2016年2月23日 衆院財務金融委員会 外形標準課税拡大やめよ


2016年2月23日 衆院財務金融委員会提出資料 

宮本徹議員は23日、衆院財務金融委員会で質問に立ち、法人実効税率引き下げの財源確保のために〝外形標準課税〟を拡大する問題をとりあげました。
宮本氏の質問に対し、総務省は外形標準課税拡大による負担の変化について試算を明らかにしました。資本金1億~10億円の中堅企業の場合、赤字である4800社が平均300万円の負担増となり、所得1億円以下の6000社も平均300万の負担増になります。一方、資本金10億円超の大企業は平均6700万円の減税となります。
宮本氏は、今回の法人税改革が、赤字やもうけの少ない中堅企業を軒並み負担増にする一方、内部留保をため続けている一部の大企業に減税を集中させるものだと批判。「『外形標準課税を拡大して投資や賃上げに回す』との政府の説明はおかしいではないか」とただしました。麻生太郎財務相は「内部留保が賃金や配当や設備投資に回らない方が問題だ。『企業としてもう少しちゃんとされるべきだ』と申しあげている」と答えました。
宮本氏は、「大企業の法人実効税率引き下げのために外形標準課税を拡大することは愚策だ。賃下げ、リストラの理由になりえない」と批判しました。

以上2016年2月25日付赤旗日刊紙より抜粋

≪190国会 財務金融委員会第5号 2016年2月23日 議事録≫

○宮下委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。前回の続きの質問をさせていただきたいと思います。前回、軽減税率による減収額、国民経済計算からは〇・八兆円よりは大きいというのが佐藤主税局長の答弁でした。だけれども、財務省としては、財源が足りなくなったら困るので、家計調査を利用した一兆円の方が正しいんだ、そっちをとるんだという説明でした。だけれども、国民経済計算よりも家計調査を利用した一兆円の方が正しいという根拠は示されない、これで終わったというふうに思います。そうすると、実際の減収額がどうなるのかということですよね。これは、二〇一七年、この法律が成立した場合、それを実行してみないとわからないということなのかもわからないですけれども、一兆円が正しいという根拠が国民経済計算から証明されていない以上、実際の減収額よりも財源確保の一兆円の方が大きくなる、こういうことはあり得ますね。
○麻生国務大臣 今御質問のありました、消費税の軽減税率制度の導入によります減収の見込み額の推計の話だと思いますが、家計が負担いたします一%当たりの消費税収というのを基礎に一兆円というのを割り出した、見積もったというものでありまして、消費税収というものは、実際に消費の支出に対応して現に負担をされておられます額でありますから、これを基礎とした減収見込み額というものはこれが一番妥当なものだ、基本的にはそう考えております。
○宮本(徹)委員 前回の質問では、国民経済計算からいったら〇・八兆円よりはやや大きいだろう、そこまでは佐藤主税局長からもお話しありましたけれども、これと一兆円との整合性をつけられるだけのものはないというお話だったと思うんですよね。そうすると、実際の減収額がどうなるのかというのは定かじゃないわけですよね。そうすると、実際の減収額よりも財源確保しようという一兆円の方が大きくなるというのは、実際起こり得るんじゃないかということを聞いているわけです。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。前回いろいろ御議論させていただいたときを思い返しますと、まず、国民経済計算のお尋ねがございました。食料・非アルコール飲料の家計消費が四十一兆円なので、それをもとに減収の見込みを計算すると〇・八兆円だという御指摘で、それに対しまして私の方から、国民経済計算のカバー率に問題があって、外側に捉え切れていないゾーンがあるというお話でございますので、〇・八兆円よりも大きいのではないでしょうかと申し上げました。一方、私どもが一兆円と申し上げているのは、今大臣御答弁いただきましたように、やはり消費税収というのは、まさに家計が負担している税額そのものでございますので、実際の消費支出そのものから割り出してくることでございますので、国民経済計算のようにやや捉え切れていないものがあるというものに比べまして、極めて精度の高いものが計算の基礎になっているというふうに思っておりますので、私どもとしてはこれは極めて妥当な数字だというふうに思っておるわけでございます。そのもとで、今先生からのお尋ねでございますけれども、私どもの考え方としては、きちんと予定どおり二十八年度末までに必要な財源を、安定的な恒久財源を確保するというふうになっておるわけでございます。そういうことでございますが、それは私ども、例の百七十条の第一号に基づいてしっかりやりますよということが書いてございます。第二号には、この間御議論ございましたけれども、全体として二十九年度四月に軽減税率制度が導入された後、なお経済・財政再生計画に基づく中間評価というようなものがございます。