2017年4月3日 決算行政監視委員会 「戦前の二の舞」懸念 「教育勅語」答弁書追及

決算行政監視委員会提出資料① 塚本幼稚園幼児教育学園HPより
決算行政監視委員会提出資料② 教育勅語
決算行政監視委員会提出資料③ 防衛省提出資料

日本共産党の宮本徹議員は3日の衆院決算行政監視委員会で、すべての徳目を天皇への命がけの忠義と結びつけた教育勅語について、安倍政権が「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を決定(3月31日)したことを受け、園児に勅語を暗唱させるなどしていた森友学園の教育方針のような過ちにつながるのではないかと追及しました。
宮本氏は、森友学園の新理事長が教育勅語の暗唱を見直すなかで答弁書が決定されたことに触れながら、「徹頭徹尾、主権在君の天皇から国民への命令であった教育勅語に、1ヶ所でも日本国憲法に反しない部分があるのか」と質問しました。
松野博一文科相は「どの一文をもって憲法に違反しているのか、反していないのかを決める解釈権を文科省はもっていない」「すでに中学社会課などで歴史の理解を深める参考資料として掲載されている」と述べました。
宮本氏は、憲法に反しているのか、反していないのか分からないのであれば、「『憲法や教育基本法に反しないような形で』などというのは実践のしようがない」と批判。教育勅語を戦前教育の反省材料として使用することを例外にして、「勅語のなかに、憲法に反しない部分があるかのような解釈で教えることがあるならば戦前の二の舞になる」と強調しました。

以上2017年4月4日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2017年4月3日 第193回衆院決算行政監視委員会第2号議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。先ほど麻生大臣から決算は大事だという御発言がありましたけれども、四年分の決算同時並行という状態になりました。私たち野党の側はさんざん決算をやるべきだということを言ってまいりましたが、この間、安保法制やTPPを優先する官邸、それを受けての与党国対というところの責任は重大だということを初めに指摘しまして、質問に入ります。まず、ヘイトスピーチ対策について伺います。大相撲の三月場所で、照ノ富士に対してモンゴルに帰れというやじが飛んだことが大きく報じられております。私も大相撲ファンの一人として大変悲しい気持ちにもなりまして、憤りも持ちました。モンゴルへ帰れという大見出しをつけたスポーツ新聞もあって、この新聞はその後、批判もあって、ネット上の記事から文言を削除した上で、ヘイトスピーチを想起させる表現があったとおわびの表明をいたしました。きょうは法務大臣に来ていただいておりますが、このモンゴルに帰れというのはヘイトスピーチに当たるんじゃないですか。
○金田国務大臣 お答えします。委員御指摘の件につきましては報道等により承知はいたしておりますが、具体的にどのような言動が不当な差別的言動に該当するかどうかは、具体的な言動の背景や前後の文脈、趣旨等によって判断されることになりますため、一概にお答えすることは困難であります。コメントは差し控えたいと思います。なお、いわゆるヘイトスピーチに関して一般論として申し上げますと、不当な差別的言動はいかなる者に対してもあってはならないものであります。ヘイトスピーチの解消に向けた法律の趣旨を踏まえて、今後もその解消に向けた取り組みは適切に推進してまいらなければならない、このように考えております。
○宮本(徹)委員 法務省作成の典型的なヘイトスピーチの例を見ても、地域社会から排除することを扇動する言動という例の中で、○○人は祖国へ帰れというのがありますよね。これに当たるんじゃないですか。○○人は祖国へ帰れ、これは典型的なヘイトスピーチだ、間違いないですね。
○金田国務大臣 繰り返しにはなりますが、具体的にどのような言動が不当な差別的言動に該当するかどうかというものは、具体的な言動の背景、前後の文脈、趣旨等によって判断されることになりますため、一概にお答えすることは困難であります。なお、ヘイトスピーチに関して一般論として申し上げますと、不当な差別的言動はいかなる者に対してもあってはならないものであるということが大切でありまして、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の趣旨を踏まえて、今後もその解消に向けた取り組みは適切に推進しなければならない、このように考えております。
○宮本(徹)委員 同じことを二回読まれても困るんです。典型的なヘイトスピーチの例で、法務省自身が○○人は祖国へ帰れと挙げているんだから、当然これはヘイトスピーチに当たるんじゃないですか。○○人は祖国へ帰れという表現はヘイトスピーチの典型例ですよね。これは変えたんですか。
○金田国務大臣 委員御指摘の件について報道では承知しておりますが、その詳細について承知しているわけではありません。コメントは差し控えたいと申し上げたとおりであります。しかし、一般論では、申し上げたとおりでもございます。
