2023年3月29日 衆院厚生労働委員会 国庫負担減らす目的 健康保険法改定案 宮本徹氏が追及

配付資料 出典:2023年3月24日優生保護法被害全国原告団・同弁護団・優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会内閣総理大臣・厚生労働大臣宛要請書
配付資料2 出典:2023年3月27日 日本共産党国会議員団声明「旧優生保護法のすみやかな帰結にむけて」
配付資料3 出典:厚生労働省提出資料より宮本徹事務所作成
配付資料4 出典:厚生労働省ホームページ
配付資料5 出典:全国保険医団体連合会ホームページ
配付資料6 出典:全日本民主医療機関連合会提供資料
配付資料7 出典:2008年、2022年総務省家計調査より宮本徹事務所作成
配付資料8 出典:厚生労働省提出資料

 日本共産党の宮本徹議員は29日、衆院厚生労働委員会で、健康保険法改定案は75歳以上の高齢者の医療保険料をひきあげる一方で、国庫負担が910億円も減ると指摘し、現役世代の負担軽減をやるのであれば、国庫負担を増やすべきだと主張しました。
 宮本氏が、「今回の法改定で国庫負担はいくら減るか」と質問。伊原和人保険局長は「910億円の減となる」と述べました。宮本氏は、「現役世代の負担軽減と言っておきながら、中小企業が働いている方が多い協会けんぽの負担が増えている」と批判。「法改正は国庫負担を減らすことが目的になっている」と主張しました。加藤勝信厚労相は「負担能力に応じた調整による結果」だとして国費削減を正当化しました。
 宮本氏は、昨年10月の後期高齢者の窓口負担2倍化の、受診抑制への影響を把握しているかと質問。伊原氏は「(把握は)早くて今年の夏になる」と答弁しました。宮本氏は2割負担の受診抑制への影響も把握しないまま負担増を求めるのは無責任だと批判しました。
 宮本氏は、国保保険料の子どもの均等割への市区町村が独自に行う軽減策に対して、国が否定的な事務連絡を出していることについて、「少子化対策というのであれば、子どもの均等割の軽減について圧力をかけるのはやめるべきだ」と主張しました。

以上2023年3月30日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年3月29日 第211国会衆院厚生労働委員会第5号議事録≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、優生保護法の問題についてお伺いいたします。今年、連続して五つの判決が出ております。いずれも、除斥期間は適用しない、そして国の賠償責任を認めております。昨年来のこれまでの高裁判決四つも、全て除斥期間の適用を認めておりません。もうこの問題で除斥期間の適用を認めないというのは司法の判断としては定まってきていると言っていいと思います。覆ることは最高裁に行ってもないと思います。その一方で、原告の方も高齢で、次々亡くなっております。先週の大阪高裁の原告の小林宝二さんは九十一歳なんですね。昨年、原告として共に闘ったパートナーを亡くされております。昨日、院内集会がありましたけれども、小林さんは、これ以上待つことができない、こうおっしゃっておられました。これ以上、解決を先延ばしすべきでないと思います。そして、昨日の院内集会で、議連会長代理の田村さんも、早期に解決したいとおっしゃっておられました。院内集会では、田村さん頼んだよという大きな声もかかっていたわけでございます。ただ、早期の解決のためには政府の決断も必要なんですよね。是非、加藤大臣には速やかな解決を図る立場に立っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術などを受けることを強いられたこと、また、心身に多大な苦痛を受けてこられたこと、これは政府として真摯に反省し、心から深くおわび申し上げる次第であります。また、いわゆる議員立法が成立した平成三十一年四月二十四日においても、総理及び厚労大臣から真摯な反省と心からのおわびを表明したわけでありますが、政府のそこで表した立場、今も全く変わるものではありません。その上で、係属中の個別の訴訟についてお話がありましたが、それぞれの個別には、検討の上、対応させていただいているところでございます。委員から今いろいろお話がございましたけれども、判決の中身を見ると、除斥期間の適用の制限が焦点となっております。これまでに国の損害賠償責任の一部が認められ、また上訴した判決については、旧優生保護法に係る本件事案にとどまらない法律上の重大な問題が含まれていること、また、除斥期間の適用を制限する根拠と範囲、これは判決によって随分異なっているというところもございます。いずれにしても、三月十六日の札幌高裁判決及び三月二十三日の高裁判決については、関係省庁と協議した上で、上訴期限までに適切に対応を検討していきたいと考えております。また、今、超党派の議連のお話がございました。