2017年6月5日決算行政監視委員会 『加計』のため京産大外しか 獣医学部新設 必要な聞き取りせず

国家戦略特区による愛媛県今治市への獣医学部新設に安倍晋三首相の意向が強く働いたとされる学校法人「加計学園」問題をめぐり、日本共産党の宮本徹議員は5日の衆院決算行政監視委員会で、同様に獣医学部新設を提案していた京都産業大学が「総理の意向」で外された疑いを追及しました。
宮本氏は、京産大が2006年から「鳥インフルエンザ研究センター」を設立するなど獣医学部新設の準備をしてきたにもかかわらず、政府が18年度開学の学部に限るという条件をつけたため、断念せざるを得なかったと指摘。18年度開学を迫る「総理の意向」で加計学園だけが通れる「穴」になったと批判しました。
宮本氏が、京産大の想定していた開学時期をただしたのに対し、山本幸三地方創生担当相は「具体的時期は承知していない」と答弁。加計側に詳細なスケジュールを示していたことが明らかになる一方、京産大側からは開学希望時期さえ聞き取っていなかったことが明らかになりました。
この間判明した「内閣府審議官との打合わせ概要(獣医学部新設)」は、“今治構想”を前提に18年4月開学を「大前提」「これは官邸の最高レベルがいっていること」と明記。加計学園も18年4月開学を前提に、地盤調査をしていたことも「赤旗」の取材で明らかになっています。
安倍首相は同委員会で「概要」などの文書について、出所や入手経路が不明だとして調査しない考えを改めて示しました。

論戦ハイライト

「2018年度開学スケジュールを迫った狙いは、京都産業大はずしだったのではないか」―。日本共産党の宮本徹議員は5日の衆院決算行政監視委員会で、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐって安倍晋三首相の「意向」が働いたとされる疑惑を追及。京都産業大学も獣医学部新設に手を挙げていたにもかかわらず、最終的に加計学園だけに新設を認めた経緯をただしました。
豊かな実績示す
京都産業大学は06年から鳥インフルエンザ研究の重鎮を招へいし、獣医学部新設を検討。10年には同学部設置の準備段階として動物生命医科学科を設置しています。
宮本氏は、政府が獣医学部新設の理由として、ライフサイエンス(生命科学)や鳥インフルエンザ対策の研究に獣医師の需要があることを挙げていたと指摘。京産大は、京都府とも家畜防疫で協定を結ぶなど、ライフサイエンス分野でも鳥インフルエンザ対策でも、多方面で豊かな実績があることを具体的に示し、次のようにただしました。
宮本 京産大と加計学園(岡山理科大)で、鳥インフルエンザ対策の研究体制の現状はどうなっているか。
文科省・常盤豊高等教育局長 京産大は鳥インフルエンザ研究センターの設置、対策研究が行われ、岡山理科大では生理活性物質をはじめとする研究が行われている。
宮本 京産大が加計学園におよばないなどとおよそいえない。
「加計」のみ聞く
京産大も獣医学部の準備を真剣に進めてきたにもかかわらず、なぜ、はじかれたのか―。宮本氏は、安倍首相が議長の国家戦略特区諮問会議の決定に、獣医学部新設に「広域的に獣医大学がない」という地域的限定に加え、「2018年度開設の獣医学部」という時期的限定が付けられたためだと指摘。愛媛県今治市が、18年の開学を前提に加計学園の獣医学部新設を計画する一方、京産大は開学時期を明示していなかったとして、次のようにただしました。
宮本 京産大はいつ開学したいという意向だったのか。
山本幸三地方創生担当相 具体的な時期がいつかは、はっきりと承知していない。
宮本 加計学園の(開学時期の)意向だけ聞いていたということだ。
さらに、宮本氏は、今治市には18年開学のスケジュールが公表前に内閣府から伝えられていた疑いも指摘。開学時期が公表されたのは16年11月ですが、今治市は、同年10月の段階で市議会に18年開学前提のスケジュールを出していたとして、「極めてアンフェアだ」とただしました。
山本担当相は「事前に、今治市にも、京都府にも、そういうこと(開学時期)は申し上げていない」と弁明。宮本氏は「はじめから加計学園ありきだ」と、政府の姿勢を厳しく批判しました。

以上2017年6月6日付赤旗日刊紙より

≪2017年6月5日 第193回衆院決算行政監視委員会第6号議事録≫

