2023年4月26日 衆院国土交通委員会 羽田新ルート 都心に100キロ級落下も 宮本議員危険性指摘

配付資料 出典:国土交通省提出資料
配付資料 出典:わくわくシニアシングルスホームページ

日本共産党の宮本徹議員は26日、衆議院国土交通委員会で、東京の都心上空を飛行する羽田空港の新飛行ルートについて、重い部品が落下する危険を示し、元のルートに戻すよう求めました。
国交省は2017年から全国の主要7空港で航空機からの部品欠落の報告を求めています。しかし最も重い部品は「1キログラム以上」と区分され、具体的な重量は公表されていませんでした。
同省が宮本氏らに提出した資料によると、20年度には那覇発羽田行きの日航機がエンジンを破損し引き返した際に97・3キログラムや83・4キログラムの部品を欠落。21年度には75キログラムや60キログラムの部品を欠落させ、その後空港内で発見されました。19年度や21年度に欠落させた5キログラムの部品は発見されておらず飛行中に落下させた可能性が濃厚です。
宮本氏は資料を示し、97・3キログラムなどの部品が住宅密集地で落下すれば重大な事態になると追及。斉藤鉄夫国交相は「再発防止策強化を図っている」と述べるだけでした。
宮本氏は同省が新ルートの「固定化を回避する」として検討会を設置し、新たな方式についてウェイポイント(通過地点)を定めシミュレーションを行っていることを指摘し、「都心上空飛行を回避するものか」と追及。斉藤国交相は回避するとは答えませんでした。
宮本氏は住民の要望を示し、元のルートに一刻も早く戻すべきだと強く求めました。

以上2023年4月29日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年4月26日 第211国会衆院衆院国土交通委員会第11号議事録≫

○木原委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、まず、羽田の新ルートの問題をお伺いしたいと思います。羽田の新飛行ルートの運用が始まりまして三年たちました。騒音だとか、落下物、事故への不安などから、新ルートの撤回を求める声が大変強い状況です。国交省は、二〇一七年十一月から、全国の七空港で部品欠落報告を取っております。二〇二〇年度は千五個、二一年度は一千六十四個の部品欠落が報告されております。お配りしております資料は、その中で一キログラム以上の部品とされているものです。二〇二〇年度は九十七・三キログラムや八十三・四キロのファンカウルの一部、二〇二一年度には七十五キロの主脚タイヤや六十キロのフェアリングの一部欠落というのが報告されております。仮にこうした大きなものが都心上空の住宅密集地で落下すれば、重大な事態が生じるんじゃありませんか。
○斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省としては、落下物による重大な事態の発生を防ぐことが極めて重要だと考えております。このため、国土交通省では、二〇一八年三月に落下物対策総合パッケージを取りまとめ、落下物対策を充実強化しました。特に、世界に類を見ない基準である落下物防止対策基準を策定し、機体の改修や整備点検の実施等、ハード、ソフト双方の観点から、本邦航空会社及び日本に乗り入れる外国航空会社に落下物防止対策を義務づけ、最新の動向を踏まえて基準を継続的に強化しております。これに加え、羽田空港では、国の職員による駐機中の機体チェック等を行い、落下物の未然防止に取り組んでおります。また、羽田空港など国際定期便の就航が多い主要空港においては、いわゆる部品欠落報告制度を運用しており、この制度に基づき報告された部品欠落について、原因究明、再発防止策の強化、情報の共有等の取組を継続的に実施しているところでございます。御指摘の事案につきましても、設計製造国とも緊密に連携し、改良型部品への換装、点検の強化等の再発防止策の強化を図っているところでございます。これは、世界の中で最高水準の、極めて突出した最高水準の対策、このように我々は考えております。
○宮本(徹)委員 最高水準の対策を取っている中でも、どんどんいろいろなものがおっこちているわけですよね。この二〇二〇年度の九十七・三キロや八十三・四キロのファンカウルの一部というのは、日航機がエンジントラブルで引き返す事案のときのものですけれども、これは海の上で起きたということですけれども、これは本当に、こういうのが都心上空で起きれば、重大な事態ですよ。それ以外にも、ここにありますように主脚タイヤの一部、五キロだとか、発見されていない、飛行中に落下した可能性があるものが、たくさん報告されているということであります。ですから、一刻も早く、都心上空の低空飛行はやめなきゃならないと思います。そこで、国交省は、新ルートの固定化を回避するとして、二〇二一年に検討会を設置して、昨年八月の第五回検討会までに、飛行方式を二方式に絞ってシミュレーションを行っております。