厚労省から、一時金の支給状況等についても適宜報告を行っておりますが、あわせて、今後の対応の在り方についても検討をお願いをしており、政府としてもしっかりと協力等をさせていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 今後の対応の在り方について議連に検討をお願いしているということなんですけれども、議連の側からしても、政府が裁判で争い続けるということになったら、なかなかこれは進むべきことが進んでいかないことになってしまうわけですよね。先ほど大臣は除斥期間の問題について、優生保護法の問題に限らないほかの問題まで波及するんじゃないか、こういうお話がございました。あるいは、除斥期間の適用を制限する根拠と範囲には、いろいろ判決によって違いがあるということをおっしゃいました。ですけれども、法律上の問題は、ハンセン病の解決のときは、法律上の問題については意見があると、意見があるということを一方で表明しながら、しかし、熊本地裁の判決を受けて、控訴せずに時の総理の判断で解決に進んでいったわけですよね。私はそのことと同じことを今回もやらなければならないと思うんですよ。とりわけ、やはりこの旧優生保護法は、議員立法で作られた法律です。一九四八年、議員立法で、全会一致で作られた法律です。私たちの先輩は大変大きな過ちをしてしまった。我が党の先輩も含めて、いるわけですよね。ですから、この立法府が行った過ちについては、政治家がやはりこれは本当に責任を持って判断して、一刻も早い解決を図らなきゃいけない問題だと思うんですね。ですから、加藤大臣には是非、上告の期限、札幌高裁、あしただと思いますけれども、総理と是非相談していただいて、これはもう裁判で争うのをやめて政治解決で早期全面解決を進めよう、こういうことをしていただきたいと思うんですけれども、是非総理に対してお話ししていただけませんか。
○加藤国務大臣 ハンセン病訴訟のお話がありましたけれども、平成十三年のハンセン病訴訟判決では、除斥期間の起算点について、らい予防法廃止時まで違法行為が継続的、累積的に発生してきたものであって、このような違法行為と損害の特質からすれば、らい予防法廃止時と解するのが相当である旨判示され、そもそも除斥期間が経過していなかったわけでございますけれども、それと今回とではちょっと事情が異なるというところもあるということを申し上げたいと思います。それから、まさに今委員御指摘のように、現在の法律そのものは議員立法によってお作りをいただいたという経緯もあり、そういった関係で議連の皆さんに検討等のお願いもさせていただき、政府としては、できる協力はしっかりさせていただきたいと申し上げたところでございます。さらに、訴訟に関する対応については、上訴期限をしっかり踏まえながら、適切な対応を検討していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 適切に判断ということをおっしゃるわけですけれども、政治家として何が適切なのかということを考えた場合は、これはもう速やかに、早期に解決を図るというのが適切だ、そう思うんですよね。加藤大臣も、内心はそう思われているのではないですか。その点は、そういう思いがあるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 内心というのはあれですけれども、内心においては、最初申し上げたように、こうした対応を強いてきたということ、これは本当に深くおわびを申し上げなければならないというふうに私も思っているところであります。その上で、個別の訴訟については、これまでの判決の問題点は先ほど申し上げ、委員も改めてまとめていただきましたけれども、そういったこともあることなども踏まえながら、関係省庁と協議をして、上訴期限までに適切に対応を検討していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 これは本当に政治判断だと思うんですよね。与党の皆さんの中でも、この問題は本当に早期に解決しなきゃいけないというのが圧倒的多数の皆さんの思いだと思いますので、是非皆さんからも、もう上告せずに解決を図るべきだ、この声を官邸に向けて上げていっていただきたい、そのことを心からお願い申し上げたいと思います。では、次に、法案の質疑に入ります。まず、ちょっと通告の後ろの方の話なんですけれども、今回の法改正で一体お金の流れはどうなるのかということなんですけれども、今回の法改正で見れば全体では国庫負担が大きく減るということになっているわけですけれども、大臣、今回の法改正全体で、国庫負担は一体幾ら減りますか。大臣に答えてもらいたい。
○伊原政府参考人 お答えいたします。後期高齢者医療に対する国庫負担につきましては、仮に、制度が創設された平成二十年度の後期高齢者医療費に占める国庫負担額の比率を令和五年度……(宮本(徹)委員「違うペーパーを読んでいますよ」と呼ぶ)失礼しました。ちょっと確認します。
