衆院財務金融委員会で4月5日、IDA法案の質疑でした。IDAは最貧国の支援のための融資をおこなっています。国連はミレニアム開発目標に続き、2015年から15年間の新たな目標として、「持続可能な開発目標」(SDGs)を決めています。IDA法案はその達成のためにも重要なので日本共産党も賛成しました。
法案の質疑では、「持続可能な開発目標」(SDGs)達成のための資金について質問し、国際連帯税導入や国際的な軍縮による財源確保を提案しました。
外務省の説明では、「あらゆる形態の貧困の撲滅」などSDGsで示されている17項目のゴール達成のために、「年間約3兆9000億ドル」(430兆円)の資金が必要であるにもかかわらず、手当てされているのは現在「1兆4000億ドル」にしか満たないということです。そこで欧州連合(EU)で導入検討がすすみ投機抑制につながる金融取引税や環境税、仏や韓国などが導入し感染症対策などに充てられている航空機連帯税などの国際連帯税を例にあげ、「SDGs達成のために日本も新たな財源を真剣に考えるべきだ」と提案しました。外務省は前向き検討をすすめていますが、麻生大臣はきわめて慎重姿勢でした。
また、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は年次報告書で軍事費が世界全体で1兆6760億ドル(2015年)にも達していることを指摘して、「持続可能な開発目標」(SDGs)にむけて、世界で軍事費でどれだけ削減すればなにができるかもしめしています。現実的な目標として1%削減なども提案しています。アジアでは北朝鮮の問題や中国の姿勢もあり、軍拡競争がつづいています。軍拡競争では、日本だけでなく北朝鮮や中国でくらす市民にとってもくらしにまわるべきお金が軍事費に使われているという事です。質問ではこのストックホルム国際平和研究所がしめす「国際的に軍事費を削って民生費に回す」という提案について麻生大臣に受け止めをききました。
ところが、麻生太郎財務相は、「今日、北朝鮮がミサイルをとばしたことをご存知ですか。日本だけが軍事費を減らすのは非現実的だ」と、質問にはこたえず、世界で軍縮をすすめるべきという提案を、日本だけが軍事費を削減する話にすり替えて答弁。国際的な貧困対策について、国際的にどう財源をつくるのか、という議論とは、まったくかみあわない答弁でした。
北朝鮮が核・ミサイル開発という安保理違反の挑発を繰り返し、軍拡がすすむ東アジア地域だからこそ、軍縮の方向に転換が必要です。安全保障のジレンマにおちいっている状況からぬけだし、紛争を戦争にしない平和の枠組みをつくりをすすめ、さらには軍縮にむかっていく必要があります。国民の安全をまもるためには、アジアに平和的環境をつくることにこそ、政治は知恵と力をそそぎこまなければなりません。質問では、最後に、「軍拡競争を国際的にただしていくイニシアチブを日本が発揮すべきだ」と強調しました。

≪2017年4月5日 第193回衆院財務金融委員会第12号 議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今回のIDA第十八次増資は、最貧国が国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsを達成する上で重要な増資であり、私たちも法案には賛成であります。きょうは、その上で、国連の持続可能な開発目標、SDGsの目標達成のための財源、資金調達について質問したいと思います。二〇一五年に国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsは、誰も置き去りにしないということを根本原則に、二〇三〇年末までに貧困、飢餓の根絶や気候変動の影響への緊急対策をとることなど、十七のゴールを決めております。その一番目に掲げているのが、あらゆる形態の貧困の撲滅ということになります。国連食糧農業機関のグラジアノ事務局長は、ことし二月、気候変動による影響を受ける農業生産者への支援を強めなければ、世界各地の農業生産に支障が出て、二〇三〇年末までに飢餓と貧困を根絶するという国際社会の目標を達成できなくなる可能性があるというふうに指摘しております。そして、このグラジアノ氏は、特に発展途上国の小規模農家への支援が必要だと訴え、土壌の管理や森林の維持の技術の向上、融資制度の充実、気候変動の影響で今後さらに深刻化するであろう水不足の対応への水の管理、これに力を入れるよう呼びかけたということでございます。きょう外務省に来ていただいておりますが、この世界的問題に対応する資金調達額というのはどれぐらい必要になるのか。さらに、この面での日本政府の取り組みというのはどうなっているでしょうか。紹介していただけるでしょうか。
〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の必要資金額については、さまざまなデータがありまして、一概にお答えすることは困難でございますが、例えば国連貿易開発会議、UNCTADでございます。二〇一四年世界投資報告の中にありまして、さまざまな融資ニーズが紹介されておりますけれども、SDGsの達成のために途上国において食料安全保障及び農業分野で必要とされる資金額は、年間約四千八百億ドルと推計されております。我が国は、二〇一五年に閣議決定した開発協力大綱に基づいて、質の高い成長を通じた貧困撲滅に向け、フードバリューチェーンの構築を含む農林水産業の育成を図ることとしております。具体的には、かんがい施設や農道等のインフラ整備、品質改良にかかわる研究開発、栽培技術普及のための人材育成等を行うとともに、関係国政府や国際機関等のさまざまなステークホルダーと連携しつつ、二国間ODAの活用にとどまらず、国際機関への拠出及び民間資金等の活用も含めた多様かつ国家的な支援を実施しております。
○宮本(徹)委員 食料確保等で年間四千八百億ドル、非常に巨額なわけですね。もう一点お伺いします。SDGsの四つ目のゴールは教育分野で、二〇三〇年までに全ての子供が無償で質の高い初等中等教育を受けられるようにするということになっております。ユネスコが昨年九月に出した報告書では、慢性的な資金不足がその進展を妨げていて、目標の達成は期限よりもさらに五十年かかる、こう指摘をしております。そして、国連事務総長の特別顧問を務めるジェフリー・サックスさんは、この報告書の前文で、教育の達成における貧富の格差や、国家内そして国家間の格差はただただひどいという指摘もしております。教育は、貧困から抜け出す上でも、そして持続可能な開発を進める上でも、あらゆる面でも鍵になるというふうに思います。外務省にお伺いしますが、全ての子供に中等教育を保障する目標を達成するために必要な資金額、これはどういう見込みになっているでしょうか。
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の必要資金額については、さまざまなデータがあり、一概にお答えすることは難しいんですが、例えばUNCTADの二〇一四年世界投資報告では融資ニーズが紹介されております。SDGsの達成のために途上国において教育分野で必要とされる資金額は、年間約三千三百億ドルと推計されております。我が国は、これまでも一貫して教育分野の開発協力を重視してまいりました。二〇一五年九月には、持続可能な開発のための二〇三〇年アジェンダの採択に合わせて、新たな教育協力政策である、平和と成長のための学びの戦略を発表いたしました。同戦略は、全ての人に質の高い教育を提供すること、教育協力による人材育成を行うことをビジョンに掲げております。同戦略に基づき、中等教育の分野においても、質の高い教育環境の提供、職業訓練拠点の整備と教育ネットワークの構築、紛争や災害の影響を受けた国に対する教育支援等に取り組んでおります。我が国としては、今後も、教育分野においてODAを用いた支援を継続していくとともに、官民連携の強化により、民間資金の活用も含めた多様かつ効果的な支援を実施してまいります。
○宮本(徹)委員 三千三百億ドルというお話がありました。ユネスコの報告書によると、二〇三〇年までに全ての子供が無償の初等中等教育を受けられるようにするには、今の支援額の六倍に引き上げなきゃいけないということが指摘されております。もう一点外務省にお伺いしますが、SDGsはゴールは十七掲げております。ターゲットは百六十九あります。全部を達成していくためには、年間一体どれぐらい必要だというふうに見込まれているんでしょうか。
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の開発資金需要については、例えばUNCTADの二〇一四年世界投資報告では、融資ニーズが紹介されておりますが、途上国における持続可能な開発目標の達成のためには、一年間に約三・九兆ドルの資金が必要とされております。現在手当てされているのはこのうち約一・四兆ドルで、約二・五兆ドルの資金ギャップが存在していると推計されております。また、同報告書によれば、途上国において、気候変動対策の緩和については年間約五千五百から八千五百億ドル、保健分野のインフラ関係では約二千百億ドルの資金が必要とされていると推計されております。