予算委員会提出資料① 「給付型」奨学金制度のしくみ
予算委員会提出資料② 世界各国の給付制奨学金受給率
予算委員会提出資料③ 「給付型」奨学金制度の財源
予算委員会提出資料④ 可処分所得と消費支出
予算委員会提出資料⑤ 「防衛関係」費の年度別推移
予算委員会提出資料⑥「防衛省関係」費の後年度負担額〈推移〉

日本共産党の宮本徹議員は27日の衆院予算委員会で、国立大学初年度納付金は81万7800円、私立大学は131万円にものぼる高い学費を告発し、長年の自民党政治によって高等教育の家計の負担が飛び抜けて重い国になるなか、授業料引き下げ私学助成を抜本的に拡充するべきだと迫りました。安倍政権が導入する「給付型」奨学金制度の問題点をただし、抜本的拡充を求めました。
宮本氏は、給付型奨学金の収入基準が住民税非課税世帯のみと極めて狭いうえ、人数も1学年約6万1千人の対象者に対し2万人の規模しかなく、「基準を満たしても給付制奨学金をもらえない人が出る。こんな小さな規模では、進学を断念せざるを得ない人はなくならない」とただしました。
さらに対象となる自宅通学の国立大学生は授業料減免を受けているため、給付額がゼロに減額されると告発し、「看板に偽りありだ」と批判。大学院生の返還免除制度の縮小など別の奨学金を削って財源を作りだそうとしていると指摘し、「小さなパイをめぐって、困っている人に譲り合いを求める。これでは未来は見えるはずがない」と批判しました。
安倍首相は「限られた予算の中で始めていく。効果を見定め、財源を確保するなかで増やしていきたい」と答えるにとどまりました。

≪論戦ハイライト≫

DSC00518「これでは経済的理由で進学をあきらめる人はなくならない」。日本共産党の宮本徹議員は27日の衆院予算委員会で、安倍政権の給付型奨学金や社会保障の実態を告発し、財源がないと言い逃れる安倍晋三首相に、軍事ではなく暮らし優先に予算を切り替えるよう迫りました。
安倍首相は施政方針演説で、「どんな家庭に育っても、誰もが希望すれば、大学に進学できる環境を整えなければならない」と述べました。
宮本氏は、進学をあきらめる背景には、大学の初年度納付金が国立で約82万円、私立で131万円と非常に高額になっている問題があるとし、「高すぎる授業料を引き下げるべきだ」と主張。安倍首相は答弁に立とうとせず、松野博一文部科学相も高学費に手をつける姿勢を示しませんでした。
安倍政権の給付型奨学金は、対象者を住民税非課税世帯に限定し、定数も2万人と全学生の2・53%にすぎません。各高校に推薦枠を振り分ける仕組みです。
宮本 政府試算で収入基準を満たす生徒は1学年15万9千人、そのうち大学進学者が6万1千人いる。基準を満たす高校生が推薦枠より多くいたらどうするのか。
文科相 給付型奨学金が受けられない学生は無利子奨学金を受けることができる。
宮本 基準を満たしても給付型奨学金をもらえない人がいるということだ。
首相 限られた予算のなかで給付型奨学金を始めていきたい。財源を確保するなかで増やしていきたい。
宮本氏は、各国の給付型奨学金の受給率が米国47%、英国48%など格段に高いことを示し、収入要件を広げるよう主張しました。
給付型奨学金は、国立大学に自宅から通う場合は月2万円、同自宅外なら月3万円としています。しかし、授業料減免対象者の自宅生には支給せず、自宅外生は月額2万円とする計画です。
宮本 住民税非課税世帯は国立大学なら全員授業料減免の対象者だ。つまり国立大の自宅生は給付型奨学金をもらえる人が1人もいないということだ。“看板に偽りあり”だ。
文科相 減免を受ける学生にさらに奨学金を支給するより、他のものに回した方がよいとの意見もある。
宮本 生活保護世帯の大学進学率は19%だ。今回の制度では経済的理由で進学をあきらめる人はなくならない。
宮本氏は、安倍政権が給付型奨学金の財源を大学院生の奨学金返還免除制度の縮小や奨学金借入額の制限で賄おうとしていることを告発。「小さなパイをめぐって、困っている人に譲り合いを求める。これで未来がみえるはずがない」と批判しました。安倍政権が実施した法人税減税が4兆円に上ることを示し、「学費の無償化と給付型奨学金の抜本拡充に真剣に努力すべきだ」と主張しました。
高齢者の窮状聞かない首相