そういうもとでさまざまな検討をしないといけないというときに、軽減税率制度の導入とか安定的な恒久財源を確保したという、そういう新しい事情もしっかり織り込んだ上で検討をする、こういうことも答弁申し上げたと思います。恐らく、今御指摘のあった点は、このような第二号における中間評価というような段階で具体的な実績が出てきたときに、二十八年度末までにしっかりと財源を確保するということをした後、さまざまな事情によって、結果的にそれがどういうふうに動いているのかどうかということも確認するという中の一つとして入ってくるんだろうというふうに思います。私どもとしては、税収の見積もりといたしましては非常に極めて妥当なものだという前提ではございますが、仮にというお尋ねでございますので、例えばそういうところでしっかり検証するということも可能かと思っております。
○宮本(徹)委員 つまり、そこの二〇一八年度の中間評価で検証することができるという答弁ということは、逆に言えば、一兆円よりも実際の減収額の方が小さいということはあり得るということをお認めになったということでいいわけですね。
○佐藤政府参考人 私どもの現時点における減収見込み額が一兆円ということは、妥当でございます。仮にというお話でございます。経済はさまざまな影響、変動がございますので、そのもののフォローアップというのは当然必要であろうというふうに思います。それが、今申し上げたような、例えば中間評価という場があるのであれば、その辺でもう一度評価をするということも一つの要素としてはあり得るだろうということでございますが、私どもとしては、しっかりと一兆円というものを確保する、そういう責任があるんだろうと思っております。
○宮本(徹)委員 ですから、先週、佐藤主税局長も、国民経済計算からは一兆円にはならないというお話でした、〇・八兆円よりは大きいと。それは、いろいろなものを足したら、〇・八三とか〇・八四とか〇・八五とかあるかもわからないですよ。だけれども、一兆になるというお話ではなかったわけですよ。そうすると、どう考えても、実際の減収額の方が一兆円よりも小さくなるというのはあり得るかどうかということを聞いているわけですよ。必ずそうなるというふうに答弁してくださいと言っているわけじゃなくて、あり得るのかということを聞いているわけです。
○佐藤政府参考人 前回やりとりがある中で、私どもは、一兆円と申し上げている計算の基礎が消費税収によるものであって、それは家計の負担そのものの額であるということから、極めて精度の高い計算の基礎になっているものだということは申し上げた次第でございます。それに比べれば、国民経済計算というのは把握されている範囲がやはり狭い、六十兆でしょうか、狭いということもございますので、その部分について、〇・八兆円よりもふえるはずだということまでは申し上げましたが、私どもとしては、極めて妥当なものとして一兆円と申し上げたつもりでございます。したがいまして、これをもとに作業していくということになるんだろうと考えております。
○宮本(徹)委員 精度が高い、精度が高いと言いますけれども、一方で、家計調査は六割しか消費は把握できていないからというので、一番初めの予算委員会でも私への答弁をひっくり返したわけですから、それをもって精度が高いと言われても、全く説得力がないとしか言いようがないわけですよね。一兆円を確保するんだということを何度も繰り返されるわけですけれども、一兆円の財源を、私たちがいつも言っているような防衛費を削れだとか浪費型の公共事業を削れ、こういうことで捻出するんだったら別ですけれども、国民向けの予算のカットだとか国民向けの増税で、別の形で賄うということになりますと、もし仮に、そういうことも絶対ないとはおっしゃらないわけですけれども、一兆円よりも実際の減収額が小さいということになったら、軽減税率による国民への軽減額は八千数百億円程度だ、そして、国民への給付カットや負担増など、財源確保は一兆円だということになるわけですよね。こうなると、消費税増税に加えて、国民は二重に踏んだり蹴ったりになるということになるんじゃないですか。
○佐藤政府参考人 繰り返しになりますけれども、一兆円ということについて、繰り返し、三つの基礎的なデータを比較したときに、消費税収をベースにするケース、国民経済計算をベースにするケース、家計調査をベースにするケース、それぞれ比べたときに、私どもとしては、それぞれ、特に家計調査あるいは国民経済計算においては、非常にカバレッジが小さいということは言えるんだろうということを申し上げたつもりでございますし、繰り返しでございますけれども、消費税収の方は、現に家計が負担している額そのものであるということの、ベースが極めて信頼性が高いという前提でございます。ただ、今後、百七十条第一号に基づきまして、二十八年度末までに歳入歳出両面にわたってしっかりと必要な財源を確保するということになります。その結果において、例えば、第二号の話でございますけれども、中間評価のようなときに、軽減税率を導入した、それに伴う財源を調達した、そういう新しい状況がどのような形で反映されているかということも恐らく重要な評価の一つのポイントになるんだろうと思います。その状況を見て考えるということで、それ以上でもそれ以下でもないということでございます。