○玄葉委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。加計学園の問題について質問いたします。獣医学部の新設については二つの大学が手を挙げておりました。加計学園そして京都産業大学です。ところが、安倍総理が腹心の友と呼ぶ理事長の加計学園だけが獣医学部の新設が認められることになりました。ここに総理の意向が働いたのではないか、これが疑惑の核心であります。加計学園は二〇〇七年から構造改革特区に応募してきたといいますが、京都産業大学はその前、二〇〇六年、鳥インフルエンザ研究の重鎮を招聘し、獣医学部設置が真剣に検討され、農水省や文科省に働きかけてきました。二〇一〇年には獣医学部設置の準備段階として動物生命医科学科を設置し、研究教育を進めてきました。教員は全員獣医師だ。準備を重ねていたわけでありますね。松野大臣にまず伺いたいと思います。今回五十二年ぶりに獣医学部新設の規制緩和を行った理由、新たな分野での獣医師のニーズがあるんだと。一つはライフサイエンスの分野だ、もう一つは鳥インフルエンザなどの地域での水際対策ということを言われておりますが、京都産業大学、それと加計学園の岡山理科大学、鳥インフルエンザ対策の研究体制というのはそれぞれ現状ではどうなっていますか。
○常盤政府参考人 お答え申し上げます。委員から事前にお話をいただいておりましたのは、鳥インフルエンザ対策の実施体制ということでございます。各大学のホームページを私どもの方で拝見いたしております。京都産業大学については、鳥インフルエンザ研究センターの設置、そしてその対策の研究ということが行われております。また、岡山理科大学については、生理活性物質を初めとする研究が行われているというふうに承知をしてございます。
○宮本(徹)委員 京都産業大学は鳥インフルエンザ研究センターがあります。さらに、京都産業大学は京都府とも家畜防疫で協定を結んで、実際にこうした分野でも実績があるということになっております。水際対策に取り組む人材を養成していくという点で京都産業大学は条件が整っているというのは、私は明らかだというふうに思います。
松野大臣、もう一点伺いますが、先端のライフサイエンスの研究体制、研究実績、それぞれの大学でどうなっていますか。京都産業大学が岡山理科大、加計学園に及ばないということはおよそ言えないと思いますが、いかがですか。
○常盤政府参考人 お答え申し上げます。ライフサイエンスにかかわる研究でございますけれども、それぞれの大学が公表している資料によりますと、京都産業大学においては、例えばタンパク質動態研究所で、たんぱく質の動態から種々の病態解明に係る創薬などへの基盤技術の確立を目指した研究が行われております。また、岡山理科大学におきましては、例えば分子を見る技術の革新を目指しまして、色素材料と医療、生体における新たな可視化技術の新展開を目指した研究などが行われてきているというふうに把握してございます。
○宮本(徹)委員 京都産業大学が加計学園に及ばないというのはおよそ言えないと思うんですよね。世界的に権威があるネイチャーへの論文の掲載数、京都産業大学は二〇一五年、国内の私立大学では一番。そして、獣医学部をつくるのに向けては、iPS細胞研究所との連携に向けた話し合いも進めていたということであります。ところが、ライフサイエンスの分野でも鳥インフルエンザ対策でも多方面で豊かな実績があり、獣医学部の準備を着々と進めてきた京都産業大学ははじかれて、加計学園だけが新設を認められる。極めておかしい話だと思いますよ。なぜ京都産業大学が断念せざるを得なくなったのか。いろいろな方にお話を伺いましたが、途中で二つの条件がつけられたからだと。一つは、広域的に獣医学部がないところに限る。さらに決定的だったのが、二〇一八年度開設の獣医学部に限るという条件です。準備が間に合わない、これで断念に追い込まれていったわけですよね。総理は岩盤規制に穴をあけたと言いますが、総理に関係の深い加計学園だけが通れる、加計学園の形をした穴をあけたということじゃないですか。最大の問題は、総理の意向でこの穴が加計学園だけが通れる穴になったのではないかということなんですよ。この間ほぼ事実だということが証明されてきている「藤原内閣府審議官との打合せ概要」を見ますと、平成三十年四月開学を前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい、これは官邸の最高レベルが言っていることと。総理の意向を振りかざして強引に二〇一八年度開学のスケジュールを迫った、この狙いは京都産業大外しにあったんじゃないかということを私は言わなきゃいけないと思います。今治市、加計学園はできるだけ早く設置したいという意向で、今治市は二〇一八年四月の開学を要望していた。一方の京都産業大学はどうか。この間の政府の国会での答弁を見ましたら、できるだけ早くやりたいという意向だったと答弁されております。山本大臣に伺いますが、京都産業大学、できるだけ早くというのは、いつ開学したいという意向だったんですか。
