2023年4月5日 衆院厚生労働委員会 国の制度で無料化を 子ども医療費で宮本徹氏主張

配付資料 出典:厚生労働省提出資料をもとに、宮本徹事務所作成
配付資料 出典:総務省、厚生労働省ホームページより宮本徹事務所作成
配付資料 出典:2008年、2022年総務省家計調査より宮本徹事務所作成 矢印は宮本徹事務所
配付資料 出典:厚生労働省提出資料

 日本共産党の宮本徹議員は5日の衆院厚生労働委員会で、政府が子どもの医療費無料化について「不適切な抗生物質の投与が増える」「比較的健康な子どもの受診が増える」などと背を向けているのは、医師と保護者に失礼だと批判し、「国の制度として子どもの医療費無料化に踏み出すべきだ」と主張しました。
 宮本氏は、政府が根拠とする論文のデータは2005~15年のものと古く、抗生物質の適正使用はその後進んでおり、古いデータをもとにした主張はやめるべきだと指摘。同論文に、自己負担により「価値が高いとされる医療も減少する」と書かれていることも問題だとの認識があるかとただしました。
 加藤勝信厚労相はまともに答えられず、医療費を負担できない家庭への対応と、医療費全体を無料化することは「政策手段としては異なってくる」などと述べるだけでした。
 また宮本氏は、国が自治体に国民健康保険料の法定外繰入額を減らすよう求めながら、国の支援は減額分に全く届いていないと批判。追加の負担軽減策を求めるとともに、子どもの数が多いほど国保料が引き上がる「均等割」はなくすべきだと迫りました。
 加藤厚労相は、財源確保等の課題があり「慎重に検討すべき」と消極的な姿勢を崩しませんでした。

以上しんぶん赤旗ホームページ2023年4月7日配信記事から抜粋

≪2023年4月5日 第211国会衆院厚生労働委員会第7号議事録≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。私からも、まず一言、旧優生保護法の問題について申し上げておきたいと思います。先週質問させていただきましたけれども、その後、札幌高裁に上告し、本日、大阪高裁の判決についても上告をしたということでございます。本当に一刻も早い解決をすべきだと私は申し上げてきましたけれども、裁判で争い続ける国の姿勢に対して、厳しく抗議を申し上げておきたいと思います。原告の方は次々亡くなっているわけですよね。そして、これだけひどい人権侵害を行った立法なわけですから、これは政治の誤りなんですよね。最高裁の判決を待って解決するのではなくて、やはり、政治が自らの手で解決しなければならないと思います。次の高裁判決は、六月一日の仙台高裁だというふうに伺っています。弁護団の皆さんは、それまでに是非政治の手で解決してほしい、原告団、弁護団とも協議してほしいということを願っていらっしゃいます。是非、加藤大臣は、所管が違うみたいな話がさっきあってびっくりしたんですけれども、これまで関わってきた経過もございます。厚生労働行政の誤りというのもあるわけでございますから、閣僚の一人として、やはり、早期解決に向けてしっかり責任を果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。
〔委員長退席、田畑委員長代理着席〕
○加藤国務大臣 所管に関しては、先ほど申し上げましたように、母体保護法の所管自体がこども家庭庁の方に移管されたということでございますので、本対応は、今後は、こども家庭庁の方において実施をされていくわけでありますが、ただ、この間、厚労省においてもこの問題に取り組んできたところでありますし、また、一時金の支給等についても、円滑な支給を図るべく努力をしてまいりました。そういったことも含めて、しっかりとこども家庭庁と連携をしていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 田村さんもいらっしゃいますので、六月一日までに是非解決したいと思いますので、御努力をお願いしたいと思います。それで、今日の通告している中身に入ります。まず、ちょっと順番を入れ替えますけれども、子供の医療費の無料化についてお伺いしたいと思います。昨日、参考人質疑でも伺ったんですけれども、この間、加藤大臣は、子供の医療費の無料化について課題が多いんだということで、不適切な抗生物質の利用が増えるだとか、比較的健康な子供の受診が増えるだとか、こういうことをいろいろおっしゃっているわけですけれども。