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。全体で、十七のゴールを全てやろうと思ったら、年間三・九兆ドル、今手当てされているのは一・四兆ドル、足りないのが二・五兆ドルということでありました。ですから、この国連の持続可能な開発目標を世界的に達成していこうと思ったら、莫大な資金というのが必要になります。一方で、我が国も財政状況は大変厳しい、他の先進国も同じ状況であります。ですから、やはりここで、どうやってこの財源を確保していくのかということを、さらに国際的に考えなきゃいけないということだと思います。この間、グローバルタックスというのが考えられてまいりました。一番早く国として検討を始めたのがフランスです。ランドー委員会が、金融取引税、環境税、航空券税などの構想を出しました。この中では、こうしたものをやれば、ランドー・レポートの中で、年間一兆ドル近い収入が得られるんじゃないかという試算をやられております。また、金融取引税については、EUでの検討というのも今進んでおります。ある学者の試算では、ヨーロッパに加えて主な国々で実施したら、税率〇・〇一%で二千八百六十億ドル税収が得られるであろう、こういう試算も出ているわけです。麻生大臣にお伺いしますが、今数字も外務省から紹介していただきましたが、この国連の持続可能な開発目標、SDGsを世界的に達成していくためには、このグローバルタックス、国際連帯税も含めて、新たな財源を真剣に考えていかないといけない、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 サステーナブルにするという意味で、SDGという名前になっているんだと思いますけれども、少なくとも、今言われた国際連帯税というのは、これは、いわゆる環境問題とか貧困問題とかいうような地球規模の大きな話について、財源確保を目的とした税を指すというように言われるんですけれども、これに対して、日本では税制の抜本改革法というのがありますので、この中において、「国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること。」とされておりますのは御存じのとおりです。したがいまして、その導入に当たっては、この税の目的とか、また、いわゆる範囲、効果、かつ実行可能性等々いろいろなことを考えないかぬと思いますので、これは一つの国でやったって話は始まりませんので、みんなでやらないかぬということだと思いますので、かなり慎重な検討が要するだろうという感じはいたします。
〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本(徹)委員 みんなでやらなきゃいけないのはおっしゃるとおりですが、既に取り組みを始めている国もあります。いずれにしても、世界のSDGsの目標を達成するための莫大な資金を確保するための新たな財源政策は考えなきゃいけない、その点は間違いないと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
○麻生国務大臣 BEPSなんていうのは最たる例でしょうけれども、うまくいきつつあるものもありますので、いろいろな努力が必要だと思います。
○宮本(徹)委員 BEPSも非常に大事な取り組みだと思いますが、BEPSとあわせて、さらに、新たな財源確保策の検討を積極的に進めていただきたいというふうに思います。金融取引税でいえば、税収だけじゃなくて、異常な投機だとかこういうのを抑制する効果もあるわけであります。例えば、今、フランスや韓国など十四カ国で航空券連帯税が導入されて、感染症対策などに充てられております。日本では、業界から、旅客が減るんじゃないかだとか、観光に影響があるんじゃないかと反対している声も聞こえてくるわけですが、実際にフランスや韓国では、この航空券連帯税の実施で、旅客減や観光に影響はあったんでしょうか。外務省。
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。フランスは、二〇〇六年七月に航空券連帯税を導入したが、世界銀行のデータによれば、海外からの旅行客は、導入前の二〇〇五年は約七千四百九十九万人であったのに対し、二〇〇七年には約八千八十五万人に増加しております。また、二〇〇五年から二〇一四年の十年間のフランスの国内線及び国際線航空旅客者数の推移についても、フランス民間航空総局のデータによれば、リーマン・ショック後の二〇〇九年を除けば一貫して増加傾向にあります。また、二〇〇七年九月に国際貧困撲滅寄与金を導入した韓国においても、海外からの旅行客数は、導入前の二〇〇六年は約六百十六万人から、二〇〇八年には約六百八十九万人へと増加しているということでございます。旅客者の増減についてはさまざまな要因が関係するものと思われますが、少なくとも、先ほど述べたデータに基づけば、航空券連帯税の導入によって直ちに観光客の減少につながったと言うことはできないんだろうと思います。