この二つの方式というのは、都心上空飛行を回避するものなんですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 令和二年三月に導入された羽田空港の新飛行経路については、地元の皆様から固定化回避に向けた累次の御要望を受け、令和二年六月から、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を開催しております。この検討会では、現在の滑走路の使い方を前提とした上で、新飛行経路の固定化回避、騒音軽減の観点から、新飛行経路の見直しが可能な技術的選択肢がないかについて、幅広く御検討いただいているところです。昨年の第五回検討会では、羽田空港において技術的に採用が可能で、かつ、採用された場合の騒音軽減効果が高いと考えられる方式として選定された二つの飛行方式について、技術的検証の進捗状況等の報告が行われました。現在は、選定された飛行方式を羽田空港に導入するために、これまでの検討会での議論等を踏まえ、安全性評価などの取組を鋭意実施しているところでございます。そのため、選定された飛行方式に基づく、見直し後のルート案については、現時点で具体的に決まったものはありませんが、引き続き、新飛行経路の固定化回避のため、必要な取組を着実に進めてまいりたいと思っております。
○宮本(徹)委員 その二方式、決まったものではないというお話ですけれども、資料を見ますと、シミュレーションでは、航空機の通過地点、ウェーポイントを定めて行っているということを書いているわけですよね。このウェーポイントというのは、じゃ、都心上空以外に定めてあるということでいいわけですね。
○斉藤(鉄)国務大臣 新飛行経路の固定化回避のための飛行方式を羽田空港に導入するため、昨年の第五回検討会での議論等を踏まえ、引き続き、安全性評価などの必要な取組を鋭意実施しているところでございます。そのため、現時点では、見直し後のルート案について具体的に決まったものはなく、また、ウェーポイントにつきましても、現在行っている取組を踏まえて定まるものでございますけれども、引き続き、新飛行経路の固定化回避のため、必要な取組を着実に進めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 繰り返し伺っても、都心上空は飛ばないんだということをおっしゃらないわけですよ、騒音の軽減の効果を狙っているという話はあっても。都心上空は飛ばないんだと、なぜこのことが言えないんですか。
○久保田政府参考人 お答えをいたします。現在、新飛行経路、それを固定化を回避するための検討を行っているところでございまして、先ほど大臣が申しましたように、有識者による検討会におきまして、将来の要するに技術的なもの、それから、羽田におきまして、騒音軽減効果があるものということで二方式のものについて現在検討を行っているところです。具体的には、羽田につきましては同時進入が必要となってまいりますので、それの安全性につきまして、飛行機の速度でありますとか……(宮本(徹)委員「だから、いいから、都心上空って何で言わないのかって聞いているんですよ」と呼ぶ)いや、要するに、その方式が、現在の方法でもって有効かどうか、安全かどうか、まずそれを検証する、それをやることがまずスタートだと思っております。その検討を今行っているところでございます。
○宮本(徹)委員 スタートが間違っているんじゃないですか。まず、住民の安全のために都心上空は飛ばない、そこを出発点にして、そのためにどうするのかというのを考えるのが出発点じゃないですか。根本から間違っているんじゃないですか。住民の皆さんが求めているのは、落下物だとかの危険があるから、都心上空は飛ばないでくれということですよ。この間、テニスコートに氷の塊がおっこちていた、それも飛行機から落ちたんじゃないかということが指摘されているわけですからね。これはもう本当に、元のルートに一刻も早く戻すべきだということを強く求めておきたいと思います。続きまして、住まいの問題についてお伺いをしたいと思います。資料も後ろにつけておりますけれども、わくわくシニアシングルズの皆さんが、四十歳以上のシングル女性二千三百四十五人を対象にアンケート調査を行っております。主たる生計維持者が八六・一%、就労率も八四・六%でしたが、正規職員は四四・八%と半数に満たず、非正規の方のうち、不本意非正規が半数超ということでした。アンケートの中では、生活費における住居費の負担が大きい、こういう住宅への不安、支援の要望の声が多かったとされております。民間賃貸に居住している人が四一・八%で最も多く、公営住宅入居者は六・九%、持家二一・三%ということでありました。住居費の額は、月七万円以上の負担がある方が二三・五%、かなり高い家賃を払っている。そのため、住居費支払い後の家計に余裕がないと答えている方が六二・六%と六割を超えるということなんですね。