昨日、参考人質疑で、日本医師会の釜萢先生がこうおっしゃっていたんですね。受診される親御さんは、医療機関に受診するというのは、大変な時間もかかるし、御苦労があるわけで、無料になったから無駄に受診しているという方は、私はもうほとんどいないと思いますし、医師の側は無料だからといって不適切な治療をしているという事例も極めて少なくて、特に、抗生剤の話が出ましたが、適正使用に関しては、今、特に小児科医は非常に真剣に取り組んでおりますので、その点は指摘しておきたいと思いますというふうにおっしゃっておられました。私は、釜萢先生のおっしゃるとおりだと思うんですよね。ある研究を基にいろいろ大臣もおっしゃっているんだと思いますけれども、やはり、そういうことを言うのは、医師に対しても、あるいは保護者の皆さんに対しても大変失礼だと思うんですよね。大臣はこの釜萢先生の指摘、どう受け止められますか。
○加藤国務大臣 釜萢先生ないしそうしたお医者さんの皆さんは、そういった思いでやっておられることはそのとおりだと思いますが、ただ、他方で、これまでの、この間、各市町村等において、特に医療の無償化を図っているところについて実証研究をされた、その結果としてそういうデータも出てきている、やはりそのことはしっかり踏まえていく必要があるんだというふうに思います。
○宮本(徹)委員 それで、その実証研究、発表されたのは去年のものですよね、東大の飯塚先生と重岡先生の論文なわけですけれども、私、ちょっと英文で五十数ページあったので、とても一晩じゃ読めないので、日本語の短いのだけ読みましたけれども、この論文のレセプトのデータというのは、二〇〇五年から二〇一五年のもののデータなんですよね、二〇〇五年から二〇一五年、直近のものではないわけです。それで、抗生物質の適正使用については、世界的にこれを一生懸命呼びかけ始めたのは、WHOが二〇一五年に薬剤耐性の問題でのグローバル・アクション・プランというのを出して、日本政府も二〇一六年にそれに対応した方針も出して、ある意味、この飯塚先生たちの論文が対象にした後から、抗生物質については適正使用というのがどんどんどんどん進んできているということだと思うんですよね。だから、釜萢先生は、今、特に小児科医では非常に真剣に取り組んでおりますとおっしゃっているんだと思うんですよ。ですから、やはり、古いデータを基にした研究について、今、国会で大臣が紹介されるというのは、私はおやめになった方がいいと思います。
○加藤国務大臣 今のは、委員の推測でお話をされているんだと思いますので、あくまでも実証データは実証データとして、もちろんそれをどう評価するかということはあろうかと思います。それから、実証データの中身は、あくまでも、医療現場における医療の提供だけではなくて、かかる側からの問題、これらも確か入っていたというふうに認識をしております。
○宮本(徹)委員 ですから、私は、データをどう見るかじゃなくて、データをどう見るかという問題ももちろんありますけれども、データそのものが、二〇一五年までのレセプトデータでやっていると。多分、今日お医者さんの方もこの場にはたくさんいらっしゃると思いますけれども、抗生物質の投与の問題というのは、本当に近年、一生懸命医療現場では取り組まれていることだと思います。さらに、その論文を見ると、少額の自己負担で、価値が高いとされる医療と価値が低いとされる医療のどちらも減少すると書いてあったんですね。この価値の低い医療というのが抗生物質の不適切な使用ということになっているんですけれども、これは医療現場の側で今対応されている。一方で、価値が高いとされる医療も減少すると書かれているわけですよ。この価値が高いとされる医療が減少するというのは、私は、こここそ問題に私たち政治家はしなければならない。だからこそ、各地方自治体でも医療費の無料化というのが私は進んでいるというふうに思うんですよね。ですから、価値の高い医療が負担によって減ってしまうというのは、これは問題だ、そういう認識は大臣はお持ちじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、先ほどから抗生物質だけのお話をされていますが、子供医療費の無償化は比較的健康な子供の外来受診を増やすということもこの実証の中で指摘をしているということをまず申し上げておかなきゃならないと思います。その上で、今おっしゃった価値の高い医療を減らすという、その背景に何があるのかといえば、それはやはり医療費を負担できない家庭があるということだと思いますので、それは、そうした対応をするということと医療費全体を無償化するということ、これは多分政策手段としては異なっていくんじゃないかというふうに思います。