○宮本(徹)委員 だから、一般論では、○○人は祖国へ帰れというので典型的なヘイトスピーチ例として法務省自身が作成しているのは、これは変えていないわけですよね。そこは確認させてください。
○萩本政府参考人 今委員から御指摘のありました法務省がつくっている資料というのは、恐らく、法務省が、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の昨年の施行を踏まえまして、地方公共団体がヘイトスピーチの解消に向けた施策を行うに当たって参考となる情報をまとめて提供したものを指しておっしゃっているというように今理解をいたしました。作成した事務局の立場でお答えしたいと思いますが、御指摘のとおり、法務省が作成したその資料の中で、○○人は祖国へ帰れというものがヘイトスピーチあるいはヘイトスピーチの解消に向けた法律の定めるところの不当な差別的な言動に当たり得るということは、そう指摘したとおりで、そこは変わっておりません。ただ、それはあくまで該当し得ると言っているものでございまして、むしろ、その前後をごらんいただければおわかりのとおりですが、同一の文言であれば常に該当するというものでもなく、どのような状況や背景のもとで行われたのか、あるいはその前後の文脈、どのような意味合いで用いられたのか等によって該当するか否かの判断は変わり得るということをあわせて付言しているところでございます。
○宮本(徹)委員 ヘイトスピーチ対策法ができたんですから、もっと真剣にこういう問題に対応しなきゃいけないと思いますよ。かつてJリーグでは、サポーターがジャパニーズオンリーという横断幕を掲げたことがありました。その際、Jリーグは、浦和に対して無観客試合にしました。そして、浦和も、そのサポーターについては出入り禁止の処分というのをやったわけですね。FIFAも日本サッカー協会も、人種差別等は許さないガイドラインを定めております。私は、相撲協会でも、こういった○○へ帰れ、ヘイトスピーチの類いを許さない相撲観戦のルールをしっかりつくっていく必要があるというふうに思います。大相撲では、相撲競技観戦契約約款というのがあります。これを見ると、暴言は禁止行為となっているんですね。その場合は退場だとかもできるという規定にはなっていますが、こういうのを知らない観客も多いと思いますし、ヘイトスピーチはだめというのは明示的には入っておりません。文科大臣、モンゴルへ帰れ、こういったヘイトスピーチ再発防止のための対策を具体的に相撲協会と協議、助言する必要があるんじゃないかと思いますが、どうですか。
○松野国務大臣 議員御指摘の件につきましては報道等により承知をしておりますが、その詳細については承知をしておりません。一般論で言えば、スポーツは人種、言語、宗教等の区別なく参画できるものであり、いかなる差別も許容されるべきではありません。日本相撲協会では、今委員の方から御紹介があった協会が定める相撲競技観戦契約約款において、暴言や脅迫等の粗暴行為を禁止し、こうした行為を行う観戦者に対しては必要に応じ退場など厳しく対処することと聞いております。文部科学省としては、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律が施行されたことなども踏まえ、スポーツ関連団体に対して不当な差別的言動の解消の必要性について広く周知を行うなど、スポーツ界における差別の根絶に取り組んでまいります。
○宮本(徹)委員 今回の件を受けて、具体的に相撲協会と協議される、こういう考えはないですか。
○松野国務大臣 今、相撲協会は御承知のとおり直接的に文科省の所管ではございませんが、相撲を広くスポーツとして考えたときに、やはり大相撲のありようも、委員のお話があったとおり適切に運営されることが肝要かと存じます。まず事実関係をしっかりと確認させていただいた上で、適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 適切に対応されるということですので、しっかり協議、助言していっていただきたいというふうに思います。次のテーマに移ります。法務大臣、御退席いただいて結構でございます。次に、森友学園の問題についてお伺いいたします。国有地の値引き額八・二億円が妥当なのかということがずっと議論になってまいりました。これまでの政府の説明では、深さ九・九メートルまで高密度でごみがあるという説明、ごみの混入率は四七・一%、これが八・二億円値引きの根拠だったわけですね。ところが、この間の国会での答弁を聞いていても、九・九メートルの深さまでごみがあるのを実際に確認したわけではないわけですよね。誰も確認していないわけです。説明で出てくるのは、掘削工事中に廃材が出てきた、掘削機の先端部に絡みつくほどの廃材があった、だから九・九メートルまであったんだろうという推察だけが述べられるわけですよ。推察ではなくて確たる根拠というのは結局示せないんですか、石井大臣。
