提出資料① ファイナンス2016年11月号より抜粋
提出資料② 財務省『法人企業統計年報』より宮本徹事務所作成

宮本徹議員は18日の衆院財務金融委員会で、経済的に厳しい状況に置かれている非婚のひとり親世帯に対し、早急に寡婦控除を適用するよう求めました。
結婚後に配偶者と離別・死去したひとり親世帯は、一定金額を所得税から控除する寡婦控除が適用されます。しかし、非婚のひとり親は控除が適用されないため、所得税・住民税や税額に基づいて利用料が決まる保育料などで、より重い負担が課せられています。
宮本氏は、非婚のひとり親世帯は年収200万円で20万円もさらに負担が重くなるケースもあると指摘。公営住宅の家賃や入居を決める際の収入算定については寡婦控除のみなし適用が10月に始まったことを示し、保育料などについても政府として自治体に寡婦控除適用を積極的に求めるべきだと主張しました。
古屋範子厚生労働副大臣は「子どもの福祉の観点から検討し、制度を所管している内閣府と十分調整していきたい」と述べました。
宮本氏は、所得税法についても寡婦控除の規定の見直しを「来年度の税制改正で実現すべきだ」と迫りました。麻生太郎財務相は「所得税控除のあり方の検討のなかで、今後必要な検討をしていきたい」と答えました。

以上2016年11月21日付あかはた日刊紙より抜粋

≪第192回 衆院財務金融委員会 第9号 2016年11月18日 議事録≫

○御法川委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。きょうはまず、景気認識についてお伺いします。GDPの速報値七―九が発表になりました。実質と名目の個人消費はどうなっているか。まず、数値の報告をお願いします。
○酒巻政府参考人 お答えいたします。十一月十四日に公表いたしました四半期別GDP速報によりますと、二〇一六年七―九月期における民間最終消費支出の季節調整済み前期比は、実質で〇・一%、名目ではマイナスの〇・一%となっております。
○宮本(徹)委員 つまり、実質値がプラスになっているのは、物価が下がったためにプラスになっただけで、生活実感に近い名目では個人消費は伸びていないということです。私も改めて消費税増税以降の個人消費を見てみましたけれども、十四半期ありますけれども、そのうち八四半期が、個人消費は名目値で前年同期を下回っているということになっています。上回った二期も、物価上昇の影響によるものです。大臣にお伺いしますが、先月の消費税増税延期法案の質疑の際に、消費税増税が個人消費に与えた影響について、回復としては極めて緩やかだというふうに答弁されました。増税して二年半以上たつわけですが、ここまで長期にわたって消費税増税が個人消費に打撃を与える、こういうことは想定されていたんでしょうか。
○麻生国務大臣 二〇一四年四月の消費税の五%から八%への引き上げが行われました後、例えば二〇一四年の四―六の消費というものを見ますと、マイナス四・八と大きくマイナス成長となっておりますが、その後の数字を見ますと、御存じのように、〇・〇、〇・六といういわゆる緩やかな回復というものになったということは事実だろうと思っておりますし、大きな影響を与えた、これは事実だと。そもそも、将来の経済の動きというものをこれは完全に見通すなんてことは不可能なんだとは思いますが、事実関係として、この消費税率の引き上げに伴います駆け込み需要の反動というものがあったのは、現実としては大きな事実でしょうし、あのときの夏の天候不順というのは極めて大きなのを与えて、もうビールなんかえらい影響を受けたのはもうよく言われるところですが、賃金上昇率が物価上昇率、いわゆる消費税率の引き上げ分を含むという物価上昇率を下回りましたので、実質総雇用者所得が抑えられたことなどが考えられるんだと思っております。他方、逆の面を見ますと、有効求人倍率が二十五年ぶりの高水準とか、賃金引き上げ率は三年連続で今世紀では一番高いとか、雇用環境、所得というものもこれは大きく変わったと思っておりますし、改善をしたことも事実ですし、やはり就職できるという話が、有効求人倍率が〇・八一ということは、百人学校を出て八十一社しか会社の就職が来ない、今は就職案内が百三十七社から来るという事態というのは、これは大きく変わったことは事実だと思いますので、これはそういった面もあると思いますが、個人消費に力強さを欠いておるというのは間違いない事実だと思いますので、足元で三四半期連続のプラス成長となるなど底がたい動きになっているとは思いますけれども、私どもとしては、持ち直しの方向に向かっていきつつあるとは思っておりますが、さらにこれをきちっとした、自信が持てる、しかも、地域格差が出てきているように思いますので、そこらのところも持ち直しの方向をはっきり実感できる、そういった方向にやっていかねばならぬところだと思っております。
