2016年2月24日 衆院財務金融委員会提出資料① 『可処分所得は30年前の水準』
2016年2月24日 衆院財務金融委員会提出資料② 『個人所得課税及び社会保険料の実効負担率』
2016年2月24日 衆院財務金融委員会提出資料③ 『年間収入にしめる消費税負担率』
2016年2月24日 衆院財務金融委員会提出資料④ 『税と社会保険料の負担率』

日本共産党の宮本徹議員は24日、衆院財務金融委員会で、政府が計画する来年4月からの消費税率10%への増税について、個人消費の落ち込みが続く中で強行すれば日本経済が重大な事態に陥ると指摘し、安倍晋三首相の認識をただしました。
宮本氏は、個人消費の落ち込みは、2014年4月の消費税率8%増税直後と比べても深刻な状況であることを指摘。勤労者世帯の実質可処分所得が30年前より低くなっていることもあげ、「個人消費の落ち込みにしっかりと目を向け、増税を中止すべきだ」と迫りました。
安倍首相は「消費者の購買意欲が持ち直し、個人消費も持ち直していくことが期待される」と願望を述べることしかできませんでした。
宮本氏は、安倍首相が14年に個人消費の低下の理由に消費税率10%増税を延期したことを指摘し、「(今回の)増税実施の判断で、個人消費を脇においているのか」と問うと、首相は「当然、個人消費は重視している」などと答えました。
宮本氏が「『個人消費を重視する』というなら、消費税率10%増税は中止すべきだ」とくり返し求めたのに対し、安倍首相は「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が起こらない限り実施する」と述べるだけで、あくまで消費税増税に固執する態度を示しました。
宮本氏は、消費税導入以降、低所得者の収入に占める税と社会保険料の負担率が倍近くになっていることを指摘し、能力に応じて負担するという応能原則での税制改正を強く求めました。

以上2016年2月25日付赤旗日刊紙より抜粋

≪190国会 財務金融委員会第6号 2016年2月24日 議事録≫

○宮下委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。きょうは消費税増税の問題に絞って質問させていただきます。先週発表された十―十二のGDPは二期ぶりにマイナスとなりました。とりわけ、家計最終消費支出は実質マイナス〇・九ポイント、民間最終消費支出も実質三百四兆五千億ということで、八%増税をやった直後の二〇一四年の四―六の三百五兆八千億をも下回りました。そして、家計調査も出されましたけれども、二年連続で減少ということになりました。日本経済の状況からいっても、国民の暮らしの状況からいっても、消費税増税はおよそ許されない状況にあると私たちは考えております。きょう朝、毎日新聞を見ましたら、内閣官房参与、安倍政権の経済政策のブレーンの本田悦朗さんのインタビューが出ておりまして、こう書かれております。「個人的な考えだが、二〇一七年四月の消費税率一〇%への引き上げは必ず凍結すべきだと確信している。客観情勢として、消費増税ができる経済環境に全くなっていないからだ。」「企業が過去の利益の蓄積である内部留保をため込み、家計も貯蓄に励んでいる状況で、政府まで増税すれば、経済が縮小してデフレに逆戻りしてしまう。」と書かれております。総理は、ちょっとこれは朝読んだものですからお聞きしますけれども、こういうお話は本田悦朗さんから伺っているんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 本田参与は消費税の引き上げに大変慎重でありますし、そういう話は本田参与から私は何回か伺っております。
○宮本(徹)委員 お話を伺っているということですけれども、では、総理自身の御認識としてお伺いしたいんですけれども、二〇一四年十一月十八日に総理は記者会見をやられて、消費税増税を延期されました。そのときよりも現在の個人消費の落ち込みは深刻だ、こういう認識はお持ちでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 増税延期を判断した時期と現在について消費の動向を比べますと、昨年十―十二月期において、記録的な暖冬の影響などを背景に二期ぶりにマイナスとなりましたが、一昨年の七―九期は、その前期に消費税率引き上げに伴う反動減等により五%の大きなマイナスを経た後、回復が見られなかった状況であり、足元の状況とは大きく異なると考えております。また、最近の雇用・所得環境を当時と比較すると、名目雇用者報酬は一・九%の伸びであり、失業率は〇・三ポイントの改善であり、また、有効求人倍率は上昇し、民間設備投資額もふえるなど、民需主導の経済の好循環の確立に向けて着実に前進をしている。こうした中で、消費者マインドが持ち直し、個人消費についても持ち直していくことが期待される、このように考えております。
