活用できるようにするということが非常に重要だと思います。やはり今回、いろいろな国のデータがあります、既に既存のデータがあります、それらがつながっていて、しかも迅速に利活用ができれば、日本はこれだけのデータの国ですので相当のことができたはずなんですが、実際には、つながっていないのが非常に大きな問題で使えなかったですし、つなげようという話をすると今度は個人情報保護の話が出てきます。それは大事な話なんだと思うんですが、有事にそれをしゃくし定規に守り続けることが本当に市民のためなのかということは、よくよく考える必要があるだろうと思います。そこは、この議論を踏まえた上で、ちゃんとデータもリンクをさせて、そして利活用できるチームにちゃんと利活用してもらうというところを進めるということが大事だと思っております。以上です。
○塩崎委員 大曲先生、どうもありがとうございます。まさに臨床とそして研究をどうつなげていくか、非常に大事な視点だと思います。二年前の自民党の感染症対策ガバナンス小委員会の中でもこうした点が指摘されておりまして、感染研とそして先生の国立国際医療研究センター、こうした組織の統合、こういったことも視野に入れていいのではないか。今政府ではそういった検討も進んでいるようでございますが、まさに臨床と研究の有機的な統合に向けて、更に我々も知恵を絞ってまいりたいと思っております。ありがとうございます。続きまして、糸数先生に質問をさせていただきたいと思います。広域の医療人材の確保、こういったところについてお伺いしたいと思います。私が関わったこの民間臨調の報告書の中でも、やはり医療人材の逼迫というのは、非常に日本にとっての大きな急所であったというふうに考えております。ただ、一定の財政的な制約の中で、平時からたくさんの医療人材を全国あまねく用意しておく、これはなかなか現実的ではないということで、平時のコアキャパシティーと、そして有事のときに拡張するサージキャパシティー、これを広げていくということを提言をしているところでございます。今回は、法改正の中で、国が感染症医療の専門家を養成していくこと、そして広域に派遣をしていく、そうした仕組みが法改正の中で提言をされております。まさに、沖縄というのは、離島という特殊な地理的環境の中で、特に今回の第七波などでは非常に御苦労があったのではないかと思います。こうした広域の医療人材の派遣の仕組みについて、糸数先生の目から見て、期待されること、また運用上留意すべき点などがございましたら、教えていただければと思います。
○糸数参考人 沖縄県の経験を基にお話をさせていただきますけれども、まず、医師につきましては、先ほどお話がありましたように、感染症の専門家、主に流行当初には疫学調査が非常に必要になってまいりますので、感染研の方の実地疫学専門家等の専門人材について厚労省を通して派遣をしていただいて、現場に入って疫学調査の支援をしていただくというふうなことを行いました。それからもう一つ、災害医療という面では、例えば、施設の中でクラスターが発生した場合の施設全体の運営のためには、やはりDMATの先生方が、ロジを含めた形で施設をしっかりと支えるというふうな形がありました。これも、厚労省のDMAT事務局の先生には何回もお世話になって、沖縄県を助けていただいておりますので、そのような場面に応じた専門家がやはり必要なときに呼べるのはとても大事だと思いますし、もちろん県内でも育成をする必要があると考えております。それから、看護師さんにつきまして、沖縄県は、政府の方にも書いてありましたけれども、令和二年の八月の流行の際には、看護師人材がなかなか県内で確保できないということがありまして、全国自治体、それから自衛隊の方の看護師の派遣をいただきました。これは、やはり、沖縄県内の潜在看護師をいかに登録をしたり、確保して、実際にそういう実践ができるかというトレーニングは今行っておりますので、そのようなことを続けていくべきだとは思います。そして、最後に、保健所でかなり大きな仕事が必要になったときには、本当に保健師さんがやるべき仕事というのをしっかりと決めて、そこは保健師がIHEATなどの支援を行いながらやるんですけれども、保健所の中でも事務屋さんが行うような事務処理の仕事もたくさんありますので、そこは外部の民間の派遣会社にお願いするなど、少し、効率的に保健師さんがその専門性を発揮できるような形のプランというのは経験しましたので、それをまた今後に生かしていきたいというふうに考えております。いずれにしても、離島県であるということで、かなり多くの自治体から支援をいただきまして、本当にこの場をかりてお礼を申し上げたいと思っています。どうもありがとうございました。
○塩崎委員 糸数先生、どうもありがとうございました。それでは、加納参考人に御質問をさせていただきたいと思います。今のお話にもありましたように、我々の提言の中でも、やはり、いざというときのサージキャパシティーという意味では、お医者さんとか看護師さん、こういった方の予備役制度、こういったものを用意してもいいのじゃないか、そんなことを二年前には提言しておりました。今回の法改正の中では、今、糸数先生にお答えいただきました、DMATの拡張と、そして、民間又は公的医療機関との医療協定、こういったものが事実上の予備役というか、サージキャパシティーの確保の役割を担っていくのではないかというふうに理解をしております。そこで、加納参考人にお伺いしたい。今回の法改正の中で、新たに医療措置協定を結んで、病院には、有事に協力してもらうために、平時からしっかりと経済的な支援も行っていく、こういう仕組みを導入しようとするわけでございますが、先ほど参考人がおっしゃった、コロナ禍での民間又は公的な医療機関の様々な御苦労からして、この制度を機能させていくためには何か留意点があるか、そういった点について教えてください。
○加納参考人 委員、御質問ありがとうございます。民間病院の、私の資料で見ていただくと五ページなんですが、日本の人口の三分の二、大都市圏を中心に、やはり民間が急性期を担っているという背景がございます。こういった状況の中で、いかに民間が頑張るかということを今回の感染症法の中にも是非とも入れていただきたいということで今日お話しさせていただいているわけでございますが、民間病院は、先ほど申しましたように、背景を考えますと、財政的な背景がどうしても要る。大阪の例で、九ページを見ていただくと、当初、大阪でもやはり公的病院が最初は主体でやったということは、はっきりと割合で出ているかと思うんです。これはなぜかというと、多くの大阪の民間病院、実は感染当初は、PPE、マスクもなければ消毒薬もない、そういった中で、もしあのときに多くの感染者を受けていたら、欧米と同じように、欧米はもう急性期を集約化していますから、そこにあらゆる患者さんが来ちゃったわけですね、そういう準備もなく、爆発を起こしちゃったわけですが、多くの民間病院は、実はコロナを受け入れられなかったというのが現実だったと思うんです。入院患者さんを守るため、また職員を守るため。全く消毒薬も何もない中でそれをやれば、クラスターが起こって、大変なことが起こっていたと思うんですが、そこは避けたと。ただ、あともう一つは、経済的な背景。これは、先ほど申しましたように、公立病院には、一日一ベッド当たり一万三千円というと、私どもの病院ですと三百床ですから一日に四百万近いお金が別に、診療報酬以外に入ってきて、それで対応しようということが考えられるんですが、なかなか民間病院にはそれがない。そういったこともありますので、そういった財政的な支援。また、私どもの病院、さっき、最後に申し上げましたが、先生おっしゃったとおり、二〇〇九年の新型インフルのときの補助金制度で、HEPAフィルターつきの陰圧装置を六台購入、また呼吸器も購入しておりました。ですから、当初、ダイヤモンド・プリンセスの後、すぐ発熱外来をつくり、またすぐに患者さんの受入れができたというのは、そういう備蓄があったということがあります。そういうことで、平時から民間病院にもしっかりとした備蓄をできるような補助金体制をしっかりと構築していただくと、多分、民間病院も、当初からできる病院がもっと多かったんじゃないかなと思います。あとは、構造的な問題とかいろいろな形で、今回は民間病院がスタートの時点ではできなかったというのは事実だと思いますが、それらは個々の問題として今後対応していかなきゃいけないかなと思っております。あと、DMATもあるんですが、我々、実は民間病院でAMATというものをつくっておりまして、AMATも感染症に対する教育を始めました。いざというとき、民間病院で助け合いをしようということで、その点に関しましても、そういった対応を今進めているところでございます。以上でございます。
○塩崎委員 加納参考人、どうもありがとうございました。今回のコロナ禍が広がったとき、世界では、やはり有事には権威主義的な国家体制の方が迅速に意思決定ができていいんじゃないか、こんな意見がありました。私はそうは思いません。権威主義的な体制と違って、民主主義には失敗から学ぶ力があるからです。今日、参考人の皆様、当事者として率直に反省をお話しし、共有してくださる、そのお声を聞いて、改めてそのことを強く感じました。佐々木参考人には、時間の関係上、御質問をさせていただく時間がなくて申し訳ございません。本当に皆様に感謝を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○三ッ林委員長 次に、中島克仁君。

○中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。本日は、大変お忙しい中、五人の参考人の皆様には厚生労働委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場での貴重な陳述、大変参考になりましたし、勉強をさせていただきました。今後の審議に生かしてまいりたいと思います。時間の関係で全ての参考人の皆さんに十分に御質問できないことを御容赦いただきたいと思いますが、早速質問に入りたいと思います。私からは、まず、糸数参考人にお尋ねをしたいと思います。長期化している新型コロナウイルス感染症でありますが、これまで、拡大と蔓延、そして抑制の繰り返し。沖縄においては、先ほどもお話しいただいたんですが、米軍基地の存在や観光立県、また離島が多いという特徴から、県外からのウイルス流入機会が多く、我が国においてコロナの先行感染拡大が度々認められ、ウイルスの特徴などが、沖縄での感染状況がその後の我が国の感染対策の道しるべと言えることから、私自身もそうですし、沖縄県の感染対策、状況というのは大変注目されてきたと思います。まず、沖縄県は新型コロナ対策において、先ほども言ったように、県外からの流入、様々な事情の中で、感染拡大の経験を踏まえてまいりました。これは、水際対策を緩和した今の現状の日本ですね、日本、世界の関係との、これからどう水際対策をされていくのか、大変通ずるものがあると思います。改めて糸数参考人にお尋ねいたしますが、政府も、海外からの観光客等に日本の感染対策の状況を知らせようとしておりますが、沖縄県でも、県外からの観光客、あとは米軍基地との関係、どのように対応を取ってこられたのか。県外から来られた方への感染対策の徹底についてこれまで取り組まれてきたこと、そして課題となっていること、教えていただきたいと思います。
○糸数参考人 御質問ありがとうございます。まず、県外からの持込みに関する対応につきましては、やはり、沖縄県は玄関口が那覇空港というところに集中しておりますので、県民あるいはいろいろな方が、そこで抑えれば入ってこないのではないかという大きな期待を、ずっと私たちにも、意見として伺っていたところでございます。当初は、那覇空港の方でサーモグラフィーを設置をして、そこで感知された方に、任意ですけれども検査のお勧めをする、そこでもし陽性があったら、そこから搬送するような仕組みも考えていたんですが、やはり、任意での検査、そして、沖縄には大体、観光で遊びに来るような感じの方が、来て、陽性だったからということではなかなか応じてもらえないというふうなこともありましたので、すり抜けて県内で発生する例というのがたくさんございました。そういう経験を踏まえて、全国知事会等を通して、やはり出発地で先に検査をしていただくというふうなことをお願いをしていたところ、国土交通省それからエアライン等の方の協力がありまして、令和三年の七月二十日頃からだと思いますけれども、沖縄あるいは北海道等に行かれる方は出発前に検査をするようにと、それを実際に空港でずっとアナウンスで流してもらったり、そのために無料検査の仕組みができたりというふうなことがありましたので、一応、今は少し終わっていますけれども、出発前にしっかり検査を受けてから来るというふうなところを観光客の方には呼びかけていたという状況でございます。それから、今年の夏の流行の際には、観光でいらした方が陽性になってホテル療養となったときに、元々持病があって薬を飲んでいらっしゃる方が、薬を持ってこなかったとか、あるいは十日間の療養の分が足りないということで、持参薬を取り寄せないといけないというふうなことがありましたので、その頃からは、もし沖縄にいらっしゃるのであれば、薬をお飲みの方は多めに持ってきて、陽性になってもそこでしっかり療養するという心積もりで来てくださいというふうな形のメッセージの方を発出をさせていただきました。それから、県民が非常に関心が高い米軍基地における検疫ですけれども、沖縄県でも、令和二年の八月の前には先に米軍の方で流行しましたので、元々、海軍病院とは情報交換していますので、検疫体制について日本と同じような形で行ってくれという要請をずっとしているところです。残念ながら、昨年十二月のオミクロンの際には、米軍の方の検疫がいつの間にか緩んでいて、検査もしないで入ってきている方がいらっしゃったということがありましたので、そこは何度かやり取りをして、県としては要請をして、日本と同じような検疫で、同じ島ですから、そういうふうな対応をしてくれというふうな依頼をしているという状況でございます。