○宮本(徹)委員 持ち直しの方向になかなか向かっていないというのが今の個人消費の実態ではないかというふうに思うんです。経済の先々を見通すのは不可能だというお話がありましたけれども、政府の想定を上回って個人消費の落ち込みが続いているということだと思います。きょうは資料をお持ちしました。私が愛読しております財務省の広報誌の「ファイナンス」十一月号の中に、食料価格変化の消費支出に与える影響の分析というのが出ていまして、大変興味深く見ました。配付資料の実質家計最終消費支出のグラフを見ますと、一二年の水準に達していないということがわかります。家計消費の推移を見ると、「二〇一四年四月の消費税増税以降、力強さに欠ける」とあります。ですから、消費税増税が個人消費、家計消費にずっと影響を与えているということは明らかだと思います。そして、その下ですけれども、「食料価格と消費支出の関連」というのが出ております。私もこのグラフ、分析を見まして、改めて、円安による食料価格の上昇が相当程度家計支出を抑制させる効果を持っていたということを再認識いたしました。円安が家計支出に与えた影響について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 「ファイナンス」を金を払って御愛読いただいているようなので、払っておられるのか払っていないのか知りませんけれども……(宮本(徹)委員「ただです」と呼ぶ)これはただかな、知らねえけど。御指摘の文書は「ファイナンス」の話なので、これは財務省で書いているわけじゃない、財務省の職員が多分個人的な資格で書いているものだと思いますのでこれについてコメントすることは差し控えさせていただきますが、少なくとも一般論として申し上げれば、円安方向へ動いた場合において輸入物価が上昇する、当たり前のことですけれども、物価の上昇に家計の所得というものが追いついていないという場合には、これは、消費者の消費行動に陰りが出るというのは十分に考えられるところだと思っております。この点、足元の所得環境について見れば、賃上げ率というのは三年連続で今世紀では最高を記録しておりますし、実質賃金も八カ月連続プラスに推移するなど、改善方向には動きつつあるんだと思っております。このところを見ましても、六月二・〇、七月一・八にずっとなってきておりますので、したがいまして、政府として、過去最高水準の企業収益を背景とした賃金引き上げの流れというものを受けて、その分、労働分配率を上げるとか給与を上げる等々のことを企業が引き続きさらに、今最高水準といったって、さらにそれ以上に引き上げる努力というものを企業側がしないと、こういったような問題というのがまだ引き続き残っているという実態はきちっと腹におさめてやってもらわないとなかなかうまく事は進んでいかぬだろうなと、私どもはそう思います。
○宮本(徹)委員 一般論としてお答えになりましたけれども、このグラフを見ましても、アベノミクスがもたらした円安と消費税増税がセットになって消費を冷え込ませているというのは明らかだと思います。そして次のページには、「食料価格変化の影響を受けやすい層」というのが出ております。こう書いています。エンゲル係数上昇の要因について、「低所得者層では食料物価の上昇とともに名目消費支出の減少がエンゲル係数の上昇に寄与しており、食料価格の上昇と名目消費支出の減少が同時に起こっている」、「低所得者層の方が食料価格の変動が消費支出全体に影響を与えることがみてとれる。」当たり前といえば当たり前の話ではありますが、実際そのことを数値でもグラフでも証明されているということだと思いますが、この点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 改めて、個人で作成したという文章についてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、これは一般論として申し上げれば、これは低所得者の方が、家計調査などの結果を見てもわかりますとおり、支出全体に占めますのは食料品の比率が高い。誰でも知っている話であります。それですので、食料品など身近なものの値上がりというものは、これは生活防衛的になってくる傾向は否めませんので、消費支出全体を抑制する可能性というのは、これは極めて高いというのはよく言われるところであります。したがいまして、政府としては、働き方改革実現会議などを通して、最低賃金の引き上げとか、同一労働同一賃金の実現とか、これまでの賃金体系の見直しというものを含んで、中間層の厚みを増して、所得の引き上げ、消費の拡大というのにつなげていき、パートの時間当たりの料金を上げていくとか、いろいろなことをやらせていただいておるんですけれども、いずれにしても、そういった所得の底上げが消費の拡大につながっていくんだと、私どもはそう思っております。