○山本(幸)国務大臣 私どもは、岩盤規制を突破して、そして規制改革を早く、スピーディーに実現するということが目的でありまして、その意味で最大限早い時期を当然想定してやるわけであります。その中で三十年四月開学ということを最終的に求めてきたわけでありますが、それに至るまでに当たりまして今治市の提案そして京都府の提案がございますが、それぞれできるだけ早くということでありました。ただ、京都府、京都産業大が想定している具体的な開学時期がいつであるかということは、はっきりと承知しているわけではありませんが、できるだけ早くということでお聞きしていたということであります。また、今治市ができるだけ早くということは承知していたということでありまして、それを含めて、早く規制を突破し、そしてその効果を早く検証して、ほかに広げるかどうかも考えていく必要もありますので、最大限早い三十年四月ということにしたわけであります。
○宮本(徹)委員 今治市の方は二〇一八年四月の意向だというのは、この間国会で答弁していますよ。その一方で、今の答弁だと、京都産業大学については、いつ開学の意向だというのを聞いてもいないという話じゃないですか。聞いたんですか。この間、ワーキンググループのヒアリングとかいろいろやっていますよ。京都産業大学については、いつ開学したいというのを聞きもしなかったんですか。
○山本(幸)国務大臣 できるだけ早くということでありまして、具体的な時期について承知はしておりません。
○宮本(徹)委員 つまり、今治の意向、加計学園の意向は聞いていた、二〇一八年四月。その一方で、もう一方の京都産業大学については意向も聞いていない、いつ開きたいというのも聞いていない。初めから加計ありきということじゃないですか。もう一点お伺いします。二〇一八年開学の獣医学部、これだけが規制緩和という方向が公に示されるのは十一月十八日です。ところが、今治市は、市議会に十月の段階で二〇一八年四月開学前提のスケジュールが出されているんですね。しかも、資料の中には、内閣府の考えているスケジュール感に対応するため、こう書いてあるものもあります。つまり、今治市、加計学園には、公に十一月十八日にこの規制緩和の方向が、二〇一八年開学に限る、これが発表される随分前に内々に伝えられていたわけですよ。もうフライングできる状況にしていたということであります。山本大臣、もう一個聞きますけれども、この同じスケジュール感というのは京都産業大学には伝えていましたか。
○山本(幸)国務大臣 三十年四月開校というのはパブリックコメントに出るわけでありますが、これは、最大限早い時期で開校できる時期ということで私どもが決めたわけであります。しかし、その事前に今治市に対しても京都府に対しても一切そういうことは申し上げておりません。
○宮本(徹)委員 なぜ、伝えていないのに。ここに持ってきていますけれども、これは今治市の資料ですが、開学までのスケジュール、平成三十年四月、なぜ今治市だけがこんな資料をつくれるんですか。私たちのしんぶん赤旗も、今治市に直接聞いて取材しましたよ。昨年九月から十月にかけて国家戦略特区の会議を内閣府とともに開催する中で、内閣府も一八年四月開学の思いを共有していると判断していたと。思いをずっとあらかじめ共有してきたということを今治市の側が言っているじゃないですか。極めてアンフェアなやり方で、今治市の側には二〇一八年四月だから早く準備しなさいとこういう情報を提供して、もう一方、京都産業大学の側には、十一月十八日、公になるところまで一切伝えなかった、こういうことじゃないですか。極めてアンフェアだと総理は思われませんか。
○山本(幸)国務大臣 時期をいつにするとかいうような話は一切伝えておりません。したがって、その中で、今治市が獣医学部の校舎建設等なんかについて少し準備をやられていることは、大学側がオウンリスクで行っているものと考えております。これは、今治市がボーリング調査なんかをやるときにも、今治市議会においても今治市が説明しておりますが、希望者には全部それを認めるというようなことをやっておりまして、私どもは三十年四月開校というのはまさにパブリックコメントの段階で初めて示したわけでありまして、それ以前に今治市に対しても京都府にも一切そういう時期については言っておりません。あとはそれぞれの地元がオウンリスクでやることでありまして、ただ、このことは最終的に認められるかどうかわかりませんから、そこはまさにリスクがあるわけでありまして、ほかの医学部等の場合でもそういうことは行われているというふうに承知しております。