○中島委員 県外から、離島という条件また観光立県ということで、観光に来られて、そのときに感染が確認された、事前に準備をしておくというアナウンスを明確にしておくということであったり、また、米軍基地との関係性では、これまでの経験値を踏まえて、第七波ではオミクロン、米軍基地との関係性というところも先ほど陳述の中でもありましたけれども、より入り組んだ課題がある中でこれまで取り組んでこられたことは、これから入国緩和をする我が国全体にとっても大変参考になる取組だというふうに思います。続けて、糸数参考人にまたお尋ねをしたいんですが、今回、政府案においては、病床確保などを地域の中核病院に義務づけ、都道府県と病院が事前に協定を結ぶということが示されております。直近の、病床を確保されていたにもかかわらず、いわゆる第七波においては、確保されていた病床が、これは端的に言うと、医療従事者の感染であったりとか離職であったりとか、病床はあるんだけれどもその病床が稼働できないということ、その実態が浮き彫りになったということでございますが、先ほど、OCASという沖縄の取組というかシステムを御紹介いただきました。医療者の方々の感染状況、また様々な状況把握をOCASという取組で見える化しているということだったと思います。このOCASをどのぐらいの時期から始められ、そして、全国各地で第七波では特に病床確保、稼働できない状況があったわけですが、この仕組みの特徴というか、今後、季節性インフルエンザとの同時流行ということも懸念されている中で、このOCASという仕組み、その特徴をもう少し詳しく御説明いただければと思います。
○糸数参考人 OCASにつきましては、先ほど述べましたように、県としてのコロナ本部が立ち上がる際に、私と災害医療コーディネーターで議論をした際に、ちょうど二〇〇九年の新型インフルエンザのときも私は担当しておりまして、その当時は入院患者が多いというわけじゃなかったんですけれども、小児の患者については全県的に調整する必要があったために、毎日、ファクスを送って、対応できる数を病院からファクスをいただいて、それをまた返すというふうな作業を行っていたというふうなお話をしましたら、糸数さん、今はファクスの時代じゃないんじゃないですかと言われて、早速、クラウドにそういうものを置いてみんなで共有するというふうな仕組みをつくり上げて、ずっとそれが、必要によってカスタマイズしながら継続しているという状況でございます。一番の特徴は同時にリアルタイムで見ることができるということですけれども、これを運営していく中で、各医療機関が毎日そのデータを見ながら、それから院内感染で欠勤者が多いとかという情報もありますので、あそこの病院が今院内感染で苦しんでいるようだから、うちはもう少し頑張って広げようとか、互いに思いやって、思いやるという言い方は失礼かもしれないんですけれども、調整を病院間で行ったりというふうなところの動きもあったりとかするということです。ですので、あらかじめ約束した病床というのは数としてはあるんですけれども、先ほど述べたような形でなかなかそれが達成できないというふうなことはこちらとしても様々な情報を基に全ての病院と共有をした上で、どのくらい、もう少し空けられますかというふうな調整をするためのツールというふうに考えておりまして、第八波についてはやはり感染症病床、インフルエンザの患者が入院するということも多いということを聞きましたので、インフルエンザについても入力をして、この冬の同時流行を乗り越える。なお、これについても、やはり医療機関の先生方、院長先生方にしっかり説明をして、この意義について納得していただいた上で運用するというふうな形を今考えているところでございます。
○中島委員 このシステム、私、全国各地で、第七波で、病床を確保されながら、ニュースなんかで見ると、病床使用率はこのぐらいなんだ、ですが実際に現場では逼迫している、こういう状況をやはり見える化して、そして国民の皆さんと共有する、このシステムを是非、全国でも取り入れられることが今後望ましいのではないかなということで、詳細に御説明をしていただきました。病床の問題というのは、今日御出席の参考人の皆さん、人材の不足が、そもそも平時から脆弱なんだ、また民間病院の諸事情等々、本当にそのとおりだなと思って聞いておったわけでありますが、第六波、オミクロン、そして第七波になって、そもそもは、昨年の第五波のとき原則入院だったものが、感染が拡大をし、病床だけでは対応できないということで問題になっている。そして今後、秋冬、季節性インフルエンザとの同時流行を考えていくと、やはり、自宅療養される方々をどのように対応していくかということは大きなポイントだと思います。これは、済みません、全ての、五人の参考人にお一人ずつちょっとお尋ねしたいんですが、現在のオミクロン株の特性、また、今後懸念される季節性インフルエンザとの同時感染のみならず、RSウイルス感染症など冬型風邪症候群との重複感染に対応していくためには、初期診療、その後の対応、やはり地域にいるかかりつけ医を中心とした、更に言うなら、介護施設等々でいわゆるクラスター的な状況になった場合、やはり地域にいるかかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムの中で対応できるようなことが本来望ましいのではないかというふうに私は考えるわけですが、一言ずつ御見解いただければと思います。
○脇田参考人 それでは、簡単にお答えいたします。現在の状況は、やはり脆弱な高齢者の医療が非常に重要な状況だと思います。したがいまして、入院はキャパシティーの問題でもってなかなかできないというときでも、介護施設であったり、それから自宅療養でも、適切な医療を受けながら療養できる体制というものをしっかり構築をしていくこと、これは重要でありますので、特に自治体の医療の担当の部門とそれから介護の担当の部門、ここはしっかり連携していただいて、介護施設それから自宅療養にしっかりと医療が届けられるような、そういった仕組みを整備していただくということが重要だと思います。
○糸数参考人 高齢者施設も自宅という取扱いで考えますと、そこで起きていることについてどうやって医療を投入するかということがありまして、先ほど話をしました、沖縄県では、県の医師会にお願いをして、協力できる先生方に、オンラインでもいいので施設からの相談に乗ったりあるいは処方したりというふうなことをお願いするということを行ったという状況であります。やはり、かかりつけ医あるいは施設の嘱託医が実際に対応していただくのが一番いいんですけれども、なかなかコロナの経験がないということもありますので、県の感染症のドクターの有志の先生方が勉強会をオンラインで開きまして、コロナ診療は実際こういうふうにやっているんですよというふうなこと、あるいは、先生方が困った場合に相談できるコールセンターのようなものも運営して、なるべく支援をするような形で今行っている状況です。もう一つ言いますと、介護施設への職員の投入で、やはり、医療人材は私たちの方で行いますけれども、介護の人材がなかなかプールされているというところがなくて、DMATの仕組みを使って介護補助者、介護の人をなかなか送るというところがまだ整備されていないというところもあるので、そこは福祉と連携しながら、介護の方のサージキャパシティーじゃないですけれども、そういうところに人を投入できるような調整を今行っているところであります。以上です。
○加納参考人 ありがとうございます。私の資料でいきますと七ページを見ていただくと、これからの高齢者が増えるところでどういう状況かというのが一目瞭然で分かるような資料がございます。民間病院、実は、これから高齢者が増えるところに優位なところが多いということで、やはり民間病院、今一番主体的にやっていますのは二次救急でございます。その在宅、救急という形を、在宅医療と密接に結びつけることによって、コロナ患者さんも対応できるんじゃないかなと考えております。私が一つ提案しているのが、二次救急病院が持っている救急車を利用して、チームをつくって、在宅でどうしてもかかりつけ医の先生方が診られない患者さんがあれば、逆に二次救急の方からチームで行く、PPEを備えた部隊が行くという形の形式もありかなと思っておりまして、またこういったところも先生方でお決めになっていただければありがたいかなと思っております。
○大曲参考人 それでは、お答えいたします。ありがとうございます。まずは、RS等も含めた場合の同時流行をどう乗り切るかという意味では、もう先生がおっしゃるとおりだと思います。つまり、受皿としての医療機関を増やす、これが絶対的に必要だと思います。課題となっているのは、コロナはまだ、やはり法律上の位置づけもありますので、それに伴って様々な手続等が生じます。それが要は、新規にコロナ対応に参入しようとする医療者からすれば、やはり敷居を高くしているのも事実だと思います。その辺をどう解決するかということが現実だと思います。例えば、手続に関しての簡素化というのは、やはり引き続き進められるべきだと思います、特にコロナに関してですね。これは七波の中でもかなりされました。あとは、感染防止対策なんですけれども、実際に、今の感染防止対策は、確かにコロナが世の中に出てきた頃の対策が踏襲されているのが現実です。だから、少しやはり軽くしていくということをしないと。例えばガウンも着て全部やらないと診療できないのかということを言われると、ちょっとやはり厳しいところはあります。今の知見に基づいて軽くしていく。そうすると、重装備でやらなくても済む。その分、時間も省けるですとかといったところも出てくると思います。あとは、これに関しては、一般の方々、市民の方々の御理解というのも非常に重要ではないかと思います。つまり、コロナも対応する、RSも対応する、インフルも対応するということになれば、いろいろな風邪の症状の方が病院、診療所に集まってくるということになります。それが現実なわけですね。でも、例えば、その中にコロナかもしれない方がいるのは嫌だとかということで、余り厳しいことを言っていただくと、医療機関としてはやはり身動きが取りにくくなるのが現実なんですね。そこが実は動きを妨げている面というのは非常に大きいんだと思います。アクセスをよくするのは非常に大事なんですが、その分、やはり、我々、医療を受ける、あくまで医療者ではなくて一市民として自分が医療を受ける場合に、そういったことも、アクセスをよくするためには一緒に考えていかなければいけないんだ、共通の理解が必要なんだということを国民の方々に伝えていく必要はあると思います。あとは、受療を減らすという意味では、これは七波でも行われましたが、病院に行くほどではないけれども、でもやはり動けないから食事が欲しいとか行政的なサービスは受けたいという方に対しては、引き続き、それは当面は続けていく必要があるだろうと思います。というのも、やはり、コロナにかかって陽性だと、インフルエンザ等々と比較すると、まだまだ隔離の観点からは自由は利かないところがあるのは現実だと思いますので、その点も必要だと思います。あとは、介護施設のクラスター対策に関しましては、介護施設は通常、医療機関等々と連携はしているんだと思います。そういうふうにいつもお答えをいただきますが、ただ、その連携というのは、何というんでしょうか、療養の場を替えていくという、通常の医療の延長のような気がします。ただ、それが、コロナが起こった場合の連携となると、具体的な話合いがなされていないことが多いというのが現実のように思います。実際には、誰も診に行けないとか検査ができないとか、いろいろな問題が出てきます。ですので、コロナが介護施設で起こった場合の対応という点に絞っての連携の組み直しといいますか、というものがやはり重要ではないかと思います。これを、ここまで来ると、我々、個人的には、やはりもう、自治体レベルといいますか、保健所レベルでの調整が必要ではないかと思います。新宿では実際そのようなことが自発的にやられています。私、新宿で医療をやっていますので。ですので、保健所等も入りながら、急性期の医療機関も入りながら、コロナ対応で各介護施設等にちゃんと医療が入り込んでいけるような仕組みをつくっていって実際に動かしていくということを、ここまで来ると、やはり地域単位でやっていくことが必要ではないかと思っております。以上です。
○佐々木参考人 かかりつけ医については、日頃、病気等を持っていなくて、かかりつけ医のない若い人たちとか、そういう人たちにはどうするのかというのもあると思いますが、やはり、誰もがいざというときに受診をして必要な医療が受けられる、そして、誰もが医療にアクセスする仕組みをつくることが本当に必要だというふうに思います。そして、そのためにはやはり、対応できる施設整備、それから機能、あと人員確保とか、様々な準備が必要で、国はやはり、自治体とか医療機関任せにするのではなくて、十分な財政保障をして、そのような体制を取っていくべきではないかというふうに思います。
○中島委員 まだまだ聞きたいことはたくさんあったんですが、特に、大曲先生に、我々が提出している緊急使用許可制度、緊急承認ではなくてということもお聞きしたかったんですが、時間となりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

○三ッ林委員長 次に、池下卓君。

○池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日は、参考人の皆様、お忙しい中にもかかわらずお越しいただきまして、また、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。本日いただきました御意見を是非今後の審議に生かしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。それでは、私の方からは加納先生の方にちょっとお伺いをさせていただきたいなという具合に思います。今日、お話の中で、都市部とまた地方の医療のカバー率のお話をしていただきました。特に、今、都市部の方では、民間の医療機関が人口の約三分の二ほど、救急搬送を担っていただいているということで、改めて感謝を申し上げたいと思います。感染症には限りませんけれども、救急医療体制の整備と感染症対策といいますのはやはり切っても切れない関係にあるかと思いますけれども、加納先生の御指摘によりますと、人口密度の高い都道府県と民間病院の果たす役割の相関関係が比例しているということでありましたが、民間病院の破綻は、すなわち日本の医療の崩壊、国民の命を守ることができない事態に陥ることにならないかと危惧をしております。こういう状況にならないようにするために政治が果たす役割について伺いたいと思います。そして二点目、人口密度の高い都道府県のうち、愛知県、静岡県、また広島県につきましては、公的病院が中心に、逆になっているわけなんですけれども、その理由についてもちょっと改めてお伺いをしたいと思います。
