財務金融委員会提出資料 金融審議会「市場ワーキング・グループ」議事録から抜粋

日本共産党の宮本徹議員は14日の衆院財務金融委員会で、証券会社が運営する私設取引(PTS)について、投資家保護の観点から東京証券取引所などでの取引(取引所取引)と同等の規制と監視の強化を求めました。
PTSでは、ヘッジファンドなどによる巨額の投資的運用が指摘されています。しかし、取引所取引では法令によって自主規制法人が売買審査を行っている一方、PTSには自主規制機関がなく、情報開示も不十分であることから、公正な価格形成を阻害しているといわれています。
宮本氏は、将来的にPTSを拡大させていくつもりなのかと質問。PTSに対しても取引所取引と同様の規制を課している欧州連合(EU)を例に、「PTSにも規制のルールをしっかり設けていくべきだ」と主張しました。
麻生太郎財務相は、PTSの「拡大を目指していない」とし、「適切な監督と監視に努めていく」と応じました。
宮本氏はまた、金融商品取引に精通した者による悪質で詐欺的な取引が国境を越えて行われていると指摘し、証券等監視委員会の職員増強、専門的な調査能力の向上を求めました。

以上2017年4月15日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2017年4月14日 第193回衆院財務金融委員会第14号議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。本法案にあります高速取引の実態をつかむルールの整備や、あるいはフェア・ディスクロージャー・ルールの整備、これは重要だと考えますが、取引所グループの業務範囲の規制緩和については懸念がある、このことを申し述べた上で質問をさせていただきます。一九九〇年代の金融ビッグバンの規制緩和の中で、取引所集中義務が撤廃され、そして取引所外取引が導入され、その後、取引所とイコールフッティングの方向へ規制緩和が重ねられてきました。昨年十二月にまとめられました金融審議会の市場ワーキンググループの報告を見ますと、証券会社が運営する私設取引所、PTSのシェアは五%程度となっております。他方、アメリカでは、取引所外取引が三〇%以上を占め、英独仏においても、我が国と比べ、取引所外取引のシェアが相当程度高い、こういう書きぶりで報告書には書いてあるわけですが、大臣に伺いたいのは、今後、取引所外取引をさらに広げよう、こういう方向性なんでしょうか。
○麻生国務大臣 このPTS、PTSというのは私設取引システムですかね、この制度というのは取引所外の取引なので、取引というものが解禁されましてから、いわゆる市場におけます競争を促す観点から導入されたものなんですけれども、足元を見ますと、利用者のニーズに合った取引の手法を定めるところは一定程度認めますが、今言われたように、五%、六%ぐらいのところだと思っているんです。私どもとしては、このシェアをさらに、アメリカが、今、五、六倍あったかと記憶しますから、三〇%を超えているというぐらいあるんだと思いますけれども、ああいうようにシェアの拡大を目指しているわけではないので。私どもとしては、取引所と、取引所外取引を担いますPTSの間で、いわゆる適切な競争というのが図られることによって、いろいろな意味での利用者の利便性向上が進んでいくということを期待しているのであって、これを急激に大きく伸ばそうと思っていることを考えているわけではございません。
○宮本(徹)委員 拡大を目指しているわけではない、適切な競争のために必要なんだというお話です。適切な競争といいますけれども、取引所と私設取引所はいろいろな点で対等ではないわけですよね。私設取引所は、取引情報等、情報開示が義務づけられていません。気配情報については、取引所は気配情報全体ですが、私設取引所は最良気配情報のみが開示が義務づけられておるということですので、これは、私設取引所に参加している人は、両方の、全ての情報が見られるわけですけれども、私設取引所に参加していない方は得られる情報は少ない、情報格差があるわけですよね。東証の株式部長だった方の論文を見ましたら、やはりこういう情報格差が生じたまま形成された価格や取引は適正と言いがたい、こういう指摘もありました。さらに、取引所は、法令に基づいて自主規制法人が売買審査を行っておりますが、PTSには、法令上、自主規制機関もないわけですよね。大臣にお伺いしますが、証券会社が運営している私設取引所の問題点、課題、これはどのように認識されているでしょうか。