○宮本(徹)委員 マインドが持ち直されることを期待するという、期待は語られるわけですけれども、実際は、反動減の落ち込みよりも、個人消費は縮小しているわけですよ。連続して縮小しているというのが今の事態で、やはり認識が非常に甘いと言わざるを得ないです。前回増税したときは一九九七年でした。そのときは、長引く大不況の引き金を引いたわけですよね。このときは、その他の負担と合わせて九兆円の負担増と言われました。今回は、連続増税の負担増というのは十三兆円にもなります。きょう資料をお配りしましたけれども、そのときと比べて勤労者世帯の可処分所得はどうなっているのかというのを載せさせていただきました。二人以上の勤労者世帯で見ると、今の可処分所得の水準というのは、一九八〇年代後半の水準です。これは消費者物価を加味した実質で見ると、三十年前、一九八五年の段階よりも落ちているというのが、今の可処分所得の状況なんですね。これは消費税が入っていないデータですけれども、これに消費税三%が乗って、さらに二%引き上げると、一世帯当たり六万二千円以上の増税ということになったら、個人消費に極めて深刻な影響を及ぼすことは火を見るよりも明らかだと思うんですよね。今の個人消費の落ち込みにしっかりと目を向けて、深刻な認識を持って、増税は中止すべきじゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 このたびの消費税の引き上げは、五から八に上げる際もそうでありますが、一〇%への引き上げも、社会保障の充実のためであり、そして、世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくために必要なものでございます。そして、同時に、私たちが財政健全化を進めていくことは大きな責任であろう、こう考えているわけでありまして、現在の状況におきまして、我々は、この世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していく上においても、来年の消費税の引き上げを行っていく考えに変わりはございません。
○宮本(徹)委員 税収が減るという事態になったら、社会保障制度もくそも何もないわけですよね。そして、前回の増税延期の判断のときの総理の記者会見、私も改めて読ませていただきました。そのときも総理は、雇用はふえています、有効求人倍率も過去最高だ、給料も平均二%以上上がっていると言った上で、だが、私は何よりも個人消費の動向を注視してまいりましたと当時おっしゃっています。そう言って、消費税増税後、GDP速報値で個人消費が二期連続で下がっていることをもって、増税の延期を発表したわけですよね。ところが、今回は、リーマン・ショックや大震災のような事態がなければやるんだということを言い続けているわけですけれども、ということは、もう個人消費はどうでもいい、増税するかどうかという判断のときには個人消費は脇に置いてしまうということなんですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、個人消費は、当然、我々重視をしている、私も重視をしているのでございますが、先ほども申し上げましたように、今後、個人消費が持ち直していくことが期待される、このように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 個人消費を重視していたら、およそ今の段階でできるんだと言えるような状況じゃないと思うんですよね。ちなみに聞きますけれども、一―三のGDP速報は五月中旬に発表されます。個人消費が二期連続で下がった場合は、先ほど個人消費は重視されるとおっしゃいましたけれども、消費税増税の中止の判断はされるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 来年の四月の消費税一〇%への引き上げは、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施をしていく考えであります。なお、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態とは、単に個人消費の落ち込みということのみではなくて、その背景に、世界経済の大幅な収縮といったことが実際に起こっているかどうかということについて、専門的な見地から行われる分析も踏まえて、そのときの政治判断において決められる事項であります。