○加納参考人 委員、ありがとうございます。私の例の資料で見ていただくと、本当に、五ぺージのエリアの左側の民間優位のところは、今回、コロナ禍でもコロナの受入れを積極的にやっておるのが民間主体であると。先ほどから御議論していただいていますが、沖縄の場合も、第一波のときから沖縄の民間病院が主体でかなり頑張って対応してきたというのが事実でございます。そういう意味で、感染に対しても頑張ってきた。同時に、私が先ほど申し上げた二次救急医療に関しても、コロナ禍でも、コロナの患者さんの十倍近くの二次救急を維持してきた。そこも、主体的には、こちらの左側のエリアは民間がやり、右のエリアは公的病院がやってきたということであります。オール病院で頑張ってきたという結果が日本の医療であったかなと思います。その中でも、先ほどもちょっと使わせていただきました七ページの資料を見ていただくと、これはまた、今後の六十五歳以上の増加数という形で、二〇四〇年まで。実は、日本の医療というのは何がメインになってくるかというと、ウィズコロナ、アフターコロナにはなるんでしょうけれども、やはりもう一つは高齢者の問題がございます。高齢者の救急医療というのは、やはり二次救急が主体でやるということが申されているわけなんですが、先ほど委員が御指摘の愛知県、静岡、広島、この絵の中でもピンクのゾーンの中に忽然と三本立っている、その下のところに実はヒントがございまして。今、日本の産業はやはり自動車産業がメインではないかと。愛知県でいきますと、もちろんトヨタでございますし、トヨタがあるだけで愛知県の自治体は実は裕福である。裕福な自治体の今、状況を見ますと、首長さんはすぐにやはり病院の充実ということをされますので、非常に立派な自治体病院がどんどんできてくる。その結果、実は、例えば愛知県の小牧市民病院の周りにあった民間病院、五つほどの救急病院は皆、淘汰されて潰れてしまったというのが現実的にあります。そういう意味で、愛知県は、救急の六割は公的病院がやるという形になってしまった。これはちょっと例外的な形じゃないかなと私、思っております。同じように、静岡はホンダ、スズキがありますし、広島はマツダがある。これは、これで見ますと、本当にそういったことが日本の医療まで影響してくるんだなということであります。ただ、公的病院の場合は、先ほど申しましたように、税金を投入しているということがありますので、果たして、今後の財政的なことを考えると、それでいいのかどうかという議論も是非ともしていただかなきゃいけないんじゃないかなと思っておりまして、こういう資料を作らせていただいております。委員の御指摘どおり、本当に、我々は、いかにこれから二〇四〇年までの高齢者の医療をやるかというのが日本の医療の一番メインのところだと考えておりますので、民間病院がそういうエリアで非常に頑張っている現実を見まして、是非ともこれが維持できる経済体制をつくっていただきたいかなと思っております。委員、ありがとうございます。
○池下委員 ありがとうございます。まさに、今いろいろ御指摘いただきました、都市部と地方の差とかいろいろあるかと思います。民間病院の皆様は一生懸命頑張っていただいていると思います。一方、公的の病院さんも、やはり役割分担ということで頑張っていただいているのも承知はさせていただいておりますので、それも含めまして、できるだけ我々の政治という形の中でのサポートというのをしていきたいなという具合に思っております。そこで、病院の果たすべき役割といいますのは、感染症の流行時若しくは通常の医療、これを両方守る、両立させていくということが非常に重要になってくるかと思います。その中で、加納先生にお伺いをしたいと思いますけれども、感染症と通常医療を両立させる中で、今後、政治の方に先生が求められることがありましたら、御教示いただきたいと思います。
○加納参考人 委員、ありがとうございます。先ほどちょっと申しましたように、今後の医療で一番メインなところは高齢者医療であるというのが日本の宿命でございますので、しっかりとその部分をやっていくためには、やはり民間病院にとりましては、救急とかいろいろな今現状やっていることが維持できる体制、これは診療報酬とかいろいろな形で今補填されているわけでありますが、さらに、今回みたいな感染症が起こったときには、先ほど申しましたように、やはり日頃からの、平時からの民間病院に対する支援の方もきっちりとやっておかなきゃ駄目だということだと思っております。大阪ですと、先ほど申しましたように、六五%の患者さんを民間病院が受けているわけでして、このうち地域支援病院と公的と称するところを差っ引いても、半分以上がまだ民間病院でやらなきゃいけないという形であります。これがなくして次の感染が起こったときにできるかとなると、これは難しい。そういう意味で、今後を考えるに当たって、感染症の法の中でも、いかに民を取り入れるかという視点を是非とも考えていただいて対応していただくというのが一番大事かなと思っております。公だけではなかなかできない。地方は逆に、公がしっかり守らなきゃいけないところはそれで十分対応していただくという形になりますけれども、特に感染症が広がる大都会においては、やはり民間がいかに参入できるかというシステムの構築というのがやはり必要かと思っておりますので、その点、先生方で御考慮いただければと思っております。
○池下委員 ありがとうございます。まさに、今、加納先生言っていただきました平時からの準備、支援というのも視野に入れていかなければならないのかなと思っております。続きまして、今回の、今まさに審議をさせていただいております感染症法に伴いまして、次の新興感染症に対しての取組として、都道府県と医療機関の協定の仕組みというものが出てまいります。今、加納先生からも言っていただきました平時からの取組ということは非常に不可欠なところでありますけれども、特に民間医療機関は、経営の問題もありまして、平時に必要な医療提供体制よりも高いレベルで準備というものはしていかなければならない。そうなると、やはり、今言っていただきましたように、コストも、そしてあと人員も、今日ほかの委員からも言っていただきましたように、人員に対しても必要なのかなと予想しております。今回の新型コロナの経験からいたしまして、感染初期の国からの補助の在り方、そしてスピード感というのはどうだったのかというのをまずお伺いしたいと思います。あと、平時からの備えといいますのは、マスクや防護服など、その他もろもろ、備蓄品というのが必要かと思うんですけれども、通常でいいますと、感染対策を見据えた上で平時からどれだけの程度が必要なのか。そして、今日もいろいろ各委員からも御質問ありました、先生方もお話しいただきましたけれども、医療関係者、これの人材が不足していたということも御指摘がありました。そういう中で、いつ来るか分からない新興感染症に備えての人材、体制についても含めてお伺いをしたいと思います。
○加納参考人 ありがとうございます。本当に民間病院は、平時のときにはいろいろな形で工夫しながら経営を保っていかなきゃいけないということで、頑張っております。そうすると、有事のときの人員を過剰に持てるかどうかになってきます。これは、なかなか難しいところがあります。今回の支援金等に関しましては、病床を病棟単位で出すというのが重点医療機関の条件にありまして、その場合は、例えば当院でありますと、四十八床の病棟を使いました。当初、十六人の受入れをしました。そうするとどういうことが起こったかといいますと、四十八床で診ていたところを十六人しか診なくてよくなったわけですから、一人の看護師さんが三倍診られるという形になったわけです。ということは、三倍濃縮した医療体制になった。こういう仕組みを今回つくっていただきまして、我々の病院も参加することができました。そういういろいろな仕組みを構築することによって、民間病院もこういった感染症のときに対応できるということが現実的に今回も行われましたし、今後の感染症においても、どういう形にすれば民間病院が参加しやすいか、人員的な濃縮とか、そういったシステムも考えていただいてやっていただくのが一番いいんじゃないかなと思っております。先ほど申しましたように、我々の病院でも第七波のときにクラスターが起こりまして、病棟の看護師の半分近くが感染を起こして病棟の運営が難しくなった。たまたま院内のほかの病棟からの支援で夜勤体制を組んでという形でできましたが、やはりそういう意味では、先ほどから議論になっていますように、DMAT、我々も今つくっているAMATの方、感染症のクラスターとかそういったところへの支援ができる人員の派遣、そういったシステムも大事かと思っております。それと、冒頭の話に戻りますが、備蓄がやはり大事だと私は思っています。我々の病院がどの公立病院よりも先にコロナの受入れができたのは、二〇〇九年のあの新型インフルのときの補助金でいただいた設備があったからでありますので、やはり、それを考えますと、今回も、いろいろな形で先生方が決めていただく中で、民間病院が次に対応できるような、そういった備蓄も含めた考え方を是非とも考慮していただきたいかなと思っております。
○池下委員 御回答ありがとうございます。まさに感染初期の備蓄の問題につきまして、まさに私も大阪出身ですので、いろいろ、都会の中で防護服が足りないと、医療機関の皆様が一生懸命工夫しながら、雨がっぱを使ってみたりとか様々な形で、完璧ではないにしてもやっていただいた。また、行政の方も、何か協力できないかと、当然、備蓄品があればそれはもちろん提供するということになりますけれども、なければ、民間の、一般市民の方々から、防護服の代わりに、何か代わるようなものを募集というか、送っていただいたという経緯があります。そういう中で、行政の方でもこの備蓄品に対してのありようというのはやはり検討していかなければならないと思いますし、当然、医療機関におきましても、大きさがありますから、その必要な量というのが、公の部分はもちろんそうですけれども、民間の部分についても、しっかりと今回の経験を生かしながら精査をしていかなければならないのかなという具合に考えております。次に、都市部と地方、過疎地の方もいろいろありますけれども、ちょっと趣向を変えまして、地域ごとによって医療の条件というのも変わってまいります。今後、オンラインの診療であったりとか、政府の方も医療DXということで推進をしているところなんですけれども、例えば電子カルテであったり、今日もほかの委員からも、参考人からも電子カルテのお話もありましたけれども、電子カルテにも問題があるという具合に聞き及んでいます。そこで、加納先生の方にお伺いしたいんですが、電子カルテも含めて、今後の医療DXに関する課題はどういうものがあるのかについて、お伺いをしたいと思います。
○加納参考人 ありがとうございます。DXに関しましては、今日もランサムウェアの話が大阪の府立総合の方で出ております。本当に、電子カルテ・イコール便利なのは分かります。これが必要なのもよく分かりますし、これからどんどん進んでいくのは確実だと思っております。その中で、我々にとりまして、特に民間病院にとりましては、費用の問題が実は出てきます。実は、電子カルテ、大体、一ベッド百万円ぐらいの負担がかかります。ランニング費が十万円、メンテナンス費。そうしますと、三百床の病院ですと、三億円の投資をして、五年ぐらいたったらまた替えなきゃという話で、その間も毎年三千万ほどのお金を使って。ということをトータルしますと、大体、我々の売上げの三%ぐらいがそれの費用という形になります。先ほど見ていただいたとおりに、我々の医業利益というか経常利益は二%前後でございますので、それ以上のものを投資しながらやらなきゃいけないという現状がございます。それに関しましては、DXを進めるに当たって、今、電子カルテが実は互換性がないとか、いろいろなベンダーの問題もありますが、それらをしっかりともう一度つくり直していただくぐらいの勢いで対応していただいて、我々に費用負担がない形で、どんどん日本の医療がDX、進んでいけるような状況を構築していただけたらと思っております。よろしくお願いします。
○池下委員 ありがとうございます。医療DXということで、これからの時代としては、やはり、いつまでも紙でやるということも非常に難しい時代になってきますので、当然進めていかなければならないとは思っておりますけれども、今、加納先生言っていただきましたような、コストが非常に高い、ベッド一床、初期で百万と言っていたね、ランニングコストも非常にかかる、共通できていないということだったかと。たしか、韓国はデータが共通できているかということなんですよね。日本ではばらばらですよということもありますので、やはり、そういうところも含めて、しっかりと国の方でも方向性というのを、まあ民間のことは任せないといけないところもありますけれども、方向性を示していかなければ、やはり、三%程度コストがかかる、けれども二%程度の利益しかない中でやっていかなければならないという非常に厳しい状況は理解をさせていただきました。それでは、ちょっと最後にお伺いをしていきたいなという具合に思うんですけれども、コロナ禍における発熱外来について、また加納先生にお伺いをしていきたいと思います。先日の報道では、都道府県や政府などが要請したにもかかわらず、発熱外来は十月時点で全医療機関の約三六%程度にとどまるという報道がありました。その原因と対策につきまして、先生の御経験も踏まえて、加納先生にお聞かせ願えたらと思います。よろしくお願いいたします。
○加納参考人 ありがとうございます。発熱外来、私どもの病院も、あのダイヤモンド・プリンセスが起こった直後、三月三日に外来を開きました。テントを作って開きました。その次の日から外来の患者さんはいきなり三割ダウン。それがあのときの状況だったと認識しております。そういう意味では、本当に、新興感染症がはやったときの発熱外来の対応というのは、医療機関に関してもいろいろな意味で負担があるのは事実だという認識をお願いしたいと思います。また、今回も、よく、開業医の先生方がなかなかできなかった、これは、実は、一番大きなのはやはり構造的な問題です。当院の場合でも、玄関口とまた違ったところに救急の入口があり、そこにテントが張れたという好条件がありましたけれども、そういう物理的にできない構造になっているところに、なかなか、今回の発熱外来の設置というのは非常に難しかったということと、私も地区の医師会の会長をさせていただいたことがあるんですが、結構、やはり、地区の先生方によっては高齢化が進んでいるということもあります。今回の新興感染症、コロナが出た場合のときでも、なかなかいきなりできなかったというのも事実だと思うんですけれども、最近、先ほども在宅医療の話を少しさせていただきましたが、若い開業医の先生方は非常に在宅医療に関して熱心に思っていらっしゃいます。そういう意味の延長線上じゃないんですけれども、積極的に今、発熱外来をなさっている先生方が出てきております。それがまだまだ三十何%であるということであれば、いろいろまだ問題があるのは事実だと思うんですが、これは、先ほど申しました、当初できないのは、もう一つは、備蓄がない。PPEもなければ、ああいうときに発熱外来ができたかという問題も含めて、今後いろいろな形で、少しでも若い先生方が、開業医の先生方が積極的に参加できる仕組みを構築することによって、僕は、もう少しきっちりと数が増えてくるんじゃないかなと思っております。