○麻生国務大臣 このプロプライアタリー・トレーディング・システムと称される、いわゆるPTSというんですけれども、これをめぐる課題として、アメリカなんかを見ると、この取引所だけでも、五、六十あったと思いますので、そういった取引所が存在しておりますので、流動性とか情報の面では、これは市場の分断というのが発生しますので、ベストプライスというのを探すという意味においては、これはえらいコストがかかることは懸念をされております。これに対して、日本の場合は東証のシェアが九割を超えていると記憶しますから、少なくとも、このPTSのシェアが数%、五%前後だと思っていますので、アメリカのような懸念はないと思ってはいるんですけれども、今、宮本先生が言われましたように、例えば、投資判断に重大な影響を与えるおそれがある情報が生じた場合はどう対応するのかということについて、取引所とPTSというのが連携して、市場の透明性とか公平性というのを確保して、いわゆる投資家保護というのを図っていくということが一番基本的な、大事なところじゃないかと思っております。
○宮本(徹)委員 課題があるということで、投資家保護が大事だということをおっしゃられました。ただ、これはPTSを解禁したときから、やはり自主規制機能がないということについては、投資家保護という面でPTSは劣るんだという指摘が、当時の日経新聞なんかをひっくり返してみましたら、書いておりましたが、その投資家保護で劣るという状態がやはり放置されてきているということだと思います。EUでは、取引所外取引に対しても、取引所と同様の規制を課すという原則があります。やはり公平な価格形成だとか、あるいは不正の防止ということを考えましたら、私設取引所についても情報開示を進めていく、自主規制機能や監視を強めていく、こういうことが大事なんじゃないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 これは、宮本先生、かなり進んでいるんだと思っているんですが、このPTSというものを運営する会社には、金融商品取引法に基づきまして、注文や約定価格に関する情報はきちんとタイムリーに出せ、また、インサイダー取引とか、いわゆる相場操縦等々の取引の公正を害する売買を排除するための体制整備を求めるなどというのをやらせていただいているんですが。いずれにしても、これらを踏まえまして、PTSを運営する証券会社において業務運営にきちんと取り組んでいるものと考えてはいますけれども、いずれにいたしましても、この点に関しましては、そういったことをやるのはある程度善意のある者を前提にしていますけれども、そうじゃない人も世の中にはいっぱいいますから、そういったことも考えた上で、いろいろな意味で適切な監督とか監視というのは、引き続き、きちんと努めていくということが必要なことだと思っております。
○宮本(徹)委員 適切な監督、監視が必要だという御答弁ですけれども、それをやっていく上でも、やはり取引所と同じような規制のルールをしっかり設けていく必要があるんじゃないかと思います。PTSでも、問題がある取引については証券等監視委員会に報告するというふうになっているわけですけれども、では、これは何件報告されているのかというふうに金融庁に問い合わせても出てこないんですよね。なぜかというと、法律で義務づけられていないから国会議員にもわからないという話になっているわけですよね。ですから、こういう点では、PTSの監視をどう進めるのかというのは大きな課題ですし、真剣な検討が必要だと思います。次に移りますが、金融審議会の報告書を見ますと、現在、PTSについては認められていない信用取引についても、適切なスキームの構築がされた場合には、PTSにおける信用取引を認めることも考えられるという文面がありました。これまで金融庁は認められないというふうに言ってきたと思うんですが、認められることも考えられる、こう変わったのはなぜでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。PTSにおけます信用取引につきましては、従来、PTSを提供する業者自身が信用取引に伴います資金の貸し付けですとか株券の貸し付けを行うとすれば、利益相反のおそれがあるのではないかということ、それから、PTSを提供する業者に対して自主規制機関と同様の自主規制機能の発揮を求めることができるのか、そうした点を指摘してまいったところでございます。これらの点に関しましては、その後、関係者による議論、検討などを踏まえて、例えば、PTSを提供する業者等が実質的な資金、株券の提供者にならない、それから、自主規制機関がPTSについても一定の自主規制機能を発揮するなどの手当てがされた適切なスキームが構築された場合には、従来から申し上げている二つの問題点もクリアされるものと考えられますことから、御指摘のような整理をさせていただいたということでございます。
