2023年2月1日 衆院予算委員会 年金・医療の機構積立金 軍事流用許されぬ 政府方針の撤回要求

配付資料 出典:財務省「令和5年度予算のポイント」
配付資料 出典:財務省、厚生労働省ホームページをもとに宮本徹事務所作成
配付資料 出典:МEDIFAX web, 2022年12月2日
配付資料 出典:厚生労働省提出資料
配付資料 出典:全日本国立医療労働組合
配付資料 出典:平井平治『財政法逐条解説』(一洋社、1949年)
配付資料 出典:宮本徹事務所作成 

 日本共産党の宮本徹議員は1日の衆院予算委員会で、岸田政権が大軍拡の財源として年金や医療の財源の流用、建設国債の発行を狙っている問題を追及しました。軍拡への流用の撤回とともに「大軍拡ではなく、暮らしの支援、子育て支援、教育無償化こそ優先すべきだ」と求めました。
岸田政権は国立病院機構(NHO)の積立金422億円と、地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金324億円を「不要見込み」として国庫に返納させ、軍拡財源に流用しようとしています。
 JCHOの社会保険病院、厚生年金病院は国民の保険料でつくられました。宮本氏に加藤勝信厚生労働相は「スタートしたときに年金を活用して設立をはかった」と答弁。そのためJCHOの積立金に残余があった場合「年金特別会計に納付しなければならない」と現行法で規定していると述べました。
 宮本氏は「今年、年金は物価高騰の中で大きく目減りさせられる。年金財源を大軍拡の財源に流用するなど、理解が得られるはずがない」と追及。岸田文雄首相は積立金の国庫への返納が「(両機構の)今期の整備計画の実行に直ちに支障をきたすものではない」などと述べましたが、年金財源を流用することについては答えませんでした。
 宮本氏は積立金の軍拡への流用を「国民は絶対理解しない」と重ねて強調した上で、積立金が「不要見込み」となりえるか追及。昨年の感染症法改定で、NHOとJCHOにパンデミック時の医療提供義務が課されることになり、JCHOは次期中期計画で老朽化対応などを進める予定です。省令で定める39年の耐用年数を超える病院はNHOで140病院中77病院、JCHOは57病院中15病院に及びます。
 宮本氏は、JCHOの山本修一理事長の「積立金の675億円があっても足りない」との発言を挙げ、「その半分も召し上げるのは感染症対策を軽んじている」と追及。NHOの看護師の給与が国家公務員の人事院勧告より低く抑えられてきた事実を示し、「積立金を軍事費に回せば国立病院機構の賃金抑制が続く」「医療や年金のための財源を軍拡に回すのは撤回すべきだ」と迫りました。

 日本共産党の宮本徹議員は1日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相が国民のくらしを支える予算を大軍拡の財源に転用しようとしていることを厳しく批判しました。
 大軍拡の財源として狙われているのは年金、医療などの社会保障財源にとどまりません。宮本氏は、2022年の中小企業の休廃業・解散は過去2番目の高水準にあり、コロナ禍のもとでの融資への返済が始まるところに物価高に見舞われるなど苦境に追い込まれていると指摘。しかし政府は、コロナ禍で中小企業の資金繰りに対応する実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の基金2000億円まで軍拡財源に充てようとしているとして、「ゼロゼロ融資の基金の残金を苦境にあえぐ中小企業に回すべきではないか」「中小企業の予算を減らしながら、大軍拡優先に回すのはおかしい」と強調しました。
 西村康稔経済産業相は「コロナ借り換え保証の運用を開始するなど、引き続き万全を期していく」などとしか答えませんでした。
 さらに政府は、戦後初めて、軍事費のための約4343億円の建設国債発行をしようとしています。宮本氏は、財政法4条は公共事業費、出資金、貸付金を除き国債発行を禁じていると強調。同法制定時の逐条解説では4条について、「財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている」「我が国の歴史を観ても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であったこと」としていることを挙げ、「同法の立法趣旨からいって、軍事費に建設国債を充てることは許されない」と追及しました。
 首相は、「海上保安庁の船舶や空港港湾等の公共インフラの整備が建設国債発行の対象だ」などと発言。軍拡整備を公共インフラだと正当化しました。