○池下委員 ありがとうございます。まさに備蓄のこともお話ししていただきましたけれども、お医者様の先生方も高齢化の問題であったり、若い方は、元気な方はどんどんどんどんこれから活躍していただくということもあるかと思います。本日は、朝早くから、本当に、参考人の皆様にはありがとうございます。そろそろちょっと、時間になりましたので、これで終了させていただきたいと思いますけれども、是非、今日いただいた皆さんの御意見、これからしっかりと反映させていただきたいと思いますので、お礼かたがたさせていただきまして、私の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○三ッ林委員長 次に、古屋範子君。

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。今日は、五人の参考人の皆様、国会においでいただきまして、貴重な御意見をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。まず、脇田参考人、それから大曲参考人、お二人にお伺いをしてまいります。新たな専門機能、日本版CDCの創設についてお伺いをしてまいりたいと思っております。脇田先生の方からも、横断的、迅速な調査、分析、研究が重要であるという御意見も頂戴いたしました。また、大曲参考人からも、感染症は災害と同じく危機管理の対象とすべきであるという御意見をいただきました。政府がまとめました、次の感染症危機に備えるための対応の具体策におきましては、内閣感染症危機管理統括庁の設置、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して新たな専門家の組織を創設するということが決定をされております。今回のような新型コロナのパンデミックだけではなくて、平時から、今後発生する新たな感染症を想定した対策を進める組織として、緊急時対応体制の構築、感染症対応と専門家の育成等が期待をされているところでございます。平時から有事まで、感染症対策についても主導権を持って統括できる司令塔機能を持つ組織、専門知識を持って国にきちんと方向性を発言でき、かつ行動できる機関が創設されるべきと考えます。この日本版CDCへの期待、どのような組織が求められるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○脇田参考人 お答えいたします。感染症研究所は、そもそも研究所の成り立ちがワクチンの品質管理というところから戦後始まりまして、主には現在も病原体の研究機関というところでありました。この新型コロナウイルス感染症対策の前に、しかし、疫学、公衆衛生の対応部門を拡張しなければいけないということで、そこを拡張していくということを我々考えていました。実際に、パンデミックになりましてから、感染研の体制を強化していただくということで、現在は、疫学、公衆衛生部門と病原体の研究部門、これがほぼ同じぐらいの大きさになっています。ただ、やはり日本版CDCと言われますけれども、そういった公衆衛生対応の部門の強化が非常に重要でありまして、いざ何か感染症が来たときには危機管理としての対応を行う、やることが必要ということで、我々、機能強化をしてまいりました。さらに、NCGM、国際医療センターと統合されるということで、そこに更に臨床機能が加わるということですね。ですから、新たな感染症が発生したときに、直ちにNCGMと感染研は連携をして、科学的な知見を得て、どういった対応が必要なのかということを政府に専門的な助言ができる、そういった機能を持つということが何よりも大事だというふうに考えております。
○大曲参考人 ありがとうございます。お答えいたします。まず、思いつくところからお話をしたいと思います。日本版CDCという中で、やはり米国のCDCというのをモデルに語られると思っています。先々週ですかね、調査の目的で米国に行ってきました。大学病院、あとは郡のレベルの現状、いろいろなところを回ってきて、あとは診療所もそうですが、非常に驚いたのは、CDCはこういう指針を出している、だから我々はこれをやる。もちろん多少の味つけはあります、ただ、そこなんですね。ですので、やはり専門的な知見を集める、研究もする、その中で専門的な知見を統合する、メッセージにもするといったところがやはりできていて、そこへの信頼、市民もそうだし、医療者の信頼も非常に高いというところを強く感じました。そこは求められるだろうと思っています。もう一つは、米国ではNIHの機能ではないかと思います。つまり、研究開発をしっかりと行うというところです。恐らくは、言外にそういったところも必要だということを先生方はお求めになっていらっしゃるのではないかと思います。実は、NIHの中には病院があります。NIHの中の病院では、特に開発の、全ての段階の治験等もしっかりと行っています。ですので、NIHの中に病院があるというのは、そういう研究開発を進めるという意味では非常に重要だと思います。ただ一方で、日本の中で文脈で求められているのは、もっと広い医療対応のこともちゃんと検討するということではないかと思っています。それは、感染症は、別に特定の患者層だけがかかるわけではなくて、赤ちゃんでもかかるし、妊婦さんでもかかるし、高齢の方でもかかるし、持病のある方もかかるわけです。そうした方々における感染症の影響等々もちゃんと診療して診ていく中で見極めて、物によっては研究開発につなげていく、そういう機能もやはり要るんだと思っています。そういう意味で、NCGMが一緒にやるというのは意味があるのではないか、特に総合医療という観点で加わっていくということは非常に意味があるのではないかと思います。あとは、これは国のどの機関というわけじゃないですけれども、今日のお話を伺っていても、有事にちゃんと動ける人材を確保する、教育するということは非常に重要でありまして、その機能というものを厚く持つということは、私は、期待されていると思っていますし、必要だと思っております。私からは以上でございます。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。今後創設をされる日本版CDC、本当に、研究とか分析とか、それから人材育成、また医療提供体制の構築、それからメッセージの発信、あらゆるものを担う組織であるということを今お教えいただきました。次期通常国会提出予定と私も伺っておりますけれども、しっかりとした司令塔機能をつくっていくべきということを学ばせていただきました。ありがとうございました。続きまして、大曲参考人にお伺いをしてまいります。今回の法律の改正点の一つでございますけれども、医療措置協定締結という観点が盛り込まれております。これまで、新型コロナウイルスの流行で病床が逼迫をしたという、私たちも大きな経験をしました。感染症の蔓延に備えて、地域の中核を担う病院に病床確保、発熱外来の設置などを義務づけているものであります。感染拡大への備えを平時から備えておくということは重要だと思いますし、改正案の意義は非常に大きいというふうに私は評価をしております。ただ、現状を見ますと、今回、協力義務化をされる医療機関が確保したコロナ病床は全体の約七割となっておりまして、既に感染症対応の主力を担っています。このことと、診療所を含めた全医療機関の九四%を占める民間医療機関、今日も意見陳述いただきました、感染症対応への協力は任意となっております。この改正で病床が大幅に本当に増える見込みはあるのかとの指摘もあるところです。この感染症対応を手厚くするために、都道府県が医療機関との協定をどこまで幅広く結ぶことができるかということがポイントだと思っております。この点について、参考人の御意見を伺いたいと思います。
○大曲参考人 ありがとうございます。委員が御指摘になった点は、私も、案を見まして、ちょっと考えたところはございました。ただ、やはり大前提として、全ての医療機関に対して都道府県がこういう声をかけるというところが大前提として非常に重要だと思います。これは絶対外しちゃいけないだろう。その中で、やはり、ここまでこのコロナという病気が世の中に回るようになると、どの医療機関も、職員さえコロナにかかるわけですから、逃げられないわけですね。その中で、重点医療機関ほどではないけれども何らかの形でコロナに関わるということは、不可避であろうと思います。例えば、自分の病院の中でクラスターが起こったときに対応ができないなんということは言えないわけであります。ということで、そうした観点から、重点医療機関ほどではなくても担えることはあるのではないか、そういう観点で、私自身は、全ての医療機関で都道府県と御議論いただきたいと思います。これは、実は裏返しで、コロナ診療だけではなくて、一般診療との両立という観点からも非常に重要ではないかと思います。実は、一般診療とコロナ診療のバランスは非常に難しくて、一般診療を縮めるというのは医療機関は非常に怖いんですね。というのも、それは地域のニーズであり、市民の期待に応えられないということを意味します。病院としての信用を失った場合どうなるのかというのは非常に怖いです。ですので、やはり、感染対策と同時に、そうしたことに関しても、行政との話合いの中で各医療機関の役割が決められていくということがあれば、有事にも各医療機関は自分たちの果たすべき役割ということに邁進できるのではないかと考えております。以上でございます。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。この法案の早期成立を目指しているわけなんですが、成立した暁に、運用していく段階で、医療機関の現場にいらっしゃる関係者の方々からしっかりと御意見を伺って、適切な配慮をしていくことが重要だと感じました。ありがとうございました。次に、糸数参考人にお伺いをいたします。私も、かなり前なんですが、沖縄県立中部病院を訪問したことがございます。本当に、県の予算を投じて研修医の指導、育成を行っていらっしゃるということで、大変すばらしいというふうに感じました。それはもう全国に行き渡っているというふうに思います。先ほども、社会は今ウィズコロナで、社会経済活動は元に戻りつつあるけれども、医療者はいまだにゼロコロナ体制だという現実がございました。本当に御苦労なさっている、疲労も本当にたまっている、緊張状態の中におありになると思います。保健所の体制強化についてお伺いしてまいります。コロナ拡大に伴う中で感染者が増加をしてくる、本当に保健所の業務が逼迫したという現実がございます。私も、地元は神奈川、横須賀市ですけれども、地元に保健所がありますので、直接、職員からも声を伺ってきました。今回の改正で、保健所の体制、地域の関係者間の連携を強化しようということが盛り込まれております。保健所は、日常業務が増加をしていく、赤ちゃんから高齢者まで、本当に多くのことを担っていらっしゃるんですが、有事に対応できる余力が本当にないんだろうというふうに思います。保健師という専門職が専門性の高い業務に専念できる環境づくりについて、参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○糸数参考人 ありがとうございます。保健所につきましては、医師の発生届が最初に着くというところがありますので、全数把握を今年の九月までずっと続けておりましたので、先ほど少し申しました、令和二年の八月には千七百人だった患者が、翌年には一万七千人、今年は十万人を超えたというところですが、全ての書類にチェックをして、その後の健康観察等につなげないといけないというところがございましたので、どうしてもハイボリュームへの対応というところで逼迫が来たと考えております。やはり、その中でも、事務的な作業がかなり多いですので、外からの派遣人材によってこなせる仕事も大分分かってまいりました。保健師というのは、やはり、専門性を持った形で全体がうまくいっているかどうかを見るような統括する立場であったり、あるいは健康観察で専門的な配慮が必要な方々、あるいは難病とか未熟児とかそういうふうな、元々行っている、専門性が発揮できるようなところにフォーカスして仕事に当たるべきだと考えておりますので、感染状況にもよりますけれども、こうやって増えていった中で、保健師がやる仕事というのをしっかりと維持をしておくというふうな、一つのプランニングのようなものが必要になるのではないかと考えております。これは、現場の保健師、保健所とも意見交換をしながら、今後、また自治体としても考えていきたいと考えております。
○古屋(範)委員 現場からの御意見、ありがとうございました。国としても、しっかりこうした人員の確保に関して支援をしていかなければならないと思います。もう一問、大曲参考人にお伺いいたします。第八波への備えを伺いたいと思います。新型コロナウイルスの第八波、インフルエンザと同時流行が懸念をされています。この同時流行を深刻化させないことがまず重要だと思います。コロナもインフルもワクチン接種を更に推進していく必要があるんだろうというふうに思います。新型コロナの第八波の見通しについて、二〇二三年二月までに八百万人程度が感染する一方、ワクチン接種が順調に進めば三〇%近く減らすことができるとのシミュレーション結果を、京都大学の西浦教授が示されております。ヨーロッパやアジア、一部の国々で感染拡大が起きているような状況で、第八波は非常に起きる可能性が高いというふうに思います。そこで、感染拡大が大規模になったときに、インフルエンザの対応も重なって、救急など医療機関の逼迫も避けられないというふうに思います。同時流行の事態を想定した対応、第八波への備え、これについて参考人の御意見を伺います。
