2022年11月4日 衆院厚生労働委員会 協会と地方議員の関係 自民は調査・公表せよ

 日本共産党の宮本徹議員は4日の衆院厚生労働委員会で、自民党の地方議員と統一協会(世界平和統一家庭連合)との関係を調査・公表するよう岸田文雄首相に迫りました。
 統一協会の機関紙「世界日報」(10月31日付)は、全国の地方議会で同協会と地方議員らとの関係断絶や調査・追及を求める意見書が、自民党議員らの反対多数で否決されていることを挙げ、「(自民)党本部の指針(ガバナンスコード)に新たに盛り込んだ『組織・団体との責任ある関係』を地方に徹底することは容易でなさそうだ」と報じました。
 宮本氏は「岸田首相の甘い姿勢が統一協会側に見透かされているのではないか」と強調。「統一協会の側は、自分たちが選挙支援を通じて自民党の地方議員と築いてきた関係は簡単に切れないと、たかをくくっている」と指摘しました。
 宮本氏は、統一協会の礼拝堂の中で選挙はがきを書いたという地元の元信者の証言を紹介。「岸田総理が統一協会との関係を本気で断つというのであれば、ガバナンスコードを周知するだけでなく、地方議員を含めた調査と公表が必要だ」と追及しました。
 岸田首相は「しっかり点検を行ったうえで統一協会との接点が明らかになった場合は説明責任を果たし、未来に向けて関係を断つ。これを地方にどこまで徹底させるかが問われている。どうせ無理だろうなどという声にしっかり応えられるよう、自民党として徹底していきたい」と述べるにとどまりました。

以上2022年11月5日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年11月4日 第210回衆院厚生労働委員会第6号 議事録(午前)≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、まず、先日の参考人質疑で、感染研の脇田所長が地方衛生研究所について様々指摘しておりましたので、その点についてお伺いをしたいと思います。脇田所長は、感染研で研修等を行うと、毎回違った方が研修に来るとか、いつも経験がそれほど深くない方がいらっしゃるところもある、業務ローテーションがかかっているところで、感染症に専従している職員が少ない、こういう指摘をされておりました。専門的な人材が安定的に確保されて、専門性や技術がしっかり蓄積されていく仕組みを国と地方自治体が一緒になって考えていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 次の感染症に対して地方衛生研究所の体制をしっかりしていくということ、これは非常に大事であります。特に、地衛研においては、民間検査機関が体制を整えるまでの検査需要に応えるなど、様々な機能が期待をされているわけであります。これまでも、国としては、検査能力の増強を図るために、必要なPCR検査等の設備投資の財政支援、また、国立感染症研究所の試験検査の検査法の普及、検査手技の習得のための研修も実施をしているところであります。それについては、脇田参考人から、先ほど何か、人がころころ替わるというお話があったというのは、今御指摘をされたところかもしれません。現時点で具体的な支援措置は予定をしておりませんけれども、感染症対応に必要な機能の確保に向けた自治体の責務規定を今回の改正法で創設をさせていただき、また、連携協議会の設置や予防計画の策定によって、地方衛生研究所を含む検査体制について、自治体が地域の実情に応じて自らの責任において計画的に整備するための仕組みを盛り込んだところでありますので、こうした仕組みを活用して、自治体においてまさに計画的な整備を平時からも行っていただけるように、我々も努力をしていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 自治体に責務を課すわけですけれども、自治体の財政力という問題がありますから、そこに国がどう支援していくのかということが求められると思います。あわせて、脇田所長は、地衛研の体制について、設置基準がまだ明確ではないという問題もある、引き続き議論していただいて、しっかりとした設置基準で、こういった機能を持つべきだということを明確にしていただくことが必要だと指摘されました。ミニマムの設置基準や人員の配置基準、こういうものもしっかりと検討していくべきなんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 ここは前回も御議論させていただきましたけれども、平成九年の地方分権推進委員会の勧告というものがございますので、それを踏まえて、具体的な基準、地方衛生研究所の設置基準や人員配置基準などのような基準を設けることは予定をしておりませんが、地方衛生研究所の体制整備の在り方については、実態調査や有識者の議論などを踏まえ、地域保健法に基づく基本指針あるいは関係通知等の中で技術的な助言として示してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 技術的指針じゃなくて、やはりちゃんとした法的な裏づけを持って、配置基準、設置基準を設けてほしいというのが感染研の所長の側からの要望ですから、そこはやはりしっかり踏まえていただきたいと思うんですよね。