宮本氏は、負担増と給付減によって脅かされている高齢者の窮状を告発しました。
宮本 街を歩いていると、「老人と病人は早く死んでほしいと政府は思っている」という声をよく聞く。
首相 われわれは聞いていない。
高齢者の窮状をみようとしない安倍首相に対し、宮本氏は年金生活者の毎月の赤字額が安倍政権になって拡大していることを示すグラフを提示。塩崎恭久厚生労働相も「ギャップがあるのはその通り」と認めざるをえませんでした。
宮本氏は、日本の軍事費が安倍政権のもとで5兆円を突破し、後払いの「後年度負担」も1兆円以上増えていることを示し、「軍事費ファーストから暮らしファーストの予算に転換すべきだ」と主張しました。

以上2017年1月28日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第193回 衆院予算委員会 第3号 2017年1月27日 各会派代表質疑 議事録≫

○宮下委員長代理 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。きょうは、まず、教育費の負担軽減について伺います。総理は、施政方針演説で、どんな家庭に育っても、誰もが希望すれば大学に進学できる環境を整えなければならない、こうおっしゃいました。現状はどうなっているか。国立大学の初年度納付金は八十一万七千八百円、私立大学は百三十一万円、先進国の中で高等教育への公財政支出が最低クラスという、長年の自民党政治によって高等教育の家計の負担が飛び抜けて重い国になっております。そのことで、経済的理由で大学進学を諦めざるを得ない人、中退せざるを得ない人も少なくありません。総理はこういう現状を改善するということですね。
○松野国務大臣 委員御指摘のとおり、意欲と能力のある学生が、その家庭環境にかかわらず、しっかりとした学習機会を得るというのは極めて重要なことであると考えております。このため、文部科学省では、これまでも授業料の減免の充実や奨学金制度の充実に努めてきたところであります。平成二十九年度予算においては、私立大学の授業料減免について、対前年度十六億円増の百二億円を計上し、減免対象人数を四・八万人から五・八万人、一万人増員しております。また、国立大学の授業料減免については、対前年度十三億円増の三百三十三億円を計上し、減免対象人数を五・九万人から六・一万人に増員したところであります。さらに、来年度からは、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにするとともに、返還不要の給付型奨学金を創設することとしております。文部科学省として、授業料減免や大学等奨学金事業の充実に今後ともしっかり取り組みまして、経済的理由により大学進学を諦めることがないよう、大学段階における教育費の負担軽減に努めてまいります。
○宮本(徹)委員 減免制度や奨学金のお話があったんですけれども、学費そのものが上がっているという問題についての指摘を私はしたわけですよね。私立大学の授業料は毎年上がり続けております。この四半世紀、デフレの時代だったわけですが、この間にも二十万円上がっております。なぜか。私学助成を減らしてきた。かつては私立大学の経常経費の二九・五%を支えていましたが、来年度予算はとうとう一〇%を割るということです。安倍政権のもとでも私学助成が減らされました。奨学金制度の拡充、給付制奨学金も国民の願いですけれども、一方で、授業料はどんどんどんどん上がっていく。こういう状況をつくったままだったら、これはマッチポンプじゃないですか。総理、やはり授業料そのものを引き下げていく、私学助成も抜本的に拡充していく、こういうところまで踏み込む必要があるんじゃないですか。どうですか。
○松野国務大臣 大学授業料の減免に関しましては、総合的に検討をする必要があると考えております。これはもちろん財源との問題を考えなければいけない問題でありますし、財源となりますと、当然のことながら国民負担の問題がございます。こういった観点から、総合的に勘案し、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 総理がなぜ答えられないのか全くわからないんですけれども。財源財源と言いますけれども、その気になれば、財源はどこからでもとってこられますよ。やる気の問題ですよ。今、学生の二人に一人が奨学金を借りる状況になっています。親の所得の低下もあるわけですけれども、デフレでも授業料はどんどん上がってきたという状況があるわけですよね。誰もが大学に希望を持てば行ける状況にしたいと、すると総理はおっしゃったんだから、高過ぎる授業料に手をつけるべきですよ。どうですか、総理。
