2017年4月24日 決算行政監視委員会 巨税投入で「負遺産」 東京外環道計画

日本共産党の宮本徹議員は4月24日の衆院決算行政監視委員会で、東京外かく環状道路(外環道)の東名高速以南の計画について石井啓一国土交通相に中止を迫りました。
外環道は都心から約15キロ圏を環状に結ぶもの。都内では関越~東名間約16キロの整備が進められています。東名以南は「予定路線」とされ、昨年2月に国交省と東京都、川崎市による協議会が初めて開かれました。
宮本氏の質問に国交省の石川雄一道路局長は、2010年度から昨年度までに約5億円を支出し、整備効果やルート、構造などを検討してきたと述べました。
宮本氏は、石井氏が2月に東名以南の計画を具体化する考えを示したことを指摘。事業費の見通しをただしたのに対し、石井氏は事業費について答えられる段階にないとしつつ、実施する場合は「(高速会社が料金収入をもとに整備する)有料道路事業を導入する可能性が高い」と答えました。
宮本氏は、同方式で進められている関越~東名間の税金投入が1兆円を超えていると強調。東名以南約20キロではさらに巨額の税金投入になることは明らかだとし、通行料金で回収できない道路を造っても負の遺産になるだけだと主張しました。

以上2017年5月5日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2017年4月24日 第193回衆院決算行政監視委員会第4号議事録≫

○玄葉委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。冒頭、一問だけ麻生大臣にお伺いいたします。G20、お疲れさまでした。ニューヨーク市内で大臣は演説されて、消費税について上げやすい景気状況になりつつあることは確かだと述べられたと日本で大きく報道されました。その報道があった日の日経新聞では、一面でこういう記事もありました。総務省の家計調査によると、消費性向は低下がとまらない、二月は七六・一%、二〇〇七年七月以来の低さだ。負担増だとか将来不安、こういうものがあって、可処分所得が若干ふえても消費がふえていないというのが実情だと思いますが、大臣のニューヨークでの演説のような景気状況には今ないんじゃないでしょうか。
○麻生国務大臣 これは先日のコロンビア大学での講演の私の発言の話なんだと思うんですが、その新聞を読んでいないので知らないんですが、日本経済が継続的に改善しているという現状認識を述べたものだと思っております。少なくとも、安倍政権に交代がされまして、アベノミクスなどによってGDPは四十七兆円増加しております。また、足元で過去最高水準になっておるんですが、直近の四四半期の連続でも、これを見てもプラスの成長を実現しておりますし、企業収益を見ましても、この三年間、四年間で過去最高、四十八兆だったものが六十八兆までふえてきておりますし、また、有効求人倍率なんというものも、百人卒業して八十二社しか求人広告がなかったものが、今百四十三社から求人広告が来るという、時代は明らかに大きく変わってきておりますし、賃金引き上げ率を見ても、三年連続、今世紀最高水準ということになっておりますので、そういった意味では、経済のファンダメンタルズは確かなものだということははっきりしているんじゃないんですかね。全体、私どもはマクロ数字で見ますからそういうことになりますので、自分の都合のいいところだけ見ているんじゃないかと言うけれども、そちらの方も自分の都合のいいところだけ見ておられるんじゃないかというのは、似たようなものなんじゃないかと思っているんですが。今年度の日本の経済についても、雇用とか所得環境の改善に支えられて個人の消費の堅調な伸びというのははっきりしていますし、東京五輪などの訪日客の増加への対応とか、それからIoT関係の、いわゆる関連事業を背景とした企業の設備投資も間違いなく今ふえ始めておりますし、堅調な民需に支えられた景気回復というものは見込まれておるんだ、私どもはそう思っております。そういった意味では、消費税一〇%への引き上げというのは、これは、将来の社会保障と税の一体改革のもとで、社会保障の充実、安定、また財政の健全化の観点からも不可欠だと思っておりますので、私どもとしては、二〇一九年の十月の引き上げが可能な環境を確実に整えるべく、今後とも経済の運営に万全を期してまいりたいと考えておるというのが基本的な考え方であります。
