財金2016042020日、衆院財務金融委員会にて、日本銀行の金融政策等に関する質疑が行われました。質問に立った宮本徹議員は、多くの国民が「マイナス金利政策」によりなけなしの銀行利息を奪われ、景気の先行きに不安を感じていると指摘し、日銀の金融政策の転換を求めました。
日銀は今年1月末、日銀の預金口座にある民間金融機関等の預金の一部にマイナス金利を付ける「マイナス金利政策」を導入しました。大手銀行はさっそく普通預金口座の金利を0.02%から0.001%に引き下げました。機械的な試算で年間の支払利息が332億円減額されます。
宮本氏は、日銀の宣伝パンフ「教えて、にちぎん」で、銀行の預金金利が下がっても、100万円預けて1年間の利息が200円から10円になっただけ、景気には影響ないと開き直っていることを取り上げ、「国民の利息を奪っているとの自覚はないのか」と追及。 さらに、デフレから脱却するために「今はがまんして金利を低くして、物価をあげていく」と書いている日銀の姿勢を批判しました。
黒田総裁は、「住宅ローンも無く、銀行に預金を預けている人には、金利メリットはなく、心苦しく思う」と答弁しながらも、15年以上続くデフレを克服すれば国民にメリットがあると開き直りました。
貸出金利をさらに引き下げ、住宅ローンや設備投資の拡大を目的とするのがマイナス金利政策です。宮本氏は、3年前に始めた黒田総裁の「異次元緩和」政策以後、貸出金利は低下しているが、住宅着工数は増えず、持家では逆に着工数が減少していると指摘し「実質所得が減っている時、金利が下がっても住宅建設は増えない」と追及。黒田総裁は14年4月からの消費税増税の影響が長く続いていると言い訳するばかりでした。宮本氏は、円安で大企業は過去最高の利益を得ながら所得の上昇は広がらない日銀の金融政策はやめるべきだと主張しました。

≪第190回 衆院財務金融委員会第14号 2016年4月20日議事録≫

○宮下委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。きょうは、「教えて!にちぎん」というものがホームページに出ています。「五分で読めるマイナス金利」、日銀のホームページに出ていますので、これについてお聞きしたいというふうに思います。このQアンドAは、誰に向けて何を教えるためのもので、どういう目的でつくられたのか、まず確認したいと思います。
○黒田参考人 この「五分で読めるマイナス金利」というものは、幅広く一般の方々を念頭に、マイナス金利について、その狙いや、特に、いろいろ出されておりましたさまざまな疑問に対する答えを、できるだけ平易な言葉でわかりやすく説明するということを目的として作成したものでございます。
○宮本(徹)委員 国民に幅広く、平易でわかりやすく疑問に答えるというふうにおっしゃいましたけれども、私、これを見ましたけれども、やはり、かなり上から目線だなというのを感じました。例えば、マイナス金利の導入によって普通預金金利が〇・〇二%から〇・〇〇一%に下がったことについてこう書いているわけです。「百万円預けて一年間の利息が二百円だったのが十円になったということです。消費を悪くするほどの規模ではありませんよね。」こういう書き方がしてあります。国民一人一人にすれば確かに大きな額ではないかもしれませんが、しかし、マイナス金利政策で国民の所得を奪っているということへの自覚をまるで感じない文章です。三月、参議院の財政金融委員会で我が党の小池晃議員が指摘をして、総裁も認めたように、金融緩和を推進して金利水準が下がれば、国民から企業部門に所得移転が起きていっているわけですよ。異次元緩和が個人に与える影響について、消費に影響がなければ問題はない、これだけ言ってしまうのが日本銀行の姿勢なんでしょうか。
○黒田参考人 この文章の中でも述べておりますとおり、個人の預金金利がマイナスになるということは考えにくいわけですけれども、それでも預金金利は低下しております。したがって、それが個人消費の悪化につながらないかという疑問に対して、もともと預金金利がゼロに近かったために、そうした影響は考えにくいということをお答えしたものでございます。あくまでもマイナス金利つき量的・質的金融緩和の狙いは、実質金利の一段の低下を通じて全体としての日本経済を刺激し、二%の物価安定の目標を早期に実現するということでございます。実際にも、企業向けの貸し出しの基準となる金利あるいは住宅ローンの金利ははっきりと低下しておりまして、今後、その効果が実体経済や物価面に着実に波及して、国民生活全体にとってプラスの影響を与えるというふうに考えているわけでございます。