○宮下委員長代理 松野文部科学大臣。
○宮本(徹)委員 もういいです。総理が答えないんだったら、いいです。同じ質問ですから、同じ質問に二回答えられても時間がなくなりますから、委員長、いいです。(発言する者あり)
○宮下委員長代理 では、質問を続けてください。
○宮本(徹)委員 今回、ようやく給付型の奨学金が具体化されるという状況になりました。果たしてこれで、誰もが希望すれば大学に進学できるようになるのか。パネルを見ていただきたいと思いますが、一学年二万人の規模だ、全学生の中で受給できるのはわずか二・五%だ、対象となる家計基準は住民税非課税世帯まで。政府の試算では、家計基準を満たす生徒は一学年十五万九千人、そのうち大学進学者は六万一千人。にもかかわらず、給付型奨学金の対象者は二万人。住民税非課税世帯の進学希望者でも受給できるのは三分の一以下と、大変狭き門になっております。松野大臣にお伺いしますが、これは一体どんな条件で誰が選ぶんですか。
○宮下委員長代理 松野文部科学大臣。(発言する者あり)速記をとめてください。
〔速記中止〕
〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○浜田委員長 速記を起こしてください。松野文科大臣。
○松野国務大臣 失礼いたしました。給付型奨学金の支援対象は、経済的理由により極めて修学に困難がある住民税非課税世帯の学生で、学習状況、進学意欲等において特にすぐれた学生としております。学習状況や進学意欲については、具体的には、各高校等が定める基準に基づき判断をし、推薦をしていただくことを想定しております。成績基準の目安等は、日本学生支援機構において定めるガイドラインにおいてお示しすることと考えております。実際の推薦に当たっては、生徒を一番近くで見ている校長や教員が進学の意欲や目的等の観点もあわせて評価を行った上で、各高等学校が責任を持って対象者を選定することとしております。
○宮本(徹)委員 それで、学校が推薦する、そのために、各学校に何人推薦枠があるのかという推薦枠をあらかじめ配分するということなんですね。松野大臣にお伺いしますが、学校推薦の基準を満たす高校生が学校に割り当てられた推薦枠より多くいたらどうするんですか。
○松野国務大臣 各学校は、無利子奨学金よりも高い水準となるように定めた、日本学生支援機構が示す学力・資質基準等に関するガイドラインを参考としつつ、各学校に割り振られた推薦枠の中で推薦することとなります。この推薦を得ることが、給付型奨学金を受給する対象者を選定する基準となります。給付型奨学金の支給が受けられない学生については無利子奨学金の貸与を受けることが想定されますが、無利子奨学金については平成二十九年度から、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が貸与を受けられるようにするとともに、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度を導入するなどの充実を図っております。給付型奨学金制度とあわせて無利子奨学金等を活用し、学生等の経済的負担の軽減に全力で取り組んでまいります。
○宮本(徹)委員 つまり、学校の推薦基準を満たす生徒が推薦枠より多かったら、無利子でやってください、無利子奨学金で我慢してください、こういう話なわけですよ。同じ程度の経済状況、学校の成績も同じぐらいの人がずらっと並んでいたらどうするんですか。学校の先生も大変な苦しみになりますよ、これは。基準を満たしても給付制奨学金をもらえない人がいるというのが今回のこの制度なんですね。こんな小さな規模では、総理、進学を断念せざるを得ない人はなくならないんじゃないですか。これは総理が答えてくださいよ。