○宮本(徹)委員 国民経済計算の〇・八兆円よりやや大きいという数と、消費の六割しか把握していない家計調査も含んでのこの一兆円という額の差というのは、一千数百億円にもなるわけですよ。大きいですよね、一千数百億の差というのは。例えば、今年度、介護報酬の最大の引き下げをやられました。そのことによって、全国各地で介護事業所の倒産というのは、恐らく皆さんの地元でもあったと思うんですよ。私の地元でもデイサービスの事業所、幾つも閉鎖がありました。このときに削減した税金というのは一千百三十億円なわけですね。ですから、この一千数百億円の違いというのは極めて大きいですよ。ですから、国民経済計算の数と家計調査をもとにした一兆円という差、これを合理的に説明できないまま物事を進めていくということは、私は許されないと思いますよ。このまま行ったら、消費税は増税、そして、この間議論ありましたけれども、簡素な給付的措置は廃止、そして軽減額を上回る社会保障の削減ないしは新たな負担増というトリプルパンチということになる可能性もあるというのが、この間のこの数字の問題の議論の到達点だということを指摘しておきたいと思いますので、改めて、国民経済計算との違いをちゃんと説明できるように、私は求めていきたいというふうに思います。ちょっと法案の文言についてお聞きしたいんです。先ほど主税局長が述べられました、法案では、軽減税率の財源について、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置などを講ずることにより、安定的な恒久財源を確保することとなっております。ちょっとお聞きしたいんですけれども、この二十八年度末までに確保するというふうになっているわけですけれども、これは、二〇一七年度予算案の段階では恒久財源が既に、皆さんの主張するのでいえば、一兆円確保されているということなのか。それとも、この間やられた法人税の先行減税、二年間の先行減税というのをやられて、三年目で税制中立だということをやられていますけれども、こういうやり方で先行減税的な財源の確保というのもこの文言の中には入っているんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。百七十条の第一号に書かれている趣旨でございますけれども、軽減税率導入に伴う安定的な恒久財源を二十八年度末に確保するということが、政府に対する義務という形になるわけでございます。恐らくそれは、二十九年度予算あるいは二十九年度税制改正の中でそれが具体化されていくということになるんだろうと思います。したがいまして、その中でしっかりと確保するということでございますので、軽減税率制度を例えば先行的に導入して、必要な恒久財源の確保を先送りするといったことは想定されていないということでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、法人税のときに行ったような先行減税的なやり方は、ないということを確認してよろしいですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。財源は、二十八年度末の段階で、歳出歳入を見直しながらしっかりと確保するということでございます。まさにそれを二十九年度予算、税制改正で示すということでございますから、それがどういう形になるかということについては、二十九年度予算ないしは税制改正の過程でしっかりとお示しをするということになるんだろうと思います。
○宮本(徹)委員 いや、今の答弁はよくわからないんですけれども、私が聞いているのは、先行減税的なものにはならないですよねということを聞いているんですけれども。
○佐藤政府参考人 今の時点では具体的なことは申し上げられません。いずれにしても、検討をして結果をお示しするということでございます。
○宮本(徹)委員 今の時点では具体的に言えないということは、先行減税的なものになる可能性もあるということでいいわけですね。確認します。
○佐藤政府参考人 いずれにしましても、二十八年度末の段階で、予算、税制改正等を通じまして満額一兆円を確保するということでございます。それについて、それをどういう方法によってなされるかということ次第だと思います。私どもとしては、満額一兆円を確保するということが頭にある検討をしっかりと進めていくということでございます。
○宮本(徹)委員 それは、満額一兆円を確保することを目指すけれども、満額一兆円が二〇一七年度で確保されているかどうかはわからない、一八年度からの満額一兆円は確保されているような税制改正になるかもわからない、こういう理解でよろしいわけですね。