○宮本(徹)委員 所得の引き上げのために最低賃金をもっと速いスピードで上げるということは、非常に大事なことだと思います。先月の質疑でも議論しましたが、低所得者層の中でも、とりわけ六十代前半の無職世帯、それから若者子育て世帯の消費の落ち込みというのが大きいということは指摘されております。一六年版の経済財政白書でも、高齢者世帯については、収入の柱である年金などの安定収入も少ないことを指摘しております。そして子育て世帯については、「保育料や教育資金、社会保険料などの負担が発生する中で、将来も安定的に収入を確保できるのか、老後の生活設計は大丈夫なのかといった将来不安」、これを消費をためらう要因として挙げております。この経済財政白書を見ましても、社会保障のこの間の改悪は、将来不安を広げて、子育て世代の消費減少に悪影響を及ぼしている。このことを政府みずから認めている事態だというふうに思います。ですから、日本経済と日本社会の持続的な発展にとっても、格差と貧困の広がりを正すことは待ったなしだと思います。そこできょうは、所得税法等の寡婦控除の規定の見直しについてお伺いしたいと思います。経済的に厳しいシングルマザーの世帯の中でも、非婚のシングルマザーの世帯はさらに厳しい経済状況にあります。しかし、この非婚の一人親については、寡婦控除が適用になっていない。所得税、住民税だけではなくて、税額に基づいていろいろな利用料が決まるものはいっぱいあるわけです。保育料だとかあります。そういったもので非婚の一人親家庭により重い経済的負担が課せられているという現状があります。自治体によりけりですけれども、年収二百万円で二十万円以上多い負担となるケースもあります。この不条理を是正せよという声がこの間ずっと世論として高まる中、公営住宅については、国として措置をとって、ことし十月からは、家賃や入居を決める際の収入算定に寡婦控除のみなし適用が始まりました。きょう国交省に来ていただいておりますが、公営住宅の家賃などについて寡婦控除のみなし適用に踏み切った理由と意義について述べていただけるでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。公営住宅においては、入居者が負担する家賃は、入居者の収入と住宅の規模等によって決定されます。この入居者の家賃算定の基礎等となる収入の計算につきましては、世帯の所得金額の合計額を入居者から申告いただき、世帯人数等世帯状況を反映して、所得税法の人的控除を参考としながら、公営住宅法施行令において控除額を決めているというふうになっております。御指摘の寡婦等の控除額につきましては、平成二十六年の地方分権改革に関する提案において、非婚、既婚による格差をなくするため、非婚であっても控除を適用すべき旨の提案を公共団体から受けたところであります。公営住宅は、昭和二十六年制定当時、入居者資格として、同居親族がいるというふうにしているところですが、その際も、居住の実態を踏まえて、婚姻関係にある者と同様に、事実上婚姻関係と同様の事情にある者について同居親族として扱っておりました。このため、収入の計算上、同居者控除として、配偶者控除と同額の控除を適用しております。こうしたことも踏まえ、公共団体からの提案を受け、非婚の母または父についても寡婦等の控除の対象とするよう平成二十七年十月に政令改正を行いまして、本年十月一日より施行したところです。この改正により、公営住宅制度における入居者の家賃算定の基礎等となる収入の計算におきましては、非婚の母または父につきましても、寡婦等と同様の控除額の適用を受けることになります。
○宮本(徹)委員 地方自治体からの提案があってやったということですけれども、地方自治体の側は、自治体で寡婦控除のみなし適用を選択できるようにしてほしいという提案だったわけです。それに対して国交省は、選択じゃなくて、もう全国一律、公営住宅についてはこの寡婦控除のみなし適用をやろうということに、より踏み込んでやられたということだと思います。その背景には、二〇一三年の最高裁の大法廷が、婚外子の遺産相続に格差をつけた民法の規定について違憲という判決を出したということもあるんだというふうに思います。この相続の問題については民法は改正されたということになりました。そして今回、公営住宅についても、婚姻歴を問わない、非婚の母についても寡婦控除のみなし適用を行うということを、これは閣議決定で決めているわけですよ。ここまで閣議決定で決めているわけですから、当然私は、所得税法等も改めるべきだというふうに思います。きょうは厚労省の古屋副大臣にも来ていただきました。