この委員会でも何度か議論がありましたけれども、法的な組織としての地衛研の位置づけについても、脇田所長からは、今回は入っていないわけですけれども、引き続きやはりこれは議論してほしいんだという強い要望が示されておりました。今回の法改正では不十分だというのが感染研の脇田所長の思いだと思うんですよね。そこは改めてしっかり政府内で、この脇田所長の御発言も踏まえて、御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今回の改正法案で、地衛研について、その果たすべき機能等を規定するという形を取らせていただいたのは、先ほど申し上げた平成九年の地方分権推進委員会の勧告に基づいているところでございます。しかし、他方で、次の感染症危機に備え、感染初期の検査、変異株のサーベイランスなどの重要な役割を担う地方衛生研究所の体制強化を図ること、これは重要だというのは私どもも認識をしておりますので、引き続き、そうした体制強化に向けて努力をさせていただきたいと思いますし、また、地方衛生研究所を含む地方自治体の検査体制の計画的な整備、これについても、先ほど申し上げたように、後押しをさせていただきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 ですから、私が聞いているのは、脇田所長は、今回の法改正にとどめずに、さらに、今後も、地方衛生研究所を組織として法的に位置づける、この議論も続けてほしいということをおっしゃっているんですね。これでおしまいなんですか、地衛研の位置づけというのは、今回の法改正で。脇田所長が言っていることというのは、私は、もう一回政府として再検討するに値することだと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今回の改正を出すときには、まさにその勧告との関係で、ぎりぎりの調整をして出させていただいたというのが今回の対応でございます。ただ、脇田所長は、まさに現場としてのそうしたニーズがあるということでありますから、今後とも、現場のニーズ、これをしっかりと受け止めながら、先ほど申し上げた、様々な、勧告とか、いろいろな要件はありますけれども、最大限その実現に努力をさせていただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 勧告そのものには、地衛研を法的に位置づけちゃいけないという文言が入っているわけじゃないですからね。自治体に求めるものは必要最小限ということになっていますけれども、その必要最小限の中に地衛研は入っていくべきなんじゃないかというのが、今回の感染症対策を踏まえての現場の強い思いだと思いますので、そこは更に検討をお願いしたいと思います。保健所についてもお伺いをしたいと思います。今回、IHEATだとか支援の体制が盛り込まれました。保健所では、御存じのとおり、公衆衛生医師が足りない、全国で一割を超える保健所長が複数の保健所長を兼任、兼務しているという状況がございます。また、保健所の人員体制もこの間、強化するという措置が図られておりますが、なお保健所長会からは、絶対的な人員不足でメンタルヘルスの悪化につながっており、専門職、事務職の職員が増員できるよう財政支援を求める声が上がっております。また、私どもがおります東京では、例えば多摩府中保健所の担当エリアは六市で百万人、多摩小平保健所では五市で七十三万人ということで、東京市長会からも保健所の新設を求める声が上がっているわけでございます。大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この公衆衛生医師の確保、保健所職員の増員、保健所の新設、こうした現場の声にしっかり応えていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今般の新型コロナ対応においても、感染拡大の中で保健所機能を維持していくために、保健所で感染症対応業務に従事する保健師の恒常的な人員体制の強化、業務逼迫時に備え、保健師等の専門人材が保健所等業務を支援する仕組み、いわゆるIHEATの構築、さらには、今般の改正案では、保健所設置自治体に、感染症有事に備えた人員確保や育成など体制整備を含む予防計画の策定を義務づけるなどを盛り込んだところであります。保健所設置自治体が、健康危機管理の拠点として、今言った人員確保等々を含め保健所の体制整備を計画的に実施できるよう、地方自治体の声も頂戴しながら、我々としても必要な支援を検討していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 財政支援を含めてしっかりと取組をお願いしたいと思います。検疫法についてお伺いしたいと思います。コロナパンデミックで、隔離、停留に応じていただけなかった例というのは何例あったんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。