○佐藤政府参考人 私どもの提案しております第一号の考え方というのは、軽減税率導入に伴います財源について、二十八年度末までにしっかりと安定的な恒久財源を確保するということで、一兆円ということで満額を確保するということでございます。それが、繰り返しでございますけれども、歳入歳出がどういう形になるかということの中身によりまして、そこはどういう形になるかということはしっかりとお示しをしなければならないというふうに思っているところでございます。
○宮本(徹)委員 何回聞いてもよくわからないんですけれども、ここは曖昧になっているという理解でいいのかなというふうに思います。それからもう一つ、文言についての関係でお伺いしたいんですけれども、安定的な恒久財源という言葉の意味がどういうものなのかなというのを確認したいんですけれども。昨年、与党税調の議論の中で、たばこ税の増税という話も報道の中ではありました。私たち、健康を守る対策としてたばこ税増税というのは、その対策としては賛成だということも表明してきておりますけれども、たばこ税増税の賛否は別にして、この税金の性格ということを考えたら、この法律で言う安定的な恒久財源というものには値しないのかなというふうに思います。喫煙率を見ても、一九九〇年は男性で五三%、直近は三二%。健康を考えて、吸う人はどんどん減っている。いいことだと思います。販売本数を見ても、この二十年で半減しているわけですよね。これからもどんどん減っていってほしいというふうに私は思っております。この間も何度かたばこ税を増税しましたけれども、増税したら、一旦税収はふえるけれども、その後漸減していくということが繰り返されております。だから、この事実を見ても、たばこ税というのはこの法律で言う安定的な恒久財源というのには当たらないという理解でいいんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。今後、二十八年度末に向けて検討していくということでございますので、個別具体的にどういう項目がそれに当たるかということは今後の検討にまつということでございますが、安定的な恒久財源というときに、例えば恒久的という場合は恐らく制度改正を伴うものだということでしょうし、安定的という場合には、通常頭に浮かぶのは、景気動向になるべく左右されないというふうなことが頭にあるんだろうと思いますけれども、いずれにしても、その辺の特性をもしっかり確認をしながら検討していく必要があろうと思っております。
○宮本(徹)委員 安定的というのは景気動向に左右されないんだということでありましたけれども、それだけだと、では、たばこ税はこの枠組みに入るということなんですね。本数はどんどん減っているわけですよ。私はとても安定的な税収とは言えないと思いますけれども、本数はどんどん減っている、毎年の収入、私もたばこ税のを見ましたけれども、増税しても漸減していくというのを繰り返していますよね。こういうのは安定的と言うんですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。軽減税率制度導入に伴う財源をしっかり確保するということでございますし、それが安定的で恒久的だということが宿題になるわけでございますので、それぞれの候補となる選択肢というものがあるとすれば、それぞれについての特性のチェックというふうになされていくんだろうと思います。たばこはどうかということについてもその時点でしっかりと、もしもそういうことが俎上に上るのであれば、その趣旨に合うかどうかということを検討していくというふうになるんだろうと思います。今はちょっと仮定の話は差し控えたいと思います。
○宮本(徹)委員 安定的で恒久財源に当たるかどうか、安定的かという角度で見るという御答弁でございました。先ほど、安定的というのは景気動向に左右されないということを言われましたけれども、景気動向に左右されない、あるいは左右される税目というのは何なんですか、具体的には。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。先ほど、安定的というものを考えるときに、例えば景気動向に左右されるかどうかという視点があるのではないかと一例として申し上げましたので、その安定的をどう捉えるかということは、まさに検討の過程でしっかりと概念規定をしていくというふうになるんだろうと思います。それで、どういう税目があるかということについても、その中で、我々としては、もしも法案を通していただければ、しっかりとした対応をしていくということになります。