大臣、この四十歳以上の中高年シングル女性が置かれております居住貧困の実態について、どのように認識されておりますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省におきましては、厚生労働省などの関係省庁と連携して、生活に困窮する方などが抱えている住まいに関する課題を把握するよう努めているところでございます。御指摘の調査では、中高年シングル女性の方々においても、低額所得者の方が少なくなく、特に母子世帯ではその割合が高いという結果であったと承知しております。こうした方々は、住宅の確保に困難や不安を感じている場合が多いもの、このように私も思います。住まいは生活の基盤であり、中高年シングル女性の方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備は重要な課題でございます。このため、国土交通省では、低額所得者や一人親世帯など、住宅の確保に配慮が必要な方に対して、公営住宅等の供給を図るとともに、セーフティーネット登録住宅の確保や入居の前後を通じた居住支援等を推進しております。引き続き、中高年シングルの女性の方々などの住まいの確保に向け、支援の充実に取り組んでまいりたいと決意しております。
○宮本(徹)委員 公営住宅は、大臣も御存じのように、都市部を中心に、全く空きがなくて、応募しても応募しても入れないと、私の知り合いなんかも大変苦労しておりますよ。そして、もう一つおっしゃった、住宅セーフティーネットの制度ですけれども、これは二〇一七年に始まりました。柱の一つが、家賃の低廉化補助、最大四万円、国と自治体で家賃を引き下げる補助ですけれども、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この家賃低廉化補助、直近では、幾つの自治体が利用して、補助を実施している戸数は全部で幾つなのか、予算と執行額がどうなっているか、教えていただけますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず、低廉化補助でございますけれども、住宅の賃貸人に対し、家賃を低廉化するための補助でございますけれども、令和三年度の予算額は、他の家賃対策補助を含めた約百二十五億円の内数でございますが、執行額は約五千万円となっておりまして、これにより、二十一自治体の計二百九十八戸の住宅が本制度による補助を受けております。
○宮本(徹)委員 二〇一七年に始まって以降、私も何回か国会でもこの問題を取り上げましたけれども、二百九十八戸ですよ、全国で。家賃低廉化補助、二十一自治体、二百九十八戸、ほとんど使われていないですよ。これは住宅支援の政策として失敗だったんじゃないですか。私は、もう抜本的に住宅支援の考え方を改めるべきだと思いますよ。公営住宅を増やしていく、それと併せて直接の家賃補助ですよ。公明党さんも選挙の公約で掲げられていると思います。これはもう根本的に、国民の住居の支援策については家賃助成をつくっていく、こういう方向にかじを切るべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 住宅確保給付金の拡充につきましては、制度を所管する厚生労働省において令和五年度からコロナ禍の特例的な対応を一部恒久化するなど、社会保障政策としての取組が進められているものと承知しております。一方、住宅の確保に配慮が必要な方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備は非常に重要な政策課題でございます。このため、国土交通省においては、公営住宅等の供給に加えて、セーフティーネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援を行ってきたところでございまして、令和五年度から、セーフティーネット登録住宅に係る家賃低廉化補助の支援期間を一定の場合に延長するなど、支援の充実を図っております。引き続き、福祉政策を所管する厚生労働省や地方公共団体等とも連携しながら、誰もが必要な住まいを確保できる住宅市場の整備に取り組んでまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 だから、家賃低廉化補助は、今ほど大臣から数字のお話があったとおり、全然進んでいないじゃないですか。二百九十八戸ですよ、手を挙げている自治体も二十一、なぜかと。だから、国と地方自治体で折半して負担しなきゃいけないから、自治体負担があるから自治体は手を挙げない。大家さんからしても、これは更新料が取れないだとか、デメリットもあるから大家さんも手を挙げない。進まないわけですよ。予算は確保しても進まない、だったら政策を切り替える必要があるんじゃないですかということを私は建設的に提案させていただいているわけですよ。