○大曲参考人 お答えいたします。八波に関しての対応というのは、特にインフルエンザとの同時流行の対応に関してはもう大きな議論になっていて、政府の方からも大きな指針が出ていることは承知しております。そこはまず踏まえた上でと考えております。その上で、重点として押さえるところが何かという観点で申し上げるとすれば、一点目は、今日も議論になっておりますが、まずは、病院ですね、入院する医療機関の前の段階での、症状がある方々の受皿をしっかり整備することではないかと思います。抗原検査を使ったコロナの患者さんの自宅での検出、それに基づいたいわゆるケアフローの整備ということ自体は非常に重要なことだと思うのですが、我々としては、それを超えた波が来たときにどうするかということを考える必要があると思っています。そのときに受皿としての診療医療機関あるいは診療所の数というものが大きくなるということは非常に重要だと思っておりまして、そこの拡充ということはやはり非常に重要だと思っております。また、ワクチンに関してでありますけれども、今後、いつ、どれぐらいの大きな波が来るかは、人々の行動ですとか、どういう変異株が世の中に入ってくるのかというので、いろいろと不確定性があって言いにくいところはありますが、一つ、我々が目標を立てて進めることができて結果が期待できるのは、やはりワクチンではないかと思います。議員がおっしゃったように、ワクチンを打つことによって、時期が後ろにずれるかどうかはともかくとして、全体として患者さんが減り、そして全体として入院が必要なぐらいの重症度の方が減ることはやはり十分期待できるわけでありまして、そこはもう国全体で取り組んで、一気にワクチンの接種は進めていくべきだと思います。いつ打つべきかとか、個人個人のレベルでいけば非常にお悩みのところが多いようで、すごく分かるんですが、一つ気にしているのは、ある程度波が立ち始めてから慌てて打つということになると、結局、打つだけの受皿が用意できないとか、要は自分が希望した日時に打てないとか、そういうことになると、それはそれでストレスの大きいことでありますので、私個人は、もう今からでも、ワクチンはタイミングが来た方はすぐに行っていただく方がいいのではないかと思っております。以上でございます。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。今先生からお話のあったワクチンについて、脇田参考人にお伺いいたします。今回、新型コロナのオミクロン株に対応したワクチン接種、三回目以降の接種について、前回接種から間隔は少なくとも三か月ということで、短縮をされました。十月二十一日から五回目の接種も可能となっております。抗原の値というのは接種から三か月ほどたつと徐々に下がるので、接種の期間を短くしてワクチンの効果を一定程度に維持をしていくという判断だと思うんですが、この接種期間の短縮について御意見があれば伺いたいと思います。
○脇田参考人 お答えいたします。ワクチンの接種期間が短縮をされたということですね。五か月から三か月になりました。これは三か月の方を推奨するということではなくて、ワクチンの追加接種について、三か月の間隔でも有効性と安全性が担保されますよという話なんですね。ですから、三か月でも打つことは可能ですということになりました。一方で、次の波が、いわゆる第八波というところがやはり年末年始にかけて来るということが予測される中で、より多くの方になるべく早く四回目、五回目の追加接種を打っていただきたいということがありますので、それに関してオミクロン株対応のワクチンをなるべく早く打っていただきたい、そういうことだと思います。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わりにいたします。本日いただきました御意見、法案審議にしっかりと生かしてまいります。大変にありがとうございました。

○三ッ林委員長 次に、田中健君。

○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。今日は、朝早くから参考人の皆さんにお越しいただきまして、また、貴重な意見をいただきました。ありがとうございます。まず、全国で感染者数が増えて第八波への懸念が高まっていることについて、脇田参考人にお伺いをしたいと思います。先ほど、新型コロナウイルスの変異についてもお話がありました。脇田氏は、十月二十日のアドバイザリーボードで、第八波のリスク評価に関する考え方という中で、感染伝播性についてはかなり頭打ちだ、これ以上高くなっていくことではなく、今後は免疫逃避の方向で進化するのではないかというふうに述べられています。また、今後は伝播性が高くなることで前の株に置き換わるという流行ではなくなるのでないかという指摘もあり、海外では一種類の系統だけが流行しているわけではないので、流行株の傾向、重症度や流行しやすさを捉える難しさがあるとも語っています。免疫逃避の方向性で変異が起きた場合、抗体薬やワクチンの効果に減弱が見られる可能性があるとしていますが、私、専門家でなくなかなか分からないんですけれども、免疫惹起という考え方についてお聞かせいただきたいと思うんですが、脇田所長が予測する形でコロナが進化をし続けるとワクチンが効かなくなってくるというような認識で、理解でよろしいんでしょうか、お願いします。
○脇田参考人 御質問ありがとうございます。お答えいたします。いわゆる新型コロナウイルスの進化というものが、これまで二週間に一か所の変異が積み重なってきております。ただ、オミクロン株は、どこかで急速に変異が入ったせいで、半年から一年ぐらいの前倒しで変異が起きてきたということなんですね。これまで、オミクロン株までは感染伝播力が強くなることによって前の株に置き換わってくるという流行の仕方をしてきました。ただ、今後は、もう今、感染伝播力はかなり頭打ちの状況になっているということで、免疫を回避する、つまり、一回感染したり、あるいはワクチンを接種して免疫を持つわけですけれども、その免疫をすり抜けるような変異で流行していくということですので、なかなか、急速に変異株に置き換わっていくということは起こりにくいような状況になってきているのではないかということなんですね。ただ、一方で、オミクロン株のような全く新しいものが入ってくるという可能性もまだ指摘をされています。ですので、今後も主流となるのは、インフルエンザのように抗原性の変化ですね、今のオミクロン株が少しずつ変化をしていくことによって免疫を逃避して広がっていく。ただ、一方で、突然変異を起こしたものがまたやってくる、その可能性も指摘をされているということになります。それで、ワクチンの有効性なんですけれども、ワクチンあるいは感染による免疫というのは、時間がたつと免疫の成熟化というものがございます。ですから、対応できる変異株は免疫を持っていると徐々に広がっていくということなので、実は、武漢株、最初のオリジナルの株に感染する、あるいはワクチンを打っても、オミクロン株に対応できる免疫もつきます。今回、更に武漢株とオミクロン株ということですので、カバーする抗原は更に広がってくるということになりますので、ワクチンの効果が本当になくなってしまうということは、今のところなかなか考えにくいような状況にあると思います。ただ、いずれにしても、免疫というのは徐々に下がっていきます。ですので、今回第八波の兆しがあるというのは、免疫の状況が下がってきて、さらに人々の行動が今活性化をしてきているということで、昨日の渋谷の状況とかを見てもかなり人々が動いているという状況にありますので、感染の流行がまた始まってもおかしくないような状況にあるというふうに考えています。
○田中(健)委員 ありがとうございます。引き続き、脇田参考人、また大曲参考人にも伺いたいと思うんですけれども。二十七日、東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議で、オミクロン株の二つの変異株の遺伝情報が混ざった組み換え体、これはXBBというのでしょうか、通称グリフォンと呼ばれていますが、都内で初めて六件確認されたという発表がありました。このXBBにおいては、シンガポールの感染者が六割を占めるなど、シンガポールでは大変急増をしています。また、一方、BQ・1・1、通称ケルベロスと言われるようですが、これが、英国等、欧州で今感染拡大をしています。先ほど来、変異株の話がございましたけれども、この変異株をどのように捉えればいいのか、また、日本でも、置き換わり、感染拡大をすると考えられるのか、第八波の認識と重ねて今後の対応についてお教え願いたいと思います。
○脇田参考人 お答えしたいと思います。委員御指摘のとおり、XBBというのは組み換え体でありまして、BQ・1についてはBA・5の子孫の株だったと思います。今現在、世界的に流行しているのは、BA・2の系統の子孫のところ、それから、BA・4の4・6というのがありますけれども、その子孫の系統、そしてBA・5の子孫の系統というものがあります。どの株がそこで選択をされてくるかというのは、その国とか地域の免疫の状況によっても変わってきます。ですので、XBBが日本で検出をされましたが、これが実際に日本の主流になるかどうかというのは、まだしばらく様子を見ないと分からないと思っています。いずれにしても、どのような変異株が今後主流になってくるのか、これは、感染研におきましてもゲノムサーベイランスを行っています。現在はBA・5系統が主流ですけれども、一部、BA・2の子孫株というのも入ってきているという状況ですから、引き続き、その状況については監視をしてまいりたいと考えております。
○大曲参考人 お答えいたします。東京都の対策に関わっておりまして、議員がおっしゃるように、流行している株のゲノムサーベイランスは行っております。その中で、新たに出てきた変異株については、御紹介いただいたように、報告をしているというところであります。これまでの流行を見ていても、新たな変異株が出てきて、それが非常に流行しやすいものであれば、一気に全体の流行株の中で置き換えが起こって、次の流行が起こるということが出てきました。ですので、あのような新たなものが出てくることに関して我々は大変神経をとがらせております。ただ、現状ですと、これまでも、BA・5の流行の中でも、様々な亜系と言われるウイルスが出てきて、東京都の会議でも御報告をしてきておりますが、今のところ、そのどれかが際立って増えてきているという兆候はまだキャッチはできていないというところです。ただ、そこは見ていかないとなかなか分からないところであると思いますし、正直なところを申しますと、シンガポールでの状況は存じ上げてはおるのですが、日本あるいは東京という状況の中でどれが増えてくるのか、来ないのかということはなかなか分からないところがありますので、ここはゲノムのサーベイランスを丹念に繰り返していって動向をきちんと見ていって、早めに何か動きがあるかどうかを確認していくということが重要ではないかと思っております。以上です。
○田中(健)委員 海外渡航が自由化され、海外の方もたくさん日本に今訪れるようになりました。新たな変異株もこれから増えてくることかと思いますので、是非、調査また研究を引き続き続けていただければと思います。引き続き、脇田参考人に伺います。先ほど、意見陳述の中でも、ワクチンの話が一部取り上げられておりました。十月の十二日の朝日新聞の記事の中で、政府に一番期待されているのはワクチンや治療薬の研究開発かもしれません、日本は海外よりも出遅れていますと述べられております。脇田先生自体は、先進的開発戦略センター、SCARDAのフェローもお務めになっております。このSCARDAは、いまだ日本の国産ワクチンが開発されない中、ワクチン開発の司令塔として今年スタートしたばかりの新しい組織となっていますが、欧米に比べて大きく後れを取ってしまったこのワクチン行政に対して、またワクチン開発導入に対して、このSCARDAにどのような期待が持てるのか、現在の状況や今後の展望、課題について、御所見があれば伺います。
○脇田参考人 ありがとうございます。新興感染症に関するワクチン開発、そして治療薬開発というのは、平時からの準備が非常に重要だと考えています。欧米、特に米国においては、いわゆる日本における重点感染症と同じような感染症に対して、ふだんからポートフォリオを組んで研究開発を行ってまいりました。それが今回一定程度実を結んだというところはあると思います。そういった日本には余りないベンチャーによる研究開発活動、それが少し芽が出てくると、大手の企業が更にそこに投資をして開発を続けていく、そういった活動を日本でも目指していくべきではないかというふうに考えています。現在、SCARDAによるワクチンの研究開発、これは拠点が採択をされまして、まだ活動が始まったばかりというところですので、私としても、様々な助言をしながら、SCARDAにおけるワクチン開発、これが更に進むように、なるべく手伝っていきたいという考えでいます。ただ一方で、先ほど意見陳述もしましたけれども、ワクチンというのは、新興感染症に対するものだけではなくて、ふだんから定期接種が必要なワクチンというのはたくさんまだあるわけです。これがまだ定期接種に取り入れられていないというものもありますので、そういったものもしっかり企業と連携をしながら開発研究を進めていくということが重要だというふうに考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。一九八〇年代、日本では多くのワクチンが作られておりましたが、今現在は、本当に日本の国産ワクチンが開発できていないという状況にあります。そもそも平成二十一年の新型インフルエンザの流行時にもこの課題が俎上になりまして、厚生労働委員会でも、ワクチン製造支援や開発促進、体制整備の確立と、まさに今言ったようなことが議論をされていました。同じ轍を踏まないように、私たちもしっかりと後押しをしていきたいと思いますし、開発に全力で取り組んでいただきたいと思っています。引き続きまして、加納参考人にお伺いしたいと思います。加納参考人は、論文の中で、新興感染症拠点病院、また新興感染症の協力病院というものを整備をすべきでないかというふうに提言をされています。今回の法改正の中で提案されている医療措置協定を結ぶ病院というのが、この拠点病院や協力病院に当たるのではないかと私は論文を読んで考えさせていただいたんですけれども、この協定を結んだ病院を協力病院として、また、その中心を拠点病院とするような形で理解をさせてもらってよろしいのか、また、そのときに、公立や民間という位置づけというのはどのように考えればいいのか、御見解を伺えればと思います。
