2016年2月12日 衆院財務金融委員会 異常な大企業優遇税制 

 2016年2月12日財務金融委員会呈出資料①の左図をもとに、赤旗編集部が修正 2012年度⇒2014年度増減率
 2016年2月12日財務金融委員会提出資料①の右図 大企業の内部留保と、主な資産の推移
 2016年2月12日財務金融委員会提出資料② 日本経済団体連合会の提言より抜粋

日本共産党の宮本徹衆院議員は12日の衆院財務金融委員会で、法人税率を引き下げ、外形標準課税を拡大する政府・与党の「税制改革」について、「もうかっている一部の大企業の内部留保をさらにつみあげるだけだ」と批判し、大企業優遇税制の転換を求めました。
宮本氏は、安倍政権発足後の3年間で大企業の利益は大きく増えているが、賃上げには回っていない実態を指摘。大企業の資産構成では、機械などの有形固定資産が減り、有価証券や現金など手元資金が増えていることも示し、「法人税を減税しても、賃金にも、投資にも回らない」とただしました。
麻生太郎財務省は「労働分配率は下がっている。給与分をもっと上げなくてはおかしい」と認めました。
さらに問題なのは、安倍内閣は法人税率引き下げの財源として、資本金1億円以上の企業に対する外形標準課税を強化しようとしていることです。
宮本氏は、2万3000社が課税対象となるが、うち赤字企業が6400社だと指摘。「(課税強化で)赤字企業にさらに増税することになる。これで、どうして賃上げや投資が進むのか」と、政府・与党の「税制改正」の支離滅裂ぶりを批判しました。麻生財務相は「利益を稼ぐインセンティブ(刺激)は高まる」と開き直りました。
宮本氏は、経団連が「税制改正」について「基本的に評価できる」としていることを示し、「経団連の要望を丸のみした税制を進めるのは、やめるべきだ」と求めました。

以上2016年2月13日付 赤旗日刊紙より抜粋

≪第190回財務金融委員会第2号 2016年2月12日 議事録≫

○宮下委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。通告してないですけれども、先ほど宮本岳志さんから消費税のことがありましたので、初めにそのことだけお話しさせていただきたいと思います。麻生大臣は、多分、書かれた答弁書を読まれたということですのでそういうことだと理解しておりますが、私自身、予算委員会では初めに二つ聞いているわけですね。一人当たり及び一世帯当たりどれだけ増税になるのかということ。これはなぜ聞いたかというと、軽減、軽減と軽減税率のことを言うから、いや、軽減じゃなくてふえるんでしょうということを、どれぐらい痛みが来るのかというのを明らかにするために聞いたわけですよ。もう一つは、低所得者対策、低所得者対策と言うけれども、実際は低所得者ほど負担が重いじゃないですかと言うために、所得階層ごとの負担率をお伺いした。この二つは別々の質問なんですよ。ですから、私、事前の財務省への説明資料の提供も、それぞれ分けて要求したわけですよね。所得階層ごとの負担率がどうなるのかという資料ももちろん要求しました。同時に、一世帯当たり、一人当たりがどれぐらいふえるんですかというのも、質問の前日にお願いして、いただいたわけですよ。それが事実の経過なんですね。ですから、そういう点では、きょうはお役所の書かれた答弁書をずっと読まれているわけですけれども、あらかじめ三通りの試算をしておきながら、私に対しては家計調査で答えた。それはまずかったというので参議院で謝ったという点では、私の質問時間が無駄になったということですから、その点については、よくなかったということぐらいはお認めになっていただければなと思います。
○麻生国務大臣 今、御意見のあったところですけれども、このときの宮本先生の話で、飲食料品と新聞以外の税率を一〇%にした場合、収入に占める税負担率は現行の八%と比べてどれだけふえるのか、収入が二百万円から二百五十万円の世帯のケースと一千五百万以上のケースについてお答えくださいという質問に対しましたので、私どもとしては、家計収入というあのサンプル以外に使えるものがありませんので……(宮本(徹)委員「それは二問目です。その前に一問目に」と呼ぶ)
○宮下委員長 済みません。席での発言はちょっと控えてください。
財務大臣、よろしいですか。
○宮本(徹)委員 それは、私が予算委員会でした二問目の質問についてのお答えなんですよ。一問目は、所得階級のことなんて何にも聞かずに、一世帯当たり、一人当たりどれだけ負担増になりますかということを聞いて、何の前提もつけずに聞いています。それは、財務省に対しても何の前提もつけない資料をお願いして、財務省の方から、赤旗の計算とはちょっと違う資料が出ますけれどもいいですかと言われて、いいですよというふうに事前にお話をして出てきた数なんですよね。そういう経過なんですよ。