○宮本(徹)委員 政策手段は違うと言いますけれども、医療費は無料というのは非常に分かりやすい政策ですよね、当然。価値の高い、だって、病気になったときに心配なくお医者さんにかかれるというのは、医療費が無料だからなわけですよね。やはり、赤ちゃんだったり、熱発したら、心配でかかるわけですよ、お母さん方、お父さん方は。あるいは、私なんか自分の子育てを考えても、初めに娘がヒューヒューヒューヒュー喉からいっていて、これが何なのか分からなかった。電話をかけても分からなかったけれども、その後、病院にかかって、これはぜんそくだというのが分かって、その後、入退院を繰り返すというのもありましたけれども、やはり、早いうちにかかった方がいろいろなものは重症化していかないわけですから、私は、いろいろなことを言って医療費無料化に後ろ向きな姿勢というのはやめた方がいいと思います。加えてお伺いしたいんですけれども、「こども・子育て政策の強化について」のたたき台、試案では、おおむね全ての地方自治体において実施されている子供医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置を廃止するということになったわけですね。いわゆるペナルティーを一部ですけれども廃止する。この理由はどういうことなんでしょうか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。まず、減額調整措置につきましては、各地方公共団体、自治体の方から廃止を求める声が非常に強くございます。こうした中で、現在、新生児から高校生までの子供を見たときに、人口比で約九割の子供が医療費助成の対象になっている、こうしたことも踏まえまして、今般、高校生までを対象とする医療費助成に対する減額調整措置、これを廃止していく方向で考えていきたい、このように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 当然、少子化対策のたたき台という中で出ているわけですから、これは、子育て世帯への支援として医療費の負担軽減は非常に有効だ、こう政府として判断したということでよろしいわけですよね。
○伊原政府参考人 お答えいたします。子供対策ということですから、子育て支援、こういう観点も当然考えております。あるいは、地方公共団体でのそういう子育て支援という観点から取り組んでいる状況、これを勘案して先ほどの申し上げたような判断としているところでございます。
○宮本(徹)委員 そうすると、一方では、子育て支援として今まで自治体がやってきた医療費助成について国はペナルティーを科す、いや、これはもうやめますということを言いながら、もう一方では、いやいや、子供の医療費無料化というのはよくない面があるんだ、こういう主張をするのは、私は大変矛盾をしていると思うんですよね。矛盾していますよ。大臣、首を振っていますけれども、誰がどう考えても矛盾していますよ。私は、これは本当に国の制度として、子供の医療費無料化に踏み出すべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。続きまして、国民健康保険についてお伺いをしたいと思います。今回の法案では、都道府県の保険料の水準の平準化の名の下に自治体が独自に行っている保険料の軽減をやめさせようということになっているわけですけれども、私は本当に、保険料を低い方に合わせるんだったら分かりますけれども、高い方に合わせていくというのは極めて大きな問題があると思っております。それで、今日、厚生労働省に資料を作っていただきました。配付資料の一番最後に大きなA3の紙をつけておりますが、東京二十三区と大阪市と広島市の国民健康保険料、それから東京の協会けんぽの保険料について、モデル世帯、二つのケースについて載せていただきました。ちょっと数字だけ紹介していただきたいんですけれども、この給与収入二百四十万円の単身者のケース、そして給与収入四百五十万円の四人家族、子供二人のケース、東京新宿区の国民健康保険と、あと東京の協会けんぽの保険料の比較を、ちょっと数字を紹介していただいてよろしいでしょうか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。