自衛隊上級幹部の最高教育機関である統合幕僚学校が、憲法9条の制約から政府が従来認めてこなかった集団的自衛権の行使容認や武器輸出などについて、解禁するよう提言する報告書をまとめていたことが分かりました。日本共産党の宮本徹議員が19日の衆院財務金融委員会で、報告書を示して追及しました。
報告書名は「諸外国の最新の軍事戦略の動向に関する調査・研究」(2012年3月、全594ページ)。「将来の防衛諸計画策定の資とすることを目的」に作成されたものとされ、自衛隊トップの統合幕僚長にあげられています。防衛省が宮本議員へ提出しました。
報告書は、米国や中国など全7カ国の軍事動向に関する記述とあわせ、「国家レベルの処置が必要な事項」などと提言を列記。「米国の戦略…を補完できるようになるためには、集団的自衛権を認めることが必要不可欠」「『国家緊急事態法』を整備し、有事において、防衛省が他省庁等を活用して任務を遂行できる態勢を整えることが望まれる」などと、憲法解釈や法体系に踏み込んで軍事政策の変更を要求しています。
宮本氏は、安倍政権が進めてきた「戦争できる国」づくりの裏に自衛隊制服組の要求がある可能性を指摘。「シビリアンコントロール(文民統制)からいって大問題だ」と文書の性格を追及しました。若宮健嗣防衛副大臣は「各研究員個人が独自かつ全く自由な立場で分析・論述したものだ」と釈明しました。
宮本氏は、報告書全体にわたって「国家レベルの対応」と「防衛省・自衛隊への提言」が区別して記述されていることをあげ、「(上からの)指示なしにはできない研究のまとめ方だ」と指摘。若宮氏が「当時の政務三役(大臣・副大臣・政務官)が直接関わっているということではない」と弁明したのに対し、宮本氏は「政治家が知らず、まさに制服組がやっていたことになる。こうした暴走は絶対に許されない」と強調しました。

以上2016年4月20日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第190回 衆院財務金融委員会第13号 2016年4月19日 議事録≫

○宮下委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず初めに、熊本、大分の大震災で亡くなられた御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。そして、被災された皆さんにお見舞いを申し上げるものでございます。質問に入ります。国際協力銀行法の改正案ですが、本法案は、さらなるリスクを伴う海外インフラ事業向けの貸し付けを行えるようにするものになっております。現在課されている償還確実性の要件を外したら、特別業務勘定が赤字になることもあるんじゃないでしょうか。
○麻生国務大臣 特別業務におきまして、JBICによります積極的なリスク提供を促すという観点から、案件ごとに償還確実性原則ということは免除するということにいたしております。しかしながら、JBICの財務の健全性というものを確保するという観点からは、特別業務全体として収支相償原則を求めるということにいたしておりますし、案件ごとに信用リスクに応じた適切な金利などの条件を設定するということも投融資の要件とさせていただいております。したがいまして、このような特別業務全体として大幅な赤字というものが発生することがないよう、制度的な対応を行っているところであります。実際の業務運営におきましても、JBICの財務の健全性というものが損なわれることがないよう、政府としてもしっかり監督をしてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 麻生大臣の答弁でも、大幅な赤字になることがないようというふうにおっしゃるわけで、逆に言えば、大幅じゃない赤字にはなり得る、そういうリスクを伴うものだというふうに思います。私は、やはり原資は国民の財産ですから、こういう国民の財産をリスクにさらしていくことは認められないというふうに考えています。そして、この特別業務勘定が何に使われるのかということですが、政府のインフラシステム輸出戦略では、二〇二〇年度の海外受注額の将来推計は、エネルギー分野で九兆円、原子力分野では二兆円、こう推計されておりますが、原発輸出に当たってこの特別業務勘定は使われるんじゃないですか。
○坂井副大臣 今般の機能強化は、質の高いインフラパートナーシップ等を踏まえ、海外におけるインフラ事業に対してJBICがより積極的にリスクマネーを供給できるようにすることを目的としたものということでございまして、案件に関しましては海外のインフラ事業ということでございまして、特定の案件を念頭に置いたものではないということは申し上げたいと思います。