○石井国務大臣 今回の当該土地の地下のごみでありますけれども、くいが掘削した箇所については九・九メーター、対象面積五千百九十平米ですが、そのほかのところは三・八メーターと判断してごみの量を算出しているわけであります。くいの掘削箇所の九・九メーターの深さにつきましては、一つは、近畿財務局、大阪航空局の職員が、平成二十八年三月十四日でありますけれども、実際に廃材等を含む土砂が現場で積み上がっていることを現地確認した。これは前年の十一月の現地調査では廃材等が確認できなかったことから、くい工事中に廃材が出たと判断できるということであります。二つ目には、平成二十八年二月から三月にかけて実施された九・九メーターのくい掘削工事において廃材等のごみが大量に発見され、これを工事関係者からのヒアリングや掘削中の様子を示す工事写真により確認をしたこと。さらに、この土地が昭和四十年代初頭まで池や沼でありまして、その後、昭和四十二年から四十三年にかけて埋め立てられたわけでありますが、昭和四十五年の廃棄物処理法の施行前でございましたので、埋め立てた当時、あるいはそれ以前から地下の深い層から浅い層にかけて廃材等を含む相当量のごみが捨てられた、蓄積していると考えられること。こういったことを踏まえまして、くい掘削箇所につきましては地下九・九メートルの深さまで廃材等が存在すると判断をしたものでございます。
○宮本(徹)委員 その答弁は何回も聞いているんですけれども、あったであろうという話であって、九・九メートルまでごみがあったというのは誰一人現認していないんですよ。そういう推論で国民が納得していないというのが、この間の世論調査で示されていることだと思うんですよね。私はきょう、石井大臣に一つ提案したいんです。本当に九・九メートルまで高密度のごみがあったのかどうかはっきりさせるために、今からあの土地を掘るべきじゃないですか。どうですか。
○石井国務大臣 本件土地につきましては、売買契約において、瑕疵担保責任を免除する、将来にわたって本件土地が抱える一切の瑕疵について売り主である国の責任を免除する特約を付すことを前提に地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりをしているわけですが、これは、先ほど申し上げた検証可能なあらゆる材料を用いて判断しているということ、さらに校舎や児童の生活の安全性の確保の視点も踏まえて、将来にわたってリスクとなり得る地下埋設物の存在範囲を合理的に設定し、その上で、国土交通省が定め、かつ、一般にも公表されております公共工事の一般的、標準的手法である空港土木請負工事積算基準に基づき見積もりを実施していることから、この八・二億円の見積もりは適正なものであったと考えておりまして、改めて試掘を行う必要はないと考えております。
○宮本(徹)委員 いや、八・二億円が幾ら適切だというふうに大臣がおっしゃっても、九・九メートルまでごみがあったというのは誰も見ていないんですよ。それは大臣も認めるわけでしょう。誰も見ていないものを信じろ信じろ信じろと言ったって、国民は信じようがないですよ。今から試掘すればいいじゃないですか。掘ってみればわかるんですよ、あるかどうか。それがプリンかどうか確認するためには食べてみればわかるんだと言った方もいますけれども、掘ればわかるじゃないですか。これだけ国民が疑念を持っているんですよ。正しい正しいと言うんじゃなくて、掘ればいいじゃないですか。どうですか。
○石井国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、本件土地につきましては、買い主が将来にわたって売り主である国の責任を一切問えないという瑕疵担保責任を免除する特約を付すことから、現在のリスクのみならず将来にわたるリスクも含めてこの瑕疵担保責任を剥がすということを考えているわけでございます。したがって、将来にわたってリスクとなり得る地下埋設物の存在範囲を合理的に設定し適正な見積もりを実施しておりますことから、改めて試掘を行う必要はないと考えております。
○宮本(徹)委員 それは、もう国民の疑念を晴らす必要はないと言っているようなものに等しい答弁ですよ。将来のリスクと言いますけれども、九・九メートルまでごみがなければリスクにならないわけですよ。九・九メートルまでごみがあるということを証明しない限り、今の石井大臣の答弁というのは成り立たないんですね。麻生大臣、この土地は、国に戻ってくる手続を今始めていると思いますけれども、戻ってきたらどうせまた売ることになりますよね。売る際には、ごみがどれだけあるのかというのをまた調べなきゃいけないわけですよ。いずれにしても、このごみの確認というのはこれから国にとっては絶対必要な作業になるわけですね。だったら、これだけ国民が疑念を持っているんですから、白黒はっきりさせるために今掘る。いずれ掘るんですから、ごみの確認をしなきゃいけないんですから、一緒だと思いますよ。麻生大臣、そう思われませんか。
