2023年3月15日厚生労働委員会 空襲被害者救済を急げ 宮本徹氏 政治決断で進めよ

 日本共産党の宮本徹議員は15日、衆院厚生労働委員会で、提出が遅れている空襲被害者救済法案について、政治の決断で進めるべきだと主張しました。
 東京大空襲で約10万人、全国の空襲で50万人も亡くなってから78年たちますが、同法案は、与党内の手続きが進んでいないため、超党派議員連盟による法案提出が難航しています。
 宮本氏は「民間空襲被害者の逝去が続いている。被害を招いた責任は国にあり、何も補償しないというのは正義にも人の道にも反する」と述べ、岸田文雄首相に決断を促すべきだと強調。加藤勝信厚労相は「議員連盟の議論を注視しながら政府として何ができるか考えていきたい」と答弁しました。
 宮本氏はまた、中国残留孤児の認定が、証言者が亡くなるなどして現状のやり方では進まない実態を告発。「中国残留孤児を生んだ日本政府の責任は極めて重大だ」として、ゲノム解析(遺伝子情報解析)の活用も含めて「新しい認定ルールをつくるべきだ」と主張しました。
 加藤厚労相は「客観的な立場で調査を行い、日中両政府で認定を行っている」と答弁。ゲノム解析について「活用できるのかできないのかも含めて、中国残留孤児の調査をより的確に行っていくことが大事だ」と述べました。

以上2023年3月19日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年3月15日 第211国会衆院厚生労働委員会第3号 議事録該当部分抜粋≫


○宮本(徹)委員 ~略~ 昨年十一月、ETV特集で、中国残留孤児だとして、今も二百人余りの人が認定を求めているということが報道されておりました。そのうち、四人の方が登場しておりました。菅さんは、九十歳の証言者を見つけ、厚労省にビデオと文書を提出。これに対して厚労省は、証言者に直接会っての調査が必要と返事。しかし、厚労省はすぐに面談せず、待つこと一年半、証言者は認知症が進み、亡くなってしまった。黄さん、この方は、親の長谷川さんの方も捜していたことなど、たくさんの証拠書類をそろえたんですけれども、認定されなかった。白さんは、養母が亡くなる前に、拾ったときに包まれていた服を渡されたという話など、紹介されていました。孫さんも、日本語の手紙も残っております。それぞれ、いろいろな物証も含めて、ある方々ばかりでした。しかし、証言をしていた人が亡くなるなどして、現在のやり方では認定が進まない状況ということになっております。中国残留孤児を生んだ日本政府の責任というのは極めて重大であって、私は、解決に向けて、日中で協議して、新たなルールを作るなどすべきではないかと思うんですね。報道を見ていましたら、白さんは、二〇一九年に厚労省を直接訪れたんですけれども、あなたは日本人だと言うけれども、本当かと言われたとのことでありました。しかし、例えば、今世紀に入って、DNAの解析というのは、ずっと、手法も開発されて、世界各地の人類集団のDNAの解読、ゲノムの解読というのは進んでおります。人類学的に見て、日本人と中国人、漢民族は、見た目以上にゲノムが違うということも既に明らかになっているわけですね。遺骨の収集の際にもそうした技術が活用されているわけです。大臣、科学の活用も含め、こうした皆さんがちゃんと認定されて、日本に戻ってこれるように新しい認定ルールを作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 中国残留孤児の調査については、本人の申立てを基に、日中両政府が保有している資料を用いたり、必要に応じて証言者に照会を行ったりすることで、客観的な立場で調査を行い、日中両政府で中国残留孤児との認定を行っているところであります。日中両政府が中国残留孤児として認定している方は、日本人を両親として出生した者であることなど、ちょっと省略しますけれども、五つの要件を全て備えている方であります。昭和五十年から平成二十四年までに二千八百十八名の孤児を認定しており、平成二十五年以降は認定された方がいないというのが現状であります。現在、厚労省として、孤児に係る新規申立て、これはゼロ件ということでありますが、中国残留孤児を調査を行うに当たって、今、DNAの分析結果というのが一つの例示として出ておりました。そうしたことが活用できるのかできないのかということも含めて、中国残留孤児の調査をより的確に行っていくことは大事だと思っております。
○宮本(徹)委員 DNAはできるかできないか、これはできるに決まっていると思うんですね、だって、実際に遺骨ではやっているわけで、何人の骨なのかというのは、遺骨についた壊れたDNAまで、次世代シークエンサーでSNP解析もやって、これは日本人だという判定をしているわけですよね。さっきの五つの要件を満たすことが必要だということをおっしゃいましたけれども、五つの要件の一つ目は、両親が日本人であること。そこに疑問を持って受け付けられていない、認定されていない方々がいるわけですから、そこは、私は、DNAも、まあ本人が提供するのは同意が原則ですけれども、DNAについては。そういうことも含めて、本当に、自分のルーツは何なのか、人間の尊厳の問題だということを当事者の皆さん、訴えられておられました。是非、与党の皆さんも、関心を持たれる方は、NHKのオンデマンドで見れますので、見ていただけたら。これは本当に放置するわけにいかない問題だと、できることがあるんだったら本当に全部やり尽くして、帰国できるようにしなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。そして、三点目ですけれども、空襲被害者救済法についてお伺いいたします。先ほども吉田委員からお話ありました。長年、民間空襲被害者への補償を訴えてきた空襲被害者の逝去が続いております。残された時間はほとんどありません。国が戦争を始め、敗戦必至の状況でも国が戦争を続ける中、空襲で五十万人の民間人の命が奪われました。家族を失い、孤児となり、障害を負い、塗炭の苦しみの中に生きてきたわけでございます。この被害を招いた責任は国にあるわけですね。何も補償しないというのは、正義にも、人の道にも反すると思います。加藤大臣、総理はこの間、答弁で、議員連盟での議論もしっかりと注視しながら政府として何を加えるべきかと考えていきたい、こういう答弁をされております。しかし、法案は、議連の方ではまとまっていても、自民党内での調整がつかない、こういう状況が続いております。先ほどの吉田委員への答弁では、大臣は注視していくということをおっしゃっておられましたけれども、ただ注視するだけではなく、是非、総理が決断できるように、閣僚の一人として、決断を促す役割を加藤大臣には果たしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほど答弁しましたので重複ははしょらせていただきますけれども、今委員のおっしゃった点に関しては、まさに総理がおっしゃっておられるように、議連の議論も注視しながら政府として何ができるか考えていきたい、まさにこういった姿勢で取り組んでいきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 今日、改めて、三月十日の毎日新聞の社説も資料でつけておきました。同じ敗戦国のドイツとイタリアでも、あるいは戦勝国のフランスやイギリスでも、空襲被害者の救済というのは行っているんですよね。やはり戦争被害の救済のためのというのはやるというのが当たり前のことだと思うんですよ。ほかのサミット諸国でもやっているわけですから、是非日本でも、これは本当に待ったなしの課題ですので、決断していただきたいということを強く求めておきたいと思います。~以下略~