○宮本(徹)委員 都合のいい数字を双方取り上げているとおっしゃいましたけれども、似たようなものとおっしゃいましたけれども、私は、雇用の状況が改善している、人手不足だというのは否定しませんよ、企業の収益が改善していることも否定しませんよ。問題は、企業の収益が改善しても、若干可処分所得がふえていても、消費は伸びていないというのが厳然たる事実じゃないかと。先日、イオンの岡田社長が脱デフレは大いなるイリュージョンだったという発言をされて大変話題を呼びましたけれども、今、イオンだってセブンイレブンだって、商品の値下げをばんばんやっている。消費の現場は大変厳しいというのが今の実情だと思うんですよね。そういう現実を見ずに、上げるんだ、上げるんだ、こういうことでいけば、増税のたびに日本の経済、景気を壊してきているわけですけれども、同じ過ちを繰り返すことになるということを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。続きまして、選挙区の区割り発表がありましたので、きょう、高市大臣にも来ていただきました。今回の区割りの見直しで、三分の一の選挙区の区割りが変わりました。分割された自治体も大変ふえました。生活圏が一緒なのに関係なく分断されて、困惑している有権者の方も少なくない。戸惑っている方も多いです。小選挙区制という選挙制度のもとで一票の格差を二倍以内にしようとすれば、日本は都市への人口の集中と過疎が進んでいますから、一定の期間のたびに区割りの変更をやらざるを得ないということが繰り返されると思うんですよね。そして、そのたびに、有権者から見て、説明がつかないような、生活圏も関係なく、区割りがどんどんどんどん変わっていくということが繰り返されていくというふうに思います。私は、これはもう選挙制度の弊害だと思いますが、そういう点について、高市総務大臣は認識はあるでしょうか。
○高市国務大臣 四月十九日に衆議院議員選挙区画定審議会から、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案について勧告を受けました。この勧告についてでございますが、昨年五月に成立した衆議院選挙制度改革関連法を踏まえ、審議会において、今後五年間を通じて選挙区間の人口格差を二倍未満とするなど、最善と考えられる改定案を工夫して取りまとめていただいたものと承知しています。委員の御指摘にもございましたが、特に東京都など是正が必要な選挙区が林立している場合にありましては、自治体の区域を二つの選挙区に分割する必要が生じるなど、大変厳しい区割りになったと聞いています。今後、政府としては、衆議院選挙制度改革関連法の規定に従いまして、勧告に基づいて、速やかに必要な法制上の措置を講じてまいります。また、現行の衆議院の選挙制度である小選挙区比例代表並立制というものについてでございますが、これは、選挙や政治活動を個人中心の仕組みから政策本位、政党中心の仕組みに転換するということを目指して、長年にわたる政治改革の議論を経て、平成六年に導入されました。衆議院の選挙制度のあり方については、議会制度の根幹にかかわる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。
○宮本(徹)委員 今大臣から答弁がありましたけれども、区割り審としては最善の工夫をしたけれども、東京などからすれば大変厳しい区割りになった。やはり、今の選挙制度でいきますと、厳しい区割りと大臣がおっしゃるような区割りが繰り返されていく、どんどんどんどんひどくなっていくと思うんですよね。また、今回の選挙制度、もしこれで区割りを改正したとしても、あと数年でまた一票の格差が二倍をきっと超えるでしょう。その次は、前に通った法律に基づいて今度は都道府県ごとの選挙区の数も変えるということになりますと、もっと大きな区割りの変更になりますよね。東京でいえば幾つも選挙区がふえるということになります。ですから、本当に人口変動のたびに選挙区の区割りがどんどんどんどん変わっていく、しかも不自然な形で変わっていく、これは小選挙区制の本当に大きな大きな弊害の一つだというふうに考えます。そこで、大臣に一般論でお伺いしたいと思いますが、地域間のアンバランスな人口変動の影響を受けにくい選挙制度というのはどういうものが考えられるでしょうか。
〔委員長退席、石関委員長代理着席〕
○高市国務大臣 現行の衆議院の選挙制度であります小選挙区比例代表並立制というのは、民意の集約による政権選択機能と多様な民意の反映機能という二つの機能の実現をその基本理念としています。長年にわたる政治改革の議論を経て導入されたと承知しています。この現行制度のもと、御指摘いただいた人口変動につきましては、格差是正のために、第三者機関である衆議院議員選挙区画定審議会の勧告に基づいて小選挙区の区割りを適切に見直すことによって対処しております。もとより、選挙制度についてさまざまな御議論があることは十分に承知をしておりますけれども、選挙制度のあり方については、議会政治の根幹にかかわる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。