まず、東京新宿区の国民健康保険の保険料額でございますが、公表されております令和四年度の所得割率及び均等割額を基に、国民健康保険に加入する給与所得者であると一定の前提を置いた上で試算いたしますと、給与収入二百四十万円の単身者の場合については月額一万三千八百十二円、給与収入四百五十万円の四人家族の場合については月額四万七千三百十七円、それから、協会けんぽでございますけれども、協会けんぽの保険料額について、勤務先の事業所の所在地が東京都であることを前提にした場合ですが、給与収入二百四十万円の単身者の場合は、本人負担分は九千八百十円、給与収入四百五十万円の被用者を含む四人家族の場合は、本人負担分は月額二万一千七百五十五円となっております。
○宮本(徹)委員 今、月額で紹介がありましたけれども、協会けんぽと比べて、東京新宿区の国保で見れば、年収二百四十万円、単身者で大体一・五倍、年収四百五十万円の四人家族でいえば倍以上という金額になっているんですね。国民健康保険は本当に高いわけですよね。ちなみに、大阪のも載せておりますけれども、大阪の場合は、二百四十万円の場合は、年額で見て二十万円を超えているわけですよね。また、四人家族、四百五十万円のケースで見ると、年額で六十万円を超えているということですから、年収四百五十万円のうち六十万円、国民健康保険料でかかっているというのは、本当に異常な高さだと言わなければならないと思うんですね。大臣は、この国民健康保険の保険料は高過ぎる、こういう認識はございますでしょうか。
〔田畑委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤国務大臣 おっしゃるその高過ぎるというのは、何と比較してなのかという感じがありますが、ただ、我々は、議員であるときは国民健康保険で、今、大臣になると共済保険になりますから、その間で随分負担、本人の負担ですよ、は違うなという実感は持っています。
○宮本(徹)委員 国会議員の場合は高額所得者ですから、そこで見るというのはもちろんありますけれども、そうじゃなくて、私が今紹介したモデル世帯ですね、単身二百四十万円というのは、本当に若い非正規の人たちが働き始めたら、それぐらい低い方もいらっしゃるわけですよね。あるいは給与所得四百五十万円、こういう数字を今比べていただいたんですけれども、そういう本当に低所得者、中間所得者層にとって国民健康保険料というのは非常に高いのではないのか、その点はいかがですか。
○加藤国務大臣 保険料として見る場合には、もう委員御承知のように、協会けんぽの場合には、半分は事業者が負担をしています。先ほどの指摘は雇用者本人分だけでありますから、そこら辺をどういうふうに見るのかというのはあるんだと思います。ただ、国民健康保険については、被保険者の年齢構成が高い、無職や非正規雇用労働者など所得水準が低い被保険者が増加している等の構造的な課題があるわけでありますので、給付費の五割、これは公費負担を入れているわけであります。それに加えて、低所得者への保険料軽減制度を設けるなど、公費を他の制度より手厚く投入するなどの措置を講じておりますし、また、平成三十年の制度改革により、都道府県と市町村が共同で運営する仕組みとするとともに、低所得者対策の拡充など毎年約三千四百億円の財政支援を行い、財政基盤の大幅な強化を図っているところでございます。さらに、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、昨年四月からは未就学児の均等割保険料を半額に軽減する措置、また、この法案で提案させていただいていますが、出産する被保険者の産前産後期間に相当する四か月分の均等割保険料と所得割保険料を免除するとともに、その免除相当額を公費で支援する、こうした措置も講じさせていただいているところでありますので、こうした取組を通じて被保険者の負担軽減を図り、国民皆保険を支える国民健康保険制度の安定的な運営に努めていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 その国庫負担をやっても、それでも高過ぎるというのが今の国民保険料の実態だと思うんですよね。資料の一ページ目に、見ていただきたいと思うんですけれども、この間、国は自治体に対して国保会計の法定外繰入れの解消をずっと求めてきたわけですね。その結果、法定外繰入れが、二〇一五年から、これは二〇二〇年までのものですけれども、大きく減っているわけです。元々余りやっていなかったところもありますけれども、東京なんかでいえば本当に大きく減っております。ちょっと数字を紹介していただきたいんですけれども、東京の国保の法定外繰入れは二〇一五年から幾らから幾らに減ったのか、加入者一人当たりでは幾ら減ったのか、紹介していただけますか。