○三ッ林委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○三ッ林委員長 速記を起こしてください。伊原保険局長。
○伊原政府参考人 失礼いたしました。今回の制度改正全体で、国費負担額は九百十億円の減となります。内訳を申し上げますと、その中で一番大きいのが、前期財政調整について被用者保険間で新しく財政調整の仕組みを入れることに伴う見直しに伴う部分ですけれども、これは、被用者保険間で部分的に報酬水準に応じた調整を導入することによりまして、その導入に伴いまして協会けんぽの方の拠出が減るものですから、それに合わせて国庫補助を廃止する、それが一番大きな金額の影響になっております。ただ、これはあくまでも、協会けんぽの前期高齢者に係る負担が、負担能力に応じたものによって調整されることで生じた結果でございます。
○宮本(徹)委員 今お話ありましたように、今回の法改正全体では、九百十億円も国庫負担を減らすというのが今回の法改正の中身なんですね。じゃ、どこの負担が増えているのかということで、資料の一番最後、八ページ目に厚生労働省提出の資料を載せておきましたけれども、左側が出産一時金関係のものがない場合ですね。協会けんぽは負担が二十億円増えます、共済組合は負担が二百四十億円増えます、後期高齢者は八百二十億円増えますと。出産一時金のところの法改正まで入れた場合は、協会けんぽは二百三十億円増えます、健保組合は三十億円増えます、共済組合は三百二十億円増えます、後期高齢者は九百五十億円増えますという中身になっているわけでございます。現役世代の負担軽減とかと言っておきながら、中小企業で働いている方が多い協会けんぽも負担が増えるというのが今度の法改正の中身ということになっているわけですよね。ですから、今回の法改正というのは、全体として言えば、国庫負担を減らすというのが目的になっている法改正ということなんじゃないですか、大臣。
○加藤国務大臣 それは今、先ほど保険局長が申し上げたように、今回はあくまでも被用者保険者間で部分的に報酬水準に応じた調整を導入することでありますので、まさに負担能力に応じたものによる調整の結果として国費が削減をされた。ただ、削減部分についても、一部については健保組合等に対して予算措置を講じているところであります。
○宮本(徹)委員 もうお金の流れははっきりしているわけですね。結果としてということを言いますけれども、別に、浮いたお金を更に保険料の負担軽減のために、国庫負担を減らさないという選択肢だって制度設計によってはできるわけですけれども、そうではなくて、あえて九百十億円国庫負担を減らすという中身になっているわけです。じゃ、この減らした九百十億円は今後どこに行くんでしょうか。
○伊原政府参考人 まさに、今回の法律の施行というのは令和六年度を予定しております。令和六年度の予算編成の過程において今回の国費九百十億円の話がございますけれども、同時に、現在、毎年後期高齢者が増えて、医療費の増加、自然増等も発生しております。さらに、来年度は同時改定とかいろいろな要素もございますので、そうした予算編成過程の中でその話は議論されるものと考えております。
○宮本(徹)委員 先ほどの話だと、社会保障の自然増の抑制の一部を構成するかのような話なわけですよね。社会保障の予算を、本来伸ばすべきものを伸ばさずに、国庫負担を減らして、結局、岸田政権は今軍事費を二倍に増やそうとしておりますけれども、お金に色はついていないですから、そういうところに回っていくんじゃないかということを私は言わざるを得ないというふうに思います。その上で、国庫負担を減らして最も大きな影響を受けるのが、七十五歳以上の高齢者の皆さんです。資料の三ページ目に、高齢者の負担率がどうなるのかというのを、資料をいただいたものをグラフにさせていただきました。青い棒グラフが現行制度、ダイダイ色が見直しの場合の負担率ということになります。二〇二四年よりも二〇二六年、二〇二八年と、現行制度に比べてかなり大きく負担が増えるということになっていくわけです。これは本会議でもお伺いしましたけれども、来年七十五歳を迎える方が九十歳までに支払う一人当たり保険料の合計というのは、法改正すれば、現行制度に比べおおよそ何倍ぐらい増えるんでしょうか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。まず、保険料額が幾らになるかということにつきましては、医療費の見込みができないと算出できないんですけれども、医療費の伸びは今後の物価や賃金、あるいは医療の高度化とか様々な影響であるので見込めないので、具体的な累積の数字の比較倍率を出すことは難しいんですけれども、仮に、それぞれの年ごとの比率、現行制度とそうじゃないものについては、大体、人口構成比率で算出できますから、それを計算いたしますと、まずは、二〇三〇年度までは後期高齢者負担率の伸びが改正前より大きくなります。したがいまして、二〇二四年に改正前の一・〇四倍になります。最大では二〇二八年に改正前の一・〇六倍になります。しかし、二〇三〇年以降におきましては、後期高齢者人口も減少局面に入るものですから、今回の見直しでは後期高齢者人口の変化を反映する仕組みにするということですので、現行制度に比べて伸びが緩やかになります。その結果、二〇四〇年の改正前の負担率の〇・九九倍になるというふうに見込んでおります。