○宮本(徹)委員 この報告書を見ましても、PTSを提供する業者自身が金融商品取引業者である以上、取引参加者に対する調査、処分については、当該業者が直接行うことは困難であると考えられるというふうに考えているわけですよね。ですから、以前の金融庁の考え方を見ましても、参加証券会社に対する監査、処分まで考えた自主規制機能というのは、取引所と同等のものを求めることは現実的でなく、認められないというふうに書いているわけですよ。これが変わったというのはなかなか納得しがたいというふうに思います。PTSで信用取引が解禁されれば、投機的取引の一層の拡大も懸念されると思います。それから、もう一点聞きたいのは、ダークプールの問題です。これも金融審議会の中で議論されてまいりました。ダークプールというのは気配情報を開示しない取引の場ということですが、今回は、法案の中には、このダークプールの規制については具体化されておりません。きょうは、配付資料でお配りしておりますけれども、このワーキンググループの議論の中で、東証の専務執行役員の土本さんがこう述べているんですね。ダークプールについて、「PTSと同等の市場として実際には機能しているのではないかと認識しております。」「自己売買業も行っている証券会社が、その自社内で運営する市場ということでございますので、顧客と証券会社との利益相反が生ずるおそれは否定できません。現在のところ、取引所やPTSとは異なって、特段の定義もなく証券会社内部でどのような取引がなされ、それが真に顧客利益にかなっているのかどうかといった実態が必ずしも明らかでないということでございますので、ダークプールという市場に対して、新たな枠組みが必要ではないかと考えております。」こう述べられております。大事な問題提起だと思うのですが、なぜこの土本氏の意見というのは採用されなかったんでしょうか。
○池田政府参考人 お答えいたします。ダークプールとは、複数の顧客からの注文を電子的につけ合わせますが、気配情報については必ずしも開示をしていない取引の場ということかと考えております。御指摘のとおり、米国では、ダークプールの運営者は、証券会社の登録とともに、日本のPTSに相当しますATSという制度の運営者としましてSECに届け出を行って、システムの安全性確保等の一定の規制に服することとされているところでございます。日本では、ダークプールにつきましては、複数の顧客からの注文を電子的につけ合わせた上で、それを取引所の立ち会い外市場に同時に取り次いで約定させるという形で取引が行われているところでございます。この点は、米国とは取引形態が異なっているのが実態ということでございます。こうしたことから、その運営は、証券会社の業務といたしまして、PTSの認可を受けることなく行うことが可能とされているものであります。そして、この審議会の場では、御指摘のような意見もあったところであるわけですけれども、我が国のダークプールにつきましては、一つには、これは証券会社が運営するものでありますので、金融商品取引業者として登録を受けておりまして、その中で業務の運営状況等について当局の監督を既に受けているということ、それから、先ほど申しましたように、約定が取引所の立ち会い外市場で行われていて一定の透明性が確保されているということ、それに加えまして、ダークプールを一律に認可の対象とした場合、取引の円滑を阻害しかねないこと等の指摘が多くの委員からなされ、最終的には、当局が、引き続き金融商品取引業者に対する規制を通じて実効的な監督に努めるとともに、将来的に新たな課題や環境変化が生じた場合には、必要に応じ、制度的な対応を検討することが適当とされたところでございます。
○宮本(徹)委員 一定の透明性といいますけれども、約定の情報は出てくるかもわからないですけれども、証券会社の中でどうつけ合わせているのかという情報は全く出てこないわけですよね。その点は全く不透明、だからダークプールと言われているわけですよね。配付資料の下にも書いておきましたが、この黒沼さんという方は座長だったわけですけれども、こう言っているわけですよね。「取引所の立会外市場というのは、最初に出てきたときはこういった大規模なダークプールは想定していなかったのではないかと私個人は思っています。そうだとすると、事情が変わってきたので、本来は規制を入れたほうがいいと思います」。けれども以下は先ほど述べられたことが書いてあるわけですけれども、本来は規制を入れた方がいいというのが座長も述べられていることなわけですよね。ですから、ダークプールでも、ヘッジファンドなどは高速取引もやっているのは明らかですから、早急に実態は把握していくということが必要だと思いますし、規制の導入も引き続き検討しなきゃいけないんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