 宮本氏は、「軍事費のための国債発行は、戦争につながるのが歴史の教訓だ」と強調。戦時中の大量国債発行がもたらした激しいインフレ(物価高騰)に国民が苦しんだ歴史に触れ、「『財源を将来世代に先送りすることなく』と首相は言うが、言っていることとやっていることが違う」と批判しました。

以上2023年2月2日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年2月1日 第211回衆院予算委員会第4号議事録≫

○根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。総理の進める大軍拡について質問いたします。国立病院機構の積立金四百二十二億円、地域医療機能推進機構、JCHOの積立金三百二十四億円を不用見込みとして返納させて、軍拡財源に流用しようとしております。総理に基本的なことをお伺いしますけれども、JCHOの積立金に残余があった場合、現行法ではどこに納付することになっているか御存じですか。
○加藤国務大臣 各法人の個別法に基づいて、期間満了時に次期期間中に必要な業務の財源に充てるために繰越しが認められた額を除き、国庫返納することとされています。国庫に返納されます。
○宮本(徹)委員 それは、国立病院機構はそうですけれども、地域医療機能推進機構法は違うんじゃないですか。
○加藤国務大臣 失礼しました。地域医療機能推進機構は、積立金の額に相当する金額から次の中期の計画等について承認を受けた金額を控除してなお残余あるときは、その残余の額を年金特別会計に納付しなければならないとなっています。
○宮本(徹)委員 総理、知っておりましたか。
○岸田内閣総理大臣 それぞれの組織を規定する法律に基づいて、今厚生労働大臣の答弁があった手法で納付するということになっていると承知をしております。
○宮本(徹)委員 では初めに答えていただければいいんですけれども。なぜ法律で、JCHOの積立金に残余がある場合は年金特別会計に入れると明記されているか、御存じですか。
○岸田内閣総理大臣 その詳しい理由までは承知しておりません。できましたら、厚生労働大臣に答弁をさせます。
○加藤国務大臣 これは、今、JCHOという形になっていますけれども、そもそも、スタートしたときに年金のお金を活用してこの設立を図った、そういう経緯の中で、JCHOについては年金特別会計に納付するという形になっているものと理解しています。
○宮本(徹)委員 加藤大臣のおっしゃるとおりなんですよね。JCHOの社会保険病院、厚生年金病院は国民の保険料でつくられた病院なわけでございます。ですから、必要以上の積立金は年金特別会計に入れるということになっているわけですね。今年、年金は、マクロ経済スライドが発動されて、物価の伸びに比べてマイナス〇・六%目減りさせられるわけですよ。物価高騰の中に大きく目減りさせられる。総理、年金財源の拡充こそ必要なんですよ。年金を目減りさせながら年金財源を大軍拡の財源に流用するなど、国民の理解が得られるはずがないじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 新型コロナ対策の予算等によって積み上がった積立金のうち約〇・一兆円について、特例的に前倒しで国庫納付の御協力をいただくことといたしました。今般の積立金の返納、納付につきまして、この二つの独立行政法人の今期の整備計画の実行に直ちに支障を来すものではないということは承知しております。
○宮本(徹)委員 いやいや、だから、余りが仮にあった場合は年金財源にしていこう、あるいは協会けんぽの支援に回していこう、そういう、年金特別会計に入れるということになっているわけですよ。かつて年金保険料の流用がいろいろ問題になりましたよね。グリーンピア、大臣経験者の地元に巨大な保養施設を造って大赤字になった、こういうこともあったわけですよね。年金財源の流用という点では、やろうとしていることは一緒じゃないですか。更に言えば、総理は本会議で、大軍拡の財源として社会保障は削減しないと述べていたわけですよ。こういう、わざわざ年金特別会計に入れると書いてあるものまで大軍拡の財源に流用するというのは大問題じゃありませんか。撤回すべきですよ。総理、いかがですか。
○加藤国務大臣 今総理からお話がありましたように、こうした積立金の一部は、新型コロナ対策予算、これによって積み上げられたものであるということ、それから、これを我々検討するに当たって、診療事業については運営費交付金は交付されていないというこれまでの経緯があり、他の医療提供主体と同等の条件で競争していく必要がある、平成二十五年閣議決定で、積立金は次期期間中に必要な施設整備等の財源に充てられるよう配慮するというふうになっておりますので、したがって、本来の地域医療機能推進機構が通常の事業で行っている、そこにおいてでき上がってきた積立金、これには触れないということを前提に、こうした金額を算定したところであります。
