2016年11月18日 衆院財務金融委員会 休眠預金活用法案での宮本徹議員の反対討論

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18日、金融機関で10年以上出し入れがなく、持ち主も現れない「休眠預金」を民間団体の「公益活動」に使えるようにする法案を、自民、公明、民進、維新などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対し、私が討論に立ちました。
反対討論後、与党の議員の方から、私の討論について「指摘はすべてもっともだと思う」と声をかけられました。「制度設計がまったくつまっていない。配分方法も疑問。お金の配分、使途についてもしっかり監視していかなければならない」とおっしゃっていました。また、「共産党さんは私の地元でもNPO活動など一番熱心にやられているのに、問題点に目をつぶらないのはさすがですね」ともいわれました。
関係団体の期待があるだけに、国民の十分な理解、そして不正を防ぐしっかりとした仕組みが必要です。

≪以下討論≫
日本共産党を代表しまして、民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律案に対して反対の討論を行います。
NPOやNGOの活動は、国内外で社会や地域の諸課題を解決するために、従来、政府や自治体ではできなかった仕事を担い、政府などが把握できない情報に基づいて政策提言をするなど、政治を動かす上でも非常に重要な役割を果たしております。とりわけ、現在の日本社会において、貧困な社会保障制度のもと、NPOやNGOの活動は重要性を高めており、わが党は、認定NPO法人の認定基準の緩和や優遇措置の拡大、資金や活動場所の提供も含めて、あらゆる側面から支援することを訴えてきました。
しかしながら、本法案には、主に二つの点で問題があると考えます。
第一は、預金者である国民の理解の点です。
本法案には、個人の私有財産である休眠預金を一旦、民法、商法上の権利関係を消滅させて、一部の民間活動に活用する内容です。本制度の運用が始まれば、年間約五百億円もの休眠預金を利用することになります。インターネットによる有識者の調査でも、本法案の認知度は低く、広く一般に認識されているとは到底言えません。
今、日本社会で公的な支援が十分に行き届いていない分野はたくさんあります。しかしながら、休眠預金の活用先について、NPO法では二十分野を民間公益活動と定義しておりますが、本法案は三つの分野を限定的に列挙しているだけです。さらに、社会の諸課題を解決するための革新的な手法の開発を促進するための成果に着目した助成等を選択すると基本理念に書き込んでおり、従来から地道に行っている活動への援助がおろそかになる懸念もあります。
国会論戦のさなか、市民運動の中から、休眠預金で給付制奨学金制度をつくろうという声が上がりました。ところが、議連のホームページのQ&Aでは、単に資金を個人に支給して費消する活動ではなくとあります。個人への金銭の直接給付はふさわしくないという記述もあります。審議の中で、法案提案者から、個人に支給する活動を否定する答弁がありました。先ほど、その答弁を撤回されるかのような発言もありましたが、議連のホームページなどを見ても、先ほどの答弁の撤回との整合性が疑われます。休眠預金の活用先について、国民的なコンセンサスがあるとは言えません。
より多くの国民の理解と合意のもとで進めるため、立法府は、十分な審議と参考人聴取などを経て、広く国民の意見を聞き、制度に反映させる努力を行うべきであります。
もう一つは、利益相反の懸念など、不正を排除するための制度設計が不十分な点です。
公益民間活動の自主性を尊重し、自由度、柔軟性の高い仕組みにするためにも、公正性や透明性を確保する仕組みを法律に明記すべきであります。しかしながら、資金配分等における利益相反関係を避けるための仕組みや、支援する活動内容等を公開し、第三者の監視機能を生かすための具体的な規定が法案には盛り込まれておりません。多くの制度設計が法案成立後の内閣府令や運用に委ねられており、不十分だと言わざるを得ません。
最後に、国の制度のはざまで支援が行き届かない人たちを救いたいと本制度に期待する人たちの思いに応えるためにも、多くの国民の声を反映し、国民の理解を得た制度を創設すべきであると指摘して、討論といたします。