○宮本(徹)委員 つまり、特定の案件は念頭にはないとは言いますけれども、排除はされていないということであります。ですから、原発は一旦事故が起きれば巨大なリスクを伴うものでありますが、結局、これについてもこの特別業務勘定でやっていくことが可能な仕掛けになっているわけですよ。私は、福島の事故原因が究明もされていないもとで、本当にこういう枠組みまで使って原発輸出を進めていくことは到底認められないということを重ねて申し述べておきたいと思います。そして、政府のインフラシステム輸出戦略は、「公的金融による支援強化」を掲げ、その中で、「公的信用付与の条件の一つとなる原子力関連の十分な安全確認制度を早急に整備」、こう記されております。しかし、日本の原子力規制委員会は、輸出する原発については安全の確認にはタッチしないということになっていると思います。総理は、この間の国会の答弁ではこう言っています。安全基準自体が我が国の安全基準と同様のものであるかをチェックして、そうでないとなれば輸出しない、こう言っているわけですが、この規制基準自体は、事故原因が究明されていないもとで安全とは言えないということを先般も大津地裁から厳しく批判されたわけです。もし仮に、ある国が我が国と同様の安全基準をつくったとして、この安全基準が守られているかどうかというのは誰がどうやって確認するんでしょうか。経産省、お願いします。
○星野大臣政務官 宮本委員にお答えいたします。電力需要が急増する新興国を初め、地球温暖化対策から原発建設を進める先進国に至るまで、事故後においても我が国の原子力技術に対する期待の声は寄せられております。相手国の意向や地理的条件を踏まえながら、安全性や信頼性にすぐれた我が国の技術やノウハウを提供していくことは我が国の責務でありまして、世界からの期待でもあります。こうした国際協力につきましては、我が国としては、福島の教訓を世界と共有し、安全最優先で取り組んでまいります。他方で、原発の安全確保は原発立地国が行うことが国際的に確立をした考え方でありまして、相手国の体制が整備されることが極めて重要であります。このため、経済産業省としては、相手国に対して日本の経験を十分に説明した上で、安全最優先で臨むという相手国の姿勢を確認し、また、相手国などに対しては必要に応じて人材育成や制度整備面での支援等を行うこととしております。その上で、公的信用を付与する際には、内閣府が関係省庁の協力のもとに、昨年十月に原子力関係閣僚会議において定められた安全配慮等確認を実施いたします。具体的には、IAEAレビュー等を通じて、安全最優先の姿勢が相手国において現に措置されていることなどを確認いたします。これにより、福島の教訓を踏まえた安全最優先の考え方が担保されていると考えております。以上です。
○宮本(徹)委員 いや、結局、内閣府でやるという話ですけれども、内閣府は、このインフラシステム輸出戦略でも原発をどんどん輸出しようという、ある意味推進機関なわけですよ。福島の事故の教訓の一つというのは、規制機関と推進機関を分けるということでもあったと思うんですよ。規制機関はこの問題ではかかわらない、推進機関の側が相手国に安全を守っているかどうかというのを教えていくという話になっているわけですよ。全く福島の事故の教訓を踏まえているものとは言えないじゃないですか。私は、こういう形で進めていくのは大変問題だと思います。福島の事故の教訓を生かすと言うんだったら、原発輸出などせず、原発の危険性こそ訴えていくのが日本政府の役割だということを厳しく指摘しておきたいと思います。経産省、きょうはここで結構ですので、ありがとうございました。次に、武器輸出について伺います。この間、JBICを活用して武器輸出を検討するということが何度もメディアで報道されております。安倍政権が積極的な武器輸出政策に転換したもとで、防衛省の防衛生産・技術基盤戦略は武器輸出についてこう言っています。財政投融資などを活用した支援策を検討し、必要な措置を講じる、こう言っているわけです。そして、一昨年ですか、防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会というのが始まり、この検討過程の中では、「JBICが行う融資スキーム」というポンチ絵の資料まで出されて検討がされてきました。JBICにお伺いしますけれども、この間、防衛省から武器輸出の問題でどんな働きかけがあったんでしょうか。そして、防衛省の検討会の資料の中でJBICが名指しされていることについて、JBICとしての見解をお伺いしたいと思います。