○安倍内閣総理大臣 今まで、まさに今、宮本委員がおっしゃったように、これは、果たして不公平に、どこで線引きするんだというのが大きな議論でありました。その中で、給付型奨学金に対しては残念ながらずっと一歩前に踏み出すことができなかったわけでありますから、ここで、いかに限られた予算の中で私たちは給付型奨学金を始めることができるかということを我々は判断したわけでございます。確かに、今、宮本委員がおっしゃったような御批判もあると思います。しかし、その中で、まずは限られたこの予算の中において給付型奨学金を私たちは始めていきたい。そして、これをまずは安定的に運用し、しっかりと後押ししていくという効果を見定める中において、しっかりと財源を確保する中で我々はふやしていきたい、このように考えております。
○宮本(徹)委員 批判があるけれども財源がないから我慢しろというのは、総理が施政方針で言われた、誰もが希望すれば大学へ行けるという話と全く違いますよ。そして、住民税非課税世帯という収入基準も大変狭過ぎます。例えば、夫婦に高校生の子供一人という世帯でいえば年収二百二十一万円。大学進学率は収入によって違います。年収一千五十万円以上の層では六三%。年収四百万円以下の層では二八%。二倍以上違うわけですね。これが現実なわけですよ。希望する人が誰でも行けるようにするには、やはり収入要件はもっと広げるということが必要です。ちょっとパネルを見ていただきたいんですね。総理も世界と比べてほしいと思います。給付制奨学金の受給率、学生の中でどれだけの人が受けているのか。一〇〇%の国もあります。アメリカ四七%、イギリス四八%、フランス三四%、ドイツ二五%、カナダ三五%、お隣の韓国三二%。日本は今度の規模でいえば二・五%ですよ。ちなみに、この中で日本よりも低い受給率の国がありますが、こういう国は全部学費は無料です。総理、給付制奨学金はもっと多くの人が受給できるように抜本的に拡充しなきゃいけないんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 給付型奨学金についても、これは財源を確保して進めていくことが重要でありまして、我々は、現在、私たちの経済政策によってしっかりと税収を確保することができる中において、まさに成長と分配の好循環を回していくという考え方の中において給付型奨学金という判断をしたわけでございます。その中で、財源が限られている以上、どこかで線を引かざるを得ないわけでございまして、御理解を賜りたい、こう思う次第でございます。しかし、今回、私たちが給付型奨学金をつくることによって、数が少ないのではないかという御批判がございますが、しかし、その方々は間違いなく、これがなければ進学を諦めることになったかもしれない子供たちが進学できるようになってくるということは事実でございます。
○宮本(徹)委員 財源財源と言いますけれども、私は、やる気の問題だと思いますよ。東京都は、私立高校の授業料の無償化を発表しました。父母や生徒の皆さんの運動と一緒に、共産党都議団が求めてきたものです。対象は年収七百六十万円まで。東京都ができて他の先進国ができることがなぜできないのか。教育を受ける権利というのは憲法に書かれているわけですよ。七十年もかかって、憲法に書いてあることが実現できていない。私は、改憲を唱える前に、憲法に書いてあることをまず実現することが総理の責任だということを指摘しておきたいというふうに思います。給付額についてもただしたいと思います。パネルをちょっと戻しますけれども、政府のペーパーを見ますと、国立自宅生は二万円、国立自宅外と私立自宅は三万円、私立自宅外は四万円。この額は、非課税世帯の学生の生活費を踏まえて算出したということです。ところが、この給付額の後ろに「国立大学は授業料減免制度を踏まえ、給付額を調整」と書いてあるんですね。松野大臣、幾ら給付額を調整するんですか。