コロナパンデミックで検疫措置はどういう運用をしていたかということですけれども、まず、陽性になって患者となったという方は、症状に応じて、例えば、宿泊施設での療養を要請するというケースもありますし、一定の症状がございましたらとなると宿泊施設での療養が困難になりますので、医療機関での療養が必要になる、そう検疫所長が判断した場合、措置としては隔離措置となります。停留措置につきましては、感染のおそれのある者に対して居宅等での待機を要請し、待機要請に協力が得られない場合等に、同じく検疫所長が停留措置という形での運用でした。こうした運用をしている中で、委員御指摘の隔離や停留に応じなかった事例について、網羅的には把握しておりませんが、実例として、例えばほかの病気をお持ちで、その方の療養の確保の観点から結果的に居宅等での待機に切り替えたですとか、また、一旦停留等を拒否して宿泊施設等から出られた、だけれども、丁寧に説明を行った結果、最終的には停留等の措置に応じたケースといったケースは実際にはございました。
○宮本(徹)委員 何例あったのかというのは把握していないわけですけれども、そういう例もあるということでございます。実際、応じなかった場合でも罰則はかけてこなかったというのが前回の答弁だったというふうに思います。ですから、応じなくても罰則はかけないという運用でやっている以上は、罰則をかける人がいたら逆に、法の運用として大変恣意的な、不公平な面も生まれかねないということだと思うんですね。ですから、私、前も言いましたけれども、やはり刑事罰そのものを外していくということも考える必要があると思うんですよね。とりわけ、水際対策ということを考えた場合に、これは極めて大事ですけれども、水際対策そのものというのは、いつかは突破される、時間稼ぎだということで、この間のコロナについても対応してきたと思うんですよね。いつかは突破されるものについて刑事罰を科すというのは、私は大変バランスを欠いている対応だというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えします。国内の感染症対策における水際対策の役割は、先ほど委員も御指摘いただきました、感染症危機の発生に際して、国内に常在しない感染症が流入することを防ぎつつ、国内における感染症対策の体制を整備するまでの時間を確保ということになります。このような国内の感染症対策における水際対策の重要な役割、これも委員御指摘いただきました、この重要な役割を踏まえますと、その実効性を可能な限り確保する必要があると考えております。刑事罰による担保がその結果として必要になると考えております。なお、新型コロナウイルス感染症の対応の初期において、検疫官からの指示に従おうとしない入国者に対して、刑事罰の適用もあり得ると告知したことで指示に従った事例もある、これは先週の委員の御質問に対しても御紹介した事例でございますけれども、こうしたことを考えますと、刑事罰には法違反に対する一定の抑止力があるものと考えております。
○宮本(徹)委員 抑止力が働くのはそのとおりだと思いますけれども、ただ、水際というのは、やはりどういうルートからか分からないですけれども、どこかからは突破されるわけですよね。それが刑事罰が科されるということになったら、やはりその人が責められる立場になってしまうわけですよね。私は、そういう考え方でいいのかなというのは大変疑問だということを申し上げておきたいと思います。あと最後ですけれども、今回、履行確保措置にペナルティーというものが入りましたけれども、病院名の公表だとか、特定機能病院あるいは地域医療支援病院の承認取消しというのは誰の提案で入ったんでしょうか。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。感染症に対応する医療機関の在り方につきましては、本年六月の有識者会議取りまとめにおきまして、危機時に実際に病床を確保するための対応や地域で個々の医療機関が果たす役割が具体化されていなかったことや、医療機関の協力を担保するための措置もなかったことなどが指摘をされているところでございます。これも踏まえまして、本年六月十七日と九月二日の政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、協定の仕組みを創設することや、今御指摘いただきました都道府県知事の勧告、指示、公表、そして特定機能病院などの承認取消しなどの履行確保措置を設けることが決定されたところでございます。さらに、関係審議会におきまして、これらの内容を含む感染症法等の見直しについて御議論いただいて、御了承いただいた上で、今般の改正案を提出したというところでございます。
○宮本(徹)委員 経過を述べていただいたわけですけれども、その経過の中で、病院名公表だとか特定機能病院の承認の取消しだとかというのを一体誰が提案してこういうものが出てきたのかということをお伺いしたいんです。最終的にそうやって確認されたのは分かりますけれども、どこから出てきた提案なのかなと思いまして。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において先ほど御紹介したようなことが決定されたわけでありますけれども、こういった決定をするに当たりましては、当然、関係省庁、また私ども厚労省の方でもいろいろな中身を検討した上で決定したということでございますので、そういった検討の中で入ったということで御理解いただければありがたいと思っております。