○麻生国務大臣 これは、今、石井大臣が答弁されていたんだと思いますが、まず、いずれ売ることになる。買う人がいますかね、真面目な話。これはすごく大事なことですよ、すぐ簡単に売ると言うけれども。買う人がいないからこれはこれだけ問題になったんですから、もともと。だから、その上で、買う人がいる当てもないのに今ボーリングすればそれだけ政府としては金がかかりますから、私どもとしては、なるべく経費は少ない方がいいです。買う人が決まってから、その上でその方と相談させていただきます。
○宮本(徹)委員 いや、別に買う人がいなかったわけじゃなくて、大阪音大だって手を挙げていたわけじゃないですか、森友学園の前に。欲しいというところは、豊中市だって、一番初めは、市の計画としてはあの土地まで含めて防災公園にしたかった、でも、費用の面で話がつかなかったという経過があるわけですよ。結局、ごみがあったかどうか、真実を確認するのが怖いという話なんじゃないですか。今の政府の答弁を聞いていても、そうとしか聞こえないですよ。結局、掘らないというのは、真実を隠したい、これだけじゃないですか、石井大臣。違いますか。
○石井国務大臣 先ほど答弁したとおりでございます。
○宮本(徹)委員 それでは国民は絶対納得しない、真実を隠したい、ごみがないと証明されることが怖いんだということを言わざるを得ないと思います。きょう、会計検査院にも来ていただいております。森友学園への国有地払い下げの値引きの妥当性を検証されていると思いますが、九・九メートルまで試掘するというのも私は重要なツールの一つではないかと思いますが、お考えを聞かせていただけるでしょうか。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。委員お尋ねの国有地の売却につきましては、去る三月六日に参議院予算委員会から、国会法の規定により、「学校法人森友学園に対する国有地の売却等について」との検査の御要請をいただいたところでございます。具体的な検査の内容としては、大阪府豊中市の国有地の貸し付け及び売却の経緯、貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性、当該国有地の貸し付け及び売却に関する行政文書の管理状況の三事項とされたところでございます。御要請を受けて、会計検査院は、三月七日に、会計検査院法の規定に基づき、当該検査を実施する旨を参議院議長宛てに通知申し上げたところでございます。現在、検査を実施中の個別の事項に関する検査手法についてお答えできないことを御理解いただきたいと存じますが、会計検査院といたしましては、御要請をいただいた本件国有地の売却等につきましては、多角的な観点から適切な方法で検査を実施してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 多角的な観点からと。この問題をはっきりさせるためには、やはりごみが九・九メートルまであったかどうかをはっきりさせるというのが値引きの妥当性を検証する上でどうしても必要なことだと思いますので、予算も確保していただいて掘る、はっきりさせるということも含めて検査していただきたいと思いますので、御検討をよろしくお願いしたいと思います。次のテーマに移ります。国交大臣、石井大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。次に、教育勅語についてお伺いをいたします。配付資料を見ていただきたいと思います。これは、塚本幼稚園の新理事長が出された新しい声明でございます。この中で、これまで教育勅語の暗唱だとか自衛隊行事への参加ということをやってきたわけですけれども、これは改正教育基本法の愛国心に基づいてやってきたけれども、今後はその考え方を見直す、そして、一九四七年の旧教育基本法で定めた、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を念頭に置いて、内容、カリキュラムを見直すというふうに言われております。つまり、塚本幼稚園自身は、体制がかわったもとで、教育勅語の暗唱を見直す方向を打ち出しているわけです。ところが、その一方で、先週末の閣議決定でこういう答弁書を安倍政権は出したわけですね、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語について教材として用いることまでは否定されることがないと。この意味を私はきょう確認したいと思っています。大臣御存じのとおり、戦後、衆議院の教育勅語の排除の決議では、教育勅語についてこう言っていますね。根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損ない、かつ国際的信義に対して疑点を残すものとなる、こう書いてあります。つまり、教育勅語は徹頭徹尾主権在君、天皇から国民への道徳を守れという命令であって、国民主権を定めた憲法に反していると思います。きょう大臣にお伺いしたいのは、教育勅語の中で憲法に反しない部分というのは一カ所でもあるんでしょうか、その点を確認したいと思います。