○宮本(徹)委員 倍率だけを述べていただいたわけですけれども、先ほどのお話でも、ピークでいえば、二〇二八年は今の制度に比べて、高齢者負担率の見直しだけでも一・〇六倍に保険料が増える、これに出産一時金の負担分も増えるということですよね。ですから、現行制度に比べて、一人当たり、保険料が年間六千円以上増える年もある、実際の医療費の伸びによってはもっと多く増えるということになると思うんですよね。かなりの大きな負担ということになるわけです。それで、これも本会議で聞いたわけですけれども、医療費の窓口負担を二割に引き上げる際の対象というのは年収二百万円以上でした。そのとき、また名前を出して恐縮ですが、その当時の田村大臣からは、余裕があるという答弁がございました。それは、資料の次のページ、四ページ目のところを御覧いただければと思いますが、これは総務省の家計調査を基にしたグラフということになったわけです。今回はそのときよりも厳しい、年収百五十三万円以上から保険料が増えるということになるわけですよね。このグラフを見ても、年収百五十五万円の方の消費状況を見て、とても余裕があるとは言えないというのははっきりしていると思うんですけれども、この年収百五十三万円というのは、月収十二万七千五百円です。加藤大臣、月収十二万七千五百円の年金生活者の方の生活に余裕がある、こうお考えでしょうか。
○加藤国務大臣 当時二百万としたときにも、それぞれの階層ごとに収入と支出の差を見て、どの程度幅があるのか、それを踏まえて御議論されたんじゃなかったかというふうに記憶をしておりますけれども、後期高齢者の保険料は、所得にかかわらず低所得の方にも負担していただく定額部分、いわゆる均等割と、年収百五十三万円以上の方に所得に応じて負担をしていただく定率部分、いわゆる所得割によって賦課されており、負担能力のある方に能力に応じた負担をいただく仕組みとなっているわけであります。今回の制度改正では、令和六年から高齢者に新たな御負担をお願いするわけでありますけれども、一律の負担とならないように負担能力に応じた負担とする、また激変緩和措置を講ずる、こういうことをさせていただいたところであります。こうしたことによって、均等割保険料のみが賦課される年収百五十三万円以下の、約六割の低所得者の方々、要するに対象者の約六割の方々は負担の増加が生じないようにするとともに、それより上の年収の、一二%の方々についても、令和六年度は制度改正に伴う負担の増加が生じないようにさせていただいたところであります。令和三年の制度改正において窓口負担割合を見直した際は、二割負担への変更による影響が大きい外来患者について、施行後三年間、一月分の負担増が最大でも三千円に収まるような配慮措置も、そのときの改正においてもさせていただいたところであります。また、今回の見直しでは、百六十万の方の保険料については、改正がない場合には、令和六年、七年度に月額千八百四十円と見込んでおりますが、改正後においては、激変緩和を講ずることで、令和六年度は制度改正に伴う負担の増加は生じず、また令和七年度においても制度改正に伴う御負担は月額で五十円程度と推計しているところであります。
○宮本(徹)委員 年収百五十三万円の方は今でも大変生活が厳しいわけですよね。恐らく皆さんもそういう声をたくさん聞いているんだと思いますよ。私も地元を歩いていましたら、本当に今年の冬は大変だったというお話を、お風呂の回数を減らしたとか、そういう話をたくさん聞いています。だからこそ、今度、予備費で、住民税非課税世帯に対しては三万円給付するということを皆さん決めたんじゃないですか。東京でいえば、住民税非課税世帯というのは、年金生活者は百五十五万円ですよ。給付対象の世帯にも含めて負担増を求めていくというのが今度のやり方なわけですよね。全くやっていることが筋が通っていないじゃないですか。一方ではもう大変だから予備費で給付しましょう、一方では保険料を増やしましょう、これは筋が通らないと思いますよ。加藤さん、首を振られていますけれども、普通に考えてこれは筋が通らないんじゃないですか、ここから負担を増やすというのは。
○加藤国務大臣 したがって、そういうことも踏まえて、令和六年度の制度改正に伴う負担の増加は生じず、令和七年度において御負担をいただくという、そうした対応をさせていただいているということでございます。