保育料についてはまだ国として統一的な対応はとっておりませんが、この間、寡婦控除のみなし適用を行う自治体はぐっとふえてきております。現在、どれだけの自治体が保育料について寡婦控除のみなし適用を行っているのか示していただきたいと思います。そしてもう一つ、保育料も含めて、寡婦控除のみなし適用をできる制度はたくさんあるわけです。寡婦控除の対象となる三十事業全てにみなし適用を行っている自治体もあります。厚労省として、税制改正待ちにならずに、非婚の一人親の皆さんの暮らしを支えるということで、寡婦控除のみなし適用を自治体に積極的に求めていくべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○古屋副大臣 お答えいたします。厚生労働省において、平成二十八年八月一日現在で全市区町村に対して調査をした結果、特定教育・保育施設等の利用者負担、いわゆる保育料につきまして寡婦控除のみなし適用を行っているのは、千七百四十一市区町村のうち四百九市区町村、二三・五%であります。保育料の算定におきましては、寡婦控除のみなし適用を自治体に求めることにつきましては、厚生労働省としても、子供の福祉の観点からも検討し、制度を所管している内閣府と十分に調整をしてまいりたいと考えております。その際は、家族のあり方にもかかわる事柄であることや、自治体での適用実態などを踏まえる必要があると認識をいたしております。保育料の算定に当たり、一人親世帯であっても、困窮度の高い世帯、つまり、所得税、市町村民税がともに非課税となる低所得の世帯の場合には、婚姻経験の有無にかかわらず保育料は無料となっており、厚生労働省としては、引き続き、未婚の一人親家庭を含め、保育を希望する方が保育を利用しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 福祉の観点から検討していくという答弁があります。その後ろに、家族のあり方だとか何だとかも検討するというお話がありましたけれども、この家族のあり方の問題の議論というのは、ある意味、もう閣議決定で公営住宅の問題で寡婦控除のみなし適用というのを始めているわけですから、それは政府としてはもう乗り越えられている議論ではないかというふうに思うんですよ。ですから、積極的、前向きに検討して、ぜひ早急に結論を出して適用していただきたいと思いますが、もう一度お願いします。
○古屋副大臣 先ほど答弁を申し上げたとおりでございますけれども、既に、保育料の算定において寡婦控除のみなし適用を自治体に求めることにつきましては、所管である内閣府とよく調整をしつつ、福祉の観点から検討してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 ぜひ前向きに早く結論を出していただきたいということを改めてお願いしておきたいというふうに思います。保育料だとかその他の施策についてもみなし適用を検討して自治体に求めていくということになると、残るのは税制だけということになるわけですよ。所得税、住民税ということになります。私は、ここまで来たら、やはり非婚の一人親にも寡婦控除と同等の控除が行われるように、所得税法についてもいよいよ改正すべきときに来ているのではないかというふうに思います。毎回の国会でもいつも、地方自治体からの意見書はこれだけ来ていますよというのが配られるわけです。その中でも、寡婦控除を非婚の一人親にも適用すべきだという意見書が毎国会毎国会寄せられております。財務省にお伺いしますが、最近では幾つの自治体の議会からこの意見書は来ているでしょうか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。お尋ねの、寡婦控除を非婚の一人親にも適用すべきという旨の自治体からの意見書につきましては、平成二十七年分が三十三件、平成二十八年分は、昨日までの件数で三十五件提出されております。
○宮本(徹)委員 毎年寄せられているわけですよ。今、政府税調や与党税調で議論されている配偶者控除の見直しの意見書よりもはるかにたくさん来ているのを目にしているわけであります。麻生大臣のこの問題での過去の答弁も私拝見させていただきましたけれども、寡婦控除の非婚の一人親への拡大については、所得税の諸控除のあり方の議論の中で検討を行う、こういう答弁を繰り返されております。そして、今はまさにこの控除の問題、ことし議論されているわけですよ。