○松野国務大臣 国立大学においては国費による授業料免除制度が整備されていることから、免除を受けた国立大学生については、給付額の減額を含め調整することが公平性の観点からも適当であると考えています。具体的には、自宅生については、月額二万円のところ、支給しないこととし、自宅外生については、月額三万円のところ、月額二万円とすることを検討しております。その上で、給付型奨学金の対象者が国立大学に進学する場合には原則授業料の全額免除を行うこととし、そのことが進学前の段階であらかじめ予見できるようにすることが望ましいと考えており、今後、関係団体と調整をしていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 つまり、国立大自宅生の給付額は実際はゼロ円なんですね。メディアに流れているものは、全部二万円で流れていますよ。ところが、実際は一円も出ない。下宿生で二万円ということですよね。給付制奨学金の対象となる住民税非課税世帯というのは、国立大学でいえば全員が授業料減免の対象に既になっております。つまり、国立大自宅生は本当に誰一人もらえないという話ですよ。これは羊頭狗肉、看板に偽りありじゃないですか。経済的に厳しいから国立大学を選んで授業料減免を受けている方はいっぱいいらっしゃいます。私、先日、生活保護家庭出身で、都立高校から都内の国立大学に進学したAさんから話を伺いました。大学に進学して、Aさん分の生活保護費はなくなりました。東京都の児童育成手当も終了しました。八万円収入が減ったと。Aさんの場合は、民間の給付制奨学金を幸い受けられたから進学できた。しかし、民間の給付制奨学金なんて受けられる方は極めてまれな例ですよ。そうすると、こういう生活保護家庭で頑張って国立大学に進学しよう、そういう方の後押しには今度の制度は何一つならないという話じゃないですか。何の希望も見えないですよ。総理、授業料減免を受けたら給付額を一律にゼロにする、減らす、こういうのはやめるべきじゃないですか。
○松野国務大臣 高等教育における教育費負担の軽減については、従来から、意欲と能力のある学生が経済的理由により進学を断念することがないよう、奨学金制度や授業料免除などの各種方策を組み合わせながら、総合的に施策を講じてきたところであります。国立大学の授業料免除は年額五十四万円相当であり、これを受ける学生にさらに今回創設する給付型奨学金を支給することに関して、その一部または全部について、給付型奨学金を受けていない他の者に回す方がよいのではないかといった意見もあり、現在検討しているところであります。制度の詳細が固まり次第、速やかに公表させていただきます。
○宮本(徹)委員 総理、生活保護世帯の大学の進学率というのは、四年制大学でいえばわずか一九%ですよ。今回の制度では、経済的理由で進学を諦める人というのは絶対なくなりません。どんな家庭状況に育っても希望が持てる制度にすべきです。それで、総理は今回、給付制奨学金をやっと始められたんだと自慢されますが、財源を見ると、およそ自慢できるものじゃないんですね。給付制奨学金制度の財源をお伺いしたら、生活福祉貸付金の縮小のほか、現在の奨学金制度の見直しから出すという話なんですね。松野大臣、これは具体的にどう見直すんですか。
○松野国務大臣 給付型奨学金制度の導入に向けて財源を用意するに当たり、その一部については、奨学金体系を見直すことで捻出することとしております。具体的には、今般の奨学金の抜本的見直しのもと、平成三十年以降の本格実施を見据え、所得に応じた新たな無利子奨学金貸与上限額の設定、博士課程進学の後押しのための大学院業績優秀者返還免除制度の見直し等を行うこと等を想定しております。こうした見直しを踏まえ、中期的に安定的な財源を確保することにより、給付型奨学金制度の確実な運用を図ってまいります。
○宮本(徹)委員 今お話がありましたように、給付制奨学金制度をつくるために、今ある奨学金制度をいじるわけですよね。大学院生の奨学金返還免除制度を縮小するというお話がありました。総理、これは本末転倒じゃないですか。大学院生の四人に一人が奨学金を五百万円以上借りています。一千万円にもなる人もいます。先日話を伺った大学院生のBさん。奨学金月八万八千円とバイトで生活費を賄い、昼食は毎日カップラーメンだ、若手研究者のポストが減る中で一体将来返せるのかと、不安の中で研究しているというお話でした。今、研究者志望の学生が減っております。こんな中で大学院生の奨学金の返還免除制度を縮小したら、いよいよ研究者離れが進んで、私は日本の未来にとっても大変な損失だと思いますよ。それからもう一点、無利子奨学金の借りられる金額について、所得に応じた制限をかけるというお話がありました。私、先日、学生のCさんにお話を聞きました。六人兄弟だ、親はそれなりの収入はあるけれども、無利子奨学金だけでは足りないので有利子奨学金も併用しているというお話でした。今でも、無利子奨学金だけでは足りなくて、有利子奨学金と併用されている方はたくさんいらっしゃいます。松野大臣にお伺いしますが、無利子奨学金を受給している方のうち、どれくらいの方が有利子奨学金も併給していますか。数だけでいいです。