いずれにせよ、一〇%への引き上げを確実に行うための経済状況をつくり出すという決意のもと、個人消費の動向も注視をしつつ、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 よくわからないんですね。個人消費は重視している、だけれども、単に個人消費だけではなくて世界経済の収縮が起きているかどうかというふうにおっしゃるわけですけれども、世界経済の収縮が余り起きていなければ、個人消費がどれだけ落ち込んでも消費税増税中止の判断をすることはないということですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、冷静に分析をしていく必要があると思いますが、もちろん、日本経済自体が危うくなるようなことは、そういう道はとってはならないのは当然のことでありますが、我々もその中においてしっかりとこの経済の現下の状況についても注視しつつ適切に対応して、適切というのは消費税を上げる、上げないということではなくて、経済財政運営において適切に対応していかなければならない、こう思っております。その上におきましても、補正予算のしっかりとした着実な実施、そして、早期のこの本予算の成立等において、しっかりと消費を下支えしていかなければならない、こう考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 日本経済が危うくなる道をとってはならないと言うんでしたら、それは、この個人消費の冷え込みの状況を見たら、もう消費税増税はきっぱり中止、こういう判断を私はすべきときだと思います。総理は、この間繰り返し、税収が減ることになったら元も子もなくなるということをおっしゃるわけですけれども、本当に消費税増税が個人消費の収縮を今もたらしているわけですよね。GDPの六割を占める個人消費が収縮していくということ、これを重ねていったら、文字どおり、税収はふえない、減っていくということになるじゃありませんか。そういう認識はございませんか。
○安倍内閣総理大臣 我々、この三年間、順調に税収はふえているわけでございまして、今後もこの状況を維持していきたい、このように考えております。
○宮本(徹)委員 三年間に税収が順調にふえていると言っても、その中心部分は消費税増税でふやしたわけですよ。しかも、この間の所得税にしろ法人税にしろ、税収がふえてきたものというのは、大きな部分というのは、株高、円安、差益によるものというのが多いわけですよね。株が今どんどん下がっている、こういう状況の中で、税収が順調にふえていくという状況ではおよそないというのは言えると思います。一九九七年の消費税増税のときも、そのときは法人税減税や所得税の最高税率の引き下げもやりましたけれども、同時に景気の落ち込みもあって、税収は落ち込み続けたわけですよね。この過ちを繰り返しては絶対にいけない。税収を考えても、景気にとっても悪影響を与える消費税増税はすべきでないということを私は重ねて申し上げておきたいと思います。あわせて、消費税のもう一つ、逆進性の問題についてもお伺いしたいというふうに思います。消費税導入以降、所得税、住民税は累進性が緩和されてきました。そして、逆進性を有している社会保険料はどんどん引き上げられるということになりました。その結果、個人所得課税と社会保険料についてこの四半世紀でどうなったのかということで、資料の二枚目に、これは政府の税制調査会のまとめのグラフから二本だけ抜かせていただきましたけれども、赤色が消費税が導入される前、青色が今日の個人所得課税と社会保険料の負担率ということになっています。低所得者は大幅に負担率が上がるということになっております。その一方で、高額所得者は負担率が大きく下がっている。これが政府税調の資料に出されておりました。それを受けて政府税調は、この間、所得再分配の機能が低下している、所得再分配の機能の回復を図り、経済力に応じた公平な負担を実現するための見直しを行う必要がある、こう書かれておりました。この問題意識については、総理は共有されているんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 消費税には、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、勤労世代など特定の者への負担が集中しないといった特性があり、年々増加する社会保障費の財源としてふさわしいと考えております。来年四月の消費税率引き上げについては、予定どおり行う考えでございます。また、先ほどおっしゃった、消費税を引き上げて税収が十分に上がらなかったではないかという御批判がございましたが、これについては、我々、消費税引き上げ後、消費税収は五・二兆円増加したほか、所得税収は一・三兆円、うち給与所得に係る税収も〇・五兆円ふえ、法人税収が〇・五兆円ふえているということは申し上げておきたいと思います。