○渡辺参考人 お答え申し上げます。今委員御指摘の防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会を開催するということで、そこに出席してほしいということを防衛省の方から御依頼がありました。それを受けまして、一般的な金融スキーム全体について御紹介をするということを趣旨として参加をさせていただいたところであります。それから、防衛省の書類の中、あるいは今御指摘の書類の中にJBICが名指しされていることについて、私の方から特に見解を申し述べる立場にはないと思っております。
○宮本(徹)委員 見解を申し述べる立場にないというふうにおっしゃいますので、法律に沿って麻生大臣にお伺いしたいと思いますが、JBIC法の第一条では、先ほど坂井副大臣からも紹介がありましたけれども、JBICの目的が書かれております。「我が国及び国際経済社会の健全な発展に寄与する」という目的で、四つの分野での金融業務が書かれているわけですね。一つは資源の開発、確保だ、二つ目に我が国の産業の国際競争力の維持向上、三つ目は地球環境の保全、四つ目に国際金融秩序の混乱の防止ということになっています。私は、この四つの目的に武器輸出というのはどれも該当しないというふうに思いますが、これは該当し得るものがあるというふうに大臣はお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 防衛装備の移転については、これまでJBICが支援をしたという実績はありません。その上で、株式会社国際協力銀行法上、JBICは、日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、また、日本の産業の国際競争力の維持及び向上、そして、地球温暖化の防止などの地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、また、国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処をもって、日本及び国際経済社会の健全な発展に寄与することを目的としているとされております。したがいまして、JBICによる支援の可否というものにつきましては、この上記の目的に沿った支援であるかどうかということを個々の案件ごとに、これはケース・バイ・ケースで判断するということになるんだと思いますので、お尋ねの点につきましては、これは一概に申し上げることは今できないと思っております。
○宮本(徹)委員 おかしな答弁ですね。ケース・バイ・ケースといったって、武器輸出が国際金融秩序の混乱の防止に当たりますか。当たらないですよ。地球環境の保全に当たりますか、資源の開発、確保に当たりますか。当たらないんじゃないですか。大臣、もう一度お答えください。
○麻生国務大臣 重ねて申し上げるようですけれども、一概に申し上げることはできないと申し上げております。
○宮本(徹)委員 私は、どう考えても当たらないというふうに思いますが、一概に当たらないということになれば、唯一読み得るというふうに考えるとしたら、国際競争力の維持向上、武器輸出で国際競争力を高めていくんだということを選択しない限り、これは当たらないというふうに思います。私は、武器輸出で国際競争力を高めていこうという考え方というのは、死の商人大国を目指そうということで、こういう道を選んでは絶対ならないと思いますよ。かつて鈴木善幸元首相が、「NHKスペシャル」の紹介では、イランやアメリカから武器輸出の要請があったときに断った。そのときの側近の証言がテレビで流れておりましたけれども、鈴木善幸元首相、こう言っていたそうですよ。「戦争が起きて武器が売れるといいなと思うような産業界の人をつくりたくない」と。私は、これは非常に自然なまともな考え方だと思います。軍事産業の国際競争力の維持向上、こういうのを目指すというのは、国の進む方向として私は間違っているというふうに思いますが、大臣はそう思いませんか。
○麻生国務大臣 宮本先生の御見解としてはわかりました。今、私の立場は、先ほど申し上げているとおりです。
○宮本(徹)委員 武器輸出三原則がかつてあったときは、日本は国連の中でも武器の管理だとか武器の規制ではリーダーの役割を発揮してきたというふうに思います。私は、憲法九条の精神を生かして、国際的な武器の規制、このことこそ日本政府がやるべき仕事だと思います。具体的な案件として経団連が支援を求めているのが、日本が今受注競争をしているオーストラリアへの潜水艦輸出についての支援です。昨年の九月の経団連の防衛産業政策の実行に向けた提言、この中では、オーストラリアへの潜水艦の輸出について、官民の役割やリスク分担を定めた仕組みの構築、政府による資金支援など広範な支援体制などを目指すべきである、こういうふうに書かれております。防衛省にお伺いしますが、このオーストラリアの潜水艦の案件で、JBICの活用というのはあり得るんでしょうか。