○松野国務大臣 お答えをいたします。委員の方から、この内容に関して一カ所でも反しない部分があるかということでございますが、教育勅語に対しては、文部科学省の見解は、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失しているということでございまして、どの部分が憲法に反するか反しないかに関しての判断を文部科学省においてするものではないと考えております。
○宮本(徹)委員 驚いた答弁ですね。だって、閣議決定で、憲法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではないと言っているんですよ。憲法に反しないような形で教材として用いることが否定されるものではない。だから、憲法に反するような形では使っちゃだめですよと言っているんですから、憲法に基づいて、これが反しているのか反していないのかとはっきりさせないと、こんな答弁書を閣議決定できるはずがないじゃないですか。一カ所もないんじゃないですか、憲法に反しない部分は。はっきりさせてくださいよ。憲法に全て反している、憲法に反しない部分は一カ所もないと思いますよ。
○松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございます。どの一文をもってこれが憲法に反するか反しないかという解釈権の問題については、文部省が解釈権を持っているわけではないというのが先ほどの答弁の趣旨でございます。
○宮本(徹)委員 それでは、そういう答弁だと、結局、先週の閣議決定された答弁書の、憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではないというのは、実践のしようがないじゃないですか、実践のしようが。もちろん我々、歴史教育の中で、戦前の教育の間違い、戦前、ああいう戦争に向かっていく中で、教育に関する勅語やあるいは軍人勅諭が国民を思想的に動員するものになった、こういう反面教師の材料として使う、扱うというのはあり得る話だと思いますよ。だけれども、それ以外のやり方で、教育勅語に、どこかこの中に一文でも、きょう資料でもつけていますけれども、憲法に反しないところがあるということを考えていたら大問題だと思うんですね。その点はどうですか。
○松野国務大臣 今回の閣議決定した答弁書において、憲法や教育基本法に反しない形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されるものではないという答弁でございます。ですから、今の話のとおりでありますけれども、憲法や教育基本法に例えばその内容自体が趣旨として反するものであっても、要はそれの教え方がどうかということがポイントだということでございます。例えば、教育勅語の全文または一部が、もう既に中学校の社会科の教科書や高等学校の歴史科、公民科の教科書において歴史的事実を学ぶための参考資料として掲載されているところであります。これは、各学校、児童生徒が我が国の歴史についての理解を深める観点からその資料を使っているわけでありまして、そういった用い方、教育指導の内容においてこれらが教育勅語を教材として用いることには問題がないというのが今回の答弁書の趣旨でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、戦前の教育がおかしかったという歴史的事実を学ぶ材料として使うのは今でもやっていることだ、そういう意味以上のものではないということですね。その範囲なら、それは当然のことだと思いますよ。ただ、先ほど来、教育勅語の内容について憲法に反するかどうかという点についての答弁は避けられ続けているわけですけれども、もし、教育勅語の中にどこか一カ所でも憲法に反しない部分があるかのような解釈をもってこれを教育現場で教えるということになったら、私は、戦前の二の舞ですし、昨年度までの塚本幼稚園のような教育を広げていくという過ちにつながっていくことを厳しく指摘しておきたいと思います。もう一点、きょうは稲田大臣にも来ていただきました、籠池氏への累次にわたっての防衛省からの感謝状についてお伺いしたいというふうに思います。籠池氏に防衛大臣感謝状が贈呈された理由は、海上幕僚長が出した上申書によりますと、将来の青少年への防衛思想の普及、ここに功労があったということでございます。きょう、資料を配っています。資料の三をごらんいただきたいと思います。籠池氏が園長を務めている塚本幼稚園の児童が、自衛隊が支援している行事に参加したものの一覧でございます。これを見ればわかりますけれども、毎年、海軍慰霊祭というものに参加しております。ここで塚本幼稚園児がセレモニーの一環として教育勅語の唱和を行っていることは、塚本幼稚園のホームページにも、そしてこの資料の下にも書いてありますように、水交会、自衛隊OBなどが入っております団体であります水交会のホームページにも記載をされております。そして、そこにありますように、海軍慰霊祭には、自衛隊の儀仗隊、それから幹部の皆さん、呉地方総監、阪神基地隊司令、あと、この資料に出ていませんけれども、近畿中部防衛局長なども参加しております。稲田大臣にお伺いしますけれども、自衛隊が支援するこうした行事で幼稚園児が教育勅語の唱和を行うということについて、幹部の皆さんも行事に参加されてきたわけですが、誰一人としておかしいと思う人はいらっしゃらなかったんでしょうか。