○麻生国務大臣 今、一問目、二問目というお話でしたけれども、私どもは、基本的には、収入階級別の数字に関するお尋ねがありましたので、そういった意味で、データの制約上、家計調査によらないとお答えできないという状況にありますので、総世帯平均もこれと整合的なものにせぬといけませんので。そういった関係から、家計調査に基づくということを申し上げているということであって、試算をお示ししたものだというふうに御理解いただけないと、ちょっと、こっちの部分とこっちは質問が違うけれども、この部分とこれとを整合的なものにするためには、このサンプル調査のこれをもとデータにしないと私どもできないということだと存じますが。
○宮本(徹)委員 そうすると、あらゆるものを所得別と整合性をつけなきゃいけなくなったら、今度は、参議院でした答弁をもとに戻さなきゃいけないという話になりますよ、麻生大臣、今の説明だと。違うわけでしょう。何の前提もつけずに私は聞いたわけですよ。一番初め、一問目は。これ以上やったら、私の初めの質問、時間がなくなりますので、そこは、改めてちょっとお役所の方ともちゃんと整理しておいていただければというふうに思います。それで、大臣所信について質問いたします。まず、法人税についてきょうお伺いしたいと思います。大臣は所信で、経済の好循環を確実なものとする観点から法人税率を引き下げるんだ、税率を引き下げることで、投資や賃金引き上げに積極的に取り組むように促す、こうおっしゃいました。ですが、現実の日本経済の動きは政府の説明とは異なっっているわけですよね。この三年間でどうだったのかということで、配付資料を見ていただければわかりますけれども、財務省の法人企業統計から、資本金十億円以上の大企業、ちょっと間違いがあるので、直しながら言います。一番上が経常利益ですね。二〇一二年度から二〇一四年度まで四四・一%の伸びです。上から二つ目、一三・九%伸びているのが配当金です。上から三つ目、五・六%伸びているのが、これは一人当たりの役員報酬です。ちょっとこれはグラフに書いている字が間違っているんですけれども、一人当たりの役員報酬。その次が、三・四%伸びているのが従業員給与の総額です。そして、一・三%、これは一人当たりにした場合の給与の伸びということになっています。これが十億円以上の大企業の、法人企業統計から出てきたものであります。そして、右側に内部留保の伸びも載せていますけれども、配当は伸びた、役員報酬も伸びているわけですけれども、一人当たり給与というのは、この間議論になってきたとおり、実質賃金で見ればマイナスという状況で、その中で内部留保は大きく積み上がるということになったわけですね。ですから、こういう大企業に対してさらに法人税率引き下げということをやっても、内部留保がさらに積み上がるだけなんじゃないですか。
○麻生国務大臣 これは宮本先生、たびたび私の方がいろいろなところでほぼ同じような御質問に対して同様の答えをしていると存じますが、課税ベースの拡大等により財源をしっかりと確保しながらということで、法人税を下げている分だけこっちでふやしている分がありますので、外形標準課税等々、そういったものをやらせていただいておりますので、確保しながら税率を引き下げるという点が一点。それから、法人課税をより広く負担を分かち合うという構造への改革にしていくもので、もうかっているところだけから取るというだけではなくて、いろいろインフラストラクチャー等々を使っておられますので、そういったものへと改革していくということであって、企業が収益率を高めてもらって、さらに設備投資とか賃上げ等々、積極的に取り組むようにしてもらうのはもちろんのことなんです。もう一つ、何もそちらにお教えする必要もないと思うけれども、労働分配率というのはもっと問題なんですよ、私に言わせると。これは、あなたに言う必要もいかがなものかと思うけれども、労働分配率というのは明らかに下がっていますよ。これは、さっきの銀行やら何とかにしたって、皆同じことを知っていたと思うけれども、労働分配率は昔、七七、八あったはずでしょう。今、六七、八まで下がっていませんか。一番最近の資料を知りませんけれども。私らのときとは随分違ってきていますので、こういった意味では、私どもは、さらに現金をため込むとか、さらに内部留保をふやすというのは、これ以上ふやして何をするんですかということを私どもがいわゆる経済界と話をし合ったときに私どもからたびたび申し上げてきたところであります。したがって、今回の、一月の四日でしたか、経済三団体の長の話は、いずれもその種に関しては、これまで政府にやってもらった、これからは民間がやる番なんだということで、給与の話や賃金の話は、それぞれ正月に話をしておられますので、それなりの効果は少しあったのかとは思いますが、今言われたように、給料の分をもっと上げなくちゃおかしいというのは、私どもも基本的にそう思います。
