獣医学部新設についてのパブリックコメント

国家戦略特区を担当する山本大臣は、私の質問の翌日、7月25日の記者会見で、獣医学部新設についてのパブリックコメントについて、「開設時期のことに関連する意見は17件。このうち『特定の大学じゃないとできないじゃないか』というような意見は4件だけだった」と述べた報じられました。問題は、「特定の大学じゃないとできないじゃないか」という意見がきていたことを知りながら、政府が平成30年度開設に限定する条件を決定したことにありますが、同時に、この件数も私のカウントに比べて随分少なく、ことをできるだけ小さく見せようという山本大臣の思考のあらわれではないかと思います。

内閣府がパブリックコメントで「広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限定する要件や平成30年度開設に限定する要件は不要ではないか」に分類したものは47件です。この47件について、内閣府から提供をうけた資料には、パブリックコメントひとつひとつに通し番号が1から47までふってあります。そこで、私は、記者会見の報道があった、25日に、大臣が17件と4件に分類した意見を、通し番号で教えてほしいと要請しました。

単純な問い合わせをしたので、すぐ教えてもらえると思っていたのですが、内閣府には難題だったようで、「回答を待ってほしい」という要請が内閣府から繰り返され、やっと28日、今日の夕方に回答がきました。

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下記のとおり回答させていただきます。

47件の一覧表のうち、
○17件

 2、3、4、5、7、13、14、18、23、27、32、33、38、42、43、44、45

○4件

 2、5、23、38

以上です。
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「特定の大学じゃないとできないじゃないか」とされた4件の番号をみると、私が国会で具体的に紹介した「平成30年度の開設に限定されているが、準備期間が非常に短期間となっており、特定の案件に絞り込んだ恣意的な期間設定と思われる・・・」というパブリックコメントさえ、入っていません。「設置年度まで明記するのはどこかに決め打ち」というパブリックコメントもカウントされていません。大臣の「4件」という記者会見の数字は、大嘘ではないか。「特定の大学じゃないとできないじゃないか」という意図や準備期間として不足していると指摘した意見をパブリックコメントから拾ってみましょう。(冒頭の数字が通し番号。意見は当該部分のみ抜粋)

2 「平成30年度開設の期限をなぜ切るのか。そもそも実現可能な大学が決まっており、形だけの手続きではないか。スケジュールありきでなく、しっかりと、新たなニーズに応えられる大学の具体的な構想をヒアリングし、特区の趣旨の実現性により判断すべきである」
5 「30年度開設と期限を切るのもとても不自然です。急いでいるにしても、すでに特定大学に対する事前承認があるように思えます。期限よりも設置目的や機能を最優先すべきだと思うのですが。むしろ国として目指す機能に対して、どんな獣医師養成プログラムができるのかを複数の大学で、広く国民に対してプロポーザルして、オープンな議論をした方が透明性が確保できてよいと思います。アリバイ作りのための意見募集にならないようにお願いします」
6 「告示案では広域的に獣医師系養成大学内地域に限定しており、かつ、平成30年度開設ということまで明記されています。明らかに四国に限定したものになっています。ライフサイエンス研究という新たな分野での獣医師養成という目標が達成できるのでしょうか」
7 「平成28年度も少ない時期に、大学設置を決定し、公募をおこない、平成30年度開設とは、新たに獣医学部を設置する期間があまりにも短すぎるのではないか。それで十分な準備ができるのであろうか」
13 「平成30年度の開設に限定されているが、準備期間が非常に短期間となっており、特定の案件に絞り込んだ恣意的な期間設定と思われる。 用地確保や建設に関わる標準的な準備期間を考慮して、常識的な開設期間とするべきではないか」
14 「また、今回規制緩和されてから、設置を検討する大学がある場合、「平成30年度開設」では無理があります。せめて「平成30年度までに計画を策定」でなければ規制緩和が絵に描いた餅になるのではないでしょうか。」
15 「設置年度まで明記するのはどこかに決め打ちであり、特区の規制緩和の趣旨に全く反するもの」
18 「平成30年度に開設としていますが、すでに水面下で計画が進んでいるとしか考えられません」
23 「平成30年度開設の限定は最初から特定の大学の想定がなければ困難ではないか」
28 「30年度開設の意図は何なのか教えて下さい。内閣府における設置の趣旨を踏まえて新設をめざすところが手をあげ、それを審査して決定すればよいだけで、開設年度は関係ないのではないですか。最初から政治の力で大学を作りたいところを無理矢理特区制度を活用して設置するだけ」
32 「先端ライフサイエンス研究の推進を目的にかかげながら、30年度開設や広域的に該当大学が存在しない地域などを条件にしており、意図的であることや出来レースのような感があり、腑に落ちない。先端ライフサイエンスの研究というなら、それにふさわしい多くの国民が納得する特例措置(特例条件)でなければならないと考える」
33 「平成30年度開設が条件となっているが、文部科学省との調整期間を考えるとパブリックコメントが発表された時点で教員の確保など周到な準備を完了していないと事実上困難である。その条件をはずすべきである」
38 「内容的には地域や大学を開設する年度が限定されており、果たしてこの条件において広く取り組もうとする学校法人があるのかと心配されます。既に想定されるまたは規定路線とされている特定の大学がどこかにあり、その大学のために今回の特例が行われようとされているようにも感じ取れます」
39 「広域的に大学の存在しない地域や平成30年度に開設などは、獣医系大学が存在しない四国を念頭にしていると考えられる」
42 「平成30年度に開設することを条件とされており、現時点で未着手の地域については、大学の立地(用地確保・整備)、学生募集・開設までわずか1年で到達するのは現実的ではない」 
43 「今回の案では設立根拠を平成30年度に限定することの根拠が不明瞭である。学部設置の準備期間としてはあまりにも短すぎ、性急すぎる」
44 「今回は、平成30年度に開設する規制緩和とのことですが、準備期間として十分と言えるでしょうか?」
45 「認可条件として平成30年度の開設としていますが、残りわずか2年で、このような獣医大学を設置しようとするのは拙速」

「特定の大学じゃなきゃできないじゃないか」という趣旨の意見が、どうして、内閣府によると、2、5、23、38だけになるのか。同様に開設時期に関する意見も内閣府が示す17件以外にあるのは、添付ファイルをみていただければ一目瞭然です。山本大臣の記者会見の数字に合わせるために、日本語が読めないフリをさせられる役所のみなさんが気の毒にも思えますが、全体の奉仕者として、大臣には間違っていると、ぜひ、指摘してほしいと思います。