○宮本(徹)委員 現実には業界の懸念はフランスや韓国でも当たらなかった、日本でも当たらないということは、この例からも言えるんじゃないかというふうに思います。外務省は、毎年、税制改正要望を出されていますが、大変一般的な中身で出されております。これはやはり国際的にも、グローバルタックスを進めていくためにも、日本でも来年度はもっと踏み込んだ税制改正要望を出していく必要があるんじゃないか、麻生大臣の慎重姿勢も揺るがすようなものを出していく必要があるんじゃないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。先ほど申し上げたとおり、地球規模課題への対処には莫大な開発資金が必要とされていますが、こうした世界の開発需要に対応するためには、ODAのみでは十分ではなく、幅広い開発資金の動員が必要と認識しております。委員御指摘の国際連帯税はそのための手段の一つになるものとされており、外務省は平成二十二年度税制改正要望以降、毎年、国際連帯税の導入の要望を提出しております。外務省は、昨年度、外部のシンクタンクに委託して、国際連帯税に関する調査を実施いたしました。この委託調査によって、国際連帯税を導入する場合の制度のあり方、効果や影響等について具体的な検討を行っております。今般、広範な関係者が議論を進めていくための基礎となる情報や分析が提供されたという形になってございます。今後とも、この調査結果を踏まえつつ、関係者とさらに議論を進め、国民や関係者の理解を得るための努力を一歩一歩進めていきたいと認識しております。
○宮本(徹)委員 さらなる努力を積み重ねて、来年度の税制改正要望ではさらに踏み込んだ要望を出されるよう期待をしております。それから、SDGsの目標達成の財源として、軍事費を削減して民生費に回そう、こういう主張も国際的にあります。ストックホルム国際平和研究所が昨年四月に発行した年鑑、きょうお持ちしましたが、もう今は日本語版が出ていないんですね。手元には英語版しかありませんが。これを見ますと、二〇一五年、世界全体の軍事費は一兆六千七百六十億ドルに達した、四年ぶりに増加して、過去最高に迫るとされております。ストックホルム国際平和研究所は、今回も、各国が軍事費を削減して民生分野に回したら何ができるかという試算をやっております。一兆六千七百六十億ドルですから、先ほどいろいろ紹介していただいた数字と照らし合わせれば、できることというのはわかるわけですけれども、例えば、各国が一割軍事費を削減すれば、OECDの開発援助委員会が二〇一四年に開発援助で出した一千三百七十二億ドル、これを上回る資金が出せます。そして、この年鑑の中では、さらに現実的な提案として、各国が軍事費一%分を国連に寄附すれば、世界全体の教育分野の格差是正、財政格差を除去できるというふうにしております。麻生大臣は、このストックホルム国際平和研究所の、軍事費を削って民生費に回そう、これを世界的に進めていこうじゃないか、特に、東アジアなんというのは軍拡が進んでいるわけですから、外交努力を一層進めていかなきゃいけないというふうに思うんですが、こういう提案をどう思われますか。
○麻生国務大臣 けさ、北朝鮮が実験されたのは御存じですか。我々の置かれている環境はそういう環境です。したがって、今のストックホルムの話はストックホルムでは通用するかもしれませんけれども、今、東アジアにおいてそういうことが言える状況でしょうか、我々は。中国、間違いなく軍事費、巨大な勢いで伸びていますよ。そういう状況の中で日本だけ減らすんですか。非現実的だと思います。
○宮本(徹)委員 私は、そういうことを言っているわけじゃないんですよね。中国にしても北朝鮮にしても、激しい軍拡によって、そこに住んでいる方々は、その分、民生費に回すお金が削られて苦しんでいるわけですよね。ですから、国際的に、この軍拡競争を正していくイニシアチブを我が国は発揮していかなきゃいけないんじゃないかということを私は提案しているわけであります。本当はもう一問、質問を準備していたんですけれども、時間になってしまいましたので、これで質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。