○宮本(徹)委員 給料を上げなきゃいけないというのはそのとおりだということですけれども、問題は、実際は、今度の法人税率の引き下げ、外形標準課税の拡大なんであります。基本的には、もうかっている大企業ほど減税になって、それ以外は増税になるということになっているわけですけれども、もうかっている大企業のところには、利益もあれば内部留保もあるわけで、賃上げするための体力が既にあるわけですよ。体力があるところに減税の恩恵をばらまいても、やはり内部留保がたまるだけだと思いますよ。やる気があればできるんだから。そういう点でいえば、減税をさらにそういうところにやっていくというのは本当におかしな話だと思います。そして、法人税率を引き下げたら設備投資に回るのかということで、大企業に限ってみても、内部留保は昨年七―九月期で見ても三百兆円を突破しました。問題は、どういう形で内部留保がふえているのかということです。この三年間で、資本金十億円以上の大企業について、有形固定資産と、固定資産のうち投資有価証券と手元資金、それぞれどういう動向になったでしょうか。お答えください。
○冨永政府参考人 お答え申し上げます。財務省の法人企業統計四半期別調査によりますと、金融業、保険業を除く資本金十億円以上の大企業につきまして、有形固定資産は、二〇一二年七―九月期では百三十五・八兆円、二〇一五年七―九月期では百三十・六兆円、次に、固定資産のうち有価証券につきましては、二〇一二年七―九月期では百八十三・八兆円、二〇一五年七―九月期では二百十七・五兆円、また、手元資金は、二〇一二年七―九月期では五十八・五兆円、二〇一五年七―九月期では六十四・三兆円となっております。
○宮本(徹)委員 今数字を示していただきましたけれども、結局、機械などの有形固定資産というのはこの三年間で見ても減っているわけですよね。一方で、有価証券や現金など金融資産がふえている。はっきり言って、内部留保が余剰資金になっているということが言えるというふうに思います。それから、これは質問しないですけれども、参議院調査室の興味深い資料も出されておりました。吉田博光氏の試算によりますと、法人実効税率を一%引き下げた場合の設備投資の促進効果は、一九八〇年代から九〇年代でも〇・二七%だ、だけれども、直近まで含めた推計でいくと〇・一九%に低下していると。なぜか。内部留保や配当金がふえて設備投資が伸びない構図になっているんだ、だから、こういう中で法人実効税率を下げても、経済を活性化する原動力としての効果が余り発揮されない、こういう指摘が参議院の調査室の方からも出ております。ですから、法人税率をどんどん引き下げても、賃金にも投資にも回らないということだと思うんですね。私がさらに問題だと思うのは、今回、法人実効税率を引き下げる財源として外形標準課税を拡大するということになっている問題です。赤字企業は増税になります。外形標準課税の拡大で増税となる企業数の見込み、これは資本金規模別にどうなるでしょうか。お答えください。
○時澤政府参考人 お答えいたします。今回の外形標準課税の拡大によります一社当たりの負担の増減につきまして、資本金階級別の課税標準を二十五年度課税実績をもとに機械的に試算をいたしますと、欠損法人につきましては、一社当たり、資本金一億円超十億円以下で三百万円の負担増、十億円超五十億円以下で一千五百万円の負担増、五十億円超百億円未満で二千九百万円の負担増、百億円以上で一億五千五百万円の負担増でありまして、全体では一社当たり一千六百万円の負担増というふうになります。総務省といたしましては、資本金階級別の課税標準の合計の数字は把握しておりますけれども、個別の法人データを有しておりませんので、負担増となる法人数を計算することは難しいものでございますが、欠損法人につきましては、今回税率を引き下げることとしております法人事業税所得割を負担しておりませんので、一般的には負担増となるというものでございます。なお、外形標準の対象となりますのが二万三千社ございまして、うち欠損法人六千四百社、内訳では、一億円超十億円以下が四千八百社、十億円超五十億円以下が約九百社、五十億円超百億円未満が二百社、百億円以上が約四百社となっておるものでございます。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。二万三千社のうち六千四百社が赤字で、そういう企業は、今お話あっただけの相当な増税になります。