○加納参考人 委員、御質問ありがとうございます。私が前から唱えています拠点病院というのは、都道府県ごとに、今回みたいな感染症が起こったときに、災害拠点病院が災害時にありますが、災害時の拠点病院も、オンリーワンのところではそこで全部やらなきゃいけないという形になるかと思うんですが、先ほどから申しますように、都会においては、やはり協力病院という形で、実は二次救急病院がそれを担っていると私は認識しております。そういう意味で、今回も、新興感染症に関しましては、都道府県にそれぞれ拠点をつくっておいて、それをサポートする協力病院、先ほどから私も申し上げています民間病院を含めた体制づくり、それをきっちりとやっていく。今回、大阪においても、重点医療機関に関しましては、本当に民間病院が多く手を挙げて経験を積んでおります。その経験を基に、やはり、今まで経験がなくて今回突入しましたけれども、経験を基に対応すれば十分民間病院も含めた協力病院体制ができるんじゃないか。まず、起こったときには拠点病院がまず対応して、例えば拠点病院に感染者が来た、もしかしたら拠点病院全体を何とかしなきゃいけないときは、その拠点病院の患者さんを一般の周りの病院がまず受けちゃって、からっと空けて受けるぐらいのつもりで拠点化をしていく、そういう周りがサポートをする。それでもオーバーフローをしてくるような感染が拡大したときには、協力病院が積極的に手を挙げて、これは先ほど申しました重点で経験を積んだ民間病院を含んだ体制でカバーしていく、そういう二段階の形でやっていくべきではないかなと私は思って、そういう理論を論じさせていただいております。
○田中(健)委員 同じ質問ですが、大曲参考人にも質問したいと思います。先ほどの意見陳述で、感染症は災害と同じ健康危機として捉えられるべきだ、広域災害として捉えるべきだと言いましたが、今まさにおっしゃってもらったような、災害拠点病院の形で一次対応、また、協力病院の形で二次対応というような形を考えていけばよろしいのか、どのような考えをお持ちか、お伺いいたします。
○大曲参考人 お答えいたします。体制を感染者の観点でつくる上では、既存の体制をうまく生かすという意味でも、災害医療でつくられた体制を参考にさせていただくということは、私は非常に重要ではないかと思っています。もちろん、指定をそのまま同じことをするかどうかというのは全く別の議論でありますし、例えば、別の仕組みとして感染症指定医療機関等もありますので、それらをどう組み込むかということはまた検討する必要はありますが、私自身は、災害対応で裏づけられた、つくられてきた医療体制の歴史と、そこで得られた経験というのは非常に重要だと思っていまして、そこを参考にするのは非常に重要ではないかと思っております。以上でございます。
○田中(健)委員 ありがとうございます。再び加納参考人に伺いたいと思います。これまでの災害対応、民間病院を中心に大阪では取り組まれていたということを、お話をお聞きしました。しかし、大阪といいますと、私、第四波、五波のときは、病院連携もいち早く取り入れて、民間の皆さん中心にやっていたことも大変参考にさせていただいたんですけれども、第六波においては、全国最多の死者数を数えるということになってしまいました。また、野戦病院として設立した大規模医療・療養センターというのも、なかなか活用がうまく進まず、五月末で閉鎖となってしまったという事実もあります。第四波、五波と民間の人が中心となってうまくやってきたこの中で、どうして六波においてこのような状況を招いてしまったのか。ちょっと私は現場が分からなかったものですから、何が問題であったか、現場にいらした立場から教えていただければと思います。
○加納参考人 大阪の第六波。実は、第四波でいろいろな経験をしました。第四波のときに、本当に、私どもの病院も、中等症までの病院だったんですが、重症の患者さんを五人預からなきゃと、それはなぜかというと、重症患者さんを預かる病院がもう満杯になったという状況がございました。それで考えたのが、先ほど申しましたように、大阪では第五波に関しては非常に東京と違った形になったかと思うんですが、それはどういうふうにしたかといいますと、重症を預かる病院で、今まで第四波まではECMOが使えるのが条件だったんですが、先ほどの理論どおり、ECMOが使えなくても、いわゆる挿管、人工呼吸器を回すという形で対応できる病院は重症病院に手を挙げてくれと。そうしますと、たしか、大阪で四百の募集をしたところ、百ぐらいオーバーするぐらいの手が挙がって、実は、第五波は、そういう意味ではうまく、東京と違った形で、本当に見事に対応できたんじゃないかなと思っております。第六波に関しましては、やはりオミクロンの感染力の強さが出てきました。第六波から第七波にかけては、先ほど出ましたBA・5というのは、私どもの病院でも、先ほどから、民間病院が頑張っていた二次救急を止めなきゃいけないぐらい、病棟の院内クラスターが起こったりとか、そういう意味での感染力の強さが非常に大きく影響したのが一つ。実は、二月というのが一つは大きなポイントでして、二月に関しましては、全国の病院が二月は一番満杯になる、満床になる時期なんですね。一番すくのが六月で、そことの差は大体二割ぐらいあると言われていまして、毎年二月になると、コロナ前から救急搬送困難事例が出ていたわけなんですが、救急搬送困難事例が出る二月に、今回は第六波の山が来ました。ということは、多くのコロナ対応している二次救急病院も含めて、救急体制も含めて非常に厳しい状況が一、二週間、間違いなく続いたと思っております。その間に、これは厚生省からの資料もありましたが、いわゆる高齢者施設で診ろ、その中で診ていこうという形で、そこが実は本当に厳しい状況を生んだんじゃないかなと推測しております。やはり、そういう高齢者施設で診るのはなかなか難しくて、我々医療関係者が関係している高齢者施設でも大変なんですが、いわゆるサ高住とかそういったところではなかなか対応できなかったんじゃないかな、結果的にはそこでの感染が起こって死亡者につながったかなと認識しております。
○田中(健)委員 詳細な説明、ありがとうございます。まさに、二月が大変に多い、ふだんの診療でも忙しく満床だということでありまして、先ほど来第八波の話も各委員からお聞かせいただきましたけれども、これから年末年始にかけて、また感染拡大の懸念がされています。第八波のときに同じような医療崩壊が起きないように、まず今できることをしっかり取り組み、また、この感染症、感染対策の法改正の中で、さらに、いつ起きてもいい、パンデミックに備えられるように、私ども今日の意見をしっかりと参考にさせていただきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、参考人の皆さん、大変貴重な御意見、ありがとうございました。まず、佐々木参考人にお伺いしたいと思います。平時から医療体制に余裕があるのが大事だという指摘がございました。コロナパンデミックでは、大阪や沖縄などに看護師を派遣した自分の病院の医療体制が厳しくなったというお話が先ほどございましたが、リアルな実態を教えていただけるでしょうか。
○佐々木参考人 御質問ありがとうございます。多くの国立病院と公的病院も大阪や沖縄に看護師を派遣したわけですけれども、そもそも派遣元の病院も余力のある人員体制ではないものですから、それによって、その病院を守っている職員が少なくなったということで、私どもの行った実態調査でも、例えば、夜間、三人で病棟の患者さんを診ている、しかし、その三人で患者さんを診ることができなくなったので、二人で診ざるを得なかった。それから、育児短時間勤務中の看護師は、当然、子育て中ですから夜勤も免除されているわけですが、その育児短時間勤務中の看護師にも、一回でも二回でもいいから夜勤をしてほしい、そういうことも言われたとか。それから、やはり目が届かなくなっておりますので、医療事故とかニアミスも増えたとか、それから、これまで患者さんに提供していた入浴介助とか、それからおむつ交換とか体位変換などのケアを減らさざるを得なかった。そのような状況も出ておりますし、当然、時間外労働も増えておりますし、あと、夜勤回数ですね。一九六五年に人事院が判定した看護師の夜勤は月八回以内とか、そういう夜勤回数も守られていない状況が常態化した。そういうような状況を聞いております。以上です。
○宮本(徹)委員 続きまして、大曲参考人にお伺いをいたしたいと思います。先ほどのお話で、感染の早期の対応として、隔離のルールがあることとの関係で診療は大変困難な面があったというお話がありましたけれども、これはどういう改善策を取るのがいいとお考えでしょうか。
○大曲参考人 ありがとうございます。ここは発想の転換ではないかと思います。つまり、これまでは、隔離が優先されると、どうしても、動かすという発想が出にくかった、なかなかやりにくい状況があったわけですが、今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で、とにかく最初の段階から医療を適切なタイミングで提供しないと被害が大きくなるということがはっきり分かったわけでありますので、流行の早期からでも、最初は自宅にいらっしゃるような方でも、あるいはホテルにいらっしゃるような方でも、必要に応じて医療機関にちゃんと連れてこれる、あるいは医療の場に連れてこれるということをコンセンサスにするというところから始めればいいのではないかと思います。枝葉の話になりますが、そうしたことをやっていくと治験も進みやすくなります。実際、御自宅にいらっしゃる方が治験に入れないというのが治験の阻害因子になったということもございますので、感染対策をやりながら動かせるというコンセンサスをつくるというところから始めてはいかがかと思います。以上です。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。続きまして、加納参考人にお伺いしたいと思いますが、今回の法改正では、流行初期の対応として、協定を結んだところに財政措置が取られるわけですけれども、それ以外のところはない。ないところの方が実際はこのままでは多くなるのかなと思いますけれども、多くの民間病院の立場からすれば、この法改正というのはちょっと足りないところがあるんじゃないかという思いもあるんですけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
○加納参考人 ありがとうございます。確かに、今回の協定で、まず書かれているところは、特別な協定を結んだところには、いわゆる概算請求的な、前年度の補償をするということ、これは保険も入れてやるということが何か流れで決まってきているかなと思います。それで、国公立病院とか、そういった形は義務化すると。よく計算してみると、義務化だけで多分、国公立病院、私の数を見ていただくと分かるんですが、トータルしますと千八百ぐらいあるかと思います。当初、この資料に出ていた数字でいきますと、もう千五百という数字が最初、出ていたかなと思います。そうすると、国公立だけでやっちゃうのかな、民間が入る余地がないんじゃないという話が少し考えられたんですが、どうも話を聞いてみますと、いや、民間もできるよという話が出ておりますので、やはり民間でできるところはしっかりと手を挙げて、やらせていただけるようにしていただきたいかなと思っております。あと、ちょっと気になるのは、その協定の中でも一から五までですか、発熱外来とか病床を受けるとかいろいろな条件があって、どれか一つをやればということで公立病院も何か条件が決まっているようですから、我々、てっきり、全ての公立病院がベッドを確保するのかなという認識でいていましたら、そうではないということであれば、恐らく国公立だけではベッドは確保できないんじゃないかな。先ほど申しましたように、大阪ではもう既に半分以上は、今回の地域支援病院以外の病院、の民間病院を含めて、五割近く、五割以上民間が占めていますので、しっかりと民間を入れておかないと、数の確保は間違いなくできないということですので、先生、是非とも協定を結んで、我々にもちゃんと最初から概算請求の形の経済的な補償ができるように、是非とも仕組みとして入れ込んでいただきたいかなと思っております。
○宮本(徹)委員 続きまして、糸数参考人にお伺いしたいと思います。沖縄の場合は、感染が外からやってきたというお話で、旅行客だとか帰省客と同時に、米軍基地の存在というのは大変大きいと思うんですけれども、日米地位協定で検疫法が適用除外になってしまっている、この問題についてはどうお考えでしょうか。
○糸数参考人 地位協定上はそのような取扱いになっているということで認識しておりますけれども、やはり米軍側の水際の内容については、海軍病院を通して詳細を把握をしているところです。もちろん海軍病院の公衆衛生担当者には、今、沖縄がこういう状況で、いろいろな社会的制限を行っているので、それと同じような対応を是非お願いしますということで、担当者レベルではいつも話合いをしているところではありますので。唯一、基地の中の検査、変異株の実施とか、そういうところはなかなか、病院だけでは決められないというところで協力をいただけなかったというところはありますけれども、現場でやり取りをしている中では、なるべく沖縄県内、基地の中も外も同じような対応でお願いしますというふうには述べているところです。
○宮本(徹)委員 脇田参考人にお伺いいたします。先ほどのお話で、地衛研の予算と定員がずっと削られてきたという問題が、指摘がありましたけれども、そのことによって今回のコロナパンデミックでどんな困難に直面したのか。そして、今度の法改正によって、そこはどの程度改善されて、これでは不十分だという点が更にどこにあるのかという点もお伺いしたいと思います。