○宮本(徹)委員 いや、プラスの影響ばかり言われるんですけれども、やはり、国民に負担を強いているという自覚を日銀はもっと持つべきだというふうに私は思います。しかも、この「教えて!にちぎん」の中では、すぐに預金金利を引き下げた日本の金融機関について、「去年もたくさん収益を上げています。」こう言った上で、マイナス金利でも余り銀行が困らないようにしたというふうに述べていますが、これはどういう意味でしょうか。
○黒田参考人 マイナス金利政策というものは、金融機関が日本銀行に保有する当座預金に適用される金利をマイナスにするということによって実施されるわけであります。そのため、金融機関収益に直接的な影響が及ぶことになります。この点、マイナス金利の導入に当たっては、金融機関が日本銀行に保有する当座預金を三段階の階層構造に区分し、その一部についてのみマイナス金利、マイナス〇・一%を適用するとともに、過去一年間の平均残高までの部分については引き続きプラス〇・一%の付利を行うこととした。御指摘の記述はそのことを説明したものでありまして、マイナス金利政策というものが金融機関の収益に過度の影響を与えますと、金融機関が経済の成長、発展のために行う金融仲介機能が阻害されるおそれがありますので、そういうことのないようにこういった形をとったということでございます。
○宮本(徹)委員 三月十六日の本委員会で日銀の雨宮理事が、メガバンクとりそな二行の大手銀行五行は、昨年九月末の残高から機械的に試算すると、預金金利の引き下げで年間三百三十二億円の支払い利息が減額される、こういう答弁がありました。四月発表の当座預金残高では、都市銀行はマイナス金利適用の残高はふやしていますが、それでも二兆一千百六十億円。機械的に試算をしますと、マイナス金利によるマイナスの利息は年間ベースで二十一・二億円になるのかなと思います。ですから、あわせて計算しますと、マイナス金利導入により損失した付利相当額は二百二十億円ということになると思います。一方、先ほど言いましたように、都市銀行が預金金利の引き下げで失われた利息が、これは年間三百三十二億円です。ですから、今後、貸出金利の低下で収益の減少がもう少し起こるかもわかりませんが、当面でいえば、預金金利を引き下げて対処したため、相殺すると、日銀のホームページに書いているとおり、銀行は確かに困らないということになっているんですね。だから、結局困っているのは国民ということになるんじゃないかと思います。結局、銀行にお金を預けている預金者がマイナス金利政策の負担をこうむっている、こういうことになるんじゃないですか。
○黒田参考人 マイナス金利政策と言われるものは、これまで所期の効果を発揮してきた量的・質的金融緩和を一段と強化するものでございます。量的・質的金融緩和のもとで、実質金利が大幅に低下することを通じて企業収益が増加するとともに、雇用・所得環境も大きく改善してきました。マイナス金利つき量的・質的金融緩和も、日本経済全体を回復させ、国民所得をさらに増加させることに貢献するものと考えております。
○宮本(徹)委員 そう、思われる思われると見込みだけ語られるわけですけれども。そして「教えて!にちぎん」、このホームページでは、「デフレから完全に抜け出すしかありません。そのために、今はがまんして金利を低くして、もっと景気を良くして、物価をもう少しだけ上げていくということです。」こうも書いてあるわけですけれども、このホームページで言っている我慢というのは、日銀は一体誰にこの我慢を求めているんですか。
○黒田参考人 マイナス金利のもとで、預金金利は、小幅ではありますが、低下していることは事実であります。したがって、例えば住宅ローンなどの借り入れがなく、金融資産の大半を預金で保有している方々にとっては、金利低下の直接的なメリットが感じにくいということは確かでございます。そうした方々には心苦しく思っております。ただ、こうした極めて低い預金金利水準はもう十五年以上続いております。その根本的な原因はデフレであります。デフレのもとでは、経済、物価を下支えするため金利水準を低くする必要があり、預金金利も低水準になってきました。十五年以上も続いている低金利環境から脱却するためには、思い切った金融政策を推進することによってデフレから脱却するほかないというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 結局、住宅ローンを使っていない多くの国民にとっては、我慢を強いている、大変心苦しいというせりふを初めてお伺いしましたけれども、我慢を求めていることになるわけですよね。結局、金融緩和政策で物価を上げていくという政府の方針に対して国民は黙って従い、金利は奪われても我慢しろということを言っているにすぎないんじゃないんですか。