○宮本(徹)委員 いや、今わざわざ総理は、これから閣議決定しようとしている法律で、今は積立金は年金特別会計に入れるとなっているものを変えようとしているわけですよ。いいんですか。そんなことを国民は理解しないですよ。
○岸田内閣総理大臣 今、特例的に国庫納付の御協力をお願いしようとしているお金、そもそも今回の新型コロナ対策の中で積み上がってきた、こうした積み上がった積立金のうち、特例的に御協力をいただくということであります。従来の計画に支障は来さない、こういった点については、今厚生労働大臣の方から答弁があったとおりであります。
○宮本(徹)委員 その問題は後から議論しますけれども、従来の計画云々じゃなくて、もし残余があった場合は年金特別会計に入れると言っているものを何で持っていくんですか、大軍拡に。年金だって大変じゃないですか。コロナ予算だとか何だとか言っているけれども、これは全部、それぞれ、JCHOだって、コロナ対応で本当に現場の皆さんは大変努力して、そういう中で積み上がっていったわけですよね。それは当然、この後いろいろ言いますけれども、病院で使いたいわけですよ。それでも余りがあるんだったら、これは保険料でつくった病院なんだから、保険会計に戻していく、これが法律なんですよ。こんな法律を変えていいんですか。これはよく検討していただきたいと思いますよ。全然答えになっていないじゃないですか。まずいと思いませんか、総理。
○岸田内閣総理大臣 これは他の予算も基本的な考え方としては共通するところがあるんだと思いますが、我々は、この三年間、新型コロナとの戦いに、あらゆる、財政的な面、様々な国民の皆さんの協力、こうしたものを総動員して立ち向かってまいりました。新型コロナ対策についても、予測不可能な事態にもしっかり備えなければならない、様々な予算を事前に積み上げて対策を講じてきました。そして、今ようやくウィズコロナの段階に移行するべく歩みを進めています。そうしますと、従来、予測不能な様々な要素に備えるための予算についても、用意する必要がなくなる、こういった観点から、こうした予算を活用していく、こうした取組を様々な点で行っていかなければなりません。新型コロナで積み上げた資金についてどう使うのか、こういった点について国民の皆さんに御理解をいただくべく努力をしていくことが重要であると思っています。
○宮本(徹)委員 国民は、法律で年金財源と明記されているものを軍拡に流用するなど、絶対理解しないですよ。さらに、じゃ、本当にこのJCHOや国立病院機構の積立金が不用見込みなるものなのかということでございます。資料を御覧いただいた方がいいと思うんですけれども、JCHOの山本理事長は、積立金の六百七十五億円があっても足りない状況だと述べておられます。というのも、昨年、感染症法が改正されました。国立病院機構とJCHOは、パンデミック時の医療提供義務が課されることになったわけでございます。だから、JCHOは次期の中期計画で感染症法等の改正を見据えたハード面の改修、老朽化を進める予定です。省令で定めている鉄筋コンクリート造りの病院の耐用年数は三十九年です。加藤大臣、三十九年を超える病棟、外来棟のある病院、JCHO、国立病院機構、それぞれ幾つありますか。
○加藤国務大臣 今おっしゃったのは税制上の年限でございますよね。税制上の年限でいいますと、建築後三十九年を超える病棟又は外来棟のある病院は、令和五年一月現在で、国立病院機構については七十七病院、地域医療機能推進機構においては十五病院と承知をしています。
○宮本(徹)委員 国立病院機構、百四十病院中七十七ですから、過半数ですよね。JCHOの病院でも六十年を超えた病院もありますね。資料で厚労省の資料をつけておりますので、是非皆さんも地元の病院を見ていただきたいと思うんですよね。本当に、耐用年数も超えて老朽化した病院を使わざるを得ないという状況があるわけですよね。JCHOの山本理事長は、政府が感染症法等改正で体制整備を求めているだけに、社会的責任を果たしたいと述べているわけですよ。これからコロナとの共存も続いていくわけです。感染拡大の波のたびに医療提供体制は厳しくなってまいります。当事者が六百七十五億円でも足りないと言っているのに、半分も召し上げる。感染症対策を軽んじていると言わざるを得ないと思いますよ。しかも、国立病院機構の看護師さんの給与を見ていただきたいと思います。次の資料ですけれども、九枚目。国家公務員の人事院勧告よりも低く抑えられ、労災病院や日赤などの他の公的病院よりも低いんですね。なぜなら、国立病院機構は、筋ジストロフィーや重度心身障害、結核など、セーフティーネット医療を担っている中で、赤字病院も多いからでございます。労働組合の皆さんが団体交渉で賃上げを求めると、コロナ前は、理事者側は、積立金が八百億円必要という理由で賃金は抑えられてきたわけですよ。総理、この積立金を軍事費に回していったら、また国立病院機構の看護師さんの賃金抑制が続いていくんじゃありませんか。総理、いかがですか。