○若宮副大臣 お答えさせていただきます。防衛省といたしましては、防衛装備や技術協力につきまして、JBIC等を含みます公的金融の活用につきましては、現時点で具体的な検討というのは行っておりません。また、もちろん、何ら方針を決定しているものでもございません。私ども防衛省といたしましては、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持をした上で、防衛装備移転の三原則に基づきまして、防衛装備の技術移転、厳正にかつ慎重に対処していくことを当然だというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 方針がないと言いながら、実際はJBICの活用の検討を大枠としてはしてきているわけですよ。JBICにもお伺いしますけれども、この間、防衛省にも呼ばれたというお話でしたけれども、武器輸出のスキームについての検討というのは内部でやられているんでしょうか。
○渡辺参考人 お答え申し上げます。JBIC当行といたしまして、武器輸出のスキームについて検討しているという事実はございません。
○宮本(徹)委員 検討している事実はないということですから、私からは、ぜひ憲法九条の精神にのっとって、今後もその立場は貫いていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。そこで、この武器輸出三原則を安倍政権のもとで大きく変えて、防衛装備移転三原則で武器輸出ができるようになったわけですが、この政策変更はどこから出てきたのか。一つは、経団連が長年求めてきたわけであります。もう一つは、自衛隊の制服組が求めてきたのではないのかということであります。先週メディアで、統合幕僚学校の研究報告の中で、政府の政策変更を求めるさまざまな提言が出ていたことが報じられました。私もその資料を昨日お昼にいただきました。六百ページぐらいある報告書です。タイトルは、「平成二十三年度指定研究 「諸外国の最新の軍事戦略の動向に関する調査・研究」研究成果 平成二十四年三月三十日 統合幕僚学校」というふうになっております。この中身は、基礎研究と発展研究に分かれております。発展研究の方は、それぞれの章ごとに執筆者によって提言がつけられております。「ア 国家レベルの処置が望まれる事項」、「イ 防衛省・自衛隊への提言」とあります。この中身を見て私も大変驚いたんですが、「国家レベルの処置が望まれる事項」に書かれているものを幾つか紹介します。我が国においては、武器輸出三原則及び集団的自衛権の行使に関する憲法解釈を背景として、他国との間における装備品の共同開発、共同保有、共同運用、基地の共同運用等の防衛協力は大きな制約を受けている、国家として、これら他国との防衛協力の推進を前提とし、武器輸出三原則等及び集団的自衛権の行使についての検討が望まれる。これは安倍政権以前の話ですからね。ほかの方も、この集団的自衛権の問題、多くの方が提言をされています。日米共同協力の実効性を確保するために集団的自衛権の行使の容認が求められる、あるいは、我が国においても装備の国際共同開発に積極的に参画していくことが求められるということなんです。ほかにも、こういう提言もあります。我が国において、国家緊急事態法を整備し、有事において防衛省が他省庁などを活用して任務に遂行できる体制を整えることが望まれる。さらに、こういう提言もありました。米軍の東日本大震災における支援により、日本国民の日米同盟に対する信頼は最高潮となっているものと思われる。これを契機として安全保障の重要性を国民に周知徹底する必要がある。国民全体の安全保障観を確立するためには、まず公教育における周知に取り組むことが考えられる。一九七〇年から八〇年代のような盲目的戦争反対、成田闘争の正当化等、国策妨害を教育するのではなく、特定の思想、政党、意見に左右されない国際的視野に立った、北東アジア地域の情勢、日本の防衛について考える機会を提供することが望まれる。教育内容にまで口を挟む提言を出しております。もっといろいろたくさんあって紹介し切れないわけですが、これが出ているのは安倍政権が生まれる前ですよ、制服組の皆さんが、憲法解釈の変更や政府の基本政策の変更、さらには教育内容の変更まで国に対して求める提言を出していた。そしてその後、安倍政権のもとで一部実現されるということになったんですが、私は、シビリアンコントロールからいって大問題だというふうに思います。防衛省にお伺いしますけれども、この統合幕僚学校の研究というのは、誰の指示で、何の目的で行った研究なんですか。