○黒田参考人 日本経済が持続的な成長を実現するためには、デフレから脱却し、二%の物価安定の目標を安定的に実現することが必要不可欠であるというふうに考えております。デフレのもとでは、価格の下落が企業の売り上げや収益の減少につながり、その結果、賃金が抑制されて消費が低迷し、これがさらなる価格の下落につながるという悪循環が生じていました。企業も家計も、先行き、物価は上がらないことを前提に行動するようになり、支出活動が消極的になっていく。そうしたもとで、デフレが自己実現的に長引くことになったわけでございます。こうした状況を打破するためには、人々のデフレマインドの抜本的な転換により、物価が緩やかに上昇する状況をつくり出すことが必要であります。物価が緩やかに上昇すると、デフレ下での悪循環とはちょうど反対のことが起こります。つまり、企業の売り上げや収益が増加し、賃金も増加するという好循環が生まれるわけであります。このように、日本銀行では、マイナス金利つき量的・質的金融緩和により、企業収益や雇用、所得の増加を伴いながら物価上昇率が次第に高まっていくという好循環をつくり出すことを目指しております。このことは、家計を含めた日本経済全体のためにぜひとも必要なことであると考えております。
○宮本(徹)委員 そう言って三年間やってきたわけですけれども、名目賃金は若干上がったかもわかりませんけれども、増税だとか円安による食料品の物価高だとかで実質賃金は実際は下がって好循環は生まれていないというのは、もう三年たって、誰の目にも明らかなことだというふうに思います。その上で、この「教えて!にちぎん」では、マイナス金利の効果についてこう言っています。「マイナス金利にしたあと、住宅ローンの金利は下がって、十年固定で借りても一%以下になっています。銀行のローンセンターは大忙しだそうです。会社が借りるときの金利も下がっています。」こう書いてあるわけです。これだけ見ますと、いかにも住宅需要が拡大しているかのような書きぶりにとれるわけですよ。ちょっとお伺いしたいんですけれども、マイナス金利導入前に比べて、住宅ローンの貸し出しというのはどれぐらいふえているんでしょうか。
○櫛田参考人 お答えします。住宅ローンにつきましては、日本銀行が作成している貸出先別貸出金統計におきまして、四半期末ごとの残高を公表してございます。それで、直近の数字は、昨年十二月末の計数で前年比二・三%増ということでございます。その後の状況につきましては、金融機関からのヒアリング等では、マイナス金利導入後、住宅ローンについては、借りかえも含めまして問い合わせや取り組みが増加している、こういった声は聞かれているところではございますけれども、三月末の計数が公表されるまでにはなおしばらく時間がかかる、こういった状況でございます。
○宮本(徹)委員 まだ三月末の計数が出ていない、問い合わせは、借りかえも含めてふえているというお話でした。実際にこの間のアベノミクスの金融緩和政策で、では、住宅だとかを含めてどういう影響が出ているのかというのも確認したいと思います。まず初めに、改めて確認したいんですが、安倍政権が始まった二〇一二年十二月以降、貸出金利は長期も短期もともに低下を続けています。二〇一三年一月から現在までに長期の貸出金利は幾らから幾らまで低下しているでしょうか。数字だけで結構です。
○櫛田参考人 お答えします。銀行の長期の貸出約定平均金利をストックベースで見ますと、御指摘の二〇一三年一月、この時点は一・四一五%でございましたけれども、それが本年二月には一・〇八四%、この間、〇・三三一%ポイント低下いたしております。