是非……(発言する者あり)いい提案だと皆さんからも言っていただいていますし、本当は大臣も家賃補助をやりたいんじゃないですか、御党の公約でもあるわけですから。是非、ここは、今後の制度をどうするか、家賃補助制度も含めて検討する、こういう方向で答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 住宅政策につきましては、先ほど申し上げてきましたように、公営住宅の拡充、またUR住宅、また住宅セーフティーネット制度における家賃の低廉化補助等を総合的に行っているものでございます。家賃低廉化補助について、少ないではないかということでございますが、平成二十九年度の制度発足以来、この補助制度によって補助を受けた住宅は増加してきておりまして、所得の低い住宅確保要配慮者における居住の安定確保に一定の寄与をしているものと考えております。しかし、まだ低レベルにあるということで、このため、国土交通省の職員が全国の地方公共団体の首長等を直接訪問し、この制度の活用を働きかけるとともに、令和五年度予算では、補助対象期間の延長を可能とするなどの制度の拡充に努めているところでございます。総合的に進めていきたい、このように思っておりますし、先ほど答弁いたしましたように、厚生労働省と連携しながら、社会保障制度としての観点も含めながら、国土交通省も厚生労働省と連携して進めていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 公営住宅が足りない、公営住宅入居基準で住宅セーフティーネットの家賃低廉化補助制度をつくったけれども、それも全然活用が進まない。一生懸命自治体を役所の皆さんが回っても、徒労に終わっているんじゃないですか、結局は。気の毒ですよ。やはりここはちゃんと、もっと直接的に支援するということだとか、合理的な支援制度を考えるべきですよ。その点、それ以上の答弁、今日はペーパーがないようですので、是非考えていただきたいということを求めておきたいと思います。ちなみに、住宅確保給付金の方についても、日弁連の会長声明というのが昨年十二月に出ていまして、これも、収入基準、資産基準だけの簡易な制度にした上で、収入基準を生活保護基準の一・三倍にするなど要件を緩和する、普遍的な制度にしようということが提案されているんですね、日弁連の皆さんからも。厚労省と国交省とで是非相談して、どうやって本当に家賃を支払うのにも苦労している方々をしっかり支援するのかというのを考えていただきたいと思うんですよ。よろしいですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろな制度がございます。それぞれの趣旨があって、できるだけ幅広い、お困りになっている方をお助けする幅広い制度となっております。それらをしっかり、厚生労働省とも連携しながら進めていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 だから、今の制度では全然届いていない。数字は大臣がおっしゃったとおりですから、よろしくお願いします。最後ですけれども、住宅の支援という点で、URのお話、先ほど一言大臣からありましたけれども、現に居住している方々、例えば、年金生活者二人だったのが、旦那の方が亡くなって高齢女性一人になったら、家賃を支払うだけで生活が圧迫するような事態になっているわけですよね。こうした際に、機構法二十五条四項に基づいて家賃減免をする、こういう制度を直ちに設けるべきだと思うんですよね。いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 UR賃貸住宅に入居されている方、とりわけ、民間賃貸住宅への入居を拒まれやすい高齢者世帯の居住の安定を図ることは重要な課題でございます。そのため、一定の収入要件を満たす高齢者世帯等に対し、家賃が値上げされる場合には家賃を据え置く制度を運用しているほか、令和四年三月からは住宅セーフティーネット制度をUR賃貸住宅にも導入し、この制度の中で、収入に応じた家賃低廉化補助について、地域の住宅事情に応じて地方公共団体が決定することを可能としております。さらに、URにおいては、家賃の支払いが困難になった方に対し、個別の事情をよくお伺いした上で、家賃の分割払いや、より家賃が安い団地内住戸への住み替え、福祉の相談窓口へのおつなぎなどの提案を行っているものと承知しております。こうした制度の活用も含め、お住まいの方の事情を丁寧に伺いながら、適切な対応が図られるよう、引き続きURへも取組を促してまいります。
○宮本(徹)委員 大変残念な答弁ですね。先ほど、家賃低廉化補助の対象にするといったって、自治体が手を挙げないから二百九十八戸しかないんだから、それを適用するといったって全然進んでいないわけですよ。もっと、法律で減免できるというふうに書いているんですから、そこにちゃんと予算をつけて執行する、これが大臣の責任だということを申し上げまして、質問を終わります。