○若宮副大臣 今委員が御指摘になりました資料につきましては、また、この統合幕僚学校というものの存在につきまして、概括的にちょっと御説明申し上げたいと思っております。まず、自衛隊の統合運用に関します知識、それからまた技能を習得させるための教育訓練を行うとともに、基本的な調査研究を行うことを目的といたしております。これが統合幕僚監部の中に設置されている統合幕僚学校でございます。この学校におきましては、平素より、その所掌事務の一環といたしまして、さまざまな研究を行っております。いろいろ今幾つか御案内になりましたけれども、それ以外にもさまざまな分野、国際政治含め、あるいは国内の情勢含め、さまざまな事態に対応することも想定して不断の研究を重ねていかなければいけないだろうということで、勉強しているところでございます。御指摘の文書につきましては、平成二十四年の三月に取りまとめられたものであるということは承知をいたしておりますが、この文書の肝心なのは冒頭の部分でございまして、委員も多分お読みになられているとは思いますが、当該調査研究の成果文書については、同文書にも記載されておりますが、オープンソース、これは誰でも一般において入手可能な公刊や公開資料をもとにいたしまして、統合学校の各研究員がそれぞれ個人の独自かつ自由な立場で分析、論述、あるいは論文として出したものもあろうかと思いますけれども、そうしたものでありまして、さらに、これは私ども政府とかあるいは防衛省の全体としての見解を示すものではないといった性格の文書になります。統合学校の各研究員が、これは今申しましたけれども、独自かつ全く自由な立場から、さまざまな観点の角度から、こういったケースはどうなるんだろうとか、こういった場合はどうなるんだろうかということを行ったものであるということでございまして、御理解いただければと思っております。
○宮本(徹)委員 問題は、これは大学の研究者が研究している話じゃないわけですよ。国民の税金を使って、任務としてやられているわけですよ。本件は「平成二十三年度統合運用に係る研究の指針について(通達)統幕計第六四号」に基づき行ったものだというふうに書いてあります。将来の防衛諸計画策定の資とすることを目的として統合幕僚長に報告するものであるというふうになっているわけですよ。個人の立場だというふうに言いますけれども、仕事として制服組の皆さんが日本政府の見解と違うことを提言している、ここに大変私は問題があるというふうに思います。大体、この「国家レベルの処置が望まれる事項」というのが、各章にその項がついているわけですよ。ということは、国家レベルの提言をまとめよという指示があったということなんじゃないんですか。
○若宮副大臣 今委員からそのような御指摘がございましたが、先ほども申し上げましたように、この文書の冒頭の部分で、一般において入手可能な公刊、公開資料をもとにして、それぞれが独自かつ自由な立場で分析、論述ということを申し上げたかと思うんですが、これは当然のことながら、このことで何らかの政策決定や意思決定を伴うものでもございません。それからまた、もちろん、その上で申し上げますと、組織の体制や改善のために、これはさまざまな可能性や視野を広げて、いろいろな状況というのをやはり考慮しておかなければ、万々が一の事態というのもさまざま想定され得ることはもう御承知のところだと思いますので、部内におきまして不断に検討を行っていくことは、これは必要不可欠なことではなかろうかというふうに考えているところでございます。いずれにいたしましても、部内におけます研究成果を防衛省の施策として実行するということに当たっては、もちろん省内におきますしかるべき意思決定が必要でございますので、このことについては言をまたないところであろう、このように思っております。
○宮本(徹)委員 いやいや、自衛隊の何らかの運用、内部の改善の話じゃないわけですよ。政府の憲法解釈の変更まで提言をしているんですよ。しかも、「国家レベルの処置が望まれる事項」というので、いろいろな研究者がその柱立てでやっているわけですよ。これは、国家レベルの処置が望まれる事項は何なのかというのを研究しろということを指示を出したんじゃないんですか。