○宮本(徹)委員 大体、オウンリスクで始めるなんということはおよそ考えられないですよ。しかも、さっき言ったとおり、今治市の側は、内閣府と思いを共有していたと言っているじゃないですか。今治市がうそをついているというんですか。あなたが内閣府は伝えていないと言っても、誰かが伝えているということですよ。結局、総理の意向を振りかざして強引に二〇一八年四月開学のスケジュールを決めていったのは、京都産業大学外しだ、加計学園を落とすためだった、この疑惑はいよいよ濃くなってきたというふうに私は思いますよ。もう一つの京都産業大外しが、きょうも議論になりました、獣医学部の新設は広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限りという新たな条件が加えられたことです。このことによって、大阪に獣医学部がある京都産業大は排除されました。総理、私はこれは余りにも恣意的な条件だと思いますよ。だって、規制緩和の理由は、ライフサイエンスあるいは水際対策に取り組む獣医師の需要に応えるためだということを言っているわけですよ。その分野で頑張って取り組みも実績も上げている京都産業大学が何で排除されていったんですか。国家戦略特区という考え方からいっても、当然、京都産業大学だけが排除されて加計学園になるということにはならないんじゃないですか。おかしいと思わないですか。
○山本(幸)国務大臣 これは従来から何度も説明しておりますけれども、こういう岩盤規制を突破するときに、一遍でどこでもできるということはなかなか困難であります。そういう中で、特に獣医師会から反対の声も強いわけでありますし、あるいはいろいろな会議、区域会議、ワーキンググループの会議等でも文科省、農水省等の意見もございます。そういうことの中で、まず岩盤規制の突破口を開いて、そしてその成果を見て、どうしたら広げていくことができるかという形で考えていくのは当然、自然なことだと思います。その意味で、産業動物獣医師が不足している、水際対策が足りないと言われている四国地域、あと空白地域ですけれども、そういうところからまず始めようということは当然、自然な考え方でありまして、最終的には私が、広域的に獣医師系養成大学等の存在しないところに限るということを決断して、決めたわけであります。
○宮本(徹)委員 全く説明になっていないですよ。大体、公務員の獣医師は、ほとんど日本じゅうどこでも不足しているという状況ですよ。それが現実じゃないですか。しかも……(安倍内閣総理大臣「だったら必要じゃないですか」と呼ぶ)必要、私は別に必要ないなんて一言も言っていないですよ。総理、やじらないでください。私は、なぜ加計学園だけに落ちたのかと言っているんですよ。加計学園は百六十人の定員ですよ。京都産業大学は八十人で出していましたよ。例えば、京都産業大学八十人、加計学園八十人でもいいじゃないですか。なぜそれができないのか、なぜ加計学園だけなのか、ここに多くの国民の皆さんは疑念を抱いているんですよ。経営の問題という声も上がりましたけれども、なぜ加計学園だけなんですか。説明になっていませんよ。総理が答えてください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど来、いわば需要がないという話、民進党との議論があったわけでありますが、今、宮本委員は、需要がある、産業医等々あるいは獣医師公務員が不足しているというお話があった。まさにそういうのは本当に長い間獣医学部ができていなかったことによる弊害であります。岩盤規制があるからこそ、その弊害を突破できなかったわけでございます。しかし、今委員がおっしゃるように、この国家戦略特区というのは、一校とか二校ではなくて、まずは穴をあけて、全国展開をしていきたいと思っています。ですから、ここでいろいろな公正な法令にのっとって公正に加計学園に決定されたわけでございますが、この結果を見ながら二校、三校に私たちはむしろ広げていきたいとすら考えているわけでありまして、我々は前からそう申し上げてきたところでございます。しかし、なかなか最初から二校、三校というわけにはいかないわけでございまして、これは医学部でもそうでありまして、今回、成田に決めたわけでありますが、医学部をつくりたいというところはほかにも結構あったわけでありますが、医師会等との調整等も含めて、成田にいわば国際的な医学部をつくるということで一校を認めたわけでございます。今度のことにつきましても、先ほど来、山本大臣が答弁をさせていただいておりますように、これは獣医師会からも山本幸三大臣宛てに要請がございまして、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域とは一カ所かつ一校のみであることを公的に明記することとあるわけでありまして、これに対応して我々は今回絞ったわけでありまして、まさにこの要請という中において、いわばいかに岩盤規制の突破が難しいかということの中において、さまざまに既にある団体等とも話し合いを行いながら、そこから突破をしていくのは当然のことであろう。その中で、四国、これは加戸知事も述べておられました。愛媛県の前の知事の加戸知事も、文科省の御出身でありますが、強く述べておられましたが、とにかく四国にないという状況を変えなければいけないという思いでずっと取り組んできたと強く主張しておられました。いわば四国にないということ、全くそれを無視して議論するのはどうかと思う次第でございます。