○伊原政府参考人 国民健康保険の健全な財政運営のためには、保険料を適切に設定、徴収し、受益と負担の均衡を図る必要がございます。平成三十年度の国保制度改革によりまして、毎年三千四百億円の財政支援を拡充して、都道府県、市町村の共同で運営する仕組みとして、都道府県単位の保険料水準の統一に向けた取組を進めるとしておりまして、この中で、法定外繰入れの解消を図って安定的な財政運営を確保する、こういうことに取り組んでいるところでございます。こうした中で、御質問の東京都における決算補填等の目的の法定外繰入れ額の合計額でございますけれども、平成二十七年度は千四十億円でございました。令和二年度は約三百八十億円でございまして、平成二十七年度から令和二年度までの間に約六百六十億円減少、一人当たり額で約一万六千円減少しております。
○宮本(徹)委員 その五年だけで一人当たり一万六千円の独自減免の支出が自治体からはなくなったということなんですね。一方、国は、三千四百億円分新たに追加したんだ、国からの支出を出したんだということをおっしゃっているわけですけれども、全国で。そうすると、じゃ、東京分はそのうちどうなっているのかということをお伺いしたいんですけれども、東京の国民健康保険への国庫負担というのは二〇一五年以降どうなったのか、そのうち三千四百億円分の動きも教えていただきたいと思います。
○伊原政府参考人 お答えいたします。まず、三千四百億円の追加公費について、それが東京都にどのぐらい出たかということなのでございますけれども、実は、この追加公費の三千四百億円というのは、既に実施されている調整交付金など、各制度に投入された金額を合算したものでございます。それぞれの各制度では、実際国から交付を受けるわけですけれども、そちらの側は、毎年度、被保険者数や算定された保険料によって金額が毎年、他の要因によって増減しておりまして、三千四百億円のうち、どの部分が東京都に幾ら行ったかということのみを抽出して算出することが難しゅうございます。したがいまして、お答えできますのは、東京都国民健康保険の国庫負担額、国から東京都に行った総額をお示しすることが可能でございまして、それで見ますと、平成二十七年度は三千百六十億円、令和二年度は三千四百二十億円でございまして、平成二十七年度から令和二年度までに約二百六十億円、一人当たり額で約三万円増加してございます。
○宮本(徹)委員 二百六十億円。先ほどの話では、六百六十億円、一般会計から国保会計への繰入れが減っているということですよね。その一方で、国庫負担は増えたのは二百六十億円、そのうち、この三千四百億円の部分がどれだけ占めているか分からないし、あるいはこの二百六十億円の中には恐らく医療の給付費が増えたらそれに伴って増えている分もあるので、実際は、この三千四百億円の新たな支出というのは、東京分でいえば二百六十億円よりも小さい数字だということになるわけですよね。そうすると、全然、国は自治体に対して、法定外繰入れを減らせ減らせ、国は支援しますよといっても、法定外繰入れ解消分にも国の支援は全く届いていないわけですね。そうすると、国保はどんどんどんどん引き上がっていくということになるわけです。とりわけ東京はなっているわけですよね。さらに、現状でも一人当たり一万数千円、東京は法定外繰入れをやっているわけですけれども、これもなくしていこう、なくしなさいというのが今度の法律なわけですよね。本当にこんなことをやったら大変ですよ。ただでさえ滞納者がたくさんいるのが国民健康保険なのに、ますます生活が追い詰められていくということになると思います。私は、本当にこの余りにも高い国民健康保険の現状を考えたら、やはりもっと追加で国が責任を果たさなきゃいけないと思うんですよね。とりわけ、全国の知事会も、子供の均等割軽減については、未就学児の半額というだけではなくて、もっと抜本的な拡充を図ってほしいという要望も出しております。