○松野国務大臣 直近、平成二十七年度の実績において、無利子奨学金の貸与を受けた約四十八万七千人のうち、有利子奨学金の貸与をあわせて受けた方は約十一万二千人です。
○宮本(徹)委員 つまり、無利子奨学金を借りている方のうちでも、無利子奨学金だけでは足りないと、有利子奨学金も借りている方が四分の一に上っているわけですよ。今度制限をかける無利子奨学金は、借りている家庭に高額所得者はいないですよ。もともと制度の対象外です。親が出す余裕がないから、有利子奨学金もあわせて借りている。これは、無利子奨学金で借りられる額を減らしたら、有利子奨学金で借りる額をふやさざるを得なくなるわけですよね。総理自身が進めてきた、奨学金は有利子から無利子へ、この流れとも逆行するじゃないですか。総理、経済的に困っている人のための給付制奨学金の財源を捻出するために、今ある奨学金の財源からつくろうとすると、新たに困る学生、院生を生み出すことになりますよ。タコが足を食うようなものですよ、これは。こうした財源の捻出方法は、総理が施政方針で言われた、誰もが希望を持てば大学に行ける、こういう話とは私は全く違うと思います。総理、給付制奨学金の財源づくりのために大学院生の奨学金制度を縮小することや、あるいは借りられる金額を制限する、こういう方法をやめて、ほかの方法で財源をつくるべきじゃないですか。
○松野国務大臣 まず、先ほどの貸与の上限設定についてでございますが、それは、その家庭の家計収入に応じてということであることを加えさせていただきたいと思います。奨学金制度については、給付型奨学金の創設、無利子奨学金の大幅な拡充など、今回、抜本的な制度改正を行うことを踏まえ、奨学金制度全体を見直したところで、より低所得の方へ支援を手厚くする観点から、現在、制度見直しの検討を行っているところであります。こうした見直しによりまして、奨学金制度全体として効果的に教育費の負担軽減がなされるよう、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
○宮本(徹)委員 文科大臣に答えさせるのは酷ですよ。文科大臣に答えさせたら、文科省の中から財源をつくりましょう、探しましょうという話にしかならないじゃないですか。全体を見渡して、財源をどこからどこへ持ってくるとできるのは総理ですよ。(発言する者あり)財務大臣は総理の指示のもとでやるんでしょうが。今議論してまいりましたけれども、どんな家庭に育っても希望すれば大学に進学できる環境と総理がおっしゃいますけれども、この中身がこれでは私は極めて不十分だと思いますよ。小さなパイをめぐって困っている人に譲り合いを求める、これでは私は未来が見えるはずがないと思います。財源は、やる気になれば幾らでもありますよ。安倍政権が行った、黒字の大企業への法人税の減税は四兆円。大学授業料の無償化をやってもいっぱいおつりが来ますよ。学費の無償化、給付制奨学金の抜本的拡充へ真剣な努力を求めて、次に、社会保障についてお伺いしたいと思います。経団連の榊原会長の年頭のメッセージを読むと、冒頭にこう書いてあります。政権基盤が安定している今だからこそ、社会保障制度改革や財政健全化、抜本的な規制改革など、国民の痛みを伴う改革に真正面から取り組むべきである。ひどいなと思いました。これは総理も同じ認識ですか。