○宮本(徹)委員 いや、ですから、具体的にどうするかというのは各党会派で当然議論することなんですけれども、私は一般論として大臣にお伺いしたわけですよ。地域間のアンバランスな人口変動の影響を受けにくい選挙制度というのはどういうものが考えられるかと聞いたんですけれども、お答えできますか。
○高市国務大臣 一般論として御質問いただきましても、国民の代表である国会からチェックを受けるべき立場である内閣の一員である私から、議会制度の根幹にかかわる、まさに民主主義の基本たる選挙制度について、こうあるべきだとか、こういう姿が望ましい、もしくはこういう形にすれば人口のアンバランスの影響を受けにくいといったことを申し上げるわけにはいかないわけでございます。小選挙区制度については、その長所や短所については第八次選挙制度審議会の答申によって、長所としては、政権の選択について国民の意思が明確な形で示される、政権交代の可能性が高い、短所としては、選挙ごとの票の動きが激しい、少数意見が選挙に反映されにくいといった、長所、短所の分析などは客観的な形でございますけれども、人口アンバランスの影響を受けにくい選挙制度、どのようなものがあるかということを私に問われましても、ここで申し上げるわけにはまいりません。
○宮本(徹)委員 私は別にあるべき選挙制度だとかを述べてほしいということを言っているわけじゃないんですね。一般論としてこういうものが考えられるんじゃないかというのは、いろいろな形が考えられると思いますよ。中選挙区制だったら、区割りは変更しなくても定数をいじって調整というのは過去やってきたわけですよね。比例代表制だったらもっと、それも同じような形で区割りを変えずにできるわけですよね。ですから、首長さんも含めていろいろな声が、今回の区割りについてはたくさん声が上がっているわけですから、やはりそういう声も踏まえて、こういう弊害が出ない選挙制度、一番は民意を反映する比例代表が私たちはすばらしいと考えていますが、そこをやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかということを申し上げておきたいというふうに思います。続きまして、この間ちょっと相談を受けた問題についてお伺いしたいと思います。聴覚障害者の皆さんからスマートフォン等の利用料金について相談がありました。この間、スマートフォンだとかタブレットのアプリで音声を文字に変換する、逆に文字を音声に変換するということができるようになりまして、聴覚障害者の皆さんのコミュニケーションの手段が飛躍的にふえました。相談に来た方はこういうことをおっしゃっていたんですね。利用料が毎月一万円近くかかる、今は日常生活、特に外出中に人とやりとりするため、私たちにとっても必須なものとなっている、にもかかわらず料金の負担が重い、携帯の使用量を減らすということは人とのやりとりを減らすということであり、家に引きこもるということになる、こういうふうにおっしゃっていました。聴覚障害者の皆さんは、データのやりとりですから、データ通信量が多いわけですよね。ですから、ノーマライゼーションを進めていくためには、やはりスマホだとかについてデータ通信の割引、こういうものの充実の検討が必要じゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〔石関委員長代理退席、委員長着席〕
○高市国務大臣 現在、大手携帯電話事業者の三グループで、従来より障害者向けに基本料やテレビ電話通信料の割引を行っていただいています。今委員が御紹介いただいたのは、最近のアプリで「こえとら」というのがございます。これは、総務省所管のNICTが開発した技術を活用して、主要電気通信事業者の協賛によって無料で提供されているアプリでございます。音声と文字を相互に変換するもの、また簡易なテレビ電話を行うものもございます。これらを低廉な通信料で活用していただくことができるようにするというのは大変重要だと思っております。現在、大手携帯三グループでは、昨年秋に、大容量のデータ通信向けの料金プランを初め、低廉化に向けて工夫をしていただいておりますが、まだ御努力をいただく余地があると考えておりますので、料金のさらなる低廉化に向けた取り組みを促してまいります。