せめて子供の均等割はなくす、これぐらいの財政支援を国としてやるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 国民健康保険の保険料については、全ての被保険者がひとしく給付を受ける権利があるため、子供を含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことが基本とされております。ただ、その上で、所得の低い世帯には応益割保険料を最大七割軽減する措置を講じるとともに、昨年度からは未就学児の均等割保険料を一律半額に軽減する措置を講じているところであります。また、国民健康保険においては、被保険者の年齢構成が高く、無職や非正規雇用の労働者など、所得水準が低い被保険者が増加していることなどから、先ほど申し上げたように、被保険者負担が相対的に高くなっているため、様々な措置を講じ、子供のいる世帯を含め、被保険者全体の負担軽減を図っているところであります。こうした中、今御提案がございました子供の均等割保険料を廃止することについては、先ほど申し上げた受益に応じて負担いただくという均等割保険料の考え方の整合性、また、財源の確保等の課題があり、慎重に検討すべきと考えておりますが、まずは昨年度から施行された未就学児の均等割保険料の軽減措置、これをしっかりと進めていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 少子化対策だといって、子供予算倍増だといった場合に、やはり本当に今困っていて厳しい方々への支援というのはそこから欠かしてはまずいと思うんですね。今日、山井さんからは児童扶養手当の話がございました。これはやはり所得制限の緩和をするだとか、あるいは二人目、三人目、二人目は何で一万円、三人目は六千円なんだと、もっと引き上げなきゃいけないというのは当然、こういうことを欠かしてはいけないと思うんですよ。同じように、やはり国民健康保険は均等割というのが存在して、子供がたくさんいればいるほど本当に保険料が高くなるという仕組みになっているわけですから、少子化対策というんだったら、これは抜かしてはまずいんじゃないですか、与党の皆さんも。ですから、是非、これは与党の皆さんからも声を上げていっていただきたいと思うんですよ。これは本当に子供予算倍増の中でもしっかり支援しなきゃいけない部分だということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。それと、続きまして、前回質問していた続きでございますけれども、通告の残りのところに行きたいと思いますけれども、後期高齢者の医療の保険料の問題ですが、参考人質疑が昨日ありまして、プライマリ・ケア連合学会の理事長の草場先生は、七十五歳以上の医療費の二割負担の影響について、相当大きな影響がある、在宅診療は負担が大きいので外来診療に切り替えるケースが増えているということを、現場で起きている受診抑制のこととして紹介されておられました。こういう受診抑制が本当に起きている上に更に負担をかぶせていっていいのかというのが、今回の法案で問われていると思うんですね。出産一時金について、後期高齢者医療制度の前は高齢者も負担していた、こういう説明を政府からなされるわけですけれども、なぜ後期高齢者医療制度からは出産一時金は負担しないことにしていたのか、その理由について教えていただけますか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。後期高齢者医療制度は、高齢者医療を社会全体で支えるという観点に立って、平成二十年に創設されましたが、それまでの老人保健制度は、七十五歳以上の高齢者は国民健康保険又は被用者保険に加入しまして、それぞれに保険料を納付しており、高齢者世代も、出産育児一時金を含め子供医療費を負担しておりました。平成二十年以降は、現役世代と独立した後期高齢者医療制度に加入するということになったため、高齢者は出産育児一時金の費用を負担せず、現役世代から後期高齢者支援金による支援のみを受ける形の制度とされました。それが経緯でございます。
○宮本(徹)委員 それは経緯なんですけれども、じゃ、なぜしなくなったのか、支援だけを受けるようにしたのか。基本は、やはり高齢者は収入が少ないから支援を受けるだけにしたということなわけですよね。そういうお話でいいわけですね、今のは。
○伊原政府参考人 まず、老人保健制度、その前の制度についての批判として、高齢者医療が中心なのに責任とか運営主体が明確ではない、それから、高齢者自身も、ある意味しっかりと責任主体としてなるべき、こういう議論があって、後期高齢者医療制度が出てきたというふうに承知しております。