○安倍内閣総理大臣 榊原経団連会長が御指摘のような意見を表明されていることは承知をしております。社会保障に関しては、少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、社会保障と税の一体改革に取り組んでいます。今回の医療、介護の見直しは、社会全体が高齢化し、医療費、介護費が増大する中で、制度を持続可能なものとし、次世代に引き渡していくため必要なものであります。このため、高齢者の方々にも負担能力に応じた御負担をいただくものでありまして、社会保障制度を持続可能なものとして次世代に引き渡していくことは安倍内閣の重要な使命であります。所得の低い方々などにはきめ細かな配慮を行うことは当然でございますが、そうしたことも含めて、十分な説明を行い、国民の御理解をいただいていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 総理は持続可能な制度だと言いますけれども、制度だけ持続して高齢者の暮らしが持続可能でなくなれば、これは本末転倒だというふうに思いますよ。高齢者の暮らしが持続可能でなくなれば、経済面でも介護の面でも現役世代が支えるしかないということになります。大体、経団連の献金を受けて、経団連の言うとおりに国民の痛みを伴う改革を進めていく、これが今度の予算案になっているわけですよ。医療費も介護費用も負担増、後期高齢者の保険料も軽減制度がなくなります。市民の皆さんからよくこういう声を聞くんですよ、政府は老人と病人は早く死んでほしいと思っているのねと。総理はこういう声を聞かれたことはないですか。
○安倍内閣総理大臣 今、老人と病人は早く死んでほしいと政府は思っているのねという声をよく聞かれるということでございますが、皆さん、聞いたことがありますか。政府は思っているなんという声は我々は聞いていないわけでございまして、安倍内閣は一億総活躍社会の実現を目指しているわけでありまして、高齢でも元気で社会参加が続けられるようにしていく、病気になっても適切な治療が受けられ、また意欲があれば仕事も治療もしながら、あるいは仕事も続けたいと思う方がおられれば両立が可能になる、そのような社会を実現するためにさまざまな施策を進めているわけでございまして、今回の医療、介護の見直しでは高齢者の方々にも負担能力に応じた御負担をお願いしていますが、所得の低い方々などにはきめ細かな配慮を行うこととしております。社会保障・税一体改革においては、所得の低い方々の保険料軽減などの充実を図っていくこととしております。また、御負担をお願いするばかりではなくて、御負担に見合うよう、医療、介護のサービスを効率的で質の高いものとしていくことが必要であります。疾病の予防や介護予防の取り組みやビッグデータの活用を推進して、効率的で満足できる医療、介護の提供体制の確立を目指しているわけでありまして、むしろ私たちは、高齢者の皆さんにはいつまでもお元気で活躍をしていただく、人生を楽しんでいただけるような、そういう日本をつくっていきたい、このように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 批判の声を聞いたことがないというのは驚きですね。本当に、町を歩いて多くの皆さんの声を聞いた方がいいと思いますよ。なぜそういう批判の声が出るのか。年金生活者の家計がどうなっているのか。パネルを見ていただきたいと思います。毎月の可処分所得から消費支出を引いた額、年金生活者夫婦世帯で見ますと、二〇〇〇年は八千九百七十九円、これが二〇一五年では六万二千三百二十六円。これは赤字が拡大しているわけですね。単身者世帯、二〇〇〇年の二万五千九百三十六円から、二〇一五年は四万一千百九十五円。これも赤字が拡大しております。とりわけ安倍政権のもとで家計の赤字が大きく拡大をしております。この上、昨年、年金カット法を強行されました。二〇一九年には消費税増税。さらに、今後の改革工程表、財務省の案では、七十五歳以上の後期高齢者の窓口負担は二割、介護保険料も原則二割、年金の支給開始年齢も引き上げ、こういうことが検討課題になっているわけですよね。総理、安倍政権が続くと、この高齢者の家計の赤字はどんどんどんどん拡大していく、こういうことになるんじゃないですか。