ちなみに、読売新聞の報道によりますと、課税所得が小さい企業では、黒字であっても外形の部分が大きくなりますから増税になるということで、こういう報道も出ていました。課税所得が十億円以下の黒字企業でも、一社当たり五百三十万円の増税だということです。こういうものを含めると、二万三千社のうち二万社が増税になる。減税になるのは三千社だ、逆に言えば。そういう話が報道としても出ているわけですよね。ですから、今回の法人税改革で、賃金に回すんだ、投資に回すんだとお話しされますけれども、実際は、減税になるのは本当にもうかっている一部の大企業。資本金一億円以上の企業でも相当部分が増税になるというのが今度の法人税改革の中身ということになっています。麻生大臣は経営者の経歴もお持ちですけれども、こういうことになって、一体どうして賃上げや投資が進むんでしょうか。かえって賃下げだとかリストラの圧力になっていくんじゃないでしょうか。
〇麻生国務大臣 今言われましたように、これは、大法人につきまして、先ほど申し上げましたように、法人税を下げるところと上げるところと両方一緒にして一方的に法人税収入を下げるということはしませんということで、私どもとしては、国際競争ということを考えたときにおいては二九%台ということでさせていただきました。私どもは、これによって稼ぐ力というものの高い企業の税負担が減ると同時に、赤字の大法人にとりましても、これは黒字化した場合の税負担の増加というものが緩和されるということになりますし、企業にとりましても、いわゆる利益を稼ぐというインセンティブというものが必然的に高まるということになりますので、賃金の引き上げ等々を継続的、積極的にやっていってもらう体質に転換していってもらわないと、少なくとも、今までのようなままで、これだけもうかっているんだから、その分だけ内部留保だけふやしていって、いわゆる配当、労働分配率はそのままなんというんじゃ、これから人も雇えなくなりますよと企業の方にも何回も申し上げました。そういったところで、この二十年間でしみついている意識というものを少し変えていただかぬと、我々の世代に比べましても、労働分配率が一〇%以上下がっているというのはいかがなものかということを何回も申し上げておりますので、意識としても、そういった意識を持って対応していただかなきゃいかぬところだと思います。
○宮本(徹)委員 ですから、もうかっているところの問題じゃなくて、今は、外形標準課税の拡大というのはもうかっていないところが大変なわけじゃないですか。そういうところに、赤字のところに増税していったら、それで設備投資や賃上げが進むというのはやはり常識に反するというふうに私は思います。大体、外形標準課税の拡大は、当初、経団連でさえこう言っていました。業績が回復途上にある企業の税負担が重くなるデメリットがあると言っていたわけですよね。私がいろいろなところを回っていますと、今回、外形標準課税の拡大は資本金一億円以上ですけれども、それ以外の中小企業の皆さんからも、こういう法人税改革の方向が続くと、私たちのところまで今度は課税対象になるんじゃないかという心配の声を本当によく聞きますが、資本金一億円以下の企業への外形標準課税の拡大は今後やるべきではないと考えますが、麻生大臣はその点どうお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 これは御存じのように、法人事業税というのは総務省の所管でありますので、私どもの所管ではありませんけれども、平成二十七年、二十八年度の税制改正において、大法人につきましては外形標準の拡大というものを進めていく一方、資本金一億円というものにつきましては引き続き外形標準課税の対象としておりませんのは、御存じのとおりであります。今後、適用法人のあり方については、与党の税制改正大綱等々においていろいろ検討されるんだと思いますが、地域経済とか企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行うということとされておりますので、この方針に沿って対応していくことになるんだと存じます。