○加藤国務大臣 その前に、先ほど三十九年と申し上げましたけれども、ただ、国立病院機構からは、例えば、病院の建物は六十五年使用できる設計となり、適切な修繕等を実施していけば更に使用が可能だという、それらにのっとって議論をさせていただいているところでございます。それから、今、お手元の数字、これは必ずしも、ちょっと私どもの手元の数字とは違いますけれども、例えば国立病院機構の看護師さんにおいても、例えば前年度に比べて、さらに国家公務員に対してはその水準が上がるなど、こうした処遇の改善が実施されているところであります。引き続き、そうした対応もしていくことも念頭に置きながら、全体を見て、今回こうした金額を国庫に納付するという形にさせていただいたところでございます。
○宮本(徹)委員 今、国立病院機構の理事者側が提示している賃金改定を乗せても、まだ人事院勧告、国家公務員の水準にはなりません。私、資料をいただいておりますので、余りいいかげんなことは言わないでいただきたいと思うんですよね。本当に、医療や年金のための財源を軍拡に回すというのは私は撤回すべきだということを繰り返し求めておきたいと思います。あわせまして、今回、中小企業向けのゼロゼロ融資の基金も、残金二千億円、軍拡財源にしようとしているわけですね。中小企業対策費は一千七百四億円、これは今年の予算案です。前年度比マイナス九億円なんですね。今国会、我が党のみならず、多くの野党からも中小企業への賃上げ支援を求める声が上がりました。二〇二二年の休廃業、解散は過去二番目の高水準。物価高で大変な苦境に置かれております。しかも、これからゼロゼロ融資の返済が始まって、これも大変な重荷だという話も聞いております。総理、中小企業のゼロゼロ融資の基金の残金、私は、これは苦境にあえぐ中小企業対策に回すべきだと思いますよ。中小企業予算を減らしながら、大軍拡に優先して回すというのは、どう考えてもおかしいじゃありませんか。
○西村(康)国務大臣 民間金融機関による実質無利子融資、ゼロゼロ融資ですね、これは令和三年三月末で終了しております。また、政府系金融機関において、申請件数が平時とほぼ同じ程度になるということで、足下の資金需要を踏まえて、令和四年九月末に申請受付を終了しているところであります。このため、実質無利子化の対象となる貸付状況等を踏まえて、今後基金からの支出が見込まれる最大額を算定の上、令和五年度の返納予定額としては二千三百五十億円として算出しております。いずれにしましても、中小企業の資金繰りについては、日本公庫による低利子融資を継続するとともに、民間ゼロゼロ融資の返済本格化に向けて、コロナ借換え保証の運用を開始するなど、引き続き万全を期していきたいと思っております。ちなみに、令和五年度の当初予算に加えて、令和四年度、昨年末の二次補正予算において約一兆円程度、中小企業対策も確保しておりますので、しっかりと中小企業対策をやっていきたいというふうに思います。
○宮本(徹)委員 七割の中小企業が賃上げができないというふうに答えているんですよね。働いている人の七割は中小企業なんですよ。何で、ここに支援を優先して回さずに、せっかく中小企業のために積んだものを軍拡に持っていくのか。とんでもない話だと思いますよ。更に加えて、今回、戦後初めて軍事費のために建設国債を四千三百四十三億円発行いたします。財政法四条は、公共事業費、出資金、貸付金の財源を除いて、国債の発行を禁じております。資料をつけておりますが、財政法制定時の大蔵省の財政法逐条解説、こう書いているんですね。「第四条は健全財政を堅持して行くと同時に、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしてゐる規定である。」。これは大蔵省主計局法規課長の言葉ですよ。そして、さらに、次のページ、「戦争と公債が如何に密接不離の関係にあるかは、」「我が国の歴史を観ても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であつたことを考察すれば明らかである、」「公債のないところに戦争はないと断言し得るのである、従つて、本条は又憲法の戦争放棄の規定を裏書保証せんとするものであるともいい得る。」。総理、財政法四条の立法趣旨からいって、軍事費に建設公債を充てることは到底許されないと思いますが、総理、そういう認識はございますか。