○稲田国務大臣 まず、委員御指摘の行事ですけれども、それは部外の団体が主催したもので、防衛省・自衛隊が参加した行事に塚本幼稚園の園児が参加された十四件のうち、十三件の行事に海上自衛隊呉地方総監や阪神基地隊司令が参加していることを確認いたしております。その上で、塚本幼稚園の園児が参加した当該十四件の行事の中で塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っているか否かについて関係者への聞き取りや残されている資料の確認をいたしましたが、現時点で、塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っていたことを確認はしていない、これは前回も外務委員会で御答弁をしたとおりだと聞いております。いずれにいたしましても、部外の団体主催の行事の内容について防衛省としてお答えする立場にはなく、お答えは差し控えたいというふうに思います。
○宮本(徹)委員 部外、部外と言いますけれども、水交会というのは自衛隊のOBの皆さんがつくられている団体で、自衛隊が相当支援しているわけですね。儀仗隊だとかラッパ隊だとか、みんな一緒に参加してやっているわけですよ。幹部の皆さんも参加しているわけですよ。全く無関係の団体で、何かどこかのセレモニーにちょこっと行ったという話じゃないんですね。毎年のように自衛隊が部隊まで派遣して、儀仗隊やラッパ隊まで派遣して、幹部の皆さんも必ず行くようにしているこの海軍慰霊祭の行事の話を聞いているわけですね。そこに毎年、位置づけて参加されているわけですね、自衛隊の幹部の皆さんも。承知していないという話じゃないと思うんですね。先ほど、聞き取りを行ったと言いますけれども、聞き取りすればわかるはずですよ。ホームページにも教育勅語を唱和する様子というのは動画でも出ているわけでありますし、日報問題と一緒ですよ。大臣がちゃんと調べろということをやれば、すぐわかる話だと思いますよ。ちゃんとこれを調べさせてくださいよ。
○稲田国務大臣 当該十四件の行事の中で塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っているか否かについて、関係者への聞き取りや残されている資料の確認をいたしました。ホームページに記載されていることは承知をいたしておりますが、現時点で、関係者への聞き取り、残されている資料等において塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っていたことを確認はしていないということを申し上げているところでございます。ただ、いずれにいたしましても、これらは部外の団体が主催した行事であって、他の参加者が行う内容について防衛省としてお答えする立場にはないことを申し上げているということでございます。
○宮本(徹)委員 ですから、ホームページは承知しているというお話なわけですよ。ホームページには出て、世間の公然とした事実になっているのに、防衛省の職員に聞いたら、そんなものは知りませんと。何か、この間の陸上自衛隊の日報問題と同じじゃないですか。世間はあるんじゃないかということを言って、今報道されているわけですけれども、聞き取りをやっても、ないないないとみんなが答える。同じことが起きているじゃないですか。これはちゃんと調べさせることが必要だと私は思いますよ、稲田大臣の責任で。どうですか。
○稲田国務大臣 まず、日報に関しては、私の指示で、用済み後廃棄としたものを探して公表したわけでございます。しかしながら、今、報道を受けて、特別監察をして徹底的に事実調査をしている、まさしくそういう段階でございます。この十四の行事に関しては、自衛隊・防衛省ではなく部外団体が主催した行事に、また他の参加者が行う内容について防衛省としてお答えする立場にはないということを申し上げているところでございます。
○宮本(徹)委員 調べようともしないというのは、本当にひどい話だと思いますよ。結局、教育勅語に対する認識が、稲田大臣自身がこれはすばらしいものだと心の中で思っているから、そういうかばうような甘い対応になっていくんじゃないですか。一大事があれば天皇のために命を差し出せということを自衛隊支援行事で幼稚園児に暗唱させてきた、これを防衛思想の普及だといって、防衛思想の高揚だといって感謝状を出してきたわけですよ。最後に一問だけ聞きます、時間ですので。なぜいまだに感謝状を取り消さないんですか。
○玄葉委員長 稲田防衛大臣、時間なので簡潔で結構です。
○稲田国務大臣 籠池氏に関しては、現在、国会における議論がなされ、またさまざまな報道等がなされているところでございます。本件については、籠池氏に関する事実関係を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 結局、いまだに取り消さないのは、教育勅語の問題を大臣自身が擁護している姿勢があるからだと厳しく指摘して、質問を終わります。