○脇田参考人 ありがとうございます。先ほど述べましたとおり、日本の感染症の検査体制、これは感染研とそれから自治体の地衛研でしっかりとネットワークを結んで体制を組んでいるというところになります。ただ、一方で、感染研で研修等を行いますと、やはり毎回違った方が研修に来るとか、いつも経験がそれほど深くない方がいらっしゃるようなところもあるというところで、人員がそこでローテーションをされて、地方の自治体の多くは自治体の研究所ですのでいろいろな業務を担っていますから、そこで業務ローテーションがかかっているというようなところで、感染症に専従しているような職員がやはり少ないといった問題があります。やはり検査機器の問題も今回はあったと思います。地方衛生研究所で大量に処理できる機械を平時から備えておくということは、予算的にもなかなか厳しかったというところはあろうかと思いますけれども、今回のパンデミックでかなりそこのところは整備がされてきたということになりますし、また、今後も、研修等を通じて、そういった体制は強化をしていきたいというふうに思います。ただ、やはりどうしても地衛研の体制というのが、先ほど申し上げたとおり、設置基準がまだ明確ではないという問題もありますので、その点は今後も引き続き議論していただいて、しっかりとした基準で、こういった機能を持つべきだというところを明確にしていただくということが必要なのではないかというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 そういう点で言えば、今回の法改正で地衛研という言葉自体が入らなかったことが、設置基準というのもないことにつながっていくのかなと思うんですけれども、今回の法改正にとどまらず、そこもはっきりしてもらいたいということでよろしいでしょうかね。
○脇田参考人 その点については、やはり引き続き議論をしていくことが必要ではないかというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。佐々木参考人にお伺いしたいと思いますが、今回の法改正の中で、協定を結んでそれが守れず指示に従わない場合は特定機能病院や地域医療支援病院の承認取消しという大変重いペナルティーがあるわけですけれども、これは働く側から見たらどういうふうに映るでしょうか。
○佐々木参考人 ありがとうございます。先ほど議員もおっしゃったように、特定機能病院それから地域医療支援病院について、医療提供義務に従わなかった場合の承認取消し、これは本当に非常に重大な罰則を盛り込んでいますが、これは、私どもにとっては、ちょっと行き過ぎではないかなというふうに考えます。感染拡大期に人員不足であれば、当然、医療提供の拡大には応えられませんし、実際に、医労連の調査でも、公的病院が受入れ拡大要請に十分応えられなかったその間の事実は、発言の中で触れたとおりですが、やはり人員不足で、ベッドはあっても、診る、対応する職員がいなかったことで受入れができなかった、そのような事実もあったわけですから、医療提供義務に従わなかったら承認取消し、そういう短絡的といいますか簡単な条件で取消しというのは非常に重いというふうに考えております。やはり、どこまで医療機関側の事情が考慮されるのかが、その担保が不明であり、本当に重大な危惧を医療現場としても感じております。以上です。
○宮本(徹)委員 次は脇田参考人と大曲参考人と糸数参考人にお伺いしたいと思いますけれども、コロナとインフルの同時流行ということが懸念されております。インフルエンザの治療薬は広くあるわけですけれども、投薬のタイミングがあるわけですね。東京でいえば、今、発熱をしてから東京都に申請すれば、その日の午前中なら翌日に抗原検査キットが届きますけれども、午後なら翌々日ということになるわけですよね。これだと、コロナは陰性だった、それから発熱外来に行くんだったら、インフルの治療の投薬のタイミングを逃すんじゃないかという気がするんですね。一方、政府は薬局でコロナの抗原検査キットは買ってほしいと言っても、数千円、家族がたくさんいたら、場合によっては万になっちゃうということで、これはみんなが買うのかなという率直な疑問があるわけです。そういうことを考えると、私はもう一年以上、一年数か月前からずっと言っているんですけれども、コロナの抗原検査キットは事前に配布をする、こういうことが大事じゃないかなと思うんですけれども、この考え方についてはどうお考えでしょうか。
○脇田参考人 ありがとうございます。専門家の間でもそういった議論というのはあるところだと承知をしています。ただ、地方自治体によってはそういったことをしているところもあるというふうに伺っていますけれども、やはり、我々、今現状では、事前に、今、流行が始まると薬局でもなかなか手に入らないという状況がよく生じますので、今この状況においてなるべく早く、解熱剤であったり抗原検査キット、これは家庭に準備をしてほしいというお話をさせていただいているというところであります。
○糸数参考人 沖縄県では、先ほどお話ししましたように、RADECOといいますが、熱がある小中高校生の自宅に届けるというふうな仕組みを行っていますが、これは行政検査という枠組みを使っているので、無料で配布をしております。今、インターネットで自費で購入ができるような環境が整う中で、有料で購入するものと無料で配布するものの整理がやはり必要かと思っております。それから、少し細かい話になりますけれども、保育園以下あるいは小学校就学前のお子さんが自己検査というふうになると、家庭の中で医療行為が発生するということで、なかなかそれは、今議論をしているところで、誰でもこうやってできるというところとまた少し違うという課題もありますので、その点について自治体としては議論をしているという状況でございます。
○大曲参考人 お答えをいたします。現在のスキームですと、自分でキットを購入できる、あるいはキットを手に入れられるような方法を知っているという方に対しては働くんだと思うんですが、そうではないような方々は、やはりいわゆる弱者と言われる方はたくさんいらっしゃると思います。そういう方々に対して事前に抗原キットを届けるというのは、僕はあるべきではないかと個人としては思っております。それを市民全員に、あるいは自治体の方全員に配るかどうかとか、その具体的なスキームに関しては、そこは御検討いただければいいと思うのですが、まずは、キットに届き得ない人がいるということを前提に考えて、その方々に事前にいかに届けるのかということは考えられる必要はあると思っております。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。加納参考人にお伺いしたいと思いますけれども、この二年半といいますか、もう三年近いパンデミックを振り返って、国の財政的支援でまだこれが、足りないところがあるんじゃないかという点というのはありますか、クラスター対策だとかも含めて。
○加納参考人 ありがとうございます。財政支援に関しましてですが、当初、一番最初に我々が、病院団体でもお願いしたのが、実は概算請求でもらえないかということを申しました。というのは、多くの、コロナを扱った病院もそうですが、影響した病院が非常に大きく全国的にありましたので、先ほど見ていただいたデータどおり、病院に対しての財政支援をお願いしました。コロナに関しましては、本当に、我々、病院現場で今回いろいろな支援をしていただいたこと、まず冒頭お礼を申し上げたとおりで、今回のコロナの補助金に関しましては、先ほどから、データで示した方がいいのかなということで福祉医療機構のデータを見ていただきまして、ちょうど本当にぴったし、ほぼ例年どおりの補助金をいただいているというのが一つデータとしてはしっかりとある。ただ、一方で、確かに公立病院等ではオーバーしたのかなというところもありますが、これはいろいろな事情があるので、これはきっちりと精査していただいて、今回の支援金が正しかったかどうかということを確認していただきたいかなと思っております。ただ、現場におきましてはまだまだいろいろな形での望みがありまして、先ほどから重ねて申し上げているとおり、我々の病院ができたのは、やはり間違いなく、ふだんから、二〇〇九年のあのときから備蓄があったからというのは、明らかに本当にスタート時点で大事だったなと思っておりますので、是非とも、民間病院にもそういった平時から備蓄ができる体制、これがあれば、例えば開業医の先生方でも、PPE等の備蓄があればもっと早く対応できたのかなと思います。そういったところの配慮を是非ともお願いしたいと思います。
○宮本(徹)委員 脇田参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今、高齢者施設でクラスターを起こさないというのは極めて大事な対策だと思います。その点、職員のスクリーニング検査をずっとやられているわけですけれども、頻回検査二、三回ということになっていますけれども、抗原検査となっていますよね。基本は私はPCRの方がいいと思うんですけれども、抗原検査で果たしてちゃんとつかまえられるのかなという感じがするんですよね。この間の感染研のいろいろな示しているデータを見ましても、やはり発症前で抗原検査でつかまっている人はほとんどいない、極めてまれなケースしかないわけですね。大体発症後しか抗原検査では捉えられていないのではないかと思うんですが、そういうことを考えると、やはり、職員検査、PCRでやるのは大変な面はありますけれども、PCRで頻回という方が対策としては大事なのではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○脇田参考人 御質問ありがとうございます。高齢者施設へなるべく感染を持ち込まないということで、職員の頻回検査、こちらが重要になるわけですけれども、検査だけではなくて、やはり職員の健康管理、これも非常に重要ということですので、健康アプリ等を使っていただきまして、体調の管理をしっかりやるということも一つ重要であります。さらに、周囲といいますか、地域の感染状況によって感染の確率というものもかなりパラレルになるということも分かってきていますので、そういった地域の状況にも十分に注意を払っていくということは重要だと思います。検査に関しては、委員の御指摘のとおり、やはり、抗原検査とPCR検査では感度、精度が違いますから、どうしても発症した後でないと抗原検査でなかなかつかまえられないということは確かにあると思います。ただ、キャパシティーの問題があって、PCR検査を実施できる施設というキャパシティーがあれば、それをなるべく活用していただくということは重要だというふうに思います。
○宮本(徹)委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

○三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

○仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。ラストバッターでございます。よろしくお願い申し上げます。今回の感染症法の改正で、予防計画に沿って、協力し得る医療機関同士が協定締結を行っていくというふうな話になっておりますが、さきのこの委員会の方でも大臣に質問しました。それは、こういった法改正、そして、そういう行政的な変化によって、量的にはある程度、十分とは言えないにしても、整っていくような形が見えるわけですけれども、同時になしていかなければいけないのは、さきの議論でも出ていましたが、まさに、有事のサージキャパシティーを高めるための質的、つまり、医療というのはやはりある程度レベルがあります。例えば医者のレベルもありますし、サポートするナースのレベルもあります。そういうところに、私はやはり、日頃の、いわゆる平時の、シミュレーション訓練というか、シミュレーション研修というか、そういうことも必要だと思っております。そういう意味で、そういった質的なことを担保する上で、何か御提言なりお考えがありましたらおっしゃっていただきたいと思いますが、まず脇田参考人、そして大曲参考人、よろしくお願いします。
○脇田参考人 委員御指摘のとおり、キャパシティーというのは、当然、病床だけではなくて、人員、それから、先ほどから議論がありますように、必要なものが必要なわけですよね。ですから、そこはやはり、委員が御指摘のとおり、訓練、研修というのは非常に重要で、その際にどういったPPEが必要なのか、どういった機器が必要なのか、どういったゾーニングをしなければいけないかというところをしっかりとやっていくということが大事ですから、そこを予防計画等の中でもしっかりと検討していただければというふうに思います。
○大曲参考人 お答えいたします。今回感じましたのは、災害との比較で今日お話をしてきておりますが、災害には災害訓練というのがあります。それはもう社会全体でやっています。同じようなことを感染症で全ての医療機関、診療所含めてやっているかというと、やはりやっていないと思います。ですので、そうしたことを、立場はいろいろあると思いますが、どの医療機関にも組み込んでいくということをまずは私自身はずっと考えておりました。その中では、先ほどお話が出てきたような、例えばPPEの着脱の訓練ですとか、そういったことも入ってこようかと思います。実際、やはり多くの医療者がそれを求められましたので、それは素養としてあるいは義務として組み込んでいく必要があるのではなかろうかと思います。そういう意味では、これはまた別のずれる話かもしれませんが、今後の医療の現場の建築ですとか設備に関しても感染対策を考慮したものというものをやはり造っていくべきだと思います。どこまで規制をかけるのかどうか、そこはいろいろありますけれども、例えば、換気のことをもっと重視するとか、ゾーニングも大事なんですが、ゾーニングの悪い点は、医療の現場を非常に窮屈にしますので医療が逆にやりにくくなることもあるので、そこはもっと合理的に考えるべきだとかということがあります。同じようなことは、介護の現場は非常に大変なのは存じ上げておるのですが、現実に、介護の現場での感染のことが問題になるのが今回はっきり分かりましたので、何らかの形でやはり支援をして、介護の現場でも感染対策等ある程度できるようなところの支援が必要だと思いますし、こうしたことは、地域医療計画等を変えていく中で組み込んでいくのがよいのではないかと思っております。以上でございます。