○宮本(徹)委員 物価上昇は続いているわけですよね。物価が、じゃ、マイナスに、またデフレのような状況になっていくのかといったらそんなことはとても考えられないわけですよ。ですから、一方でもう給付しなきゃ支えられないという方々に保険料で負担増を求めていくというのは、これは全く大きな問題があると申し上げておきたいと思います。加えて、昨年十月から、後期高齢者医療の窓口負担、二倍化が行われたわけですけれども、受診に対してこの負担増がどういう影響を及ぼしているのか、既に把握されているんでしょうか。あるいは、まだ把握していないのでしたらどう把握されようとしているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○伊原政府参考人 お答えいたします。御質問いただきました、この二割負担が後期高齢者の受診に与える影響についてでございますけれども、まさに、この窓口負担の見直しを国会で御審議いただいた際の附帯決議におきまして、窓口負担割合の見直しが後期高齢者の受診に与える影響を把握する、こういう決議がされております。そうしたことから、我々の作業としましては、施行前後の後期高齢者の所得に応じた受療状況の分析が可能になるように、まずは、二割負担の対象となった方の施行前後の医療費データの収集を進めているところでございます。今後、その収集したデータを踏まえて、分析を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 今データを収集しているということですけれども、そのデータの収集と分析というのはいつ頃終わるんでしょうか。
○伊原政府参考人 受診行動等の分析には、ある程度まとまった期間のデータが必要でございます。そこで、令和四年度分のデータを集めることにしておりまして、そのデータがそろうのが本年夏頃と考えております。そのデータを踏まえまして、二割負担となった方の医療費や受療行動の状況について、分析、評価を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 データが集まるのがようやく今年の夏だと、そこから分析をすればもう少し時間がかかるということなわけですよね。私たち、政府の試算でも二割負担をやった場合に、約一千億円の受診抑制が起きるということが出たわけですから、これは健康に影響を与えるんじゃないかということをさんざんこの場で指摘をさせていただきました。その健康状況への影響もつかめていないというのが今の現状なわけですよね。そのまま同じ方々に対して更なる負担増を求めるというのは、健康を守るべき厚生労働省の立場からしても無責任と言わなければならないんじゃないですか。
○加藤国務大臣 まず一つは、今回の措置をなぜ行っているのか。委員は後期高齢者の保険料だけをお示しされましたけれども、一方で、支援金、要するに若い方々が納めている支援金の負担がその分だけ減るわけでありますから、そうしたバランスを取っていく必要があるということで今回提案をさせていただいたということであります。一方で、その導入に当たっては、先ほども申し上げましたけれども、能力に応じて、またその負担が一遍にかからないような措置を講じさせていただいてというような工夫を、対応をさせていただいているところでございます。
○宮本(徹)委員 現役世代の負担の軽減をやるんだったら国庫負担をちゃんとやればいい、それでちゃんと財源を確保してやればいいだけの話で、七十五歳以上の高齢者の皆さんの負担を引き上げるというのは、私はやり方として間違っていると思いますよ。その上で、窓口負担引上げの影響ですけれども、今日は資料を少しお持ちしました。資料の五ページ目を見ていただきたいと思いますけれども、これは全国保険医団体連合会のアンケート調査ということです。経済的理由による受診控えがあるかないかというものですけれども、年収二百万円以上の方で、あると答えた方が一六・八%、一割負担の年収二百万円未満の方で、あると答えた方が一二・七%、nはそれぞれ四百三十五と八百二十六ということですから、両方で一千数百余りのデータということになりますけれども、これを見ると、年収が多い二割負担の方の方が、四ポイント、一割負担の方よりも経済的理由で受診を控えたことがあると答えた方が多くなっております。これは一つのデータですけれども、紛れもなく受診抑制が起きているということを示すものじゃないかと思います。それから、次の資料の六ページ目を見ていただきたいと思います。こちらの資料の方は、全日本民医連の調査の資料でございます。これは、二割負担になった方々、七千六百十五人についての回答です。今までどおり受診するとお答えになっている方が七九%ということになっていますが、これは重複回答になっていますので、一とそれ以外を丸をしている方もいるんですけれども、受診をためらうようになったという方が一四%、受診回数あるいは薬を減らすとお答えになった方が一一%、食費を削って受診するとお答えになった方が一三%、貯金を切り崩して受診するとお答えになった方が一九%、家族に支援してもらうとお答えになった方が一一%ということなわけですね。ですから、本当に医療費の負担というのは大変大きくなって、受診行動にも大きな影響を与えている。