○池田政府参考人 証券市場におきまして、取引の公正確保は極めて重要な課題であると認識をしております。御指摘のダークプールの点も含めまして、証券会社におけます業務の運営や証券取引の状況については絶えず注視をいたしまして、必要な実態把握を行い、その上で、取引の公正確保の観点から、問題があれば規制のあり方についても機動的に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 しっかりと実態把握していただいて、規制もしっかり検討していっていただきたいというふうに思います。EUではこれに対するルールづくりも進められているということでございますので、この点もぜひ参考にしていっていただければと思います。それから、きょうは、残り時間は短くなってしまったんですけれども、証券等監視委員会にも来ていただきました。検査というのは人海戦術でやられていることだというふうに思いますが、一検査対象当たりの平均延べ検査投入人員というのはどうなっているのか、また、第一種商品取引業者と投資運用業者に対して多くの人員を割いている理由、これを教えていただけるでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。監視委員会が行います検査の一検査対象当たりの平均延べ検査投入人員、これは人数掛ける日数でございますけれども、平成二十七年度におきましては、第一種金融商品取引業者が百四十一人日、第二種金融商品取引業者が二十八人日、投資助言・代理業者が二十九人日、投資運用業者が百八人日、適格機関投資家等特例業務届け出者が六十六人日となっております。検査に要します人員、時間は、個々の業者の規模、業務の内容等によりましてまちまちではございますけれども、一般的には、第一種金融商品取引業者及び投資運用業者は相対的に規模が大きく、業務の内容が複雑であることから、これらの業態の検査につきましては、他の業態に比べまして、より多くの人員、時間を割いて検査を実施しているところでございます。
○宮本(徹)委員 監視委員会の報告書も見せていただきましたけれども、海外関連会社等を通じた不公正な取引だとか、あるいは虚偽記載、あるいは金融商品取引に精通した者による悪質な詐欺的取引が国境を越えても行われているということも書かれております。専門的な調査能力を持った職員の方々が本当にたくさん必要なんだなということを改めて感じました。最後にお伺いしますけれども、近年の職員の増員状況はどうなっているんでしょうか。そして、今後の増員の見通しというのはどうなっているんでしょうか。これはやはり思い切ってふやす必要があると思いますが、その点を伺って質問を終わります。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。近年の、例えば課徴金制度の対象拡大、あるいはプロ向けファンド業者に対する規制強化等の一連の制度改正に的確に対応するために人員を増強してきておりまして、例えば、今申し上げました課徴金制度、情報伝達・取引推奨行為に関します規制の導入に伴いまして、課徴金及び犯則調査に伴う増員四名を二十七年度において行っております。また、適格機関投資家特例業務届け出者に対する行為規制の導入、これは平成二十八年四月でございますが、それに伴う検査体制の整備として三名の増員を行っているところでございます。監視委員会といたしましては、市場の公正性、透明性の確保及び投資者保護の使命を的確に果たしていくためには、これまでも体制面の充実強化を図ってきているところではございますけれども、引き続き必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 これで質問を終わりますけれども、いただいた資料では、証券取引等監視委員会の事務局職員数は、平成二十五年から平成二十八年までふえてきたんですけれども、平成二十九年になると減っているんですよね。この点は、やはりしっかり市場を監視していくためには人の配置が必要だということを訴えまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。