○宮本(徹)委員 この間、〇・三三一%低下しているということです。では実際の住宅はどうなっているかというので、きょうは配付資料でお配りさせていただきました。これは、三月の月例経済報告の閣僚会議に提出された資料です。右上が住宅建設、「おおむね横ばい」というふうに書いてありますが、これをごらんになっていただければわかりますが、住宅建設の着工数は、総戸数で見ると、二〇一三年一月から消費税増税の駆け込み需要で、一旦、年率八十数万戸から年率約百万戸にふえております。しかし、その後、一四年四月の消費税増税を境に減少して、減少のまま続いている。二〇一五年十一月の段階で総戸数は年率八十数万戸になっているということで、結果的に横ばいなわけですよ。この中でも、持ち家に着目すれば、その結果を見るとこれは後退しているわけですよ。資料でいえば青い線になりますが、二〇一三年一月のころは年率三十万戸を超えて着工数があったものが、駆け込み需要が落ち込んで以降、年率二十七万から二十八万戸に低迷しているということになっています。つまり、貸出金利は二〇一三年一月から今日まで大きく下がるということになったわけですが、住宅着工数は総戸数では変動なし。持ち家に関していえば、横ばいどころか、一から二割下がっているというのがデータから読み取れます。ですから、この三年間の異次元緩和で金利が下がったといっても、住宅着工が伸びなかったというのが実際のところだというふうに思います。ですから、金利が下がっても、多くの庶民からすれば、実質所得が低下しているので、より住宅を購入しようという意欲は持てないということだというふうに思うんです。実は、こういう資料一つ見ても、マイナス金利で住宅ローンの金利が下がったからといって、住宅ローンの件数が大きくふえる、借りかえはふえていると思いますよ、借りかえはふえていると思いますけれども、住宅ローンの件数そのものが大きくふえるという期待というのは、非現実的なんじゃないですか。
○黒田参考人 住宅ローン金利が低下すれば、元利金の支払い負担が減少するために、当然、住宅取得が容易になるというふうに考えられます。消費税の導入前の駆け込みの影響というのはかなり長く続いていることであろうと思いますけれども、基本的に、住宅ローン金利が低下すれば住宅取得が容易になるということであると考えております。したがいまして、住宅ローン金利の低下は、借りかえ需要を高めるだけでなく、新規の住宅投資にもプラスの効果をもたらすというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 しかし、実際はそのプラスの効果が出てきていないわけですよ。本来、頭の中ではそうなるはずなんですけれども、実際は、やはり実質所得が低下しているもとでは、頭の中で考えたとおりにはいっていないということだと思います。銀行の貸し出し全般でも、マイナス金利の効果があらわれているというふうには私はなかなか見えないんじゃないかと思います。資料の裏側を見ていただきたいと思います。全銀協の全国銀行預金・貸出金速報によりますと、二〇一六年三月末の公表資料では、前年同月比増加は五十五カ月連続ということで、増加は続いております。しかし、伸びを見ると、マイナス金利導入後、都市銀行の貸し出しは、伸びるどころか、増加比率は大きく低下しております。下側のところ、右側の太いのが全国銀行のところですけれども。そういう状況になっております。全国銀行全体では、前年同月比の伸びはことし二月に下がって、それから横ばい。都市銀行、これは黒い実線になっていますが、この貸出金の増減率は、ことし一月から二月、三月と伸び率を低下させております。ですから、マイナス金利で貸し出しはふえるどころか、伸びが鈍化しているというのが実際なんじゃないでしょうか。
○黒田参考人 本年一月の伸びがプラス二・三%、二月がプラス二・二%となっておりましたが、三月はプラス二・〇%ということで、幾分プラス幅が縮小しております。これは、都市銀行と限らず、全ての銀行の貸出残高の伸びでございますが。これは、実は円高によって外貨建て貸し出しの円換算金額が減少したということによるものでありまして、その要因を除きますと、実勢は一、二月と同程度の伸びを続けております。都市銀行についてその影響が大きいのは、都市銀行が外貨建て貸し出しが大きいからでありまして、基本的に、三月の伸びというのは一、二月と同程度の伸びでございます。いずれにいたしましても、マイナス金利つき量的・質的金融緩和というものは、一月末に導入を決定したばかりでありまして、この政策が実体経済に与える影響を判断するためにはある程度の時間を要するというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 今、円高の影響も見なきゃいけないというお話でしたけれども、円高の影響を考えてみても、マイナス金利になってこれがぐっと貸し出しがふえているわけでもないというのも事実だということは言えると思います。そして、このマイナス金利の効果について、一月二十九日の政策決定会合で石田委員が、金利は十分低いので貸し出しがふえるとは考えられないという理由からマイナス金利に反対されましたが、そういう事態になっているというふうに思います。