○宮本(徹)委員 私が聞いたことにお答えいただいていないんですけれども、政府税調が昨年の十一月にまとめられたこの冊子の中で言われている、この間、所得課税と社会保険料について所得再分配の機能が低下した、そして、所得再分配の機能の回復を図って、経済力に応じた公平な負担を実現するための見直しを行う必要があるということが書かれているわけですね。この問題意識を共有されているのかということをお伺いしたんです。
○安倍内閣総理大臣 政府税調が昨年十一月に取りまとめた中間的な論点整理においては、個人所得課税及び資産課税が果たす再分配機能の重要性が増しているとの指摘がなされていることは承知をしております。安倍内閣においては、税制について、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引き上げ、給与所得控除の見直し、金融所得課税の見直し、相続税の最高税率の引き上げ等を講じ、逐次実施をしているところであります。まずはこうした見直しの影響を見ていく必要があると考えております。その上で、経済がグローバル化する中で、高所得者が高額の税負担を避けて資金や人材が流出するといった事態にも十分配慮し、議論を進めていく必要があると思います。政府税制調査会においては、中間的な論点整理を踏まえ、引き続き議論が行われていくものと承知をしておりますが、いずれにせよ、税制の再分配機能のあり方については、経済社会の構造変化も踏まえながら、引き続きよく考えていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 政府税制調査会が所得再分配機能の回復と言っているのは承知しているというお話でありました。これは個人所得課税と社会保険料についてのグラフなわけですけれども、資料の三枚目は、消費税の負担率が低所得者、高所得者でどうなっていくのかというのを改めて配付させていただきました。この二枚目のグラフと三枚目のグラフを足したらどうなるのかということを私は考えなきゃいけないと思うんですね。足すためのいい資料はないかと思ったんですけれども、なかなかいい資料がないので、家計調査、六割しか把握していないと私もさんざんこの場で言ってきましたけれども、家計調査をもとにしたグラフを、最後、四ページ目につけさせていただきました。これは、所得階級別、五分位階級別ですね、第一分位と第五分位、社会保険料と個人所得課税、そして消費税も含めた負担率がどうなったのか。消費税増税前、最も所得が少ない第一分位では一〇・七五%だったのが、二〇一五年では一八・一九%と倍近くにまでなっております。その一方で、第五分位、所得の高い方のところでは、一九八八年一九・四九%だったのが、二〇一五年二五・一七ということで、こちらの方が上がり方は比較的緩やかになっています。上がり方でいえば、低所得者ほど、消費税を増税したこともあり、そして社会保険料が上がってきたこともあり、上がっているわけですよね。消費税を一〇%にしたら、これは見ていただければわかりますけれども、低所得者の負担率というのは、消費税増税前の最も収入がある方の負担率と同じところまで引き上がるということになるわけですよね。一方で、税の所得再分配の機能が低下している、所得再分配の機能を回復しなきゃいけないと言いながら、所得再分配に最も逆行する消費税を増税するというのは、極めてちぐはぐですよ。間違っているんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 これは、先ほど答弁をさせていただきましたが、消費税には、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定をしている、そして勤労世代など特定の者への負担が集中をしないという特性があるわけでありますが、同時に、消費税は、まさに社会保障の充実のためにこれは使われるわけでありまして、ひとしくその観点からも負担していただこうということでございまして、年々増加する社会保障費の財源としてふさわしいと考えております。
○宮本(徹)委員 社会保障というのは経済的弱者や低所得者を支えるためのものなんですから、そこに最も負担が重い消費税で財源を賄うというのは、私は最もふさわしくないと思いますよ。この間、法人税は累次の減税が重ねられてきました。高額所得者の減税も歴史的に見れば相当行われてきているわけですよね。やはり、所得再分配機能を高めなければいけない、社会保障を支えていくんだということを考えたら、力に応じた負担という税制改革こそ必要であって、低所得者ほど負担が重い消費税増税は絶対やってはならない、このことを強く申し述べまして、私の質問を終わります。