○宮本(徹)委員 引き続きの働きかけをよろしくお願いしたいというふうに思います。もう一つ、相談の中でこういう話がありました。らくらくホンをお持ちの方だったんですね。「みえる電話」というのもあるわけですが、これを入れてもらおうと思ったら、このらくらくホンには入れられませんと言われましたと。もっと機能のいいスマホにしないと入れられないという話だったみたいなんですけれども、しかし、そういうものは高いので、買いかえられなくて諦めたという声もありました。ですから、技術革新があっても、お金の有無で使えない、使われないということが現実に生まれております。きょうは塩崎大臣にも来ていただきましたけれども、この聴覚障害者の皆さんのコミュニケーションを支援するアプリ、どんどん開発されているわけですけれども、このアプリと一体不可分のスマートフォンだとかiPad、こういうものの取得についても経済的な支援の検討というのを行っていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 障害者などの日常生活上の便宜を図るための用具について、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業、特に日常生活用具給付等事業というのがありますが、こういったもので給付が行われているわけでありますけれども、これには要件がございます。それは厚生労働大臣の告示で示しているわけでございますけれども、今申し上げた事業の対象となる用具につきましては、用具の製作、改良または開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、なおかつ日常生活品として一般に普及していないものなどといった要件を課しておるところでございまして、御提案のありました携帯電話あるいはスマートフォン、タブレットの端末、こういった本体そのものにつきましては、一般に普及していないものといった要件には合致しないわけですね。給付することは当たらないということになると思います。ただ、スマートフォンとかタブレット端末を使用するに当たって、障害特性に配慮して開発されたアプリケーションソフト、こういったことにつきましては、利用する際に給付が行われた事例もあるというふうに承知をしているわけでございます。
○宮本(徹)委員 厚労省のホームページを見ましたら、日常生活用具給付等事業で、大臣のおっしゃった告示も出ていますけれども、参考例というので自治体でこういうものをできますよというのが出ているんですけれども、その中に、例えば聴覚障害者だとファクスと書いてあるんですよね。ファクスというのは、一般に普及していないものかといえば、大変一般に普及しているものだというふうに思います。ですから、この厚労省の告示に基づく参考例を見ても、大変柔軟な運用をこの間厚労省自身がやってきているのかなというふうに思います。ですから、iPadやスマートフォンは一般に普及しているかもわかりませんが、「こえとら」を積んでいるiPadは一般に普及していないわけですから、そのアプリと一体になっているスマートフォンだとかタブレットについてもやはり柔軟にやっていくことも検討する必要があるんじゃないかなというふうに思います。その辺、柔軟にやっていくという点では、自治体の裁量だとかもいろいろ考える必要があると思うんですが、大臣、どうでしょうか。
○塩崎国務大臣 今申し上げたのが基本線でありますが、今新技術の時代でありますから、それは今言ったような要件に照らしてみてどうかということで考えていくんだろうと思うので、新しいものが出てくれば当然ケース・バイ・ケースになって、判断をしなければいけないというふうに思うところでございます。
○宮本(徹)委員 ファクスが載っていることを否定もされなかったということですから、厚労省としては大変柔軟にこれは解釈してやれるんだという立場だと理解して、次の質問に移りたいというふうに思います。次、国交省のお話に移りますので、塩崎大臣、高市大臣、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。次に、公共事業の問題について取り上げます。昨年、財政制度等審議会の建議で、この四半世紀で名目GDPは五十兆円しかふえていないのに、建設国債の残高が百二兆から二百六十六兆円へ二・五倍にふえ、財政が悪化している、そして、新規採択の公共事業のBバイCが下がっているということを指摘して、BバイCの高い事業を厳選すべきというふうにされておりますが、麻生大臣、この財政審の指摘についてどう受けとめていらっしゃるでしょうか。
○麻生国務大臣 御指摘の財政審の建議において、厳しい財政状況を踏まえて、選択と集中のもとに、より少ない費用で最大限の効果というものを発揮させるようにするべき、また、費用便益の分析、いわゆるBバイCの話ですけれども、これを徹底して、日本の成長力を高めるというような事業や、防災、減災また老朽化のメンテナンス等々への重点化、効率化を進めていくことを御提言いただいたものだと承知いたしております。このような視点を踏まえて、平成二十九年度予算においては、国が管理する道路、河川などの老朽化対策というものを戦略的に進める、また既存のストックを活用してクルーズ船の受け入れ環境を改善するなど、質の高いインフラ整備への重点化、効率化を図っているところであります。公共事業というものは、未来への投資として次の世代に引き渡すしっかりとした資産を形成するものでありますので、名目GDPの増加に比して建設国債というものが大きく増加したという事実は確かでありますから、これをしっかり踏まえて、質の高い投資への重点化というものを着実に進めていくことが重要だと考えております。