現在、銀行の現場からも同じ指摘が起こっております。報道で見ましたけれども、三菱UFJフィナンシャルグループの平野社長が十四日の都内の講演で、マイナス金利の経済効果について、既に金利の低い日本で企業や個人の投資を促すかどうかはわからず、残念ながら懸念を増大させる方向に働いてしまっているようだ、こう語った記事を見ました。さらに、現状についてこうおっしゃっています。個人も企業も政策効果に懐疑的になってしまっており、将来に対する不確実性が増すにつれて支出や投資計画を凍結している。報道では、こう述べたと書かれております。メガバンクの一つの社長がこういう指摘をされているわけですけれども、この指摘について総裁はどう受けとめていらっしゃるでしょうか。
○黒田参考人 日本銀行が導入しましたマイナス金利つき量的・質的金融緩和というものは、大規模な長期国債買い入れとマイナス金利によって長期、短期の国債金利を全体として低下させることで実質金利を引き下げて、設備投資や住宅投資などの経済活動を刺激し、国民所得を増加させるというものであります。マイナス金利つき量的・質的金融緩和の導入以降、貸し出しの基準となる金利や住宅ローンの金利は一段と低下しているほか、極めて低い金利で長期の社債を発行し、設備資金を調達するといった動きも実際にあらわれてきております。また、三月短観、日銀の短観の結果などを見ましても、企業は金融機関の貸し出し態度がさらに緩和的になったと判断し、前向きな設備投資スタンスを維持しております。もとより、マイナス金利政策は我が国では初めての経験であるだけに、不安を感じられる向きもあろうかと思いますが、日本銀行としては、マイナス金利つき量的・質的金融緩和の目的やその効果の波及メカニズムについて、今後とも丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 前向きなことばかり先ほどからおっしゃるわけですけれども、メガバンクのトップの方が、支出や投資計画を凍結している、こういう動きが今は現状生まれていると言っているわけですから、やはりそういう事実にも目を向けなきゃいけないというふうに私は思います。マイナス金利に対する個人の意識も景況感を悪化させております。日本銀行が、生活意識に関するアンケート調査、三月調査、四月十一日に発表いたしました。これを見ますと、一般国民の意識も既にマイナス金利の影響が出ております。金利水準についての見方について、金利水準のDIが一五年十二月はマイナス四一・二%です。これが一六年三月ではマイナス五八・〇%。金利が低過ぎるという声が大変ふえているわけですよ。そして、景況感についての質問では、今後の見通しについて、「一年後を現在と比べると」ということが問いとしてあるわけですが、「良くなる」という回答と「悪くなる」という回答が前回の一五年十二月と比較してどうなったのか、数字を言っていただけますか。
○櫛田参考人 お答えします。今委員御指摘の生活意識に関するアンケート調査の三月調査の結果でございますが、一年後の景気は今と比べてどうなると思いますか、こういった質問に対しまして「良くなる」と回答した人の割合は、二〇一五年十二月調査では八・九%、二〇一六年三月調査では六・八%となっておりました。また、「悪くなる」と回答した人の割合は、二〇一五年十二月調査では二八・八%、二〇一六年三月調査では三七・七%となっておりました。
○宮本(徹)委員 今の数字のとおりで、一年後をよくなると答えた人は減少して、悪くなると答えた人は大幅にふえるということになりました。ですから、この回答を見ても、将来の景況感というのは国民の中で大きく悪くなっているというのは明白だと思います。支出についての設問でも、「一年後を現在と比べると」という回答を見ますと、前回から支出DIがマイナス三九・七%からマイナス四五・三%へと五・六%減少しております。それから、「日本経済の成長力」、こういう設問でも、「より低い成長しか見込めない」、こういう否定的な回答が四九・一%から五三・五%にふえるということになっております。ですから、このアンケートを見てもそうですし、そして、先ほど紹介した三菱UFJフィナンシャルグループの平野社長が言っているのもそうですけれども、今、国民の中で、個人も含めて、マイナス金利の政策効果に懐疑的になってきているというのははっきり言えると思うんですよ。将来に対する不確実性が増すにつれて支出や投資計画を凍結しようとしている現状というのが、この日銀のアンケート調査からも見てとれるんじゃないですか。