○鈴木国務大臣 財政法立法時の財政法逐条解説について、これには度々御党の先生方から御質問がありまして、宮本先生も、平成二十八年に麻生前大臣に、また、本会議場でも安倍総理に御質問をされたところでございます。政府のこの答弁、これはもう一貫しているものでありまして、そのときと変わらないわけでありますけれども、財政法第四条は、あくまで健全財政のための財政処理の原則を規定したものであって、戦争危険の防止そのものが同条の立法趣旨であるとは考えていないところでございます。そして……(宮本(徹)委員「いいですよ、もう、時間がないので」と呼ぶ)はい。
○宮本(徹)委員 わざわざ私は、当時の大蔵省主計局の法規課長が書いた、しかも、これ、主計局長だとかが推薦文まで書いている逐条解説ですよ、その立法趣旨を読み上げたのに、当時書かれたものを否定する。歴史の教訓を全く無視したものだと言わなければならないと思いますよ。大体、その逐条解説の中にもありますけれども、戦争のための大量の国債発行で、その後国民は激しいインフレで苦しんだんですよ。戦後三年六か月で消費者物価は百倍に増えたわけじゃありませんか。そして、今、国債の発行は戦時中を上回る状況ですよ。総理は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の責任として対応すべきということを軍拡財源の問題で増税に絡めておっしゃるわけですけれども、言っていることとやっていること、全く違いますよ。
○岸田内閣総理大臣 建設国債の問題については、まさに今財務大臣が答弁しかけた部分でありますが、これは、国家安全保障戦略において防衛省と海上保安庁との連携や公共インフラの整備等が明確に位置づけられる中で、海上保安庁の船舶、あるいは空港、港湾等の公共インフラの整備が建設国債の発行対象であることから、整合性の問題として、防衛省・自衛隊の施設整備費や艦船建造費を建設国債の発行対象経費として整理したものです。要は、赤字国債であるものが建設国債になるわけですから、これは国債の量が増えるものではありません。これは整理のものであるということでありますので、先ほど言いました、私が言った、将来の世代にツケ回すものではない、そういった考えの下に対応したいという発言と矛盾するものではないと考えます。
○宮本(徹)委員 海上保安庁が建設国債だから整合性を持って防衛省も建設国債だというのが立法趣旨に反するということを、私はわざわざ当時の逐条解説まで読み上げてお伝えしたのに、全く理解していないですね。最後、時間がないので、一問、少子化対策についてお伺いいたします。資料の最後のページを見ていただきたいと思います。数ある所得制限の中で、今、自民党が、茂木さんがおっしゃっているのは左上の児童手当だけなんですね。これ以外で最も厳しくある所得制限が教育費の支援、教育の無償化であります。さらに、深刻な問題が起きているのが障害者福祉に関わる所得制限です。異次元というんだったら、これは全部撤廃する、これが、異次元というならやるべきことだと思うんですよね。そして、総理は、何より優先されるのは当事者の声とこの間答弁されておられますが、子育て世代が最も求めている支援というのは教育費の負担軽減であります。私立大学の初年度納付金は百三十五万円。家計負担が異常に重過ぎます。憲法で、学ぶことというのは保障された権利であります。高い学費で進学を断念したり、奨学金返済で苦しんだり、理想の数の子供が持てない、こういう現実自体が極めて異常なことだと思うんですよね。しかも、国際人権規約の高等教育の漸進的無償化、我が党は一九七九年から政府に留保撤回するよう求め、民主党政権のときにこの留保は撤回されました。総理、国際公約であり、なおかつ当事者の最大の要望である教育の無償化、所得制限なく大学まで行う、これは少子化対策の柱に据えるべきじゃありませんか。これは総理にお伺いします。
○岸田内閣総理大臣 今、子供、子育て政策について内容の具体化を行っています。その際に、児童手当等の経済的支援と、そして様々な支援のサービスの内容と、そして子供、子育て政策の様々な制度、働き方改革を含む様々な制度支援、こういったものについて見直すのと併せて、御指摘のように、教育、これも子供、子育て対策の大変重要な視点であると考えて、内容の具体化を進めております。
○宮本(徹)委員 本当になかなか具体的な話が進まないわけですけれども、異次元の大軍拡を優先しているから、財源がないないということで、子育て支援が後回しになっているんじゃないですか。大軍拡ではなくて、暮らしの支援、子育て支援、教育無償化こそ優先すべきだということを強く訴えまして、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。