○宮本(徹)委員 慎重に検討ということですが、やらないということで対応していただきたいというふうに求めておきたいと思います。結局、法人税率を引き下げて外形標準課税を拡大していくというのは、私は、賃上げにもつながらないし、投資にもつながらないし、経済の好循環にはつながっていかない、さらに内部留保を一部の大企業に積み上げていくという結果になるんじゃないかというふうに思います。結局、今回の法人税率の引き下げというのは一部の大企業だけが減税になる。もっと言えば、経団連が下げてくれと言ったから、その部分だけ下がるように下げたんじゃないかというふうに私は思わざるを得ません。経団連は、税制改正要望で、法人税率を下げよということを言ってきました。企業の負担が実質的に増加することのないようにということを繰り返し言ってきたわけですよね。それで、税制改正大綱がまとまった際の経団連会長のコメントはこう書いていますよ。経団連の主張が受けとめられたということで、「法人実効税率が従来の計画より一年前倒しで平成二十八年度より二〇%台に引き下げられることになったことを歓迎する。」と。結局、経団連の要望をどんどん丸のみして税制改正を進めている、こういうことなんじゃないんですか。
○麻生国務大臣 今御指摘のあったところのほかにもちょっと読んでいただかないかぬと思いますけれども。政府としては、我々としては経団連の要望というものを丸のみしたとおっしゃりたいんだと思いますけれども、内容面をよく読んでいただくと、経団連が昨年九月に公表した提言をよく読んでいただくと、外形標準課税のさらなる課税というものは行うべきではないとされておりますし、また、減価償却の見直しについても慎重に検討することが必要とされておりましたが、二十八年度の税制改正においてはそれらの改革についても盛り込んでおりますので、今言われた御指摘は当たらないのではないかと思っております。
○宮本(徹)委員 丸のみしたわけではないと言いますけれども、説明のつかない、経済の好循環におよそつながるとは思えない、多分、麻生さんもそう思っているであろう今度の法人実効税率の引き下げを、これだけは経団連の要求をのんでいったということだと思います。経団連、財界は、これだけじゃなく、さらに法人実効税率を二五%まで下げてほしいということを繰り返し言っております。競合するアジア近隣諸国並みということを言われているわけですけれども、今回二〇%台に引き下げたことというのは、政府としては、国際相場に照らして今どういう水準だというふうに見ていらっしゃるのでしょうか。
○麻生国務大臣 日本の法人税のいわゆる実効税率というのは、諸外国に比べて高いと指摘をされてきておりますけれども、今回の改革で三十年度には二九・七四%まで下がることは決定しておりますので、フランスの三三・三三%を下回っておりますし、ドイツの二九・七二とほぼ並んでおりますので、私どもとしては、国際的に遜色のない水準へ移行できた、改革ができたというように考えております。
○宮本(徹)委員 ということは、経団連が言っている二五%に引き下げるべきだという立場には立たないということなのかなというように思いますので、その点は確認しておきたいというふうに思います。もうちょっと麻生さん宛ての質問も通告してあったんですけれども、初めに時間をとってしまったために、麻生大臣への質問はここまでにしておいて、最後に、残った時間で保育料の問題について取り上げさせていただきたいと思います。一年前、本委員会で、年少扶養控除廃止に伴ってそのみなし適用を保育料に限っては続けてきたものを、子ども・子育て新制度の発足に当たって年少扶養控除廃止のみなし適用をやめた、そのことによって保育料が上がります、大変なことになりますよ、多子世帯ほど上がりますよということを言いまして、値上がりにならないための対策をこの場で求めました。結果、どうだったかというと、対策をとらなかった自治体では多子世帯の保育料が上がりました。四人、五人、六人と、子供が多いほど大きな保育料値上げとなって、私も、直接、全国各地の方の悲鳴の声もその後伺うことになりました。メディアでも取り上げられました。NHKでも特集も組まれましたし、北海道テレビや関西のMBSなどでも繰り返しこの問題は取り上げられました。少子化対策、少子化対策といいながら、子供が多くいる世帯ほど保育料が上がる、こういうことになったわけですが、こういう少子化対策に逆行する事態が起きたことについて責任をどう感じておられるのかというのをお伺いしたいと思います。
○高鳥副大臣 宮本委員にお答えをいたします。子ども・子育て支援新制度における年少扶養控除のみなし適用の廃止につきましては、市町村の事務負担等を考慮しつつ、保育料の負担が改正前後で極力中立的なものとなるように配慮したところでございます。具体的には、夫、妻、子二人の世帯につきまして、年少扶養控除廃止前とおおむね同じ程度の保育料の負担となるよう、利用者負担額算定の基礎となる市町村民税所得割額を設定したところでございます。しかしながら、御指摘のとおり、子供が三人以上の世帯においては負担増となるケースがあり得ることから、市町村の判断により、既に入園をしている子が卒園するまでの間に限り、年少扶養控除等の廃止前の旧税額に基づく利用者負担額を適用する経過措置を講じることを可能といたしているところでございます。なお、市町村が経過措置を講じた場合には、当該経過措置の適用を前提とした国庫負担も行うことといたしております。
