新しい学習指導要領で中学生の体育の武道に、新たに、銃剣道が明記されたことが、メディアでもネットでも大きな波紋をよびました。銃剣道は、現在は、武道のひとつとして国体の競技ともなっています。源流は、戦前の日本軍の銃剣術の流れをくんでいます。

 報道にふれた、銃剣道の有段者の男性、元自衛官の方から、共産党の青森の事務所に電話がありました。

 「お互いに相手をつくのが銃剣道。相手の心臓の部分をつくと一本となる。防具はつけているが、衝撃は相当なもの」といって、練習中に心臓をつかれ、死亡者がでるなど重大事故を危惧している。自衛官だった仲間も「これを学校で教えるのは危険だ」といっている。やめさせてほしい」

 こういう電話でした。こういう話がある以上、このままにしておけません。銃剣道連盟に話をうかがったり、文科省や防衛省にも話をうかがいました。

 そのなかで、限られた質問時間の中でも、ただしておかなければならない点、2点、銃剣道が学習指導要領に明記された経緯、安全性が確保されているのかに、しぼって4月10日の決算委員会では質問をしました。

Q 銃剣道の競技者の9割は、自衛官のみなさんだといわれています。自衛隊の体育訓練の中に銃剣道は位置付けられているが、自衛隊発足以来、銃剣道による死亡者は? また、昨年度1年間で、銃剣道の訓練による負傷者は?

A 銃剣道による死亡者につきましては、直近十年 で調べた結果、公務上の災害と認定された件数は ゼロ件です。また、昨年度一年間で自衛隊員が銃 剣道訓練において負傷し公務上の災害と認定され た件数は五十九件、うち、陸上自衛隊五十八件、 航空自衛隊一件。
 
 死亡事故については、10年以上前につていも調べていただくことにしました。

Q どんな怪我がおきているのか、詳しく教えていただきたい

A 昨年度におきまして、銃剣道 訓練において負傷し、公務上の災害と認定された 災害の内訳でございますが、一、足、膝をひねっ て転倒したことによる半月板、靭帯損傷、二、木 銃が手足に当たることによる骨折、三、木銃で突 く動作で急激に足を踏み込んだことによるアキレ ス腱損傷、四、木銃が手足に当たったり、転倒し たりしたことによる打撲などが挙げられます。

 木銃が手足にあたると骨折と答弁がありましたが、木銃は私も銃剣道連盟の事務所でもってみましたが、樫の木でできています。剣道の竹刀にくらべ、格段におおきな衝撃だということだと思います。

 ネット上の、経験者の声をまとめサイトで見ても
 「経験者の声をみると「中学生に銃剣道やらすんか… 打突部位を外した時は竹刀より木銃の方が痛いのだよ。 割とガチで痛い 息とまるレベル… まぁ体育の授業なら怪我せず楽しく終わるようにぬるーくやってください」「銃剣道やってたけど衝撃が強い上に面の下から銃剣が首に入ることがあって怖かった 本当に辞めたくて辞めたくて仕方なかった 未だに相手と戦う競技はトラウマ」「銃剣道、経験者《少しかじった程度の初段》として思うのは、中学生で銃剣道やんない方が怪我しないだけ善いと思う」
 などの声がでています。

 銃剣道連盟でお話をうかがったところ、カリキュラムとしては1年生、2年生は「形」中心、3年生で段階をおって実際に「つく」稽古をおこない、最後には試合形式を考えているということでした。その際、のどをつくことは教えないということでした。しかし、禁止にはしていないということでした。

 問題は、文部科学省が、銃剣道の安全性についての知見をもっているかです。

Q 文科省として銃剣道についていかなる知見を持っていて、学習指導要領にある「安全を十分に確保」という点についてはどう担保されているんでしょうか。柔道でいえば、文科省自身が指導の手引をつくっています。銃剣道連盟のとりくみ以外に、文科省自身の知見というのはあるんですか。

A 柔道、剣 道、相撲の部分は、しっかりとした解説、詳細に説明させていただいておるところでございますが、その他の、銃剣道に限ったわけじゃないんですけれども、例えばなぎなたであったり少林寺とか、そのあたりは実は解説が今のところないというところでございます。

 文科省の答弁でわかったことは、銃剣道連盟の取り組みを紹介するばかりで、文部科学省として、銃剣道の安全性についての知見はまったく持ち合わせてないということです。

 私も、柔道を少しやっていたことがありますが、怪我は日常茶飯事です。柔道については、学校現場でも、死亡事故や重大な後遺症がのこる事故も少なくなくおき、どう安全に教えるかということについては、文部科学省自身が示しています。先ほど消化しいたように、銃剣道について、有段者の方から、死亡事故の懸念がよせられています。防具がない場所にあたれば骨折もおきているということが防衛省からも答弁がありました。そうであるならば、文部科学省自身が、安全への知見もないままで、推進していくというのは無責任ではないでしょうか。

 質問でもう一点、ただしたのは、学習指導要領に明記された経緯についてです。学習指導要領の案の段階では銃剣道は明記されていなかったのですが、パブリックコメントをうけて銃剣道は明記されました。同じようにフットサルについてもパブリックコメントで、明記を求める声があった。しかしフットサルは明記されませんでした。

はじめに、学校での実施状況をうかがいました。

Q 柔道、剣道、相撲以外の武道(弓道、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道)およびフットサルについて、実施校は47都道府県中、何都道府県にあるのか。

A 弓道は二十一、空手道は三十五、合気道は二十、少林寺拳法は十六、なぎなたは二十八、銃剣道は一。フットサルは調べていない。

 実は、学習指導要領の案の段階で銃剣道の記載がなかったのは、このような銃剣道は1県1校でしか実施されていない、他の武道のように広く実施されていないという状況をふまえてもののでした。

Q パブリックコメントをうけ、なぜ、フットサルは明記されず、なぜ銃剣道は明記されたのか?

A フットサルというのは、サッカーに含まれているため明記しない。銃剣道は、武道の内容の弾力化をはかるため明記した。

 苦しい答弁だなと思いながらききました。フットサルは、サッカーとは違う競技です。人数も、コートの大きさもルールももちろん大会も違います。そして、文部科学省自身、私の質問に答弁するまでは、フットサルとサッカーは違う種目だとの認識を示してきています。文部科学省のホームページをみると、フットサルを明記してほしいというパブリックコメントにたいして、「学習指導要領に種目の例を示していますが、それのみに限定しているものではありません。小学校解説体育編ではフットサルも含め、種目の例を増やして示すことを検討します」と回答しています。

 つまり、文部科学省もサッカーとフットサルとは違う種目だと認識していたわけです。ところが、銃剣道を明記しながら、フットサルを明記しない理由を考え出すために、サッカーはフットサルに含まれると、これまでと違う論立てをつくりだしたということになります。こういうのを世間ではご都合主義というのではないでしょうか。文部科学省の答弁に、これでは、ソフトボールは野球に含まれるといっているのと同じだという批判の声もよせられています。

 銃剣道が明記され、フットサルが明記されなかった本当の理由はなんでしょうか。この間、自民党の佐藤参議院議員が国会質問、義家副大臣への働きかけなどをおこなってきました。こうした政治家の働きかけで、学習指導要領の中身が左右され、一方は学習指導要領に明記され、一方は明記されないというのであれば、政治と教育の関係では大問題といわなければなりません。

 質問では最後に、武道で何をおこなうかは、こども、父母の意見をしっかりきいて決めることを求めました。