○宮本(徹)委員 いや、今の答弁はおかしいですよ。法律として、法律の文言として安定的恒久財源を確保するとなっているのに、概念規定はこれからやっていくというのでは、法案審議にならないじゃないですか。例えばという一例だけおっしゃって、これが何なのかというのが全くわからない。これでは議論にならないと思いますよ。この問題は引き続き議論していきたいというふうに思います。続いて、たくさん質問通告して前回もできていないので、前に進みたいと思います。外形標準課税の問題についてお伺いします。消費税増税の一方で、今度の税制改正は、黒字の大企業は減税となる、外形標準課税の拡大ということで法人実効税率の引き下げが行われます。先週の委員会では、総務省から、赤字企業については一社当たり一千六百万の増税だということで、資本金ごとの負担増を示していただきました。きょうは、さらに詳しい資料を総務省に試算していただきました。配付資料にあるとおりです。大企業と中堅企業に分けて、課税所得ごとに外形標準課税の拡大でどういう影響が出るのか、総務省に、増税になるところと、あと一番減税になるところを紹介していただきたいと思います。
○時澤政府参考人 お答えいたします。御指摘のありました今回の試算でございますけれども、これは、今回の外形標準課税の拡大によります一社当たりの負担増減につきまして、資本階級別及び所得階級別の課税標準で、平成二十五年度の課税実績をもとに機械的に試算をしたものでございます。平均で負担増となりますのは、欠損法人につきまして、資本金一億円超十億円以下の約四千八百社で平均三百万円の負担増、資本金十億円超の約千六百社で平均五千五百万円の負担増。利益法人につきまして、資本金一億円超十億円以下で所得一億円以下の約六千社で平均三百万円の負担増、資本金十億円超で、所得一億円以下は約八百社で平均千七百万円の負担増、所得一億円超十億円以下は約千五百社で平均二千九百万円の負担増となっております。一方、負担減となりますのは、資本金一億円超十億円以下で、所得一億円超十億円以下の約五千三百社で平均若干の負担減、所得十億円超は約千三百社で平均三千四百万円の負担減、資本金十億円超で所得十億円超の約二千社で平均六千七百万円の負担減というふうになっているものでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、資本金一億から十億円の中堅企業の場合でも、黒字でも課税所得が一億円ぐらいのところまでは増税となる。資本金十億円を超える大企業の場合は、赤字企業はもちろん、課税所得十億円ぐらいのところまでは平均すれば増税となるというのが今度の税制改正の中身です。ですから、本当にこれで得するのは、所得が十億円を超すところに集中しているわけですよね。とりわけ大企業の部分は、ここの二千社というのは、平均で六千七百万円の減税となるわけですよね。赤字企業や課税所得が小さいところは軒並み負担増になって、一部の大企業、内部留保をため続けている大企業のところに減税が集中するというのがこの総務省の資料でも明らかだというふうに思います。改めて麻生大臣にお伺いしますけれども、この資料を見ていただいて、外形標準課税の拡大で法人実効税率を引き下げても、投資や賃上げに回るということは、そういう説明はおかしいということになるんじゃないですか。
○麻生国務大臣 これは宮本先生、たびたび御説明をしておりますけれども、この外形標準課税に限らず、赤字であろうと黒字であろうと、企業が持っております内部留保というものの比率がこの数年間の間に極めて高いものにはね上がっておるという実態というものがあって、去年の資料はまだありませんけれども、昨年、一昨年で約五十兆、正確には四十九兆何千億ということになっていますが、そのもの自体が私どもから見ると、これは税引き後の話ですから、税引き後その金がそこにずっと内部留保として残って、それが企業の中において賃金とか賞与とか、またその他の払うべきもの、例えば配当とか設備投資とかいうところに回らないという問題の方が一番問題なんだ。私どもはこれが一番問題なんだとずっと申し上げておりまして、労働分配率、組合用語かもしれませんが、労働分配率というものが下げ続けているというところこそが問題なんだ、私どもは基本的にはそう思っておりまして、これこそ企業としてもうちょっとちゃんとされるべきじゃないですかということをいろいろな会合で申し上げ続けておるというのが実態なんだと思います。この外形標準課税の話につきましては、今の総務省が出された資料のとおりなんだと思いますが、私どもは、こういったものをきちんとやっていただいて、なおかつそういった方々がきちんと配当なりなんなりに回していただくようにしていただかないかぬというのが一番の基本的な考え方であります。
○宮本(徹)委員 全く今のは説明になっていないと思うんですけれどもね。一方では、黒字の大企業に対しては、内部留保をためている、だから実効税率を引き下げるから賃金に回せ、投資に回せ、こう言っておきながら、赤字企業に対しては、増税しておきながら、賃上げに回せ、投資に回せと。全く説明になっていないと思うんですよ、今の御説明というのは。赤字企業にこういう形で一部の黒字企業の減税のために増税していくというのは、麻生さん自身が今説明できなかったように、どう考えても賃上げや投資が進むということにはならない。朝も何かの政策について愚策だというお話もありましたけれども、本当に、法人実効税率を引き下げるために外形標準課税を拡大していくというのは、私は愚策だと。これで賃上げ、投資が進むどころか、賃下げ、リストラの誘因になりかねないということを指摘しまして、質問を終わります