○若宮副大臣 そういった指示を出しているというわけではなく、これはあくまでも当の学校の各研究員がさまざまな立場から独自の、全く自由な角度でいろいろなことを分析あるいは論述をしたということでございますので、防衛省の政策に何かしら関与しているとか、そういったものではないということを御理解いただければと思います。
○宮本(徹)委員 いや、自衛隊の内部の運用の話じゃなくて、「国家レベルの処置が望まれる事項」という見出しがそれぞれについているわけですよ。これは、それをまとめなさいということを指示しない限り、研究者それぞれの人が同じタイトルをつけるはずがないじゃないですか。そう思わないですか。
○若宮副大臣 繰り返しで本当に恐縮なのでございますが、これは、その文書の冒頭にも記載されております、私も先ほど申し上げさせていただきましたが、オープンソースで、とにかく一般的に誰でもが入手可能な公刊や公開のされております資料をもとにして、統合学校の各研究員がそれぞれ独自かつ全く自由な立場から分析あるいは論述をしたものでありまして、あくまでもこれは、政府あるいは防衛省の見解を示すものではないということで御理解をいただければと思います。
○宮本(徹)委員 これを見る限り、少なくとも、国家レベルの処置が望まれる事項についてもまとめよという指示がない限りできないような研究成果のまとめ方になっているわけですよ。ですから、防衛省の運用の話じゃなくて、内部の自衛隊の運用の話じゃなくて、それを上回って、時の政権が否定していることも含めて、これを変えろという提言を制服組がやっていた、税金で。本当に、シビリアンコントロールにとってこれほどの重大な問題はないと思いますよ。ちなみに、この指示には当時の大臣、副大臣、政務官というのはかかわっていたんですか。
○若宮副大臣 そのときの、いわゆる今おっしゃられた政務三役が直接かかわっているということではございません。
○宮本(徹)委員 つまり、政治家の皆さんが知らないレベルで制服組がまさにやっていたということになるじゃないですか。そして、この研究成果は統合幕僚長宛てに報告されました。これは腹の中にしまい込んだわけではないと思うんですね。この提言の内容で、本省だとか、当時の大臣や政務官、あるいは防衛族と言われる議員の皆さんなどに働きかけたということはあるんじゃないですか。
○若宮副大臣 そういった事実はございませんで、これは情報公開で、今委員が御指摘になられました文書というのは公開をされておりますので、ある意味どなたでも、これを見たいという御希望があれば見ることができるわけでございます。ですから、冒頭より申し上げておりますように、さまざまな観点からさまざまな角度で各研究員が、こういったケースの場合はこうなるんじゃなかろうかという、それぞれの個人の意見というのはいろいろさまざまあると思います。宮本委員におかれましてもいろいろな御意見があろうかと思いますので、それはもうそれで、一人一人の意見ということでございますので、それが何かしら、政務の人間に報告があったりとか、これをこうした方がいいんじゃないかとか、そういったような発言、助言というものがあったというふうには承知をいたしておりません。
○宮本(徹)委員 今の発言だと、ではこれは、幕僚長が報告を受けて幕僚長の腹の中に全部しまい込んだ、それだけのものだという話になるわけですが、そんな話は私はないと思いますよ。実際、この提言の中を見たら、本当にこんなものを税金で研究しているのかということを書いていますよ。アジアのある国についてその国の支配体制をどう揺るがすのか、内政干渉そのもののような提言もされています。他国の支配体制をどう揺るがすか税金で研究するというのが自衛隊・防衛省の仕事だということなんでしょうか。こういう暴走は私は絶対に許されないというふうに思います。先ほどの若宮副大臣の話では、いろいろな調査をやっている、それでいろいろな研究をやっているという話でしたので、この際、私たちはどういうタイトルで研究しているのかというのはわからないですから、資料の請求のしようがないですから、この間、統合幕僚学校でどんな研究をやって、どんな成果をまとめてきたのか、そのリストを私はいただきたいと思います。よろしいですか。
○若宮副大臣 その全ての資料というのは、一体どういったものまで含まれるかというのは、ちょっと私、今現在、委員の御発言の趣旨というのは把握し切れませんものですから、具体的にまた御明示いただければと思っております。
○宮本(徹)委員 これで時間になりましたから質問を終わりますけれども、明示しようと思っても、研究のタイトルが私たちはわからないんですよ。ですから、タイトルについてまずお示しいただきたい。そのことを強く求めまして、質問を終わります。