○宮本(徹)委員 だから、責任をどう感じているのかというのを私は聞いたわけですよ。経過措置をとることができるということをおっしゃったわけですけれども、とらなかった自治体もたくさんあるわけですよ。年少扶養控除の再算定をするのは大変だ、事務負担が大変だからやめさせてくれということを受けて、政府はそれをのんじゃったわけでしょう。原則これからはやらないこととする、だけれども希望する自治体については経過措置をとったら財源を手当てするよというのが政府のやり方だったわけですよ。だから、経過措置をとらない自治体で多子世帯ほど保育料が上がるということが起きたわけじゃないですか。この責任をどう感じているのかというのをお伺いしているわけですよ。
○高鳥副大臣 お答えをいたします。例えばですけれども、平成二十八年度の予算におきましては、先生よく御案内と思いますけれども、多子世帯の保育料負担軽減といたしまして、年収三百六十万円未満相当の世帯につきまして、多子計算に係る年齢制限を撤廃し、第二子を半額、第三子以降無償化を完全実施するとか、あるいは、一人親世帯の保育料負担軽減といたしまして、年収三百六十万円未満相当の一人親世帯等への優遇措置として、第一子は半額、第二子以降は無償とすることといたしておりまして、それぞれ所要の経費を計上したところでございまして、責任云々ということはございますけれども、政府としては全力で対応していると考えております。
○宮本(徹)委員 責任云々じゃなくて、本当に責任を強く感じてほしいと思うんですよね。本当に、保育料を払えなくて借金したという話まで私のところに来たんですから。多分、厚労省の担当者のところにもそういう話がたくさん来たんじゃないですか。きょうは内閣府に来ていただいていますけれども。そういうことが起きたわけですよ。先ほど、年収三百六十万までは今度は第三子以降は無料化するというお話がありました。もともと、幼児教育の無償化は、当初、五歳からという話が昔ありましたけれども、多子世帯からするというのは賢明な判断だと思いますけれども、問題は、三百六十万より上の人は、まだ上がったままの方がたくさんいるわけですよ、年収三百六十万より上の人が。東京でいえば、年収三百六十万円までの世帯というのは、大体全世帯の一五%ですよね。ですから、八五%の世帯は、今回値上がりした人は上がったままということになっております。ですから、本気で少子化対策と言うんだったら、第三子無料、第二子半額、この所得制限を撤廃するか、あるいは大幅に引き上げていくということが必要になるんじゃないですか。それと同時に、現に値上がりした自治体に対して、経過措置がとれるんだからちゃんと措置をとりなさいという働きかけも必要ですし、あるいは、経過措置をとった自治体でも、途中でやめている自治体がたくさんあるわけですよ。半年でやめました、今度の年度末でやめる自治体もあるというふうに私のところに話が来ております。ですから、そういう自治体に対しても、ちゃんと経過措置をとり続けなさいということを国として主導的に責任を持って働きかける必要があるんじゃないですか。お答えいただきたいと思います。
○高鳥副大臣 お答えをいたします。子ども・子育て支援新制度における保育料負担については、平成二十五年の幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議において定められた基本方向に基づいて、幼児教育の無償化に向けた段階的取り組みを進めてきたところでございます。もう先生御指摘のとおりでございますけれども、その所得制限等につきまして、多子世帯へのさらなる配慮につきましては、財政が非常に厳しい中ではありますけれども、幼児教育の無償化を段階的に進めるという文脈の中で、引き続き検討してまいりたいと思います。それから、自治体に対する、市町村に対する指導をもっと積極的にやった方がいいのではないかという御指摘だと思いますけれども、子ども・子育て支援新制度に基づきます事務は自治事務でございまして、経過措置を適用するか否かは、事務的な負担の観点等も踏まえまして、新制度の円滑な実施を図る観点から、それぞれの状況に応じてなされた市町村の判断を尊重することが適切であると考えております。
○宮本(徹)委員 市町村の判断なんて言っているわけですけれども、もともと市町村が値上げしてもいいような仕組みをつくったのは国なんですよ。国自身がもっと責任とらなきゃだめだということを厳しく指摘して、時間が参りましたので、私の質問は終わります。