○宮本(徹)委員 四国につくっちゃいけないなんて私は一言も言っていないんですよ。四国だけじゃなくて、京都産業大学も認めればいいじゃないかと。百六十人も、ばかでかいものを四国だけにつくらなくたっていいじゃないですか。定員を減らして、京都産業大学だって認めればいいじゃないですか。そういう方法だって考えられるのに、なぜ、ライフサイエンス分野でも鳥インフルエンザ対策でも実績があって、誰もがそっちの方が実績があるじゃないかと思うところが落とされていったのか。国家戦略特区じゃないですよ、こんなのでは。安倍友特区じゃないですか。結局、こういう問題で、京都産業大学は総理の意向で諦めざるを得ないところに追い込まれていくということになったわけですよね。総理、岩盤規制に加計学園だけが通れる穴をあけていった。この間、内部文書や前川前次官の証言で明らかになったことは、ここに総理の意向がかかわっているということですよ。昨年九月、和泉首相補佐官からも、そして内閣府からも、総理や官邸の最高レベルの意向だと示されて、二〇一八年四月開学に向けて獣医学部新設を認める規制緩和を早急に進めよ、こういう要求が伝えられたわけですよね。別々の役所から異口同音に、総理の意向、官邸の最高レベルの意向というのが文科省に伝わっていくわけですよ。別々のところからですよ。これは、誰がどう考えたって、総理が指示しているんじゃないかというふうに思うわけですよ。総理、総理の指示がないと、別々のところから異口同音に総理の意向が語られるということはないんじゃないですか、起こり得ないんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 この問題については、三大臣合意が全てであろうと思うわけであります。当然、三大臣合意に至る上においては文科省で意思が統一されているわけでございまして、十二月の二十二日、正式な公文書としてはこれが全てでございまして、山本幸三大臣、松野大臣そして山本有二農林水産大臣がいわば各省を代表してここにサインをしているわけでございます。これは、この問題だけではなくて、特区にかかわること、あるいはTPP等でも行います。それに至る過程では相当の議論がありますし、各大臣が私のところに自分の意見を強く述べに来られることもあります。大臣とともに事務次官が来られて、そこで事務次官が御自身の議論をされる場合もあります。私の意見に対して、お言葉ですがと言って、また持論を展開する方もいますよ、事務次官においても。彼が言っていることが正しければそうしますし、また、総理のお考えはどうなんでしょうかということを聞かれる場合もあります。多くの場合は、これはまず大臣間、役所同士でやってください、今私が判断する場合ではありませんし、私はどういう方向ということを示しているわけではありませんよということを述べることが大体のことでございます。今回のことにつきましても、前川次官も三回、たしか大臣と一緒に私のところにお見えになっていますが、この問題については全くお話をしておられなかった、あるいは大臣も全く聞いていなかったということは一体どういうことなんだろう、こう当惑せざるを得ないということを申し上げるしかないと思います。
○玄葉委員長 もう時間ですから。
○宮本(徹)委員 総理は公式な文書は何だという話をしますけれども、もう事実中の事実である公式の文書としての議事録が出てきているわけじゃないですか。誰も否定できないわけでしょう、これがあったということは。あったということは誰も否定できないんですよ。どれだけ与党が国会の中で数の力を持っていても、あったことはなかったことには絶対にできません。前川前次官、和泉首相補佐官、木曽元内閣参与、藤原内閣審議官の証人喚問を求めたいと思います。委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。
○玄葉委員長 理事会で協議します。時間ですので。
○宮本(徹)委員 真相の究明のために引き続き追及することを申し上げまして、質問を終わります。