ですから、もうこの問題は、ここまで来ているんですから、所得税の控除の問題も議論しているんだから、来年の税制改正で寡婦控除の問題についてもしっかり見直しを行って、非婚の一人親についてもこれと同等の控除が適用されるようにすべきではないかと思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 御存じのように、寡婦控除は、夫との死別とか、また、離婚などによって家族の生計というものが支えられないというような人に対して税制上の配慮を行うというのが基本でありまして、未婚の母には適用されていないというのが実態、御存じのとおりです。お尋ねのこの寡婦控除につきましては、平成二十八年度与党税制改正におきましては、家族のあり方にもかかわる事柄であることや、他の控除、例えば、先ほど出ました扶養控除とか配偶者控除とかとの関係にも留意をしながら、夫との死別とか離婚などの事情に基づく配慮という制度の趣旨を踏まえながら、「所得税の諸控除のあり方の議論の中で検討を行う。」とされたところであります。したがいまして、今は与党における検討というものを注視しつつ、今後必要な検討は行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 その与党税調の文言も私も見ているわけですけれども、「家族のあり方にも関わる事柄」というのは、先ほど言いましたけれども、もう公営住宅については、閣議決定でこの寡婦控除のみなし適用という形でクリアされている問題だと思うんですよ、政府としては。与党の皆さんもそうじゃないんですか。それとあとは、もう一つ言われているのは、「所得税の諸控除あり方の議論の中で検討を行う。」今まさに控除の問題については見直しの議論をやって、来年度の税制改正で何らかの結論を出そうとしているんですから、今までの与党税調の文言との関係からいっても、政府のこれまでの答弁の関係からいっても、いよいよ来年度の税制改正で私は結論を出すべきだというふうに思いますので、強く求めておきたいというふうに思います。最後に、残された時間で内部留保の問題についてお伺いしたいと思います。資本金十億円以上の大規模内部留保の積み上がりについて、ここ四年間どうなっているのか。これは史上最高額という認識でいいのか。数字の問題、お答えいただきたいと思います。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。お尋ねのありました企業の内部留保につきましては、法人企業統計年次別調査の利益剰余金が内部留保のデータとして用いられることが多いところでございます。調査結果によれば、金融業、保険業を除く、資本金十億円以上の大企業におけるここ四年間の利益剰余金は、二〇一二年度では百四十二・八兆円、二〇一三年度では百五十七・二兆円、二〇一四年度では百七十・五兆円、二〇一五年度では百八十二・二兆円と、ここ四年間では増加しているところでございます。直近の二〇一五年度の百八十二・二兆円は、本統計では過去最高額となっているところでございます。
○宮本(徹)委員 今、利益剰余金で見た場合、過去最高になっているというお話でした。実際、私たち、内部留保といったとき、利益剰余金だけじゃなくて、資本剰余金や各種引当金、資本準備金、こういうものまで入れる広義の内部留保という定義がありますが、これでいけば三百六十八兆円ということになります。大企業の内部留保が史上最高に積み上がった原因について大臣はどう認識されているでしょうか。
○麻生国務大臣 いろいろな見方があろうかと思いますが、少なくとも、各年度でこの三年ほどを見ますと、七十四、五兆円というものが、三年連続というのが、この九月一日までのところだと思っております。そのうち、給与に幾ら回ったか。約三兆円ぐらいだと思います。設備投資が幾らだったかな、八兆か九兆ぐらいだと思いますので、そういった意味では、基本的に企業が得た利益は、配当か賃金か設備投資か、その三つのどれかに大体総じて回るものなんですが、その比率の形が、かなり賃金というところが総じて低いというのがはっきりした傾向として出ております。加えて、労働分配率を見ましても、七七、八%あったものが七〇を切って六七とか八ぐらいになっているはずですから、そういった意味では、企業としては、その内部留保にためたものに関しては、少なくとも、今までは世の中がデフレですから、金を持っておけば、世の中の物価が下がっていくので金の値打ちは上がるんですけれども、今はそういう時代ではありませんので、頭を切りかえて、きちんとした内部留保をしかるべき賃金なり配当なり設備投資なりというものに回していくべきところがなかなか頭の切りかえが終わっていないのが大きな背景だと思っております。