○黒田参考人 このアンケート調査で一年後の景況感が悪化した背景には、年明け以降、世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まる中で、我が国を含め、金融市場が不安定な動きとなったことの影響があると見られます。この間、労働市場では、失業率が三%台前半で推移し、三年連続でベースアップが実現する見込みであるなど、雇用・所得環境が着実に改善をする中、個人消費は底がたく推移しております。さらに、日銀短観では、企業の業況感は慎重化したものの、過去最高水準の企業収益を背景に、企業の前向きな設備投資スタンスは維持されております。こうしたことを踏まえますと、マイナス金利によって支出や投資計画が抑制されるということはないというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 いや、いろいろなものの景況感の悪化は金融市場の不安定化の影響だとかおっしゃいますけれども、マイナス金利については影響は一切ないというそれは、何の根拠を持って否定されるのかというのが私は全くわかりません。住宅ローンはふえていない、銀行の貸し出しも大きくふえていない、メガバンクのトップまで政策効果に懐疑的になって支出や投資計画を凍結している、こう言っているにもかかわらず、今の日銀の総裁の御答弁もそうですし、この「教えて!にちぎん」でホームページで書かれていることも、今、国民や、あるいは業界、財界人も含めて感じている現実というのを私は反映していないというふうに思います。そしてこの「教えて!にちぎん」は、「『もうデフレには戻らない』というところまで、あと少しです。この三年間、『異次元緩和』は、たしかに効きました。それをもっと強力にするということです。かならずデフレから抜け出せます。」とにかく日銀が言っているのは正しいんだから信じろ信じろと、精神論を説いているだけにしか読めないんじゃないかと思います。私は、改めて批判的な有識者の声や国民の声を聞いて、異次元緩和の実施から三年間というのを総括すべきだと思いますが、総裁どうでしょうか。
○黒田参考人 二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入してから約三年が経過いたしましたが、この間、我が国の経済・物価情勢は大きく改善してまいりました。すなわち、企業収益は、中小企業を含め過去最高水準で推移しております。また、失業率が三%台前半まで低下するなど、完全雇用と言える状態となっており、こうしたもとで三年連続でベースアップが実現するなど、雇用・所得環境は着実に改善しております。
物価面でも、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、一昨年の秋以降、原油価格が七割以上下落したことから、このところゼロ%程度となっておりますけれども、生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価の前年比は、量的・質的金融緩和導入前はマイナスだったわけですけれども、二〇一三年十月にプラスに転じた後、二十九カ月連続でプラスを継続しており、最近では、プラス一%を上回る水準まで上昇しております。もとより、二%の物価安定の目標の実現という観点からは、なお道半ばであり、日本銀行としては、マイナス金利つき量的・質的金融緩和を着実に推進していく方針でございます。今後とも、政策に関する考え方や、その前提となる経済・物価情勢についての判断を、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 ですから、やっていることが本当に正しいんだ正しいんだということで突進するのではなくて、やはり、この時点で立ちどまって真剣な総括をすることを改めて求めておきたいというふうに思います。あと残された時間で、先日ワシントンで行われましたG20等国際会議、会談に関連して質問させていただきたいと思います。四月十四日の日米財務首脳会談で麻生太郎財務大臣は、最近の為替市場での一方的に偏った動きに強い懸念があると米国に伝えたという報道がなされておりました。これは、ことしに入ってドル安・円高が進行したことについて言われたことだと思いますが、実際、会談ではどう述べられたのか。事実関係を教えていただけますか。