○宮本(徹)委員 ということは、厚労省の事務方からの提案で入ったという話なんですかね、これは。ちょっとその辺は後でまた、時間になりましたから、後でお伺いしたいと思いますけれども。以上で質問を終わります。

≪2022年11月4日 第210回衆院厚生労働委員会第6号 議事録(午後)≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。総理に伺います。統一協会系の機関紙世界日報、十月三十一日付の一面に、統一協会問題をめぐる地方議会の記事が出ております。大見出しは、共産主導の徹底調査意見書、相次ぎ否決、自民本部の指針、地方と乖離と書いてあるんですね。リード文、聞いてください。全国の多くの地方議会で、旧統一協会と地方議員らとの関係断絶や更なる調査、追及などを求める意見書が日本共産党の主導により提出されたが、自民党議員らの反対多数で相次いで否決されている。一方、自民党本部は同教団や関係団体との関係を厳に慎むよう地方組織にも周知し遵守を徹底する方針だが、地方の事情との乖離もある。この記事の最後も読み上げます。同教団への対応をめぐって、来年四月に統一地方選を控える所属議員らの間でも濃淡があり、党本部の指針、ガバナンスコードに新たに盛り込んだ、組織、団体との責任ある関係を地方に徹底することは容易でなさそうだ。これは、統一協会系の機関紙の一面に書いてあるわけですね。総理、この間、私たちは何度も総理に、自民党の地方議員について調査すべきだということを求めてきましたが、総理は応じてこなかった。その総理の甘い姿勢が統一協会から見透かされているということじゃないんですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、ここでは内閣総理大臣としてお答えしておりますので、自民党の方針について申し上げることは控えなければならないのかもしれませんが、御質問いただきました、御指摘の点を申し上げるならば、自民党において、既に各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告をし、新たな接点が判明した場合は、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たない、これを徹底する、この方針を明らかにしています。大切なことは、未来に向かって関係を絶つことです。そのために、今御指摘がありました、党としまして、ガバナンスコード、この改定をし、そうした方針を徹底するとともに、党所属の国会議員がこれを遵守することを担保するための、照会に対応する体制など制度を整備する、こうしたことを明らかにした次第です。そして、その対応、そして方針について、十月二十六日、党所属全国会議員及び全都道府県連に通知をした。これを地方議員に対して徹底をしていくということを申し上げています。無理だろうというお話もありましたが、党としては、今申した方針を地方に向けて徹底するべく、組織としてしっかりと地方との対話を行っていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 その方針を見て、統一協会の側は、いやいや、自分たちが選挙支援を通じて自民党の地方議員と築いてきた関係はそんな簡単には切れっこないよとたかをくくっているんですよ。だから、機関紙にこんなことを平気で書いているわけですね。私の地元でも、脱会者に聞きましたら、統一協会の礼拝堂の中で選挙はがきを書いているんですよね。そういう証言も得ております。選挙はがきが礼拝堂にどんと積まれていた、こういう話も聞いているわけですよね。ですから、岸田総理が本気で統一協会との関係を絶つというんだったら、ガバナンスコードを周知するというだけじゃなくて、ちゃんと地方議員も含めて調査して公表する、これが必要なんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 自民党の基本的な方針については、先ほど申し上げたとおりであります。しっかり点検を行った上で、その接点が明らかになった場合は、説明責任を果たし、未来に向けて関係を絶つということであります。これをどう徹底するのか、党として様々な具体的な制度を用意している、これを地方にどこまで徹底させるか、これが問われているんだと思います。どうせ無理だろうなどという声にしっかりと応えられるように、自民党としても体制、徹底していきたいと思っています。
○宮本(徹)委員 ですから、党としての責任ある調査を地方議員までしっかりやっていく、その姿勢がないから、統一協会の側に、ある意味なめられるような記事を書かれるということに私はなっているんだと思います。(発言する者あり)感染症法の問題をやれと言っていますけれども、もう一問だけ用意しておりましたけれども、時間が来てしまいました。前回申し上げましたけれども、主要な感染経路はエアロゾル感染ですから、徹底的に換気対策をやるのが大事ですから、そこにしっかり予算もつけて、取組をお願い申し上げまして、質問を終わります。