○宮本(徹)委員 配付資料の三ページ目を見ていただきたいというふうに思います。これは、資本金十億円以上の大企業についてのみ取り出したデータです。労働分配率、あわせて、これは余り聞きなれない言葉だと思いますが、企業配分率という言葉で、これは、付加価値の中から企業に配分される営業純益、それを法人企業統計の中から抜き出して、労働分配率と同様の考え方で、営業純益割る付加価値でこの企業配分率というのを出してみました。数値が左でグラフが右ということになります。先ほど、企業全体の労働分配率の数字は大臣から紹介がありましたけれども、資本金十億円以上の大企業に限ってみますと、この労働分配率はもっと低い状況になるわけですよ。二〇一一年でいえば六〇以上あったのが、二〇一五年には五一・九までがくっと下がっております。一方、企業配分率というのを見ますと、二〇一二年の二〇%から、今は三〇%を超えるところまで上昇しているということになります。左側の数字の方を見ていただきたいんですけれども、人件費、二〇〇一年で見れば五十二兆円弱あったものが、これがだんだん下がって、二〇一五年は五十・七兆円というふうになります。ですから、この十数年のスパンで見ますと、人件費削減のために非正規雇用に置きかえてきたということだと思うんです。もし仮に、〇一年と同じ五十二兆円のペースで人件費を二〇一五年まで払っていたとこれは仮定した場合ですけれども、そうすると、支払われなかったものとの差額というのは、二十六・六兆円ということになります。私は、こうやって見ると、非正規労働への置きかえによる人件費削減が内部留保が大きくふえた要因だというふうに思います。それは大臣も同じ思いだというふうに思います。それからもう一つは、法人税減税の問題というのがあると思うんですよ。この間、営業純益がここまで大きくなって内部留保が積み上がったというのは、一九九七年以来から見れば、消費税増税と引きかえに法人税減税を積み重ねてきた。そのことが営業純益をふやし、企業配分率は増加、労働分配率は低下というのをもたらしたんだと思いますが、この点については大臣の認識はどうでしょうか。
○麻生国務大臣 先ほども申し上げたんですが、内部留保が増加した要因として、企業収益が順調に伸びてきたことに比べて、従業員の給与、賞与、また、設備投資の伸びが弱かったことは考えられるんだと思うんですが、企業において非正規労働者の活用というものが進んでいったということも事実ですが、一方で、足元では約八年ぶりに正規社員が増加に転じておりますので、内部留保の増加というものの御指摘の非正規労働者の大量雇用だけではなくて、このほかにもさまざまな要因というものが考えられる、私どもとしてはそう思っております。いずれにしても、現在の局面で、賃金引き上げと生産性の向上、これが両方ないと、生産性の向上がないと賃金の引き上げもできませんので、この両方の取り組みが必要なので、労使ともにこの取り組みが必要というような感じがしておりますので、民間の取り組みに大いに期待する。これは政府がどうのこうの言う話じゃありませんから、民間でしっかりやってもらわないかぬところですよ。政府としては、民間需要の持続的な経済成長というものの実現に向けて、これは、未来への投資というものを実現する経済対策を初めとする強い経済対策の実現を目指したものを今後ともやってまいりたいと思っております。また、今は企業分配率の話が出ていましたけれども、早い話が、法人税率を引き下げても、内部留保がたまっているだけじゃないか、賃金引き上げにもつながっていないではないかという御指摘なんだと思っております。先ほど申し上げましたとおり、これは間違いなく労働分配率というものを見ていただければ、その性向ははっきりしているんだと思いますので、私どもとしては、今回の法人税改革で、課税ベースというものを拡大します、その上で税率は引き下げるということで、企業に対して、収益力の拡大に向けた前向きな投資とか、また、継続的、積極的な賃金引き上げが可能な体質への転換というものを促してもらわないとだめですよというお話を申し上げているところであります。経済界においても、この法人税改革がもたらします経営環境の変化というものを踏まえて、得られた利益というものを従業員に適切に還元するというようなことで今積極的に貢献をしていこうという動きがいろいろ出てきていることを、これが今からどういった形で数字に出てくるか、期待しております。
○宮本(徹)委員 時間になりましたので質問を終わりますけれども、過大に積み上げられた内部留保を、一つは賃上げ、お願いをするだけではなくて、やはり、最低賃金をもっと速いスピードで抜本的に引き上げていく、雇用の正規化を進めていく、あるいは、税制や社会保障制度を通じて国民の暮らしに回す政策に抜本的に転換していくということが必要だと思います。そういう点でいえば、きのうの日経新聞の一面に、この間私が取り上げてきました研究開発減税の問題についても、これは続けていくんだと。本来縮小できる機会を、これを縮小せずにまた企業減税を延長していくというのは、全くこれは内部留保を積み上げるだけの愚策だということを申し上げまして、質問を終わります。