○門間政府参考人 ワシントンDCで行われました日米の財務大臣会合、麻生大臣とルー財務長官の会合におきましては、麻生大臣から次のような発言があったと承知しております。 麻生大臣から、為替市場における過度の変動や無秩序な動きは悪影響を与えるものであり、最近の為替市場で見られている一方向に偏った動きに強い懸念を有している旨を伝え、また、通貨の競争的切り下げを回避するとのG20合意内容は、国内政策目的のための金融政策手段の行使を制約するものではないといった点を麻生大臣が指摘し、双方で確認した。さらに、この文脈で、マーケットでは、ドル高を是正するため、アメリカは金利引き上げを慎重に行い、日欧は積極的に金融緩和は行わないといった当局間の密約合意があったのではないかとの見方があるが、上海G20においてこのような密約合意が存在していないといった点を麻生大臣が確認しました。
○宮本(徹)委員 ことしに入り、マイナス金利導入を決めた一月二十九日ごろは一ドル百二十一円前後であったものが四月初めには百七円にまでドル安・円高が進んで、きょうは百八円、百九円というところで動いているみたいですけれども、現在のドル・円の為替相場について、日本経済に悪い影響を及ぼす程度のドル安・円高が進行している、こういう認識を財務省は持っているのか。一方で、円高になれば、食料品などは輸入価格が下がりますので、一般の個人消費にはメリットという面もあるとは思いますが、最近のドル安・円高の国内への影響についてどうお考えでしょうか。財務省、お願いします。
○門間政府参考人 ドル安・円高の経済に及ぼす影響につきまして一般論として申し上げれば、円高方向への動きに伴う輸入物価の下落は、原材料コストの下落等を通じ、中小企業や消費者の生活にも恩恵を及ぼし得る面があります。他方で、円高方向への動きは、輸出企業や海外展開をしている事業者等にとってはマイナスの影響があると言われております。いずれにしましても、今後も、為替が経済に及ぼす影響につきましては注視してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 そういう一般論で答えられると、今の水準についてどう思っているのかというのがさっぱりわからないわけですよ。報道では、ルー米財務長官は十四日の日米財務相会談で、米当局がその認識で一致したわけではない、こう述べたとされているわけです。さらに、翌十五日の記者会見の場でルー長官は、日本は外需ではなく内需に目を向ける必要がある、こう指摘した上で、円相場について、最近は円高が進んでいるが市場の動きは秩序的だ、こう述べたわけですよ。ですから、財務当局の間で最近の為替相場の動きについて認識は共有されていないということなんでしょうか。
○門間政府参考人 ルー財務長官の発言についてのお尋ねでございますが、他国の発言につきましては、正確には趣旨がわかりかねますため、個別にコメントすることは差し控えたいと考えております。ただし、先ほども申し上げましたとおり、麻生大臣からはルー財務長官に対して、為替市場の最近の動向、通貨の競争的切り下げを回避するとのG20の合意内容、上海G20においてドル高を是正するための当局間の密約行為は存在しない点について意見を伝え、意見交換を行ったものと承知しております。今後とも引き続き、為替市場に関しまして、日米の財務相間で意見交換を行ってまいりたいと思っております。
○宮本(徹)委員 コメントしないというふうにされると困ってしまうんですけれども。為替相場について日米間で認識が共有されているのかという、そのことだけを聞いているわけですよ。だから、何で答えられないのかなというふうに思いますが。メディアでも、一致しないということがこれだけわあわあ報じられているわけですから、一致していないなら、一致していませんということを言っていただけたらいいんじゃないかというふうに思います。もうちょっと質問しようと思っていたんですけれども、質問時間が来てしまいましたのでこれで私の質問を終わりたいと思います、総裁にあと何問か質問したいというふうに思っておりましたが。異次元緩和の三年間の間に、今の局面とは別にして、大きく言えば円安・ドル高が起きました。この中で輸出大企業には大きな利益をもたらしました。一方で多くの国民にとっては、輸入物価、食料品などの高騰で生活を切り詰めざるを得なくなって、可処分所得という点では大きく切り下げるということになりました。これが、消費税増税とあわせて個人消費を冷え込ませている大きな一因になっているのは間違いないというふうに思います。ですから、日本経済への効果の検証もなくて、さらなる金融緩和の実施はやるべきではないというこのことだけ申し上げまして、質問を終わります。