○仁木委員 ありがとうございます。具体的には、私たち一般市民、国民にしましても、例えば、有事的な対応でAEDが町のどこかでも置かれるようになりました。これは、四十年前とかだったらなかったことですよね。そういうのも、いろいろイノベーションの向上とかもあるわけですけれども、やはりそういった形で社会が変わりつつあるということです。そういう意味で、大曲先生おっしゃったように、例えば、具体的に言うと、診療科とか、ドクター、ナースがどういったところでふだん、平時に勤務しているのか。これは、環境ががらっと変われば、松本先生もいらっしゃると思うんですけれども、例えば、ドクターカーとかドクターヘリとかで行って、その場で患者さんを救命しなければいけない、PPEを着けたまま診療、処置をしなきゃいけないとか、いろいろ本当に今まで経験していないことはやってみないと分からないということなので、やはり、私が冒頭申し上げたように、訓練もこういった予防計画に盛り込んでいく。そして、その司令塔的な、これは、スキームでいうと、都道府県の職員がそういったことをコーディネートすることになっておりますけれども、そういった方にも、やはり医療的な、現場をよく分かった方が必要だというふうに思っておりますので、そういったことの提言もこれからお願いし続けていってほしいというふうに思っております。そしてまた、具体的に、そういう医療機関が、求めがあれば、重症の治療を担う病院のスタッフは別として、中等症レベルの例えば医療を専ら担うことがサージキャパシティーの際の要員になっているようなスタッフは、例えば患者さんの御自宅に行ったりして医療を展開するわけでございますので、そういったところのシミュレーションというのもやはり重要ですし、そういう制度になりましたということを、患者さんにも、あるいは地域の方々にも言っていく。この法律が施行されて実施したときには、そういう事態もありますよというのを言っておかないと、今本当に家庭がいろいろな形で、感染症を起こしたときの対応一つ見てみても、十分すぐに対応できるところもあれば、独居のお年寄りとか障害者のいらっしゃる方とか、例えば、シングルマザーでお母さんがいない子供の家庭にいて、子供が感染してしまっているような形も、私も訪問診療医として経験していますので、そういったこともシミュレーションの中にどうか組み入れていっていただきたいというふうに思っております。次に、糸数参考人の方に質問したいと思います。これは本当にすばらしいと思いました。沖縄の取組ですけれども、これはOCASと読むんでしょうか、オキナワ・COVID―19・アウトブレーク・アセスメント・システムですけれども、これはいわば、リアルタイムで医療体制、例えば、医療機関個々の受入れ体制をネット上に提示して、それを活用するということでよろしいんでしょうか。
○糸数参考人 各医療機関がそれぞれのシートに入力した数が一覧表となって、クラウド上にありますので、それを見られるということで、リアルタイムでのやり取りが可能になります。例えば、重症のレスピレーターの患者の数が一人減ったというのが分かると、その病院に電話をかけて、そこが空いたのだったら別の患者を受け入れるかという調整も実際に行われたと聞いています。
○仁木委員 私は、そのシステムを是非とも沖縄で回して、そして全国展開できるように、岸田政権も、いわゆるDX、特に医療のDXを進めるということをおっしゃっていますので、それがあると非常にいいというふうに思っております。私も、いろいろ緊急性を要する産婦人科医療、例えば大阪に近い兵庫県で勤務した経験があるんですけれども、OGCSといいまして、いわゆる母体搬送とか、周産期医療を担っている病院のスタッフの状況、ベッドの状況、そして生まれた赤ちゃんの新生児を受入れできる体制をリアルタイムで共有し得る情報、これは今調べると昭和六十二年からありまして、私が活用していたのは二〇〇〇年前後だと思うんですけれども、そういうときでも結構機能していました。したがって、皆さんも御案内のように、救急車をそのとき、サチュレーションモニター、飽和度が下がって要請するわけです。救急隊員が病院探し、受入れできる病院がないということで本当に何時間も待ったという事案、場合によっては、たらい回しの末にお亡くなりになったというような事案も覚えていらっしゃると思うんですけれども、ありました。そういったことをできるだけ減らすように、できれば、この予防計画の中では、その司令塔、今では、例えば徳島県、私は出身なんですけれども、徳島では、入院調整課というのがHER―SYSで得た情報、あるいは保健所に上がった情報を見て、そこの患者さんのところに電話して、状態を、医師的な人がスタッフにいるわけで、その医師的なコーディネートできる人が、あなたは中等症だから、あなたは重症だからとか、まあ重症の人はいないわけですけれども、そういう形で振り分けをしているわけですね。そういうのが本当にリアルタイムでできるということは非常にいいわけですし、ですから、総務省的な、いわゆる救急を担当するような方々にも、何か個人情報の匿名加工とかをうまく活用しながら、そういった瞬時に必要な、本当に急ぐエマージェントな患者さんをすぐに医療機関に受け入れできるようなことをやっていくべきだと思うんですね。いろいろそういうアプリはあると思います。救急隊員はやはりすぐ届けたいわけですから、そうすると自分がまた新たな患者さんの応招にも応えられるわけでございまして、そういう意味でいうと、近い医療機関でそういうところを探すわけですね。そのマッチングをうまくできるような形、この沖縄の事例というのは非常に参考になると思うので、これを是非ともデータベース、あるいは報告していただいて、より全国展開できるように、今回のこの感染症法の改正においても活用していっていただきたいなというふうに思っております。続いて、脇田参考人に質問しますが、これは、ちょっと今日この質問に先立ってお渡しした、ワクチンにも該当します。ちょっとこの資料なんですけれども、私も実は先般質問したんですけれども、従来ワクチンも含めて、新しい二価ワクチンが三か月で接種することが可能になったというふうに言われております。実は地元でも、仁木先生、もう三か月で打てるような通知が来たから、打ってくれるんですかというのがあるんですね。これは、国からの通達を本当に受けて、真に受けてと言うとあれですけれども、本当に受け止めて、そういう行動変容している患者さん、地域の方々です。その上で質問なんですが、ワクチンには、御案内のように二つの大きな効果があると思います。感染予防、重症化予防ですね。はっきり言いまして、今、私がお手元に渡している資料はファイザーということにしたいと思います。ちょっと、いろいろ業者のことはありますけれども。従来型ワクチンとBA・1対応型ワクチン、BA・4、5型の、BA・1とBA・4、5対応型と書いていますのは二価ワクチンですけれども、もし先生が、そういった通知が来た場合、どのワクチンを打たれますか。脇田先生、それと大曲先生。
○脇田参考人 ありがとうございます。従来型とBA・1、BA・4、5対応ということですけれども、私は、接種券が昨日来ましたかね。それで、見ましたけれども、BA・1とかBA・4、5とかは余り書いてなかったような記憶があります。ちょっとそこを選べるのかどうかというのは分からないんですけれども、BA・1でもBA・4、5でも、どちらでも打てるものを打とうというふうに思っています。というのは、現在、BA・5が流行していますね。日本では多いということですけれども、やはり、今後の流行を考えると、BA・2が主流になるのか、それともBA・5が主流になるのか、これはなかなか予測が難しいということで、BA・1は、BA・2に近いということ、BA・4、5とはちょっと距離があるけれども従来株とはかなり違うということですから、これはどちらを打ってもオミクロンに対する免疫がつくということで、それは従来株と比べればそれほど距離が遠いわけではないですから、打てるものを打ちたいというふうに思っています。
○大曲参考人 お答えをいたします。もう脇田先生がお答えになられたので、全く同じ意見であります。私も、先週末に接種券が届きましたので、今度五回目になりますが、なるだけ早いところで、自分の都合の合うところで、二価型のワクチンを打ってくださるところに行こうと思います。そこにおいて、BA・1向けなのか、BA・4、5向けなのかということは、全く考慮には入れていないというところです。以上です。
○仁木委員 ちょっとお答えにくい質問をしてしまったかもしれませんが、やはり、これは例えば従来型ワクチンもこの対象になっているということですね。そうしたら、これは、このワクチンが打てますよという御案内があったとしても、私、実は、先般のこの厚生労働委員会で、そういったワクチンが余剰になって、それを使わないともったいないからとか、いわゆるワクチンの在庫一掃セールじゃないかみたいなことも言っちゃったんですね、暴言になるのかもしれませんが。ですから、やはりワクチンは任意なんですよね。私はしっかりとしたリスクコミュニケーションをするべきだと思うんです、副反応のことも含めて、有効性も含めて。じゃないと、やはりワクチンのショット、注射を打つだけでも、副反応のリスクファクターであります。ですから、この説明、今るるお答えいただきましたが、ちょっと分かりにくいですよね。結局、どれかと、お立場がありますから言えないというのは分かるんですけれども。では、もう少し質問を変えますけれども、ワクチンの先ほど私が二つ申し上げたいわゆる有効性、打っていたら感染しにくいということがやはり確実に、対オミクロン株に対しては下がっているという認識でいいんですね。じゃないと、今までは、当初六か月、そしてオミクロン株が流行し始めて、そして五か月になったんですね。それが、私たち医師みたいな現場で頑張っている者にしてみても、いつの間にか三か月になっている。この前質問したら、それは、そういうリサーチ、治験をやっていまして、承認が下りたからオーケーですと言われたんです。それはちょっと、一番最前線で国民にリスクコミュニケーションのできるドクターとしては、説明がなかなか難しいですよ、それは。その辺に関しては、脇田参考人、どうでしょうか。
○脇田参考人 ありがとうございます。これまで、従来株のワクチンが四回目接種まで行われてきました。四回目に関しては、オミクロン株の流行ということで、確かに、発症予防効果、それから感染予防効果については、これまでのデルタ株と比べるとやはり限定的になっている。ただ一方で、まあ、期間も少し短くなるということが分かっています。ですから、重症化予防効果を中心として、高齢者への接種が優先をされたということになります。ただ、発症予防効果がないわけではなくて、それはあくまで期間が短くて少し弱いということでありましたので、医療従事者等はそれから接種をしていただいたということになります。先ほども説明しましたけれども、抗原性のところで、従来株がこうあるとしますと、この従来株のワクチンを打ちますと、免疫が成熟してきますので、傘でいうとこんな形で守られてきます。オミクロン株はこの辺にありますから、どうしても、やはり少し感染予防効果は弱いですけれども、でも、確かに守られます。これが、またオミクロン株のワクチンを使いますともう一個傘があるというところで、非常に、抗原性、広く守られるということになります。ですから、オミクロン株のワクチンの方がより発症予防効果、感染予防効果ということを考えると、よりオミクロン株の流行に対しては有効であるというふうに我々考えているわけですね。ただ、やはり、住民の皆さんのお話を聞きますと、今までずっと打たれてきた従来のワクチンの方が私は安心だというような方もいらっしゃいますので、そういった声にもある程度応える必要はあるのかなというふうに私は個人としては考えています。
○仁木委員 ありがとうございます。そうしたら、もう少し、ちょっと質問をしたいと思うんですが、季節性のインフルエンザのワクチンというのは、その時々、いわゆるデータを収集して、その年の冬にはやるということを想定した株を目がけてワクチンを作るわけですね。製造するわけです。そうしたら、名前がオミクロン株、しかも、BA・5というのがほぼ第七波で広がっているときに打っていた人、これは五か月で打っていたのが三か月になったりするわけですし、逆に、これだけ蔓延的に感染者がいて、リカバーしている、サバイブして、いわゆるまた元の状態に回復されている方がいらっしゃるわけですけれども、そういう方はもう一回打つべきなんですか。いわゆる、私は、自然免疫ができた方に対して、ワクチンの扱い、脇田先生、これをもう一度、済みません、どういう形で、先生がもし現場で、先生、この前、実はオミクロン株、コロナに感染したんだけれども、ワクチンを打たなきゃいけないんですかと言われたら、どうお答えしますか。
○脇田参考人 お答えいたします。それが直近の感染であれば、やはりすぐに打つ必要はないというふうに私は考えています。ですから、今、ある程度の期間を置いて、やはり感染があったとしても、ワクチンでの免疫もつけるということが推奨されています。というのは、ワクチンの免疫だけ、あるいは感染の免疫だけよりも、ハイブリッド免疫、これは感染と免疫、両方つけた免疫というのがより効果が高いということは言われていますので、感染だけではなくて、その後にもしっかりワクチンも打っていただくということが必要だと考えています。
○仁木委員 ありがとうございます。今日、私、ハイブリッド免疫という言葉をお聞きしましたので、そういう新しいワードも活用して現場でワクチンの普及を進めていきたいと思いますが、脇田先生、私、先生と予算委員会でも議論しました。それは、先ほども議論ありましたが、日本版CDCの創設に関しまして。先生はサーベイランスとデータベースが大切だとおっしゃっていました。先生がお答えになっているデータも、やはりサイエンティストですから自分の妄想だけでは絶対コメントされていないわけですよね。確固たるデータベースがあって、それに基づいて今までの御見識で答弁いただいていると思っております。そういう意味で、私は、やはり、行動変容を伴うんです、感染症法というのは。パブリックヘルスなんですよ。だから、多くの国民に、いったら医療のことも分からないような基礎知識がない方々にも行動変容をしていただかないと、なかなか日本国の国民は守れない、そういう理念があるわけですね。そういう意味で、日本版CDCを創設するに当たって、やはりしっかりとしたデータベース、これをしっかり構築できるような医療DXを進めていきたいと思っておりますので、是非とも、その辺の旗振り役、先頭になって創設していっていただきたいと思いますので、そのことを最後に、ああ、まだ、済みません、ありましたね、お願いしたいと思います。
○三ッ林委員長 申合せの時間が終了しております。
○仁木委員 そうしたら、これで終わりにしたいと思います。

○三ッ林委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。次回は、明二日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。