○宮本(徹)委員 重点化を進めるというお話ですが、インフラ資産として残るとしても、莫大な借金も一緒に残っているわけですよね。先日、外環道の整備区間の問題について談合疑惑の問題を取り上げましたが、今の整備区間に続いて、国交省は、外環道の東名以南についても建設に向けた調査を今活発に行っております。これは、二〇一〇年以降毎年調査費がついておりますが、これまで調査に幾ら使って、調査はどの段階まで今進んでいるんでしょうか。端的にお答えください。
○石川政府参考人 お答えいたします。東名以南、東名高速から湾岸道路間につきましてはまだ予定路線の段階でございますけれども、この調査につきましては、国が平成二十二年度の調査開始から平成二十八年度までに総額約五億円を支出しております。これまで、主に整備効果や概略計画について検討しておりまして、具体的には、京浜港や羽田空港から関東北部や東北方面等への物流や観光などの広域的な整備効果、環状八号線や川崎市を縦貫する国道四百九号の渋滞緩和や事故削減などの地域的な整備効果、計画検討上の制約条件やルート、構造等の概略的な検討等について調査検討しているところでございます。
○宮本(徹)委員 調査の成果物の一部を見せていただきましたけれども、つくるための理屈づけみたいな調査なんですよね。立ち退きを迫られる方のことだとかコミュニティーが分断されることだとかのマイナス面もなければ、財政状況についての分析なども見せてもらった範囲では一切ないわけですよね。ちょっと念のために確認したいんですけれども、調査を請け負っている会社に国交省やNEXCOからの天下りというのはないですよね。
○石川政府参考人 お答えいたします。東名高速から湾岸線道路間の調査につきましては、平成二十二年度から二十八年度まで総額約五億円を支出しておりますが、公表されております再就職の届け出によれば、調査を請け負っている会社が十社ございまして、そのうち六社に対して国土交通省退職後に再就職している者は、平成二十二年度以降十三名となっております。また、NEXCO三社からの再就職につきましては、NEXCO三社では役員等の再就職について退職後一定期間届け出をさせておりますが、今般、NEXCO三社に照会をいたしましたところ、当該調査を請け負っている会社への再就職の届け出はないとの報告を受けております。
○宮本(徹)委員 国交省からたくさん行っているという話であります。結局、国交省が自分がつくりたい道路をつくらせるための、調査会社を使って、つくればいいよ、つくればいいよという話をやっているという話じゃないですか。最後、石井大臣にお伺いしますが、大臣は、外環道のシールドマシンの発進式で、湾岸部までつなぐ東名高速以南の計画の具体化も進めるという考えを示されました。事業費の見通しをどう考えているのか、そして、その事業費について、NEXCOが単独でつくる体力があると見ているのか、この二点についてお聞かせください。
○石井国務大臣 東名高速から湾岸道路間の東京外環につきましては、計画の具体化に向けて検討を進めている段階でありまして、ルートや車線数、構造、例えば高架構造、トンネル構造等々の構造等が決定をしていないため、事業費の見通しについては具体的にお答えできる段階ではございません。今後の計画の具体化を進める中で整理していきたいと考えております。なお、この区間、高速道路会社が単独で整備できるのかということでありますが、今申し上げたとおり、事業費の見通しも立っていないということから、有料道路事業を活用するかどうかについて現時点でお答えすることはできませんけれども、周辺ネットワークの状況を踏まえれば、仮に事業を実施するとした場合、有料道路事業を導入する可能性が高いのではないかと考えております。
○玄葉委員長 宮本君、時間が来ました。
○宮本(徹)委員 質問はこれで終わりますけれども、事業費の見通しも立っていないのに、ばんばん調査費をつけてつくるための準備を進めていく。先ほど、高速道路会社に体力があるのかと聞きましたら、有料道路事業方式の活用、利用もということをおっしゃいましたけれども、今つくっている区間でも一兆円以上税金を投入しているわけですよ。今度、東名以南ということになったら、総事業費はもっと大きく、二十キロありますから二兆円は下らないというふうに思います。そうすると、一兆数千億の税金投入ということになっていくわけですよね。それは火を見るよりも明らかですよ。通行料金で全く回収できない道路を税金頼みでどんどんつくっていくというのは、未来に負の遺産を残すだけだ、やめるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。