昨年5月、アメリカが米軍横田基地(東京)に空軍特殊作戦部隊と特殊作戦機CV22オスプレイを配備すると日本に通報してきました。2017年後半に3機配備ではじまり最終的には10機を配備する計画です。

 政府は、アメリカの即応態勢整備の一環と説明しています。何への即応態勢なのか、最大のねらいのひとつが朝鮮半島有事への即応態勢であることは、防衛省自身がCV22が運ぶ米軍部隊として「在韓国特殊作戦コマンド」を例示していることからも明らかです。

 CV22オスプレイを横田に配備して、いったい何をやろうとしているのか。アメリカの朝鮮半島有事作戦をみてみたいと思います。この間、北朝鮮の挑発的な核開発がすすむなか、アメリカと韓国の対北朝鮮の軍事作戦計画は大きく変わっています。以下、韓国メディアの報道をまとめました。

 ・2015年6月に韓米両軍当局が有事の際に適用する新たな作戦計画(「作計5015」)をまとめ、署名しました。

 ・韓国とアメリカは、1974年に連合作戦計画の5027を作り、94年に米国が北朝鮮寧辺(ヨンビョン)を爆撃する計画を樹立した直後から「5027-94」のように後部に年度をつけてアップデートしてきました。

 ・従来の「作計5027」は、北朝鮮が全面戦挑発を行った場合、しばらくは防御に重点を置き、開戦から90日以内に大規模な米増援軍が朝鮮半島へ派遣された後、ようやく本格的な北進を行って北朝鮮の政権を倒すことになっています。計画の上では、米増援軍の規模は兵力69万人、空母打撃軍5個をはじめ艦艇約160隻、航空機約1600機などとなっています。これについては増援軍到着まで3ヶ月間、韓国の地域が大きな被害を受ける可能性が高く、関係者は「韓国が勝つにしても『廃墟の中の勝利』になるほかない」と語っていました。

 ・新しく確立された「作計5015」は、「防御のあとに攻撃」ではなく、北朝鮮が南侵した場合は、在日米軍などから支援をうけ、ただちに反撃するようにしたといいます。北朝鮮の弾道ミサイル発射の兆候があれば、先制攻撃をおこないます。「作計5015」では北朝鮮の政権や軍の首脳部を壊滅する「斬首作戦」、核・ミサイルなど大量破壊兵器を早期に無力化する作戦などが入ります。このなかで、アメリカ、韓国の特殊部隊も特殊作戦機や潜水艦に乗って北朝鮮に潜入して役割を果たすことになります。

 ・「作計5015」の確立後、米韓合同演習も「作計5015」にもとづくものになっています。今年2016年3月のキー・リゾルブは2012年の演習開始以降、最大の規模になり、アメリカはステルス揚陸艦「ニューオーリンズ」、強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」やオスプレイなども参加しました。金正恩氏を殺害する、いわゆる「斬首作戦」の訓練では、米軍のネービーシールやデルダフォース、MC130、MH47ヘリなどが北朝鮮にひそかに入って作戦を遂行することを想定した訓練がおこなわれた模様です。核兵器とミサイル施設のある北朝鮮の内陸奥深くまで一気に到達する訓練もおこなうなど、例年に比べてかなり踏み込んで訓練がおこなわれました。

 ・2016年8月から9月のにおこなわれた米韓合同演習「ウルチフリーダムガーディアン」ではコンピューターを使ってシミュレーションをおこない、北朝鮮指導部を壊滅させることができるという事実が証明されたと報道されています。

 ・2016年10月27日、韓国軍の関係者は韓国空軍の潜入作戦部隊と米空軍の第353特殊作戦群(嘉手納配備)が最近、合同演習「チークナイフ」をおこなったことを明らかにしました。低空侵入に用いられるステルス機能をもったMC130などが投入されました。演習の目的は、北朝鮮の核・ミサイル施設を破壊する任務を帯びた特殊部隊と軍需物資を、目標地点に正確に送り込むための潜入訓練です。

 以上、韓国メディアの報道をみてきました。

 時系列でみると、米韓の対北朝鮮作戦が、斬首作戦をふくむ先制攻撃型に大きく変化するなかで、アメリカが特殊作戦部隊と特殊作戦機CV22オスプレイを横田基地に配備すると通報してきたということです。CV22の横田配備の最大のねらいのひとつが、斬首作戦や核・ミサイル施設破壊の先制攻撃にあることは、明らかです。こうした軍事的プレッシャーが、北朝鮮をいっそう核・ミサイル開発に走らせ、軍事的対抗のエスカレーションをもたらしています。

 さて、こうしたなかで、次期アメリカ大統領にトランプ氏が選ばれました。トランプ氏は、選挙戦のなかで、金正恩氏と核問題で話し合う姿勢を見せてきました。北朝鮮の幹部からは「悪くはない」と歓迎する発言もありました。その一方でトランプ氏は、過去には北朝鮮への軍事力の行使を辞さない言動もあります。

 トランプ氏の対北朝鮮政策がどうなるか、まったく未知数ですが、戦争は絶対ダメです。トランプ氏が、外交的努力によって、北朝鮮に核開発を放棄させる方向にすすむことに期待したい。そして、CV22オスプレイの横田基地への配備は、軍事的緊張を高めるだけであり、やめるべきです。

CV22オスプレイ、横田配備反対の集会に集まろう
11月23日(水・祝)午後1時30分〜 福生市・多摩川中央公園
主催 オスプレイ反対東京連絡会