○塩崎国務大臣 今お配りをいただいているこのグラフの差を赤字と呼ぶならば、これは基本的には、人間はやはり現役のときに働いて所得を得て、そして引退してからそれを言ってみれば使っていくということでありますから、当然、支出と所得の間にこういう形のギャップがあることはそのとおりだろうと思います。いずれにしても、今総理から答弁申し上げたように、高齢者の方々にも負担能力がある方にはそれに応じて負担をしていただくということである一方で、当然のことながら、低所得の方々には十分配慮をきめ細かくしながら、今回また皆様方に御審議をいただくような形での医療あるいは介護のサービスの提供の仕方、そしてまた保険料負担のあり方などをお願いしているわけでございますので、私たちは、そういったところに十分配慮をしながら、社会保障の持続可能性というものをしっかりと確保していくという努力を絶えず続けていかなければいけないというふうに思います。
○宮本(徹)委員 高齢者の赤字は、低所得者の世帯でもどんどん拡大をしているのが現状ですよ、現実ですよ。私は、この道は社会保障政策としても間違っていると思いますが、経済政策としても間違いだと思いますよ。消費のかなりを高齢者が占めているのは当然のことですが、今、政府の経済財政白書でも、現役世代が将来不安、老後の生活設計の不安で消費を冷え込ませていると書いているわけですよね。こういう形でどんどんどんどん赤字を拡大していく、社会保障を削減していく、こうなれば、現役世代の将来不安はますます拡大して、個人消費はますます停滞して、経済政策としてもどん詰まりになっていく道だと私は思いますよ。こういう未来のない道は転換すべきだと思います。安倍政権は、社会保障は自然増の分まで削減する一方、軍事費は聖域にしております。この第三次補正予算は、税収が減って赤字国債を発行しなければならない、こういう事態になったにもかかわらず、軍事費、防衛省予算を計上しております。稲田大臣、三次補正まで含めたら、二〇一六年度の防衛省予算は幾らになりますか。
○稲田国務大臣 平成二十八年度第三次補正予算案については、当初予算編成後も刻々と変化する安全保障環境や自然災害の発生状況に応じて必要となる経費として、千七百六十九億円を計上しております。その結果、平成二十八年度当初予算、第二次補正予算、第三次補正予算を修正減少額を加味して機械的に合算すると、五兆四百二十四億円となります。
○宮本(徹)委員 安倍政権のもとで、毎年補正予算も使って軍事費はどんどん増大させている。日米新ガイドライン、安保法制のもとで軍拡に拍車がかかっております。それだけじゃないんですね。防衛省の武器の購入というのは、契約年度には払わずに、後払いが認められております。この後払いのローンの残高、後年度負担といいますが、これが安倍政権になって大きくふえております。稲田大臣、この五年間で後年度負担の総額は幾らから幾らにふえていますか。
○稲田国務大臣 防衛関係費における後年度負担額は、平成二十四年度時点で三兆五百五十五億円、平成二十九年度時点で四兆六千五百八十九億円となっております。いずれにせよ、この防衛関係費については、後年度負担も含めて、平成二十五年十二月に閣議決定した中期防衛力整備計画等を踏まえ、計画的な予算編成を行うこととしており、際限なく膨張するかのような批判は当たらないと思います。
○宮本(徹)委員 後年度負担は、安倍政権以前は、民主党政権のときも自民党政権のときもふえていなかったんですよ。それは、毎年、また新たにする後年度負担とその年払う借金のツケ払いが同じぐらいで推移してきたからですよ。それが、そのバランスが極端に安倍政権のもとで崩れて、後年度負担がどんどんどんどん拡大しているわけですよ。未来の予算をどんどん奪い取っているという状況が生まれているわけですよ。これは、次の衆議院選挙で安倍政権が倒れて野党連合政権になっても引き継がなきゃいけない、負の予算だということになるじゃないですか。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○宮本(徹)委員 総理、後年度負担をこんな形でふやしていけば、未来に向かって軍事費がどんどんふえ続けていきますよ。この上、トランプ大統領から米軍駐留経費の負担増だとかを求められていったらどうなるのか。際限なく軍事費の増大が続いていく、暮らしのための予算を際限なく圧迫していくということになりますよ。日米同盟ファースト、軍事ファーストから暮らしファーストの予算編成へ抜本的に組み替えることを求めて、質問を終わります。
○浜田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。