この中で、やはり受診をためらったり、受診回数、薬を減らすということになったんですね、文字どおり健康に影響を与える。しかし、健康を守ろうというために、暮らしを本当に切り縮めて病院にかかる、こういう状況が生まれてきているということだと思うんですよね。ですから、こういう事態がアンケート調査等で出ているにもかかわらず、政府自身がまだ調査もしていないのに、この層に負担を増やしていくというのは、私はやってはならないと思いますよ。このアンケート結果を御覧になって、大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 これは、ちょっとどう評価していいのか、それから、複数回答ですから必ずしもちょっと読み切れないなというふうに思っております。いずれにしても、私どものやる調査結果を見ながら、そこは分析をしなきゃならないと思っております。それからもう一つ、窓口負担と保険料の負担、これは必ずしもイコールではないんだろうなというふうに思うところでありますけれども、さはさりながら、先ほど申し上げたような様々な措置も講じさせていただいて、できるだけ負担が一どきにかからないように、あるいはできるだけ所得の低い方には配慮をする、こういった形で今回も制度設計をさせていただいたということでございます。
○宮本(徹)委員 負担をかからないようにすると言うんだったら、国庫負担を増やせばいいんですよ。そうすれば、現役世代の負担軽減は、ちゃんと後期高齢者の皆さんに負担を求めずにできるわけですから。その点、ちょっと改めて数字を確認したいと思いますけれども、一番初めに局長がお答えになった点を聞きますよ。後期高齢者医療費に占める国庫負担の比率は制度発足から減っているわけですけれども、仮に制度発足時の国庫負担率に戻せば、幾ら国庫負担は増えることになりますか。今度の予算案で答えていただきたいと思います。
○伊原政府参考人 先ほどは失礼いたしました。後期高齢者医療に対する国庫負担につきましては、仮に制度が創設された平成二十年度の後期高齢者医療費に占める国庫負担額の比率を令和五年度予算ベースの後期高齢者医療費の見込みに乗じた場合、七兆円となると考えます。そうしますと、同年度の国庫負担の総額六・四兆円との差は、六千五百億円ということになります。
○宮本(徹)委員 だから、同じ比率を維持していれば、あと六千五百億円国庫負担があったということなんですよね。いろいろなやり方で国庫負担を減らしてきて、更にまた今回、法改正で国庫負担を減らしていくと。今日、立憲民主党の小川さんから、共助よりも更に公助が大事なんだという話がありました。この公助の部分をどんどんどんどん切り縮めているんですよ、制度発足以降。この公助の部分をしっかりと増やしていくことこそ本当にこれから極めて大事だということを、私からも申し上げておきたいというふうに思います。あわせまして、私の持ち時間がなくなってきましたので、通告している問いの一点だけ、あと、お伺いしたいと思います。少子化対策のことは今日も議論されておりますけれども、今度、報道を見ていましたら、今、国が行っておりますいわゆるペナルティー、子供の医療費の助成を行ってる自治体に対して補助金を減らしている措置についてはやめていくということが報道されております。そうであるならば、もう一つ、国が自治体にやめろと言っている問題があるんですね。それは、市区町村独自で子供の均等割の軽減をこの間やっている自治体があったわけですけれども、これに対して国が大変否定的な事務連絡を出して、その事務連絡が出てから、私の地元でも幾つもの自治体が子供の均等割のこれまでやってきた独自の軽減をやめるということが起きているわけです。少子化対策と子供予算倍増なんだ、こうやって政府が旗を振るんでしたら、市区町村が独自にやっている子育て支援、医療費助成についてもそうですけれども、子供の均等割の軽減についても、これをやめろやめろというような圧力をかけるのはやめるべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 国民健康保険の保険料については、同じ医療費水準や所得水準であれば、どの保険者に加入していても同じ基準で受益に応じた公平な保険料を設定することが適当と考えております。国民健康保険法第八十一条に基づき、保険料に関する上限額や保険料率の算定方法に関する基準を国が定めた上で、その基準に従って保険料を設定することとされております。国が定める基準を超えて一律の保険料軽減を独自に条例で定めることはできない、こういう仕組みとなっているところでございます。したがって、それに沿って対応していただかなきゃならないということであります。
○宮本(徹)委員 いやいや、本当に冷たい答弁ですね。これまで独自にやってきたものをやめろやめろと言って、それで本当に本気で少子化対策をやろうとしているのかと大変疑問だということを申し上げまして、時間になりましたので、今日の質問は終わります。