○宮本(徹)委員 そういうことを私は聞いたわけじゃないんですけれども、いずれにしても、後期高齢者医療制度から負担しないというのは、やはり収入が少なくて、これは皆さんに支援していただくという仕組みなわけですよね。なおかつ、この間、阿部委員なども指摘していますけれども、高齢者は出産するわけではないわけですから、当然、そういうものは負担しないわけでございます。それで、問題は、当時に比べて高齢者の生活というのはどこまで厳しくなっているのかということなんですよね。資料の二枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、総務省にお願いしたら、二〇〇八年まで遡っての世帯主七十歳以上の消費者物価がちょっと出しにくかったので、二〇一〇年からのものにしましたけれども、御覧になっていただければ分かりますように、世帯主七十歳以上の消費スタイルに合わせた消費者物価というのは、二〇一〇年を一〇〇とすると、二〇二二年では一一〇・一五なんですね。一割、消費者物価は上がっているということになります。一方、年金は、二〇二二年の時点で九八・一七と、二〇二三年は少し上がっていますから、それでも一〇〇・幾らという、二〇一〇年と比べてほぼ横ばいというのが実態なわけですよね。ですから、年金は全然上がっていないけれども物価は一〇%上がっているというのが高齢者をめぐる経済状況なんですね。ですから、事実上、一〇%、年金は目減りしているというのが高齢者の生活から見た状況だと思うんです。次のページを見ていただきたいと思いますけれども、資料の三ページ目、二〇〇八年と二〇二二年の総務省の家計調査ですけれども、いずれを見ても、大きく、食費が占める比率、いわゆるエンゲル係数も上がるという状況になっているわけですよね。こういう状況で高齢者の負担を増やす、そのことによって現役世代の保険料を何か下げようとかというのは、これは本当に私は違うんじゃないかと思うんですよね。政治の役割というのは、高齢者に対しても子育て世代に対しても、どちらにも安心をお届けするというのが、本来政治がやらなきゃいけない仕事じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 高齢者、若者のみならず、国民全体の安全と安心をしっかり確保していくということは、我々の責務だというふうに認識をしております。その上で、今委員からお示しをしていただきましたが、例えば平成二十年の後期高齢者医療制度創設以降の所得の状況を見ると、後期高齢者の一人当たりの所得はこの間六・〇%の伸びが見られる一方、支援金を負担する現役世代、これは被用者保険でありますし、もちろんコロナ禍で短期の方が増えている等の事情もありますが、現役世代の賃金はやや減少ということになっています。また、高齢者世帯の状況は、令和四年の家計調査で見ても、制度創設時点と比べ、家計の状況は改善していると認識をしております。また、平成三十年の家計調査の個票データを用いて年収百五十五万円より上位の所得について分析をしてみると、その収支はプラスとなっているところでございますので、今回の改革では、改革に伴う負担について、負担能力に応じて負担をいただくという観点から、年収百五十三万円以上の方を対象に、制度改正に伴う負担をお願いしているところでありますので、引き続きの御理解を求めていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 年収百五十五万円という話がありました。百五十三万円から今回負担が増えますけれども、月の年金、十二万七千五百円ですよ。それはもう本当に節約して皆さん暮らされていますよ。先週もお話ししましたけれども、百五十五万円まで、東京でいえば住民税非課税世帯ですよ。皆さんが今回、電気代、ガス代、もう高騰で大変だろうということで予備費から支援をしなきゃいけない、それぐらいぎりぎりの世帯に対して、何か生活状況が昔よりも改善している、これは多くの皆さんの実感に合わないと思いますよ。どんどんどんどん年金は目減りをして、生活は厳しくなっている、こういう声ばかりですよ、私は地元で聞くのは。時間になっていますからこれで終わらせていただきますけれども、本当に、高齢者に負担をかぶせるというのではなくて、もっと富裕層にしっかり負担を求めるべきだということを求めておきたいと思います。終わります。